JPH09220713A - インサートブッシュの結合構造並びにこれに用いるインサートブッシュ及びインサートブッシュ固定具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型枠内側面の所望位置にインサートブッシュ
を簡単に密着固定でき、脱型時の型枠の取り外しを簡単
に行える様にする。 【解決手段】 型枠内側面の所定位置に略半球形状の基
体外周に１リード分のねじ山部を設けたインサートブッ
シュ装着部６を突設し、これより軟質材料からなるイン
サートブッシュの開口部内周に、インサートブッシュ装
着部６に合致する受口部を設け、インサートブッシュ装
着部６にインサートブッシュを螺着する。 【効果】 ねじ山部が１リード分のため、インサートブ
ッシュを一回転させることで簡単強固に型枠内側面に密
着固定でき、又脱型時において型枠を外す動作のみで、
インサートブッシュ装着部６を型枠ごとインサートブッ
シュより強制的に離脱できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はＵ字溝等のコンクリ
ート製品内に埋設されるインサートブッシュをコンクリ
ート製品の型枠内側面に固定するインサートブッシュの
結合構造並びにこれに用いるインサートブッシュ及びイ
ンサートブッシュ固定具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、Ｕ字溝等のコンクリート製品に
は、吊下げ用のワイヤーロープを掛止する吊下げ金具を
挿着支持するために、該吊下げ金具の固定位置に略円筒
形のインサートブッシュをその開口部がコンクリート製
品の側壁面に露出する様に予め埋設しており、コンクリ
ート製品の運搬、現場での敷設時にはインサートブッシ
ュの開口部より挿着した吊下げ金具にワイヤーロープを
掛止してクレーン車等によりコンクリート製品を吊下げ
移動して作業を行っていた。

【０００３】そして、コンクリート製品内へのインサー
トブッシュの埋設にあたっては、コンクリート製品の製
造時に、型枠に設けた透孔にボルトを型枠外面側より貫
通すると共に、ボルトにインサートブッシュを螺合して
型枠内側面に密着固定し、その後型枠内にコンクリート
を打設し、コンクリートの養生固化後、ボルトをインサ
ートブッシュより螺退して型枠を取り外すことにより、
コンクリート製品の側壁面に開口部端面を露出する様に
インサートブッシュを埋設していた。

【０００４】しかしながら、上記の方法ではボルトでイ
ンサートブッシュを型枠に固定しているため、その締結
作業が面倒であると共に、型枠内側面にインサートブッ
シュの開口部端面が密着していないと、インサートブッ
シュ内部にコンクリートが流入する欠点を有し、又脱型
時にはボルトをインサートブッシュより螺退させた後、
型枠を外していたため、その作業が甚だ面倒であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は型枠内側面の
所望位置にインサートブッシュを簡単に密着固定でき、
脱型時の型枠の取り外しを簡単に行える様にしたインサ
ートブッシュの結合構造並びにこれに用いるインサート
ブッシュ及びインサートブッシュ固定具に関するもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術に
基づく、インサートブッシュの型枠への固定及び脱型の
作業性の課題に鑑み、型枠内側面の所定位置に略半球形
状の基体外周に１リード分のねじ山部を設けたインサー
トブッシュ装着部を突設し、該インサートブッシュ装着
部より軟質材料からなるインサートブッシュの開口部内
周に、前記インサートブッシュ装着部に合致する受口部
を設け、前記インサートブッシュ装着部に対しインサー
トブッシュを一回転することにより、インサートブッシ
ュを型枠内側面に簡単にして強固に密着固定でき、又脱
型時における型枠を外す動作のみで、型枠を外す力によ
り、インサートブッシュ装着部を型枠ごとインサートブ
ッシュより強制的に離脱させられる様にして、上記欠点
を解決せんとしたものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明すると、１はＵ字溝等のコンクリート製品
Ｗの外側に対応する型枠であり、該型枠１はコンクリー
ト製品Ｗの内側に対応する略凹状の型枠1aに対し開閉自
在に設けてなり、該型枠１の所定位置に所定径の透孔２
を設けている。

【０００８】尚、型枠１は上記構成の様に型枠1aに対し
開閉自在に設けたものに限定されることなく、コンクリ
ート製品Ｗ内のインサートブッシュ３の埋設位置に対応
する部位に透孔２を設けたものであれば良い。

【０００９】４は金属製等のインサートブッシュ３より
硬質材料からなるインサートブッシュ固定具であり、該
インサートブッシュ固定具４は前記透孔２より大径に形
成した略半球形状の基体外周に、略１リード分のねじ山
部５を形成したインサートブッシュ装着部６を設けると
共に、該インサートブッシュ装着部６の底面部７の中心
に、透孔２を挿通可能な径を有する螺子棒８を突設し、
該螺子棒８を型枠１の内側面Ｉの透孔２より挿通して螺
子棒８に２個のナット９、9aを螺合して、型枠１の内側
面Ｉにインサートブッシュ装着部６を突出する様に成し
ている。

【００１０】又、インサートブッシュ固定具４の中心軸
線上には、空気孔10を貫通形成している。

【００１１】又、インサートブッシュ固定具４は丸頭ボ
ルトの頭部に１リード分のねじ山部５を螺刻すると共
に、その中心軸線上に空気孔10を貫通形成したものであ
っても良い。

【００１２】ねじ山部５を１リード分、即ちインサート
ブッシュ装着部６を一回転したときのねじ山部５上の１
点が軸方向に移動した距離としたのは、１回転でインサ
ートブッシュ３をインサートブッシュ装着部６に螺着で
き、しかもねじ山部５のねじ山条数を略１山分とするこ
とで、脱型時の型枠１の開放側への回動操作により、コ
ンクリート製品Ｗ内に埋設されたインサートブッシュ３
よりインサートブッシュ装着部６の引き抜きを可能とす
るためである。

【００１３】又、ねじ山部５の山頂は上記の引き抜き動
作をスムーズに行える様に、平坦に形成して、受口部18
に形成した雌ねじに引っ掛かりを少なくしている。

【００１４】尚、本実施例において、型枠１へのインサ
ートブッシュ固定具４の着脱手段は２個のナット９、9a
を用いた２重ナットによるものを示したが、かかる方式
に限定されることなく、止めナット9aの代わりに蝶ナッ
トで対応したり、又単に１個のナットや蝶ナットで締め
付けたり、又螺子棒８とナット９の夫々に連通する貫通
孔を設け、該貫通孔に割りピンを挿入しても良い。

【００１５】インサートブッシュ３は合成樹脂製からな
り、略円筒状の胴部11の一端に開口部12を設けると共
に、他端を閉塞して閉塞端部13となしている。

【００１６】14は前記閉塞端部13の外周方向へ拡径状に
突出形成したフランジであり、該フランジ14の周縁部に
は円環状のリム15を開口部12側へ突出する様に一体的に
形成している。

【００１７】16は胴部11外周において、所定間隔置きに
して且つ軸線方向に複数突出形成したリブであり、該リ
ブ16は閉塞端部13へ至るに従い徐々に高く傾斜した略三
角板状に形成しており、リブ16の最高部位16a とリム15
間には間隙17を設けている。

【００１８】又、インサートブッシュ３の内方におい
て、開口部12内周にはインサートブッシュ装着部６に合
致した受口部18を形成し、該受口部18に連続してこれよ
り小径に形成した吊下げ金具螺着用の雌ねじ部19を閉塞
端部13に至るまで刻設している。

【００１９】尚、上記において、雌ねじ部19を受口部18
に連続して設けたものを示したが、図５に示す様に受口
部18より若干の間隔を設けて雌ねじ部19を設けても良
い。

【００２０】又、インサートブッシュ３は上記の構成の
ものに限定されず、要するにインサートブッシュ３の胴
部11外周にフランジ、抜止め突起、抜止め突条等の抜止
め手段を設けたものであれば良い。

【００２１】そして、型枠１の内側面Ｉに突出したイン
サートブッシュ固定具４のインサートブッシュ装着部６
にインサートブッシュ３の受口部18を螺着することによ
り、型枠１の内側面Ｉにインサートブッシュ３を密着固
定する様になしている。

【００２２】次に本発明に係るインサートブッシュの結
合構造の作用について説明すると、型枠１の内側面Ｉ側
からインサートブッシュ固定具４の螺子棒８を透孔２に
挿通し、型枠１の外側面Ｏより突出する螺子棒８にナッ
ト９、9aを螺着して、型枠１の内側面Ｉにインサートブ
ッシュ固定具４のインサートブッシュ装着部６を突出固
定し、該インサートブッシュ装着部６にインサートブッ
シュ３の受口部18を螺着する。

【００２３】インサートブッシュ３の螺着に際しては、
インサートブッシュ装着部６に対しインサートブッシュ
を一回転させることにより、型枠１の内側面Ｉにインサ
ートブッシュ３の開口部12端面を密着させられ、インサ
ートブッシュ３を型枠１に対し強固な密着固定状態と成
す。

【００２４】又、インサートブッシュ固定具４は型枠１
に溶接固定したものでなく、ナット９、9aで固定してい
るため、インサートブッシュ１の大きさに対応したイン
サートブッシュ装着部６を有するインサートブッシュ固
定具４を交換することが出来る。

【００２５】そして、型枠１を固定側の型枠1aに対して
閉じ、型枠１、1a内にコンクリートを打設し、コンクリ
ートの養生固化後、コンクリート製品Ｗを脱型する。

【００２６】尚、インサートブッシュ３の内方はインサ
ートブッシュ固定具４の空気孔10により外方連通してお
り、該空気孔10によりコンクリートの蒸気養成時にイン
サートブッシュ３内の空気が膨張してインサートブッシ
ュ３が変形し、それによるコンクリートとの密着性の低
下を招来することのない様に外部への空気抜きを図って
いる。

【００２７】脱型時には型枠１を回動するのであるが、
この時インサートブッシュ固定具４は型枠１に固定され
ているため、型枠１の開放側への回動操作によりインサ
ートブッシュ装着部６はこれと結合状態にあるインサー
トブッシュ３の受口部18より型枠１と共に強制的に離脱
される。

【００２８】以上の脱型作業により、インサートブッシ
ュ３はその開口部12端面をコンクリート製品Ｗの側壁W1
に露出する。

【００２９】そして、コンクリート製品Ｗの吊下げ時に
おいては、インサートブッシュ３の雌ねじ部19に吊下げ
金具 (図示せず) のシャフトを螺着し、該シャフトに回
動自在に装着したシャッフルにワイヤーロープを掛止し
て、該ワイヤーロープをクレーンにてフックし、コンク
リート製品Ｗを吊下げ移動可能とする。

【００３０】かかる吊下げ状態において、リブ16はイン
サートブッシュ３の周囲に閉塞端部13へ至るに従い徐々
に高く傾斜して突設してなるため、回動方向及び引っ張
り方向の掛止作用を有し、フランジ14はリム15を開口部
12側に突出した断面略鉤状であるため、引っ張り方向の
掛止作用を有し、これらインサートブッシュ３の各部の
抜止め機能により、コンクリート製品Ｗの吊下げ時にお
いて、インサートブッシュ３の周囲に生ずる応力を分散
でき、よってインサートブッシュ３の埋設位置近辺にひ
び割れ、欠け等の損傷がなく、コンクリート製品Ｗの強
度の安定を図ることができると共に、吊下げ移動中のコ
ンクリート製品Ｗからインサートブッシュ３が抜け出す
ことを防止して安全な作業を行える。

【００３１】

【発明の効果】要するに本発明は、型枠１内側面Ｉの所
定位置に略半球形状の基体外周に１リード分のねじ山部
５を設けたインサートブッシュ装着部６を突設し、該イ
ンサートブッシュ装着部６より軟質材料からなるインサ
ートブッシュ３の開口部12内周に、前記インサートブッ
シュ装着部６に合致する受口部18を設け、前記インサー
トブッシュ装着部６にインサートブッシュ３を螺着した
ので、型枠１の内側面Ｉ側に突出するインサートブッシ
ュ装着部６にインサートブッシュ３を装着するに際し、
インサートブッシュ装着部６のねじ山部５を１リード分
となすことによって、１回転でインサートブッシュ３を
インサートブッシュ装着部６に簡単に螺着でき、型枠１
とインサートブッシュ３とをコンクリート製品Ｗの打設
時に生じる衝撃にも充分耐えられる強固な密着固定状態
と成すことが出来、よってコンクリートのインサートブ
ッシュ３内への侵入を防止できると共に、コンクリート
製品Ｗの側壁W1内の所定位置にインサートブッシュ３が
ズレることなく埋設できる。

【００３２】又、インサートブッシュ装着部６のねじ山
部５は１リード分で、ねじ山条数が略１山分であると共
に、インサートブッシュ装着部６はインサートブッシュ
３より硬質であるため、脱型時の型枠１の開放側への回
動力にてインサートブッシュ３の受口部18より型枠１ご
とインサートブッシュ装着部６を簡単に離脱することが
出来、その脱型作業を簡単にして、且つ効率良く行え
る。

【００３３】又、インサートブッシュ３を装着固定した
インサートブッシュ装着部６はその基体を略半球形状に
形成してなるため、例えばインサートブッシュ装着部の
形状が円柱形のものでは、これが断面矩形状のため、脱
型時における型枠１の開放側への回動操作は、インサー
トブッシュ装着部の角部がインサートブッシュ３の受口
部18に引っ掛かり、型枠１を開放側へ回動させることが
できず、型枠１、1aのヒンジ部分を取り外す必要がある
が、本発明に係るインサートブッシュ装着部６は半球形
状で断面略円弧形状のため、型枠１の開放側への回動操
作において、受口部18の周面にインサートブッシュ装着
部６が引っ掛からずにスムーズに受口部18より離脱する
ことが出来る。

【００３４】又、インサートブッシュ装着部６にはイン
サートブッシュ３内方と型枠１外方に連通する空気孔10
を設けたので、該空気孔10は型枠１、1a内のコンクリー
ト打設後のコンクリートの蒸気養成時にインサートブッ
シュ３内の空気が膨張してインサートブッシュ３が変形
し、それによるコンクリートとの密着性の低下を招来す
ることのない様に外部への空気抜きを図ることが出来、
インサートブッシュ３を所望する位置に変形、破損等の
支障なく、コンクリート製品Ｗと一体化させることが出
来る。

【００３５】又、インサートブッシュ３内方には受口部
18より奥に、これより小径な吊下げ金具螺着用の雌ねじ
部19を設けたので、脱型時の型枠１の開放側への回動操
作によるインサートブッシュ装着部６の引き抜きで、受
口部18のねじ山が潰れても、吊下げ金具用の雌ねじ部19
は受口部18より小径にして、且つ受口部18より奥に形成
されているため、インサートブッシュ３に吊下げ金具を
装着するにあたって何らの支障はない等その実用的効果
甚だ大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るインサートブッシュの結合構造を
示す断面図である。

【図２】コンクリート製品の脱型操作を示す断面図であ
る。

【図３】図２の要部拡大図である。

【図４】インサートブッシュの斜視図である。

【図５】他の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 型枠 ３ インサートブッシュ ５ ねじ山部 ６ インサートブッシュ装着部 10 空気孔 12 開口部 18 受口部 19 雌ねじ部 Ｉ 内側面

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 型枠内側面の所定位置に略半球形状の基
   体外周に１リード分のねじ山部を設けたインサートブッ
   シュ装着部を突設し、該インサートブッシュ装着部より
   軟質材料からなるインサートブッシュの開口部内周に、
   前記インサートブッシュ装着部に合致する受口部を設
   け、前記インサートブッシュ装着部にインサートブッシ
   ュを螺着したことを特徴とするインサートブッシュの結
   合構造。
2. 【請求項２】 インサートブッシュ装着部にはインサー
   トブッシュ内方と型枠外方に連通する空気孔を設けたこ
   とを特徴とする請求項１のインサートブッシュの結合構
   造。
3. 【請求項３】 インサートブッシュ内方には受口部より
   奥に、これより小径な吊下げ金具螺着用の雌ねじ部を設
   けたことを特徴とする請求項１又は２のインサートブッ
   シュの結合構造。
4. 【請求項４】略半球形状の基体外周に１リード分のねじ
   山部を形成してなるインサートブッシュ装着部を設け、
   該インサートブッシュ装着部を型枠内側面に突出する様
   に型枠への着脱手段を設けたことを特徴とするインサー
   トブッシュ固定具。
5. 【請求項５】 インサートブッシュ固定具の型枠固定状
   態において、型枠の内外側面側に連通する空気孔を設け
   たことを特徴とする請求項４のインサートブッシュ固定
   具。
6. 【請求項６】 合成樹脂製にして外周に抜止め手段を設
   けた略円筒状のインサートブッシュにおいて、該インサ
   ートブッシュの開口部内周に請求項４又は５のインサー
   トブッシュ装着部に略合致形成した受口部を設けたこと
   を特徴とするインサートブッシュ。