JPH09208209A - 表面処理黒鉛および黒鉛含有不定形耐火物 - Google Patents

表面処理黒鉛および黒鉛含有不定形耐火物

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JPH09208209A
JPH09208209A JP8016529A JP1652996A JPH09208209A JP H09208209 A JPH09208209 A JP H09208209A JP 8016529 A JP8016529 A JP 8016529A JP 1652996 A JP1652996 A JP 1652996A JP H09208209 A JPH09208209 A JP H09208209A
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resin
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JP8016529A
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Masato Takagi
正人 高木
Takashi Haraoka
たかし 原岡
Keiichiro Isomura
敬一郎 磯村
Masato Kumagai
正人 熊谷
Yasunobu Toritani
恭信 鳥谷
Katsufumi Kino
勝文 城野
Junichiro Mori
淳一郎 森
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JFE Steel Corp
JFE Refractories Corp
Original Assignee
Kawasaki Refractories Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒鉛粒子表面に被覆するほう素化合物が抱え
ている、不定形耐火物施工時の硬化遅延を惹起するとい
う問題点を解決することで、施工が容易で耐酸化性に優
れた不定形耐火物を提案すること。 【解決手段】 黒鉛母粒子の表面に、有機樹脂が被覆さ
れたほう素化合物を固着してなる表面処理黒鉛、および
この表面処理黒鉛を4〜40wt%含有する黒鉛含有不定
形耐火物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理黒鉛とそ
の黒鉛を含有する不定形耐火物に関するものであって、
とくに黒鉛の耐酸化性を向上させることにより耐用性に
優れた冶金用不定形耐火物を提供するために開発された
ものである。
【0002】
【従来の技術】黒鉛などの炭素原料を含有する耐火物
は、炭素が本来的に具える特性、即ちスラグに対し濡れ
にくいこと、熱安定性に優れること、高熱伝導性を示し
しかも熱膨張率が小さいといった特性を有することか
ら、従来、冶金用耐火材料として広く利用されている。
例えば、転炉内張り用としてマグネシア・カーボンれん
がを使用したり、トピードカーや連鋳ノズルの耐火物と
してアルミナ・カーボンれんがなどが使用されている。
【0003】一方、近年の耐火材料は、築炉作業の省力
化を目的とした耐火材料の不定形化が進み、たとえば製
鋼鍋用のアルミナ・マグネシア系や高炉樋材としてのア
ルミナ・炭化珪素系などの不定形耐火物が検討されてい
る。このような不定形耐火物への性能要求はますます苛
酷化しているのが実情であり、さらなる耐用性の向上の
ために、炭素材料の一層の改良が求められている。
【0004】ところで、炭素材料の中でも黒鉛は優れた
耐食性を示し、かつ熱安定性に優れることから、冶金用
耐火材料としては実に好ましい素材と言える。しかしな
がら、この黒鉛の場合は耐酸化性に難点があった。そこ
で従来、炭素材料,とりわけ黒鉛に耐酸化性を付与する
試みが行われてきた。こうした耐酸化性付与技術として
は、大別して以下に示すような3つのものが代表的であ
る。 (1) フリット系、りん酸系の釉薬を炭素材料を含む耐火
物の表面に塗布し、酸素の侵入を防止するもの(特開昭
60−6099号公報,特開昭60−166284号公報等)。 (2) 1000℃以上の温度域で黒鉛より酸化しやすい金属ア
ルミニウムや金属シリコン、炭化けい素などの化合物を
添加することにより、酸素を除去すると同時に、自身が
酸化することで体積膨張し、耐火物中の気孔径を狭め、
酸素の侵入を抑制するもの( 特開昭57−34075 号公報,
特開昭60−88073 号公報など) 。 (3) 炭化ほう素、ほう珪酸ガラスフリット、酸化ほう素
など、 500〜1000℃の温度域で酸化、溶融する化合物を
添加することにより、これらの化合物で黒鉛粒子表面を
被覆し、酸素との接触を防止するもの( 特開昭58−8816
7 号公報,特開昭64−45770 号公報等) 。
【0005】これらのうち、上記(1) の技術は、稼働時
に前記釉薬が流出しやすく、一旦流出すると、その後の
耐酸化性が全く期待できない。上記(2) の技術は、使用
環境が1000℃を超える場合には有効であるが、500 〜10
00℃の温度域での炭素の酸化を防止することができな
い。従って、不定形耐火物施工後の加熱,乾燥時におけ
る炭素の酸化消失が避けられない。上記(3) の技術は、
500 〜1000℃の温度領域において耐酸化性を期待でき
る。ただし、炭化ほう素を添加した場合には炭化ほう素
がいったん酸化されて酸化ほう素となったのちに溶融し
黒鉛粒子表面を被覆することから、酸化速度の遅い500
℃近辺での耐酸化性はなお不十分であった。また、ほう
珪酸ガラスフリットも溶融温度が700 ℃付近であるため
に同様の問題点がある。これに対し、酸化ほう素は、溶
融温度が450 ℃ともっとも低温から耐酸化性を期待でき
る。しかしながら、これらのほう素化合物には共通して
含有する酸化ほう素による、不定形耐火物の施工時に硬
化遅延を引き起こすという別の問題点を抱えていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上述した問題点に鑑み、その解決を目指すものであっ
て、黒鉛の耐酸化性向上のために添加するほう素化合
物,特に酸化ほう素,ほう酸などが抱えている不定形耐
火物施工時の硬化遅延を惹起するという問題点を解決
し、黒鉛の耐酸化性向上に有効なほう素化合物の添加を
可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的の実現に向けた
研究の中で発明者らは、課題解決の手段として、下記の
要旨構成にかかる表面処理黒鉛と、これを含有する不定
形耐火物を開発した。すなわち、本発明は、(1) 黒鉛母
粒子の表面に、有機樹脂が被覆されたほう素化合物を固
着してなる表面処理黒鉛、および(2) 骨格成分中に黒鉛
を含有する不定形耐火物において、前記黒鉛として、黒
鉛母粒子の表面に有機樹脂が被覆されたほう素化合物を
固着してなる表面処理黒鉛を、4〜40wt%含有するこ
とを特徴とする黒鉛含有不定形耐火物、である。なお、
上記表面処理黒鉛は充填嵩密度が0.8 g/cc以上のものと
することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】上述したようにこの発明は、不定
形耐火物用黒鉛粒子の耐酸化性を向上させるべく改質し
た表面処理黒鉛と、この表面処理黒鉛を含有する不定形
耐火物に関するものである。黒鉛の耐酸化性を向上させ
るために、本発明では、原料黒鉛粒子の表面を酸化ほう
素などのほう素化合物で覆うこと、しかもそのほう素化
合物の表面はシリコーン樹脂等の有機樹脂で被覆する。
そして、このような表面処理黒鉛を不定形耐火物の骨格
成分として含有させることで、その不定形耐火物施工時
の硬化遅延を防止するようにしたのである。
【0009】本発明にかかる上記表面処理黒鉛におい
て、使用する原料黒鉛の粒子は、平均粒径が1〜50μ
m の大きさのものが好ましい。平均粒径が1μm 未満で
は、粒子の凝集によって嵩密度が低下するため好ましく
なく、一方50μm を超えると、耐火物の耐食性低下を
招くため好ましくないので、上記の範囲に限定される。
【0010】本発明で使用する原料黒鉛としては、天然
りん片状黒鉛、天然土状黒鉛、人造黒鉛など通常入手可
能ないずれの黒鉛も単独あるいは数種を混合して使用す
ることが可能であり、これらを上記の平均粒径まで粉砕
して使用してもよい。
【0011】ここで、ほう素化合物による硬化遅延が起
きる原因については、明らかではないが、ほう素化合物
が水にほう酸イオンとして溶解してカルシウムイオンを
消費することによると思われる。本発明によれば、シリ
コーン樹脂などの有機樹脂を被覆することによって、該
ほう素化合物のこうした直接的な作用を阻止するように
した点に特徴がある。
【0012】なお、発明者らの研究では、本発明におい
て使用可能なほう素化合物としては、酸化ほう素,ほう
酸,ほう砂,ほう酸カルシウム,ほう酸アルミニウム,
ほう酸マグネシウムなどがあることがわかった。
【0013】本発明で用いる上記ほう素化合物は、平均
粒径が大きすぎると黒鉛粒子との固着性が低下すること
から小さいほうが望ましい。しかし、製造コストが高く
なるので、黒鉛粒子の平均粒径の1/10〜1/100 程度
の平均粒径のものとすることが望ましい。
【0014】かかるほう素化合物の表面には、有機樹
脂、例えば、シリコーン樹脂、ふっ素樹脂等のコーティ
ング用有機樹脂を使用することができる。例えば、シリ
コーン樹脂との混合処理によってほう素化合物粒子は、
樹脂で被覆される。このとき、添加する樹脂量はほう素
化合物量の3 〜10wt%の範囲とすることが望ましい。こ
の理由は、3 wt%未満では被覆が不十分で硬化遅延を防
止する効果に乏しい。一方、10wt%を超えても効果の顕
著な改善は見込めないからである。
【0015】このようにして表面がシリコーン樹脂等に
て被覆されたほう素化合物を、さらに黒鉛粒子の表面に
固着する。黒鉛粒子表面への酸化ほう素微粉等の固着の
方法は、一般的なバインダーを用いる方法やメカノケミ
カル改質による方法などが使用可能である。
【0016】黒鉛粒子表面へほう素化合物の固着に当た
っては、バインダーを用いる方法では、フェノール樹
脂、ピッチ、ステアリン酸などの脂肪酸のうちから選ば
れる一種または二種以上を用いることが望ましい。これ
らのバインダーは液状あるいは粉末状のものを使用す
る。
【0017】また、黒鉛粒子をバインダーを使うことな
く、またバインダーと共に機械力の付加を伴うその共働
作用によって被覆する方法もあるが、これにはメカノケ
ミカル改質装置が有利である。このような装置として
は、オングミル(ホソカワミクロン製)、ハイブリダイ
ゼーションシステム(奈良機械製)、ハイエックス(日
清製粉製)、振動ボールミルなどのメカノケミカル改質
装置、あるいはヘンシェルミキサーなどの高速混合機が
よく適合する。これらの装置では、混合粒子に機械的な
衝撃力、磨砕力が与えられるためである。
【0018】なお、上記メカノケミカル改質装置を使っ
て、酸化ほう素粉末等を黒鉛粒子の表面に被覆するに
は、黒鉛粒子、酸化ほう素粉末、および必要に応じてバ
インダーを混合して改質装置内に供給すればよい。
【0019】このような方法によって得られる表面処理
黒鉛は、平均粒径が 120μm 以下となるように、上記改
質装置の処理能力(衝撃力,磨砕力)などの製造条件を
選ぶが、もし粒径が 150μm 以上になるような場合に
は、さらに粉砕して調整することが望ましい。というの
は、黒鉛の粒径が 150μm を超えると耐食性が低下する
からである。
【0020】本発明にかかる表面処理黒鉛粒子の充填嵩
密度は、0.8 g/cc以上であること、より好ましくは 1.0
g/cc以上であることが好ましい。この充填嵩密度が0.8
g/cc未満では、該黒鉛粒子を含有する耐火物組成物のス
ラリーの流動性が低下し、流動性を確保するために混錬
水量を多くする必要が生じる。そして、混錬水量が増加
すると、耐火物の緻密度が低下し、ひいては耐食性の低
下を招くことから好ましくない。即ち、耐食性の過度の
低下を避けるために必要な混錬水量としては8wt%以下
であることが好ましい。なお、この場合における充填嵩
密度とは、粉体をガラス容器などに所定量自然落下させ
た後に上下振動(タップ)を500 回加えたのちの粉体体
積で粉体重量を除したものである。
【0021】次に、上記表面処理黒鉛を配合した本発明
にかかる不定形耐火物について説明する。まず、この不
定形耐火物の骨格成分を構成する骨材としては、塩基
性、中性、酸性のものから選ばれる一種または二種以上
を使用する。例えば、マグネシア、スピネル、アルミ
ナ、ジルコニア、ジルコン、シリカ、ケイ石、ろう石、
バン土質岩、炭化珪素、シャモットなどである。これら
の骨材粒度は、密充填組織が得られるように、粗粒、中
粒、微粒、微粉にそれぞれ分けて調整したものを用いる
ことが望ましい。
【0022】そして、この不定形耐火物中には、上記の
表面処理黒鉛を添加する。その添加量は4〜40wt%の
範囲内である。いわゆる、該表面処理黒鉛の添加量が4
wt%未満では黒鉛のもつ高熱伝導率や耐スラグ性の効果
が十分に得られない。一方、40wt%を超えると、不定
形耐火物の施工時に十分な流動性を与えるために添加す
る水の量 (以下、「可塑水量」という) が増加し、これ
によって耐火物施工体の気孔率が増大し、さきの熱伝導
率や耐スラグ性の効果がかえって低下してしまう。ま
た、本発明にかかる不定形耐火物は、本発明の作用効果
を損なわない範囲であれば、上記骨材の他にさらに他の
微粉成分 (黒鉛粉を含む) や、ファイバー類や金属粉な
どを添加してもよい。
【0023】上記の他の微粉成分としては特に限定され
るものではなく、一般的な不定形耐火物において使用さ
れ、流動性、充填性、焼結性などを向上させる効果をも
つものは全て使用できる。その具体例は、アルミナ、ジ
ルコン、ジルコニア、シリカ、粘土から選ばれる1種ま
たは2種以上である。
【0024】なお、本発明にかかる不定形耐火物中に
は、上述した骨格成分の他に、必要とされる分散剤や硬
化剤、結合剤などを含有する。その分散剤としては、上
記骨材、黒鉛粉、微粉の分散性の向上に効果のあるもの
は全て使用できる。例えば、トリポリリン酸ソーダ、ヘ
キサメタン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性
ヘキサメタリン酸ソーダ、ほう酸ソーダ、炭酸ソーダな
どの無機塩、クエン酸ソーダ、酒石酸塩、ポリアクリル
酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソ
ーダなどの有機塩から選ばれる1種または2種以上が使
用できる。硬化材としては、一般にキャスタブルに使用
しているアルミナセメント、シリカゾル、アルミナゾル
が使用できる。
【0025】さらに、本発明においては、1000℃以上の
高温での耐酸化性付与のため、金属アルミニウムもしく
は金属シリコンなどを添加することも可能である。
【0026】
【実施例】 実施例1 各種のほう素化合物粉末(平均粒径5μm )と有機樹脂
としてシリコーン樹脂をヘンシェルミキサーにて混合
し、ほう素化合物粉末表面に有機樹脂の層を形成して樹
脂被覆ほう素化合物粉末を得た。得られた樹脂被覆ほう
素化合物粉末10重量部と原料黒鉛粉末 (りん片状黒鉛
平均粒径 100μm ,充填嵩密度 0.9g/cc) 50重量部、
フェノール樹脂10重量部とをヘンシェルミキサーに投
入し、ミキサー周囲のジャケットに蒸気を通して内部温
度を 150℃に昇温しながら 500 rpmで混合した。その
後、ジャケットに水を通して冷却し、樹脂被覆酸化ほう
素粉末を固着した表面処理黒鉛粉末を得た。上記表面処
理黒鉛粉末と、耐火物骨材 (主成分アルミナ) 、硬化材
(アルミナセメント) とを混合し、この混合物100 重量
部にさらに水6重量部を添加して混錬した。混錬後の組
成物を40×40×160 mmの型枠に流し込んで成形体を作製
し、このときの硬化時間を測定した。脱枠後の成形体を
管状炉にて、空気流通下10℃/分で 800℃まで昇温し、
この温度にて3 時間保持して酸化試験を行い、酸化試験
後の重量減少率を測定した。
【0027】これらの試験結果をまとめて表1に示す。
また、実験番号1〜5については、酸化ほう素粉末表面
へ被覆したシリコーン樹脂 (コーティング層) の添加量
と硬化時間の関係を図1に示す。なお、従来例として
は、ほう素化合物を用いない場合 (従来例1) 、および
有機樹脂で被覆していない酸化ほう素を用いた場合 (従
来例2) について示す。これらの従来例のものもまた上
記と同じ方法で成形体を作製し、かつ酸化試験を行っ
た。その結果を表1に併せて示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 ほう素酸化物粉末 (平均粒径5μm ) とシリコーン樹脂
とをヘンシェルミキサーにて混合し、ほう素酸化物粉末
表面にシリコーン樹脂の層を形成して樹脂被覆酸化ほう
素粉末を得た。得られた樹脂被覆酸化ほう素粉末10重
量部と原料黒鉛粉末 (りん片状黒鉛/平均粒径 100μm
,充填嵩密度 0.9g/cc) 50重量部とを混合した後、
ハイブリダイゼーションシステム (奈良機械製作所
(株) 製) を用いて60 m/secにて5分間処理し、樹脂被
覆酸化ほう素を固着した黒鉛粉末 (表面処理黒鉛粉末)
を得た。かかる表面処理黒鉛粉末と、耐火物骨材 (主成
分アルミナ) 、硬化材 (アルミナセメント) とを混合
し、この混合物100 重量部にさらに水6重量部を添加し
て混錬した。混錬後の組成物を40×40×160 mmの型枠に
流し込んで成形体を作製し、このときの硬化時間を測定
した。脱枠後の成形体を管状炉にて、空気流通下10℃/
分で800 ℃まで昇温し、この温度にて3時間保持して酸
化試験を行い、酸化試験後の重量減少率を測定した。そ
の結果を表2にまとめて示す。また、実験番号11〜13に
ついて、シリコーン樹脂添加量と硬化時間の関係を図1
に示す。
【0030】
【表2】
【0031】また、上記表面処理黒鉛粉末のうち、表2
における実験番号18番に相当する表面処理黒鉛と、耐火
物骨材 (主成分アルミナ) 、硬化剤 (アルミナセメン
ト) とを添加割合を変えて混合し、この混合物 100重量
部に十分な流動性が得られるよう水を添加して混練し
た。混練後の組成物を上記と同様に型枠に流し込んで成
形体を作製した。この成形体をさらに不活性雰囲気下に
て1400℃で焼成する。焼成後の成形体を冷却後に見かけ
気孔率を測定し、耐食性試験を行う。耐食性試験は、高
周波炉を使用し、銑鉄15kg、高炉スラグ 0.2kgを1580℃
で溶融させ、上記の焼成、冷却後の成形体を5時間浸漬
させて銑鉄とスラグとの界面での成形体の損耗 (=スラ
グ浸透量) を測定した。その結果を表3にまとめて示
す。
【0032】
【表3】
【0033】上述した実施例1、2の結果から、表面が
シリコーン樹脂で被覆されたほう素化合物が表面に固着
した黒鉛を含有する不定形耐火物は、従来例1のように
ほう素化合物を含まない不定形耐火物に対して酸化試験
における重量減少が少なく、耐酸化性が向上している。
一方で、硬化時間は従来例1と大差なく、従来例2より
大幅に短くなっており、硬化遅延防止にも有効なことが
明らかである。また、図1に示されるように、ほう素酸
化物への有機樹脂 (シリコーン樹脂)のコーティング被
覆は、樹脂添加量が3〜10wt%の範囲にあるとき、と
りわけ効果が発現されている。
【0034】また、表3に示されるように、不定形耐火
物中の表面処理黒鉛量が4wt%未満の場合や40wt%を
超えると、成形体の耐食性や強度が低下するため、とも
に好ましくない。
【0035】
【発明の効果】かくして本発明によれば、不定形耐火物
に添加する黒鉛の表面に、ほう素化合物、とくに有機樹
脂で被覆した樹脂被覆ほう素化合物を固着することによ
り、施工時に硬化遅延を起こすことなく、しかも良好な
耐酸化性を付与した表面処理黒鉛が得られるとともに、
施工性の良好な黒鉛含有不定形耐火物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、酸化ほう素粉末表面へ被覆したシリコ
ーン樹脂添加量と硬化時間との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原岡 たかし 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 磯村 敬一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 熊谷 正人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鳥谷 恭信 兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2 川 崎炉材株式会社内 (72)発明者 城野 勝文 兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2 川 崎炉材株式会社内 (72)発明者 森 淳一郎 兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2 川 崎炉材株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛母粒子の表面に、有機樹脂が被覆さ
    れたほう素化合物を固着してなる表面処理黒鉛。
  2. 【請求項2】 骨格成分中に黒鉛を含有する不定形耐火
    物において、前記黒鉛として、黒鉛母粒子の表面に、有
    機樹脂が被覆されたほう素化合物を固着してなる表面処
    理黒鉛を、4〜40wt%含有することを特徴とする黒鉛
    含有不定形耐火物。
JP8016529A 1996-02-01 1996-02-01 表面処理黒鉛および黒鉛含有不定形耐火物 Pending JPH09208209A (ja)

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