JPH09196922A - 複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定方法及び測定試薬 - Google Patents

複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定方法及び測定試薬

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JPH09196922A
JPH09196922A JP2482596A JP2482596A JPH09196922A JP H09196922 A JPH09196922 A JP H09196922A JP 2482596 A JP2482596 A JP 2482596A JP 2482596 A JP2482596 A JP 2482596A JP H09196922 A JPH09196922 A JP H09196922A
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Chikako Akiba
千佳子 秋葉
Masahiro Naito
正宏 内藤
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SHINOTESUTO KK
Shino Test Corp
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SHINOTESUTO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】HBs抗原の共通抗原決定基aに対する抗体の
ような、複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に
特異的な抗体のみを選択的に測定することを可能とす
る。 【構成】複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に
特異的な抗体を含有すると推測される試料に、前記の抗
原の共通抗原決定基を有する第1の抗原、及び前記の複
数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有しかつ第
1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の
抗原を接触させ、これにより形成された「第1の抗原−
抗体(複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特
異的な抗体)−第2の抗原」の結合を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の亜型(サブ
タイプ)が存在する抗原に特異的な種々の抗体のうち、
全ての亜型が共通に保有する共通抗原決定基に特異的な
抗体を選択的に測定する測定方法及び測定試薬に関する
ものである。本発明は、特に臨床検査分野における疾病
の診断等に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】HBs抗原に特異的な抗体である抗HB
s抗体はB型肝炎診断のマーカーとして、酵素免疫測定
法(EIA、ELISA)、放射免疫測定法(RI
A)、赤血球若しくはゼラチン粒子等を用いる粒子凝集
反応測定法又はラテックス凝集反応測定法等を原理とす
る測定試薬により広く測定されている。また、近年はB
型肝炎ワクチンの普及により、ワクチンの効果判定の指
標として抗HBs抗体の測定が行われている。
【0003】B型肝炎ウィルス(HBV)の表面抗原で
あるHBs抗原は、HBs抗原の全ての亜型が共通に保
有する共通抗原決定基aと、その亜型により、d又は
y、そして、r又はw、のうちのいずれかの抗原決定基
が規定される2組の対立亜型抗原決定基を有し、血清学
的に4つの主要亜型(adr、adw、ayr及びay
w)に分類されている。HBs抗原のタンパク質は22
6個のアミノ酸からなり、共通抗原決定基aはN末端よ
り124−147番のアミノ酸が4つのシステインによ
り立体構造をとることにより規定されている。また、対
立亜型抗原決定基d又はyは、N末端より122番のア
ミノ酸がリジンの時にdと規定され、これがアルギニン
の時にyと規定されている。そして、対立亜型抗原決定
基r又はwは、N末端より160番のアミノ酸がアルギ
ニンの時にrと規定され、これがリジンの時にwと規定
されている。〔岡本ら,Biochem.Biophy
s.Res.Commun.,148巻,500〜50
4頁,1987年、岡本ら,Journal of V
irology,61巻,3030〜3034頁,19
87年〕(図1参照)
【0004】
【図1】
【0005】抗HBs抗体は、B型肝炎ウィルスの中和
抗体とされているが、B型肝炎ウィルスのHBs抗原の
亜型によらずに感染防御能(cross protec
tion)を有するのは、共通抗原決定基aに対する抗
体のみであると考えられている。〔マーフィー(Mur
phy)ら,Intervirology,3巻,37
8〜381頁,1974年、スズムネス(Szmune
ss)ら,The New England Jour
nal of Medicine,307巻,1481
〜1486頁,1982年〕 また、ジルグ(Jilg)らは、B型肝炎ワクチンによ
り獲得された抗HBs抗体中の共通抗原決定基aに対す
る抗体の含有率を検討した結果、12〜98%(平均4
9%)と広く分布して個体差が大きいことを報告し、従
って、B型肝炎ワクチンにより獲得された抗HBs抗体
による感染防御能の判定には、抗HBs抗体の総量より
も、B型肝炎ウィルスのHBs抗原の亜型によらずに感
染防御能を有する、共通抗原決定基aに対する抗体の量
を知ることがより重要であると記載している。〔ジルグ
(Jilg)ら,Journal of Medica
lVirology,13巻,171頁,1984年〕
【0006】しかし、従来の抗HBs抗体測定方法及び
測定試薬において、赤血球やゼラチン粒子等を用いた粒
子凝集反応やラテックス凝集反応による測定では、粒子
担体に固定化したHBs抗原は1種類(単一の亜型ある
いは一定組成の亜型混合物)であり、また放射免疫測定
法や酵素免疫測定法による測定でも、固相に固定化した
HBs抗原と検出のための標識を施したHBs抗原は同
一種類(単一の亜型あるいは一定組成の亜型混合物)で
あった。従って、HBs抗原の共通抗原決定基aに対す
る抗体(抗HBs・a抗体)とともにHBs抗原の対立
亜型抗原決定基(d、y、r又はw)に対する抗体(抗
HBs・d抗体、抗HBs・y抗体、抗HBs・r抗体
又は抗HBs・w抗体)もHBs抗原と結合しうるの
で、測定された試料中の抗HBs抗体量は共通抗原決定
基aに対する抗体と、測定試薬に使用しているHBs抗
原の亜型の対立亜型抗原決定基に対する抗体(例えば、
測定試薬に使用しているHBs抗原の亜型がadrであ
れば抗HBs・d抗体と抗HBs・r抗体)の総和を示
すことになる。そのため、従来の抗HBs抗体測定方法
及び測定試薬では、試料中の抗HBs・a抗体のみを選
択的に測定することができず、測定された抗HBs抗体
量は必ずしも感染防御能を反映してはいないものであっ
た。(図2参照)
【0007】
【図2】
【0008】また、従来の抗HBs抗体測定方法及び測
定試薬における問題点として、測定試薬間で同等の検出
感度を有するにもかかわらず、測定試薬間の判定の不一
致が少なからず生じることが指摘されてきたが、これも
各測定試薬で使用されているHBs抗原の亜型が異なる
ことにより、試料中の抗HBs・a抗体は共通して測定
されるものの、対立亜型抗原決定基に対する抗体は測定
試薬により測定される場合と測定されない場合があるた
め、測定され得る総抗HBs抗体量に差が生じることが
原因と考えられており、現状では避けられないこととさ
れてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記のような現状に鑑
みて本発明者らは、複数の亜型が存在するHBs抗原に
対する抗体である抗HBs抗体の測定方法及び測定試薬
において、下記のような課題を解決することを目的とし
て鋭意研究を行った。
【0010】 従来の抗HBs抗体測定方法及び測定
試薬により測定された抗HBs抗体量は、HBs抗原の
共通抗原決定基aに対する抗体(抗HBs・a抗体)
と、HBs抗原の対立亜型抗原決定基に対する抗体の総
和を示しており、それぞれの亜型のHBs抗原を有する
B型肝炎ウィルスの全てに対して感染防御能を有する抗
HBs・a抗体の単独の量は不明であるので、必ずしも
感染防御能を反映しているものではなかった。よって、
B型肝炎ウィルスに対する感染防御能を反映する抗HB
s・a抗体を選択的に測定できるようにする。
【0011】 B型肝炎ウィルスに対する感染防御能
を知るための抗HBs抗体の測定において、従来の抗H
Bs抗体測定方法及び測定試薬がそれぞれ異なる亜型の
HBs抗原を使用していることを原因とする、同等の検
出感度を有する抗HBs抗体測定試薬間の判定の不一致
を解消する。
【0012】すなわち、本発明者らは、複数の亜型が存
在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体のみを選択
的に測定することができる測定方法及び測定試薬を開発
すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、本発明者ら
は、複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有す
る第1の抗原及び前記の複数の亜型が存在する抗原の共
通抗原決定基を有しかつ第1の抗原が有する対立亜型抗
原決定基は有しない第2の抗原を用いることにより、複
数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗
体の選択的な測定が可能となることを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の発明を
提供する。
【0014】 (1)複数の亜型が存在する抗原の共
通抗原決定基に特異的な抗体を含有すると推測される試
料に、前記の抗原の共通抗原決定基を有する第1の抗原
を接触させ、(2)これと同時に又はこの後に、前記の
複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有し第1
の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の抗
原を更に接触させ、(3)これにより形成された、「第
1の抗原−抗体−第2の抗原」の結合を検出する、こと
よりなる複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に
特異的な抗体の測定方法。
【0015】 「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の
結合の検出を、第1の抗原又は第2の抗原を固定化した
粒子担体の凝集を検出することにより行う、前記記載
の複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的
な抗体の測定方法。
【0016】 「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の
結合の検出を、第1の抗原及び/又は第2の抗原に結合
した標識物質を検出することにより行う、前記記載の
複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な
抗体の測定方法。
【0017】 複数の亜型が存在する抗原の共通抗原
決定基に特異的な抗体が、HBs抗原の共通抗原決定基
aに特異的な抗体である、前記、又は記載の複数
の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体
の測定方法。
【0018】 (1)複数の亜型が存在する抗原の共
通抗原決定基を有する第1の抗原、及び(2)前記の複
数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有しかつ第
1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の
抗原、を含む複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定試薬。
【0019】 第1の抗原又は第2の抗原が粒子担体
に固定化されている、前記記載の複数の亜型が存在す
る抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定試薬。
【0020】 第1の抗原及び/又は第2の抗原が標
識物質を結合している、前記記載の複数の亜型が存在
する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定試薬。
【0021】 複数の亜型が存在する抗原の共通抗原
決定基に特異的な抗体が、HBs抗原の共通抗原決定基
aに特異的な抗体である、前記、又は記載の複数
の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体
の測定試薬。
【0022】本発明は、複数の亜型が存在する抗原に特
異的な種々の抗体のうち、全ての亜型が共通に保有する
共通抗原決定基に特異的な抗体を選択的に測定するため
に、「前記の抗原の共通抗原決定基を有する第1の抗原
−抗体(前記の抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体)
−前記の抗原の共通抗原決定基を有しかつ第1の抗原が
有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の抗原」の結
合を形成させ、この結合を検出することよりなる複数の
亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の
測定方法及びこの測定を実施するための測定試薬であ
る。
【0023】これは、複数の亜型が存在する抗原の共通
抗原決定基に特異的な抗体(以下、共通抗原決定基に特
異的な抗体と略すことがある)のみが、前記の抗原の共
通抗原決定基を有する第1の抗原(以下、第1の抗原と
略すことがある)と前記の複数の亜型が存在する抗原の
共通抗原決定基を有しかつ第1の抗原が有する対立亜型
抗原決定基は有しない第2の抗原(以下、第2の抗原と
略すことがある)の両方に結合し、「第1の抗原−抗体
(共通抗原決定基に特異的な抗体)−第2の抗原」の結
合を形成することができるのに対して、前記の抗原の対
立亜型抗原決定基に特異的な抗体(以下、対立亜型抗原
決定基に特異的な抗体と略すことがある)は、結合でき
たとしても第1の抗原又は第2の抗原のどちらか一方に
しか結合できず、「第1の抗原−抗体(対立亜型抗原決
定基に特異的な抗体)−第2の抗原」の結合を形成し得
ないという原理によるものである。つまり、形成された
「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の結合を検出するこ
とにより、試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体の存
在を確かめることができるという原理に基づくものであ
る。これを図3に示した。
【0024】
【図3】
【0025】例えば、複数の亜型が存在する抗原の共通
抗原決定基に特異的な抗体であるHBs抗原の共通抗原
決定基aに特異的な抗体(以下、抗HBs・a抗体と略
すことがある)を選択的に測定する場合は、抗HBs・
a抗体を含有すると推測される試料に、HBs抗原の4
種類の亜型(adr、adw、ayr及びayw)から
選択した単一の亜型よりなる第1の抗原を接触させ、こ
の接触と同時に又はこの接触の後に、第1の抗原とはH
Bs抗原の2組の対立亜型抗原決定基の両方ともが異な
り第1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しないH
Bs抗原の亜型(例えば、第1の抗原の亜型がayrで
あればadw)を第2の抗原として更に接触させ、これ
により形成された「第1の抗原−抗体(抗HBs・a抗
体)−第2の抗原」の結合を検出することにより、試料
中の抗HBs・a抗体の選択的な測定を実施することが
できる。
【0026】本発明において、形成された「第1の抗原
−抗体−第2の抗原」の結合の検出は、公知の方法によ
り行うことができ、第1の抗原又は第2の抗原を固定化
した粒子担体の凝集を検出することにより、又は第1の
抗原及び/又は第2の抗原に結合した標識物質を検出す
ることにより行うことができる。
【0027】第1の抗原又は第2の抗原を固定化した粒
子担体の凝集を検出することは、例えば、特開昭64−
69954号公報に記載された、試料中の抗体に対応す
る抗原を内壁に固定化させた測定容器に試料を加え、同
時に又は次いで測定容器に固定化させた抗原と同一の抗
原あるいは特異的結合の類縁体を固定化させた不溶性担
体粒子を測定容器に加え、これにより発現する測定容器
と「抗原−抗体−抗原」の結合を介して結合する不溶性
担体粒子の凝集の有無により試料中の抗体の有無を判定
する免疫学的測定方法等により行うことができる。
【0028】また、第1の抗原及び/又は第2の抗原に
結合した標識物質を検出することは、例えば、公知の酵
素免疫測定法(EIA、ELISA)、放射免疫測定法
(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)又は発光免疫測
定法(LIA)等により行うことができる。
【0029】本発明において、複数の亜型が存在する抗
原の共通抗原決定基に特異的な抗体を含有すると推測さ
れる試料としては、例えば、ヒト又は動物等の血液、血
清、血漿、尿、大便、***、髄液、唾液、汗、涙、腹水
若しくは羊水等の体液、又は細胞、組織若しくは臓器等
の抽出液等、抗HBs・a抗体等の複数の亜型が存在す
る抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体が含まれる可能
性のある試料であれば対象となる。
【0030】本発明において、複数の亜型が存在する抗
原としては、HBs抗原等の複数の亜型(サブタイプ)
が存在する抗原が対象となり、この複数の亜型が存在す
る抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体としては、この
抗原に特異的な種々の抗体のうち、この抗原の全ての亜
型が共通に保有する抗原決定基である共通抗原決定基に
特異的な抗体、つまり、この共通抗原決定基のみに選択
的に結合することができる抗体であって測定を行う必要
があるものであれば対象となる。この複数の亜型が存在
する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の例として
は、例えば、HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な
抗体を挙げることができる。
【0031】また、本発明において、複数の亜型が存在
する抗原の共通抗原決定基を有する第1の抗原は、複数
の亜型が存在する抗原の全ての亜型が共通に保有する共
通抗原決定基を有する物質であればよい。例えば、複数
の亜型が存在する抗原の亜型のうちの任意のものを用い
ることができる。なお、これは共通抗原決定基さえ含む
ものであれば、この亜型の抗原の一部分よりなるもので
あってもよい。
【0032】そして、本発明において、複数の亜型が存
在する抗原の共通抗原決定基を有しかつ第1の抗原が有
する対立亜型抗原決定基は有しない第2の抗原は、 複数の亜型が存在する抗原の全ての亜型が共通に保
有する共通抗原決定基を有し、 第1の抗原が対立亜型抗原決定基を有する場合に
は、その第1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有し
ない、という2つの条件を満たす物質であればよい。例
えば、複数の亜型が存在する抗原の抗原決定基のうち共
通抗原決定基以外の抗原決定基である対立亜型抗原決定
基が第1の抗原とは全て異なる亜型の抗原を用いること
ができる。なお、これも共通抗原決定基さえ含むもので
あれば、この亜型の抗原の一部分よりなるものであって
もよい。
【0033】また、本発明において、第1の抗原と第2
の抗原の間で同じ対立亜型抗原決定基は有しないという
条件を満たすものであれば、第1の抗原及び/又は第2
の抗原は、複数種類のものの混合物であってもよい。
【0034】更に、本発明において、第1の抗原及び/
又は第2の抗原は、それぞれ複数の亜型が存在する抗原
の共通抗原決定基のみからなるものであってもよい。例
えば、HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な抗体を
測定する場合には、HBs抗原の抗原決定基のうち共通
抗原決定基aのみのアミノ酸配列を含むペプチド等の物
質を第1の抗原及び/又は第2の抗原として用いて測定
を行うこともできる。
【0035】本発明における、第1の抗原と第2の抗原
の組合せの例として、HBs抗原の共通抗原決定基aに
特異的な抗体を測定する場合の第1の抗原と第2の抗原
の組合せを表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】なお、本発明における第1の抗原及び第2
の抗原は、その由来を特に限定するものではなく、公知
の方法によりヒト若しくは動物の体液、細胞、組織若し
くは臓器などより調製した抗原、ペプチド、タンパク
質、糖質、脂質若しくは核酸などの化学的に合成した抗
原、癌細胞由来細胞などの培養細胞に産生させた抗原又
は遺伝子組み換え技術により微生物などに生産させた抗
原等を用いることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明において、「第1の抗原−
抗体−第2の抗原」の結合の検出を、第1の抗原又は第
2の抗原を固定化した粒子担体の凝集を検出することに
より行う場合について、以下例を挙げて説明を行う。
【0039】まず、この測定の手順の一例を以下に示
す。 第1の抗原を溶液収容部分に固定化した測定容器を
用意し、この第1の抗原を固定化した測定容器の溶液収
容部分に一定量の試料を添加して接触させる。 この添加・接触と同時に又は一定時間のうちに、第
2の抗原を固定化した粒子担体の一定量をこの溶液収容
部分に添加して接触させる。 そして、これをミキサー等で一定時間攪拌した後静
置して、試料中に共通抗原決定基に特異的な抗体が存在
する場合には「第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特
異的な抗体)−第2の抗原」の結合を形成させる。 静置後、一定時間内にこの第2の抗原を固定化した
粒子担体の溶液収容部分内における像を目視により判定
又はマイクロプレートリーダー等の測定装置により測定
し、凝集像が検出できれば試料中に共通抗原決定基に特
異的な抗体が存在すると判定し、凝集像が検出できなけ
れば試料中に共通抗原決定基に特異的な抗体は存在しな
いと判定することにより、試料中の共通抗原決定基に特
異的な抗体の測定を行う。
【0040】この測定においては、測定容器の溶液収容
部分内壁と粒子担体が試料中の共通抗原決定基に特異的
な抗体を介して、「測定容器溶液収容部分内壁−第1の
抗原−抗体(共通抗原決定基に特異的な抗体)−第2の
抗原−粒子担体」と結合することにより、第2の抗原を
固定化した粒子担体の凝集像を得ることができるもので
ある。
【0041】試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体
は、測定容器の溶液収容部分の内壁に固定化された第1
の抗原と、粒子担体に固定化した第2の抗原の両方に結
合するので、前記の結合を形成することができ、試料中
の共通抗原決定基に特異的な抗体の量を反映した凝集像
(測定容器の溶液収容部分の内壁面底部に広がった像、
陽性像)が得られることになる。これを図4に示した。
【0042】
【図4】
【0043】一方、試料中の対立亜型抗原決定基に特異
的な抗体は、第1の抗原と結合することによる測定容器
の溶液収容部分内壁への結合〔「測定容器溶液収容部分
内壁−第1の抗原−抗体(対立亜型抗原決定基に特異的
な抗体)」〕、又は第2の抗原と結合することによる粒
子担体への結合〔「抗体(対立亜型抗原決定基に特異的
な抗体)−第2の抗原−粒子担体」〕を生ずることはで
きるが、第1の抗原と第2の抗原は同じ対立亜型抗原決
定基は有しないので、「第1の抗原−抗体(対立亜型抗
原決定基に特異的な抗体)−第2の抗原」の結合が形成
されることはなく、つまり「測定容器溶液収容部分内壁
−第1の抗原−抗体(対立亜型抗原決定基に特異的な抗
体)−第2の抗原−粒子担体」の結合は形成されないの
で、第2の抗原を固定化した粒子担体は測定容器の溶液
収容部分内壁面上を転がり(滑り)落ちてしまい、凝集
像は得られずに底部に収束した像(陰性像)が生じる。
これを図5に示した。
【0044】
【図5】
【0045】よって、これにより試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体のみを選択的に測定することができる
こととなる。
【0046】なお、段階的に希釈した試料のそれぞれを
測定した時の粒子担体による凝集像が得られる最大の希
釈倍数である抗体価を求めることにより、試料中に含ま
れる共通抗原決定基に特異的な抗体の量を確かめること
ができる。この抗体価の測定は、常法に従って行えばよ
く、例えば、第1の抗原を固定化した測定容器(マイク
ロプレート等)のウェル等の溶液収容部分に試料を添加
し、これを緩衝液等よりなる試料の希釈液で段階的に希
釈してその希釈列を作り、次に各溶液収容部分に第2の
抗原を固定化した粒子担体を添加し、混合攪拌した後、
静置して第2の抗原を固定化した粒子担体による凝集の
有無を判定又は測定し、凝集像が得られた最大の希釈倍
数を抗体価として採用し、求めることができる。
【0047】また、予め規定した希釈倍数で希釈した試
料を本発明により測定し、この時の凝集の有無から試料
中における共通抗原決定基に特異的な抗体の存在の有無
を定性的に測定することもできる。
【0048】なお、本発明による試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定においては、第1の抗原又は第
2の抗原を固定化した粒子担体の粒子担体として磁性粒
子を用い、この第1の抗原又は第2の抗原を固定化した
粒子担体に磁力を作用させることにより短時間で凝集像
を生じさせることができる、特開平4−216466号
公報及び特開平4−242167号公報に記載されてい
るような測定方法を適用することもできる。
【0049】そして、本発明による試料中の共通抗原決
定基に特異的な抗体の測定においては、まず第1の抗原
を固定化した粒子担体と試料を混合し接触させ、次いで
これを第2の抗原を固定化した測定容器の溶液収容部分
に添加して接触させ、「第1の抗原−抗体(共通抗原決
定基に特異的な抗体)−第2の抗原」の結合を形成させ
て、この結合により生じた第1の抗原を固定化した粒子
担体の凝集の凝集像の検出により、試料中の共通抗原決
定基に特異的な抗体の量を測定することもできる。
【0050】更に、本発明による試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定においては、第1の抗原を固定
化した測定容器の溶液収容部分に第2の抗原を固定化し
た粒子担体を存在させておき、この測定容器の溶液収容
部分に試料を添加して接触させ、「第1の抗原−抗体
(共通抗原決定基に特異的な抗体)−第2の抗原」の結
合を形成させて、この結合により生じた第2の抗原を固
定化した粒子担体の凝集の凝集像の検出により、試料中
の共通抗原決定基に特異的な抗体の量を測定することも
できる。
【0051】ところで、理論的には、第2の抗原(又は
第1の抗原)を固定化した粒子担体同士が対立亜型抗原
決定基に特異的な抗体を介して結合し、「粒子担体−第
2の抗原(又は第1の抗原)−抗体(対立亜型抗原決定
基に特異的な抗体)−第2の抗原(又は第1の抗原)−
粒子担体」の結合が形成されることにより、試料中に共
通抗原決定基に特異的な抗体が存在しなくとも対立亜型
抗原決定基に特異的な抗体が存在すれば、粒子担体が凝
集して凝集像が生じるように考えられるが、実際には凝
集像が得られることはない。この理由は定かではない
が、「測定容器溶液収容部分内壁−第1の抗原(又は第
2の抗原)−共通抗原決定基に特異的な抗体−第2の抗
原(又は第1の抗原)−粒子担体」の結合に比べて「粒
子担体−第2の抗原(又は第1の抗原)−対立亜型抗原
決定基に特異的な抗体−第2の抗原(又は第1の抗原)
−粒子担体」の結合の結合親和性、結合安定性又は結合
力等が低いため、結果として凝集像が得られることはな
く、試料中に共通抗原決定基に特異的な抗体が存在する
場合のみ凝集像が得られるものと推測される。
【0052】本発明において、測定容器としては、溶液
を収容することができるものであれば、その種類、材
質、形状等は特に制限されずに用いることができる。こ
れは、赤血球やゼラチン粒子等を用いる粒子凝集反応測
定法又はラテックス凝集反応測定法等において一般的に
測定に用いられている容器については、問題なく用いる
ことができる。例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル又はポリメタクリレートなどからなる試験管、
マイクロプレート(マイクロタイタープレート)又はト
レイ等を用いることができる。なお、測定容器の溶液収
容部分(マイクロプレートのウェル等)の底面は、U
型、V型又はUV型等の底面中央から周辺にかけて傾斜
をもつ形状であることが望ましい。
【0053】粒子担体としては、一般に粒子凝集反応測
定法又はラテックス凝集反応測定法等に使用される粒子
担体であれば特に制限無く用いることができる。例え
ば、ヒツジ赤血球等の動物赤血球、リポソーム、ラテッ
クス、ゼラチン、ポリアクリルアミド、マイクロカプセ
ル若しくはエマルジョン等の有機高分子物質よりなる粒
子担体、ガラス、シリカゲル、カーボン若しくはベント
ナイト等の無機高分子物質よりなる粒子担体又はその他
の人工担体等を挙げることができる。また、前記の高分
子粒子担体を強磁性体で被覆又は粒子成型時に強磁性体
を分散させて調製した磁性粒子担体等を用いることもで
きる。これらの粒子担体は、粒子径が0.01〜100
μmの範囲のものが好ましく、特に好ましくは0.5〜
10μmのものである。また、これらの粒子担体の比重
は、1〜10の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜2
である。
【0054】測定容器の溶液収容部分の内壁面又は粒子
担体に第1の抗原又は第2の抗原を固定化させる方法
は、物理的吸着法又は化学的結合法等の公知の方法を用
いることができる。
【0055】物理的吸着法による場合は、公知の方法に
従い、緩衝液等に溶解した第1の抗原若しくは第2の抗
原を測定容器の溶液収容部分に添加し内壁面に接触させ
たり、又は第1の抗原若しくは第2の抗原と粒子担体を
緩衝液等の溶液中で混合し接触させることにより行うこ
とができる。例えば、緩衝液等に溶解した第1の抗原若
しくは第2の抗原を測定容器の溶液収容部分に添加し内
壁面に接触させ、又は第1の抗原若しくは第2の抗原と
粒子担体を緩衝液等の溶液中で混合し接触させ、これを
約2℃〜約40℃で約10分〜約1日間行う。
【0056】また、化学的結合法により行う場合には、
日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号
臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨
床病理刊行会,1983年、日本生化学会編「新生化学
実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,199
1年等に記載の公知の方法に従い、測定容器の溶液収容
部分の内壁面又は粒子担体と第1の抗原又は第2の抗原
をグルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステ
ル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触さ
せ、測定容器の溶液収容部分の内壁面、粒子担体、第1
の抗原又は第2の抗原のそれぞれのアミノ基、カルボシ
キル基、SH基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させ
ることにより固定化を行うことができる。
【0057】更に非特異的反応を抑制するために処理を
行う必要があれば、第1の抗原又は第2の抗原を固定化
させた測定容器の溶液収容部分内壁面又は粒子担体を、
ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン、
卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面
活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公
知の方法により処理して、ブロッキング処理(マスキン
グ処理)を行ってもよい。
【0058】第1の抗原若しくは第2の抗原を固定化し
た粒子担体を懸濁させる分散媒、又は試料の希釈液につ
いては、各種水系溶媒を用いることができる。例えば、
精製水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生
理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることが
できる。なお、この緩衝液のpHについては、pH3〜
12の範囲内にあることが好ましい。
【0059】また、第1の抗原若しくは第2の抗原を固
定化した粒子担体を懸濁させる分散媒、又は試料の希釈
液には、BSA、ヒト血清アルブミン、カゼイン若しく
はその塩などのタンパク質、塩化ナトリウムなどの各種
塩類、各種糖類、脱脂粉乳、正常ウサギ血清などの各種
動物血清、アジ化ナトリウムなどの各種防腐剤又は非イ
オン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤若しくは陰イ
オン性界面活性剤などの各種界面活性剤等を適宜添加し
て用いることができる。そして、これらを添加する際の
濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜1
0%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/
V)が好ましい。
【0060】なお、この各種界面活性剤としては、ソル
ビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デ
カグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオ
キシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキ
シエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤、酢酸
ベタインなどの両性界面活性剤又はポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンア
ルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を
挙げることができる。
【0061】次に、本発明において、「第1の抗原−抗
体−第2の抗原」の結合の検出を、第1の抗原及び/又
は第2の抗原に結合した標識物質を検出することにより
行う場合について、以下例を挙げて説明を行う。
【0062】この第1の抗原及び/又は第2の抗原に結
合した標識物質を検出することは、酵素免疫測定法、蛍
光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法など
の標識物質を用いた免疫測定法のサンドイッチ法又は均
一系(ホモジニアス系)等の手法により行うことができ
る。
【0063】これらの免疫測定法により測定を行う場合
は、公知の方法の手順に従って行うことができるが、サ
ンドイッチ法により測定を行う場合の一例を以下に示
す。 第1の抗原を固定化した固相担体を用意し、この固
相担体の第1の抗原を固定化した部分に一定量の試料を
添加して一定時間接触させる。 この添加・接触と同時に又は洗浄の後に、酵素等の
標識物質を結合した第2の抗原の一定量をこの固相担体
の第1の抗原を固定化した部分に添加して一定時間接触
させて、試料中に共通抗原決定基に特異的な抗体が存在
する場合には「第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特
異的な抗体)−第2の抗原」の結合を形成させる。 次に、固相担体に結合していない未結合の「標識物
質を結合した第2の抗原」を洗浄分離する。(B/F分
離) そして、「固相担体−第1の抗原−抗体(共通抗原
決定基に特異的な抗体)−第2の抗原−標識物質」の結
合により固相担体に結合した標識物質を検出することに
より、試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定を
行う。
【0064】この測定においては、固相担体と標識物質
が試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体を介して、
「固相担体−第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特異
的な抗体)−第2の抗原−標識物質」と結合するので、
固相担体に結合した標識物質の量を測定することにより
試料中に含まれていた共通抗原決定基に特異的な抗体の
量を測定することができるものである。
【0065】試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体
は、固相担体に固定化された第1の抗原と、標識物質を
結合した第2の抗原の両方に結合するので、前記の結合
を形成することができ、試料中の共通抗原決定基に特異
的な抗体の量を反映した量の固相担体に結合した標識物
質が得られることになる。これを図6に示した。
【0066】
【図6】
【0067】一方、試料中の対立亜型抗原決定基に特異
的な抗体は、第1の抗原と結合することによる固相担体
への結合〔「固相担体−第1の抗原−抗体(対立亜型抗
原決定基に特異的な抗体)」〕、又は第2の抗原と結合
することによる標識物質への結合〔「抗体(対立亜型抗
原決定基に特異的な抗体)−第2の抗原−標識物質」〕
を生ずることはできるが、第1の抗原と第2の抗原は同
じ対立亜型抗原決定基を有しないので、「第1の抗原−
抗体(対立亜型抗原決定基に特異的な抗体)−第2の抗
原」の結合が形成されることはなく、つまり「固相担体
−第1の抗原−抗体(対立亜型抗原決定基に特異的な抗
体)−第2の抗原−標識物質」の結合は形成されないの
で、固相担体に結合した標識物質が得られることはな
い。これを図7に示した。
【0068】
【図7】
【0069】よって、これにより試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体のみを選択的に測定することができる
こととなる。
【0070】「第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特
異的な抗体)−第2の抗原」の結合により固相担体に結
合した標識物質の検出は、測定を酵素免疫測定法により
行う場合には、標識酵素にその至適条件下で基質を反応
させ、その反応生成物の量を反応生成物の吸光度を測る
などの光学的方法等により測定することにより行う。蛍
光免疫測定法により行う場合には、標識蛍光物質による
蛍光強度を測定することにより行う。放射免疫測定法に
より行う場合には、標識放射性物質による放射線量を測
定することにより行う。発光免疫測定法により行う場合
には、標識物質が係わる発光反応系による発光量を測定
することにより行う。いずれの場合においても、標識物
質を用いた免疫測定法の公知の手法に従って、標識物質
の検出を行うことができる。
【0071】なお、本発明による試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定においては、まず酵素等の標識
物質を結合した第1の抗原と試料を混合し接触させ、次
いでこれを第2の抗原を固定化した固相担体の第2の抗
原を固定化した部分に添加して接触させ、「第1の抗原
−抗体(共通抗原決定基に特異的な抗体)−第2の抗
原」の結合を形成させて、この結合により固相担体に結
合した標識物質の量を測定することによって、試料中の
共通抗原決定基に特異的な抗体の量を測定することもで
きる。
【0072】また、本発明による試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定においては、第1の抗原を固定
化した固相担体上に、酵素等の標識物質を結合させた第
2の抗原を存在させておき、この固相担体に試料を添加
して接触させ、「第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に
特異的な抗体)−第2の抗原」の結合を形成させて、こ
の結合により固相担体に結合した標識物質の量を測定す
ることにより、試料中の共通抗原決定基に特異的な抗体
の量を測定することもできる。
【0073】そして、本発明による試料中の共通抗原決
定基に特異的な抗体の測定は、特開平1−123148
号公報に記載されている、連続する一連の反応を触媒す
る2種類の酵素をそれぞれ別々に被検物質に対応する特
異結合相手と共に不溶性担体に結合した2種類の酵素標
識物質を用いて、これらを特異的結合部位を二つ以上有
する被検物質を介して近接させ連続した酵素反応により
被検物質量を求める、均一系(ホモジニアス系)による
特異的結合部位を有する物質の測定法に適用して測定を
行うこともできる。例えば、第1の抗原並びにグルコー
スオキシダーゼを結合したラテックス粒子等の不溶性担
体、及び第2の抗原並びにパーオキシダーゼを結合した
ラテックス粒子等の不溶性担体を用意し、これらに共通
抗原決定基に特異的な抗体を含有すると推測される試料
及びグルコースを混合し接触させ、共通抗原決定基に特
異的な抗体を介して近接したグルコースオキシダーゼ及
びパーオキシダーゼより生じた過酸化水素の量を、4−
アミノアンチピリン等及びフェノール誘導体若しくはア
ニリン誘導体等を用いるトリンダー反応系により測定し
て、試料中に含まれている共通抗原決定基に特異的な抗
体を均一系(ホモジニアス系)により測定することもで
きる。
【0074】あるいは、本発明による試料中の共通抗原
決定基に特異的な抗体の測定においては、第1の抗原を
固定化した固相担体、標識物質を結合させていない第2
の抗原、第2の抗原の対立亜型抗原決定基に特異的な抗
体及び酵素等の標識物質を結合させた“第2の抗原の対
立亜型抗原決定基に特異的な抗体”の由来動物種のイム
ノグロブリンに特異的な抗体を用いて、「固相担体−第
1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特異的な抗体)−第
2の抗原−第2の抗原の対立亜型抗原決定基に特異的な
抗体−“第2の抗原の対立亜型抗原決定基に特異的な抗
体”の由来動物種のイムノグロブリンに特異的な抗体−
標識物質」の結合を形成させて、固相担体に結合した標
識物質の量を測定することにより、試料中の共通抗原決
定基に特異的な抗体の量を測定することもできる。
【0075】更に、酵素等の標識物質を結合させた第2
の抗原を過剰に添加し、未結合のこの第2の抗原の量を
別に定量することにより、試料中の共通抗原決定基に特
異的な抗体の量を測定することもできる。
【0076】また、本発明による試料中の共通抗原決定
基に特異的な抗体の測定においては、固相担体として磁
性体よりなる物質又は磁性体を含む物質を用い、これに
磁力を作用させて、B/F分離を磁気的に行うこともで
きる。
【0077】本発明において、固相担体としては、第1
の抗原及び第2の抗原を固定化することができる担体で
あれば、その種類、材質、形状等を特に限定することな
く使用することができる。これは、酵素免疫測定法、蛍
光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法など
の標識物質を用いた免疫測定法等において、一般的に測
定に用いられている担体については、問題なく用いるこ
とができる。例えば、ポリスチレン、ポリカーボネイ
ト、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、
ポリアクリルアミド、ラテックス、リポソーム、ゼラチ
ン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、
金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなる粒子、
マイクロカプセル、ビーズ、マイクロプレート、試験
管、スティック又は試験片等の固相担体を用いることが
できる。また、前記の固相担体を強磁性体で被覆又は固
相担体成型時に強磁性体を含有させて調製した磁性固相
担体等を用いることもできる。
【0078】標識物質を第1の抗原又は第2の抗原に結
合させる方法は、化学的結合法等の公知の方法を用いる
ことができる。この化学的結合法により行う場合には、
日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号
臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨
床病理刊行会,1983年、日本生化学会編「新生化学
実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,199
1年等に記載の公知の方法に従い、酵素、蛍光物質又は
放射性物質等の標識物質と第1の抗原又は第2の抗原を
グルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル
又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触さ
せ、標識物質、第1の抗原又は第2の抗原のそれぞれの
アミノ基、カルボシキル基、SH基、アルデヒド基又は
水酸基等と反応させることにより結合を行うことができ
る。
【0079】固相担体に第1の抗原又は第2の抗原を固
定化させる方法は、物理的吸着法又は化学的結合法等の
公知の方法を用いることができる。
【0080】物理的吸着法による場合は、公知の方法に
従い、緩衝液等に溶解した第1の抗原若しくは第2の抗
原を固相担体の固定化したい部分に添加し接触させた
り、又は第1の抗原若しくは第2の抗原と固相担体を緩
衝液等の溶液中で混合し接触させることにより行うこと
ができる。例えば、緩衝液等に溶解した第1の抗原若し
くは第2の抗原を固相担体の固定化したい部分に添加し
接触させ、又は第1の抗原若しくは第2の抗原と固相担
体を緩衝液等の溶液中で混合し接触させ、これを約2℃
〜約40℃で約10分〜約1日間行う。
【0081】また、化学的結合法により行う場合には、
日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号
臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨
床病理刊行会,1983年、日本生化学会編「新生化学
実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,199
1年等に記載の公知の方法に従い、固相担体又は固相担
体の固定化したい部分と第1の抗原又は第2の抗原をグ
ルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又
はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、
固相担体、固相担体の固定化したい部分、第1の抗原又
は第2の抗原のそれぞれのアミノ基、カルボシキル基、
SH基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させることに
より固定化を行うことができる。
【0082】更に、非特異的反応を抑制するために処理
を行う必要があれば、第1の抗原又は第2の抗原を固定
化させた固相担体の固定化した部分を、BSA、カゼイ
ン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタ
ンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆さ
せること等の公知の方法により処理して、ブロッキング
処理(マスキング処理)を行ってもよい。
【0083】標識物質を結合させた第1の抗原若しくは
第2の抗原を溶解させる溶液、又は試料の希釈液につい
ては、各種水系溶媒を用いることができる。例えば、精
製水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理
食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることがで
きる。なお、この緩衝液のpHについては、pH3〜1
2の範囲内にあることが好ましい。
【0084】また、標識物質を結合させた第1の抗原若
しくは第2の抗原を溶解させる溶液、又は試料の希釈液
には、BSA、ヒト血清アルブミン、カゼイン若しくは
その塩などのタンパク質、塩化ナトリウムなどの各種塩
類、各種糖類、脱脂粉乳、正常ウサギ血清などの各種動
物血清、アジ化ナトリウムなどの各種防腐剤又は非イオ
ン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤若しくは陰イオ
ン性界面活性剤などの各種界面活性剤等を適宜添加して
用いることができる。そして、これらを添加する際の濃
度は特に限定されるものではないが、0.001〜10
%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/
V)が好ましい。
【0085】なお、この各種界面活性剤としては、ソル
ビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デ
カグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオ
キシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキ
シエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤、酢酸
ベタインなどの両性界面活性剤又はポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンア
ルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を
挙げることができる。
【0086】標識物質としては、測定を酵素免疫測定法
により行う場合には、パーオキシダーゼ(POD)、ア
ルカリ性ホスファターゼ(ALP)、β−ガラクトシダ
ーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダー
ゼ、乳酸脱水素酵素若しくはα−アミラーゼ等の酵素
を、蛍光免疫測定法により行う場合には、フルオレセイ
ンイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチ
オシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート若し
くはジクロロトリアジンイソチオシアネート等の蛍光物
質を、そして放射免疫測定法により行う場合には、トリ
チウム、ヨウ素125又はヨウ素131等の放射性物質
を用いることができる。
【0087】また、測定を発光免疫測定法により行う場
合には、アクリジニウムエステル、アルカリ性ホスファ
ターゼ、パーオキシダーゼ又はグルコースオキシダーゼ
等を標識物質として用い、アクリジニウムエステル系、
ジオキセタン化合物系、ルミノール−過酸化水素−PO
D系又はNADH−FMNH2 −ルシフェラーゼ系等に
より固相担体に結合した標識物質の検出を行うことがで
きる。
【0088】
【実施例】以下実施例を挙げて説明するが、本発明はこ
れにより限定されるものではない。
【0089】HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な
抗体の測定 (1) HBs抗原固定化マイクロプレ−トの調製 第1の抗原として亜型がadrである精製HBs抗原
(明治乳業社製)を、0.1%アジ化ナトリウムを含む
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて3μg/mLに調
製し、測定容器であるU型マイクロプレート(梁瀬産業
社製)の各ウェル(各穴)に50μLずつ分注した。こ
れを37℃で3時間反応させて、亜型がadrであるH
Bs抗原の固定化を行った。次に、各ウェルの液を吸引
除去し、0.5%カゼイン及び0.1%アジ化ナトリウ
ムを含む250mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を
各ウェルに200μLずつ分注して、37℃で3時間反
応させて、ブロッキング処理を行った。その後、各ウェ
ルの液を十分に除去し、亜型がadrであるHBs抗原
を固定化したマイクロプレートを調製した。また、前記
と同様にして、亜型がaywである精製HBs抗原(オ
リエンタル酵母工業社製)を用いて、亜型がaywであ
るHBs抗原を固定化したマイクロプレートを調製し
た。
【0090】(2) HBs抗原固定化粒子担体の調製 第2の抗原としての亜型がaywである精製HBs抗原
(オリエンタル酵母工業社製)と粒子担体である磁性粒
子担体(Dynabeads M−450 uncoa
ted、ダイナル社製)を、亜型がaywであるHBs
抗原が30μg/mL、かつ磁性粒子担体が1%の濃度
となるように混合し、37℃で1時間振盪し、反応させ
た。次に、この粒子担体を0.5%カゼイン及び0.1
%アジ化ナトリウムを含む250mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)にて洗浄し、そして、この0.5%カゼ
イン及び0.1%アジ化ナトリウムを含む250mMト
リス塩酸緩衝液(pH8.0)中において静置してブロ
ッキング処理を行った。その後、この粒子担体を、0.
5%カゼイン及び0.1%アジ化ナトリウムを含む25
0mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)中にて粒子担体
が0.1%となるように分散させ、亜型がaywである
HBs抗原を固定化した粒子担体の懸濁液を調製した。
また、前記と同様にして、亜型がadrである精製HB
s抗原(明治乳業社製)を用いて、亜型がadrである
HBs抗原を固定化した粒子担体の懸濁液を調製した。
【0091】(3) 試料としての抗体溶液の調製 HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な抗体として、
以下の2種類のモノクローナル抗体を用意した。 抗a抗体:HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な
モノクローナル抗体(融合細胞株番号7G4、自家調
製) 抗a抗体:HBs抗原の共通抗原決定基aに特異的な
モノクローナル抗体(融合細胞株番号1A1、自家調
製) また、HBs抗原のそれぞれの対立亜型抗原決定基に特
異的な抗体として、以下の4種類のモノクローナル抗体
を用意した。 抗d抗体:HBs抗原の対立亜型抗原決定基dに特異的
なモノクローナル抗体(融合細胞株番号7C、自家調
製) 抗y抗体:HBs抗原の対立亜型抗原決定基yに特異的
なモノクローナル抗体(メーカーコード番号1041、
特殊免疫研究所社製) 抗r抗体:HBs抗原の対立亜型抗原決定基rに特異的
なモノクローナル抗体(メーカーコード番号1021、
特殊免疫研究所社製) 抗w抗体:HBs抗原の対立亜型抗原決定基wに特異的
なモノクローナル抗体(メーカーコード番号1031、
特殊免疫研究所社製) なお、前記の抗a抗体、抗a抗体及び抗d抗体の3
種類の自家調製のモノクローナル抗体は、亜型がadr
であるHBs抗原(明治乳業社製)を免疫原として、ケ
ラーらのモノクローナル抗体作成技術〔ケラー(Koe
hler)ら,Nature,256巻,495〜49
7頁,1975年〕に従って得られたモノクローナル抗
体について、HBs抗原の4種類の亜型(adr、ad
w、ayr及びayw)との反応性を比較して、特異性
を決定したものである。これらの前記の抗a抗体、抗
a抗体、抗d抗体、抗y抗体、抗r抗体及び抗w抗体
をそれぞれ0.5%カゼイン及び0.1%アジ化ナトリ
ウムを含む250mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
にて、250,000ng/mLから0.025ng/
mLまで段階的に希釈して、試料としての各濃度の各抗
体溶液を調製した。
【0092】(4)HBs抗原の共通抗原決定基aに特
異的な抗体及びHBs抗原の対立亜型抗原決定基に特異
的な抗体の測定 前記(1)で調製した亜型がadrであるHBs抗原を
固定化したマイクロプレートの各ウェルに、前記(3)
で調製した試料としての各濃度の抗a抗体、抗a抗体
、抗d抗体、抗y抗体、抗r抗体及び抗w抗体の抗体
溶液を25μLずつ加え、次に前記(2)で調製した亜
型がaywであるHBs抗原を固定化した粒子担体の懸
濁液を各ウェルに25μLずつ添加した後、マイクロプ
レートミキサーで十分に攪拌した。室温で1時間静置
後、マイクロプレートの各ウェルの凝集像の判定を行っ
た。マイクロプレートのウェル内に広がった凝集像が見
られる場合を陽性像とし、ウェルの底面に収束した像が
見られる場合を陰性像とし、各抗体溶液の陽性像を呈す
る最低濃度を検出感度として測定した。なお、前記
(1)で調製した亜型がaywであるHBs抗原を固定
化したマイクロプレートと前記(2)で調製した亜型が
adrであるHBs抗原を固定化した粒子担体を用い
て、前記(3)で調製した各濃度の抗a抗体、抗a抗
体、抗d抗体、抗y抗体、抗r抗体及び抗w抗体の抗
体溶液の陽性像を呈する最低濃度を検出感度として前記
と同様にして測定した。また、比較例として、前記
(1)で調製した亜型がadrであるHBs抗原を固定
化したマイクロプレートと前記(2)で調製した亜型が
adrであるHBs抗原を固定化した粒子担体を用い、
更に前記(1)で調製した亜型がaywであるHBs抗
原を固定化したマイクロプレートと前記(2)で調製し
た亜型がaywであるHBs抗原を固定化した粒子担体
を用いて、マイクロプレートと粒子担体に固定化したH
Bs抗原が同一の亜型である(つまり同じ対立亜型抗原
決定基を有する)場合について、前記(3)で調製した
各濃度の各抗体溶液の陽性像を呈する最低濃度を検出感
度として前記と同様にして測定した。これらの測定の結
果を表2に示した。
【0093】
【表2】
【0094】この表2より、対立亜型抗原決定基の全て
が異なり同じ対立亜型抗原決定基は有しない亜型のHB
s抗原をそれぞれ固定化したマイクロプレートと粒子担
体を用いた本発明による測定では、共通抗原決定基aに
対する抗HBs・a抗体を低濃度まで高感度に検出でき
るが、対立亜型抗原決定基に対する抗HBs・d抗体、
抗HBs・y抗体、抗HBs・r抗体及び抗HBs・w
抗体はいずれも高濃度のものしか検出できず、その検出
感度の差は大変大きいので、HBs抗原の共通抗原決定
基aに対する抗体のみを選択的に測定できることがわか
る。
【0095】これに対して、同じ対立亜型抗原決定基を
有する同一の亜型のHBs抗原を固定化したマイクロプ
レートと粒子担体を用いた比較例による測定では、共通
抗原決定基aに対する抗HBs・a抗体を低濃度まで検
出できるものの、対立亜型抗原決定基に対する抗HBs
・d抗体、抗HBs・y抗体、抗HBs・r抗体及び抗
HBs・w抗体をも低濃度のものまで高感度に検出して
しまい、その検出感度に差がないので、HBs抗原の共
通抗原決定基aに対する抗体(抗HBs・a抗体)のみ
を選択的に測定することができないことがわかる。
【0096】よって、本発明の測定においては、複数の
亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の
みを選択的に測定できることが確かめられた。
【0097】
【作用】本発明の測定においては、複数の亜型が存在す
る抗原に特異的な種々の抗体のうち、全ての亜型が共通
に保有する共通抗原決定基に特異的な抗体を選択的に測
定するために、前記の共通抗原決定基に特異的な抗体を
含有すると推測される試料に前記の抗原の共通抗原決定
基を有する第1の抗原を接触させ、これと同時に又はこ
の後に前記の複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定
基を有しかつ第1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は
有しない第2の抗原を更に接触させる。
【0098】この時、試料中の共通抗原決定基に特異的
な抗体は、第1の抗原と第2の抗原の両方に結合し、
「第1の抗原−抗体(共通抗原決定基に特異的な抗体)
−第2の抗原」の結合を形成することができるが、これ
に対して、試料中の前記の抗原の対立亜型抗原決定基に
特異的な抗体は、結合できたとしても第1の抗原又は第
2の抗原のどちらか一方にしか結合できず、「第1の抗
原−抗体(対立亜型抗原決定基に特異的な抗体)−第2
の抗原」の結合を形成することができない。
【0099】よって、試料、第1の抗原及び第2の抗原
の接触により形成された「第1の抗原−抗体−第2の抗
原」の結合の形成を検出することにより、「第1の抗原
−共通抗原決定基に特異的な抗体−第2の抗原」の結合
の形成を検出することができ、そして、この結合を検出
することによって、試料中の共通抗原決定基に特異的な
抗体の存在の有無及びその量を測定することができる。
【0100】
【発明の効果】本発明の測定方法及び測定試薬は、複数
の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有する第1の
抗原及び前記の複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決
定基を有しかつ第1の抗原が有する対立亜型抗原決定基
は有しない第2の抗原を用いることにより、複数の亜型
が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体のみを
選択的に測定することを可能とすることができた。
【0101】この本発明により、例えば、ヒト由来試料
中のそれぞれの亜型のHBs抗原を有するB型肝炎ウィ
ルスの全てに対して感染防御能を有する抗HBs・a抗
体の単独の量を測定できるようになり、かつ抗HBs抗
体測定試薬間の判定の不一致が解消されるので、B型肝
炎の診断及び治療が的確に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】HBs抗原の構造を示した図である。
【図2】従来の抗HBs抗体測定の原理を示した図であ
る。
【図3】本発明による共通抗原決定基に特異的な抗体測
定の原理を示した図である。
【図4】本発明における「第1の抗原−抗体−第2の抗
原」の結合の検出を第1の抗原又は第2の抗原を固定化
した粒子担体の凝集を検出することにより行う場合の、
測定時の共通抗原決定基に特異的な抗体の状態とこれを
上方より観察した時の凝集像を示した図である。
【図5】本発明における「第1の抗原−抗体−第2の抗
原」の結合の検出を第1の抗原又は第2の抗原を固定化
した粒子担体の凝集を検出することにより行う場合の、
測定時の対立亜型抗原決定基に特異的な抗体の状態とこ
れを上方より観察した時の像を示した図である。
【図6】本発明における「第1の抗原−抗体−第2の抗
原」の結合の検出を第1の抗原及び/又は第2の抗原に
結合した標識物質を検出することにより行う場合の、測
定時の共通抗原決定基に特異的な抗体の状態を示した図
である。
【図7】本発明における「第1の抗原−抗体−第2の抗
原」の結合の検出を第1の抗原及び/又は第2の抗原に
結合した標識物質を検出することにより行う場合の、測
定時の対立亜型抗原決定基に特異的な抗体の状態を示し
た図である。
【符号の説明】
1 亜型がadrであるHBs抗原 2 共通抗原決定基aに特異的な抗体 3 対立亜型抗原決定基dに特異的な抗体 4 対立亜型抗原決定基rに特異的な抗体 5 標識物質 6 固相 7 第1の抗原 8 第2の抗原 9 共通抗原決定基A 10 対立亜型抗原決定基B 11 対立亜型抗原決定基C 12 対立亜型抗原決定基D 13 対立亜型抗原決定基E 14 対立亜型抗原決定基F 15 対立亜型抗原決定基G 16 対立亜型抗原決定基H 17 共通抗原決定基Aに特異的な抗体 18 対立亜型抗原決定基Bに特異的な抗体 19 対立亜型抗原決定基Cに特異的な抗体 20 対立亜型抗原決定基Dに特異的な抗体 21 対立亜型抗原決定基Eに特異的な抗体 22 対立亜型抗原決定基Gに特異的な抗体 23 固相担体又は測定容器等 24 粒子担体 25 測定容器 26 固相担体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)複数の亜型が存在する抗原の共通抗
    原決定基に特異的な抗体を含有すると推測される試料
    に、前記の抗原の共通抗原決定基を有する第1の抗原を
    接触させ、(2)これと同時に又はこの後に、前記の複
    数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有しかつ第
    1の抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の
    抗原を更に接触させ、(3)これにより形成された、
    「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の結合を検出する、
    ことよりなる複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定
    基に特異的な抗体の測定方法。
  2. 【請求項2】「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の結合
    の検出を、第1の抗原又は第2の抗原を固定化した粒子
    担体の凝集を検出することにより行う、請求項1記載の
    複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な
    抗体の測定方法。
  3. 【請求項3】「第1の抗原−抗体−第2の抗原」の結合
    の検出を、第1の抗原及び/又は第2の抗原に結合した
    標識物質を検出することにより行う、請求項1記載の複
    数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗
    体の測定方法。
  4. 【請求項4】複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定
    基に特異的な抗体が、HBs抗原の共通抗原決定基aに
    特異的な抗体である、請求項1、請求項2又は請求項3
    記載の複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特
    異的な抗体の測定方法。
  5. 【請求項5】(1)複数の亜型が存在する抗原の共通抗
    原決定基を有する第1の抗原、及び(2)前記の複数の
    亜型が存在する抗原の共通抗原決定基を有しかつ第1の
    抗原が有する対立亜型抗原決定基は有しない第2の抗
    原、を含む複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基
    に特異的な抗体の測定試薬。
  6. 【請求項6】第1の抗原又は第2の抗原が粒子担体に固
    定化されている、請求項5記載の複数の亜型が存在する
    抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定試薬。
  7. 【請求項7】第1の抗原及び/又は第2の抗原が標識物
    質を結合している、請求項5記載の複数の亜型が存在す
    る抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定試薬。
  8. 【請求項8】複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定
    基に特異的な抗体が、HBs抗原の共通抗原決定基aに
    特異的な抗体である、請求項5、請求項6又は請求項7
    記載の複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特
    異的な抗体の測定試薬。
JP2482596A 1996-01-19 1996-01-19 複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定方法及び測定試薬 Withdrawn JPH09196922A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016093268A1 (ja) * 2014-12-12 2016-06-16 コニカミノルタ株式会社 蛍光ナノ粒子用希釈液、これを用いた蛍光免疫染色用キット、蛍光免疫染色用溶液、および蛍光免疫染色法、遺伝子染色法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016093268A1 (ja) * 2014-12-12 2016-06-16 コニカミノルタ株式会社 蛍光ナノ粒子用希釈液、これを用いた蛍光免疫染色用キット、蛍光免疫染色用溶液、および蛍光免疫染色法、遺伝子染色法

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