JPH09188868A - 水分散系離型剤組成物及び離型シート - Google Patents

水分散系離型剤組成物及び離型シート

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JPH09188868A
JPH09188868A JP235896A JP235896A JPH09188868A JP H09188868 A JPH09188868 A JP H09188868A JP 235896 A JP235896 A JP 235896A JP 235896 A JP235896 A JP 235896A JP H09188868 A JPH09188868 A JP H09188868A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水分散系離型剤組成物、及び、該水分散系離型
剤組成物を用いて製せられた離型シートを提供する。 【解決手段】活性水素を有するポリアミン化合物に、イ
ソシアネート基、カルボキシル基、酸ハライド基などの
官能基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30である長
鎖アルキル化合物を所定量以上の割合で反応させて得ら
れる離型剤成分が、平均粒子径が1μm以下となるよう
に水中に分散されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散系離型剤組
成物、及び、該水分散系離型剤組成物を用いて製せられ
た離型シートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、粘着テープ、粘着シート等の粘
着加工品の粘着剤層は、使用時まで、粘着剤層を保護す
る目的で、保護シートが貼り付けられ、この保護シート
は粘着加工品を使用する時に剥離される。従って、保護
シートは粘着剤層から容易に剥離できることが必要であ
り、保護シートと粘着剤層との間の粘着力が強すぎるの
は好ましくない。
【0003】かかる観点より、保護シートと粘着剤層と
の剥離を容易にする目的で、通常、保護シートの粘着剤
層との接触面には、離型剤が塗布されている。
【0004】離型剤の役割は、粘着剤層の保護と粘着剤
からの剥離を容易にすること以外に、剥離する時に、離
型剤層が凝集破壊して、粘着剤層に移行し、粘着剤層の
粘着力を低下させない性能、いわゆる、非移行性が要求
される。更に、この非移行性は、時間が経過しても、温
度が高い状態が続いても、実質的に変化しないことが要
求される。
【0005】離型剤としては、一般的に、ポリオルガノ
シロキサンからなるシリコーン系離型剤、ポリビニルア
ルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの
長鎖アルキル変性物等が用いられており、これらは、通
常、有機溶剤を溶媒とする溶液の形態で使用される。
【0006】近年、安全環境上の問題から、無溶剤化が
推進されており、水を溶媒とする水分散系離型剤や離型
剤組成物を加熱溶融して用いるホットメルト型離型剤、
ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型
性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種離
型剤が検討されている。
【0007】ホットメルト型離型剤やモノマー型離型剤
は、基材上に薄く均一に塗布することが困難である為、
水分散系離型剤が強く要求され、種々の提案がなされて
いる。例えば、特開平3−86778号公報には、ポリ
ビニルアルコール、ポリアリルアルコール又はその変性
物とアルキルイソシアネートを反応させることによって
得られる長鎖アルキルグラフトポリマーを後乳化するこ
とによって得られる水分散体を用いることを特徴とする
水系離型剤が開示されている。又、特開平6−7335
1号公報には、ポリエチレンイミンなどのポリアミン化
合物に長鎖アルキルイソシアネートを反応させ、この変
性物を水に溶解、若しくは、分散させて得られる離型剤
が開示されている。
【0008】しかし、このような水系離型剤は、いずれ
も、離型性や非移行性を発現する為には、溶剤系の離型
剤に比べて、塗布後長時間加熱しなければならないとい
う問題点がある。又、そのようにして発現させた離型性
や非移行性も、溶剤系の離型剤に比べて、不十分であ
り、これらの性能を向上させる為に組成を変えると、水
系離型剤の貯蔵安定性が低下して、離型剤の凝集や沈降
が起こったり、離型剤の水への分散そのものが困難にな
る等の問題点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の問題点を解消し、長期間にわたって、凝集や沈降
を起こすことなく、溶剤系離型剤と同等の塗布量で、塗
布後短時間の加熱・乾燥で、優れた離型性と非移行性が
発現できる水分散系離型剤組成物、及び、該水分散系離
型剤組成物を用いて製せられる離型シートを提供するこ
とを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の水分散系離型剤
組成物は、(a)アミノ基を有するポリアミン化合物の
活性水素1当量に対し、(b)イソシアネート基、カル
ボキシル基、酸ハライド基、ケテン基、アルデヒド基、
及び、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1
種の活性水素反応性の官能基を有し、アルキル基の炭素
数が6〜30である長鎖アルキル化合物を0.5当量以
上の割合で反応させて得られる離型剤成分が、平均粒子
径が1μm以下となるように水中に分散されて成ること
を特徴とする。
【0011】本発明の離型シートは、基材の少なくと
も、片面に、請求項1に記載される水分散系離型剤から
成る離型剤層が設けられていることを特徴とする。
【0012】(a)アミノ基を有するポリアミン化合物
とは、第1級アミノ基(−NH2 )及び/又は第2級ア
ミノ基(−NH−)を含有するポリアミン化合物を意味
し、活性水素とは、アミノ基の窒素原子に直接結合して
いる水素原子、又は、該アミノ基によって活性が誘起さ
れるα位の水素原子を意味する。従って、活性水素を保
有するアミノ基は、本発明に使用するポリアミン化合物
の側鎖、主鎖いずれに含まれていても構わない。又、ポ
リアミン化合物には、アミノ基以外に起因する活性水素
(例えば、−OH、−SH、−COOHなどに起因する
活性水素)が、含まれていても何ら構わない。
【0013】本発明のアミノ基を有するポリアミン化合
物を、具体的に例示すると、ポリエチレンイミン、ポリ
プロピレンイミンなどのポリアルキレンイミン:ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチ
レンヘキサミン、エチレンジアミンなどのアルキル多価
アミンとエピクロルヒドリンとの縮合物等のポリアルキ
レンポリアミン:アリルアミンの単独重合体、及び、エ
チレン、プロピレンなどのオレフィン、ブチルアクリレ
ートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メ
タ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、マレイン酸
などの不飽和カルボン酸とその無水物、ビニルホスホン
酸、ビニルピロリドン、アリルアルコールなどのビニル
モノマーとアリルアミンとの共重合体:これらのポリア
ミン化合物にアルキレンオキシドを開環付加させた化合
物:更に、これらのポリアミン化合物をヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレートにマイケル付加させた化合物
などが挙げられる。これらのポリアミン化合物は単独で
使用しても、2種以上を混合して使用しても何ら構わな
い。
【0014】ポリアミン化合物の分子量(数平均分子
量)は500〜100万の範囲が好ましく、更に、好ま
しくは、1000〜50万である。分子量が500未満
のポリアミン化合物を用いて得られる離型剤成分は離型
性能が悪く、100万を越えると、離型剤成分が水に分
散し難くなる。
【0015】ポリアミン化合物が含有するアミノ基の含
有量は50モル%以上が良く、好ましくは、60モル%
以上である。少な過ぎると、ポリアミン化合物の持つ活
性水素が少ないことを意味し、この活性水素と反応する
長鎖アルキル化合物の量が減少し、得られる離型剤成分
の離型性能が悪化する。
【0016】本発明に使用される離型剤成分の(b)成
分として用いられる長鎖アルキル化合物は、イソシアネ
ート基、カルボニル基、酸ハライド基、ケテン基、アル
デヒド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なく
とも1種の活性水素反応性の官能基を有し、アルキル基
の炭素数が6〜30、好ましくは8〜28である。アル
キル基の炭素数が6未満であると、得られる離型剤成分
の離型性能が不十分となり、逆にアルキル基の炭素数が
30を超えると、(a)成分であるポリアミン化合物と
の反応性が低下する。
【0017】かくして、(b)成分として用いられる長
鎖アルキル化合物は、本発明を特に限定するものではな
いが、イソシアネート基を有するものとしては、ヘキシ
ルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ドデシル
イソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ドコサ
ニルイソシアネート等が挙げられ、カルボキシル基を有
するものとしては、オクタン酸、ドデカン酸、オクタデ
カン酸、ドコサン酸等が挙げられ、酸ハライド基を有す
るものとしては、オクタノイルクロライド、ドデカノイ
ルクロライド、オクタデカノイルクロライド、オクタデ
シロイルクロライド、ドコサノイルクロライド等が挙げ
られ、ケテン基を有するものとしては、オクチルケテン
ダイマー、ドデシルケテンダイマー、オクタデシルケテ
ンダイマー、ドコサニルケテンダイマー等が挙げられ、
アルデヒド基を有するものとしては、ヘキシルアルデヒ
ド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、オクタ
デシルアルデヒド、ドコサニルアルデヒド等が挙げら
れ、エポキシ基を有するものとしては、オクチルグリシ
ジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、オクタデ
シルグリシジルエーテル、ドコサニルグリシジルエーテ
ル等が挙げられ、これらの少なくとも1種が好適に用い
られる。
【0018】本発明に使用される離型剤成分は、(a)
成分であるポリアミン化合物に含有されるアミノ基に起
因する活性水素1当量に対し、(b)成分である長鎖ア
ルキル化合物が0.5当量以上、好ましくは0.6当量
以上の割合で反応されて得られるものである。0.5当
量未満であると、得られる離型剤成分の離型性が不十分
となる。
【0019】離型剤成分の合成方法は、特別な方法では
なく、溶媒中で、(a)成分であるポリアミン化合物の
活性水素1当量に対し、(b)成分である長鎖アルキル
化合物が0.5当量以上の割合で反応させて、所望の離
型剤成分を得る事ができる。離型剤成分の合成に用いる
溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、(b)
成分である長鎖アルキル化合物が有する官能基の種類に
よって選択されることが好ましい。
【0020】即ち、イソシアネート基やケテン基の場合
は、トルエンやジメチルスルホキシド等の如きイソシア
ネート基、ケテン基と反応しない不活性溶媒を用いて、
懸濁法や溶解法で反応を行う。カルボキシル基の場合
は、トルエンのような通常のエステル化反応に用いられ
る溶媒を用い、酸ハライド基の場合は、酸ハライド基と
反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うことが好ま
しく、この反応時には、ピリジンのような脱ハロゲン化
水素剤を添加することがより好ましい。
【0021】官能基がアルデヒド基の場合は、アルデヒ
ド基と反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うこと
が好ましく、塩酸のような酸触媒を添加することがより
好ましい。さらに、官能基がエポキシ基の場合は、エポ
キシ基と反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うこ
とが好ましく、この反応時には、水酸化ナトリウムのよ
うなアルカリ触媒を添加することがより好ましい。
【0022】但し、(a)成分のポリアミン化合物の活
性水素と(b)成分の長鎖アルキル化合物の官能基との
反応が、長鎖アルキル化合物の官能基と水との反応よ
り、充分に速い場合は、有機溶液でなくて、水溶液中で
反応できる。具体的には、ポリエチレンイミンとオクタ
デシルイソシアネートとの反応は水溶液で反応すること
ができる。
【0023】(a)成分と(b)成分との反応は、赤外
吸収スペクトル等により、追跡でき、ポリアミン化合物
の活性水素や長鎖アルキル化合物の官能基が消失した時
点をもって終了とする。
【0024】本発明の水分散系離型剤組成物には、離型
剤成分の他に、水中に樹脂を容易に分散させたり、水分
散系離型剤組成物を基材に塗布する際の濡れ性を向上さ
せたり、塗工時の発泡を抑えたり、塗布後の離型剤膜強
度を上げる為に、脂肪酸、酸変性ポリオレフィン(共)
重合体、高沸点液状物質、界面活性剤、架橋剤などを目
的に応じて、任意に添加しても構わない。以下、本発明
の水分散系離型剤組成物中に、離型剤成分以外に添加す
る上述の任意添加成分を、順次、説明する。
【0025】脂肪酸は、炭素数が10〜30で、好まし
くは12〜26であることが適当である。脂肪酸の炭素
数が10未満であると、極性が高くなり過ぎて、該脂肪
酸が離型剤成分と分離したり、融点を低くさせたりし
て、得られる水分散系離型剤組成物の離型性や非移行性
を低下させる。逆に炭素数が30を超えると、極性が低
くなり過ぎて、水に分散し難くなり、溶融粘度が高くな
り過ぎて、得られる水分散系離型剤組成物を基材に塗布
した後に、離型性や非移行性を発現させるためには、長
時間の加熱を要し、作業工程の支障をきたす。
【0026】炭素数が10〜30である脂肪酸として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ドデカン
酸(ラウリン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、
オクタデカン酸(ステアリン酸)、オクタデセン酸(オ
レイン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸
(ベヘン酸)等の飽和もしくは不飽和脂肪酸等が挙げら
れ、離型剤成分への配合に際し、これらの少なくとも1
種が好適に使用される。
【0027】尚、これらの脂肪酸は、水酸化ナトリウ
ム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類の
水酸化物の共存下では、脂肪酸が、当然、それらの塩と
なっているから、本発明での脂肪酸は、脂肪酸塩も含む
ものとする。
【0028】脂肪酸の添加量は、特に限定されるもので
はないが、(a)成分と(b)成分とを反応させて得ら
れる離型剤成分100重量部に対し、1〜50重量部で
あることが好ましく、更に好ましくは、3〜40重量部
である。脂肪酸の添加量が1重量部未満であると、水分
散系離型剤組成物を製造する時、離型剤成分を水中に、
均一で、安定的に、乳化分散させることが困難となり、
得られる水分散系離型剤組成物を基材に塗布して、離型
性、非移行性を発現させるためには、長時間の加熱を要
するなど、作業工程の支障をきたす。逆に、脂肪酸の添
加量が50重量部を超えると、得られる水分散系離型剤
組成物の非移行性が低下する。
【0029】酸変性ポリオレフィン(共)重合体は、本
発明の離型剤成分を水中に均一且つ安定に乳化分散させ
る機能を有し、酸価は0.2〜800の範囲が好まし
く、更に好ましくは、10〜200である。酸価が0.
2未満であると、それ自体の水中への分散が困難とな
り、逆に、酸価が800を超えると、離型剤成分と分離
し易くなり、均一かつ安定な水分散系離型剤組成物を得
ることが困難となる。
【0030】酸変性ポリオレフィン(共)重合体として
は、特に限定されるものではないが、エチレン、プロピ
レン、ブテン−1等のオレフィンとアクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、イタコン酸等の極性基を有するビ
ニルモノマーとの共重合体、アクリル酸変性のポリエチ
レンワックス、化学的又は物理的に酸化処理されたポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフ
ィン(共)重合体等が挙げられ、これらの少なくとも1
種が好適に用いられる。
【0031】酸変性ポリオレフィン(共)重合体に於い
て、オレフィンと極性基を有するビニルモノマーとの共
重合体の場合、共重合体中に占める極性基を有するビニ
ルモノマーの含有量は、特に限定されるものではない
が、0.01〜40モル%であることが好ましく、更に
好ましくは、0.5〜10モル%である。
【0032】酸変性ポリオレフィン(共)重合体の重合
度は、特に限定されるものではないが、10〜2000
であることが好ましく、さらに好ましくは、20〜10
00である。重合度が10未満であると、常温に於いて
も軟化状態であるので、得られる水分散系離型剤組成物
の離型性や非移行性が悪化する。逆に、重合度が200
0を超えると、水への分散が困難となり、得られる水分
散系離型剤組成物を基材に塗布して、離型性や非移行性
を発現させるのに、長時間の加熱を要し、作業工程の支
障をきたす。
【0033】酸変性ポリオレフィン(共)重合体の融点
及び溶融粘度は、特に限定されるものではないが、融点
が40℃以上で、140℃に於ける溶融粘度が1000
0(Pa・s)以下であることが好ましく、なかでも、
融点が60℃以上で、140℃に於ける溶融粘度が50
00(Pa・s)以下であることがより好ましい。融点
が40℃未満であると、得られる水分散系離型剤組成物
の離型性や非移行性が不十分となり、又、140℃に於
ける溶融粘度が10000(Pa・s)を超えると、水
に分散し難くなる。かかる観点から、本発明を特に限定
するものではないが、マレイン酸変性のポリエチレンワ
ックスやアクリル酸変性のワックスが好適である。
【0034】酸変性ポリオレフィン(共)重合体の添加
量は、特に限定されるものではないが、(a)成分と
(b)成分とを反応させて得られる離型剤成分100重
量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、更
に好ましくは、3〜40重量部である。添加量が1重量
部未満であると、水分散系離型剤組成物を製造する時、
離型剤成分を水中に均一かつ安定に乳化分散させること
が困難となり、得られる水分散系離型剤組成物を基材に
塗布して、離型性や非移行性を発現させるのに、長時間
の加熱を要し、作業工程の支障をきたす。逆に、添加量
が50重量部を超えると、得られる水分散系離型剤組成
物の非移行性が低下する。
【0035】高沸点液状物質は、特に限定されるもので
はないが、常圧下の沸点が100℃以上であり、常温の
粘度が100(Pa・s)以下であるものが好ましい。
又、粘着テープや粘着シート等の粘着加工品の粘着剤層
に移行しても、粘着剤の粘着性能を著しく阻害しないも
のであることが好ましい。沸点が100℃未満である
と、得られる水分散系離型剤組成物を、塗布・乾燥する
時に、揮発し易いので、排気、回収装置等が必要とな
り、製造コストアップにつながる。又、粘度が100
(Pa・s)を超えると、流動性が低くなるので、水分
散系離型剤組成物の濡れ性や造膜性を向上させる効果が
乏しくなる。
【0036】高沸点液状物質としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ナフテン系オイル、ラノリ
ン、オレフィン類のオリゴマー、植物油、動物油、鉱物
油等のプロセスオイル、液状ロジン、テレビン油等の液
状粘着付与樹脂、ポリブテン、ジイソデシルフタレート
等の可塑剤等が挙げられ、これらの少なくとも1種が好
適に用いられる。
【0037】界面活性剤としては、ノニオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両
性系界面活性剤等のいずれも使用可能であり、これらの
少なくとも1種が好適に用いられる。
【0038】ノニオン系界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型、グリ
セリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、シ
ョ糖脂肪酸エステル糖のエステル型、ポリエチレングリ
コール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル等のエステルエーテル型、脂肪酸アルカ
ノールアミド型が挙げらる。
【0039】アニオン系界面活性剤としては、例えば、
脂肪酸モノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸
塩等のカルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、
ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、ス
ルホ琥珀酸ジアルキルエステル等のスルホン酸型、硫酸
アルキル塩等の硫酸エステル型、燐酸アルキル塩の燐酸
エステル型等が挙げられる。
【0040】カチオン系界面活性剤としては、例えば、
アルキルアミン塩等のアミン塩型、アルキルトリメチル
アンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第4級ア
ンモニウム塩型等が挙げられる。
【0041】両性系界面活性剤としては、例えば、N,
N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン等のカ
ルボキシベタイン型、2−アルキル−1−ヒドロキシエ
チル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン
等のグリシン型等が挙げられる。
【0042】架橋剤は、水分散系離型剤組成物を基材に
塗布して、造膜する時に、熱、光等で離型剤成分と反応
し架橋させ得るものであれば良く、特に限定されるもの
ではないが、例えば、多価イソシアネート化合物、ブロ
ックド多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合
物、多価アクリロイル化合物、多価メチロール化合物、
多価イオン金属、多価アジリジン化合物等が挙げられ、
これらの少なくとも1種が好適に用いられる。
【0043】本発明の水分散系離型剤組成物に於いて
は、(a)成分と(b)成分とを反応させて得られる離
型剤成分に、必要に応じて、脂肪酸、酸変性ポリオレフ
ィン(共)重合体、高沸点液状物質、界面活性剤、架橋
剤などの群から選ばれる添加剤成分が加えられるが、水
中に分散される平均粒子径は、これらの各種添加剤成分
も含めて、1μm以下となるように分散されていること
が必要である。尚、ここで言う平均粒子径とは、レーザ
ー回折光散乱法により、レーザー回折散乱式粒度分布計
(例えば、商品名「9220FRA」、MICROTR
AC社製)を用いて測定した粒子径分布(粒度分布)曲
線における下限もしくは上限からの頻度の累積値が50
%になったところの粒子径を意味する。
【0044】水に分散した離型剤成分の平均粒子径が1
μmを越えると、離型シートの離型性や非移行性が低下
したり、十分な離型性を発現させるのに、必要塗布量が
増加したり、水分散系離型剤組成物の貯蔵安定性が損な
われる。平均粒子径が大きいと、基材に塗工して、加熱
・乾燥される工程で、水分散粒子が不安定となって、凝
集し易くなり、粒子が基材を均一に被覆しない現象が起
こることが観察された。
【0045】本発明の水分散系離型剤組成物の製造方法
としては、特に限定されるものではないが、例えば、離
型剤成分を予め加熱溶融して、この加熱溶融物と水と
を、例えば、加圧ニーダー、コロイドミル、高速攪拌シ
ャフト等の混合機を用いて、高剪断をかけて平均粒子径
が1μm以下となるまで均一に乳化分散させた後、分散
粒子が融着凝集しないように冷却して、所望の水分散系
離型剤組成物を得る方法(高圧乳化法)や、離型剤成分
を予め有機溶剤に溶解し、その溶液と水とを、例えば、
高速乳化機を用いて、高剪断をかけて平均粒子径が1μ
m以下となるまで均一に乳化分散させた後、有機溶剤を
除去して、所望の水分散系離型剤組成物を得る方法(溶
剤溶解法)等が挙げられ、いずれの方法も好適に採用さ
れるが、なかでも有機溶剤の除去が不要で工程の簡略な
高圧乳化法がより好適に採用される。
【0046】高圧乳化法に於いて、離型剤成分の加熱溶
融温度は、特に限定されるものではないが、120℃以
上であることが好ましく、又、水の温度は、特に限定さ
れるものではないが、加圧により100℃以上とされて
いることが好ましい。又、離型剤成分を予め加熱溶融す
ることなく、水中に一挙に投入し、加圧下120℃程度
の温度で、高剪断をかけて平均粒子径が1μm以下とな
るまで均一に乳化分散させた後、冷却して所望の水分散
系離型剤組成物を得る方法を採っても良い。
【0047】高圧乳化法、若しくは、溶剤溶解法のいず
れの方法に於いても、離型剤成分と水との混合割合は、
特に限定されるものではないが、離型剤成分5〜50重
量%、水95〜50重量%であることが好ましい。離型
剤成分の含有量が5重量%未満であると、乳化分散時の
剪断効果が減殺されて製造効率が低下し、逆に、離型剤
成分の含有量が50重量%を超えると、粘度が高くなり
過ぎて均一な乳化分散が困難となる。又、乳化分散工程
を経て得られた水分散系離型剤組成物は、貯蔵安定性が
損なわれない範囲で必要に応じて、水で希釈されても良
い。
【0048】本発明の離型シートは、基材の少なくとも
片面に、水分散系離型剤組成物が塗布・乾燥されて成る
離型剤層が設けられていることが必要である。
【0049】本発明の離型シートに用いられる基材とし
ては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル、セロファン等のプラス
チックフィルム類、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、
グラシン紙等の紙類、含浸紙、プラスチックコート紙等
の目止めを施した紙類、不織布、布等の布類等が挙げら
れ、これらの少なくとも1種を積層して使用しても構わ
ない。尚、基材は、水分散系離型剤組成物と基材との接
着性を高めるために、その少なくとも片面に、コロナ処
理、プラズマ処理、プライマー処理等の前処理が施され
ていることが好ましい。
【0050】基材に水分散系離型剤組成物を塗布する方
法としては、特別なものではなく、ロールコーター、グ
ラビアコーター、メイヤーバーコーター、リップコータ
ー等の一般的な塗布装置を用いて、基材の少なくとも片
面に、水分散系離型剤組成物を塗布した後、例えば、加
熱可能な乾燥炉を通して、加熱下で水分散系離型剤組成
物の溶媒である水を揮散させ、乾燥する通常の塗布・乾
燥工程を経ることにより行えば良い。
【0051】基材の少なくとも片面に塗布する水分散系
離型剤組成物の厚みは、特に限定されるものではない
が、基材の片面につき、固形分で膜厚が1μm以下であ
ることが好ましい。1μmを超えると、加熱・乾燥に長
時間を要したり、コストアップになるばかりか、得られ
る離型剤層の非移行性も低下する。
【0052】又、基材と離型剤成分との密着性をより高
めて、得られる離型シートの離型性や非移行性を更に向
上させる為に、上記乾燥工程の後に、水分散系離型剤組
成物に対する加圧・加熱工程を設けることが好ましい。
基材の少なくとも片面に、塗布乾燥された離型剤成分を
加圧・加熱することにより、微粒子状の離型剤成分は溶
融、平滑化されると共に、基材との密着性も高まり、離
型性や非移行性に優れた離型剤層を有する離型シートを
得ることができる。
【0053】離型剤成分を加圧・加熱する方法として
は、例えば、水分散系離型剤組成物を塗布・乾燥した基
材を、高温プレスの間に挟んで加圧しながら加熱する方
法(プレス法)や、離型剤成分を塗布・乾燥した基材を
加熱ロールの間を通して、加圧・加熱する方法(ロール
法)等が挙げられ、いずれも好適に採用されるが、生産
性に優れるロール法がより好適に採用される。
【0054】加圧・加熱時の加熱温度は、特に限定され
るものではないが、離型剤成分の軟化点より高い温度で
あることが好ましく、通常60℃以上、より好ましくは
80℃以上である。加圧・加熱時の圧力は、特に限定さ
れるものではなく、基材の耐圧性に依存するが、通常
0.01〜500Kg/cm2 であることが好ましい。
加圧・加熱時は、ロールと離型剤成分との密着性が、離
型剤成分と離型シート基材との密着性より低いことが必
要で、逆の場合は、溶融した離型剤成分がロールに転写
して不都合である。従って、加熱ロールの材質として
は、耐熱・離型性で、且つ、離型剤成分を均一に加圧す
る弾性材料が要求され、例えば、耐熱性シリコーンライ
ニングゴムローラーや耐熱性テフロンライニングゴムロ
ーラー等が好ましく、いずれも好適に用いられている。
【0055】生産性を向上させる為に、水分散系離型剤
組成物の塗布・乾燥工程に続いて、加圧・加熱工程を設
けるのが好ましいので、上記加熱ロールは、塗布・乾燥
設備に連結して設置されることが好ましい。この場合、
加熱ロールの周速度は、ライン速度と同調させるのが好
ましいので、加熱ロールのロール径は、加圧・加熱工程
に要する時間とライン速度とによって決定される。
【0056】(作用)本発明の水分散系離型剤組成物
は、特定のポリアミン化合物と特定の長鎖アルキル化合
物とを特定の割合で反応させて得られる離型剤成分が、
必要に応じて、脂肪酸、酸変性ポリオレフィン(共)重
合体、高沸点液状物質、界面活性剤、架橋剤から選ばれ
た特定の添加物と共に、平均粒子径が1μm以下となる
ように水中に分散されているので、離型剤成分の水中分
散粒子が著しく安定で、長期間にわたって凝集や沈降が
起こらず、貯蔵安定性に優れている。それ故に、本発明
の水分散系離型剤組成物を基材に塗布して、加熱・乾燥
する過程に於いて、離型剤成分が局所的に凝集すること
なく、均一に離型剤成分の塗膜層を基材の上に形成する
ことができる。その理由は、顕微鏡観察により、離型剤
成分の粒子が凝集することなく、均一充填・整列した状
態を、離型シート基材上で、形成しながら、加熱・乾燥
されて行くから、高濃度の離型剤成分の分散粒子と水と
が分離して、効率的に水の蒸発が行われ、短時間の加熱
・乾燥で、優れた離型性や非移行性を発現することがで
きると推定される。
【0057】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め、以下に実施例、比較例を挙げる。
【0058】離型剤成分の合成 a)離型剤成分(R1、R1*、R2、R3、CR1、
CR2)の合成 攪拌機、冷却器、滴下漏斗、温度計を備えた反応容器中
に、ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)1
0gを、脱水したトルエン150g中に分散させ、還流
温度で、オクタデシルイソシアネート68gを加えて反
応させた。反応の進行に伴い、ポリエチレンイミンの粉
末が無くなって行くが、完全に消失してから、さらに2
時間反応させた。その後、40℃まで冷却し、反応液を
1000gのメタノール中に注いで、白色沈殿物を得
る。これを、メタノールで洗浄し、次いで、ヘキサンで
洗浄して、乾燥させて、離型剤成分(R1)を得た。離
型剤成分(R1*)は、上記R1の合成で、トルエンを
水に変更した以外は同様な方法で行った。R2、R3、
CR1、CR2の離型剤成分も、表1に示す配合に従
い、同様の方法で作製した。
【0059】b)離型剤成分(R4)の合成 攪拌機、冷却器、滴下漏斗、温度計を備えた反応容器中
に、ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)1
0gを、脱水したピリジン300g中に分散させた。8
0℃で、オクタデシロイルクロライド81gを加え、ポ
リエチレンイミンと反応させた。反応の進行に伴い、ポ
リエチレンイミンの粉末が無くなって行くが、完全に消
失してから、更に、2時間反応させた。その後、40℃
まで冷却し、反応液を1500gのメタノール中に注い
で、白色沈殿物を得た。これを、メタノールで洗浄し、
次いで、ヘキサンで洗浄して、乾燥させて、離型剤成分
(R4)を得た。
【0060】実施例1 a)水分散系離型剤組成物の作製 離型剤成分(R−1)160g、ステアリン酸(炭素数
18)30g、界面活性剤として、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸塩(商品名「ペレックスSS−
L」、花王社製)5g及びポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル(商品名「エマルゲン910」、花王社
製)5g、及び、水800gを混合し、容量3リットル
の高圧式乳化機に投入した後、温度120℃、攪拌速度
500rpmで10分間攪拌し、離型剤成分(R−1)
及びステアリン酸を溶融した。次いで、130℃に昇温
し、攪拌速度5000rpmで1時間高速攪拌して、乳
化分散を行った後、冷却して、水分散系離型剤組成物を
得た。得られた水分散系離型剤組成物の安定性は、表2
に示すように、長期間、沈降や、凝集が無く、安定で、
その平均粒子径を、レーザー回折散乱式粒度分布計(商
品名「9220FRA」、MICROTRAC社製)で
測定したところ、0.30μmであった。b)離型シートの作製 坪量75g/m2 のクルパッククラフト紙にポリエチレ
ンを厚さ20μmとなるように押出しラミネートし、ポ
リエチレン面の表面張力が44dyn/cmになるよう
に、コロナ処理して、テープ基材の目止め紙を得た。目
止め紙のポリエチレンの側に、a)で得られた水分散系
離型剤組成物を、固形分が3重量%となるように水で希
釈し、#5のメイヤーバーコーターを用いて、乾燥後の
膜厚が0.3μmとなるように塗布し、炉長1m、温度
120℃の乾燥炉中に、ライン速度2m/分で、30秒
間通させ、乾燥・造膜させて、離型シートを得た。得ら
れた離型シートに、粘着テープ(積水化学社製;クラフ
トテープ#504)を貼り付け、後述する方法で、各種
性能を測定した結果、表2に示すように、比較例に比
べ、良好な離型性能を有する離型シートが得られた。
又、該離型シートの製造過程を想定した条件、即ち、温
度120℃、3秒後の乾燥途中にある離型膜の未完成状
態を、表面反射電子顕微鏡写真で撮影した所、水分散系
離型剤組成物の分散粒子が1.0μm以下で、テープ基
材の上に、均一に被覆している状態が観察できた。
【0061】実施例2 高圧式乳化機での処理時間を40分と変更した以外は実
施例1と同様にして、水分散系離型剤組成物を作製し
た。平均粒子径は0.50μmであった。又、実施例2
の条件の水分散系離型剤組成物の離型シートを実施例1
と同様な方法で、作製した。結果は表2に示すように、
比較例に比べ、良好な離型性能を持つ離型シートが得ら
れた。
【0062】実施例3 ポリエチレンイミン(数平均分子量10000)10
g、界面活性剤として、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩(商品名「ペレックスSS−L」、花王社
製)2.5g及びポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(商品名「エマルゲン910」、花王社製)2.
5g、反応触媒として、トリエチルアミン0.001
g、イオン交換水40gを、攪拌機、冷却器、滴下漏
斗、温度計を備えた反応容器中に投入し、この混合溶液
を、室温で500rpmで攪拌しながら、60℃で溶融
したオクタデシルイソシアネート68gを滴下漏斗から
滴下して、反応させた。反応の進行に伴い、徐々に液が
白濁し、白濁が始まってから、攪拌を4000回転に高
速にして、更に、2時間反応させ、水分散系離型剤組成
物を得た。この水分散系離型剤組成物は、表2のよう
に、平均粒子径が0.55μmで、長期間、粒子の沈
降、凝集が無く、安定であった。この水分散系離型剤組
成物を用い、実施例1と同様にして、離型シートを製作
した。その結果、表2に示すように、比較例に比べ、良
好な離型性能を持つ離型シートが得られた。
【0063】実施例4〜実施例7 離型剤成分及び配合を、表2に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にして、水分散系離型剤組成物、離
型シートを作製した。結果は表2のように、比較例に比
べ、良好な離型剤性能を持つ離型シートが得られた。
【0064】実施例8 平均塗布厚みを表2の如く、変更した以外は、実施例1
と同様にして、水分散系離型剤組成物、離型シートを作
製した。その結果、表2に示すように、比較例に比べ、
良好な離型性能を持つ離型シートが得られた。しかし、
平均塗布厚みが1.0μm以下である実施例1〜実施例
6の方が、本実施例8の2.0μmより、非移行性(残
存接着力)の点で優れていた。
【0065】比較例1〜2 水分散系離型剤組成物の作製に於いて、高圧式乳化機中
での高速攪拌時間を10分(比較例1)及び20分(比
較例2)としたこと以外は、実施例1と同様にして2種
類の水分散系離型剤組成物と2種類の離型シートを得
た。結果は、表3に示すように、水分散系離型剤組成物
の安定性も悪く、平均粒子径が3.50μm(比較例
1)と2.10μm(比較例2)で、離型シートの離型
性能も劣っていた。又、比較例1の水分散系離型剤組成
物を基材に塗布し、乾燥(120℃、3分)過程中の未
造膜状態で、該離型シートの表面反射顕微鏡写真を撮影
したところ、離型剤粒子の粒子径は1μm以上の粗大状
態で、凝集しており、基材を部分的にしか被覆していな
かった。
【0066】比較例3 乾燥・造膜後の平均塗布厚みを2.0μmにした以外
は、比較例2と同様にして、離型シートを得た。結果は
表3に示すように、離型性能が劣っていた。
【0067】比較例4、5 離型剤成分を、表3に示す如く、変更した以外は、実施
例1と同様にして、離型シートを作製した。その結果
は、表3に示す如く、離型性能が劣っていた。
【0068】比較例6、7 乾燥時間を表3に示すように、増加させた以外は、比較
例1と同様にして、離型シートを作製した。結果は、表
3に示すように、若干性能は改善されたものの、実施例
に比べ、離型性能は劣っていた。
【0069】比較例8、9 平均塗布厚みを増加させ、乾燥時間を表3のようにした
以外は、比較例1と同様にして、離型シートを作製し
た。結果は、表3に示すように、塗布量の増大に伴い、
乾燥・加熱に長時間を要し、性能は改善されたものの、
実施例に比べ、不十分であった。
【0070】比較例10 乾燥時間を表3に示すように増加した以外は、比較例1
の水分散系離型剤組成物を用い、比較例4と同様にし
て、離型シートを作製した。その結果、表3に示す様
に、若干性能は改善されたものの、実施例に比べ、離型
性能は劣っていた。
【0071】参考例1〜参考例3 離型剤成分(R−1、2、3)の固形分を3重量%にな
るように、水でなく有機溶剤のトルエンで希釈し、実施
例1と同様にして、目止め紙のポリエチレン面上に、#
10のメイヤーバーコーターで、固形分で0.3g/m
2 塗布し、実施例1と同じ乾燥炉で、120℃、30秒
乾燥させ、離型シートを得た。この離型紙に、粘着テー
プ(積水化学社製、クラフトテープ#504)を貼り付
けて、各種の評価をした。結果は、表4に示す如く、実
施例と同程度の良好な離型性能を有する離型シートが得
られた。以上のことから、実施例の水分散系離型剤組成
物は、溶剤系の離型剤と同程度の性能を有し、有機溶剤
の環境上の問題点が無い。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】水分散系離型剤組成物、離型シートの性能
測定方法 表2、表3、表4に示す各種評価項目は下記の方法で行
った。貯蔵安定性 :水分散系離型剤組成物を固形分が1重量%
となるように、イオン交換水で希釈し、23℃の雰囲気
下に72時間放置した後、凝集、沈降、層分離等の有無
を目視で観察し、下記判定基準で貯蔵安定性を評価し
た。又、水分散系離型剤組成物の水希釈液を200メッ
シュのステンレスフィルターで濾過し、濾過残渣を乾燥
した後、その重量を測定し、23℃、72時間放置前の
上記希釈液の全固形分に対する重量比(重量%)を求め
た。 〔判定基準〕 ○‥‥凝集、沈降、層分離のいずれも認められず、貯蔵
安定性良好 △‥‥凝集、沈降、層分離が認められ、貯蔵安定性不十
分 ×‥‥乳化分散直後に凝集が発生し、水分散系離型剤組
成物が得られなかった
【0077】平均粒子径:レーザー回折散乱式粒度分布
計(商品名「9220FRA」、MICROTRAC社
製)を用いて、水分散系離型剤組成物を所定の濃度にな
るように希釈して、測定した。
【0078】展開力:JIS Z−0237「粘着テー
プ・粘着シート試験方法」に準拠し、離型シートの離型
面に、幅25mmの短冊状に裁断された粘着テープ(商
品名「クラフトテープ#504」、積水化学社製)を圧
着ローラーで貼り付けて試験片を作製し、23℃、65
%RHの雰囲気下に24時間放置した後、同雰囲気下
で、高速剥離試験機を用い、10m/分の剥離速度で、
「180度引き剥がし試験」を行い、展開力(g/25
mm)を求めた。展開力が低い程、離型シートの離型性
が優れていることを示す。
【0079】残存接着力:展開力の場合と同様の方法で
作製した試験片を、23℃、65%RHの雰囲気下に2
4時間放置した後、粘着テープを離型シートから剥離し
た。次いで、JIS Z−0237に準拠し、剥離され
た粘着テープをステンレス板に圧着ローラーで貼り付
け、23℃、65%RHの雰囲気下に24時間放置した
後、同雰囲気下で、高速剥離試験機を用い、300mm
/分の剥離速度で、「180度引き剥がし試験」を行
い、剥離強度P(g/25mm)を測定した。別途、離
型シートに貼り付けなかった粘着テープを用い、同様に
してステンレス板に貼り付け、同様の条件で剥離強度を
測定したところ、2010(g/25mm)であった。
両方の剥離強度の比〔(P/2010)×100〕を
算出し、残存接着力(%)を求めた。残存接着力が10
0%に近い程、粘着剤層に対する離型剤成分の移行量が
少ないことを示す。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の水分散系離
型剤組成物は、上記の如く構成されているので、貯蔵安
定性に優れ、基材に塗布した後、短時間の加熱で、優れ
た離型性を発揮し、粘着剤層に離型剤成分が移行しない
特性を発現できる。又、本発明の離型シートは、上記の
如き構成とされているので、離型剤層の離型性や粘着剤
層への非移行性に優れており、主として、粘着テープや
粘着シート等の粘着加工品用として、好適に用いられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 7/02 JKU

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アミノ基を有するポリアミン化合
    物の活性水素1当量に対し、(b)イソシアネート基、
    カルボキシル基、酸ハライド基、ケテン基、アルデヒド
    基、及び、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくと
    も1種の活性水素反応性の官能基を有し、アルキル基の
    炭素数が6〜30である長鎖アルキル化合物を0.5当
    量以上の割合で反応させて得られる離型剤成分が、平均
    粒子径が1μm以下となるように水中に分散されて成る
    ことを特徴とする水分散系離型剤組成物。
  2. 【請求項2】 基材の少なくとも片面に、請求項1に記
    載の水分散系離型剤組成物から成る離型剤層が設けられ
    ていることを特徴とする離型シート。
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