JPH09230275A - 光走査装置 - Google Patents

光走査装置

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Publication number
JPH09230275A
JPH09230275A JP3192296A JP3192296A JPH09230275A JP H09230275 A JPH09230275 A JP H09230275A JP 3192296 A JP3192296 A JP 3192296A JP 3192296 A JP3192296 A JP 3192296A JP H09230275 A JPH09230275 A JP H09230275A
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JP
Japan
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torsion spring
scanning device
optical scanning
housing
magnet
Prior art date
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Pending
Application number
JP3192296A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Bessho
芳則 別所
Yasuisa Kobayashi
靖功 小林
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Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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Publication date
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Priority to US08/751,077 priority patent/US5982521A/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハウジングに固定した部分でのトーションバ
ネの断線を防止し、耐久性に優れ、かつ小型軽量化され
た安価な光走査装置を提供する。 【解決手段】 トーションバネ5は、引っ張られた状態
で、固定治具2によってハウジング1に取り付けられ、
その中央付近には、磁石付きミラー3が固定されてい
る。トーションバネ5がハウジング1に固定されたハウ
ジング固定部13は、無電解メッキ法により、磁石付き
ミラー3が固定された中央部よりも太くなっている。ま
た、トーションバネ5は、中央部分からハウジング固定
部13に近づくにつれて、しだいに線径が太くなり、い
わゆるテーパ状にメッキ皮膜が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザープリン
タ、バーコードリーダー、レーザースキャンマイクロメ
ーター等の事務機器や、計測機等に使用される光走査装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁石付きミラーと交流磁場を発生
させるためのコイルを備えた光走査装置としては、特開
平5−249402号公報、特開平5−264917号
公報に記載されたものがある。また、疲労限が高い超弾
性合金ワイヤを用いた光走査装置として、本出願人は、
特願平7−296788号において、図11に示す構成
を有するものを提案している。
【0003】図11に示す光走査装置は、光を反射させ
るために表面が鏡面加工されている磁石付きミラー53
が、超弾性合金の一種であるNi−Ti合金からなるト
ーションバネ55に接着固定されている。さらに、その
トーションバネ55は、超弾性を示す所定の張力で引っ
張られた状態で、固定治具52によってハウジング51
に取り付けられた構成となっている。
【0004】コア56にはコイル57が巻き付けてあ
り、コイル57は、コア56に設けられたネジ孔58及
び、ハウジング51に設けられた孔54を通して、図示
しないネジによって固定されている。59は、パルス電
流発生器である。パルス電流発生器59とコイル57と
は、周囲に磁界を発生させ、磁石付きミラー53を振動
させる。そして、光源61から出射されたレーザー光線
60は、鏡面加工された磁石付きミラー53によって反
射され、磁石付きミラー53が共振することにより被走
査面62に走査される。
【0005】トーションバネに採用したNi−Ti合金
は、いわゆる形状記憶合金の一種であり、応力及び温度
で様々な状態をとる。マルテンサイト変態開始温度、逆
変態開始温度、終了温度、及びトーションバネにかかる
張力を様々に設定することにより、安定した共振周波数
でより大きい走査角を走査することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例は、トーションバネとして採用した超弾性合金の疲
労限が高く耐久性に優れているものの、固定治具52に
より締め付けられているトーションバネをハウジングに
固定した固定部分に応力が集中し、トーションバネが断
線する場合がたびたび発生していた。
【0007】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ハウジングに固定した部分の線
径を大きくし、固定部分でのトーションバネの断線を防
止し、ひいては、耐久性に優れ、かつ小型軽量化された
安価な光走査装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載の光走査装置は、レーザー
光線を出射する光源と、ハウジングに張設されたトーシ
ョンバネと、そのトーションバネを軸線としてそのトー
ションバネに揺動可能に支持され前記レーザー光線を反
射させる磁石付きミラーと、前記磁石付きミラーを振動
させるために交番磁界を発生するコイルとから構成され
ていて、前記トーションバネの前記磁石付きミラーを支
持している支持部分に対して前記ハウジングに固定した
固定部分の線径を太く設定したものである。
【0009】これによれば、前記コイルに交番電流を流
すとコイル周辺には交番電流に応じた交番磁界が発生す
る。この交番磁界は、トーションバネに固定された磁石
付きミラーにトルクを与え、トーションバネにはねじり
応力が発生する。つまり、磁石付きミラ−は交番磁界に
よりトルクを、またト−ションバネにより復元力をうけ
るので、前記コイルに周期的な交番電流を流した場合、
前記磁石付きミラ−を振動させることができる。特に、
トーションバネ及び磁石付きミラーからなる振動系の機
械的固有振動数と、前記交番電流の周波数とが一致した
場合には共振が起こり、振幅を最大にできる。このよう
な構成にすれば、入射するレーザー光線の走査角度を大
きくすることができる。また、トーションバネのハウジ
ングへの固定部分の線径を太くしているため、駆動時に
おける固定部分への応力集中が極力低く抑えられ、長寿
命の光走査装置を提供できる。
【0010】また、請求項2に記載の光走査装置は、前
記トーションバネが、前記支持部分から前記固定部分に
近づくにつれて、線径がしだいに太くなるように構成さ
れている。このため、駆動時に前記固定部分近傍にかか
る応力集中がさらに緩和され、極めて耐久性に優れた光
走査装置を提供できる。
【0011】さらに、請求項3に記載の光走査装置は、
トーションバネの線径を太くするために、無電解メッキ
法を用いている。従って、簡便で安価な方法で耐久性に
優れた光走査装置を提供できる。
【0012】また、請求項4に記載の光走査装置は、前
記トーションバネに超弾性合金を採用している。超弾性
合金は、疲労限が高いので、さらに耐久性に優れた光走
査装置を提供できる。
【0013】さらに、請求項5に記載の光走査装置は、
トーションバネが室温以下で相変態を生じるNi−Ti
系あるいはCu−Zn系からなる超弾性合金からなって
いる。これらの合金は特に疲労限が高く、また、室温以
下で相変態を起こすように設定されているため、比較的
小さい張力でオーステナイト相及びマルテンサイト相を
選択でき、かつ、両相における前記トーションバネの弾
性係数が、室温の温度変化に対して、ほとんど影響を受
けない。従って、室温の変化に対して安定した共振振動
数で光走査することができる。
【0014】また、請求項6に記載の光走査装置は、前
記トーションバネが、オーステナイト相を維持し得る張
力で前記ハウジングに張設されている。このため、室温
の変化にも大きく左右されず、安定した周波数で光を走
査することができる。
【0015】さらに、請求項7に記載の光走査装置は、
前記トーションバネが、その応力−歪率曲線の勾配がゼ
ロになる張力、即ち、応力誘起マルテンサイト変態を引
き起こす張力を与えられて前記ハウジングに張設されて
いる。従って、トーションバネは、応力誘起マルテンサ
イト相が発生した状態で固定され、通常のオーステナイ
ト相より弾性率が低く、かつ、室温が変化してもその弾
性率はほぼ一定に保たれる。このため、同じ大きさの交
番磁界でも、より大きい振れ角が得られ、安定した共振
周波数でより大きい走査角で走査することができる。
【0016】また、請求項8に記載の光走査装置は、前
記コイルが前記ハウジングに対して着脱可能で、かつ前
記磁石付きミラーの周囲に任意配置されるように構成さ
れている。このような構成にすれば、限られた空間内で
も自由に配置でき、外部に置かれたコイルからの交番磁
界は、前記磁石付きミラー及び前記トーションバネから
なる系に対して、空間の制限を受けずに所望の共振周波
数で共振振動を起こさせ、光を走査することができる。
【0017】さらに、請求項9に記載の光走査装置は、
前記コイルに流す電流波形を矩形波形としている。この
ような駆動波形を用いれば、トーションバネの弾性復元
力が最大になるまで磁石付きミラーにトルクを与えるこ
とができるので、走査幅を最大にすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0019】図1は、本実施形態の光走査装置の構造を
示すものである。トーションバネ5は、図3に示す張力
(矢印aあるいはbで指示)で引っ張られた状態で、固
定治具2によってハウジング1に取り付けられている。
そして、トーションバネ5の中央付近には、磁石付きミ
ラー3が、図示しない接着剤にて固定されている。磁石
付きミラー3は、厚さ0.3mm、縦3mm、横6mm
のNi−Co(ニッケルコバルト)またはSm−Co
(サマリュウムコバルト)からなる。トーションバネ5
は、超弾性合金(例えばNi−Ti合金)からなり、中
央部の線径は約140μm、長さが約10mmである。
そして、そのトーションバネ5がハウジング1に固定さ
れた部分は、無電解メッキ法等により、磁石付きミラー
3が固定された中央部よりも太くなっている。このハウ
ジングとの固定部分が、ハウジング固定部13である。
【0020】一方、コア6には、コイル7が、例えば約
300ターン巻きつけられている。コイル7は、コア6
に設けられたネジ孔8及びハウジング1に設けられた孔
4を通して、図示しないネジによってハウジング1に固
定されている。そして、このコイル7の巻き線の両端に
は、パルス電流発生器9が接続されており、パルス電流
発生器9により、例えば3Vで100mA程度の電流を
コイルに流すと、交番磁界が発生し、磁石付きミラー3
が振動する。光源11より発射されたレーザー光線10
は、磁石付きミラー3によって反射され、磁石付きミラ
ー3が共振することにより被走査面12に走査される。
【0021】トーションバネ5のハウジング固定部13
は、無電解メッキ法で形成するのが最も安価でかつ簡単
である。無電解メッキ皮膜は、トーションバネ5の材質
によって様々に選択可能であるが、Ni−Ti合金の場
合、Niメッキを行うのが望ましい。その方法の一例を
図8及び図9で説明する。
【0022】まず、メッキを行う超弾性合金81の両端
部を、アルカリ脱脂、酸活性化処理等の前処理を施した
後、図8に示すように、超弾性合金81を保持具83に
固定し、メッキ必要部分をメッキ液82に浸漬する。メ
ッキ液は、一般的な無電解Niメッキ液(Ni−P、N
i−B等)でよい。無電解Ni−Pメッキの場合、浴組
成にもよるが、一般に浴温85〜95℃、pH4.5程
度で、15〜20μm/hrのメッキ速度で皮膜形成さ
れる。
【0023】図8では、一端ずつハウジング固定部13
を形成する方法を図示しているが、例えば、超弾性合金
81を中央部から2つ折りにして両端を同時にメッキす
ることも可能である。
【0024】超弾性合金81を所定時間メッキ液中に浸
漬することにより、図9に示すように、所望の線径のハ
ウジング固定部13を有するトーションバネ5を形成さ
せることができる。超弾性合金81の線径や使用条件に
もよるが、約φ50μm〜1mm程度の範囲で、必要と
するハウジング固定部13の線径を選択できる。
【0025】メッキされない超弾性合金81の中央部分
とハウジング固定部13との境界は、通常の方法では段
差が生ずるため、メッキ中に超弾性合金81を連続的に
少しずつ上昇させ、徐々に浴外に出してやることによ
り、中央部分からハウジング固定部13に近づくにつれ
て、しだいに線径を太くすることができ、いわゆるテー
パ状にメッキ皮膜が形成される。そのためには、図8に
おいて、保持具83を連続的に上下に移動可能に構成す
ればよい。このように、テーパ状に形成することによ
り、駆動時の応力集中をさらに緩和することができ、ひ
いてはトーションバネ5の断線防止に有効に作用する。
【0026】なお、ハウジング固定部13の長さは、こ
の方法では精密に所定長さを得ることは難しいため、あ
らかじめ少し長めにメッキ部分を作製しておき、後で所
定の長さに切断する方がよい。
【0027】さらに、無電解Ni−P皮膜は、熱処理に
より硬化する特性を有するため、特にハウジング固定部
13を高硬度に設定したい場合には、メッキ部分を約3
00℃で1時間ほど熱処理すれば、ビッカース硬度90
0〜1000程度の高硬度のハウジング固定部13が得
られる。但し、熱処理により超弾性合金の形状記憶効果
が変化する可能性があるため、できる限り局部加熱によ
る熱処理を実施することが望ましい。
【0028】前記実施形態では、ハウジング固定部13
の形成のために、無電解メッキを用いる方法を記述した
が、この他にも、例えば、セラミックや金属溶射法、樹
脂コーティング法等、様々な方法が考えられる。
【0029】次に、トーションバネ5の材料に採用した
超弾性合金について説明する。ここで採用したNi−T
i合金等の超弾性合金は、いわゆる形状記憶合金の一種
であり、応力及び温度によって様々な状態をとる。請求
項6に記載された光走査装置は、トーションバネ5が図
3における矢印aの張力で固定された場合で、請求項7
に記載された光走査装置は、矢印bの張力で固定された
場合である。いずれの場合も、相変態のメカニズムに関
わっているので、形状記憶合金の相変態を中心に説明す
る。
【0030】形状記憶合金は、図2に示す逆変態開始温
度As点及び逆変態終了温度Af点を境に、形状記憶領
域と超弾性領域に分かれる。逆変態開始温度As以下で
使用する場合は、いわゆる形状記憶効果を示し、逆変態
終了温度Af点以上の温度で使用する場合は、超弾性効
果を示すものである。変態温度とは、合金のオーステナ
イト相(図4(b)の(1)の状態、及び図2のγの状
態)からマルテンサイト相(図4の(b)の(2)、
(3)の状態及び図2のα、βの状態)へ変化する際の
温度のことで、逆変態温度とは逆にマルテンサイト相か
らオーステナイト相へ変化する際の温度である。形状記
憶合金におけるマルテンサイト変態は、図2及び図4に
示すように、温度でも応力でも起こりうるものである。
本実施形態では、特に応力で引き起こされる応力誘起変
態を利用している。
【0031】通常の金属材料と超弾性合金とのせん断応
力負荷時の変形における差異を、図4の模式図に従って
説明する。通常の金属材料では、せん断応力が限界以上
にかかった場合、図4の(a)に示すように、原子が隣
接にすべり、せん断歪みが発生する。この歪みは、外力
を除去しても、エネルギー的に安定なため、もとに戻る
ことはない。つまり、繰り返し応力によって、この歪み
は蓄積され、最後には一般に金属疲労と呼ばれる破壊に
至るのである。一方、超弾性合金の場合は、図4の
(b)に示すように、外力によって相変態がおこり、応
力誘起マルテンサイト相、すなわち超弾性領域へと移行
する。この際、結晶構造は変形するが、通常金属の原子
のように隣接にすべることはない。また、外力が除去さ
れた場合、逆変態温度以上のマルテンサイト相(図2の
β)はエネルギー的に不安定なため、再びオーステナイ
ト相(図2のγ)に戻ろうとする。従って、通常金属が
破壊にいたる程度の繰り返し応力が加わっても、超弾性
合金の場合は、結晶構造が変わる相変化を起こすだけで
破壊に至ることはない。
【0032】本発明は、超弾性合金のこのような性質を
巧みに利用したものである。つまり、請求項6の光走査
装置では、トーションバネ5にほぼオーステナイト相に
とどまる張力を与え、その状態で繰り返しトーションを
与えている。つまり、図4の(b)の(1)、(2)を
繰り返し往復させているのである。
【0033】さらに、請求項7の光走査装置では、トー
ションバネ5に、より大きい引っ張り張力を与え、完全
にマルテンサイト相(超弾性領域)へと応力誘起変態を
起こさせ、その状態で固定し繰り返しトーションを与え
ている。つまり、図4の(b)の(2)、(3)を繰り
返し往復させているのである。この場合、マルテンサイ
ト相での弾性率は、オーステナイト相での弾性率より小
さいため(図6)、磁石付きミラーは同じ交番磁界でも
より大きく振れるのである。
【0034】また、超弾性合金の逆変態温度は、図5に
示すように、例えばNi−Tiの場合、Ni濃度や不純
物の混入で自由に設計できる。例えば、Ni濃度を5
0.6%程度にすると、逆変態温度がほぼ0℃の超弾性
合金ができる。また、不純物としてCoを微少量混入し
ても、逆変態温度がほぼ0℃の超弾性合金ができる。つ
まり、逆変態終了温度Af点を0℃に設定し、室温で所
定の張力を与えれば、比較的簡単に超弾性領域に入り、
図2の両矢印で示すように多少の室温の変化があっても
その領域からはずれることはない。
【0035】さらに、超弾性領域の温度変化における弾
性率の安定性を示すため、図6にこの合金の弾性率と温
度の関係を示す。(a)は無負荷時つまり張力0の時の
弾性率と温度の関係、(b)は所定の張力が負荷された
場合の弾性率と温度の関係である。変態点では、弾性率
は急激に変化するが、マルテンサイト相、及びオーステ
ナイト相の中では、安定したほぼ一定値をとる。つま
り、超弾性領域で繰り返しトーションがかかった場合で
も、その時の弾性率が周囲(主として室温)の温度変化
に対して安定なため、その共振周波数の安定性も保証さ
れるのである。
【0036】次に、上記の構成の光走査装置の動作につ
いて、説明する。
【0037】コイル7に、パルス電流発生器9によりパ
ルス電流を流すと、コイル7の前方及び後方には、図7
の(a)及び(b)に示すように、いわゆる交番磁界が
できる。そして中心がトーションバネ5に固定され、か
つ前記コイル7の前方に設置されている磁石付きミラー
3は、交番磁界によりMHcosθのトルクを受ける
(Mは磁石付きミラー3の磁気モーメント、Hは磁界の
強さ、θはふれ角。)。また、ねじれ角θの場合トーシ
ョンバネ5による復元力kθも同時に受ける。さらに、
磁石付きミラー3が高速に振動する場合、空気との摩擦
抵抗及びトーションバネ内部の摩擦抵抗等によって、d
θ/dtに比例した減衰力も受けることになる。そして
前記トルクが周期的(角振動数ω)に加わると、前記磁
石付きミラー3は、ねじり振動をはじめる。この振動系
を方程式で表すと以下に示す数式1になる。
【0038】
【数1】
【0039】これは、減衰振動系に強制力が加わった場
合の方程式で、その一般解は以下のような数式2で表さ
れる。
【0040】
【数2】
【0041】すなわち、電流の周波数ωと、磁石付きミ
ラー及びトーションバネからなる機械系の固有振動数ω
0とが一致した場合に、いわゆる共振状態となり、最大
のふれ角になる。本実施形態の場合、コイルにかける電
圧が3V、コイル電流が約100mAで、約800Hz
で共振し、そのふれ角は約50度、すなわち走査角約1
00度でレーザー光を走査するのである。
【0042】前記実施形態は、光走査装置を実現した一
例であり、当業者は本発明の趣旨を逸脱しない限り、様
々な変形を行うことができる。
【0043】例えば、前記実施形態では超弾性合金であ
るNi−Ti合金を用いて実現したが、Ag−Cd、A
u−Cd、Cu−Sn、Cu−Al−Ni、Ni−A
l、Fe−Pt等、応力誘起相変態を起こす超弾性合金
ならば、いずれを採用してもよい。
【0044】また、本実施形態では、走査角100度、
走査周波数800Hzを例にとって説明したが、前記合
金からなるトーションバネの線径φや磁石付きミラーの
質量mを変えることによって、さまざまな周波数の光走
査装置をつくることができる。例えば、400Hzの光
走査装置を製作する場合、周波数fは(k/m)1/2
比例し 、バネ定数kはφ4に比例することから、φの2
乗が周波数に比例することになる。φ=140μmで共
振周波数800Hzであったことから、おおよそφ=1
00μmのトーションバネを上と同様な条件で用いれ
ば、およそ400Hzの光走査装置を製作することがで
きる。
【0045】さらに、数式2の係数MH/Iから分かる
ように、いろいろな強さ(M)の磁石付きミラーを用い
ることで、あるいはさまざまな振幅の磁界(H=ni,
n:コイル巻線数、i:電流)すなわち電流iを与える
ことで、対象となる電気製品、電子機器に応じて所望の
走査角を持つ光走査装置もつくることができる。
【0046】また、本実施形態では、便宜上、コイル7
の前にトーションバネ5及び磁石付きミラー3を配置し
たが、コイル7の周辺で、交番磁界が磁石付きミラー3
の磁気モーメントMに略直角方向に発生する箇所ならど
こに配置してもよい。
【0047】さらに、本実施形態では、トーションバネ
5及び磁石付きミラー3が固定されたハウジング1は、
コイル7とネジ止め固定されているが、これを着脱分離
可能に配置してもよい。その結果、例えば図10に示す
ように、コイル7、磁石付きミラー3、光源11、被走
査面12等を配置することも可能である。さらに、コイ
ル7と磁石付きミラー3との距離を可変とすることによ
り、交番磁界の大きさが可変となり、その結果、走査角
も可変とすることができる。
【0048】また、本実施形態では、コイル7に流す電
流波形を矩形波とした。矩形波にすると、トーションバ
ネ5の復元力が最大になるまで磁石付きミラー3にトル
クを与えることができるので、他の電流波形に比べて走
査幅を最大にすることができる。さらに、最も低い電流
値で走査幅を最大にすることができるため、エネルギー
効率が最も良好である。しかしながら、走査幅に余裕が
あれば、SIN波、三角波等の周期波形でも十分走査可
能である。
【0049】また、本実施形態では、コイル7に流す電
流を最小限に止めるため、共振現象を利用して本光走査
装置を構成したが、電力に余裕があるならば共振点をは
ずして光走査装置を駆動しても機能上問題はない。
【0050】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の請求項1に記載の光走査装置によれば、ハウジン
グに張設されたトーションバネの磁石付きミラーを支持
している支持部分に対して、ハウジングに固定した固定
部分の線径を太く設定したので、コイルに流した交番電
流に応じた交番磁界が磁石付きミラーに与えるトルクに
より、トーションバネにねじり応力が発生し、磁石付き
ミラーを周期的な交番電流によって振動させ、大きな走
査角度を得ると共に、駆動時におけるハウジング固定部
への応力集中を極力低く抑えることができ、長期間にわ
たっての光を走査できる。
【0051】また、請求項2に記載の光走査装置によれ
ば、トーションバネの線径を、磁石付ミラーの支持部分
からハウジングへの固定部分に近づくにつれて、しだい
に太くなるようにしたので、駆動時にかかる応力集中が
さらに緩和され、耐久性が向上する。
【0052】さらに、請求項3に記載の光走査装置によ
れば、トーションバネ線径を太くするために、無電解メ
ッキ法を用いたので、きわめて容易にかつ安価に耐久性
に優れた光走査装置を製作できる。
【0053】また、請求項4に記載の光走査装置によれ
ば、トーションバネに疲労限が高い超弾性合金を採用し
たので、さらに耐久性に優れた光走査装置を提供でき
る。
【0054】さらに、請求項5に記載の光走査装置によ
れば、トーションバネに特に疲労限の高いNi−Ti系
あるいはCu−Zn系の超弾性合金を採用し、室温以下
で相変態を起こすように設定したので、比較的小さい張
力でオーステナイト相及びマルテンサイト相を選択で
き、かつ、両相における前記トーションバネの弾性係数
が室温の温度変化に対して、ほとんど影響を受けないた
め、室温の変化に対して安定した共振振動数で光走査す
ることができる。
【0055】また、請求項6に記載の光走査装置によれ
ば、トーションバネを、オーステナイト相を維持し得る
張力でハウジングに固定したので、室温の変化にも大き
く左右されず、安定した周波数で光を走査することがで
きる。
【0056】また、請求項7に記載の光走査装置によれ
ば、前記トーションバネを、応力−歪率曲線の勾配がゼ
ロになる張力、即ち、応力誘起マルテンサイト変態を引
き起こす張力で固定したので、応力誘起マルテンサイト
相が発生した状態で固定され、通常のオーステナイト相
より弾性率が低く、室温が変化してもその弾性率はほぼ
一定に保たれるため、同じ大きさの交番磁界でも、より
大きいふれ角が得られ、安定した共振周波数でより大き
い走査角で走査することができる。
【0057】また、請求項8に記載の光走査装置によれ
ば、前記コイルが前記ハウジングに対して着脱可能で、
かつ、前記磁石付きミラーの周囲に任意配置されるよう
にしたので、限られた空間内でも自由に配置でき、外部
に置かれたコイルからの交番磁界は、前記磁石付きミラ
ー及び前記トーションバネからなる系に対して、空間の
制限を受けずに所望の共振周波数で共振振動を起こさ
せ、光を走査することができる。
【0058】さらに、請求項9に記載の光走査装置によ
れば、コイルに流す電流波形を矩形波形としたので、ト
ーションバネの弾性復元力が最大になるまで磁石付きミ
ラーにトルクを与えることができ、走査幅を最大にする
ことができる。さらに、低電流で走査幅を最大にできる
ため、エネルギー効率が最もよい光走査装置が提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の光走査装置の構成を示す斜視図で
ある。
【図2】本実施形態に用いた超弾性合金の温度及び応力
に対する相変態を表す図である。
【図3】本実施形態に用いた超弾性合金の応力−歪み特
性を表す図である。
【図4】本実施形態に用いた超弾性合金の相変態による
せん断歪みと、一般金属のせん断歪みを表す模式図であ
る。
【図5】本実施形態に用いた超弾性合金の変態点とNi
濃度との関係を表す図である。
【図6】本実施形態に用いた超弾性合金の弾性係数の温
度特性を表す図である。
【図7】本実施形態に用いた磁石付きミラーが交番磁界
からトルクを受ける模式図である。
【図8】ハウジング固定部を無電解メッキ法で形成する
方法を示す図である。
【図9】ハウジング固定部が形成されたトーションバネ
を示す図である。
【図10】本発明の光走査装置の他の実施形態を示す斜
視図である。
【図11】超弾性合金からなるトーションバネと磁石付
きミラーを使用した従来の光走査装置の例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ハウジング 3 磁石付きミラー 5 トーションバネ 7 コイル 10 レーザー光線 13 ハウジング固定部 81 超弾性合金

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光線を出射する光源と、ハウジ
    ングに張設されたトーションバネと、そのトーションバ
    ネを軸線としてそのトーションバネに揺動可能に支持さ
    れ前記レーザー光線を反射させる磁石付きミラーと、前
    記磁石付きミラーを振動させるために交番磁界を発生す
    るコイルとからなる光走査装置において、 前記トーションバネは、前記磁石付きミラーを支持して
    いる支持部分に対して、前記ハウジングに固定した固定
    部分の線径を太く設定したことを特徴とする光走査装
    置。
  2. 【請求項2】 前記トーションバネは、前記支持部分か
    ら前記固定部分に近づくにつれて、線径がしだいに太く
    なるように構成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の光走査装置。
  3. 【請求項3】 前記トーションバネの線径を太くするた
    めに、無電解メッキ法を用いたことを特徴とする請求項
    1または2に記載の光走査装置。
  4. 【請求項4】 前記トーションバネは、超弾性合金から
    なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
    の光走査装置。
  5. 【請求項5】 前記トーションバネは、室温以下で相変
    態を生じるNi−Ti系又はCu−Zn系の超弾性合金
    からなることを特徴とする請求項4に記載の光走査装
    置。
  6. 【請求項6】 前記トーションバネは、オーステナイト
    相を維持しうる張力が与えられて前記ハウジングに張設
    されていることを特徴とする請求項4に記載の光走査装
    置。
  7. 【請求項7】 前記トーションバネは、その応力−歪率
    曲線の勾配がゼロになる張力、即ち、応力誘起マルテン
    サイト変態を引き起こす張力が与えられて前記ハウジン
    グに張設されていることを特徴とする請求項4に記載の
    光走査装置。
  8. 【請求項8】 前記コイルは、前記ハウジングに対して
    着脱可能であり、かつ前記磁石付きミラーの周囲に任意
    配置されることを特徴とする請求項1に記載の光走査装
    置。
  9. 【請求項9】 前記コイルには、交番磁界を発生するた
    めの矩形波電流が供給されることを特徴とする請求項1
    または8に記載の光走査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7061063B2 (en) 2002-07-05 2006-06-13 Canon Kabushiki Kaisha Microstructure and its fabrication method
JP2020515916A (ja) * 2017-03-24 2020-05-28 ブリックフェルト ゲーエムベーハー 2つの連続したスキャン部を備えたスキャナ
JP2021135287A (ja) * 2020-02-21 2021-09-13 モントレー ブレゲ・エス アー 計時器用の垂直クラッチデバイス

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