JPH09213137A

JPH09213137A - 防蟻電線・ケーブル

Info

Publication number: JPH09213137A
Application number: JP8013438A
Authority: JP
Inventors: Shin Yoshida; 伸吉田; Fumio Aida; 二三夫会田
Original assignee: Showa Electric Wire and Cable Co
Current assignee: SWCC Corp
Priority date: 1996-01-30
Filing date: 1996-01-30
Publication date: 1997-08-15

Abstract

(57)【要約】【課題】多湿下でも優れた防蟻性を示し、しかもその
優れた防蟻性を損なうことなく良好な難燃性を付与する
ことができ、また、材料コストを低減することができる
防蟻電線・ケーブルを提供する。【解決手段】ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンを混合してなる組成物からなる防蟻層７を設け
る。また、前記組成物に、赤リンおよびメラミン粉末を
配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、防蟻性を有する電
線・ケーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、地中などに埋設する電線・ケ
ーブルとして、シースに、硬度、抗張力、曲げ弾性率な
どの機械的特性に優れたナイロン１２を被覆することに
より、防蟻性を付与したものが一般に用いられている。

【０００３】ここで各種ナイロン樹脂のなかでも、特に
ナイロン１２が使用されているのは、他のナイロン樹脂
に比べ耐水性、耐湿性に優れ、地中などの多湿下に埋設
されても機械的特性が低下することがなく、良好な防蟻
性を示すからである。すなわち、たとえばナイロン６
は、その初期特性において、ナイロン１２より機械的特
性に優れるものの、多湿下では水分を吸収して機械的特
性が大きく低下し、防蟻性が損なわれることが知られて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ナイロ
ン１２は、ナイロン６などに比べ高価であるうえ、難燃
剤を配合すると機械的特性が低下するため、電線・ケー
ブルの難燃化が難しいという問題があった。

【０００５】本発明は、このような点に対処してなされ
たもので、多湿下でも優れた防蟻性を示し、しかもその
優れた防蟻性を損なうことなく良好な難燃性を付与する
ことができ、また、材料コストを低減することができる
防蟻電線・ケーブルを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の防蟻電線
・ケーブルは、ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンを混合してなる組成物からなる防蟻層を具備す
ることを特徴とする。このような防蟻電線・ケーブルに
おいては、ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプロピ
レンを混合したことにより、ナイロン６が本来有する優
れた機械的特性が多湿下でも低下することがなく、した
がって、地中などに布設されても良好な防蟻性を示す。
また、これらの材料は比較的安価であるため、材料コス
トを低減することができる。さらに、難燃剤の配合によ
っても機械的特性が低下することがないため、優れた難
燃性を付与することができる。なお、ここで、難燃性を
付与するために配合する難燃剤としては、赤リンおよび
メラミン粉末の併用がなかでも望ましく、優れた難燃性
を付与することができる。

【０００７】したがって、本発明の第２の防蟻電線・ケ
ーブルは、前記防蟻電線・ケーブル前記組成物に、赤リ
ンおよびメラミン粉末が配合されていることを特徴とす
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。

【０００９】図１は、本発明の実施の形態の一例を示す
横断面図である。

【００１０】図１に示すように、このケーブルは、銅や
アルミなどからなる導体１上に、ポリエチレンや架橋ポ
リエチレンなどの絶縁体２を被覆してなる絶縁線心３を
複数本（図１では 3本）撚合わせ、これらの外周に、紙
などによる介在４を介して、押えテープ５、塩化ビニル
樹脂やポリオレフィンなどからなるシース６および防蟻
層７を順に設けて構成されている。

【００１１】防蟻層７は、本発明の特徴をなすものであ
り、ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプロピレンを
混合してなる組成物を、シース６上に押出被覆すること
により形成されたものである。

【００１２】ここで使用されるナイロン６は、ε- カプ
ロラクタムあるいはε- アミノカプロン酸の重合によっ
て得られるもので、硬度、抗張力、曲げ弾性率をはじめ
極めて優れた機械的特性を有し、本来、優れた防蟻性を
示すポリマーである。しかしながら、このような優れた
特性は、吸水性が大きいという他の特徴的性質から、多
湿下では大きく低下し、実用上問題がある。

【００１３】そこで、本発明においては、このようなナ
イロン６に無水マレイン酸変性ポリプロピレンを併用す
る。すなわち、無水マレイン酸変性ポリプロピレンをナ
イロン６に混合することにより、ナイロン６の耐水性を
改善し、吸水、吸湿による機械的特性の低下、防蟻性の
低下を防止することができる。なお、通常のポリプロピ
レンを配合してもこのような効果は得られない。このよ
うな無水マレイン酸変性ポリプロピレンとしては、たと
えば大日本インキ（株）社製のダイナール（商品名）な
どがあげられる。

【００１４】本発明において、これらのナイロン６と無
水マレイン酸変性ポリプロピレンの混合比は、特に限定
されるものではないが、重量比で 50:50〜90:10 の範囲
が適当である。この範囲を外れると、ナイロン６本来の
優れた特性が損なわれ、機械的特性が不十分となるおそ
れがある。

【００１５】なお、このような組成物からなる防蟻層７
の厚さとしては、少なくとも 0.5mm以上とすることが望
ましい。

【００１６】本発明においては、上記成分に加え難燃剤
を配合することにより、難燃性を有する防蟻層７を形成
することができる。ここで使用する難燃剤としては、赤
リンおよびメラミン粉末の併用が望ましく、少量の配合
で優れた難燃性を付与することができる。すなわち、他
の難燃剤、たとえばハロゲン系難燃剤を用いた場合に
は、良好な難燃性を得るためには相当量配合しなければ
ならず、機械的特性が低下して防蟻性が損なわれるおそ
れがある。これに対し、赤リンとメラミン粉末の併用で
は、少量の配合で優れた難燃性を付与することができ、
機械的特性の低下、防蟻性の低下が防止される。具体的
には、ナイロン６および無水マレイン酸変性ポリプロピ
レン 100重量部あたり、赤リンが 1〜10重量部、メラミ
ン粉末が 1〜5 重量部の範囲での併用が望ましい。

【００１７】なお、難燃性を付与する場合には、シース
６なども難燃剤配合の材料、すなわち、難燃性塩化ビニ
ル樹脂や難燃性ポリオレフィンなどにより構成すること
が望ましい。

【００１８】本発明においては、防蟻層７を構成する組
成物に、さらに、必要に応じて、本発明の効果を阻害し
ない範囲で、各種の添加剤、たとえば着色剤、滑剤（加
工助剤）、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを
配合してもよい。

【００１９】このように構成されるケーブルにおいて
は、ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプロピレンを
混合してなる組成物からなる防蟻層７を有するので、地
中などの多湿下でも優れた防蟻性を示し、しかも、従来
のナイロン１２を用いたものに比べ、材料コストを低減
することができる。また、赤リンおよびメラミン粉末の
併用によって優れた難燃性を付与することができる。

【００２０】なお、以上説明した例は、本発明を、絶縁
線心３を複数本撚合わせ、その外周にシース６を設けた
構造のケーブルに適用した例であるが、本発明はこのよ
うな例に限定されるものではなく、図示は省略するが、
導体上に絶縁体を被覆した絶縁電線をはじめ、各種構造
の電線・ケーブルに適用可能である。また、必要なら
ば、防蟻層７の外周に、他の保護被覆を設けるようにし
てもよい。

【００２１】

【実施例】次に、本発明の具体的実施例を記載する。

【００２２】実施例１断面積1.25mm²の銅導体上に架橋ポリエチレンからなる
絶縁体を被覆してなる外径約 3mmの絶縁線心 3本を撚合
わせ、その外側に介在紙を添わせつつ、外周に押えテー
プを施し、次いで、この押えテープ上にポリ塩化ビニル
組成物を押出被覆して厚さ約 1mmのシースを形成し、さ
らに、その上に、ナイロン６ 70 重量部に無水マレイン
酸変性ポリプロピレン（無水マレイン酸変性ＰＰ） 30
重量部を添加混合して得た組成物を押出被覆して厚さ
0.5mmの防蟻層を形成した（最終外径約 10mm ）。

【００２３】実施例２、３防蟻層を形成する材料の配合成分およびその配合量を表
１に示すように変えた以外は、実施例１と同様にしてケ
ーブルを製造した。

【００２４】得られた各実施例のケーブルにおける防蟻
層の特性評価試験の結果を表１に併せ示す。なお、特性
評価試験は、上記ケーブルと別に作成した厚さ 2mmのシ
ートについて実施したもので、引張強さおよび伸びはJI
S K 7113に、曲げ弾性率はJIS K 6911に、硬さはJIS K
7215にそれぞれ基づいて、また、耐水性は、シートを90
℃の温水中に 7日間浸漬した後の引張強さ残率、伸び残
率、曲げ弾性率残率および硬さの変化により、さらに、
難燃性はASTM D 635規定の燃焼試験に基づき測定評価し
たものである。

【００２５】また、表１には、本発明との比較のため
に、防蟻層を、ナイロン６のみで形成した例（比較例
１）、ナイロン６に未変性のポリプロピレン（ＰＰ）を
混合した組成物により形成した例（比較例２）、ナイロ
ン６に赤リンおよびハロゲン系難燃剤であるパークロロ
シクロペンタデカンをそれぞれ配合した組成物により形
成した例（比較例３、４）、ナイロン１２のみで形成し
た例（比較例５）、ナイロン１２に赤リンを配合した組
成物により形成した例（比較例６）を併せ示した。

【００２６】

【表１】表１からも明らかなように、本発明にかかるケーブルに
おける防蟻層は、その初期特性において、ナイロン６や
ナイロン１２に匹敵またはそれ以上の機械的特性を有
し、また、その優れた特性は水中への浸漬や難燃剤の配
合によって大きく低下することもなかった。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の防蟻電線
・ケーブルは、ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンを混合してなる組成物からなる防蟻層を具備す
る構成としたので、多湿下でも優れた防蟻性を示し、し
かもその優れた防蟻性を損なうことなく良好な難燃性を
付与し、かつ、材料コストを低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電線・ケーブルの一例を示す横断面
図。

【符号の説明】

１………導体２………絶縁体３………絶縁線心４………介在５………押えテープ６………シース７………防蟻層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｈ０１Ｂ 3/44 Ｈ０１Ｂ 3/44 Ｐ // Ｃ０８Ｌ 23/26 ＬＤＡＣ０８Ｌ 23/26 ＬＤＡ (Ｃ０８Ｋ 13/02 3:32 5:3477）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ナイロン６に無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンを混合してなる組成物からなる防蟻層を具備す
ることを特徴とする防蟻電線・ケーブル。
【請求項２】ナイロン６と無水マレイン酸変性ポリプ
ロピレンとの混合比が重量比で 50:50〜90:10 であるこ
とを特徴とする請求項１記載の防蟻電線・ケーブル。
【請求項３】前記組成物に、赤リンおよびメラミン粉
末が配合されていることを特徴とする請求項１または２
記載の防蟻電線・ケーブル。
【請求項４】ナイロン６および無水マレイン酸変性ポ
リプロピレン 100重量部あたり、赤リンが 1〜10重量
部、メラミン粉末が 1〜5 重量部配合されていることを
特徴とする請求項１乃至３のいずれか 1項記載の防蟻電
線・ケーブル。