JPH09205013A - 防錆被覆層を有するボンド磁石とその防錆被覆処理方法 - Google Patents

防錆被覆層を有するボンド磁石とその防錆被覆処理方法

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JPH09205013A
JPH09205013A JP8032657A JP3265796A JPH09205013A JP H09205013 A JPH09205013 A JP H09205013A JP 8032657 A JP8032657 A JP 8032657A JP 3265796 A JP3265796 A JP 3265796A JP H09205013 A JPH09205013 A JP H09205013A
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rust
bonded magnet
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JP8032657A
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Harumi Hiraoka
春美 平岡
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DAIDOO DENSHI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類ボンド磁石等を成形時の寸法精度を確
保しつつ、極めて薄い防錆被覆層にて耐食性に優れたボ
ンド磁石と、係るボンド磁石を得るための防錆処理方法
を得ること。 【解決手段】 磁石本体の表面の少なくとも該表面に連
通する空隙部内に、充填・被覆された金属粉末の圧縮部
と、この圧縮部を含む磁石の表面全体に被覆されたエポ
キシ等の樹脂層とからなる防錆被覆層を有するボンド磁
石、及び多孔質な磁石本体の表面の少なくとも該表面に
連通する空隙部内に、軟質金属の粉末を圧縮しつつ充填
・被覆する工程と、この磁石の表面全体にエポキシ等の
樹脂を減圧雰囲気下で被覆する工程を含む防錆処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁石粉末をバイン
ダで結合した多孔質なボンド磁石の防錆技術に関し、そ
の代表的な希土類ボンド磁石の円筒状、円盤状、リング
状など各種の形状をなすボンド磁石の成形時の寸法精度
を確保し、極めて薄い防錆被覆層を有するボンド磁石
と、その防錆処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器、特にコンピュータ、通信機器
等の小型化・高性能化に伴うモータ、センサーの小型化
が進み、これらモータ等に用いるプラッスチックボンド
磁石(以下ボンド磁石と称す)も小型化・高性能化を求
められている。従来のボンド磁石はフェライト磁性材を
用いたボンド磁石が主流であったが、今日では、さらに
高い磁気特性の希土類系ボンド磁石が開発されて、磁石
の小型化・高性能化が大きく進んでいる。特にR−Fe
−B系磁性材料を用いるR−Fe−B系ボンド磁石は希
土類ボンド磁石の代表的存在となっている。しかし、こ
のR−Fe−B系ボンド磁石の原料成分は、いずれも極
めて酸化しやすい性質を有しており、特にFe成分が多
量であるために、磁石の素地表面だけでは腐食されやす
い問題があった。更に、この酸化しやすい原料成分の磁
性粉にバインダー成分を加えて、圧縮成形して製品形状
とするボンド磁石の製造上の特徴から、磁石表面は多孔
質であるため空隙部を介して内部と外気が連通するの
で、素地状態のみでは非常に腐食されやすい問題を有す
る磁石である。
【0003】この腐食の問題に対して、樹脂被膜等によ
って表面を被覆して防錆する種々の表面処理方法が用い
られ、製品磁石として実用化されている。代表的な表面
処理方法としてはボンド磁石の表面に種々の樹脂塗装を
施すことであり、一般にスプレー塗装、電着塗装、浸漬
塗装(特開平1-166519号公報、特開平1-245504号公報参
照)などが採用されている。しかしながら、スプレー塗
装においては、適切な樹脂塗料の選択と重ね塗りを施す
ことによって、耐食性は実用上ほぼ満足できる水準にあ
るが、複雑な製品形状によっては塗装被膜が肥大化しや
すく、薄い被膜では膜厚の均一性を保持することが困難
で、寸法精度が低くなりやすい。しかも塗料のロスが多
く、被塗装物の反転作業の必要性から工程が多くなり、
コスト高になる傾向が大である。
【0004】電着塗装においては、スプレー塗装よりも
耐食性は優れており、膜厚も15〜30μm程度の膜厚塗装
ではスプレー塗装よりも均一である。しかし、被膜形成
上10μm以下の薄膜塗装は電着塗装の原理的な面から極
めて困難である。更に被塗装物たる磁石を個々に電極に
セット・リセットする作業工程、及び、塗装後の電極の
接触跡を個別にタッチアップ塗装する工程が必要であ
り、特に小径のリング形状のボンド磁石に薄い被膜を施
すには適さない問題がある。更に、浸漬塗装法は前述の
塗装方法と比較して、耐食性は劣るが、安価、且つ少な
い工程で済むという有利な方法であり、薄い被膜の被覆
処理をしても5μm程度から可能である。しかし、均一
な被膜層を形成させるのは困難で膜厚は不均一になり易
く、表面に空孔、溝等の空隙部多いボンド磁石では、そ
れらを完全に封孔・充填できず、後工程の硬化・乾燥処
理時にて内部ガスの膨張、噴出による膨れ、ピンホール
が発生し、磁石の寸法精度が低下する。更に膨れ等によ
って被塗装物たる磁石同士が相互に固着するなどのトラ
ブルが発生しやすいという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来方法での浸漬処理方法の問題点を改善
するためにボンド磁石表面の空孔、溝等の空隙部に対し
て、直接金属粉末を圧縮して充填・被覆し封孔した後
に、減圧雰囲気下で樹脂浸漬処理を施すことによって得
られる、薄膜で膜厚の均一性、製品の寸法精度に優れ
た、従来のボンド磁石よりも高い耐食性能を有するボン
ド磁石を提案することである。また、係るボンド磁石を
得ると共に、公知の種々のボンド磁石の防錆処理方法よ
りも工程を簡素化し、低コストで省力化された、環境上
も良好なボンド磁石の表面処理方法をも提案しようとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決するため、ボンド磁石の多孔質な表面組織の特徴であ
る磁石粒子間の空隙部を磁石本体の表面と同等程度まで
強固に埋め合わせ平坦化することにより、それらの表面
全体に極めて薄い樹脂の被膜層を被覆することで、前記
課題を解決しようとした。先ず、ボンド磁石表面の空隙
部を磁石本体の表面と同等程度まで埋めるため、ショッ
ト等のブラストメディアと、これに対し比較的軟質の金
属粉末を同時にボンド磁石に投射するか、或いは、これ
らショット、金属粉末及びボンド磁石を容器内に入れ、
容器全体を回転や振動することでボンド磁石の表面を平
坦化するようにした。次に、係るボンド磁石の表面全体
に均一で薄い樹脂の被膜層を被覆し、且つ、その表面に
残存している微小な隙間内にも樹脂成分が浸透するよ
う、減圧雰囲気下で前記ボンド磁石をエポキシ等の樹脂
溶液中に浸漬するようにした。
【0007】上記の二つの点に着目してなされた本発明
のボンド磁石は、表面に連通する空隙部を有する多孔質
な磁石本体と、少なくとも上記空隙部内に充填・被覆さ
れた金属粉末の圧縮体部と、上記圧縮体部を含む磁石本
体の表面全体に被覆されたエポキシ等の樹脂層とからな
る防錆被覆層を有するボンド磁石である。前記防錆被覆
層の厚さは平均10μm以下(少なくとも3μm、厚くて
も12μm程度)であることをも特徴とし、更に前記ボン
ド磁石はR-Fe-B系ボンド磁石であることをも特徴と
する。更に、前記ボンド磁石を得るための本発明の防錆
被覆処理方法は、内部及び表面に空隙部を有する多孔質
な磁石本体の、少なくとも表面に連通する上記磁石の空
隙部内に金属粉末を圧縮しつつ充填・被覆し圧縮体部を
形成する工程と、上記圧縮体部を含む磁石本体の表面全
体に、エポキシ等の樹脂層を減圧雰囲気下で被覆する工
程とを含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の理解を容易にす
るため、図と共に実施の形態を説明する。ボンド磁石
は、磁石粉末同士をバインダで結合しつつプレス等で圧
縮成形されているので、磁石粉末の粒子1は表面に沿っ
て扁平状に互いに積み重なった組織を有している(図1
(A)参照、以下同じ)。これらの磁石粉末の粒子1間に
は、空孔、溝等の空隙部2が磁石本体内部及び表面に多
数存在している。係る空隙部2のうち、磁石本体の表面
の空隙部2内に、Zn,Cu,Al,Sn等の比較的軟
質の金属粉末をショット等のブラストメディアを併用し
て投射するか、または、外部から回転、揺動、振動、又
は、撹拌することによって打撃力を加えて、金属粉末を
圧縮しつつ充填・被覆し、上記空隙部2を封孔する金属
粉末の圧縮体部3を設け、磁石本体の表面を平坦化する
(図1(B))。ここで用いる軟質金属とは、磁石粉末粒子や
メディアの双方に比べて軟質である金属を指す。係る金
属粉末充填被覆の後処理として、磁石本体の表面に過剰
で弱く付着した軟質金属の圧縮粉を洗浄により除去する
(図1(C))。この状態では磁石粉末の粒子1の表面は一部
が露出している部分もある。次いで、上記圧縮体部3に
よって平坦化された磁石本体の表面全体に防錆機能を果
たす樹脂層4を被覆するが、磁石本体の表面には上記圧
縮体部3の周囲等に微細な隙間が残存しているため、こ
の微細な隙間にも樹脂成分が浸透し、空隙部2の封孔を
確実にするよう、減圧雰囲気下のエポキシ樹脂溶液中へ
上記磁石を浸漬する(図1(D))。係る浸漬処理の後、常法
により加熱し樹脂層4の硬化処理を行い、平均10μm以
下の薄くて均一な防錆被覆層5を得る(図1(E))。尚、樹
脂成分は減圧雰囲気によって、磁石内部の空隙部2内に
も浸透し、磁石表面の空隙部2の封孔性を更に高めるこ
とができる。
【0009】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。 実施例1 85at%Fe−10at%Nd−5at%B系合金の溶湯を超急冷法
によって製造した平均粒径100μmのFe-Nd−B非晶
質合金の磁石粉末に、バインダー成分としてエポキシ樹
脂を2.5重量%を添加して混練したものを、金型内に装
入し7.5t/cm2の圧力で圧縮成形を施し、外径6.0mm×内
径5.0mm×長さ10.0mmの円筒状ボンド磁石を得た(図2、
ステップ1;S1、以下同じ)。この磁石を約150℃で約60分
間加熱処理し前記エポキシ樹脂成分を硬化させた(図2,S
2)。得られた円筒状ボンド磁石のうち 500個をそれぞれ
の端部のバリを除くため、容積5リットルの回転する容器内
に、容積2リットルの直径3mmの球状アルミナメディアと純
水1リットルを共に装入し、毎分20回転で約20分間表面を研
磨した(図2,S3)。研磨後の円筒状ボンド磁石を純水中に
て超音波洗浄を施した(図2,S4)後、約80℃に加熱し乾燥
させた(図2,S5)。このボンド磁石8を500個,図3に示す
3リットルのブラスト被覆処理用容器10に装入し、この容器
10を毎分10回転で回転させながら、容器開口部側のノズ
ル12より、直径1.5mmのステンレス球14と、このステン
レス球14の見掛け容積1リットルに対して5gの割合で鱗片
状のアルミニウム粉末16(厚さ0.1〜1μm,平均粒径50
μm)を混合したブラスト被覆媒体18を用いて、空気圧
を併用した0.5kg/cm2のショット吹付け圧力で吹付被覆
処理を10分間実施した(図2,S6)。尚、図3中の20はオー
バーフローした上記被覆媒体18の回収部分を示す。
【0010】次に金属被覆されたボンド磁石8をステン
レス球14と分離した後、MEK(メチルエチルケトン)
の溶液中にて籠ざるによる揺動洗浄を2分間行い、不完
全に付着したアルミニウム粉末を洗浄除去した(図2,S
7)。ここで用いたMEKは過剰なアルミ粉末等の除去を
促進する界面活性作用を果たす。その後、約80℃に加熱
し乾燥させた(図2,S8)。次いで2液性エポキシ樹脂;1
00部に対して触媒型硬化剤;3部を混合した、エポキシ
成分10重量%含有MEK溶液中にこのボンド磁石を浸漬
し、0.15Torrの減圧雰囲気下で含浸処理を施した(図2,S
9)。ここでMEKを用いたのは、磁石粉末粒子の濡れ性
を高め樹脂との密着性を高めるためである。また、減圧
雰囲気の圧力は上記溶液が沸騰しない0.1Torr以上で、
且つ大気圧未満の範囲が望ましい。その後約140℃のオ
ーブン中において60分間硬化処理を施した(図2,S10)。
【0011】実施例2 前記実施例1と同様にして得られた500個のボンド磁石2
2について、バリ取り研磨を施した後、超音波洗浄を施
し、加熱乾燥した。これらのボンド磁石22を図4に示す
に見掛け容積2リットルの、表面に30μm以上の硬質Niめっ
きを施した直径3mmのスチール球24と、3gの鱗片状アル
ミニウム粉末26(厚さ0.3〜1μm、平均粒径50μm)と
共に3リットル容積の加振容器28内に装入し、図4に示す構
造の加振装置30に加振容器28を装着して、振幅5mm、60
Hzの振動条件によって、ボンド磁石22にスチール球24と
アルミニウム粉末26との衝突圧力による金属粉末被覆処
理を20分間行った。次にこの金属被覆したボンド磁石22
を、スチール球24と分離した後、水道水中にて籠ざるに
よる揺動洗浄を2分間行い、表面に不完全に付着したア
ルミニウム粉末26を洗浄除去した。その後約80℃の温風
乾燥を10分間行い、以後前記実施例1と同様のエポキシ
成分10重量%MEK溶液中にこのボンド磁石22を浸漬
し、0.15Torrの減圧雰囲気下で含浸処理を施した。その
後約140℃のオーブン中において60分間硬化処理を施し
た。尚、前記図4中において、32は加振容器28の下方に
設けたモータ、34は該容器28とモータ32を共に振動させ
るため、モータ32の回転軸の下端に固定した偏心用ウェ
イト、36は振動を所定範囲内に保持するためベース40か
ら直立されたコイルバネ、38は該バネ36内に垂直に挿入
されたガイドピンを示す。
【0012】実施例3 前記実施例1と同様にして得られた500個のボンド磁石
に、バリ取り研磨を施した後、超音波洗浄を施し、更に
磁石表面の濡れ性を向上させるためシラン系カップリン
グ剤を2%含む水溶液中に2分間浸漬した。次に約80℃
で加熱乾燥した後、前記実施例2で用いた加振容器28内
にて実施例2と同じ条件の金属粉末被覆処理をボンド磁
石に施した。更に金属被覆したボンド磁石を金属球と分
離した後、水道水中にて籠ざるによる揺動洗浄を2分間
行い、表面に不完全に付着した金属粉を洗浄除去した
後、再度前記のカップリング剤を含む水溶液中に2分間
浸漬した。その後約80℃の温風乾燥を10分間行い、以下
前記実施例1と同様のエポキシ成分10重量%含有MEK
溶液中にこのボンド磁石を浸漬し、0.15Torrの減圧雰囲
気下で含浸処理を施した。最後に約140℃のオーブン中
において60分間硬化処理を施した。
【0013】比較例1 前記実施例1と同様にして得られたボンド磁石500個
に、バリ取り研磨を施した後、超音波洗浄を施し、約80
℃に加熱し乾燥した。次に市販の熱硬化型エポキシ塗料
原液20重量%に専用の薄め液(シンナー)80重量%を加え
てエポキシ塗料浸漬液とし、この中にボンド磁石を常圧
下で5分間浸漬した。更に、ボンド磁石を籠ざるに取っ
て充分浸漬液を液切りした後、約140℃のオーブン中に
おいて60分間硬化処理を施した。この比較例1のボンド
磁石の表面組織を図5に基づいて説明すると、同図(A)
は磁石粉末の粒子1が磁石表面に沿って互いに扁平状に
積み重なった組織を呈し、上記のバリ取り、洗浄及び乾
燥を経た直後の状態を示す。図5(B)は、上記浸漬によっ
て磁石の表面にエポキシの樹脂層4を被覆した状態を示
し、その膜厚は約20〜40μmであった。更に上記硬化処
理を施すと、図5(C)に示すように樹脂層4の厚さは5〜1
5μmになるが、磁石内部の空孔中のガスが膨張し、磁石
の表面側へ放出されるため、表面の空隙部2を通り樹脂
層4を破って外方へ噴出しようとする。この際表面の空
隙部2の付近に、図示の膨れ6やピンホール7が形成さ
れ、このピンホール7を介して磁石内部と外部が連通状
態となる。
【0014】そして、前記実施例1,2,3、及び比較
例1の各処理によって得られたボンド磁石の各50個に対
して、円筒形の内径と外径の寸法測定を行い、未処理状
態の磁石との寸法差から膜厚を求めると共に、真円度及
び同軸度も真円度測定機と表面粗さ計を用いて測定し、
未処理状態の磁石と比較した。それらの結果を表1及び
表2に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】これらの結果から、内・外径の膜厚及び真
円度、同軸度それぞれについて、実施例1,2,3は、
比較例1の従来法による浸漬塗装処理品と比較していず
れも優れた寸法・形状安定性を示し、磁石本来の成形時
の寸法精度が確保される、薄膜で均一性の優れた被膜を
有するものであった。特に実施例3は、前記カップリン
グ剤を用いたため、磁石粉末の粒子と金属粉末やエポキ
シ樹脂との密着性・親和性が良好となり、寸法精度の点
で最も優れていた。
【0018】次に、前記実施例1,2,3、及び比較例
1の処理によって得られたボンド磁石、加えて未処理品
(素地)の各20個を、それぞれエポキシ樹脂系接着剤の
溶液中に80℃に保温した状態で60分間浸漬した。その
後、磁石表面の接着剤成分を拭き取り、浸漬前後の重量
差を求めてこれを接着剤の吸収量として測定した。ま
た、実施例1,2,3、及び比較例1の処理によって得
られたボンド磁石、加えて未処理品(素地)の各20個に
ついて、円筒形状の軸方向に対して垂直方向からロード
セルによって応力荷重(〜10kg/cm2)を加え、破壊強度を
測定した。それらの結果を表3に示す。尚、この実験は
ボンド磁石は一般に接着剤にてケーシング等に固定され
るため、その接着力への影響を確認するものである。
【0019】
【表3】
【0020】上記の結果から、接着剤吸収量において、
実施例1,2,3は未処理品(素地)と比較して10%で
あり、比較例1と比較しても50%以下の吸収量となって
いた。また、破壊強度については、実施例1,2,3は
未処理品と比較して約2倍となり、比較例1と比べても
約1.5倍の破壊強度を有していることが判明した。これ
らから、本発明によるボンド磁石は前記空隙部への圧縮
体部による封孔作用によって、接着剤が組織内部に吸収
されにくく、磁石表面に強固に付着するため、接着剤本
来の接着力が得られると共に、外力に対しても強い抵抗
力を得られたものと理解される。
【0021】更に、実施例1,2,3、及び比較例1の
処理によって得られたボンド磁石、加えて未処理品(素
地)の各50個について、容積100mミリリットルのシャーレに5
%食塩水を60ミリリットル入れ、25℃に保温した状態の食塩水
中にそれぞれ浸漬して、この食塩水が淡い茶赤色に変色
する時間を測定した。これは、食塩水に含まれる塩素イ
オンと磁石成分の鉄が反応して、塩化鉄が生成したこと
によって茶赤色の変色を示すもので、磁石表面がミクロ
的に腐食を開始し始めたものと判断した。その結果を表
4に示す(表中の○は変色がなかったことを表す)。
【0022】
【表4】
【0023】表4から実施例1,2は、比較例1のエポ
キシ樹脂塗料の浸漬塗装品と比べて2倍以上、実施例3
では、3倍以上の耐食性を示した。なお、未処理状態
(素地)のものは1時間以内に茶赤色の変色を示した。
この結果から本発明によるボンド磁石は、前記圧縮体部
の封孔作用と樹脂層の内部への浸透を伴う強固な防錆被
覆層によって、耐食性の点においても格段に優れている
ことが容易に理解することができる。
【0024】尚、本発明は以上の実施例に限らず種々な
態様によっても実施可能である。前記金属粉末被覆処理
の前処理としての洗浄や乾燥工程は、必須ではなく用い
る磁石の性状によっては省略することもできる。また、
前記金属粉末被覆処理工程についても、前記の各実施例
の他に、例えばボンド磁石群をベルトコンベア上にて移
動させ、それらの上方からショット等のブラストメディ
アと共に金属粉末を高圧で投射し、途中で各ボンド磁石
を反転させて更に投射することによっても可能である。
且つ、用いる金属粉末もブラストメディア等に対し比較
的軟質であればZn,Cu,Al,Snに限らず、黄銅、鉛、ハン
ダや鱗片状のステンレス、Ni、青銅等種々の金属粉末を
採用することができる。また、ブラストメディアも直径
1〜4mmの前記スチール球やステンレス球に加え、Ni球
や銅球、更にこれらの表面に硬質NiメッキやCrメッキを
施したものや、アルミナ、ムライト(SiO2)やこれらを主
成分とするセラミック球も用いることができる。
【0025】更に、ボンド磁石の表面に被覆する樹脂も
エポキシ系に限らず、フェノール系、アクリル系、ポリ
アミド系、ナイロン系、ポリ塩化ビニル系、フタル酸エ
ステル系、ポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリオ
レフィン系等の樹脂も適用する磁石や被覆に用いる金属
粉末により、希釈液を併用して使用することができる。
また、前記カップリング剤もシラン系に限らず、チタネ
ート系、アルミニウム系等を用いることもできる。そし
て、適用されるR-Fe-B系ボンド磁石も、前記実施例
を含む8〜18at%R−73〜88%Fe−4〜9%B範囲内のもの
であり、希土類元素もNdの他、Y,La,Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,T
b,Dyの1種又は2種以上を併用したり、更にFeの一部
をAl,Co,Nb等の遷移金属で置換したものも含まれる。
【0026】
【発明の効果】以上にて説明したように、本発明のボン
ド磁石はその表面に極めて薄くて均一な皮膜、より具体
的には平均10μm以下の防錆被覆層を保有することによ
って、磁石本来の成形時の寸法精度を高精度にて確保で
き、磁石本来の磁気特性も低下させず、且つ磁石本体の
強度の向上も図れると共に、耐食性も格段に高めること
ができる。また、本発明の防錆処理方法によれば、上記
のような優れた性能のボンド磁石を少数の簡素な工程
で、安定した品質の処理を低コストで可能とし、しかも
一般的な処理剤・処理液等しか用いる必要がないため、
環境上の点からも極めて好ましい処理方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質ボンド磁石の表面組織の拡大模
式図である。
【図2】本発明の防錆処理方法の実施例の工程を示すフ
ローチャートである。
【図3】本発明の金属被覆処理に用いるピーニング被覆
装置の側断面図である。
【図4】本発明の金属被覆処理に用いる加振容器と加振
装置の側断面図である。
【図5】比較例のボンド磁石の表面組織の拡大模式図で
ある。
【符号の説明】
1 磁石粉末粒子 2 空隙部 3 圧縮体部 4 樹脂層 5 防錆被覆層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に連通する空隙部を有する多孔質な
    磁石本体と、 少なくとも上記空隙部内に充填・被覆された金属粉末の
    圧縮体部と、 上記圧縮体部を含む磁石本体の表面全体に被覆されたエ
    ポキシ等の樹脂層とからなる防錆被覆層を有するボンド
    磁石。
  2. 【請求項2】 前記防錆被覆層の厚さが平均10μm以下で
    ある請求項1に記載のボンド磁石。
  3. 【請求項3】 前記ボンド磁石がR-Fe-B系ボンド磁石
    である請求項1又は2に記載のボンド磁石。
  4. 【請求項4】 内部及び表面に空隙部を有する多孔質な
    磁石本体の、少なくとも表面に連通する空隙部内に金属
    粉末を圧縮しつつ充填・被覆し圧縮体部を形成する工程
    と、 上記圧縮体部を含む磁石本体の表面全体に、エポキシ等
    の樹脂層を減圧雰囲気下で被覆する工程とを含むボンド
    磁石の防錆処理方法。
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