JPH09186038A - 複合磁石材料の製造方法 - Google Patents

複合磁石材料の製造方法

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JPH09186038A
JPH09186038A JP7342850A JP34285095A JPH09186038A JP H09186038 A JPH09186038 A JP H09186038A JP 7342850 A JP7342850 A JP 7342850A JP 34285095 A JP34285095 A JP 34285095A JP H09186038 A JPH09186038 A JP H09186038A
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magnetic phase
soft magnetic
powder
alloy
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JP7342850A
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Kenji Odakawa
健二 小田川
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軟磁性相と硬磁性相との2相で構成され、高保
磁力の複合磁石材料を提供する。 【解決手段】硬磁性相を形成する化合物の粉末を形成す
る金属または化合物の粉末とを混合し、機械的に粉砕し
て、軟磁性相を形成する金属または化合物の微細結晶粒
とその粒界相とから成り、粒界相が希土類と遷移金属と
を含む化合物相と非晶質相とで構成された組織を有する
合金を作製し、その合金を熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータやアクチュ
エータ等に好適に用いられる希土類磁石に係わり、少な
くとも希土類元素を含む硬磁性相と軟磁性相の2相から
なり、これらの相のスピンが磁気交換結合により磁気的
に結合した複合磁石材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能な希土類磁石材料としては、Sm
Co5系、Sm2Co17系、Nd2Fe14B系、Sm2Fe
173系等が知られている。これらの材料は、高い最大
エネルギー積((BH)max)を有しているものの、
(BH)maxをさらに向上させる研究は、依然として続
けられていた。
【0003】近年、永久磁石等に適した材料として、少
なくとも硬磁性相と軟磁性相の2相からなり、各相のス
ピンが磁気交換結合により交互に磁気的に結合した複合
磁石材料が、国際公開特許WO92/15995号(特
表平6−505366号)において開示されている。こ
の複合磁石材料において、軟磁性相は立方晶系が好まし
く、その体積分率が少なくとも30%であり、硬磁性相
の配向は、軟磁性相の主方向に関してランダムに分布し
ていることが記載されている。この材料は、硬磁性相の
大きな残留磁気の高い可逆性と大きい残留磁気対飽和磁
化割合を特徴としている。また、一般に硬磁性相は大き
な磁気異方性を示すが飽和磁化は小さく、軟磁性相は大
きな飽和磁化を有するが磁気異方性は小さい。この複合
材料では両者を組み合わせることで、両相の利点を同時
に兼ね備えられるということが本文中に述べられてい
た。
【0004】さらに、国際公開特許WO92/1599
5号には、上述した材料の製造法として、液体急冷法に
より、一般式: RxFeyzSiuv (ここで、Rは希土類元素、Y、Zr、Hfからなる群
から選ばれる単数もしくは複数の元素、Tは立方構造の
単数もしくは複数の元素であり、x、y、z、u、v
は、それぞれx≦10原子%、y≦85原子%、z≦2
5原子%、u≦10原子%、v≦10原子%の範囲を有
している。)で表わされる組成を有する非晶質薄帯を作
製し、これを塵砕した後、熱処理する方法が示されてい
た。但し、上記の製造方法は、Fe236相を軟磁性相
とする場合のものであり、他の軟磁性相を用いた場合等
の製造方法については、特に言及されていない。
【0005】加えて、”E.F.Kneller,R.
Hawig:IEEE Trans.Magn.,MA
G−27,3588−3600(1991).”には、
軟磁性相と硬磁性相とから成る複合磁石材料において、
軟磁性相のサイズを小さくするに伴い、複合磁石材料の
保磁力は増大する可能性のあることが示されている。一
方、正方晶であるF3Bを軟磁性相とした複合磁石材料
が、”R.Coehoorn, D.B.de Mooi
j,C.de Waard:J.Magn.Magn.
Mat.,80,101−104(1989).”等に
示されている。この磁石材料は、液体急冷法により、N
4Fe7719近傍の組成を有した非晶質薄帯を作製
し、それを熱処理することにより得られ、F3BとNd2
Fe14Bの結晶粒の集合組織からなる複合磁石材料であ
る。しかし、軟磁性相であるF3Bの飽和磁化の値は、
Nd2Fe14Bと同程度と小さく、軟磁性相を用いるメ
リットが十分生かされていない。
【0006】また、体心立方格子(bcc)構造を有し
たFeまたはFe固溶体を軟磁性相とした複合磁石材料
がいくつか示されている。例えば、bcc構造のFeま
たはFe固溶体を軟磁性相とし、硬磁性相にNd2Fe
14Bを用いた複合磁石材料が、”L.Withanaw
asam,G.C.Hadjipanayis,P.
F.Krause:J.Appl.Phys.,75,
6646−6648(1994).”や”L.With
anawasam,A.S.Murphy,G.C.H
adjipanayis,P.F.Krause:J.
Appl.Phys.,76,7065−7067(1
994).”に示されている。
【0007】これら材料は、液体急冷法により非晶質薄
帯もしくは微細なbcc構造のFe固溶体結晶粒を有し
た薄帯を作製し、それを熱処理することにより得られ
る。これら材料は、Nb添加の有無等によって若干異な
るが、軟磁性相、硬磁性相とも結晶粒のサイズは、30
〜50nmで、この材料の保磁力は2.5〜4.0kO
eであることが報告されている。また組成式等から換算
すると、この材料には軟磁性相が40〜60体積%含有
していると考えられる。
【0008】さらに、”J.M.Yao,T.S.Ch
in,S.K.Chen:J.Appl.Phys.,
76,7071−7073(1994).”には、上述
したものと同じbcc構造のFeまたはFe固溶体とN
2Fe14Bを組合せた系で、この材料は、液体急冷法
により非晶質薄帯を作製し、それを熱処理することによ
り得られ、その結晶粒径は、硬磁性相が20〜60n
m、軟磁性相が12〜32nmであることが報告されて
いる。またこの材料は組成式からの換算によると軟磁性
相を10〜30体積%含有していると考えられる。
【0009】これらの同様の材料を用いた複合磁石材料
についての報告結果を比較すると、液体急冷法により薄
帯を作製し、それを熱処理するという製造方法では、軟
磁性相の体積分率が30体積%より大きくなると、製造
される材料における軟磁性相の結晶粒径は大きくなる傾
向にあること、また軟磁性相の体積分率大きくなるに伴
い、複合磁石材料の保磁力は急激に減少することがわか
る。
【0010】一方、”J.Ding,P.G.McCo
rmic,R.Street:J.Magn.Mag
n.Mat.,124,1−3(1993).”や”
K.O’Donnel,C.Kunrt,J.M.D.
Coey:J.Appl.Phys.,76,7068
−7070(1994).”には、bcc構造のFeを
軟磁性相とし、硬磁性相にSm2Fe173を用いた複合
磁石材料が示されている。この材料は、Sm7Fe93
組成を有したSm粉とFe粉とからなる混合粉をボール
ミリングにより機械的に合金化して、大きさが約5nm
のbcc構造を有したFeの微細結晶粒と残部が非晶質
の粒界相よりなる組織を有した粉体を作製し、それを真
空中400〜900℃の温度で熱処理した後、窒素雰囲
気中400〜450℃の温度で窒化処理することにより
得られる。
【0011】この材料は、組成式から換算すると、軟磁
性相を30体積%程度含有していると考えられる。ま
た、軟磁性相の結晶粒径は約20nmであり、この材料
の保磁力は、4kOe程度であることが記載されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、軟磁性
相の飽和磁化が大きいという利点を生かすために、軟磁
性相としてbcc構造を有したFeまたはFe固溶体を
用いた複合磁石材料及びその製造方法が提案されてきた
が、これら従来技術による方法で製造された複合磁石材
料は保持力が小さく、実用的ではなかった。複合磁石材
料の保磁力を増大させるためには、軟磁性相の結晶粒径
を小さく抑えた状態で、硬磁性相を生成させることが必
要であるが、従来技術では、特に軟磁性相の体積分率を
大きくしようとした場合、軟磁性相の結晶粒径が大きい
複合磁石材料が製造され易く、その保磁力は著しく小さ
いものであり、実用的な材料を製造することができなか
った。
【0013】本発明は、少なくとも硬磁性相と軟磁性相
との2相で構成され、軟磁性相がFeを含有した立方格
子構造から成る複合磁石材料であって、実用的な保磁力
を有する複合磁石材料を提供することを目的とする。特
に軟磁性相の含有量が多い場合における、かかる複合磁
石材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、鋭意研究した結果なされたものであっ
て、立方格子構造を有した微細結晶粒と残部が非晶質の
粒界相よりなる組織を有した合金を作製し、その合金を
熱処理することにより複合磁石材料を作製する従来法を
改良し、粒界相を非晶質単相とせず、粒界相に微細な希
土類−遷移金属化合物相を存在させた状態で熱処理を行
なうことにより高い保磁力が得られることを発見し、本
発明を完成させるに至った。
【0015】即ち、本発明による複合磁石材料の製造方
法は、少なくとも希土類と遷移金属とを含む硬磁性相、
及びFeを含有する立方格子構造の微細結晶粒からなる
軟磁性相を有し、各相のスピンが磁気交換結合により磁
気的に相互に結合した複合磁石材料の製造方法であっ
て、硬磁性相を形成する化合物の粉末と軟磁性相を形成
する金属又は金属間化合物の粉末とを混合し、機械的に
粉砕する(ミリングする)ことにより、軟磁性相を形成
する金属又は金属間化合物の微細結晶粒とその粒界相と
から成り、粒界相が希土類と遷移金属とを含む化合物相
及び希土類と遷移金属とを含む非晶質相で構成された組
織を有する合金を作製し、その合金を熱処理し、該非晶
質相の少なくとも一部を結晶化させるものであり、好適
には熱処理を400ないし900℃の範囲の温度で行な
う。
【0016】軟磁性相を形成する微細結晶粒は、Feを
含有する立方格子構造の微細結晶粒であり、好適には微
細結晶粒の平均粒径が20nm以下である。また本発明の
製造方法は、特に軟磁性相の体積分率が30%〜90%
である複合磁石材料の製造方法に好適である。硬磁性相
を形成する化合物の粉末と、軟磁性相を形成する金属又
は化合物の粉末とを混合し、ミリング(機械的に粉砕)
することにより、それぞれが粉砕されて微細化し、硬磁
性相を形成する化合物は、一部が分解し非晶質相を形成
するとともに化合物相として残存する。一方、軟磁性相
を形成する金属又は化合物は、分解した硬磁性相を形成
する化合物をわずかに取込んだFeを主体とした微細化
したFe固溶体となる。このような状態の合金を好まし
くは400〜900℃の比較的低い熱処理温度で熱処理
することにより、Fe固溶体は、結晶の粒径が過度に粗
大化することなく、非晶質相は結晶化し、硬磁性相とな
る。このように製造される本発明による複合磁石は、軟
磁性相の持つ大きな飽和磁化と硬磁性相の大きな磁気異
方性を兼備えた特性を有し、特に軟磁性相の含有量が多
く、しかも微細結晶粒から構成されているので、残留磁
化が大きく、高保磁力を有するものとすることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明による複合磁石の製造方法においては、ま
ず、軟磁性相を構成する立方格子構造を有したFeもし
くはFe固溶体の微細結晶粒と、その粒界相とからな
り、粒界相が少なくとも希土類と遷移金属とを含む金属
間化合物(以下、希土類−遷移金属化合物という)相及
び希土類と遷移金属とを含む非晶質相で構成された組織
を有する合金を作製する。この合金において粒界相に存
在する希土類−遷移金属化合物相は、硬磁性相と同じ種
類の化合物とするのが望ましい。
【0018】このような組織の合金は、硬磁性相を形成
する化合物として少なくとも希土類と遷移金属とを含む
化合物の粉末と軟磁性相を形成する金属又は化合物の粉
末とを混合し、ミリングすることにより作製することが
できる。硬磁性相を構成する化合物としては、少なくと
も希土類元素と遷移金属元素を含んだ化合物で、硬磁性
を示す化合物が用いられる。本発明による熱処理後には
硬磁性を示さないが、後処理、例えば窒化処理によって
硬磁性を示す化合物であってもよい。このような化合物
として例えば、RT5型、RT4B型、R217型、RT
12型、RT14B型、R217x型、RT12x型の化合
物が挙げられる。ここでRは希土類元素、TはFe、C
o等を含む遷移金属元素である。具体的には、SmCo
5、SmFe2Co2B、Nd2Fe14B、Sm2Fe
17x、SmFe 11Ti等を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。このような化合物の粉
末は、まず所定の組成になるように秤量した原料金属
を、例えばアルゴン雰囲気中で高周波溶解法等により加
熱溶解し母合金を作製する。この母合金をアルゴン雰囲
気中で均質化のための熱処理を行ない、スタンプミル等
により粉砕して粉末とする。粉末は適宜分級し、例えば
200μ以下の粉末とする。
【0019】また本発明において軟磁性相としては、立
方格子構造を有したFeもしくはFeの固溶体を用い
る。FeもしくはFeの固溶体を用いることにより、軟
磁性相の飽和磁化が大きいという利点を生かすことがで
きる。Fe固溶体は、Feの他にCoを0〜60原子%
含んでいてもよい。更に、B、C、N、Al、Si、
P、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、Mn、Ni、Cu等の元素を含むことができる。但
し、これら元素は大きな飽和磁化を保つためには10原
子%以下、好適には5原子%以下であることが望まし
い。
【0020】このような軟磁性相を形成する金属又は化
合物の粉末は、電解法や噴霧法等により作製する。粉末
は適宜分級し、例えば40μ以下の粉末とする。これら
2種の合金粉末は、製造すべき複合磁石における軟磁性
相と硬磁性相の含有率に対応する所定の比率に混合す
る。複合磁石材料における軟磁性相の含有率は、特に限
定されないが、体積分率で30%〜90%の範囲、好適
には40%〜85%にあることが好ましい。同様に複合
磁石材料における硬磁性相の含有率は、体積分率で10
〜70%の範囲、好適には15%〜60%とすることが
好ましい。軟磁性相の含有率を30%以上とすることに
より、軟磁性相の持つ特徴を十分に生かすことができ、
一方、含有率を90%以下とすることにより、大きな保
磁力が得ることができる。この際、必要に応じて非磁性
相を形成する材料粉末を第3相として加えてもよい。こ
の非強磁性相は結晶粒の成長抑制の目的で加えられ、具
体的にはTaC、NbC、ZrB2、Fe2Zr等が挙げ
られる。これらの相は、体積分率で10%以下、好まし
くは5%以下とする。
【0021】以上のような割合となるように原料粉末を
混合した後、ボールミルを用いてミリング処理を施す。
ミリング条件は、ミル容器の容量、ボールの大きさ、
数、用いる粉末の種類・量など種々の因子に依存する
が、ミリング終了時において軟磁性相を構成する固溶体
相、希土類−遷移金属化合物相及び非晶質相が共存する
状態となるようにミリング条件を設定する。ミリング時
間に関して言えば、ミリング時間の増加に伴い、軟磁性
相及び硬磁性相を構成するそれぞれの合金の結晶粒径は
減少していくが、一般に硬磁性相に用いる合金である希
土類−遷移金属化合物の方が、軟磁性相を構成する金属
又は合金に比べ、非晶質化しやすいため、長時間ミリン
グした場合には、希土類−遷移金属化合物相が消失す
る。従って、各原料合金の結晶粒径ができるだけ小さ
く、しかも希土類−遷移金属化合物相が残存する状態で
ミリングを終了するようにする。
【0022】例えば実験室用のボールミル、例えばFRIT
SCH社性遊星型ボールミルP−5では、ボールと粉末と
の重量比が16:1の場合、公転回転数は150〜30
0rpm、ミリング時間5〜100時間の範囲でミリン
グする。このようなミリング処理後における微細結晶粒
の粒径は、20nm以下であることが好ましく、15n
m以下であることがより好ましい。結晶粒径が大きいと
大きな保磁力を得ることができない。
【0023】次いで、上記ようにミリング処理した合金
粉末を400〜900℃、好適には450〜800℃の
温度で熱処理する。このような範囲とすることにより、
軟磁性相の結晶粒を粗大化させることなく、粒界相中の
非晶質相の一部を効果的に結晶化させて硬磁性相とする
ことができる。この場合、粒界相に非晶質相がわずかに
残存していてもよい。熱処理時間は、1分〜12時間で
あることが好ましい。1分未満では合金を均一に加熱し
にくく、得られる複合磁石において磁気特性のばらつき
を生じやすくなる。また12時間以上では生産性が悪化
するだけでなく、結晶粒の過剰な成長により磁気特性が
劣化しやすい。熱処理は、通常真空中または、窒素、ア
ルゴン等の不活性雰囲気中で行なう。このような熱処理
後における軟磁性相の平均の結晶粒径は、30nm以下
であることが好ましく、20nm以下であることがより
好ましい。
【0024】さらに硬磁性相を構成する化合物によって
は、硬磁性とするために窒化処理等の後処理を行なう。
窒化処理は通常、窒素雰囲気中400〜450℃の温度
で熱処理することにより行なわれる。以上のような工程
により得られる磁石材料は、主として前述した軟磁性相
と硬磁性相の2相で構成されるが、更に前述の非強磁性
相や製造過程で不可避的に残存すうる非晶質相が存在し
ていてもよい。
【0025】以上述べた製造方法により、硬磁性相と軟
磁性相の各相のスピンが磁気交換結合により磁気的に相
互に結合し、これにより軟磁性相の持つ大きな飽和磁化
と硬磁性相の大きな磁気異方性を合せ持つ複合磁石材料
を得ることができる。しかもこの複合磁石材料は、比較
的低い熱処理温度で熱処理することにより軟磁性相を構
成するFe固溶体の粒径を微細に保ったまま硬磁性相を
結晶化することができるので、大きな保磁力を有するも
のとすることができる。
【0026】
【実施例】
実施例1 硬磁性相(ハード相)の原料となるSmFe2Co2B合
金粉末は、高周波溶解法で作製したインゴットをスタン
プミルを用い不活性溶媒中で粉砕し、ふるい分け法によ
り212μm以下に分級した。軟磁性相(ソフト相)の
原料となるFeCo合金は、アトマイズ法により作製し
た粉末であり、ふるい分け法により74μm以下に分級
した。ハード相及びソフト相の原料粉末を、体積分率が
3:7となるように秤量し、ボールミルの容器に、ボー
ルと原料の混合粉末を入れた。粉末総量は10g、容器
とボールはSUS304製、ボールと粉末重量比は1
6:1とした。容器内の雰囲気はArガス置換とした。
【0027】自公転比2:1の遊星型ボールミルを用い
て、公転回転数225rpmで20時間、ミリング(機
械粉砕)処理を行った。ミリング処理後のX線回折パタ
ーンを図1に示す。X線源は、CuKαである。ミリン
グ処理後の組織には、明らかにbcc構造のFe相に対
応する回折ピーク、SmFe2Co2B相に対応する回折
ピーク及び非晶質相に対応するブロードな回折ピークが
観測された。bcc構造のFe相の粒径は、106オン
グストロームであった。粒径は、Fe相の(110)面
の回折ピークの半値幅からシェラー(Scherrer)の式に
より求めた。
【0028】ミリング処理した粉末は、真空中、種々の
温度で30分熱処理した。各温度で熱処理した粉末の保
磁力とbcc構造のFe相の粒径を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】比較例1 ミリング時間を30時間にした以外は、実施例1と同様
にして試料を作製した。ミリング処理後のX線回折パタ
ーンを図2に示す。X線源は、実施例1と同様CuKα
である。ミリング処理後の組織には、bcc構造のFe
相に対応する回折ピーク及び非晶質相に対応するブロー
ドな回折ピークが観測されたが、SmFe2Co2B相に
対応する回折ピークは見られなかった。bcc構造のF
e相の粒径は、66オングストロームであった。
【0031】ミリング処理した粉末は、実施例1と同様
に、真空中、種々の温度で30分熱処理した。各温度で
熱処理した粉末の保磁力とbcc構造のFe相の粒径を
表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明によれば、Fe固溶体の微細結晶粒とその粒界相と
から成り、粒界相が希土類−遷移金属化合物相と非晶質
相とで構成された組織を有する合金を熱処理することに
より、硬磁性相と軟磁性相の各相のスピンが磁気交換結
合により磁気的に相互に結合し、これにより軟磁性相の
持つ大きな飽和磁化と硬磁性相の大きな磁気異方性を合
せ持ち、且つ高保磁力の複合磁石材料を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による磁石材料のX線回折パタ
ーンを示す図。
【図2】比較例による磁石材料のX線回折パターンを示
す図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも希土類と遷移金属とを含む硬磁
    性相、及びFeを含有する立方格子構造の微細結晶粒か
    らなる軟磁性相を有し、各相のスピンが磁気交換結合に
    より磁気的に相互に結合した複合磁石材料の製造方法で
    あって、 前記硬磁性相を形成する化合物の粉末と前記軟磁性相を
    形成する金属又は化合物の粉末とを混合し、機械的に粉
    砕することにより、前記軟磁性相を形成する金属又は金
    属間化合物の微細結晶粒とその粒界相とから成り、前記
    粒界相が希土類と遷移金属とを含む金属間化合物相及び
    希土類と遷移金属とを含む非晶質相で構成された組織を
    有する合金を作製し、その合金を熱処理し、該非晶質相
    の少なくとも一部を結晶化させることを特徴とする複合
    磁石材料の製造方法。
  2. 【請求項2】400ないし900℃の範囲の温度で熱処
    理することを特徴とする請求項1記載の複合磁石材料の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記微細結晶粒の平均粒径が、20nm以下
    であることを特徴とする請求項1記載の複合磁石材料の
    製造方法。
  4. 【請求項4】前記軟磁性相は、その体積分率が30%〜
    90%であることを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    か1項記載の複合磁石材料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100368570C (zh) * 2005-12-15 2008-02-13 南京大学 纳米复合稀土永磁材料的热处理方法
JP2012164983A (ja) * 2012-02-17 2012-08-30 Asahi Kasei Chemicals Corp 磁石用固形材料の製造方法
JP2017098411A (ja) * 2015-11-24 2017-06-01 住友電気工業株式会社 希土類磁石、及び希土類磁石の製造方法

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