JP2000133541A - 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法

Info

Publication number
JP2000133541A
JP2000133541A JP10302158A JP30215898A JP2000133541A JP 2000133541 A JP2000133541 A JP 2000133541A JP 10302158 A JP10302158 A JP 10302158A JP 30215898 A JP30215898 A JP 30215898A JP 2000133541 A JP2000133541 A JP 2000133541A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bonded magnet
magnet
plating
barrel
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10302158A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Yoshimura
吉村  公志
Takeshi Nishiuchi
武司 西内
Fumiaki Kikui
文秋 菊井
Takahiro Isozaki
貴裕 磯崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP10302158A priority Critical patent/JP2000133541A/ja
Publication of JP2000133541A publication Critical patent/JP2000133541A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0253Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets
    • H01F41/026Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets protecting methods against environmental influences, e.g. oxygen, by surface treatment

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属被膜にて耐食性を改善したリング形状や
円板状の種々の形状からなるR-Fe-B系ボンド磁石を効率
よく製造するため、ボンド磁石表面に導電性膜を密着性
良く、均一に高効率で形成して、容易に電気めっきが可
能な高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の提供。 【解決手段】 R-Fe-B系ボンド磁石を、研磨粉並びに無
機質粉体及び研磨屑をR-Fe-B系ボンド磁石の空孔部に植
物性媒体の油脂分で固着、封孔することができ、さら
に、所要寸法の球状、塊状あるいは針状(ワイヤー)等の
不定形Cu,Sn,Zn,Pb,Cd,In,Au,Ag,Fe,Ni,Co,Cr,Al及びそ
の合金片の片を金属メディアとして用いて、バレル装置
にて乾式法にてバレル研磨を施すことにより、磨砕され
たCuなどの微片がボンド磁石表面の樹脂面および空孔部
に圧入、被覆され、また磁粉面にもCu微片が被覆されて
R-Fe-B系ボンド磁石表面に極めて均一に導電性膜が付与
でき、良好な電気めっきが可能となり、耐食性に優れ、
磁気特性劣化の少ないR-Fe-B系ボンド磁石めっき被膜品
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、清浄性の高い金
属被膜にて耐食性を改善したリング形状や円板状の種々
の形状からなるR-Fe-B系ボンド磁石に係り、乾式バレル
研磨により研磨材の粉末及びボンド磁石の研磨屑、さら
に無機質粉体を空孔部に埋め込んで封孔して表面平滑化
処理した後、あるいは前記の封孔処理を行うことなく、
Cu,Sn,Zn,Pb,Cd,In,Au,Ag,Fe,Ni,Co,Cr,Al及びその合金
片の金属メディアによる乾式バレル研磨により、磨砕さ
れた前記金属微片をボンド磁石表面の樹脂面及び空孔部
または封孔部に圧入、被覆し、また磁粉面に金属微片を
被覆することにより、磁石表面に十分な導電性を付与し
て、無電解めっきすることなく直接電解めっき処理を実
施可能とし、また、前記のAl被覆層を形成した後、亜鉛
置換処理を行うことにより、後処理の電解Niめっきなど
のめっき浴を限定することなく、効率的に量産性良く形
成可能な高耐食性めっき層を設けて、耐食性、密着性を
著しく改善した高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、リング状や円板状の種々の形状か
らなるゴム磁石あるいはプラスチック磁石と呼ばれるボ
ンド磁石には、従来の等方性ボンド磁石から異方性ボン
ド磁石へ、また、フェライト系ボンド磁石からより高磁
力の希土類系ボンド磁石へと高性能化が進み、さらに、
焼結磁石では最大エネルギー積が50MGOe以上の高磁気特
性を発揮するR-Fe-B系磁性材を用いるR-Fe-B系ボンド磁
石へと高性能化が図られてきた。
【0003】R-Fe-B系ボンド磁石は、その磁石合金組成に極
めて酸化しやすい成分相及びFeを多量に含むために錆び
やすい問題があり、表面に種々組成からなる樹脂層を電
着塗装、スプレー法、浸漬法、含浸法等で被着していた
(例えば、特開平1-166519号、特開平1-245504号)。
【0004】これまでR-Fe-B系ボンド磁石の耐食性向上のた
めに用いられてきた樹脂塗装法、例えば、スプレー法で
はリング状ボンド磁石の場合、塗料のロスが大きく、
裏、表を反転する必要があるため工数が多く、また、膜
厚の均一性も劣る問題があった。
【0005】また、電着塗装法では、膜厚は均一であるが、
磁石の1個にそれぞれ電極に取り付ける必要があり、さ
らに塗装後に外した電極部跡の補修、すなわちタッチア
ップが必要であり、多大の工数を要して特に小物には不
適であるという問題がある。
【0006】浸漬法では、一定の均一な膜厚の塗膜を得るに
は塗料のタレ等の問題により困難であり、またポーラス
なボンド磁石では空孔部が十分に埋まらず、乾燥時に膨
れたり、製品同士の付着等の問題がある。
【0007】金属被膜の生成方法については量産性を考慮す
ると、焼結R-Fe-B磁石で行われている電気金属めっきを
施すこと(特開昭60-54406号、特開昭62-120003号)が考
えられるが、R-Fe-B系ボンド磁石表面はポーラスでかつ
導電性の低い樹脂部分が露出しているため、めっき液が
残存したり、樹脂部にめっき被膜が十分に生成せずピン
ホール(無めっき部)が生じて、発錆が起こる。
【0008】そこで、ポーラスなボンド磁石に侵入、残留し
ても無害なめっき液を選定する方法(特開平4-276092号)
や下地に樹脂コーティングを施した後にめっきする方法
(特開平3-11714号、特開平4-276095号)が提案されてい
る。
【0009】しかし、めっき液のpH調整や完全な無害化は困
難であり、かつ成膜効率のよいめっき浴は見出されてな
く、また、下地の厚みのばらつきがめっき層の不安定要
素となり、十分な厚みの下地コーティングを施すのであ
れば、表面のめっき層は不要になるという矛盾がある。
【0010】また、R-Fe-B系ボンド磁石に成膜効率のよいNi
めっきを施す方法として、特定組成のめっき浴が提案
(特開平4-99192号)されているが、やはりボンド磁石に
侵入、残留して発錆させる恐れがある。
【0011】一方、構造材などにおいて、Niめっき前に通常
行われているCuストライクめっきは強アルカリ性か強酸
性のいずれかであり、R-Fe-B系ボンド磁石への処理とし
ては不適である。
【0012】また、電子部品に耐磨耗性を付与するため、あ
るいは自動車用鋼板等の防錆処理として、高温酸性浴タ
イプのNiPめっき処理が実用化されているが、R-Fe-B系
ボンド磁石に適用するには、磁石内部を腐食させるため
不適である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、めっき液や洗
浄液などがポーラスなR-Fe-B系ボンド磁石に侵入、残留
するのを防止して、効率よく電気Niめっき等のめっき層
が形成でき、耐食性を向上させ得る構成からなるR-Fe-B
系ボンド磁石の製造方法として、 (1) R-Fe-B系ボンド磁石の表面に樹脂と導電性粉末と
の混合物を塗装し素材表面に導電性被膜層を形成する方
法。 (2) R-Fe-B系ボンド磁石の表面に粘着性を有する樹脂
層を形成し、金属粉体を付着させて素材表面に導電性被
膜層を形成する方法(特開平5-302176号)。 (3) R-Fe-B系ボンド磁石の表面に樹脂と導電性粉末と
の混合物を塗装して導電性被膜層を形成した後、表面平
滑処理を施す方法(特開平9-186016号)。が提案されてい
る。
【0014】しかし上記3つの方法は素材の空孔部を封孔す
るために種々の樹脂を用いており、必然的に樹脂の塗布
(含侵)、硬化(平滑化処理)と工程が煩雑になり好ましく
ない。
【0015】また、素材の樹脂を塗布(含侵)する方法では、
樹脂を素材表面に均一に塗布することは困難であり、た
とえ後工程でバレル研磨を行っても寸法精度に優れため
っき品を得ることは難しい。さらに前記導電被膜層は樹
脂層の中に導電性物質あるいは金属粉を含有させたもの
であり、表面においてボンド磁石の樹脂露出部はR-Fe-B
系ボンド磁石素材に比べると改善されているものの、製
法上被膜樹脂露出部が少なからず存在し、表面に導電性
の低い部分が存在することから、均一な良好な導電性の
表面を得るのは困難であり、電気めっき時にピンホール
が生じ易くなるなどの問題がある。
【0016】そこで発明者は、植物性媒体または無機質粉体
にて表面を改質された植物性媒体と研磨材との混合物を
メディアとして乾式法でバレル研磨し、研磨材の粉末と
ボンド磁石の研磨屑をボンド磁石の空孔部に植物性媒体
の油脂分で固着、封孔するとともに表面平滑して、アル
カリ性浴による無電解銅めっきにより導電層を形成する
方法を提案した。
【0017】しかし、無電解銅めっきはめっき液寿命が短く
良好な鍍金被膜を得るための液管理が難しいという問題
点がある。さらに従来に比べ耐食性、寸法精度は優れる
ものの、今日の様々な用途に対応していくためにはさら
に高い耐食性が要求される。
【0018】この発明は、長時間の高温高湿試験でも発錆し
ない極めて高い耐食性を有するR-Fe-B系ボンド磁石の提
供を目的とし、高い耐食性を実現するため極めて高い密
着強度で、種々の耐食性被膜が均一にR-Fe-B系ボンド磁
石に形成できる製造方法の提供を目的としている。
【0019】また、この発明は、従来の無電解めっき法にお
いて、めっき液や洗浄液などがポーラスなR-Fe-B系ボン
ド磁石に侵入、残留するのを防止した磁石表面に高密着
強度で寸法精度よく耐食性被膜を設けるのに最適な工業
的工程からなる高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法
の提供を目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】発明者らは、耐食性およ
び表面清浄性に優れたR-Fe-B系ボンド磁石の電気めっき
技術については、素材表面にきわめて均一に導電性を付
与することが重要であることに着目し、その導電性膜の
形成方法について種々検討した結果、R-Fe-B系ボンド磁
石を、所要寸法の球状、塊状あるいは針状(ワイヤー)等
の不定形Cu片を金属メディアとして用いて、バレル装置
にて乾式法にてバレル研磨を施すことにより、磨砕され
たCu微片がボンド磁石表面の樹脂面および空孔部に圧
入、被覆され、また磁粉面にもCu微片が被覆されてR-Fe
-B系ボンド磁石表面に極めて均一に導電性膜が付与で
き、良好な電気めっきが可能となり、耐食性に優れ、磁
気特性劣化の少ないR-Fe-B系ボンド磁石めっき被膜品を
得ることができることを知見した。
【0021】さらに発明者らは、ボンド磁石表面の平滑性が
求められる場合に、上述の問題を解決すべく種々検討し
た結果、ポーラスなR-Fe-B系ボンド磁石をAl2O3、SiCな
どの無機質粉体を焼き固めた研磨材と果実の殻、トウモ
ロコシの芯などの植物性媒体の混合物、または上記研磨
材と上記無機質粉体にて表面を改質された植物性媒体の
混合物をメディアとして用いて乾式法にてバレル研磨を
施すことによって、研磨材の粉末及び改質用の無機質粉
体並びにボンド磁石を構成する磁粉の表面酸化層などの
研磨屑を、植物性媒体の油脂分により当該磁石の空孔部
に固着、封孔することが可能であり、同時に表面を平滑
化処理することも可能であることから、乾式バレル研磨
後に磁石素材表面に直接導電性膜を形成でき、平滑性が
向上し、耐食性がさらにすぐれたR-Fe-B系ボンド磁石を
得ることができることを知見した。
【0022】また、発明者らは、乾式バレル研磨の金属メデ
ィアに上記のCu片以外に、ビッカース硬度値が80以下の
Sn,Zn,Pb,Cd,In,Au,Agの軟質金属片、さらにFe,Ni,Co,C
r,をメディアとして用いることが可能であることを知見
した。
【0023】さらに、発明者らは、不定形Al片をメディアと
して用いて、バレル装置にて乾式法にてバレル研磨を施
すことにより、磨砕されたAl微片がボンド磁石表面の樹
脂面および封孔部に圧入、被覆され、また磁粉面にも同
様にAl微片が被覆されてR-Fe-B系ボンド磁石表面に形成
されたAl被覆層表面に亜鉛置換処理を行うことにより、
電気めっき時のAl流出が防止され、良好な電気めっきが
可能となり、耐食性に優れ、磁気特性劣化の少ないR-Fe
-B系ボンド磁石のめっき被膜品を得ることができること
を知見し、この発明を完成した。
【0024】
【発明の実施の形態】この発明による高耐食性R-Fe-B系
ボンド磁石は、R-Fe-B系ボンド磁石の表面を構成する樹
脂面及び空孔部にCu,Sn,Zn,Pb,Cd,In,Au,Ag,Fe,Ni,Co,C
r,Al及びその合金の金属微片が圧入かつ被覆され、また
表面を構成する磁粉面に金属微片が被覆されて形成され
た当該磁石表面の金属被覆層と、この金属被覆層を介し
て形成された電解めっき層とを有することを特徴とす
る。
【0025】また、この発明による高耐食性R-Fe-B系ボンド
磁石は、R-Fe-B系ボンド磁石の表面を形成する空孔部
が、研磨材の粉末とボンド磁石の研磨屑、さらに無機質
粉体を植物性媒体の油脂分にて固着、封孔された後、表
面を構成する樹脂面および前記封孔部に前記金属微片が
圧入かつ被覆され、また表面を構成する磁粉面に金属微
片が被覆されて形成された当該磁石表面の前記金属被覆
層とこの金属被覆層を介して形成された電解めっき層と
を有することを特徴とする。
【0026】また、この発明による高耐食性R-Fe-B系ボンド
磁石は、表面を構成する樹脂面及び前記封孔部にAl微片
が圧入かつ被覆され、また表面を構成する磁粉面にAl微
片が被覆されて形成されたAl被覆層を有し、当該磁石表
面に亜鉛置換処理によるZn層を有し、さらにこの被覆層
を介して形成された電解めっき層とを有することを特徴
とする。
【0027】この発明において、R-Fe-B系ボンド磁石は等方
性、異方性ボンド磁石のいずれも対象とし、例えば圧縮
成型の場合は、所要組成、性状の磁性粉末の熱硬化性樹
脂、カップリング剤、潤滑等を添加混練した後、圧縮成
型し加熱して樹脂を硬化して得られ、射出成型、押し出
し成型、圧延成型の場合は、磁性粉末に熱可塑性樹脂、
カップリング剤、潤滑等を添加混練したのち、射出成
型、押し出し成型、圧延成型のいずれかの方法にて成型
して得られる。
【0028】R-Fe-B系磁性材粉には、所要のR-Fe-B系合金を
溶解し鋳造後に粉砕する溶解粉砕法、Ca還元にて直接粉
末を得る直接還元拡散法、所要のR-Fe-B系合金を溶解ジ
ェットキャスターでリボン箔を得てこれを粉砕・焼鈍す
る急冷合金法、所要のR-Fe-B系合金を溶解し、これをガ
スアトマイズで粉末化して熱処理するガスアトマイズ
法、所要原料金属を粉末化したのち、メカニカルアロイ
ングにて微粉末化して熱処理するメカニカルアロイ法及
び所要のR-Fe-B系合金を水素中で加熱して分解並びに再
結晶させる方法(HDDR法)などの各種製法で得た等方性、
異方性粉末が利用できる。
【0029】この発明において、R-Fe-B系磁石粉末に用いる
希土類元素Rは、組成の10原子%〜30原子%を占めるが、N
d,Pr,Dy,Ho,Tbのうち少なくとも1種、あるいはさらに、
La,Ce,Sm,Gd,Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少なくとも1種を
含むものが好ましい。また、通常Rのうち1種をもって足
りるが、実用上は2種以上の混合物(ミッシュメタル、シ
ジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることがで
きる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工
業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有する
ものでも差し支えない。
【0030】Rは、上記系磁石粉末における必須元素であっ
て、10原子%未満では結晶構造がα-鉄と同一構造の立方
晶組織となるため、高磁気特性、特に高保磁力が得られ
ず、30原子%を超えるとRリッチな非磁性相が多くなり、
残留磁束密度(Br)が低下してすぐれた特性の永久磁石が
得られない。よって、Rは、10原子%〜30原子%の範囲が
望ましい。
【0031】Bは、上記系磁石粉末における必須元素であっ
て、2原子%未満では菱面体構造が主相となり、高い保磁
力(iHc)は得られず、28原子%を超えるとBリッチな非磁
性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が低下するため、す
ぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは2原子%〜28
原子%の範囲が望ましい。
【0032】Feは、上記系磁石粉末において必須元素であ
り、65原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、80原
子%を超えると高い保磁力が得られないので、Feは65原
子%〜80原子%の含有が望ましい。
【0033】また、Feの一部をCoで置換することは、得られ
る磁石の磁気特性を損なうことなく、温度特性を改善す
ることができるが、Co置換量がFeの20%を超えると、逆
に磁気特性が劣化するため、好ましくない。Coの置換量
がFeとCoの合計量で5原子%〜15原子%の場合は、(Br)は
置換しない場合に比較して増加するため、高磁束密度を
得るために好ましい。
【0034】また、R,B,Feのほか、工業的生産上不可避的不
純物の存在を許容でき、例えば、Bの一部を4.0wt%以下
のC、2.0wt%以下のP、2.0wt%以下のS、2.0wt%以下のCu
のうち少なくとも1種、合計量で2.0wt%以下で置換する
ことにより、永久磁石の製造性改善、低価格化が可能で
ある。
【0035】さらに、Al,Ti,V,Cr,Mn,Bi,Nb,Ta,Mo,W,Sb,Ge,
Ga,Sn,Zr,Ni,Si,Zn,Hfのうち少なくとも1種は、磁石粉
末に対してその保磁力、減磁曲線の角型性を改善あるい
は製造性の改善、低価格化に効果があるため添加するこ
とができる。なお、添加量の上限は、ボンド磁石の(BH)
maxや(Br)値を所要値とするに必要な該条件を満たす範
囲が望ましい。
【0036】またこの発明において、バインダーには射出成
形では、樹脂として6Pa、12Pa、PPS、PBT、EVA等、又押
出成形、カレンダーロール、圧延成形ではPVC、NBR、CP
E、NR、ハイパロン等、又圧縮成形には、エポキシ樹
脂、DAP、フェノール樹脂等が利用でき、必要に応じ
て、公知の金属バインダーを用いることができる。さら
に、助材には成形を容易にする滑剤や樹脂と無機フィラ
ーの結合剤、シラン系、チタン系等のカップリング剤な
どを用いることができる。
【0037】この発明において、封孔、平滑化処理のためバ
レル研磨する際のメディアとしては、Al2O3、SiCなどの
無機質粉体を焼き固めたセラミックス、あるいは金属ボ
ールなどの研磨材と、植物性の皮屑、おが屑、果実の
殻、トウモロコシの芯などの植物性媒体の混合物、また
は上記の研磨材と上記Al2O3、SiCなどの無機質粉体にて
表面を改質された上記の植物性媒体の混合物を用いる。
この混合物をメディアとしてバレル研磨処理を行うこと
により、ボンド磁石の平滑封孔処理を行うことが可能と
なる。
【0038】この発明の封孔、平滑化処理及びボンド磁石表
面に金属被覆層を形成するための乾式バレル研磨には、
公知のバレルが使用でき、一般の回転数20〜50rpmの回
転バレル、回転数70〜200rpmの遠心バレル、振動振幅0.
5mm以上50mm未満の振動バレル研磨法などを採用するこ
とができる。
【0039】また、バレル研磨の雰囲気は通常は大気中でよ
いが、メディアによってはバレル研磨中の摩擦熱があ
り、磁石の酸化などが懸念される場合は、N2、Ar、He等
の単独またはその混合ガス等の不活性ガス雰囲気とする
ことができる。
【0040】この発明において、封孔、平滑化処理のとき、
使用する回転バレル、振動バレルの場合、バレル内に装
入するボンド磁石と研磨材と植物性媒体の総量は、20%
未満では処理量が少なすぎて実用的でなく、90%を越え
ると撹拌が不十分で、十分な研磨ができないため、内容
積の20%〜90%が好ましい。
【0041】この発明の封孔、平滑化処理における研磨材は
特に限定しないが、粒径1〜7mm、好ましくは3〜5mm程度
の研磨材と長径0.5〜3mm、好ましくは長径1〜2mm程度の
植物性媒体、もしくは上記研磨材と無機質粉体にて表面
を改質された上記の植物性媒体の混合物を用いて、磁石
とメディアの混合物が均一に撹拌され、相対的な移動運
動が行われる条件で行うことが好ましい。
【0042】また、上記無機質粉体にて表面を改質された植
物性媒体としては、植物性媒体表面にワックスなどの油
脂分を混練被覆した後、粒径0.01〜3μmのAl2O3、SiC、
ZrO、MgOの無機質粉体を表面に均一にまぶし、固着した
ものを用いる。封孔物である上記研磨材の粉末および植
物性媒体表面を改質するための無機質粉体ならびにボン
ド磁石の研磨屑は、粒径0.01〜3μmである。
【0043】メディアにおける植物性媒体と研磨材との比率
(植物性媒体/研磨材)は1/5〜2とし、好ましくは比率1の
混合物がよい。また、ボンド磁石とメディアとの混合比
率(ボンド磁石/メディア)は3以下がよい。
【0044】この発明において、上記の研磨材は当該磁石の
表面酸化層を有効に研削除去し、表面を平滑化し、研磨
材の粉末および植物性媒体表面を改質するための無機質
粉体ならびにボンド磁石の研磨屑などの封孔物を叩いて
固める効果を担い、上記植物性媒体はその油脂分を効果
的に放出することにより、封孔物の固着力を高める効果
を担う。
【0045】この発明において、表面平滑化処理後のボンド
磁石の空孔率は3%以下にすることが可能で、ボンド磁石
表面の平滑封孔処理のみならず、磁石の表面酸化層も除
去して活性なR-Fe-B系磁性粉の表面を得ることができ
る。
【0046】この発明において、金属片による乾式バレル研
摩には、回転式、振動式、遠心式等の公知のバレル装置
が使用できる。金属片の形状については球状、塊状ある
いは針状(ワイヤー)等の不定形金属が使用でき、金属片
の大きさは、0.1mm未満では十分な圧入、被覆に長時間
を要して実用的でなく、また10mmを越えると表面凹凸が
大きくなり、表面全体に当該金属を被覆することができ
ないため、金属片の大きさは0.1mm〜10mmが望ましく、
0.3mm〜5mmが好ましく、さらに好ましい範囲は0.5mm〜3
mmである。
【0047】また、この発明において、乾式バレル内に装入
される金属片は同一形状、寸法でもよく、異形状、異寸
法のものを混合してもよい。又不定形金属片に金属微粉
を混入してもよい。さらに、当該金属のみ、又は合金、
あるいは芯材のFe,Ni,Al等の異種金属にCuを被覆したCu
複合金属でもよい。
【0048】また、乾式バレル研磨に投入する比率、磁石と
金属片の容積比率(磁石/金属)を3以下が望ましく、3を
越えると金属の圧入、被覆に時間を要し実用的でなく、
またボンド磁石表面からの磁粉の脱粒が生じるためであ
る。
【0049】バレル研磨機内に装入するボンド磁石及び金属
片の量は研磨機内容積の20%〜90%が好ましく、20%未満
では、処理量が少なすぎて実用的でなく、90%を越える
と、撹拌が不十分で、十分な研磨ができない問題があ
る。
【0050】圧入、被覆される金属微片は微粉末又は針状片
でその大きさについては、長径5μmを越えると、磁石表
面との密着性が良くなく、電解めっき時に密着不良、剥
離等が生じるため長径5μm以下とした。好ましい範囲は
長径2μm以下である。
【0051】この発明において、金属微片の圧入、被覆に関
し、金属微片はボンド磁石表面の樹脂面及び空孔部と磁
粉面においては、柔らかい樹脂面及び空孔部には圧入、
被覆され、磁粉面には被覆される。樹脂面及び空孔部に
圧入される量は表面ほど多く、樹脂層内部に漸次的に含
有量が減少している。
【0052】この発明において、樹脂面及び空孔部の金属の
圧入層の厚さは0.1μm以上2μm以下が好ましく、0.1μm
未満では充分な導電性が得られず、2μmを越えると性能
上の問題はないが作業に時間を要し、実用的でない。
【0053】また、ボンド磁石表面の磁粉面の金属の被覆層
の厚さは0.2μm以下が好ましく、磁粉面表面と金属微片
の反応は一種のメカノケミカル的反応であり、0.2μmを
越えると密着性が劣るためである。
【0054】この発明による乾式法バレル研磨の場合の回転
数は、回転バレルの場合は回転数20〜50rpm、遠心バレ
ルの場合は回転数70〜200rpm、また振動バレル研磨法の
場合は振動数50〜100Hz、振動振幅0.3〜10mmが好まし
い。
【0055】この発明において、バレル研磨法により磁石表
面に金属微片を圧入被覆する際、バレル研磨法の雰囲気
は大気中でも良いが、メディアとして用いる不定形金属
片および磨砕された金属微片及び磁石表面の磁粉がバレ
ル研磨中の摩擦熱による酸化により導電性が低下し、均
一な電解めっきが得られず耐食性が低下する恐れがある
ため、バレル研磨法においては雰囲気は、N2、Ar、He等
の単独あるいは混合ガス等の不活性ガス中が好ましい。
【0056】この発明において、Al被覆面に亜鉛置換する理
由は後続の電気めっき時にAlの流出を防止するためであ
る。亜鉛置換方法としては酸化亜鉛、水酸化ナトリウ
ム、塩化第二鉄、ロッセル塩等を含む溶液で行うのが好
ましい。処理条件は浸漬にて浴温10℃〜25℃、処理時間
10秒〜120秒で行うのが好ましい。
【0057】亜鉛置換方法としては、洗浄→亜鉛置換→洗浄
の処理が好ましい。Al表面に汚れ等付着物がある場合に
は炭酸ナトリウム、三リン酸ナトリウムの溶液で浸漬脱
脂して洗浄を行うのがよい。形成されるZn層は極表面層
はZnOX(X=0〜1)の形に形成され、形成されるZn層厚は0.
1μm以下が好ましく、層厚が0.1μmを超えると密着不良
を生ずるので好ましくない。
【0058】この発明において、電気めっき方法には、Ni,C
u,Sn,Co,Zn,Cr,Ag,Au,Pb,Pt等から選ばれた少なくとも1
種の金属またはそれらの合金にB,S,Pが含有されるめっ
き法が好ましく、特にNiめっきが好ましい。めっき厚は
50μm以下、好ましくは10〜30μmである。この発明では
前述の樹脂面及び空孔部に金属微粉の圧入、被覆が有効
な作用をするため一般的なワット浴によってもめっき可
能であり、優れた密着性、耐食性が得られる。
【0059】特にNiめっき浴のめっき方法としては、洗浄→
電気Niめっき→洗浄→乾燥の工程で行うのがよく、Niめ
っき浴のpH調整は塩基性炭酸ニッケル、pH4.0〜4.6、50
℃〜60℃の処理が好ましい。
【0060】Niめっきは上述しためっき浴を用い、陽極を電
解ニッケル板を用いて所要電流を流し、電気Niめっきを
行うのが陽極Ni板のNiの溶出を安定させるため、電極に
Sを含有したエストランドニッケルチップを使用するこ
とが望ましい。Niめっき浴のめっき方法としては、洗浄
→電気めっき→洗浄→乾燥の工程で行うのがよく、乾燥
は70℃以上の処理が好ましい。
【0061】めっき浴槽にはボンド磁石の形状に応じて種々
の浴槽を使用することができ、リング形状のボンド磁石
の場合、ひっかけめっき処理、バレルめっき処理が好ま
しい。
【0062】
【実施例】実施例1 超急冷法で作製したNd12at%、Fe77at%、B6at%、Co5at%
の組成からなる平均粒径150μmの合金粉末にエポキシ樹
脂2wt%を加えて混練し、7ton/cm2の圧力で圧縮成型した
後、170℃で1時間キュアーし、外径22mm×内径20mm×高
さ3mmのリング状ボンド磁石を作製した。得られたボン
ド磁石の特性はBr6.7kG、iHc8.9kOe、(BH)max9.0MGOeで
あった。
【0063】得られたボンド磁石を振動バレルに入れ、直径
1mm、長さ1mmの短円柱状Cu片を用い、乾式バレル研磨処
理を行い、Cu微片による導電被覆層を形成した。Cu微片
の樹脂面での圧入被覆深さは約0.7μm、磁粉面での被覆
厚さは0.1μmであった。
【0064】なお、バレル研磨の処理条件は、雰囲気はArガ
ス中、容積3.5lの振動数70Hz、振動振幅3mmの振動バレ
ルに、50ケのボンド磁石(見かけ容積0.15l、重量100g)
と前記寸法のCu片(見かけ容積2l、重量10kg)を装入し、
総装入量はバレル内容積の60%で、3時間の処理を行っ
た。
【0065】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Niめっきを行った。めっき後の膜厚は内径側20μm、外
径側22μmであった。得られたリング状ボンド磁石を80
℃、相対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行
った。その耐湿試験前後の磁石の特性を表1、耐湿試験
時の表面状況結果及び膜厚寸法精度を表2に示す。
【0066】なお、電気Niめっきの条件は、電流密度2A/d
m2、めっき時間60分、pH4.2、浴温55℃であり、めっき
液組成は硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル45g/l、炭
酸ニッケル適量(pH調整)、ほう酸30g/lであった。
【0067】比較例1 実施例1と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は5μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例1と同一の条件でNiめっ
きを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対
湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。そ
の結果を表1〜表3に示す。
【0068】なお、無電解銅めっきの条件は、めっき時間20
分、pH11.5、浴温20℃であり、めっき液組成は硫酸銅29
g/l、炭酸ナトリウム25g/l、酒石酸塩140g/l、水酸化ナ
トリウム40g/l、37%ホルムアルデヒド150mlであった。
【0069】比較例2 実施例1と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して10μmの導電被膜
を形成した。処理後、実施例1と同一の条件でNiめっき
を行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿
度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その
結果を表1〜表3に示す。
【0070】なお、導電被膜処理条件は、処理時間30分、処
理液組成はフェノール樹脂5wt%、Ni粉(粒径0.7μm以下)
5wt%、MEK(メチルエチルケトン)90wt%あった。
【0071】比較例3 実施例1と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、浸漬法にて接着層としたフェノール樹脂層を予め形
成後、Ag粉(粒径0.7μm以下)を表面に付着させた後、振
動バレルにて7μmの導電被覆層を形成した。振動バレル
処理後、実施例1と同一の条件でNiめっきを行った。得
られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500時
間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その結果を表1〜
表3に示す
【0072】なお、振動バレル処理条件は、容積3.5lの振動
バレルを用い、50ケのボンド磁石を装入し、見かけ容積
が2lの2.5mm径のスチールボールをメディアとして、3時
間の処理を行った。
【0073】表1、表2より明らかなごとく、比較例1は約100
時間後に点錆が認められ、比較例2は300時間後、比較例
3においても約350時間後に点錆が認められたが、これに
対して実施例1は500時間後においても30倍の顕微鏡で認
められる点錆はなかった。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】実施例2 超急冷法で作製したNd12at%、Fe77at%、B6at%、Co5at%
の組成からなる平均粒径150μmの合金粉末にエポキシ樹
脂2wt%を加えて混練し、7ton/cm2の圧力で圧縮成型した
後、170℃で1時間キュアーし、外径26mm×内径24mm×高
さ5mmのリング状ボンド磁石を作製した。得られたボン
ド磁石の特性はBr6.8kG、iHc9.1kOe、(BH)max9.2MGOeで
あった。
【0077】得られた磁石100ケ(200g)を20lの容積の振動バ
レルに平均直径3mmのAl2O3系球状バレル石とともに投入
後、粒径1μm程度のAl2O3粉体によって表面を改質され
た直径1mm程度のクルミの実からなる植物性媒体をバレ
ル容積の50%投入して120分間振幅20mmにて乾式法で表面
研磨をし、封孔するとともに平滑処理した。
【0078】ついでボンド磁石を振動バレルにて入れ、雰囲
気はArガス中、直径1mm長さ1mmの短円柱状のCu片を用
い、振動数70Mz、振動振幅3mmの乾式バレル研磨処理を
行い、Cu微片による導電被覆層を形成した。Cu微片の樹
脂面、封孔部での圧入深さは約0.7μm、磁粉面での被覆
厚さは0.1μmであった。なおバレル研磨の処理条件は、
容積3.5lの振動バレルに、50ケのボンド磁石(見かけ容
積0.15l、重量100g)と前記寸法のCu片(見かけ容積2l、
重量10kg)を装入し、総装入量はバレル容積の60%で振幅
20mmにて3時間の処理を行った。
【0079】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Niめっきを行った。めっき後の膜厚は内径側21μm、外
径側23μmであった。得られたリング状ボンド磁石を80
℃、相対湿度90%、800時間にて環境試験(耐湿試験)を行
った。その耐湿試験前後の磁石の特性を表3、耐湿試験
時の表面状況結果及び膜厚寸法精度を表4に示す。
【0080】なお、電気Niめっきの条件は、電流密度2A/d
m2、めっき時間60分、pH4.2、浴温55℃であり、めっき
液組成は硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル45g/l、炭
酸ニッケル適量(pH調整)、ほう酸30g/lであった。
【0081】比較例4 実施例2と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、実施例2と同様の封孔、表面平滑化処理を行って洗
浄後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は5μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例2と同一の条件でNiめっ
きを行った。得られたリング状ボンド磁石を実施例2と
同一条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その結果およ
び膜厚寸法精度(耐湿試験)を行った。その結果を表3〜
表4に示す。
【0082】なお、無電解銅めっきの条件は、めっき時間20
分、pH11.5、浴温20℃であり、めっき液組成は硫酸銅29
g/l、炭酸ナトリウム25g/l、酒石酸塩140g/l、水酸化ナ
トリウム40g/l、37%ホルムアルデヒド150mlであった。
【0083】比較例5 実施例2と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、下記条件にてフェノール樹脂とNi粉を混合して塗布
して10μmの導電樹脂被膜を形成し、振動バレルに前記
磁石と5mmの銅ボールをバレル容積の60%装入し振幅20mm
にて60分間バレル研磨にて平滑研磨した。
【0084】その後、実施例2と同一の条件でNiめっきを行
った。得られたリング状ボンド磁石を実施例2と同一の
条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その結果および膜
厚寸法精度(耐湿試験)を行った。その結果を表3〜表4に
示す。
【0085】なお導電被膜処理条件は処理時間30分、処理液
組成はフェノール樹脂5wt%、Ni粉(粒径0.7μm以下)5wt
%、MEK(メチルエチルケトン)90wt%であった。
【0086】表4より比較例4は約700時間後に点錆が認めら
れ、比較例5においても600時間後、点錆が認められた。
それに比べ実施例2は800時間後においても30倍の顕微鏡
で認められる点錆はなかった。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】実施例3 実施例1と同様方法で、外径25mm×内径23mm×高さ3mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性はBr6.9kG、iHc9.1kOe、(BH)max9.3MGOeであった。
【0090】得られたボンド磁石を振動バレルに入れ、直径
2mm、長さ1mmの短円柱状Sn片を用い、乾式バレル研磨処
理を行い、Sn微片による導電被覆層を形成した。Sn微片
の樹脂面での圧入深さは約0.9μm、磁粉面での被覆厚さ
は0.4μmであった。バレル研磨の処理条件は実施例1と
同様である。
【0091】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Cuめっきを行い、その後電気Niめっきを行った。めっき
後の膜厚は内径側22μm、外径側23μmであった。得られ
たリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500時間に
て環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前後の磁
石の特性を表5、耐湿試験時の表面状況結果及び膜厚寸
法精度を表6に示す。
【0092】なお、電気Cuめっきの条件は、電流密度2.5A/d
m2、めっき時間5分、pH10、浴温40℃であり、めっき液
組成は銅20g/l、遊離シアン10g/lであった。また、電気
Niめっきの条件は実施例1と同様である。
【0093】実施例4 実施例3と同様方法で得たリング状ボンド磁石を振動バ
レルにて入れ、直径1mm、長さ2mmの円柱状Zn片を用い、
乾式バレル処理を行い、Zn微片による導電被覆層を形成
した。Zn微片の樹脂面での圧入深さは約0.8μm、磁粉面
での被覆厚さは0.2μmであった。バレル研磨の処理条件
は実施例1と同様であった。
【0094】その後、実施例3と同一の条件でCu、Niめっき
を行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿
度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その
耐湿試験前後の磁石の特性を表5、耐湿試験時の表面状
況結果及び膜厚寸法精度を表6に示す。
【0095】実施例5 実施例3と同様方法で得たリング状ボンド磁石を振動バ
レルに入れ、直径1mm、長さ1mmの円柱状Pb片を用い、乾
式バレル処理を行い、Pb微片による導電被覆層を形成し
た。Pb微片の樹脂面での圧入深さは約0.9μm、磁粉面で
の被覆厚さは0.6μmであった。バレル研磨の処理条件は
実施例1と同様であった。
【0096】その後、実施例3と同一の条件でCu、Niめっき
を行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿
度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その
耐湿試験前後の磁石の特性を表5、耐湿試験時の表面状
況結果及び膜厚寸法精度を表6に示す。
【0097】比較例6 実施例3と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は5μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例3と同一の条件でCu、Ni
めっきを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、
相対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行っ
た。その耐湿試験前後の磁石の特性を表5、耐湿試験時
の表面状況結果及び膜厚寸法精度を表6に示す。なお、
無電解銅めっきの条件は比較例1と同様であった。
【0098】比較例7 実施例3と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して10μmの導電被膜
を形成した。処理後、実施例3と同一の条件でCu、Niめ
っきを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相
対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。
その耐湿試験前後の磁石の特性を表5、耐湿試験時の表
面状況結果及び膜厚寸法精度を表6に示す。なお、導電
被膜処理条件は比較例2と同様であった。
【0099】比較例8 実施例3と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、浸漬法にて接着層としたフェノール樹脂層を予め形
成後、Ag粉(粒径0.7μm以下)を表面に付着させた後、振
動バレルにて7μmの導電性被覆層を形成した。振動バレ
ル処理後、実施例3と同一の条件でCu、Niめっきを行っ
た。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90
%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿
試験前後の磁石の特性を表5、耐湿試験時の表面状況結
果及び膜厚寸法精度を表6に示す。なお、振動バレル処
理条件は比較例3と同様であった。
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】表5〜表6より明らかなごとく、比較例6は約130
時間後に点錆が認められ、比較例7は250時間後、比較例
8においても約330時間後に点錆が認められたが、これに
対して実施例3は500時間後においても30倍の顕微鏡で認
められる点錆はなかった。
【0103】実施例6 実施例1と同様方法で、外径34mm×内径31mm×高さ8mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性はBr6.7kG、iHc9.1kOe、(BH)max9.1MGOeであった。
【0104】得られた磁石を実施例2と同様方法、条件で振
動バレルを用い平均直径3mmのAl 2O3系球状バレル石によ
る封孔並びに平滑処理した。
【0105】ついでボンド磁石を振動バレルにて入れ、直径
1mm長さ1mmの短円柱状のSn,Zn,Pb片を用い、乾式バレル
研磨処理を行い、金属微片による導電被覆層を形成し
た。金属微片の樹脂面、封孔部での圧入深さ、磁粉面で
の被覆厚さを表7に示す。なおバレル研磨の処理条件は
実施例2と同様であった。
【0106】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Niめっきを行い、その後Niめっきを行った。めっき後の
膜厚は内径側21μm、外径側22μmであった。得られたリ
ング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、1000時間にて
環境試験(耐湿試験)を行った。その結果及び膜厚寸法精
度を表8〜表9に示す。なお、電気Cuめっき、電気Niめっ
きの条件は実施例2と同様であった。
【0107】比較例9 実施例6と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、実施例6と同様の封孔、表面平滑化処理を行って洗
浄後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は5μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例6と同一の条件でCuめっ
き、Niめっきを行った。
【0108】得られたリング状ボンド磁石を実施例6と同一
条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前後
の磁石の特性を表8、耐湿試験時の表面状況結果及び膜
厚寸法精度を表9に示す。なお、無電解銅めっき条件は
比較例4と同様であった。
【0109】比較例10 実施例6と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して塗布して10μmの
導電樹脂被膜を形成し、振動バレルに前記磁石と5mmの
スチールボールをバレル容積の60%装入し振幅20mmにて6
0分間バレル研磨にて平滑研磨した。
【0110】その後、実施例6と同一の条件でCuめっき、Ni
めっきを行った。得られたリング状ボンド磁石を実施例
6と同一の条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その結
果および膜厚寸法精度を表8〜表9に示す。なお、導電被
膜処理条件は比較例5と同様であった。
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】表9より比較例9は約800時間後に点錆が認めら
れ、比較例10においても600時間後、点錆が認められ
た。それに比べ実施例6は1000時間後においても30倍の
顕微鏡で認められる点錆はなかった。
【0115】実施例7 実施例1と同様方法で、外径21mm×内径18mm×高さ4mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性は表11に示すごとく、Br6.8kG、iHc9.1kOe、(BH)ma
x9.2MGOeであった。
【0116】得られたボンド磁石を振動バレルに入れ、直径
0.7mm、長さ0.5mmの短円柱状Fe,Ni,Co,Cr片を用い、乾
式バレル研磨処理を行い、前記金属微片による導電被覆
層を形成した。前記金属微片の樹脂面での圧入深さと磁
粉面での被覆厚さを表10に示す。バレル研磨の処理条件
は実施例1と同様である。
【0117】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Cuめっきを行い、その後電気Niめっきを行った。めっき
後の膜厚は内径側18μm、外径側21μmであった。得られ
たリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500時間に
て環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前後の磁
石の特性を表12、耐湿試験時の表面状況結果及び膜厚寸
法精度を表13に示す。なお、電気Cuめっき、電気Niめっ
きの条件は実施例1と同様である。
【0118】比較例11 実施例7と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は6μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例3と同一の条件でCu、Ni
めっきを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、
相対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行っ
た。その耐湿試験前後の磁石の特性を表12、耐湿試験時
の表面状況結果及び膜厚寸法精度を表13に示す。なお、
無電解銅めっきの条件は比較例1と同様であった。
【0119】比較例12 実施例7と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して10μmの導電被膜
を形成した。処理後、実施例7と同一の条件でCu、Niめ
っきを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相
対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。
その耐湿試験前後の磁石の特性を表12、耐湿試験時の表
面状況結果及び膜厚寸法精度を表13に示す。なお、導電
被膜処理条件は比較例2と同様であった。
【0120】比較例13 実施例7と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、浸漬法にて接着層としたフェノール樹脂層を予め形
成後、Ag粉(粒径0.7μm以下)を表面に付着させた後、振
動バレルにて7μmの導電性被覆層を形成した。振動バレ
ル処理後、実施例7と同一の条件でCu、Niめっきを行っ
た。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90
%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿
試験前後の磁石の特性を表12、耐湿試験時の表面状況結
果及び膜厚寸法精度を表13に示す。なお、振動バレル処
理条件は比較例3と同様であった。
【0121】
【表10】
【0122】
【表11】
【0123】
【表12】
【0124】
【表13】
【0125】表10〜表13より明らかなごとく、比較例11は約
130時間後に点錆が認められ、比較例12は350時間後、比
較例13においても約370時間後に点錆が認められたが、
これに対して実施例7は500時間後においても30倍の顕微
鏡で認められる点錆はなかった。
【0126】実施例8 実施例1と同様方法で、外径29mm×内径25mm×高さ5mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性は表15に示すごとく、Br6.7kG、iHc9.3kOe、(BH)ma
x9.5MGOeであった。
【0127】得られた磁石を実施例2と同様方法、条件で振
動バレルを用い平均直径3mmのAl 2O3系球状バレル石によ
る封孔並びに平滑処理した。
【0128】ついでボンド磁石を振動バレルにて入れ、直径
0.5mm長さ0.4mmの短円柱状のFe,Ni,Co,Cr片を用い、乾
式バレル研磨処理を行い、金属微片による導電被覆層を
形成した。金属微片の樹脂面、封孔部での圧入深さ、磁
粉面での被覆厚さを表14に示す。なおバレル研磨の処理
条件は実施例2と同様であった。
【0129】その後洗浄を行い、ひっかけめっき方式で電気
Niめっきを行い、その後Niめっきを行った。めっき後の
膜厚は内径側20μm、外径側22μmであった。得られたリ
ング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、1000時間にて
環境試験(耐湿試験)を行った。その結果及び膜厚寸法精
度を表16〜表17に示す。
【0130】なお、電気Cuめっき、電気Niめっきの条件は実
施例2と同様であった。また、亜鉛置換処理の処理条件
は、処理時間40秒、浴温22℃で、液組成は水酸化ナトリ
ウム300g/l、酸化亜鉛40g/l、塩化第二鉄1g/l、ロッセ
ル塩30g/lであった。膜厚は0.01μmであった。
【0131】比較例14 実施例8と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、実施例6と同様の封孔、表面平滑化処理を行って洗
浄後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は5μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例8と同一の条件でCuめっ
き、Niめっきを行った。
【0132】得られたリング状ボンド磁石を実施例8と同一
条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その結果及び膜厚
寸法精度を表16〜表17に示す。なお、無電解銅めっき条
件は比較例4と同様であった。
【0133】比較例15 実施例6と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して塗布して10μmの
導電樹脂被膜を形成し、振動バレルに前記磁石と5mmの
スチールボールをバレル容積の60%装入し振幅20mmにて6
0分間バレル研磨にて平滑研磨した。
【0134】その後、実施例8と同一の条件でCuめっき、Ni
めっきを行った。得られたリング状ボンド磁石を実施例
6と同一の条件の環境試験(耐湿試験)を行った。その結
果および膜厚寸法精度を表16〜表17に示す。なお、導電
被膜処理条件は比較例5と同様であった。
【0135】
【表14】
【0136】
【表15】
【0137】
【表16】
【0138】
【表17】
【0139】表17より比較例14は約700時間後に点錆が認め
られ、比較例15においても550時間後、点錆が認められ
た。それに比べ実施例8は800時間後においても30倍の顕
微鏡で認められる点錆はなかった。
【0140】実施例9 実施例1と同様方法で、外径20mm×内径17mm×高さ6mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性はBr6.9kG、iHc9.4kOe、(BH)max9.6MGOeであった。
【0141】得られたボンド磁石を振動バレルに入れ、直径
0.8mm、長さ1mmの短円柱状Al片を用い、乾式バレル研磨
処理を行い、Al微片による導電被覆層を形成した。Al微
片の樹脂面での圧入被覆深さは約0.9μm、磁粉面での被
覆厚さは0.5μmであった。バレル研磨の処理条件は実施
例1と同様である。
【0142】その後洗浄を行い、亜鉛置換処理を行った後、
ひっかけめっき方式で電気Niめっきを行った。めっき後
の膜厚は内径側19μm、外径側21μmであった。得られた
リング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500時間にて
環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前後の磁石
の特性を表18、耐湿試験時の表面状況結果及び膜厚寸法
精度を表19に示す。なお、電気Niめっきの条件は実施例
1と同様である。
【0143】比較例16 実施例9と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は6μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例3と同一の条件でCu、Ni
めっきを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、
相対湿度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行っ
た。その耐湿試験前後の磁石の特性を表18、耐湿試験時
の表面状況結果及び膜厚寸法精度を表19に示す。なお、
無電解銅めっきの条件は比較例1と同様であった。
【0144】比較例17 実施例9と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、フェノール樹脂とNi粉を混合して10μmの導電被膜
を形成した。処理後、実施例9と同一の条件でNiめっき
を行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿
度90%、500時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その
耐湿試験前後の磁石の特性を表18、耐湿試験時の表面状
況結果及び膜厚寸法精度を表19に示す。なお、導電被膜
処理条件は比較例2と同様であった。
【0145】比較例18 実施例9と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、浸漬法にて接着層としたフェノール樹脂層を予め形
成後、Ag粉(粒径0.7μm以下)を表面に付着させた後、振
動バレルにて7μmの導電性被覆層を形成した。振動バレ
ル処理後、実施例9と同一の条件でNiめっきを行った。
得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500
時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前
後の磁石の特性を表18、耐湿試験時の表面状況結果及び
膜厚寸法精度を表19に示す。なお、振動バレル処理条件
は比較例3と同様であった。
【0146】
【表18】
【0147】
【表19】
【0148】表18〜表19より明らかなごとく、比較例16は約
120時間後に点錆が認められ、比較例17は270時間後、比
較例18においても約300時間後に点錆が認められたが、
これに対して実施例9は500時間後においても30倍の顕微
鏡で認められる点錆はなかった。
【0149】実施例10 実施例1と同様方法で、外径36mm×内径33mm×高さ3mmの
リング状ボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石の
特性はBr6.7kG、iHc9.2kOe、(BH)max9.5MGOeであった。
【0150】得られた磁石220ケを20lの容積の振動バレルに
平均直径4mmのAl2O3系球状バレル石とともに投入後、粒
径2μm程度のAl2O3粉体によって表面を改質された直径2
mm程度のクルミの実からなる植物性媒体をバレル容積の
50%投入して150分間乾式法で表面研磨をし、封孔すると
ともに平滑処理した。
【0151】得られたボンド磁石を振動バレルに入れ、直径
0.5mm、長さ0.7mmの短円柱状Al片を用い、乾式バレル研
磨処理を行い、Al微片による導電被覆層を形成した。Al
微片の樹脂面での圧入被覆深さは約1.1μm、磁粉面での
被覆厚さは0.6μmであった。バレル研磨の処理条件は実
施例1と同様である。
【0152】その後洗浄を行い、亜鉛置換処理を行った後、
ひっかけめっき方式で電気Niめっきを行った。めっき後
の膜厚は内径側17μm、外径側19μmであった。得られた
リング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90%、500時間にて
環境試験(耐湿試験)を行った。その耐湿試験前後の磁石
の特性を表20、耐湿試験時の表面状況結果及び膜厚寸法
精度を表21に示す。
【0153】なお、電気Cuめっき、電気Niめっきの条件は実
施例2と同様であった。また、亜鉛置換処理の処理条件
は、処理時間40秒、浴温22℃で、液組成は水酸化ナトリ
ウム300g/l、酸化亜鉛40g/l、塩化第二鉄1g/l、ロッセ
ル塩30g/lであった。膜厚は0.01μmであった。
【0154】比較例19 実施例10と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、実施例10と同様の封孔、表面平滑処理を行って洗浄
後、無電解銅めっきを行った。めっき厚は6μmであっ
た。無電解銅めっき後、実施例10と同一の条件でNiめっ
きを行った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対
湿度90%、1000時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。
その耐湿試験前後の磁石の特性を表20、耐湿試験時の表
面状況結果及び膜厚寸法精度を表21に示す。なお、無電
解銅めっきの条件は比較例4と同様であった。
【0155】比較例20 実施例10と同様方法で得たリング状ボンド磁石を洗浄
後、下記条件にてフェノール樹脂とNi粉を混合して12μ
mの導電樹脂被膜を形成し、振動バレルに前記磁石と2mm
のスチールボールをバレル容積の70%装入して90分間バ
レル研磨にて平滑研磨した。
【0156】その後、実施例10と同一の条件でNiめっきを行
った。得られたリング状ボンド磁石を80℃、相対湿度90
%、1000時間にて環境試験(耐湿試験)を行った。その耐
湿試験前後の磁石の特性を表20、耐湿試験時の表面状況
結果及び膜厚寸法精度を表21に示す。なお、導電被膜処
理条件は比較例5と同様であった。
【0157】
【表20】
【0158】
【表21】
【0159】表20〜表21より明らかなごとく、比較例19は約
750時間後に点錆が認められ、比較例20は680時間後に点
錆が認められたが、これに対し実施例10は1000時間後に
おいても倍率30倍の顕微鏡で認められる点錆はなかっ
た。
【0160】
【発明の効果】この発明は、ポーラスなR-Fe-B系ボンド
磁石を研磨材と植物性媒体の混合物、または研磨材と無
機質粉体にて改質された植物性媒体の混合物をメディア
として用いて乾式法にてバレル研磨を施すことにより、
研磨粉並びに無機質粉体及び研磨屑をR-Fe-B系ボンド磁
石の空孔部に植物性媒体の油脂分で固着、封孔すること
ができ、同時に表面平滑化処理が可能で改質でき、さら
に、このR-Fe-B系ボンド磁石を所要寸法の球状、塊状あ
るいは針状(ワイヤー)等の不定形Alを用いてバレル装置
にて乾式法にてバレル研磨を施し、磨砕されたAl微片を
ボンド磁石表面の樹脂面および封孔部に圧入被覆し、ま
た磁粉面にAl微片を被覆することにより、R-Fe-B系ボン
ド磁石表面にAl被覆膜を形成した後、このAl被覆層表面
に亜鉛置換処理を行うことで、緻密でピンホールのない
電解めっき層の形成可能となり、極めて優れた耐食性を
有するR-Fe-B系ボンド磁石を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊井 文秋 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内 (72)発明者 磯崎 貴裕 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 4K024 AA03 AA09 AB01 AB02 AB15 AB19 BA02 BB14 BC07 DA05 DA08 DA10 GA04 5E040 AA04 AA19 BB05 BC01 BC05 BC08 CA01 HB14 NN05 5E062 CC02 CD05 CE04 CG02 CG03 CG07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バレル装置内にて、R-Fe-B系ボンド磁石
    と不定形金属微片を装入して、不活性ガス雰囲気の乾式
    法にてバレル研磨を施して、R-Fe-B系ボンド磁石表面を
    構成する樹脂面及び空孔部に圧砕された金属微片を圧入
    かつ被覆し、また磁石表面を構成する磁粉面に前記金属
    微片を被覆し、当該磁石表面に金属被覆層を形成して、
    導電性金属被覆層を介して、最外表面に電解めっきを施
    して、電解めっき層を形成する高耐食性R-Fe-B系ボンド
    磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 植物性媒体または無機質粉体にて表面を
    改質された植物性媒体と研磨材との混合物をメディアと
    して、R-Fe-B系ボンド磁石を乾式法にてバレル研磨して
    前記研磨材の粉末とボンド磁石の研磨屑あるいはさらに
    前記無機質粉体をR-Fe-B系ボンド磁石の空孔部を植物性
    媒体の油脂分で固着、封孔するとともに、表面平滑化し
    て改質した後、当該ボンド磁石と不定形金属微片をバレ
    ル装置内に装入して、不活性ガス雰囲気の乾式法にてバ
    レル研磨し、圧砕された金属微片を前記磁石の樹脂面お
    よび前記封孔部に圧入かつ被覆し、また表面の磁粉面に
    金属微片を被覆することにより、R-Fe-B系ボンド磁石表
    面に導電性を付与した後、最外表面に電解めっき層を形
    成する高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1、請求項2において、金属微片はC
    u,Sn,Zn,Pb,Cd,In,Au,Ag,Fe,Ni,Co,Cr,Al及びその合金
    である高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2において、金属微片がA
    lの場合は当該磁石表面のAl被覆面に亜鉛置換処理法に
    より形成のZn層を介して電解めっき層を有する高耐食性
    R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2において、不定形
    金属微片の大きさは0.1mm〜10mmの球状、塊状あるいは
    針状である高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、不定形Cu,Fe,Ni,Co,Cr
    微片の大きさは0.1mm〜5mmの球状、塊状あるいは針状で
    ある高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2において、バレル
    研磨して圧砕された金属微片の大きさは長径5μm以下で
    ある高耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2において、回転、
    振動または遠心バレルを用いて、磁石と金属微片の容積
    比率(磁石/金属微片)を3以下にてバレル研磨する高耐食
    性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項2において、研磨材は無機質粉体を
    焼き固めた研磨石あるいは金属ボールである高耐食性R-
    Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項2において、植物性媒体は植物性
    の皮屑、おが屑、果実の殻、トウモロコシの芯である高
    耐食性R-Fe-B系ボンド磁石の製造方法。
JP10302158A 1998-10-23 1998-10-23 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法 Pending JP2000133541A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10302158A JP2000133541A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10302158A JP2000133541A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000133541A true JP2000133541A (ja) 2000-05-12

Family

ID=17905625

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10302158A Pending JP2000133541A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000133541A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002004714A1 (en) * 2000-07-07 2002-01-17 Hitachi Metals, Ltd. Electrolytic copper-plated r-t-b magnet and plating method thereof
US6365224B1 (en) 1999-04-28 2002-04-02 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Process for forming metal layer on surface of resin molded product
JP2002256483A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Daihatsu Motor Co Ltd Cvt用プーリーへのめっき方法
WO2003038157A1 (fr) * 2001-10-29 2003-05-08 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Procede de formation d'un revetement depose par electrolyse sur la surface d'un article
JP2006013398A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Neomax Co Ltd 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
JP2006013399A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Neomax Co Ltd 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
EP3020848A1 (en) * 2014-11-05 2016-05-18 Yantai Shougang Magnetic Materials Inc. A vacuum coating device for surface coating of small sized nd-fe-b magnets and a corresponding vacuum coating method
CN105845308A (zh) * 2015-02-03 2016-08-10 Lg伊诺特有限公司 稀土磁体和包括该稀土磁体的电动机

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6365224B1 (en) 1999-04-28 2002-04-02 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Process for forming metal layer on surface of resin molded product
US6863986B2 (en) 1999-04-28 2005-03-08 Neomax Co., Ltd. Process for forming metal layer on surface of resin molded product
US6866765B2 (en) 2000-07-07 2005-03-15 Hitachi Metals, Ltd. Electrolytic copper-plated R-T-B magnet and plating method thereof
WO2002004714A1 (en) * 2000-07-07 2002-01-17 Hitachi Metals, Ltd. Electrolytic copper-plated r-t-b magnet and plating method thereof
JP2002256483A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Daihatsu Motor Co Ltd Cvt用プーリーへのめっき方法
JP4616490B2 (ja) * 2001-03-02 2011-01-19 ダイハツ工業株式会社 Cvt用プーリーへのめっき方法
US7449100B2 (en) 2001-10-29 2008-11-11 Hitachi Metals, Ltd. Method for forming electroplating film on surfaces of articles
WO2003038157A1 (fr) * 2001-10-29 2003-05-08 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Procede de formation d'un revetement depose par electrolyse sur la surface d'un article
JP4506305B2 (ja) * 2004-06-29 2010-07-21 日立金属株式会社 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
JP4506306B2 (ja) * 2004-06-29 2010-07-21 日立金属株式会社 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
JP2006013399A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Neomax Co Ltd 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
JP2006013398A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Neomax Co Ltd 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法
EP3020848A1 (en) * 2014-11-05 2016-05-18 Yantai Shougang Magnetic Materials Inc. A vacuum coating device for surface coating of small sized nd-fe-b magnets and a corresponding vacuum coating method
US10208376B2 (en) 2014-11-05 2019-02-19 Yantai Shougang Magnetic Materials Inc. Apparatus and method for coating of small Nd-Fe-B magnets
CN105845308A (zh) * 2015-02-03 2016-08-10 Lg伊诺特有限公司 稀土磁体和包括该稀土磁体的电动机
EP3054466A1 (en) * 2015-02-03 2016-08-10 LG Innotek Co., Ltd. Rare earth magnet and motor including the same
KR20160095527A (ko) * 2015-02-03 2016-08-11 엘지이노텍 주식회사 희토류 자석 및 이를 포함하는 전동기
CN105845308B (zh) * 2015-02-03 2019-12-10 Lg伊诺特有限公司 稀土磁体和包括该稀土磁体的电动机
US10586636B2 (en) 2015-02-03 2020-03-10 Lg Innotek Co., Ltd. Rare earth magnet and motor including the same
KR102283172B1 (ko) * 2015-02-03 2021-07-29 엘지이노텍 주식회사 희토류 자석 및 이를 포함하는 전동기

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3278647B2 (ja) 希土類系ボンド磁石
KR100374398B1 (ko) 고내식성을 갖는 R-Fe-B계 본드 자석과 그 제조 방법
JP2000133541A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法
KR100371786B1 (ko) 고내식성 R-Fe-B계 본드 자석의 제조 방법
JP3236813B2 (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JP3236816B2 (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
US6423369B1 (en) Process for sealing pores in molded product, and bonded magnet with pores sealed by the process
JP3236815B2 (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JP3236814B2 (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法
JPH11283818A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JPH11260614A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JPH07201620A (ja) R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JPH11238641A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JPH11260613A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石とその製造方法
JPH0613211A (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JPH0927433A (ja) 高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石の製造方法
JP3232037B2 (ja) 圧壊強度にすぐれた高耐食性R−Fe−B系ボンド磁石
JPH0646603B2 (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JP2922601B2 (ja) 樹脂成形型磁石
JP2631492B2 (ja) 耐食性永久磁石の製造方法
JP2002134342A (ja) 希土類系永久磁石およびその製造方法
JP3218028B2 (ja) 外部に連通する中空部を備えた被処理物の表面処理方法および該方法により処理されたリング状ボンド磁石
JPH0666173B2 (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JPS62120003A (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JPH0545045B2 (ja)