JPH09208377A - 単結晶引き上げ方法 - Google Patents

単結晶引き上げ方法

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JPH09208377A
JPH09208377A JP3296396A JP3296396A JPH09208377A JP H09208377 A JPH09208377 A JP H09208377A JP 3296396 A JP3296396 A JP 3296396A JP 3296396 A JP3296396 A JP 3296396A JP H09208377 A JPH09208377 A JP H09208377A
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pulling
crystal
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melt
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JP3296396A
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English (en)
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Masahiko Okui
正彦 奥井
Tadashi Kanda
忠 神田
Tadami Tanaka
忠美 田中
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Sitix Corp
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  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 R−OSF外側結晶には転位クラスタが生成
され、R−OSF内側結晶には赤外散乱体,フローパタ
ーン欠陥が生成されて、結晶品質が低い。 【解決手段】 CZ法により単結晶9を所定の長さのボ
ディ部だけ融液8から引き上げ成長させた後に、引き上
げた単結晶9を融液8から切り離し、その後切り離した
単結晶9を高速で上昇させて急冷する。R−OSF外側
結晶のみが形成される程に低速にて単結晶9を引き上
げ、融液から切り離して急冷させ、融点〜950 ℃までの
温度領域から急冷された部位では、転位クラスタが形成
されない単結晶を得る。R−OSF内側結晶のみが形成
される程に高速にて単結晶9を引き上げ、融液から切り
離して急冷させ、融点〜1050℃までの温度領域から急冷
された部位では、赤外散乱体,フローパターン欠陥が形
成されない単結晶を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料として
使用されるシリコン単結晶等の単結晶を成長させながら
引き上げる単結晶引き上げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン単結晶等の単結晶の成長方法と
してはCZ法(チョクラルスキー法)が広く知られてい
る。このCZ法は、坩堝内に充填した単結晶原料をヒー
タにて加熱溶融せしめた後、この融液中に引き上げ軸に
吊るした種結晶を浸し、これを回転させつつ上方に引き
上げて種結晶の下端に単結晶を成長せしめる方法であ
る。
【0003】ところで、通常の引き上げ炉において0.7
mm/分程度の引き上げ速度にて単結晶の引き上げを行
なうと、R−OSF(リングOSF)部と呼ばれるOS
F(Oxidation induced Stacking Fault:酸化誘起積層
欠陥)が多発する領域がリング状に形成される。このO
SFは、酸化熱処理時に生成される酸化膜から放出され
た過剰な格子間Si原子が酸素析出物を核として積層欠
陥を伴った転位ループとして成長したものであり、デバ
イスの活性領域に侵入するとリーク電流などの原因とな
る欠陥である。
【0004】このような場合、R−OSF部を境にし
て、成長する単結晶は、R−OSF部より内側の領域
(以下、R−OSF内側領域という)にできる結晶(以
下、R−OSF内側結晶という)と、R−OSF部より
外側の領域(以下、R−OSF外側領域という)にでき
る結晶(以下、R−OSF外側結晶という)との2つの
部分に分けられる。R−OSF内側結晶とR−OSF外
側結晶とでは、生成される結晶欠陥の種類が異なってい
る。R−OSF内側結晶には、赤外散乱体,フローパタ
ーン欠陥(以下、FPDと略称する)などの欠陥が生成
されるが、転位クラスタは生成されない。一方、R−O
SF外側結晶には、転位クラスタは生成されるが、赤外
散乱体,FPDは生成されない。
【0005】R−OSF部は、引き上げ速度が小さくな
るほど、直径が小さくなって単結晶の径方向の内側に現
れる。そして、引き上げ炉によって若干その値は異なる
が、引き上げ速度を0.6 〜0.4 mm/分程度の低速にす
ると、R−OSF部が完全に内側に閉じてしまって消滅
し、R−OSF外側領域のR−OSF外側結晶が全域に
広がった状態の単結晶が引き上げられる。このR−OS
F外側結晶は初期耐圧特性の良品率が極めて高い。しか
しながら、この結晶にはデバイスのリーク電流等の劣化
因子となる転位クラスタと呼ばれる転位ループが存在す
る。
【0006】結晶の引き上げ速度を低速化することによ
って結晶内に保持される格子間Si原子の濃度が大きく
なり、格子間Si原子が引き上げ時の1000〜900 ℃の温
度領域で凝集し、格子間Si原子及びその凝集体と格子
間酸素原子とが析出することによって、転位クラスタが
形成される。すなわち、この転位クラスタは引き上げ熱
履歴の1000〜900 ℃の温度領域を通過するため、転位ク
ラスタが形成及び成長し、結晶品質の低下につながるこ
とになる。
【0007】また、R−OSF部は、引き上げ速度が大
きくなるほど、直径が大きくなって単結晶の径方向の外
側に現れる。そして、引き上げ炉によって若干その値は
異なるが、引き上げ速度を0.8 mm/分程度以上の高速
にすると、R−OSF部が面内の外側に抜けてしまって
消滅し、R−OSF内側領域のR−OSF内側結晶が全
域に広がった状態の単結晶が引き上げられる。そのR−
OSF内側領域には赤外散乱体,FPDと呼ばれる初期
耐圧特性の劣化因子となる結晶欠陥が存在する。
【0008】結晶の引き上げ速度を高速化することによ
って結晶内に保持される空孔(存在すべき単結晶原子が
抜けた部分)の濃度が大きくなって、空孔が引き上げ時
の1150〜1050℃の温度領域で凝集し、空孔及びその凝集
体と格子間酸素原子とが析出することによって、赤外散
乱体,FPDが形成される。すなわち、この赤外散乱
体,FPDは引き上げ熱履歴の1150〜1050℃の温度領域
を通過するため、赤外散乱体,FPDが形成及び成長
し、結晶品質の低下につながることになる。
【0009】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、融液から引き上げた単結晶を切り離して急冷す
ることにより、結晶欠陥(転位クラスタ,赤外散乱体,
FPD)が形成される温度よりも高い部位では、それら
の結晶欠陥が存在しない単結晶を得ることができる単結
晶引き上げ方法を提供することを目的とする。
【0010】本発明の他の目的は、融液から引き上げた
単結晶を切り離して急冷することにより、酸素の析出を
非常に促進する従来とは異なった単結晶を得ることがで
きる単結晶引き上げ方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る単結晶引
き上げ方法は、単結晶原料を溶融させた融液から単結晶
を成長させながら引き上げる方法において、R−OSF
部が内側に閉じたR−OSF外側結晶からなる単結晶を
前記融液から引き上げる工程と、引き上げた単結晶を前
記融液から切り離す工程と、切り離した単結晶を上昇さ
せることにより冷却する工程とを有することを特徴とす
る。
【0012】請求項2に係る単結晶引き上げ方法は、単
結晶原料を溶融させた融液から単結晶を成長させながら
引き上げる方法において、R−OSF部が外側に抜けた
R−OSF内側結晶からなる単結晶を前記融液から引き
上げる工程と、引き上げた単結晶を前記融液から切り離
す工程と、切り離した単結晶を上昇させることにより冷
却する工程とを有することを特徴とする。
【0013】請求項3に係る単結晶引き上げ方法は、請
求項1または2において、切り離した単結晶を上昇させ
る際の速度を10mm/分以上とすることを特徴とする。
【0014】請求項4に係る単結晶引き上げ方法は、請
求項3において、切り離した単結晶を上昇させる際の速
度を10mm/分以上の第1速度と該第1速度より速い30
0 mm/分以上の第2速度との2段階にて交互に変えて
いくことを特徴とする。
【0015】請求項5に係る単結晶引き上げ方法は、請
求項1〜4の何れかにおいて、引き上げた単結晶を前記
融液から切り離す際に、単結晶の切り離し速度を300 m
m/分以上とし、単結晶の融液からの切り離し距離を20
mm以上とすることを特徴とする。
【0016】第1発明では、R−OSF外側結晶のみが
形成される程に低速にて単結晶を引き上げた後、その引
き上げた単結晶を融液から切り離して急冷する(請求項
1)。そうすると、転位クラスタが形成される温度より
も高い部位の引き上げ単結晶は、転位クラスタが存在し
ない単結晶となる。第1発明は、切り離し急冷法を用い
て、欠陥がないそのような単結晶(R−OSF部が内側
に閉じたR−OSF外側結晶)を得るための引き上げ方
法である。
【0017】その具体的な方法は、まず、0.4 mm/分
程度の低速引き上げによりR−OSF外側結晶のみの単
結晶を引き上げる。次いで、その単結晶を無転位状態に
て融液から切り離す。この際の条件は、切り離し時の速
度を300 mm/分以上とし、単結晶の融液からの切り離
し距離を20mm以上とする(請求項5)。その後切り離
した単結晶を高速で上昇させて急冷する。この際の条件
は、切り離した単結晶を10mm/分以上の速度で上昇さ
せるか(請求項3)、または、更なる高速急冷な手法と
して、切り離した単結晶を10mm/分以上と300 mm/
分以上との上昇速度を交互に変えて上昇させるか(請求
項4)により急冷する。引き上げ速度を低速にすること
によって得られるR−OSF部が内側に閉じたR−OS
F外側領域を上記の切り離し急冷法を用いて育成する方
法である。
【0018】第1発明では、上記のような手法の切り離
し急冷によって、融点〜950 ℃まで低速で引き上がった
領域、即ち、固液界面から直上の950 ℃以上の温度領域
から急冷された部位では、通常の低速引き上げのR−O
SF外側結晶では形成されてしまう転位クラスタが形成
されない引き上げ単結晶を得ることができる。
【0019】第2発明では、R−OSF内側結晶のみが
形成される程に高速にて単結晶を引き上げた後、その引
き上げた単結晶を融液から切り離して急冷する(請求項
2)。そうすると、赤外散乱体,FPDが形成される温
度よりも高い部位の引き上げ単結晶は、これらの結晶欠
陥が存在しない単結晶となる。第2発明は、切り離し急
冷法を用いて、欠陥がないそのような単結晶(R−OS
F部が外側に抜けたR−OSF内側結晶)を得るための
引き上げ方法である。
【0020】その具体的な方法は、まず、0.8 mm/分
程度以上の高速引き上げによりR−OSF内側結晶のみ
の単結晶を引き上げる。次いで、その単結晶を無転位状
態にて融液から切り離す。この際の条件は、切り離し時
の速度を300 mm/分以上とし、単結晶の融液からの切
り離し距離を20mm以上とする(請求項5)。その後切
り離した単結晶を高速で上昇させて急冷する。この際の
条件は、切り離した単結晶を10mm/分以上の速度で上
昇させるか(請求項3)、または、更なる高速急冷な手
法として、切り離した単結晶を10mm/分以上と300 m
m/分以上との上昇速度を交互に変えて上昇させるか
(請求項4)により急冷する。引き上げ速度を高速にす
ることによって得られるR−OSF部が外側に抜けたR
−OSF内側領域を上記の切り離し急冷法を用いて育成
する方法である。
【0021】第2発明では、上記のような手法の切り離
し急冷によって、融点〜1050℃まで高速で引き上がった
領域、即ち、固液界面から直上の1050℃以上の温度領域
から急冷された部位では、通常の高速引き上げのR−O
SF内側結晶では形成されてしまう赤外散乱体,FPD
が形成されない引き上げ単結晶を得ることができる。
【0022】引き上げ時の最高温部(融点〜1250℃)の
領域では引き上げ速度が小さくなる程軸方向の固液界面
への空孔の拡散が生ずる時間が長くなり、結晶に保持さ
れる空孔は固液界面で消滅するため、結晶中に保持され
る空孔の濃度は小さくなる。この空孔の濃度が大きくな
ると空孔がエネルギ的に安定な状態で存在する熱平衡濃
度との比が大きくなり、即ち空孔の過飽和度が大きくな
り、ある温度まで結晶が冷えると空孔は凝集して赤外散
乱体,FPDの生成及び成長となる。
【0023】この場合引き上げ速度が大きくなると高温
部(1200〜1050℃)で生成する赤外散乱体,FPDのも
ととなる空孔の濃度が上述のようにして大きくなり、引
き上げ速度が小さくなった場合の空孔の濃度が小さいも
のよりもより高温で赤外散乱体,FPDが生成される。
即ち、引き上げ速度が大きくなると、空孔の濃度が大き
い分だけ多数の空孔が結晶中に保持されるため、より高
温で空孔の過飽和度が大きくなり、より高温側で空孔が
凝集を始めて、赤外散乱体,FPDが生成されることに
なる。
【0024】よって、R−OSF内側結晶での赤外散乱
体,FPDの形成温度を下げて、単結晶のボトム側にお
いて出来る限り長い部位にわたって赤外散乱体,FPD
が生成されない領域を得る、即ち、R−OSF部が大き
く内側へ侵入しない程度に引き上げ速度を可能な限り低
速化することによって、R−OSF部の内側での空孔の
濃度をできるだけ小さくし、赤外散乱体,FPDができ
始める温度を小さくして赤外散乱体,FPDが生成され
ていない領域をできるだけ多くすることが可能である。
【0025】また、第2発明において、切り離し急冷に
よって赤外散乱体,FPDを生成させなかったR−OS
F内側結晶の部位では、赤外散乱体,FPDに空孔が吸
収されておらず、多数の空孔が存在し、赤外散乱体,F
PDのもととなる空孔が過飽和に存在する。この空孔は
酸素の析出を促進させる役割を果たし、デバイス工程で
の重金属のゲッタリングといった酸素析出を必要とする
場合に、この空孔による酸素析出を促進させて多数の酸
素析出物が形成され、ゲッタリングサイトを生成させる
ことに役立つ。
【0026】結晶中に過飽和にある酸素原子がSi原子
に反応して、酸素析出物へ成長した場合、体積はどんど
ん大きくなり、その酸素析出物は周りのSi原子の母相
を圧縮することになり、即ち、エネルギ的に非常に高く
て、母相にとっては窮屈になるため酸素析出が進まなく
なる。しかし、その酸素析出物の周りに空孔が存在した
場合、酸素析出物は空孔のところで容易にその体積が膨
張して成長することができる。空孔が存在すると酸素析
出が促進される理由はここにある。逆に、赤外散乱体,
FPDが生成されて空孔が吸収され、母相中での空孔の
濃度が小さくなってしまうと、酸素析出の空孔による促
進はなくなってしまう。即ち、赤外散乱体,FPDが生
成された領域は酸素析出の促進がなくなり、酸素析出物
の過剰な形成はなくなる。従って、酸素析出を促進させ
たい場合は、空孔が過飽和な領域を設ける必要があり、
そのような領域は切り離し急冷によって赤外散乱体,F
PDが生成されていない部位に形成される。
【0027】以上のように本発明の引き上げ方法を用い
る場合、酸素の析出が非常に促進され、従来とは異なっ
た酸素析出を促進する単結晶を引き上げることが可能で
ある。この際、より低速にて引き上げた方が酸素析出を
より促進できる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0029】図1は単結晶引き上げ装置の模式的縦断面
図であり、図中1はメインチャンバを示している。メイ
ンチャンバ1は、円筒形状の真空容器であり、メインチ
ャンバ1の中央位置には坩堝3が配設されている。坩堝
3は、有底円筒形状の石英製の内層保持容器3aとこの内
層保持容器3aの外側に嵌合された同じく有底円筒形状の
黒鉛製の外層保持容器3bとから構成されている。
【0030】本例では、例えば直径が18インチ、高さが
12インチの内層保持容器3aを用いている。この坩堝3の
外層保持容器3bの底部には、坩堝3を回転及び昇降させ
る軸10が設けられており、坩堝3の外周には、例えば30
0 mm程度の発熱長を有するヒータ4が同心円筒状に配
設されている。また、ヒータ4の外側には保温筒5が周
設されている。
【0031】一方、坩堝3の上方にはメインチャンバ1
の上部に連設形成された小型の円筒形状のプルチャンバ
2を通して、引き上げ軸11が回転及び昇降可能に垂設さ
れており、引き上げ軸11の下端には種結晶6がシードチ
ャック7に着脱可能に装着されている。そして、この種
結晶6の下端を融液8中に浸漬した後、種結晶6及び坩
堝3を回転させつつ上昇させることにより、種結晶6の
下端から単結晶9を成長させていくようになっている。
【0032】このように構成された単結晶引き上げ装置
を用いて単結晶9を成長させる場合は、坩堝3内に結晶
用原料として45kgのシリコン多結晶を充填し、単結晶
9中の電気抵抗率が10Ωcm程度になるように、その中
にp型ドーパントのボロンを添加する。そして、メイン
チャンバ1及びプルチャンバ2内を10TorrのAr雰
囲気にした後、ヒータ4のパワーを65kW程度にして全
ての結晶用原料を溶融する。
【0033】次に、ヒータ4のパワーを50kW程度に
し、ヒータ4の位置を調整する。この後、種結晶6の下
端を融液8に浸漬し、坩堝3及び引き上げ軸11を、坩堝
3の回転/引き上げ軸11の回転=12rpm/20rpmの
比で回転させつつ単結晶9を引き上げる。単結晶9の引
き上げがネック部,ショルダ部と移行し、ボディ部へ移
った後にヒータ4のパワー及び引き上げ速度を調整し、
一定の引き上げ速度で、引き上げ結晶の直径154 mmが
維持されるようにヒータ4のパワーを調整しながら、所
定の結晶長の単結晶9を引き上げる。
【0034】その後、引き上げた単結晶9を融液8から
切り離し、切り離した単結晶9を引き上げ軸11にて上昇
させて急冷させて、プルチャンバ2から取り出す。な
お、きり離した後にその位置で単結晶9を所定時間停止
させ、その後、引き上げ急冷するようにしてもよい。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0036】実施例1.一定の引き上げ速度として、具
体的には0.4 mm/分,0.35mm/分,0.3 mm/分の
3種類の場合のそれぞれについて、単結晶9を引き上
げ、そのボディ部が300 mmの長さに達したところで、
上昇速度を600 mm/分にして25mmその速度で単結晶
9を融液8から切り離し、その後、上昇速度を10mm/
分と600 mm/分とを交互に変えながら、切り離した単
結晶9を上昇させてプルチャンバ2から取り出した。こ
の実施例1の場合では、引き上げ速度が低速であり、R
−OSF部が内側に閉じたR−OSF外側結晶を成長で
きる。
【0037】図2〜図4は、実施例1において引き上げ
速度が異なる3種類の場合において得られた結晶を縦割
りにして、Cuを塗布し、900 ℃で熱処理して転位クラ
スタを顕在化した後に撮影したX線トポグラフ写真であ
り、切り離し時の結晶の温度と欠陥の分布とを示してい
る。これらの写真から、転位クラスタが950 ℃付近から
生成されていることがわかり、その温度以上から急冷さ
れている部位では転位クラスタがないことがわかる。
【0038】実施例2.一定の引き上げ速度として、具
体的には1.0 mm/分,0.7 mm/分の2種類の場合の
それぞれについて、単結晶9を引き上げ、そのボディ部
が400 mmの長さに達したところで、上昇速度を600 m
m/分にして25mmその速度で単結晶9を融液8から切
り離し、その後、上昇速度を10mm/分と600 mm/分
とを交互に変えながら、切り離した単結晶9を上昇させ
てプルチャンバ2から取り出した。この実施例2の場合
では、引き上げ速度が高速であり、R−OSF部が外側
に抜けたR−OSF内側結晶を成長できる。
【0039】図5は、実施例2において引き上げ速度が
異なる2種類の場合において得られた結晶の中心におけ
る軸方向の赤外散乱体の密度分布を示すグラフである。
グラフの縦軸は赤外散乱体の密度、横軸は軸方向位置を
示し、横軸の400 mmの点が切り離されたボトムの位置
である。また、○は引き上げ速度が1.0 mm/分の場
合、●は引き上げ速度が0.7 mm/分の場合をそれぞれ
示す。1.0 mm/分で引き上げた場合には1110℃前後の
高温側で赤外散乱体の核が生成され始め、0.7 mm/分
で引き上げた場合には1060℃前後の低温側で赤外散乱体
の核が生成され始めており、それぞれの温度より高温領
域で切り離された部位では赤外散乱体が生成されていな
い。
【0040】図6は、実施例2において引き上げ速度が
異なる2種類の場合において得られた結晶の中心におけ
る軸方向のFPDの密度分布を示すグラフである。グラ
フの縦軸はFPDの密度、横軸は軸方向位置を示す。ま
た、○は引き上げ速度が1.0mm/分の場合、●は引き
上げ速度が0.7 mm/分の場合をそれぞれ示す。赤外散
乱体と同様に、1.0 mm/分で引き上げた場合には1110
℃前後の高温側でFPDが生成され始め、0.7 mm/分
で引き上げた場合には1060℃前後の低温側でFPDが生
成され始めており、それぞれの温度より高温領域で切り
離された部位ではFPDが生成されていない。
【0041】従って、図5,6の結果から、それぞれの
温度(引き上げ速度が1.0 mm/分では1110℃前後,引
き上げ速度が0.7 mm/分では1060℃前後)より高温領
域で切り離された部位では、赤外散乱体,FPDが存在
しない単結晶を得ることができる。
【0042】図7は、実施例2において引き上げ速度が
異なる2種類の場合において得られた結晶の中心におけ
る軸方向の酸素析出量を示すグラフである。グラフの縦
軸は酸素析出量、横軸は軸方向位置を示す。また、○−
○は引き上げ速度が1.0 mm/分の場合、●−●は引き
上げ速度が0.7 mm/分の場合をそれぞれ示す。いずれ
の場合にあっても、赤外散乱体,FPDが形成されてい
ないボトム部は、酸素析出量が多く、異常酸素析出促進
領域となっている。
【0043】赤外散乱体は最高温部(融点〜1250℃)で
保持された空孔の濃度に応じて核形成開始温度が変化
し、空孔濃度が大きい程より高温から赤外散乱体が形成
される(図5参照)。そして、何れの引き上げ速度の場
合も赤外散乱体の生成に伴って異常酸素析出は消滅して
いるので、R−OSF内側結晶を切り離し冷却すると、
最高温部(融点〜1250℃)では空孔が過飽和に存在し、
次の高温部(1150〜1050℃)で赤外散乱体が核形成及び
成長することによって空孔が消費され、空孔濃度が異常
酸素析出に必要な過飽和な空孔濃度よりも小さくなった
ことが異常酸素析出の消滅につながると考えられる。
【0044】従って、単結晶引き上げ時の引き上げ速度
をR−OSF部が大きく内側へと侵入しない最低の速度
まで下げることによって、引き上げ時の最高温部(融点
〜1250℃)で保持される空孔の濃度を小さくして、赤外
散乱体,FPDの形成温度を低温化することにより、固
液界面側のボトムからのより低温側において赤外散乱
体,FPDを生成させることができ、これらの欠陥がな
い単結晶をより長く得ることができる。
【0045】また、単結晶引き上げ時の引き上げ速度を
R−OSF部が大きく内側へと侵入しない最低の速度ま
で下げることによって、引き上げ時の最高温部(融点〜
1250℃)で保持される空孔の濃度を小さくして、赤外散
乱体,FPDの形成温度を低温化することによって、固
液界面側のボトムからより低温側まで酸素析出が非常に
促進される領域を生成させることができる。
【0046】図8,図9は、実施例2において引き上げ
速度が1.0 mm/分,0.7 mm/分の場合において得ら
れた結晶を熱処理した後に撮影したX線トポグラフ写真
である。写真における温度は、切り離し直前で融液とつ
ながっていたときの結晶の各部の温度である。白くなっ
ているところが赤外散乱体が生成されていない部位であ
り、酸素析出が促進されている領域である。即ち、赤外
散乱体が生成されずに空孔が過飽和に凍結された部位で
ある。ここで、図9(引き上げ速度:0.7 mm/分)の
方が図8(引き上げ速度:1.0 mm/分)よりも上部ま
で酸素の異常析出が生じており、赤外散乱体もより上部
つまり低温側でしか生成されていない。これは、前述し
たように、引き上げ速度が遅いほど取り込まれた空孔の
濃度が小さくなり、赤外散乱体の生成がより低温化し、
酸素析出の促進領域も長くなったためである。この結
果、より低速で引き上げた方が酸素析出をより促進する
ことがわかる。
【0047】
【発明の効果】以上のように第1発明では、R−OSF
外側結晶のみが形成される程に低速にて単結晶を引き上
げた後、その引き上げた単結晶を融液から切り離して急
冷するので、融点〜950 ℃まで低速で引き上がった領
域、即ち、固液界面から直上の950 ℃以上の温度領域か
ら急冷された部位では、転位クラスタが形成されない状
態の引き上げ単結晶を得ることができる。
【0048】一方、第2発明では、R−OSF内側結晶
のみが形成される程に高速にて単結晶を引き上げた後、
その引き上げた単結晶を融液から切り離して急冷するの
で、融点〜1050℃まで高速で引き上がった領域、即ち、
固液界面から直上の1050℃以上の温度領域から急冷され
た部位では、赤外散乱体,FPDが形成されない状態の
引き上げ単結晶を得ることができる。
【0049】また、第2発明では、融点〜1050℃まで高
速で引き上がった領域、即ち、固液界面から直上の1050
℃以上の温度領域から急冷された部位では、空孔が過飽
和になっており、酸素析出が非常に促進される領域を有
する単結晶を得ることができる。なお、第2発明にて得
られるR−OSF内側結晶では、より低速にて引き上げ
た後に切り離した結晶の方が、酸素析出の促進効果はよ
り高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶引き上げ装置の模式的縦断面図である。
【図2】実施例1により引き上げた(引き上げ速度:0.
4 mm/分)単結晶のX線トポグラフ写真である。
【図3】実施例1により引き上げた(引き上げ速度:0.
35mm/分)単結晶のX線トポグラフ写真である。
【図4】実施例1により引き上げた(引き上げ速度:0.
3 mm/分)単結晶のX線トポグラフ写真である。
【図5】実施例2により引き上げた単結晶における赤外
散乱体の軸方向の密度分布を示すグラフである。
【図6】実施例2により引き上げた単結晶におけるFP
Dの軸方向の密度分布を示すグラフである。
【図7】実施例2により引き上げた単結晶におけるFP
Dの軸方向の酸素析出量分布を示すグラフである。
【図8】実施例2により引き上げた(引き上げ速度:1.
0 mm/分)単結晶のX線トポグラフ写真である。
【図9】実施例2により引き上げた(引き上げ速度:0.
7 mm/分)単結晶のX線トポグラフ写真である。
【符号の説明】
1 メインチャンバ 2 プルチャンバ 3 坩堝 4 ヒータ 5 保温筒 6 種結晶 7 シードチャック 8 融液 9 単結晶 10 軸 11 引き上げ軸

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶原料を溶融させた融液から単結晶
    を成長させながら引き上げる方法において、R−OSF
    部が内側に閉じたR−OSF外側結晶からなる単結晶を
    前記融液から引き上げる工程と、引き上げた単結晶を前
    記融液から切り離す工程と、切り離した単結晶を上昇さ
    せることにより冷却する工程とを有することを特徴とす
    る単結晶引き上げ方法。
  2. 【請求項2】 単結晶原料を溶融させた融液から単結晶
    を成長させながら引き上げる方法において、R−OSF
    部が外側に抜けたR−OSF内側結晶からなる単結晶を
    前記融液から引き上げる工程と、引き上げた単結晶を前
    記融液から切り離す工程と、切り離した単結晶を上昇さ
    せることにより冷却する工程とを有することを特徴とす
    る単結晶引き上げ方法。
  3. 【請求項3】 切り離した単結晶を上昇させる際の速度
    を10mm/分以上とすることを特徴とする請求項1また
    は2記載の単結晶引き上げ方法。
  4. 【請求項4】 切り離した単結晶を上昇させる際の速度
    を10mm/分以上の第1速度と該第1速度より速い300
    mm/分以上の第2速度との2段階にて交互に変えてい
    くことを特徴とする請求項3記載の単結晶引き上げ方
    法。
  5. 【請求項5】 引き上げた単結晶を前記融液から切り離
    す際に、単結晶の切り離し速度を300 mm/分以上と
    し、単結晶の融液からの切り離し距離を20mm以上とす
    ることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の単結
    晶引き上げ方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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