JPH09194936A - 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法 - Google Patents

高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法

Info

Publication number
JPH09194936A
JPH09194936A JP897096A JP897096A JPH09194936A JP H09194936 A JPH09194936 A JP H09194936A JP 897096 A JP897096 A JP 897096A JP 897096 A JP897096 A JP 897096A JP H09194936 A JPH09194936 A JP H09194936A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
yield ratio
low
phase
temperature range
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP897096A
Other languages
English (en)
Inventor
Masamitsu Doi
正充 土井
Shigeru Endo
茂 遠藤
Norimi Wada
典巳 和田
Ryuji Muraoka
隆二 村岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP897096A priority Critical patent/JPH09194936A/ja
Publication of JPH09194936A publication Critical patent/JPH09194936A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温における降伏比が80%以下であり、新
耐震設計法の適用が可能で、かつ低温における靱性の優
れた建築用の鋼管を得る。 【解決手段】 酸素含有量が30ppm以下の鋼を、A
r3変態点以上の温度域で熱間圧延を終了後、 Ar3変
態点以下の温度域から水冷を開始し、650℃以下、4
00℃以上の温度域で水冷を停止し、フェライト相とベ
イナイト相の2相組織の鋼板とし、冷間で成形し、シー
ム溶接を行い、外径/管厚比が10以上の鋼管とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新耐震設計法で設
計される建築物の内、低温倉庫等の使用環境温度が室温
以下の建築物等に用いる、低温環境建築物用鋼管の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昭和57年に改正施行された建築物の耐
震設計法は、それまでの、構造体各部に生ずる応力の大
きさを鋼材の降伏点以内に留めるという、弾性設計法に
変えて鋼材が降伏後に、最大強さに達するまでの塑性域
での変形能力を活用して、地震の入力エネルギーを吸収
させ、建物の耐震安全性を確保しようとするものであ
る。このことから、新耐震設計法が適用される建築物に
使用される鋼材には、降伏後の変形性能を表すパラメー
ターである降伏比が低いこと,すなわち低降伏比である
ことが求められるようになった。
【0003】低降伏比鋼の内、引張強度が500MPa
級の鋼材は、 熱間圧延を再結晶域で終了して、組織の粗
粒化を図ることにより低い降伏比を得ている。 特開平2
−197521号公報や、特開平2−197522号公
報に開示されている技術がこれにあたる。
【0004】また、引張強度が600MPa級、あるい
はそれ以上の高強度鋼の場合は、例えば特開昭64−3
6724号公報に開示されている様に、フェライト相と
オーステナイト相の2相域から加速冷却を行い、 フェラ
イト相とベイナイト相あるいは、フェライト相とマルテ
ンサイト相の2相組織にすることで、低降伏比を確保し
ている。
【0005】オフィスや住居用の建築物等の、いわゆる
大部分のビルの置かれている環境は通常は常温である。
そのため、上述の新耐震設計も常温を前提としてなされ
ており、従来の低降伏比鋼においては常温(0〜30
℃)における降伏比が、80%以下あるいは75%以下
となるような、合金設計がなされてきた。
【0006】ところで、建築物の中には低温用倉庫のよ
うに、使用される鋼材の温度が−20℃以下と言った、
かなりの低温になるものがある。 例えば、 寒冷地の建物
や、まぐろ等の水産物の低温倉庫などであるが、特に、
マグロの冷凍倉庫に使用される鋼材の温度は、−55℃
といった極めて低い状態も考慮しなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】低温用建築物におい
て、新耐震設計法を適用して耐震安全性を確保するため
には、当然、低温で低降伏比を示す鋼材が必要となる。
しかし、上記した様な、従来の技術により製造された低
降伏比鋼は、常温での使用を前提としているため、常温
の降伏比は示されてはいるものの、低温での降伏比は明
らかでない。
【0008】そこで、本発明者らは従来の低降伏比鋼の
低温での引張特性、並びに靭性について検討した。ま
ず、多くの低降伏比鋼は上述したように、低降伏比を得
るために粗粒組織としており、そのため低温靭性が低
く、 たとえば−55℃において使用される様な、低温の
倉庫用材料としては不適当なことがわかった。
【0009】一方、低温靭性に優れた低降伏比鋼に関す
る従来技術として、 特開平2−197522号公報や、
特開平5−214440号公報に開示されている鋼は、
−55℃においても十分に高い靱性を持つとされている
が、その降伏比については、常温における値が示されて
いるにすぎない。
【0010】本発明者らは、これらの公報に記載されて
いる製造方法により鋼材を試作し、その低温引張特性に
ついての調査を行った。その結果、降伏比は温度が低く
なると、大きくなる傾向が認められること、また、降伏
比は冷間加工度にも敏感であって、加工度の増加ととも
に大きくなる傾向があり、かつ、これらの傾向は鋼の組
成や組織により異なることを見いだした。
【0011】さらに、上記の公報に記載の技術により試
作した鋼は、いずれも、−55℃と言った低温での降伏
比が、十分には低くないことを確認した。また、靭性に
関しても、 かなりの範囲にばらつくこと、および開示さ
れている値の確保は必ずしも容易でないとの知見も得
た。
【0012】以上に述べた様な事情にあり、低温(−2
0〜−60℃)において降伏比が十分に低く(≦80
%)新耐震設計が可能であり、同時に安定した高い靱性
を有する、低温用鋼管の製造方法の確立が求められてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本課題を解決するため
の、第一の方法は、重量%で、酸素含有量が30ppm
以下の鉄基合金を、Ar3変態点以上の温度域で熱間圧
延を終了後、 Ar3変態点以下の温度域から水冷を開始
し、650℃以下、400℃以上の温度域で水冷を停止
し、フェライト相とベイナイト相の2相組織の鋼板と
し、冷間で成形し、溶接を行い、外径/管厚比が10以
上の鋼管とする、高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の
製造方法である。
【0014】また、第二の方法は、重量%で、 C:0.
06〜0.18%、Si:0.05〜0.40%、M
n:0.5〜1.7%、P:≦0.020、S:≦0.
010、Al: 0.001〜0.06%、N:≦30
ppm、0:≦30ppmを含有し、、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を、 Ar3変態点以上の温
度域で熱間圧延を終了後、 Ar3変態点以下の温度域か
ら水冷を開始し、650℃以下、400℃以上の温度域
で水冷を停止し、フェライト相とベイナイト相の2相組
織の鋼板とし、冷間で成形し、溶接を行い、外径/管厚
比が10以上の鋼管とする、高靱性でかつ低降伏比の低
温用鋼管の製造方法である。
【0015】また、第三の方法は、重量%で、 C:0.
06〜0.18%、Si:0.05〜0.40%、M
n:0.5〜1.7%、P:≦0.020、S:≦0.
010、Al: 0.001〜0.06%、N:≦30
ppm、0:≦30ppmを含有し、これに加えて、T
i:0.0005〜0.015%、Nb:0.005〜
0.04%、V:0.005〜0.1%、Cu:0.0
5〜0.6%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.
05〜1.0%、Mo:0.02〜0.6%の内、1種
または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼を、Ar3変態点以上の温度域で熱間圧
延を終了後、 Ar3変態点以下の温度域から水冷を開始
し、650℃以下、400℃以上の温度域で水冷を停止
し、フェライト相とベイナイト相の2相組織の鋼板と
し、冷間で成形し、溶接を行い、外径/管厚比が10以
上の鋼管とする、高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の
製造方法である。
【0016】本発明者らは、 まず、ミクロ組織と低温に
おける降伏比との関係を検討した結果、 以下に示す様な
重要な知見を得た。図1は鋼の組織と低温における降伏
比との関係を示す図である。鋼の降伏比は図1に示すよ
うに、低温になるほど上昇することがわかる。
【0017】さらに、フェライト相とパーライト相の2
相組織の鋼に比較して、フェライト相とベイナイト相の
2相組織とした場合には、その上昇の程度が小さいこ
と、また、フェライト相とベイナイト相の2相組織にす
ることにより、−100℃と言った低温においても、8
0%以下の低い降伏比の達成が可能になることがわかっ
た。
【0018】組織をフェライト相とベイナイト相の2相
組織にするためには、 熱間圧延後に加速冷却を行う方法
が一般的である。先に示した特開平2−197522号
公報や特開平5−21440号公報にも、そのことが示
されている。しかし、オーステナイト域(Ar3変態点
以上の温度域)から加速冷却をする場合には、その鋼の
焼入性に応じた冷却速度の制御を行わなければ、フェラ
イト相を含む組織を得ることはできない。
【0019】図2は、 熱間圧延をAr3変態点以上の温
度域で終了し、Ar3変態点以上の温度域から加速冷却
した場合と、圧延後にAr3変態点以下の温度域まで放
冷し、一部にフェライト相が析出した後に加速冷却を行
った場合との、−55℃の降伏比と冷却速度の関係を示
したものである。後者の場合には、冷却速度が広い範囲
で変化した場合も、低い降伏比が得られている。これは
広い冷却速度の範囲で、フェライト相とベイナイト相の
混合組織が得られたためである。
【0020】ただし、加速冷却の停止温度が650℃を
超える高温の場合には、 フェライト相とパーライト相の
2相組織になる。また、停止温度が400℃より低い低
温の場合には、 マルテンサイト相が認められる様にな
り、靭性が大きく劣化する。
【0021】次に、外径/管厚比について述べる。鋼板
を鋼管に加工する場合には、冷間で成形を行う。図3は
フェライト相とべイナイト相の2相組織の鋼を、種々の
外径/管厚比の鋼管に成形(冷間加工)した場合の降伏
比を示している。この図からも、冷間加工を加えると降
伏比は大きくなることがわかる。
【0022】降伏比の上昇率は、冷間加工の量に比例す
る。したがって、最終製品である鋼管の外径/管厚比が
大きいほど、その上昇の程度は小さくなる。図3から
は、−20℃において、降伏比≦80%を達成するため
には、外径/管厚比を10以上にすればよく、また、−
60℃以下の低温において、降伏比≦80%を達成する
ためには、外径/管厚比を15以上にすれば良いことが
わかる。逆に外径/管厚比が小さい鋼管にすると、成形
時の加工により降伏比が大きく上昇し、その結果、低温
での降伏比が80%を越えることも起こりうる。
【0023】なお、上記の外径/管厚比の限界値は、鋼
管の成型を冷間で行う限り成形方法には影響を受けな
い。電縫溶接鋼管、UOE鋼管、スパイラル鋼管等いず
れの製造方法による場合にも、上記の限界値はほぼ同一
である。
【0024】本発明における溶接方法については、TI
G、MIG、エレクトロンビーム溶接、抵抗溶接等の現
在行われている、すべての方法が適用可能である。ま
た、溶接方向については、縦シーム溶接、スパイラル溶
接のいずれもが適用可能である。
【0025】フェライト相とベイナイト相の2相組織の
鋼の低温靭性値は、 図4に示すようにかなりのばらつき
を有している。しかし、鋼中の酸素含有量を30ppm
以下に制御することにより、V E−55(min.)≧
200Jを満足する安定した靭性が得られることがわか
る。これは、 酸素含有量を30ppm以下にすること
で、マイクロクラックの発生の起点となる鋼中の酸化物
量が減少し、またその大きさが微細化したためである。
【0026】以上より、低温(−60℃〜−20℃)で
低降伏比(≦80%)を示し新耐震設計が可能で、か
つ、安定した高い低温靭性を有する、低温用鋼管を製造
するためには、 酸素含有量を30ppm以下とし、鋼の
組織をフェライト相とベイナイト相の2相組織とするこ
とが、必要条件であることがわかった。
【0027】次に、酸素以外の他の成分の限定理由を述
べる。本発明におけるC、Si、Mn、Al等の各元素
の含有量の範囲は、通常の溶接構造用鋼が目的とする特
性を持つために、従来から確認されているそれと大きく
は異なるものではない。
【0028】Cは高強度化に有効な元素であるが、 0.
18%を超えて含有させると溶接性が著しく低下する。
また、0.06%未満の場合は板厚が厚い鋼材では、強
度が不足し、他の合金元素の多量の添加が必要となりコ
スト高を招く。したがって、C量は0.06〜0.18
%の範囲とする。
【0029】Siは、鋼材の強度、溶鋼の予備脱酸に必
要な元素である。これらの効果を確保するためには、
0.05%以上含有させることが必要である。 一方、
0.4%を超えて含有させると、鋼材の靭性および溶接
HAZ部の靭性を劣化させる。したがって、 Si量は
0.05〜0.4%に限定した。
【0030】Mnは、鋼の強度を確保するために必要な
元素である。 含有量が0.5%未満の場合は、板厚(管
の肉厚)が厚い鋼材では強度が不足し、他の高価な合金
元素の多量の添加が必要となりコスト高を招く。一方、
Mnは中央偏析を起こしやすい元素であり、1.7%を
超えて含有させると、板厚中央部が著しく脆化する。し
たがって、Mn量の範囲は0.5〜1.7%に限定す
る。
【0031】Alは脱酸に必要な元素である。 その量が
0.001%未満の場合には、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に含有させる
と、 連続鋳造時のスラブの表面にキズが発生しやすい。
したがって、Alの含有量は0.001〜0.06%と
する。
【0032】Nは、その含有量が30ppmを越える
と、固体の鋼中に固溶Nとして存在するようになり、ま
た、最終凝固部に粗大な窒化物系介在物(たとえば、T
iNやNbN等)が生成しやすくなり、靱性を劣化させ
る。したがって、Nの含有量の上限値は30ppmとす
る。
【0033】Nb、V、Cu、Ni、Cr、Moは、高
強度化に有効な元素である。 しかし、Nb<0.005
%、V<0.005%、Cu<0.05%、Ni<0.
05%、Cr<0.05%、Mo<0.02%の場合に
は、明瞭な強度上昇の効果は認められないため、下限値
をNb:0.005%、V;0.005%、Cu;0.
05%、Ni:0.05%、Cr;0.05%、Mo:
0.02%とする。
【0034】また、おのおのの元素の含有量の上限値は
以下の理由により定める。NbはNb(C、N)、また
VはVCとして析出して高強度化に寄与するが、Nb量
が0.04%、また、V量が0.1%を超えた場合は、
降伏比の上昇が著しくなる。したがって、Nb:0.0
4%、V:0.1%を上限とする。
【0035】Cu、Ni、Cr、Moは固溶強化作用を
有し、また、合金化することによる焼入性の向上効果を
通して、高強度化に寄与する。しかし、0.6%を超え
るCuの添加は、Cu割れ発生の危険性を増大させる。
1%を超えるCr、0.6%を超えるMoは溶接性を著
しく劣化させる。また、Niは高価な元素でありコスト
上の観点から、上限を0.6%とする。したがって、上
記の各元素の含有量の範囲は、Cu:0.05〜0.6
%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1
%、Mo:0.02〜0.6%とした。
【0036】TiはTiNの析出を通して、溶接HAZ
部の組織粗大化を抑制して、HAZ部の靭性の向上に寄
与する元素である。その効果は含有量が0.005%未
満の場合は十分でない。一方、含有量が0.015%を
超えると溶接後の冷却過程でTiCが析出し、HAZ部
の靱性の劣化を招く。したがって、Tiの含有量は0.
005〜0.015%の範囲とする。
【0037】鋼中の不可避的不純物のPおよびSは、そ
の量が増加すると鋼の靭性や延性に悪影響を及ぼす。悪
影響が現れない上限は、おのおの0.020%、0.0
10%であり、この値以下に制限する。
【0038】
【実施例】表1に酸素量が、おのおの、28ppmおよ
び35ppmの2種類の鋼(他の成分は、C:0.06
%、Si:0.25%、Mn:1.5%、P:0.00
6%、S:0.004%、Al:0.01%、N:=2
5ppm程度である。)を用い、種々の製造条件で鋼管
とした場合のミクロ組織、および−55℃における降伏
比、シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーを示す。な
お、表中のaはフェライト相、Bはベイナイト相、Mは
マルテンサイト相、Pはパーライト相を指すものとす
る。
【0039】
【表1】
【0040】酸素量が28ppmのS鋼を用いて、本発
明に規定する範囲内の製造条件で鋼管とした、S1は本
発明の実施例である。この鋼管は優れた低温靭性と低温
での低い降伏比を有している。S鋼を用いた場合も製造
条件が本発明の範囲を外れるS2〜S4(S4は放冷、
いずれも冷却条件が本発明の範囲を外れている。)は、
−55℃における降伏比が80%を越えている。一方、
酸素量の多いT鋼を用いた場合は、十分な低温靭性が得
られておらず、また、冷却条件も本発明の範囲を外れる
T2は、降伏比が80%を越えている。
【0041】ついで、表2に示す成分の鋼を用いて鋼管
を製造した。製造条件(外径/管厚比も含め)および特
性を表3に示した。 vE−55(ave.)、および v
E−55(min.)は,各9個の試験結果の平均値と
最小値である。なお、鋼管の製造に用いた鋼板は、いず
れも軽圧下プロセスを含む連続鋳造法によりスラブと
し、熱間圧延して製造したものである。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2中のA鋼〜J鋼は本発明の範囲内の成
分を持つ鋼である。K鋼〜P鋼は比較例であり、いずれ
も酸素量が30ppmを越えている。また、L鋼〜P鋼
はNの含有量も30ppmを越えている。さらに、K鋼
はMn量およびNb量が、M鋼はCu量が、N鋼はMo
量が、O鋼はV量が、P鋼はTi量が、本発明の各元素
の含有量の上限を越えており、また、P鋼はC量が本発
明の範囲の下限値未満である。
【0045】表3より明らかな様に、熱間圧延後にAr
3変態点以下の温度域から水冷し、650℃以下、40
0度以上の温度域で水冷を停止し、外径/管厚比を10
以上とした、本発明の実施例である、A1、B1、C
1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、J1の−5
5℃における降伏比は80%以下であり、また、靱性も
優れている。
【0046】これに対して、水冷を行っていない比較例
のA2は、実施例のA1に比較して−55℃における降
伏比が高く、逆に靭性は低い。比較例のC2はAr3変
態点以下の温度域から水冷しているが、水冷の停止温度
が650℃以上であり、実施例のC1に比較して、−5
5℃における降伏比が高く、靭性は低い。
【0047】比較例のA3およびI2は、Ar3変態点
以下の温度域から水冷しているが、水冷の停止温度が4
00℃より低く、マルテンサイト相が生成したため、−
55℃における降伏比が高く、また靭性が低い。比較例
のG2は外径/管厚比が10未満の例であり、降伏比が
大きな値となっている。
【0048】比較例のK1〜P1は鋼中の酸素の含有量
が、いずれも30ppmを越えているため、 vE−55
(ave.)は、100J以下であり、安定した低温靭
性が得られていない。Nの含有量が高いこともL1〜P
1の靱性を下げていると考えられる。比較例のK1およ
びO1は、それぞれNb、Vが本発明の範囲を上に外れ
ており降伏比が高い。また、比較例のP1はC量は本発
明の範囲以下であり、十分な強度が得られなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明の方法により製造した鋼管は、安
定した低温靭性を有し、かつ低温(−60℃〜−20
℃)において、80%以下の低い降伏比を持つ。従来の
低降伏比の鋼管は、この様な低温においては十分な特性
を示しておらず、本発明の完成により、低温で使用され
る建築構造物の、新耐震設計が初めて可能になったこと
の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼の組織と低温における降伏比との関係を示す
図である。
【図2】冷却速度と−55℃における降伏比との関係を
示す図である。
【図3】鋼管の外径/管厚比、温度、降伏比の関係を示
す図である。
【図4】酸素含有量と−55℃におけるシャルピー衝撃
試験時の、吸収エネルギーとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村岡 隆二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、酸素含有量が30ppm以下
    の鉄基合金を、Ar3変態点以上の温度域で熱間圧延を
    終了後、 Ar3変態点以下の温度域から水冷を開始し、
    650℃以下、400℃以上の温度域で水冷を停止し、
    フェライト相とベイナイト相の2相組織の鋼板とし、冷
    間で成形し、溶接を行い、外径/管厚比が10以上の鋼
    管とすることを特徴とする、高靱性でかつ低降伏比の低
    温用鋼管の製造方法
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、
    Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
    %、P:≦0.020、S:≦0.010、Al:
    0.001〜0.06%、N:≦30ppm、0:≦3
    0ppmを含有し、、残部がFeおよび不可避的不純物
    からなる鋼を、 Ar3変態点以上の温度域で熱間圧延を
    終了後、 Ar3変態点以下の温度域から水冷を開始し、
    650℃以下、400℃以上の温度域で水冷を停止し、
    フェライト相とベイナイト相の2相組織の鋼板とし、冷
    間で成形し、溶接を行い、外径/管厚比が10以上の鋼
    管とすることを特徴とする、高靱性でかつ低降伏比の低
    温用鋼管の製造方法
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、
    Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
    %、P:≦0.020、S:≦0.010、Al:
    0.001〜0.06%、N:≦30ppm、0:≦3
    0ppmを含有し、これに加えて、Ti:0.0005
    〜0.015%、Nb:0.005〜0.04%、V:
    0.005〜0.1%、Cu:0.05〜0.6%、N
    i:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1.0%、
    Mo:0.02〜0.6%の内、1種または2種以上を
    含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
    を、Ar3変態点以上の温度域で熱間圧延を終了後、 A
    r3変態点以下の温度域から水冷を開始し、650℃以
    下、400℃以上の温度域で水冷を停止し、フェライト
    相とベイナイト相の2相組織の鋼板とし、冷間で成形
    し、溶接を行い、外径/管厚比が10以上の鋼管とする
    ことを特徴とする、高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管
    の製造方法
JP897096A 1996-01-23 1996-01-23 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法 Pending JPH09194936A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP897096A JPH09194936A (ja) 1996-01-23 1996-01-23 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP897096A JPH09194936A (ja) 1996-01-23 1996-01-23 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09194936A true JPH09194936A (ja) 1997-07-29

Family

ID=11707551

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP897096A Pending JPH09194936A (ja) 1996-01-23 1996-01-23 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09194936A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103103452A (zh) * 2013-03-05 2013-05-15 北京科技大学 一种低温用途的低屈强比高强度高韧性钢及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103103452A (zh) * 2013-03-05 2013-05-15 北京科技大学 一种低温用途的低屈强比高强度高韧性钢及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4470701B2 (ja) 加工性および表面性状に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法
JP3869747B2 (ja) 変形性能に優れた高強度鋼板、高強度鋼管および製造方法
EP2949772B1 (en) Hot-rolled steel sheet and method for manufacturing same
KR101668545B1 (ko) 내변형 시효 특성이 우수한 저항복비 고강도 강판 및 그 제조 방법 그리고 그것을 사용한 고강도 용접 강관
US6007644A (en) Heavy-wall H-shaped steel having high toughness and yield strength and process for making steel
CA3007073C (en) High-strength hot-rolled steel sheet for electric resistance welded steel pipe and manufacturing method therefor
WO2011040624A1 (ja) 低降伏比、高強度および高靭性を有した鋼板及びその製造方法
JPH06200351A (ja) 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板
WO2020039979A1 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
JP6128042B2 (ja) 低降伏比高強度スパイラル鋼管杭およびその製造方法
JP4949541B2 (ja) 二相組織油井鋼管及びその製造方法
JPH10306316A (ja) 低温靭性に優れた低降伏比高張力鋼材の製造方法
JP4205922B2 (ja) 変形性能および低温靱性ならびにhaz靱性に優れた高強度鋼管およびその製造方法
JPH09118952A (ja) 降伏比の低い高強度熱延鋼板部材
JP2004124113A (ja) 非水冷型薄手低降伏比高張力鋼およびその製造方法
JPH0941074A (ja) 低温靭性の優れた超高張力鋼
JP3290595B2 (ja) 靱性、溶接性に優れた高張力厚鋼板の製造方法
JPH09143612A (ja) 降伏比の低い高強度熱延鋼板部材
JP4133175B2 (ja) 靭性に優れた非水冷型薄手低降伏比高張力鋼およびその製造方法
JPH07224351A (ja) 冷間加工後の一様伸びの優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP3247194B2 (ja) 伸びフランジ性及び疲労特性の優れた高強度熱延鋼板
JP2000192140A (ja) 溶接割れ感受性に優れた低降伏比高張力鋼の製造方法
JPH08246094A (ja) 低温用建築鋼材
JPH09194936A (ja) 高靱性でかつ低降伏比の低温用鋼管の製造方法
JPS6152317A (ja) 低温靭性にすぐれた熱延鋼板の製造方法