JP2004269335A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いゲッタリング能力を持つ、窒素ドープのP型(ボロンドープ)単結晶を、高い生産性で、低コストで製造することができる単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】ルツボに多結晶原料を収容し、これを加熱溶融した原料融液から種結晶を融着後引き上げて単結晶を育成するチョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、前記単結晶にドーパントとして窒素とボロンを添加する場合に、ドープ剤として、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用い、いずれか一方のドープ剤を前記多結晶原料と共にルツボに収容して溶融させた後、該原料融液に他方のドープ剤を添加して溶融させ、その後、前記単結晶の育成を行うことを特徴とする単結晶の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単結晶の製造方法、特に、ドーパントとして窒素とボロンを添加するシリコン単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン単結晶等の単結晶を製造する方法として、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯法(FZ法)が知られている。
CZ法によりシリコン単結晶を製造するには、ルツボに原料として多結晶シリコンを収容し、これを加熱溶融した原料融液に種結晶を融着させた後、回転しながら徐々に引き上げることで単結晶が育成される。なお、近年では、単結晶の大型化が進み、融液に磁場を印加しながら単結晶を育成する、いわゆるMCZ法が用いられることが多くなっている。
【0003】
育成されたシリコン単結晶は、その後、スライス、面取り、研磨等の加工を経て鏡面ウエーハとされるが、さらに、その上にエピタキシャル層を成長させる場合がある。このようなエピタキシャルウエーハでは、基板となるシリコンウエーハ上に重金属不純物が存在すると、半導体デバイスの特性不良を起こしてしまうため、重金属不純物は極力減少させる必要がある。
【0004】
そのため、重金属不純物を低減させる技術の一つとしてゲッタリング技術の重要性がますます高くなってきており、エピタキシャルウエーハの基板として、ゲッタリング効果の高い、低抵抗率(例えば0.1Ω・cm以下)のP型シリコンウエーハを用いることも多くなっている。
また、BMDの増加やグローンイン(Grown−in)欠陥サイズの制御等を目的として窒素ドープされることも多くなってきている。
そこで、近年では、MCZ法(あるいはCZ法)により、直径が200mm以上、特に300mmにもなる大口径であって、ゲッタリングの問題等から窒素ドープした低抵抗のP型シリコン単結晶を育成することが多くなってきている。
【0005】
例えば、CZ法によりP型シリコン単結晶を育成するには、抵抗率を制御するドーパントとして一般的にボロンが使用されている。ボロンドープ剤としては、具体的には、金属ボロンエレメントを使う場合と、一度シリコンに溶かし込んだ合金を用いる場合がある。
【0006】
一方、窒素をドーピングする方法に関しては、窒化物等の固体を用いる場合と、窒素含有ガスを用いる場合がある。
固体の窒素ドープ剤を用いる方法としては、シリコン融液中に窒化ケイ素粉末の焼結品等の窒化物を混合する方法(特許文献1参照)、窒素をドープしたFZシリコンあるいは窒化ケイ素膜を形成したシリコンウエーハを原料に添加する方法(特許文献2参照)等が提案されている。
また、窒素含有ガスを用いる方法としては、原料となる多結晶シリコンの溶融を窒素雰囲気で行う方法(特許文献2参照)や、窒素含有雰囲気で単結晶を育成する方法(特許文献5参照)等が知られている。
なお、FZ法によりシリコン単結晶を育成する場合については、窒素含有雰囲気下でシリコン単結晶を育成する方法が開示されている(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0007】
ところで、CZ法により単結晶を育成すると、育成中に転位が発生(有転位化)する場合がある。このような有転位化が発生した場合には、育成した単結晶を溶融し直し(再溶融)、再び単結晶の育成を行うことになる。しかし、窒素含有雰囲気による窒素ドープを行うと、育成した結晶の表面に窒化膜が成長してしまうため、結晶が乱れたときに再溶融して育成し直すとなると、結晶中の窒素濃度を制御することがほとんど不可能となる。そのため、CZ法では、窒化ケイ素等の固体のドープ剤を用いてドーピングを行うのが一般的である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−251190号公報
【特許文献2】
特開平5−294780号公報
【特許文献3】
特開昭57−17497号公報
【特許文献4】
特開平8−91993号公報
【特許文献5】
特開2000−53489号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、CZ法により窒素ドープのP型単結晶を育成する場合には、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用いることが多く、石英ルツボ内に、多結晶シリコン原料と共にボロンドープ剤と窒素ドープ剤を収容し、一緒に溶融した後に結晶の育成を行っている。
ところが、本発明者らの調査によると、窒素ドープしたP型(ボロンドープ)の単結晶を上記のように育成すると、窒素を添加しない単結晶成長の場合と比較して有転位化する頻度が高く、有転位化した単結晶を溶かして育成をやり直す回数も多くなり、生産性の低下を招くという問題があることがわかった。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、高いゲッタリング能力を持つ、窒素ドープのP型(ボロンドープ)単結晶を、高い生産性で、低コストで製造することができる単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明によれば、ルツボに多結晶原料を収容し、これを加熱溶融した原料融液から種結晶を融着後引き上げて単結晶を育成するチョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、前記単結晶にドーパントとして窒素とボロンを添加する場合に、ドープ剤として、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用い、いずれか一方のドープ剤を前記多結晶原料と共にルツボに収容して溶融させた後、該原料融液に他方のドープ剤を添加して溶融させ、その後、前記単結晶の育成を行うことを特徴とする単結晶の製造方法が提供される(請求項1)。
【0012】
後述するように、本発明者等の分析により、CZ法により単結晶を製造する際の有転位化の発生原因の一つは、溶融工程において形成される窒化ボロン(BN)であることが判明した。そこで、上記のように窒素ドープ剤とボロンドープ剤とを別々に溶融させれば、固体状態の窒素ドープ剤とボロンドープ剤とが原料融液に共存することがなく、窒素とボロンとの反応が抑制され、窒化ボロンの形成を抑えることができるが分かった。従って、上記のように固体ドープ剤をそれぞれ別々に溶融後、単結晶の育成を行えば、窒化ボロンに起因する有転位化が防止されるので、生産性の向上を図ることができ、高いゲッタリング能力を持つ、窒素ドープしたP型シリコン単結晶を低コストで製造することができる。
【0013】
この場合、前記一方のドープ剤を多結晶原料と共に溶融させた後、原料融液の表面を固化させ、該表面が固化した融液に前記他方のドープ剤を添加し、前記表面が固化した融液と共に溶融させることが好ましい(請求項2)。
後から添加するドープ剤を添加する際、原料融液の表面を固化しておけば、融液がはね上がるのを防止して安全性を高めることができ、また、固化した表面とともにドープ剤を確実に溶融することができ、単結晶の有転位化回数を少なくすることができる。
【0014】
ボロンドープ剤は、育成される単結晶の抵抗率が0.001Ωcm以上、1000Ωcm以下となるボロン濃度となるように添加することが好ましい(請求項3)。
1000Ωcmを超える高抵抗では、ボロンの添加量が少なく、それほど問題とはならないし、また、0.001Ωcm未満ではボロンの固溶限近くとなり、結晶が単結晶化し難い。一方、上記の抵抗率範囲のボロンドープ単結晶育成時にBN起因の有転位化が発生しやすいので、特に本発明が有効である。
【0015】
一方、窒素ドープ剤は、育成される単結晶中の窒素濃度が1×1010/cm以上、5×1015/cm以下となるように添加することが好ましい(請求項4)。
原料融液に添加する窒素ドープ剤の量により育成する単結晶中の窒素濃度を調整することができるが、上記範囲の窒素濃度となるように窒素ドープ剤を添加して単結晶を育成すれば、単結晶化に悪影響が無く、BMDやグローンイン欠陥の制御効果を十分発揮し、ゲッタリング能力に一層優れた単結晶を確実に製造することができる。
【0016】
前記単結晶として、シリコン単結晶を育成することが好ましい(請求項5)。
シリコン単結晶は需要が高く、本発明を適用して製造すれば、高品質の窒素ドープP型シリコン単結晶をより低コストで製造することができる。
【0017】
また、単結晶の育成に際し、前記原料融液に少なくとも300ガウス以上の磁場を印加して単結晶の育成を行うことが好ましい(請求項6)。
近年、MCZ法により単結晶を製造する場合が多いが、300ガウス以上の磁場強度で磁場を印加すると、融液の対流の抑制効果が大きくなり、温度勾配がつき易くなる。そのため、ルツボ温度が高くなって、窒化ボロンが生成し易くなるが、本発明では窒化ボロンの形成が抑制されるため、MCZ法により単結晶を育成する場合に有転位化を防止して、大口径で、ゲッタリング能力の高い単結晶を高い生産性で製造することができる。
【0018】
前記単結晶として、直径が200mm以上の単結晶を育成することが好ましい(請求項7)。
直径が200mm以上となる大口径単結晶を育成する場合には、ルツボから結晶までの距離が遠くなるためルツボ温度が高くなりやすく、窒化ボロンが生成され易い。従って、本発明を適用することで窒化ボロンの形成が抑制され、大口径の単結晶を高い生産性で製造することができる。
【0019】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明者等は、様々な分析法(IR、X線回折、ラマン分光、蛍光X線等)を用いて種々の有転位化状況の検証を行い、ボロンドープ低抵抗シリコン単結晶が有転位化する原因の一つが、窒素とボロンとが反応して形成される窒化ボロン(BN)であると特定することができた。窒化ボロンは約1500℃程度の温度で発生するが、一度発生すると3000℃の加圧状態でないと溶けない物質であり、有転位化の原因となる物質である。このような窒化ボロンが育成中の単結晶に付着すると、成長単結晶に転位が発生すると考えられる。
【0020】
そこで、本発明者らは、このような窒化ボロンの形成を抑えるため、固体状態の窒素ドープ剤およびボロンドープ剤がシリコン溶融液中に共存することがないように、窒素ドープ剤の溶融を終えた後にボロンドープ剤を追加して溶融する、もしくは逆にボロンドープ剤を溶融し終えてから窒素ドープ剤を投入して溶融するといったように別々に溶融することで窒化ボロンの形成が抑制され、有転位化の発生頻度が減少し、結果的に生産性の向上及び低コスト化を図ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、好適な態様として、本発明においてCZ法により、ドーパントとしてボロンと窒素を添加したシリコン単結晶を製造する場合について説明する。
図1は、CZ法によりシリコン単結晶を製造する際に使用される単結晶製造装置(引き上げ装置)の一例の概略を示したものである。この単結晶製造装置20は、原料融液4を収容するルツボ5や加熱ヒーター7を備えたメインチャンバー1と、原料融液4から引き上げた単結晶棒3を収容し、それを取り出すための引き上げチャンバー2とを有している。
【0022】
ルツボ5は、内側の石英ルツボ5aと外側の黒鉛ルツボ5bとからなり、ペデスタル15上に載置されて、下方に設けられたルツボ制御手段(不図示)により回転軸16を介して回転させながら昇降を行うことができるようになっている。
ルツボ5の周囲には加熱ヒーター7が配設され、さらにヒーター7の外側には断熱部材8が設けられている。
【0023】
メインチャンバー1と引き上げチャンバー2との間から融液面の近くに至るガス整流筒11が設けられており、さらに整流筒11の先端部に遮熱部材12が設けられている。また、メインチャンバー1の上方には、育成中の単結晶棒3の直径や様子を測定及び観察するための光学系装置(不図示)が設けられている。
【0024】
引き上げチャンバー2は、育成を終了した単結晶3を取り出すことができるように開放可能に構成されており、上方には、ワイヤー(またはシャフト)13を介して単結晶3を回転させながら引き上げる結晶引き上げ手段(不図示)が設置されている。
【0025】
単結晶3の育成の際には、上方より静かにワイヤー13を下降し、ワイヤー13下端のホルダー6に吊された、円柱または角柱状の種結晶14を融液面に着液(融着)させる。次いで、種結晶14を回転させながら上方に静かに引上げて徐々に直径を細くするネッキングを行った後、引上げ速度と温度等を調整して絞り部分を拡径し、単結晶棒3のコーン部の育成に移行する。コーン部を所定の直径まで拡径した後、再度引上げ速度と融液温度を調整して所望直径の直胴部の育成に移る。
【0026】
なお、単結晶3の成長に伴い原料融液4が減って融液面が下がるので、ルツボ5を上昇させることで融液面のレベルを一定に保ち、育成中の単結晶棒3が所定の直径となるように調整される。
また、操業中は、チャンバー1,2内は、ガス導入口10からアルゴンガスが導入され、ガス流出口9から排出することでアルゴンガス雰囲気で行われる。
【0027】
このような装置20を用い、本発明により窒素ドープされたP型のシリコン単結晶を製造するには、まず、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用意し、いずれか一方のドープ剤を多結晶シリコン原料と共にルツボ5に収容してヒーター7により溶融を行う。
例えば、先に窒素ドープ剤を溶融するのであれば、予め窒素ドープされたシリコン、シリコンウエーハの表面に窒化膜を形成したもの、窒化ケイ素粉末の焼結品等、固体状の窒素ドープ剤を、多結晶シリコン原料と一緒に石英ルツボ5a内に入れる。
【0028】
多結晶シリコンと同時に溶融する窒素ドープ剤の量は、育成される単結晶中の窒素濃度に反映されるので、目的とするシリコン単結晶の窒素濃度に応じてドープ剤の量を決めれば良い。ただし、単結晶中の窒素濃度が小さすぎると、BMDやグローンイン欠陥への効果が十分得られないので、十分に不均一核形成を引き起こす1×1010/cm以上とするのが好ましい。
【0029】
一方、融液中の窒素濃度がシリコンへの固溶限界を超えてしまうと単結晶化し難くなるので、育成される単結晶中の窒素濃度が5×1015/cm以下となるように窒素ドープ剤を添加することが好ましい。
所定量の窒素ドープ剤を多結晶シリコンと共にルツボ5に収容した後、ヒータにより加熱して多結晶シリコンと窒素ドープ剤とを完全に溶融させる。
【0030】
窒素ドープ剤と多結晶シリコンの溶融を終えたことを確認した後、この融液にボロンドープ剤を添加する。ボロンドープ剤としては、例えば、金属ボロンエレメント、ボロン含有シリコン等を用いることができる。
【0031】
これらのボロンドープ剤は、融液にそのまま添加しても良いが、ボロンドープ剤を添加したときに原料融液がはね上がるおそれがある。そこで、添加前に、ヒータの出力の低下等により、融液表面の温度を下げて表面のみを固化し、そこにボロンドープ剤を添加することが好ましい。このようにして添加を行えば、融液の飛散を防ぐことができる。そして、その後、固化した融液表面と添加ドープ剤を一緒に溶融すれば、BNを発生させることなく確実にドープ剤を溶融することができる。なお、一旦表面を固化する分、溶融時間は長くなるが、ドープ剤添加後の単結晶の有転位化回数は少なくなるので、シリコン単結晶の育成を含めたトータルの操業時間は短くなり、一層効率的となる。
【0032】
添加するボロンドープ剤の量は、育成される単結晶中のボロン濃度、すなわち抵抗率に反映されるため、目的とするシリコン単結晶の抵抗率に応じて決めれば良い。なお、一般的に、抵抗制御のためにボロンをドープして1000Ωcm以下のP型シリコン単結晶を育成する場合、窒化ボロンが生成し易くなるが、本発明では、窒素ドープ剤とボロンドープ剤とを別々に溶融することで窒化ボロンの形成が抑制され、有転位化の発生を抑制することができる。ただし、抵抗率が0.001Ωcmより小さい単結晶を育成するとなると、融液中のボロン濃度が極めて高くなり、ボロンのシリコンへの固溶限界を超え、単結晶化し難くなる。従って、ボロンドープ剤を、育成される単結晶の抵抗率が0.001Ωcm以上、1000Ωcm以下となるボロン濃度となるように添加することが好ましい。
所望量のボロンドープ剤を添加した後、ヒーター出力の上昇等により、ボロンドープ剤を表面が固化した融液と共に溶融させる。
【0033】
なお、ドープ剤を溶融する順序については、上記の順に限定されず、ボロンドープ剤を多結晶シリコンと共に溶融し終えてから窒素ドープ剤を投入して再度溶融するようにしても良い。いずれにせよ、窒素ドープ剤とボロンドープ剤とを完全に分けて溶融することで、窒素とボロンとの反応による窒化ボロンの形成が抑制されることになる。
【0034】
上記のように両方のドープ剤を別々に溶融した後、原料融液に種結晶を融着させ、回転させながらゆっくりと引き上げ、単結晶の育成を行う。
なお、育成する単結晶の大きさは特に限定されないが、直径が200mm以上、特に300mmにもなる大口径のシリコン単結晶を育成する場合には、メインチャンバー1の外側に磁場印加装置を備えた装置を用い、MCZ法により育成が行われることが多い。このとき300ガウス以上の中心磁場強度で磁場を印加すると、融液の対流の抑制効果が大きくなり、ルツボ温度が高くなって窒化ボロンが形成し易いが、本発明ではドープ剤を別々に溶融することで窒化ボロンの形成が抑制されるため、MCZ法により、大口径で、ゲッタリング能力の高い単結晶を高い生産性で育成することができる。
【0035】
このようにチョクラルスキー法により単結晶棒を育成する際に、固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を、原料融液中で共存しないように別々に溶融して単結晶の育成を行えば、融液中の窒化ボロンの形成が抑制されるので窒化ボロンによる単結晶の有転位化の発生頻度を減少させることができ、生産性の向上を図ることができる。また、従来の製造装置を用いて容易に実施することができるため、新たに製造装置の増設等を必要としない点でも有利である。
【0036】
そして、上記のように製造されたシリコン単結晶は、窒素ドープにより酸素析出が促進されて高いゲッタリング能力を有しており、この単結晶から、スライス、面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の工程を経て得た低抵抗率ウエーハは、ゲッタリング能力に特に優れ、エピタキシャルウエーハ用の基板として有利に使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
<実施例1>
図1に概略を示した単結晶製造装置20(ルツボ径:800mm)を用い、チョクラルスキー法(CZ法)により直径12インチ(300mm)の窒素をドープしたP型(ボロンドープ)シリコン単結晶を育成した。ここで結晶中の窒素濃度は2〜8×1013/cm、抵抗率は1〜10Ωcmの範囲とした。
溶融工程では、ルツボ内に多結晶シリコン原料を320kgチャージし、同時に窒素ドープ用の窒化ケイ素を添加した。これをヒーター加熱により全て溶融した後、ヒータの出力を下げて融液表面のみを固化させ、固化面上に抵抗制御用のボロンを加えて再度溶融を行った。
【0038】
結晶育成工程では、中心磁場強度3500Gの水平磁場を印加し、融液から直胴長さが約100cmの結晶を育成した。
なお、結晶が途中で有転位化してしまった場合には、その結晶を再び溶融して再度育成することとし、製品として使い得る単結晶が得られるまで再溶融・再育成を繰り返すこととした。このような条件の下、全部で6本の結晶を製造した。
【0039】
<比較例>
ルツボ内にシリコン多結晶原料320kgと、窒素ドープ用の窒化ケイ素と、抵抗制御用のボロンとを同時に仕込み、これをヒーター加熱により一度に溶融した。その他の条件は、実施例と同じ条件として単結晶の育成を行った。比較例においても、製品として使い得る単結晶が得られるまで、再溶融・再育成を繰り返すこととし、全部で12本のシリコン単結晶を製造した。
【0040】
<結果>
図2〜4は、実施例及び比較例における溶融時間、有転位化回数、及び生産性に関し、それぞれ比較した結果を示している。
トータルの溶融時間に関しては、実施例ではドープ剤を2回に分けて溶融したため、図2に示されるように一度に全部溶融した比較例に比べて2割程度長くなっている。しかし、有転位化回数については、図3に示されるように実施例では比較例よりも4割少なかった。そのため、図3に示されるように、実施例の方が比較例よりも、最終的には生産性が1割強高かった。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施形態ではシリコン単結晶を製造する場合について説明したが、ドーパントとして窒素とボロンを添加する他の単結晶をCZ法により製造する場合にも適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、チョクラルスキー法によりドーパントとして窒素とボロンを添加した単結晶を育成する際、ドープ剤として、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用い、窒素ドープ剤の溶融を終えた後に、ボロンドープ剤を追加して溶融する、もしくはボロンドープ剤を溶融し終えた後に窒素ドープ剤を投入して溶融するといったように、各ドープ剤を別々に溶融することで、窒化ボロンの形成を抑制することができる。従って、窒化ボロンに起因する単結晶の有転位化の発生頻度を大きく減少させることができ、高ゲッタリング能力を持つ、窒素ドープP型シリコン単結晶を高い生産性で製造することができ、結果的に製造コストの低下を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶製造装置の一例の概略図である。
【図2】実施例及び比較例において原料の溶融にかかった時間を比較したグラフである。
【図3】実施例及び比較例において有転位化が発生した回数を比較したグラフである。
【図4】実施例及び比較例における生産性を比較したグラフである。
【符号の説明】
1…メインチャンバー、 2…引き上げチャンバー、 3…単結晶棒、
4…原料融液、 5…ルツボ、 5a…石英ルツボ、 5b…黒鉛ルツボ、
6…種結晶ホルダー、 7…加熱ヒーター、 8…断熱部材、
9…ガス流出口、 10…ガス導入口、 11…整流筒、 12…遮熱部材、
13…ワイヤー、 14…種結晶、 15…ペデスタル、
16…ルツボ回転軸、 20…単結晶製造装置。

Claims (7)

  1. ルツボに多結晶原料を収容し、これを加熱溶融した原料融液から種結晶を融着後引き上げて単結晶を育成するチョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、前記単結晶にドーパントとして窒素とボロンを添加する場合に、ドープ剤として、それぞれ固体である窒素ドープ剤とボロンドープ剤を用い、いずれか一方のドープ剤を前記多結晶原料と共にルツボに収容して溶融させた後、該原料融液に他方のドープ剤を添加して溶融させ、その後、前記単結晶の育成を行うことを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 前記一方のドープ剤を多結晶原料と共に溶融させた後、原料融液の表面を固化させ、該表面が固化した融液に前記他方のドープ剤を添加し、前記表面が固化した融液と共に溶融させることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記ボロンドープ剤を、育成される単結晶の抵抗率が0.001Ωcm以上、1000Ωcm以下となるボロン濃度となるように添加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記窒素ドープ剤を、育成される単結晶中の窒素濃度が1×1010/cm以上、5×1015/cm以下となるように添加することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法。
  5. 前記単結晶として、シリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法。
  6. 前記単結晶の育成に際し、前記原料融液に少なくとも300ガウス以上の磁場を印加して単結晶の育成を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法。
  7. 前記単結晶として、直径が200mm以上の単結晶を育成することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法。
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