JPH09229198A - 金属製ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属製ガスケットにおいて、一対のビード基
板にストッパビードを形成し、シールラインを多重にし
てシール機能を向上させ、ビードへの燃焼ガスの侵入を
防止すると共に、ビードに対するストッパ機能を発揮
し、ストッパビードの剛性をアップする。 【解決手段】 この金属製ガスケットは、ビード基板
１，２に孔７に沿ってビード３，４とストッパビード
５，６を形成する。ストッパビード５，６は、使用時の
押圧状態で互いに重なり合う状態に形成し、ビード基板
１，２が薄い弾性金属板で作製されたとしても、ストッ
パビード５，６の剛性を確保し、ビード３，４の全圧縮
を防止するストッパ機能と、ビード３，４への燃焼ガス
の侵入を防止するシール機能とを発揮させ、耐久性を向
上させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、多気筒エンジンにお
ける部品の対向面間に介在され、部品間をシールする金
属製ガスケットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、アルミニウム合金製のシリンダヘ
ッドとシリンダブロックとのようなエンジンの構造部材
は、軽量である反面、剛性が低いためにエンジン運転時
に両者の間に相対変位が大きくなる傾向にあるので、両
構造部材の対向取付面間をシールする金属製ガスケット
は、シリンダボア即ち燃焼室、水、油等の通路に対応す
る貫通孔の周囲近傍にビードを形成した弾性金属板で製
作されている。

【０００３】従来、エンジンにおけるシリンダヘッドと
シリンダブロックとの間の対向面間をシールするために
金属材料から製作した金属製ガスケットが使用されてい
る。金属製ガスケットは、シリンダボア、水、油の通路
に対応する貫通孔の周囲近傍にビードを有し、ボルト等
によりシリンダヘッドとシリンダブロックとを締め付け
て固定するときに、対向面に対してビードが弾性的な環
状接触部を形成して対向面間をシールするものである。

【０００４】しかしながら、最近のエンジンは、高出力
化と共に軽量化が求められ、その一環として、シリンダ
ヘッドやシリンダブロックを従来の比重の大きい鋼、鋳
物に代えて比重の小さいアルミニウム合金で製作する傾
向にある。アルミニウム合金は軽量である反面、剛性が
低いので、エンジンの運転時にシリンダブロックに対す
るシリンダヘッドの相対変位が大きくなる傾向にある。
シリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面を単板の
金属製ガスケットを介して締付け用ボルトによって締め
付ける時には、締付けボルト位置が金属製ガスケットの
外周部又は比較的に外周部に分散しているために、燃焼
室孔に対してはその周囲に必ずしも均等に分布していな
いので、対向面が不整となり易い。その結果、燃焼室孔
間の部分のような歪みの大きい箇所の対向面に高温高圧
の燃焼ガスが侵入して、対向面間に介装されている金属
製ガスケットのビードを腐食や汚損してシール効果を低
下させる。

【０００５】更に、シリンダヘッドガスケットの場合に
は、エンジンの燃焼サイクルの間にシリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間隔が増減を繰り返し、金属製ガス
ケットにも繰り返し応力即ちメカニカルストレスやサー
マルストレスが作用する。エンジンの負荷変動応力は、
シリンダブロックやシリンダヘッドの剛性の最も低い部
位に大きな値として発生し、その結果、ビードにへたり
が生じたり、亀裂が発生してシール性能を劣化させると
いう不具合が生じる。

【０００６】また、特開平５−３９８６８号公報に開示
された金属製ガスケットは、ビードと折返し部を有する
第１弾性金属板とビードを有する第２弾性金属板とを積
層して構成され、前記ビードが互いに対向して当接され
ている。該金属製ガスケットは、二枚の弾性金属板のビ
ードが直列配置されることにより、締め付け時に２つの
対向面に不整が生じてもビードや折返し部が歪みに対応
して変形し、不整を吸収し、締め付け後の使用時におい
て、内燃機関の燃焼サイクルの繰り返しによる変動負荷
を分担し、シリンダヘッドの歪み量を抑制すると共に、
シリンダヘッドの動きに対して追従性を良くし、ビード
に対して全圧縮を防止してシール効果を高く維持する。
弾性金属板の折返し部は、高温高圧の燃焼ガスの侵入に
よるビードの腐食や汚損を防止し、シリンダヘッドの剛
性の最も低い部位に発生する大きな変動負荷応力によっ
てもビードのへたりや亀裂が発生せずに、二枚の弾性金
属板の板厚の組み合わせと折返し部の形成によって、ス
トッパ機能を発揮でき、ビード位置での負荷応力を小さ
くし、耐久性を向上させている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、折返し
部を備えた弾性金属板から成る金属製ガスケットは、弾
性金属板に折返し部を形成するため、弾性金属板への折
返し部の形成に非常に高い加工精度が要求され、しか
も、折返し部の加工性の良好な材料、例えば、伸び率が
高く、硬度が低く、引張強さの低い材料を使用しなけれ
ばならない。或いは、弾性金属板に折返し部を形成する
ため、弾性金属板への折返し部の形成後に、弾性金属板
を熱処理し、材料強度を高める必要があり、高価な材料
の使用が必要であり、加工が複雑になり、コストアップ
になる。しかも、弾性金属板への折返し部の加工度が高
いので、折返し部に亀裂が発生し易いという問題があ
る。

【０００８】また、金属製ガスケットでは、折返し部を
備えた弾性金属板の板厚がそのまま折返し部の板厚に付
加されるため、燃焼室回りの領域とその他の領域とで、
板厚差が大きくなり、面圧のバランスの点から弾性金属
板の板厚の選定が制限され、設計の自由度が低下し、例
えば、弾性金属板の板厚が０．１０〜０．１５ｍｍが限
度である。従って、金属製ガスケットでは、折返し部を
形成すると燃焼室孔回りの面圧が集中し易い構造にな
り、折返し部が２枚構成であっても１．５枚構成に圧縮
されることになる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明の目的は、孔に
沿ってビードを備えた弾性金属板から成る一対のビード
基板から構成され、各ビード基板に互いに対向するビー
ドと自由状態で非当接状態又は当接状態のストッパビー
ドを形成し、燃焼室孔に沿ってビードのシールライン及
びストッパビードのシールラインから成る多重シールラ
インを形成してシール機能を向上させ、更に前記ビード
基板を比較的に薄い板、例えば、０．２〜０．３ｍｍ程
度の弾性金属板で構成した場合に、ビード基板に形成し
たストッパビードの剛性の不足を補うため、両者のスト
ッパビードを重ね合わせ、それによってストッパビード
によるストッパ機能によってビードの全圧縮を防止し、
ストッパビードのシール機能によってビードへの燃焼ガ
スの侵入を防止してビードの耐久性を向上させた金属製
ガスケットを提供することである。

【００１０】この発明は、並列する孔に沿って第１ビー
ドをそれぞれ形成した弾性金属板から成る第１ビード基
板、及び並列する孔に沿って第２ビードをそれぞれ形成
した弾性金属板から成る第２ビード基板を具備し、前記
第１ビードと前記第２ビードが互いに対向して配置さ
れ、前記第１ビード基板には前記第１ビードと同一方向
に突出した前記第１ビードより前記孔側の前記孔に沿っ
て第１ストッパビードが形成され、前記第２ビード基板
には前記第１ストッパビードと同一方向で且つ前記第２
ビードと逆方向に突出した前記第２ビードより前記孔側
の前記孔に沿って第２ストッパビードが形成され、前記
第１と第２ストッパビードの高さは前記第１と第２ビー
ドの高さよりも低く形成されている金属製ガスケットに
関する。

【００１１】また、前記第１ストッパビードと前記第２
ストッパビードとは、非押圧の自由状態で互いに隔置し
ている。或いは、前記第１ストッパビードと前記第２ス
トッパビードとは、非押圧の自由状態で互いに重なって
いる。

【００１２】また、前記第２ビード基板の前記第２ビー
ドと前記第２ストッパビードとの間には前記第１ビード
基板へ向かって延びるハーフビードが形成されている。
従って、前記ハーフビードの高さ分だけ前記第１と第２
ストッパビードが非押圧の自由状態で互いに近接するこ
とができる。

【００１３】或いは、前記第１ビード基板の前記第１ビ
ードと前記第１ストッパビードとの間には第１ハーフビ
ードが形成され、且つ前記第２ビード基板の前記第２ビ
ードと前記第２ストッパビードとの間には第２ハーフビ
ードが形成されている。従って、前記第１と第２ハーフ
ビードの高さ分だけ前記第１と第２ストッパビードが非
押圧の自由状態で互いに近接し、非押圧の自由状態で前
記第１と第２ストッパビードとを互いに重なり合う状態
に構成することができる。

【００１４】また、前記第１ビード基板に形成された前
記第１ビードと前記第２ビード基板に形成された前記第
２ビードとは、互いに対向する方向に突出して当接して
いる。或いは、前記第１ビード基板に形成された前記第
１ビードと前記第２ビード基板に形成された前記第２ビ
ードとは、互いに同一方向に向かって延びて重なり合っ
ている。

【００１５】この金属製ガスケットは、上記のように、
前記ビード基板に形成したストッパビードを使用時の押
圧状態で互いに重なり合うように形成したので、前記ビ
ード基板を薄い弾性金属板で作製したとしても、前記ス
トッパビードの剛性が不足することがなく、前記ストッ
パビードは前記ビードへのストッパ機能とシール機能を
果たすことができる。

【００１６】この金属製ガスケットは、前記ビード基板
に対向する前記ビード基板に向かって前記ビードの高さ
未満の高さに突出したストッパビードを形成すると、前
記ストッパビードが前記ビード基板間に形成されるデッ
ドスペースを更に小さくすることができると共に、前記
ストッパビードは前記ビードへのガスの侵入を防止し、
シール性能を向上させ、前記ビードのヘタリや亀裂の発
生を防止することができる。また、この金属製ガスケッ
トは、前記ビード基板に前記ストッパビードを設けるこ
とで、２枚の前記ビード基板で構成でき、層間数を低減
でき、部品点数を削減できる。

【００１７】従って、この金属製ガスケットは、二枚の
弾性金属板から成るビードを備えたビード基板にストッ
パビードを形成するだけで、前記ビードの全圧縮を防止
して保護すると共に、前記ビードに対するシール性を確
保でき、前記ビードの機能を常に適正に発揮させ、前記
ストッパビードが前記ビードに対するシール機能を果た
し、前記ビードの耐久性を向上させ、従来のようなスペ
ース部材や中間板を必要とせず、部品点数を低減でき、
安価でしかも信頼性を高めることができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、この発明による金属製ガス
ケットの実施例について説明する。この金属製ガスケッ
トは、図示していないが、シリンダヘッドとシリンダブ
ロックとの間に挟持されて対向面間をシールするヘッド
ガスケットに適用して好ましいものである。この金属製
ガスケットは、シリンダブロックに形成されたシリンダ
ボアに対応して並列に燃焼室孔即ち孔が形成されてい
る。この金属製ガスケットは、４気筒や６気筒のような
多気筒エンジンに適用できるように、孔が複数個を並列
して形成されている。以下、説明する各実施例を示す図
面において、部品及び部分を示す符号は、同一の構成及
び同一の機能を有する部品及び部分に対しては同一の符
号を付し、重複する説明を省略する。

【００１９】まず、図１〜図４を参照して、この発明に
よる金属製ガスケットについて説明する。図１はこの発
明による金属製ガスケットの第１実施例を示す部分平面
図、図２は図１の金属製ガスケットの一方のビード基板
の符号Ｃにおける拡大平面図、図３は図１の金属製ガス
ケットの他方のビード基板の符号Ｃにおける拡大平面
図、及び図４は図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａにお
ける一実施例を示す断面図である。

【００２０】この金属製ガスケットは、多気筒エンジン
の並列して形成された燃焼室に対応した燃焼室孔即ち孔
７が形成されている弾性金属板から成るビード基板１，
２から構成されている。ビード基板１，２には、孔７の
周囲にボルト孔１２、水孔１３、ブローバイ孔１４、ノ
ック孔、オイル孔１６がそれぞれ複数形成されている。
ビード基板１，２には、ビード基板１，２に形成された
孔７に沿って孔７と略同心に且つ環状に取り巻く断面凸
形のビード３，４が形成されている。ビード基板１，２
は、ビード３，４が互いに対向して積層状態に配置され
ている。ビード３，４は、その頂面に凸面１７が形成さ
れ、凸面１７が互いに対向して当接状態に配置されてい
る。

【００２１】この金属製ガスケットにおいて、ビード基
板１，２には、特に、ビード３，４より孔７側で孔７に
沿ってビード３，４の突出方向と同一方向にビード３，
４の高さ未満の高さに突出したストッパビード５，６が
形成されている。更に、ストッパビード５，６は、使用
時の押圧状態で互いに重なり合う状態に対向してそれぞ
れ形成されている。ストッパビード５，６は、互いにボ
ア即ち孔７からの距離が同一位置に位置整合した領域に
孔７に沿って延びている。また、ビード基板２のビード
４とストッパビード６との間には、ビード基板１へ向か
って延びるハーフビード２３が形成されている。ビード
基板１，２に形成されたビード３，４は、孔７間の領域
で隣接するビード３，４が互いに会合して一条の会合ビ
ード２０を形成されている。また、ビード基板１，２に
形成されたストッパビード５，６は、孔７間の領域で隣
接するストッパビード５，６が互いに会合することなく
独立して形成されている。更に、この金属製ガスケット
は、非使用時（自由状態）の非押圧状態ではビード基板
１，２に形成したストッパビード５，６は隔置した状態
であり、また、使用時の押圧状態ではビード基板１，２
に形成したストッパビード５，６は互いに重なり合った
状態になる。

【００２２】この金属製ガスケットは、上記の構成によ
って、ビード３，４、ストッパビード５及びストッパビ
ード６の二箇所で二重のシールラインが構成され、極め
て強力なシール構造が構成される。また、ビード基板
１，２に形成されたストッパビード５，６は、ビード
３，４よりも高さが低く且つビード幅が小さく形成さ
れ、剛性がビード３，４より高くなり、ビード３，４よ
りも変形し難くなるので、ビード３，４に対する全圧縮
を防止するストッパ機能を果たすことになる。更に、こ
の金属製ガスケットは、ビード基板１，２が薄い弾性金
属板、例えば、０．２〜０．３ｍｍ程度の弾性金属板で
構成したとしても、使用時の押圧状態ではストッパビー
ド５，６が重なり合うので、ストッパビード５，６の剛
性が不足することなく、シリンダヘッドとシリンダブロ
ックとの間で締め付けた時に、当接面間でシール機能と
ストッパ機能を果たすことができる。

【００２３】また、この金属製ガスケットでは、ビード
基板１，２の板厚は、例えば、０．２〜０．３ｍｍの範
囲内で互いに同一厚さに形成することができるが、場合
によっては、シリンダブロック側とシリンダヘッド側の
位置関係を考慮してビード基板１，２の板厚を互いに変
えることもできる。更に、ビード基板１，２に形成した
ストッパビード５，６の高さは、ストッパビード５，６
で発生する面圧調整のために互いに適正に変えることも
できる。ビード基板１，２の板厚の変更、及びストッパ
ビード５，６の高さの変更によって、組合せや設計の自
由度が高くなる。更に、ビード基板１，２に形成するビ
ード３，４の高さをボア間即ち孔７間の領域で高く、そ
の他の領域で低く形成することもできる。この金属製ガ
スケットは、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間
で締め付けた時に、シリンダヘッドの剛性に適合するよ
うに、ビード３，４及びストッパビード５，６で発生す
る面圧を高さや板厚を変更することによって適正な面圧
にコントロールすることができる。

【００２４】また、この金属製ガスケットでは、例え
ば、ビード基板１，２はＳＵＳ３０１で作製されてい
る。図９に示すように、ビード基板１，２を形成する弾
性金属板の表面に耐熱性及び耐油性の非金属層を、例え
ば、１０〜５０μｍ程度の厚さにコーティングし、シリ
ンダヘッド及びシリンダブロックに対して金属対金属の
接触状態を回避し、金属製ガスケットとしての耐腐食
性、耐久性及び強度を確保したものである。例えば、ビ
ード基板１の両面とビード基板２の下面に対して耐熱性
及び耐油性を有するフッ素ゴム１０をコーティングし、
更にフッ素ゴム１０上にアクリルシリコーン系樹脂１１
をコーティングしたものである。ビード基板１，２の表
面にコーティングした非金属層は、ビード基板１，２の
機械加工時に凹凸が存在していても、該凹凸をカバーし
て充分なシール機能を果たすことができる。

【００２５】次に、図５を参照して、この発明による金
属製ガスケットの第２実施例を説明する。第２実施例
は、一方のビード基板２に形成されたハーフビード２４
は、非使用時（自由状態）の非押圧状態で、ビード基板
１，２に形成したストッパビード５，６が互いに重なり
合う状態になるまで延びた高さを有している。第２実施
例では、第１実施例と同様に、ビード３，４、ストッパ
ビード５及びストッパビード６の二箇所で二重のシール
ラインが構成され、極めて強力なシール機能とストッパ
機能を果たすことができる。

【００２６】次に、図６を参照して、この発明による金
属製ガスケットの第３実施例を説明する。第３実施例
は、ビード基板１のビード３とストッパビード５との間
にはビード基板２へ向かって延びるハーフビード２５が
形成され、且つビード基板２のビード４とストッパビー
ド６との間にはビード基板１へ向かって延びるハーフビ
ード２６が形成されている。第３実施例におけるビード
基板１，２に形成したハーフビード２５，２６は、第２
実施例におけるビード基板２に形成したハーフビード２
４と比較して、ハーフビード２５，２６の高さはハーフ
ビード２４の高さより低く構成することができる。従っ
て、第３実施例は、第２実施例と比較してビード基板
１，２間の押圧状態での両者間のずれを小さく構成でき
る。

【００２７】次に、図７を参照して、この発明による金
属製ガスケットの第４実施例を説明する。第４実施例
は、ビード基板１，２には、ビード３，４とストッパビ
ード５，６が形成され、ハーフビードが形成されておら
ず、非使用時（自由状態）の非押圧状態で、ビード基板
１，２に形成したストッパビード５，６が互いに隔置し
た状態に形成されている。ビード基板１，２に形成され
たストッパビード５，６は、使用時には互いに重なり合
う状態の二重になり、ストッパビード５，６自体は互い
に補強し合って機能を十分に果たすことができる。ま
た、第４実施例では、第１実施例と同様に、ビード３，
８、ストッパビード５及びストッパビード６の二箇所で
二重のシールラインが構成され、極めて強力なシール機
能とストッパ機能を果たすことができる。

【００２８】次に、図８を参照して、この発明による金
属製ガスケットの第５実施例を説明する。第５実施例
は、ビード基板１，２が互いに同形に形成され、両者の
ビード基板１，２におけるビード３，４及びストッパビ
ード５，６が互いに重なり合っているものである。即
ち、ビード基板１に形成されたビード３と、ビード基板
２に形成されたビード４とは、互いに同一方向に向かっ
て延びており、互いに重なり合っているものである。

【００２９】

【発明の効果】この発明による金属製ガスケットは、上
記のように、ビード基板にビードとストッパビードを形
成したので、前記ストッパビードは使用時には二重にな
ってストッパビード自体の剛性の不足を補うことがで
き、また、前記ストッパビードが前記ビード基板間に形
成される孔の近傍におけるデッドスペースを小さく構成
することができ、多重シールラインを形成することによ
ってシール性を向上させ、ビードへのガス侵入を防止
し、ガスによる腐食等でビードにへたりや亀裂が発生す
るのを防止できる。また、前記ストッパビードは、スト
ッパ機能を果たして前記ビードへの圧縮に対する全圧縮
を防止し、前記ビードのへたりの発生を防止することが
できる。この金属製ガスケットは、前記ストッパビード
を設けることによって、従来の折返し部を形成したもの
と同等のシール機能や面圧調整機能を果たすことがで
き、しかも折返し部に比較して材料の制約がなく、製造
コストを低減し、耐久性を大幅に向上させることができ
る。この金属製ガスケットは、特に、前記両ビード基板
に形成した前記両ストッパビードは使用時の押圧状態で
は互いに重なり合うので、前記ビード基板を薄い弾性金
属板で作製しても前記ストッパビードの剛性を十分に確
保できる。

【００３０】即ち、両ビード基板に形成したストッパビ
ードは、ビードの完全圧縮を防止すると共に、シリンダ
ヘッドとシリンダブロックとの対向面の不整を吸収する
機能と前記ビードの保護のためのシール機能を有する補
償部が形成され、前記ビードの過圧縮防止による前記ビ
ードのへたり、亀裂の発生するのを防止でき、前記スト
ッパビードによって前記ビード側への燃焼ガスの流入を
遮断して高温ガスによる腐食等から前記ビードを保護
し、前記ビードの機能の低下を防止する。

【００３１】この金属製ガスケットは、補償部を形成す
るのにスペーサのような別部材を用いておらず、別部材
を製作する必要もなく、一対の前記ビード基板のみで構
成でき、部品点数を減らすことができ、加工工程を低減
し、簡単な加工形状であるので、製造コストを大幅に低
減できるのみならず、部品の加工精度をアップでき、累
積誤差を低減でき、前記ストッパビードの高さのコント
ロールが容易になり、層間数の低減によってシール性能
をアップさせ、信頼性に富んだ製品を提供することがで
きる。また、前記ストッパビードが補償部を形成するの
で、折返し部を形成することなく、前記ビード基板の孔
側端縁にも折返し部を設ける構成でないので、折返し部
を形成するという製造上の工程を必要とせず、折返し部
に亀裂が発生するという対策を講じる必要がなく、製造
コストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による金属製ガスケットの第１実施例
を示す部分平面図である。

【図２】図１の金属製ガスケットの一方のビード基板の
符号Ｃにおける拡大平面図である。

【図３】図１の金属製ガスケットの他方のビード基板の
符号Ｃにおける拡大平面図である。

【図４】図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａにおける一
実施例を示す断面図である。

【図５】この発明による金属製ガスケットの第２実施例
を示し、図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａに対応する
部分を示す断面図である。

【図６】この発明による金属製ガスケットの第３実施例
を示し、図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａに対応する
部分を示す断面図である。

【図７】この発明による金属製ガスケットの第４実施例
を示し、図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａに対応する
部分を示す断面図である。

【図８】この発明による金属製ガスケットの第５実施例
を示し、図１の金属製ガスケットの線Ａ−Ａに対応する
部分を示す断面図である。

【図９】図１の金属製ガスケットの一対のビード基板の
断面構造を示す一部断面図である。

【符号の説明】

１，２ ビード基板 ３，４ ビード ５，６ ストッパビード ７ 孔 １７ 凸面 ２３，２４，２５，２６ ハーフビード

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列する孔に沿って第１ビードをそれぞ
   れ形成した弾性金属板から成る第１ビード基板、及び並
   列する孔に沿って第２ビードをそれぞれ形成した弾性金
   属板から成る第２ビード基板を具備し、前記第１ビード
   と前記第２ビードが互いに対向して配置され、前記第１
   ビード基板には前記第１ビードと同一方向に突出した前
   記第１ビードより前記孔側の前記孔に沿って第１ストッ
   パビードが形成され、前記第２ビード基板には前記第１
   ストッパビードと同一方向で且つ前記第２ビードと逆方
   向に突出した前記第２ビードより前記孔側の前記孔に沿
   って第２ストッパビードが形成され、前記第１と第２ス
   トッパビードの高さは前記第１と第２ビードの高さより
   も低く形成されている金属製ガスケット。
2. 【請求項２】 前記第１ストッパビードと前記第２スト
   ッパビードとは、非押圧の自由状態で互いに隔置してい
   る請求項１に記載の金属製ガスケット。
3. 【請求項３】 前記第１ストッパビードと前記第２スト
   ッパビードとは、非押圧の自由状態で互いに重なってい
   る請求項１に記載の金属製ガスケット。
4. 【請求項４】 前記第２ビード基板の前記第２ビードと
   前記第２ストッパビードとの間には前記第１ビード基板
   へ向かって延びるハーフビードが形成されている請求項
   １に記載の金属製ガスケット。
5. 【請求項５】 前記第１ビード基板の前記第１ビードと
   前記第１ストッパビードとの間には前記第２ビード基板
   へ向かって延びる第１ハーフビードが形成され、且つ前
   記第２ビード基板の前記第２ビードと前記第２ストッパ
   ビードとの間には前記第１ビード基板へ向かって延びる
   第２ハーフビードが形成されている請求項１に記載の金
   属製ガスケット。
6. 【請求項６】 前記第１ビード基板に形成された前記第
   １ビードと前記第２ビード基板に形成された前記第２ビ
   ードとは、互いに対向する方向に突出して当接している
   請求項１に記載の金属製ガスケット。
7. 【請求項７】 前記第１ビード基板に形成された前記第
   １ビードと前記第２ビード基板に形成された前記第２ビ
   ードとは、互いに同一方向に向かって延びて重なり合っ
   ている請求項１に記載の金属製ガスケット。