JPH09216457A - インクジェット記録用キャスト塗被紙、その製造方法及び記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用キャスト塗被紙、その製造方法及び記録方法

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JPH09216457A
JPH09216457A JP8025092A JP2509296A JPH09216457A JP H09216457 A JPH09216457 A JP H09216457A JP 8025092 A JP8025092 A JP 8025092A JP 2509296 A JP2509296 A JP 2509296A JP H09216457 A JPH09216457 A JP H09216457A
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JP
Japan
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polymer
coated paper
cast
cast coated
paper
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JP8025092A
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English (en)
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Masami Kubota
雅美 久保田
Nobuyasu Sasakuri
暢康 笹栗
Kazuhiro Nojima
一博 野島
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた白紙表面光沢と、優れたインクジェッ
ト記録適性を備えたキャスト塗被紙。 【解決手段】 顔料および接着剤を含有する下塗り塗被
層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有するモノ
マーを含む重合体のエマルジョンを含有する液を塗被し
て塗被層を形成し、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥
して仕上げるインクジェット記録用キャスト塗被紙であ
り、前記重合体はガラス転移点が40℃以上であり、且
つ重合体を透明フィルム上に乾燥重量20g/m2 とな
るように塗布した試料の不透明度(JIS P8138
に準拠して測定)が25%以下であるインクジェット記
録用キャスト塗被紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用キャスト塗被紙に関し、特に優れた白紙表面光沢を
有し、かつ優れたインクジェット記録(印字)適性を備
えたキャスト塗被紙、その製造方法及び記録方法。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタによる記
録が、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多
色化が容易なために多方面で利用されている。インクジ
ェット記録用紙としては、インキ吸収性に富むように工
夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗被紙
等が適用されている。ところで、これらの用紙はすべて
表面光沢の低い、所謂マット調のインクジェット記録用
紙が主体であった。
【0003】しかしながら、最近、インクジェット記録
の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった
用途の拡大に伴い、表面光沢の高い、優れた外観を持つ
インクジェット記録用紙が希求されている。一般に、表
面光沢の高い用紙としては、表面に板状顔料を塗被し、
さらに、必要に応じてキャレンダー処理を施した高光沢
を有する塗被紙、あるいは湿潤塗被層を鏡面を有する加
熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写
し取ることによって得られる、所謂キャスト塗被紙等が
知られている。
【0004】このキャスト塗被紙はスーパーキャレンダ
ー仕上げされた通常の塗工紙に比較して高い表面光沢
と、より優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得
られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されて
いるが、インクジェット記録用紙に利用した場合、種々
の難点を抱えている。
【0005】即ち、一般にキャスト塗被紙は、その塗被
層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質がキ
ャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ることにより
高い光沢を得ている。他方、この成膜性物質の存在によ
って塗被層の多孔性が失われ、インクジェット記録時の
インキの吸収性の低下や印字濃度の低下といった問題を
抱えていた。そして、このインキ吸収性を改善するに
は、キャスト塗被層をよりポーラスにすることが必要で
あり、そのためには、成膜性物質の量を減ずることが必
要となる。一方、成膜性物質の量を減らすことにより、
結果として白紙光沢が低下する。さらに、白紙光沢とイ
ンキ吸収性を両立させるために、塗工層を2層構造と
し、下塗り層は、従来のインクジェット塗工紙のよう
な、ポーラスな層にし、上塗り層を成膜性物質を主体と
した光沢層としてキャスト仕上げし、表面のみに成膜性
物質を分布させることも考えられるが、この場合、印字
濃度が低く、インキ吸収性も改良されるものの十分なレ
ベルではなかった。
【0006】以上の如く、記録用キャスト塗被紙におい
てより高い表面光沢と優れたインクジェットインキ吸収
性、印字濃度等の記録適性の両方を同時に満足させるこ
とが極めて困難であるのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記の問題
を解決し、インクジェット記録用キャスト塗被紙が本来
有する高表面平滑性および高光沢をさらに向上させると
同時に優れたインクジェット記録(印字)適性をもつイ
ンクジェット記録用キャスト塗被紙を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の各態様
を含む。 〔1〕 顔料および接着剤を含有する下塗り塗被層を設
けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを
含む重合体のエマルジョンを含有する塗液を塗被して塗
被層を形成し、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して
仕上げるインクジェット記録用キャスト塗被紙であり、
前記重合体はガラス転移点が40℃以上であり、且つ重
合体を透明フィルム上に乾燥重量20g/m2 となるよ
うに塗布した試料の不透明度(JIS P8138に準
拠して測定)が25%以下であるインクジェット記録用
キャスト塗被紙。
【0009】〔2〕 重合体エマルジョンの平均粒子径
が0.2μm以下である〔1〕記載のインクジェット記
録用キャスト塗被紙。
【0010】〔3〕 顔料および接着剤を含有する下塗
り塗被層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを含む重合体のエマルジョンを含有する塗液
を塗被して塗被層を形成し、加熱された鏡面ドラムに圧
接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用キャスト塗
被紙の製造方法であり、前記重合体はガラス転移点が4
0℃以上であり、且つ重合体を透明フィルム上に乾燥重
量20g/m2 となるように塗布した試料の不透明度
(JIS P8138に準拠して測定)が25%以下で
あるインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法。
【0011】〔4〕 重合体エマルジョンの平均粒子径
が0.2μm以下である〔3〕記載のインクジェット記
録用キャスト塗被紙の製造方法。
【0012】〔5〕 〔1〕または〔2〕記載のインク
ジェット記録用キャスト塗被紙に対して、微細孔から水
性インクを吐出させて画像を形成するインクジェット記
録方法。
【0013】〔6〕 顔料および接着剤を含有する下塗
り塗被層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを含む単量体を重合させてなる重合体のエマ
ルジョンを含有する塗被液を塗被して塗被層を形成し、
該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラム
に圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用キャス
ト塗被紙において、該重合体のガラス転移点が40℃以
上であり、且つ該重合体を透明フィルム上に乾燥重量2
0g/m2 となるように塗布して、JIS P8138
に準拠して測定した不透明度が25%以下、 好ましくは
20%以下の透明性を有していることを特徴とするイン
クジェット記録用キャスト塗被紙。
【0014】〔7〕 顔料および接着剤を含有する下塗
り塗被層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを含む単量体を重合させてなる重合体のエマ
ルジョンを含有する塗被液を塗被して塗被層を形成し、
該塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラム
に圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用キャス
ト塗被紙の製造方法において、該重合体のガラス転移点
が40℃以上であり、且つ該重合体を透明フィルム上に
乾燥重量20g/m2 となるように塗布して、JIS
P8138に準拠して測定した不透明度が25%以下、
好ましくは20%以下の透明性を有していることを特徴
とするインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方
法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の最も重要な特徴であるキ
ャスト塗被組成物について説明する。キャスト用塗被組
成物は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合
させてなる重合体エマルジョンを含有する。
【0016】エチレン性不飽和結合を有するモノマー
(以下エチレン性モノマーという)を重合してなる重合
体としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリ
レートブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、グリシジルアクリレート等のアルキル基
炭素数が1〜18個のアクリル酸エステル、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、グリシジルメタクリレート等のアルキル基炭素
数が1〜18個のメタクリル酸エステル、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド、エチレン、ブタジエン等のエチレン性モノマ
ーを重合して得られる重合体である。
【0017】なお、重合体は、必要に応じて2種類以上
のエチレン性モノマーを併用した共重合体であっても良
いし、さらに、これら重合体あるいは共重合体の置換誘
導体でも良い。因みに、置換誘導体としては、例えばカ
ルボキシル基化したもの、またはそれをアルカリ反応性
にしたもの等が例示される。また、上記のエチレン性モ
ノマーをコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−
O−R(R:重合体成分)結合によって複合体になった
形で使用することも可能である。この場合エマルジョン
の粒子径は、複合体粒子径をさす。
【0018】上記のエチレン性モノマーを重合してなる
重合体樹脂は、そのガラス転移点が40℃以上のものを
使用することが必要であり、好ましくは50℃以上であ
る。ガラス転移点は、モノマー組成等により調整でき、
例えばスチレン−2−メチルヘキシルアクリレート共重
合体においてはスチレン比率をあげるとガラス転移点は
上昇する。即ち、従来のキャスト塗被紙の製造において
は、優れた表面光沢を得るために、キャスト仕上げを行
う際に塗被組成物中の樹脂分を十分に成膜させ、高い光
沢を得ていた。しかし、このような従来の方法では、キ
ャスト塗被層表面の多孔性が減少し、結果として、イン
クジェット記録時のインキの吸収性が低下し、望ましい
インクジェット記録適性を備えたキャスト塗被紙を得る
ことができない。上記の重合体はエマルジョンとして調
製される。これらは水溶性の樹脂を用いた場合に比べ光
沢とインク吸収性に優れ、また鏡面との離型性がよい。
【0019】本発明の方法では、このインキの吸収性を
低下させないために、ガラス転移点の高い重合体を使用
し、また好ましくは重合体が完全に成膜を起こさない状
態でキャスト仕上げを行うことにより、キャスト塗被紙
表面の多孔性が効果的に維持されので、インキの吸収性
が保持され、かつ優れた光沢面を有するキャスト塗被面
を得ることができる。
【0020】一方、重合体のガラス転移点が40℃未満
であると、キャストドラム表面の熱によって、樹脂分の
成膜化が必要以上に進み易くなり、結果として、キャス
ト塗被層表面の多孔性が減少し、表面の光沢値は高く仕
上がるものの、インキ吸収性が低下してしまうので、好
ましくない。
【0021】また、上記の重合体は、一般にインクジェ
ットのインキの定着性が悪いため、通常インクジェット
のインキは、キャスト塗被層を通過し、下塗り層で定着
することになる。このため、下塗り層で発色したインキ
をキャスト層を通して見ることになるため、重合体を含
有するキャスト塗被層の透明性が悪いと、印字濃度の低
下や印字ムラ発生等の問題が起こる。
【0022】この点を改良するため、本発明においてキ
ャスト塗被層に使用する重合体は、高い透明性を有する
ことが必要である。重合体の透明性は以下に述べる方法
により、測定される。
【0023】即ち、透明PETフィルム上に乾燥重量が
20g/m2 となるように塗布した際の、JIS P8
138に準拠して測定した不透明度が25%以下であ
り、好ましくは20%以下である(この不透明度の値は
低い値であることが望ましい)。不透明度が25%を越
えると、明らかに印字濃度の低下を引き起こし、キャス
ト塗被層の不均一性に起因する印字ムラを悪化させる。
透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PET
フィルムともいう)としては不透明度が1.1%のもの
を使用する。市販のものには内田洋行(株)が供給する
PETフィルム(トランスペアレンシー乾式PPC用)
がある。
【0024】上記の重合体の透明性を上げる方法として
は、一般に重合体エマルジョンの平均粒子径を小さくす
ることが挙げられる。平均粒子径としては、重合体の種
類によっても異なるため、必ずしも規定できるものでは
ないが、好ましいくは0.2μm以下、より好ましくは
0.1μm以下である。粒子径の下限は特にないが、現
在の技術では0.04μm程度まで得られる。
【0025】粒径の測定法は限定しないが、例えばPa
cific Science社製のサブミクロン粒子径
アナライザーNICOMP Model 370を用い
サンプルエマルジョンを脱イオン水で希釈して質量平均
粒子径を測定することができる。コロイダルシリカ等と
の複合粒子の場合も同様に測定する。重合体の粒子径を
小さくするためには重合を開始する際の核となる種(シ
ード)の量を調整する。核となる種(シード)の量が多
いほど粒子径は小さくなる。
【0026】また、キャスト用塗被組成物中には上記の
重合体の他に、白色度、粘度、流動性等を調節するため
に、一般の印刷用塗被紙やインクジェット用紙に使用さ
れている顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電
防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。塗被組
成物中の離型剤やその他の物質が顔料やエマルジョンで
ある場合、それらの粒子径も小さいものが透明性を良く
するためには好ましい。コロイダルシリカ等の顔料と重
合体の複合粒子を用いる場合、コロイダルシリカ等の粒
径は10〜30nm程度が好ましい。また水溶性樹脂を
含有させても不透明度は殆ど上がらないため必要により
添加することができる。
【0027】次に、下塗り塗被層に含有させる顔料と接
着剤について述べる。即ち、顔料としては、例えばカオ
リン、クレー、焼成クレー、無定形シリカ、酸化亜鉛、
酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイ
ト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネ
シウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、
尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン
系プラスチックピグメント等、一般塗被紙製造分野で公
知公用の各種顔料が使用できるが、インクジェット適性
に優れた無定形シリカや酸化アルミニウム、炭酸マグネ
シウム等が特に好ましく使用される。
【0028】接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合
成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースや
メチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブ
タジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン
共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系
重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の
ビニル系重合体ラテックス等一般に塗被紙用として用い
られている接着剤が単独、あるいは併用して用いられ
る。なお接着剤の配合量は顔料に対し、5〜50重量
%、より好ましくは10〜30重量%の範囲で調節され
る。
【0029】また上記の顔料、接着剤の他に耐水性や印
字発色濃度を向上させる目的で、一般のインクジェット
用紙に使用されるカチオン性樹脂、例えばポリエチレン
ポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアル
キレンポリアミン類、またはその誘導体、第3級アミノ
基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジア
クリルアミン等が使用される。カチオン性樹脂の添加量
としては、顔料100重量部に対し、1〜30重量部、
より好ましくは5〜20重量部の範囲で調節される。そ
の他、一般塗被紙の製造において使用される分散剤、増
粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助
剤が適宜添加される。
【0030】而して、上記材料をもって構成される下塗
り塗被層用組成物は、一般に固形分濃度を1〜65重量
%程度に調整し、米坪が約20〜400g/m2 程度の
原紙上に乾燥重量で2〜50g/m2 、より好ましくは
5〜20g/m2 程度になるようにブレードコーター、
エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコータ
ー、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビ
アコーター等の各種公知公用の塗被装置により塗被、乾
燥される。さらに、必要に応じて下塗り塗被層の乾燥後
にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け、キャスト仕上げ
等の平滑化処理を施すこともできる。なお、ベースとな
る原紙としては、特に限定されるものではなく、一般の
塗被紙に使用される酸性紙、あるいは中性紙等が適宜使
用される。
【0031】かくして得られた下塗り塗被紙の塗被面
に、前述した特定の重合体を含有するキャスト塗被液
を、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロール
コーター、ブラシコーター、チャンプレックスコータ
ー、バーコーター、グラビアコーター等の各種の塗被装
置により塗被し、前述したように塗被層が湿潤状態にあ
る間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥してキャス
ト仕上げを行うことになる。この場合のキャスト塗被液
の塗被量は、乾燥固形分で0.2〜30g/m2 、好ま
しくは、1〜10g/m2 である。キャスト塗被層の塗
工量が30g/m2 を越えるとインキ吸収性が悪化し、
印字濃度が低下する。また、0.2g/m2 以下では十
分な光沢面が得られない。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ
重量部および重量%を示す。
【0033】実施例1 顔料としてアルミナ60部、炭酸マグネシウム40部、
接着剤として、ポリビニルアルコール10部、カチオン
性樹脂としてジシアンジアミド系樹脂(商品名:ネオフ
ィックスE−117/日華化学工業(株)製)10部、
分散剤として、ポリ燐酸ソーダ0.5部を添加し、固形
分濃度15%の下塗り用塗被液を調成した。この下塗り
用塗被液を、米坪100g/m2 の原紙に乾燥重量で6
g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗被、
乾燥して下塗り原紙を得た。
【0034】一方、キャスト塗被液として、ガラス転移
点80℃、平均粒子径0.09μmのスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体60部、平均粒子径1
5nmのコロイダルシリカ40部、離型剤としてステア
リン酸カルシウム2部よりなる固形分濃度が30%のキ
ャスト用塗被液を調製した。この塗被液を上記の下塗り
原紙上にロールコーターを用いて塗被した後、ただちに
表面温度が75℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型
させ、インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。こ
のときの塗被量は固形分重量で、5g/m2 であった。
この時のキャスト塗被液の成分であるスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体を市販の透明PETフ
ィルム(供給元:内田洋行(株)、商品名:トランスペ
アレンシー乾式PPC用,透明PETフィルム自体の不
透明度は1.1%,厚さ83μm)上に乾燥重量20g
/m2 となるように塗布した際の、JIS P8138
に準拠して測定した不透明度は13%であった。
【0035】実施例2 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体のガラス転移点80℃
を45℃に置き換えた以外は実施例1と同様にしてイン
クジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キャス
ト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート
共重合体の不透明度は13%であった。
【0036】実施例3 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体のガラス転移点80℃
を65℃に置き換えた以外は実施例1と同様にしてイン
クジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キャス
ト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート
共重合体の不透明度は13%であった。
【0037】実施例4 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体の平均粒子径0.09
μmを0.07μmとする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレ
ート共重合体の不透明度は9%であった。
【0038】実施例5 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体の平均粒子径0.09
μmを0.13μmとする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレ
ート共重合体の不透明度は21%であった。
【0039】実施例6 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体の平均粒子径0.09
μmを0.19μmとする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレ
ート共重合体の不透明度は24%であった。
【0040】実施例7 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体をスチレン−メチルア
クリレート共重合体とする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−メチルアクリレート共重合
体のガラス転移点は80℃、平均粒子径は0.09μ
m、不透明度は14%であった。
【0041】実施例8 実施例7においてキャスト塗被液中のスチレン−メチル
アクリレート共重合体の平均粒子径0.09μmを0.
13μmとする以外は実施例1と同様にしてインクジェ
ット記録用キャスト塗被紙を得た。この時実施例7と同
様にして測定した不透明度は23%であった。
【0042】比較例1 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体の平均粒子径0.09
μmを0.22μmとする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレ
ート共重合体の不透明度は28%であった。
【0043】比較例2 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体の平均粒子径0.09
μmを0.28μmとする以外は実施例1と同様にして
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キ
ャスト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレ
ート共重合体の不透明度は45%であった。
【0044】比較例3 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体のガラス転移点80℃
を35℃に置き換えた以外は実施例1と同様にしてイン
クジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時キャス
ト塗被液中のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート
共重合体の不透明度は15%であった。
【0045】比較例4 実施例1においてキャスト塗被液中のスチレン−2メチ
ルヘキシルアクリレート共重合体をガラス転移点−25
℃、平均粒子径0.15μmのスチレン−ブタジエン共
重合体とする以外は実施例1と同様にしてインクジェッ
ト記録用キャスト塗被紙を得た。この時キャスト塗被液
中のスチレン−ブタジエン共重合体のガラス転移点は−
25℃、粒子径0.15μm、不透明度は22%であっ
た。
【0046】このようにして得られたキャスト塗被紙の
白紙光沢、インクジェット記録適性(インキ吸収性、印
字濃度、インキ吸収ムラ)の結果を表1に纏めて示し
た。なお、上記の評価については下記の如き方法で評価
を行った。
【0047】〔不透明度〕エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを重合させてなる共重合体を市販の透明PE
Tフィルム(供給元:内田洋行(株),商品名:トラン
スペアレンシー乾式PPC用,透明PETフィルム自体
の不透明度は1.1%,厚さ83μm)上に乾燥重量2
0g/m2 となるように塗布し、JIS P8138に
準じて測定した。 〔白紙光沢〕JIS P8142に準じて測定した。
【0048】〔インクジェット記録適性〕 (インクジェット記録用インキの吸収性)キヤノン
(株)製のカラープリンターBJC−600J(インク
ジェット記録用装置)にて印字を行ない、インキの乾燥
性を目視で評価した。 ○:印字直後に指で触れると僅かに汚れるが、ほとんど
乾燥している。 △:印字直後、インキ部分がわずかに光っているが、実
用上問題はない。 ×:インキの乾燥不良により、印字中にインキが流れて
実用に耐えない。
【0049】(インクジェット記録用インキの記録後の
発色濃度)キヤノン(株)製のカラープリンターBJC
−600J(インクジェット記録装置)にて印字を行な
い、インキの濃度を目視で評価した。 ◎:発色濃度が極めて高い。 ○:発色濃度が良好である。 △:発色濃度がやや薄い。 ×:発色濃度が薄く実用上問題がある。
【0050】(インクジェット記録用インキの記録後の
インキ吸収ムラ) 〔インキ吸収ムラ〕 ◎:吸収ムラが全くなく極めて優れている。 ○:注意して見ると吸収ムラがやや認められるが、良好
なレベル。 △:吸収ムラがあるが、実用上問題のないレベルであ
る。 ×:吸収ムラが明らかに認められる。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
のキャスト塗被紙は表面光沢、インクジェット記録適性
に優れている。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料および接着剤を含有する下塗り塗被
    層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有するモノ
    マーを含む重合体のエマルジョンを含有する塗液を塗被
    して塗被層を形成し、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾
    燥して仕上げるインクジェット記録用キャスト塗被紙で
    あり、前記重合体はガラス転移点が40℃以上であり、
    且つ重合体を透明フィルム上に乾燥重量20g/m2
    なるように塗布した試料の不透明度(JIS P813
    8に準拠して測定)が25%以下であるインクジェット
    記録用キャスト塗被紙。
  2. 【請求項2】 重合体エマルジョンの平均粒子径が0.
    2μm以下である請求項1記載のインクジェット記録用
    キャスト塗被紙。
  3. 【請求項3】 顔料および接着剤を含有する下塗り塗被
    層を設けた原紙に、エチレン性不飽和結合を有するモノ
    マーを含む重合体のエマルジョンを含有する塗液を塗被
    して塗被層を形成し、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾
    燥して仕上げるインクジェット記録用キャスト塗被紙の
    製造方法であり、前記重合体はガラス転移点が40℃以
    上であり、且つ重合体を透明フィルム上に乾燥重量20
    g/m2 となるように塗布した試料の不透明度(JIS
    P8138に準拠して測定)が25%以下であるイン
    クジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合体エマルジョンの平均粒子径が0.
    2μm以下である請求項3記載のインクジェット記録用
    キャスト塗被紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載のインクジ
    ェット記録用キャスト塗被紙に対して、微細孔から水性
    インクを吐出させて画像を形成するインクジェット記録
    方法。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0789220A (ja) * 1993-06-15 1995-04-04 New Oji Paper Co Ltd インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法、キャスト塗被紙及びそれを用いた記録方法
JPH07117335A (ja) * 1993-06-24 1995-05-09 Mitsubishi Paper Mills Ltd インクジェット記録シート及びその製造方法
JPH07164733A (ja) * 1993-09-22 1995-06-27 New Oji Paper Co Ltd インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法、キャスト塗被紙及びそれを用いる記録方法

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