JPH09185846A - 情報記録媒体および情報メモリ装置 - Google Patents

情報記録媒体および情報メモリ装置

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JPH09185846A
JPH09185846A JP8000494A JP49496A JPH09185846A JP H09185846 A JPH09185846 A JP H09185846A JP 8000494 A JP8000494 A JP 8000494A JP 49496 A JP49496 A JP 49496A JP H09185846 A JPH09185846 A JP H09185846A
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JP
Japan
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layer
alloy
information recording
recording medium
reflective layer
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Application number
JP8000494A
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English (en)
Inventor
朱美 ▲廣▼常
Akemi Hirotsune
Motoyasu Terao
元康 寺尾
Yasushi Miyauchi
靖 宮内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光ディスクなどにおいて、多数回の書き換えま
たは超解像再生時にもC/N(搬送波対雑音比)が低下
するのを防止する。 【解決手段】2層ある反射層の間に拡散防止層を設け、
反射層の間で層材料が拡散、または反応するのを防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明はディジタル情報の記
録再生に用いる情報記録薄膜,媒体,装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を照射して薄膜(記録膜)に情
報を記録する原理は種々知られているが、そのうちで膜
材料の相転移(相変化とも呼ばれる)やフォトダークニ
ングなど、レーザ光の照射による原子配列変化を利用す
るものは、薄膜の変形を伴わないため、2枚のディスク
部材を直接張り合わせて両面ディスク構造の情報記録媒
体が得られるという長所を持つ。また、Ge−Sb−T
e系などの記録膜では情報の書き換えを行うことができ
る利点がある。
【0003】この種の記録膜では、高密度化を行うため
のサンプルサーボ方式,マークエッジ記録などで104
回を越える多数回の書き換えを行うと、記録膜の流動に
より記録膜膜厚が変化し、再生信号波形に歪みが生じ
る。記録膜の流動は、記録時のレーザ照射により、保護
層や中間層の熱膨張による変形により、記録膜が少しず
つ押されて生じる。これを防ぐため、例えば、文献1
「第41回応用物理学関係連合後援会予稿集p996」
にCr−Ge−Sb−Te系記録膜を用いることで記録
膜の流動を防止する方法が開示されている。また、さら
に文献2「第42回応用物理学関係連合後援会予稿集p
1033」にSiとAl合金の2層の反射層を用いるこ
とにより、記録膜の流動を防止する方法が開示されてい
る。
【0004】しかし、これだけでは105 回を越える多
数回の書き換えを行った際、C/N(搬送波対雑音比)
の低下が生じることがある。これは、多数回書き換え時
に2層の反射層の間で層材料が拡散、または反応し熱伝
導度や光学定数に変化が生じてC/Nが低下していたた
めと考えられる。
【0005】一方、映像や音声などのアナログ信号をF
M変調したものや、たとえば電子計算機のデータや、フ
ァクシミリ信号やディジタルオーディオ信号などのディ
ジタル情報が凹凸により記録された光ディスクやレーザ
光,電子線などの記録用ビームによって信号やデータが
記録された光ディスク,信号やデータをリアルタイムで
記録することが可能な情報の記録用薄膜などを持つ光デ
ィスクにおいては、信号再生分解能は、ほとんど再生光
学系の光源の波長λと対物レンズの開口数NAで決ま
り、記録マーク周期2NA/λが読み取り限界となる。
高密度化のため、相変化により反射率が変わる媒体を用
いて凹凸で記録されたデータを再生する方法が特開平3
−292632 号公報より、相変化記録膜に記録されたデー
タを高密度再生するための溶融マスク層を持つ媒体が特
開平5−73961号公報に述べられている。これらをはじめ
とする超解像再生可能な媒体構造は記録再生用の媒体と
基板以外の構成はほぼ同様であり、多数回の超解像再生
を行った場合、超解像読み出し用膜の流動が生じ、C/
N低下が生じるという同様の問題を抱えている。
【0006】ただし、ここでは相変化には結晶−非晶質
間の相変化ばかりでなく、単なる融解(液層への変化)
も含むものとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の方法で
は、多数回の書き換えまたは超解像再生時にC/N(搬
送波対雑音比)が低下するという問題点がある。これ
は、2層の反射層の間で層材料が拡散、または反応し熱
伝導度や光学定数に変化が生じたためと考えられる。
【0008】本発明の目的は多数回の書き換え、または
超解像再生を行った場合でもC/Nの低下を防止できる
ようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)基板上に直接または下地層を介して形成された、
エネルギビームの照射を受けて生じる原子配列変化によ
って情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜
を記録層または超解像読み出し用のマスク層として備
え、かつ保護層を備え、かつ複数層以上の反射層を備え
これら反射層間の界面のうち少なくとも1界面に拡散防
止層を備えた情報記録媒体であることを特徴とする。
【0010】(2)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、複数層の反射層が読み出しレーザ波長における屈折
率または消衰係数の少なくとも一方が相互に異なる材料
よりなる第1反射層,第2反射層とその間の拡散防止層
からなる情報記録媒体であることを特徴とする。
【0011】(3)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記各層が基板上に、光入射側から保護層,記録層
または超解像読み出し用のマスク層の順に積層され、そ
の次に直接または中間層を介して第1反射層,拡散防止
層,第2反射層の順に積層された構造を持つことを特徴
とする。
【0012】(4)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記拡散防止層がW,Mo,Cr,Ti,V,M
n,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Al−S
i,Al−Si−N,SiO2 ,Si−N、またはこれ
らを主成分とする合金,化合物,混合材料の少なくとも
一つ、またはこれに近い組成であることを特徴とする。
【0013】(5)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記第1反射層の積層最終過程および/または積層
後に、第1反射層材料を弗化,窒化,酸化,炭化,硫
化,セレン化,弗化以外のハロゲン化処理を行うことに
より形成されたことを特徴とする。
【0014】(6)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記第1反射層の積層最終過程および/または積層
後に、第1反射層形成時の雰囲気ガスに少なくとも1%
以上の窒素,酸素,塩素,弗素,硫化水素,四塩化炭
素,水素,沃素の少なくとも1種を混入した混合したガ
スを使用して第1反射層材料を積層することにより拡散
防止層を形成したことを特徴とする。
【0015】(7)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記第2反射層の積層最初過程および/または積層
前に、第2反射層形成時の雰囲気ガスに少なくとも1%
以上の窒素,酸素,塩素,弗素,硫化水素,四塩化炭
素,水素,沃素の少なくとも1種を混入した混合したガ
スを使用して第2反射層材料を積層することにより拡散
防止層を形成したことを特徴とする。
【0016】(8)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記第2反射層の積層最初過程および/または積層
前に、第2反射層材料を弗化,窒化,酸化,炭化,硫
化,セレン化,弗化以外のハロゲン化処理を行うことに
より形成されたことを特徴とする。
【0017】(9)(1)に記載の情報記録媒体におい
て、上記拡散防止層が第1反射層と第2反射層を積層す
る間の過程において、少なくともどちらか一つの層の界
面を反応防止処理または拡散防止処理の少なくともどち
らか一つの処理を行うことにより形成されたことを特徴
とする。
【0018】(10)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記記録膜上に上記第1反射層が直接積層された
ことを特徴とする。
【0019】(11)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記第1反射層がSi,Si−Ge混合材料,S
i−N,Si−Sn,Si−Au、またはSi−In混
合材料の少なくとも一つ、またはこれに近い組成である
か、あるいは上記第2反射層がAl−Ti,Al−A
g,Al−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とす
るもの、Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,A
g,Ag合金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,
W合金,Co,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも
一つ、またはこれに近い組成であることを特徴とする。
【0020】(12)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記第1反射層がAl−Ti,Al−Ag,Al
−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とするもの、
Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,Ag,Ag合
金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,W合金,C
o,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも一つ、また
はこれに近い組成であるか、あるいは上記第2反射層が
Si,Si−Ge混合材料、Si−N,Si−Sn,S
i−Au、またはSi−In混合材料の少なくとも一
つ、またはこれに近い組成であることを特徴とする。
【0021】(13)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記記録層または超解像読み出し用のマスク層
と、上記第1反射層の間に中間層を備えることを特徴と
する。
【0022】(14)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記保護層の膜厚が70nm以上,130nm以
下の範囲にあることを特徴とする。
【0023】(15)(1)に記載の情報記録媒体にお
いて、上記情報記録媒体において、上記記録層または超
解像読み出し用のマスク層の全原子数の95%以上の組
成がLを相変化成分,Hを高融点成分としたとき、 (L)1-s(H)s で表され、かつ0.02≦s≦0.20を満たすことを特
徴とする。
【0024】(16)(1)に記載の情報記録媒体の記
録,再生または超解像再生波長の少なくとも一つに用い
るレーザを備え、かつ、光ヘッド制御回路,トラッキン
グ誤差検出手段,光ヘッド移動ドライバ,記録データ変
調手段,レーザドライバ,再生信号処理手段,再生デー
タ送出手段を備えたことを特徴とする情報メモリ装置。
【0025】(17)拡散防止層材料としては、W,W
を主成分とする合金,化合物が拡散・反応防止効果が大
きく好ましい。次にMo,Cr,Ti,V,Mn,F
e,Co,Ni,Pd,Pt,Cu、またはこれらを主
成分とする合金,化合物が拡散・反応防止効果が大きく
好ましい。
【0026】それ以外に、SiO2 ,Si−N系材料,
Al−Si,Al−Si−N(例えばAlSiN2 )、
または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。
【0027】さらに、B,C,Ag,Rh,Ir,O
s,Re,Ta,Hf,Ac,Y,Zr,Sc,Be,
Si,Sn、これらを主成分とする合金,化合物でもよ
い。
【0028】(ZnS)80(SiO2)20、これのZnS
とSiOの混合比を換えたもの、Si−O−N系材料,
SiO,Ta25,TiO2,Al23,Y23,Ce
O,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,S
nO,SnO2,Bi23,TeO2,WO2,WO5,S
23,ZrOなどの酸化物,TaN,AlN,Si3
4系材料などの窒化物,ZnS,Sb23,CdS,
In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi2
3などの硫化物,SnSe2,Sb2Se3,CdSe,
ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeS
2,SnSe2,PbSe,Bi2Seなどのセレン化
物,CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるい
はSi,Ge,TiB2,B4C,B,C、または、上記
の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これら
の混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0029】また、拡散防止層6材料にW,Be,N
i,Cu,Au,Pt,Ag,Zn,電解鉄,黄銅(C
70Zn30),ジュラルミン,ステンレススチール,溶
融石英または、強度が大きい材料を使用すると、記録時
の記録膜流動が起こりにくくなるため、書き換え可能回
数が大きくなるという利点がある。
【0030】拡散防止層6の膜厚は平均膜厚で、1nm
以上が好ましい。拡散防止効果を大きくする点から3n
m以上,記録再生特性を良好にする点から10nm以下
がより好ましい。
【0031】(18)拡散防止層はマグネトロン・スパ
ッタリング装置でスパッタガスに反応ガスを混入させて
反応性スパッタリング,スパッタリングにて形成しても
よい。この場合、拡散防止層専用ターゲットが不要とな
る点では好ましい。
【0032】さらに、第1反射層を形成した後に第1反
射層の界面部を弗化,窒化,酸化,炭化,硫化,セレン
化,弗化以外のハロゲン化処理を行うことにより、形成
してもよい。
【0033】また、第1反射層と第2反射層を積層する
間の過程において、少なくともどちらか一つの層の界面
を反応防止処理または拡散防止処理の少なくともどちら
かの処理を行うことにより形成してもよい。
【0034】拡散防止層6は、第1反射層と第2反射層
を形成する過程において連続的に組成を変化させること
によって形成してもよい。
【0035】(19)第1反射層材料としてはSi,S
i−Ge混合材料が、記録マーク部分の光吸収率を記録
マーク以外の部分の光吸収率より小さくできるので、光
吸収率差による消え残りを防止でき、さらに書き換え可
能回数が低下しない。Geの含有量は10原子%以上,
80原子%以下が書き換え可能回数の低下が生じにく
い。
【0036】次いで、Si−N,Si−Sn,Si−A
u、またはSi−In混合材料、あるいはこれら混合材
料の2種以上の混合材料でも同様の結果が得られた。こ
れらの反射層材料は、本発明の相変化膜ばかりでなく、
他の相変化膜を用いる場合の反射層材料として用いて
も、従来の反射層材料に比べて書き換え可能回数が低下
しない。Siに添加する元素の含有量は3原子%以上,
50原子%以下が書き換え可能回数の低下が生じにく
い。
【0037】さらに、上記以外のSi,Ge含有混合材
料,屈折率が大きくて消衰係数が小さい材料よりなる層
を用いてもよいし、それらの相よりなる多重層を用いて
もよいし、これらの酸化物などの他の物質との複合層な
どを用いてもよい。Geも使用可能である。その他、各
種窒化物,硫化物,セレン化物も使用可能である。
【0038】また、読み出し波長における、第1反射層
材料の屈折率nと消衰係数kがn≧2となる材料がより
好ましく、n≧2かつ2≧kとなる材料が特に好まし
い。
【0039】また、それらの層よりなる多重層を用いて
もよいし、これらとSiO など酸化物などの他の物質
との複合層などを用いてもよい。この時の、第1反射層
と第2反射層の屈折率nの差は2以上が好ましい。
【0040】(20)第2反射層材料としては、Al−
Ti,Al−Ag,Al−Cu,Al−CrなどAl合
金を主成分とするものが好ましい。Alも使用可能であ
る。Al合金以外の材料も使用可能である。
【0041】Al合金の場合、Alの含有量は50原子
%以上,99.9 原子%以下が熱伝導率を大きくでき、
書き換え可能回数の低下が生じにくい。
【0042】また、Sb−Bi,Au,Ag,Cu,A
l,Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,
Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,V
の元素単体、またはこれらを主成分とする合金、あるい
はこれら同士の合金よりなる層を用いてもよいし、それ
らの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化
物などの他の物質との複合層などを用いてもよい。第1
反射層と屈折率および消衰係数が異なる材料であれば、
Si,Ge,Sn,Inを主成分とする合金、あるいは
これらと上記元素同士の合金よりなる層を用いてもよい
し、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これ
らと酸化物などの他の物質との複合層などを用いてもよ
い。
【0043】この中で、Cu合金,Al合金などのよう
に、熱伝導率が大きいものは、ディスク構造が急冷構造
となり、多数回書き換えによる反射率変動が生じにく
い。また、Sb−Bi,Dyなどのように熱伝導率が小
さいものは、保温されやすくなるため、記録感度がよく
なるという利点がある。
【0044】第2反射層の膜厚は0nmでもよいが、5
nm以上が好ましい。強度を大きくする点から30nm
以上,作製時間を少なくする点から300nm以下がよ
り好ましい。
【0045】(21)第1反射層と第2反射層の組み合
わせとしては、第1反射層がSi,Si−Ge混合材
料、Si−N,Si−Sn,Si−Au、またはSi−
In混合材料の少なくとも一つ、またはこれに近い組成
であるか、第2反射層がAl−Ti,Al−Ag,Al
−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とするもの、
Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,Ag,Ag合
金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,W合金,C
o,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも一つ、また
はこれに近い組成であることが書き換え可能回数が大き
く、好ましい。 (22)第1反射層と第2反射層の組み合わせとして
は、第1反射層が、消衰係数kが4以下である材料から
なり、かつ、上記第2反射層は消衰係数が第1反射層よ
り大きく、熱伝導率が100W/m・k以上である材料
からなると、吸収率を適当に保つことができ、また記録
時の記録膜の温度を適当に保つことができるため好まし
い。
【0046】(23)第1反射層と第2反射層の組み合
わせを、次のように選ぶと、非晶質状態と結晶状態の吸
収率制御がしやすいため、好ましい。
【0047】第1反射層材料としては、Mo,Ni,F
e,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Co,Sb,
Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、または
これらを主成分とする合金、あるいはこれら同士の合金
よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重
層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質と
の複合層などを用いてもよい。消衰係数が4以下である
材料を用いることにより、結晶状態の吸収率より非晶質
状態の吸収率が大きい場合に、吸収率差を小さくでき、
書き換え時の消え残りを小さくできた。
【0048】この中で、Mo,W,Ta,Mo合金,W
合金,Ta合金などは反応性が低く、多数回のレーザ照
射によって、第2反射層材料と反応して特性が変化する
恐れがないため、書き換え特性がよいという利点があ
る。
【0049】また、Cr4Te5,Cr−Te,Cr−S
b,Cr−Ge,Co−Sb,Co−Te,Co−G
e,Cu−Te,Cu−Sb,Mn−Te,Mn−S
b,V−Ge,Ni−Ge,Mo−Ge,W−Teの組
み合わせよりなる化合物,混合物よりなる群より選ばれ
た少なくとも一つ、またはこれに近い組成の材料を用い
てもよい。これらの材料は高融点であり、第2反射層材
料と反応して特性が変化する恐れがないため、書き換え
特性がよいという利点がある。
【0050】第1反射層と第2反射層の組み合わせとし
ては、上記第1反射層がAl−Ti,Al−Ag,Al
−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とするもの、
Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,Ag,Ag合
金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,W合金,C
o,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも一つ、また
はこれに近い組成であるか、あるいは上記第2反射層が
Si,Si−Ge混合材料,Si−N,Si−Sn,S
i−Au、またはSi−In混合材料の少なくとも一
つ、またはこれに近い組成である材料からなると、吸収
率を適当に保つことができるため好ましい。
【0051】第1反射層の膜厚は30nm以下の範囲に
選ぶと、吸収率制御ができ、好ましい。さらに薄く、約
15nm以下の範囲に膜厚を選ぶと、より好ましい。
【0052】第2反射層としては、Al,Cu,Au,
Cu合金,Al合金,Au合金などのように、熱伝導率
が大きいものが、ディスク構造が急冷構造となり、多数
回書き換えによる反射率変動が生じにくいため、好まし
い。この場合の熱伝導率は100W/m・k以上である
と、書き換え回数が大きくなるため好ましく、230W/
m・k以上にするとが書き換え回数が2倍になるため好
ましい。さらに、Au単体にくらべ、Au−Ag,Au
−Co,Au−AlなどのAu合金は接着力が大きくな
るという利点があり好ましい。
【0053】この他、第1反射層より消衰係数が大きい
材料であれば、Ag、Ni,Fe,Cr,Ti,Pd,
Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,M
n,Mg,Vの元素単体、または,Ag合金,Cu合
金,Al合金,Pd合金,Pt合金,Ni合金,Mn合
金,Sb−Bi化合物などこれらを主成分とする合金、
あるいはこれら同士の合金よりなる層を用いてもよい
し、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これ
らと酸化物などの他の物質との複合層などを用いてもよ
い。Si,Ge,Sn,Inを主成分とする合金、ある
いはこれらと上記元素同士の合金よりなる層を用いても
よいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、
これらと酸化物などの他の物質との複合層などを用いて
もよい。
【0054】第2反射層の膜厚は0nmでもよいが、5
nm以上が好ましい。強度を大きくする点から30nm
以上,作製時間を少なくする点から300nm以下がよ
り好ましい。
【0055】(24)記録膜材料,超解像読み出し層の
材料としては、(Cr4Te5)7(Ge2Sb2Te5)93
Cr4Te5とGe2Sb2Te5の混合比を換えたもの、
(Cr4Te5)−(GeSb4Te7),(Cr4Te5)−(Ge
Sb2Te4)など、Cr−Ge−Sb−Te系で組成比の
異なる材料が書き換え可能回数の低下が生じにくい。こ
れ以外の組成比Cr−Ge−Sb−Te系でもよい。
【0056】次いで、Ag−Ge−Sb−Te,Co−
Ge−Sb−Te,V−Ge−Sb−Te、などでも同
様の結果が得られた。
【0057】さらに、上記以外のGe2Sb2Te5,G
eSb2Te4,GeSb4Te7, In3SbTe2,I
35Sb32Te33,In31Sb26Te43,GeTe,A
g−In−Sb−Te,Ni−Ge−Sb−Te,Pt
−Ge−Sb−Te,Si−Ge−Sb−Te,Au−
Ge−Sb−Te,Cu−Ge−Sb−Te,Mo−G
e−Sb−Te,Mn−Ge−Sb−Te,Fe−Ge
−Sb−Te,Ti−Ge−Sb−Te,Bi−Ge−
Sb−Te、およびこれらに近い組成のうちの少なくと
も一つで置き換えても、Geの一部をInに置き換えて
も、これに近い特性が得られる。
【0058】Ge−Sb−Te系に高融点成分を添加し
た記録膜が書き換え可能回数の低下が生じにくい。前記
情報記録媒体において、前記記録層の全原子数の95%
以上の組成がLを相変化成分,Hを高融点成分としたと
き、(L)1-s(H)s で表され、かつ0.02≦s≦0.2
0を満たすと、記録消去特性も良好でかつ書き換え可能
回数の低下が生じにくいため、より好ましい。
【0059】(25)保護層および中間層材料としては
(ZnS)80(SiO2)20,ZnSとSiO2の混合比を
換えたもの、Si−N系材料,Si−O−N系材料,S
iO2,SiO,Ta25,TiO2,Al23,Y
23,CeO,La23,In23,GeO,GeO2
PbO,SnO,SnO2,Bi23,TeO2,W
2,WO5,Sc23,ZrOなどの酸化物,TaN,
AlN,Si34,Al−Si−N系材料(例えばAl
SiN2)などの窒化物,ZnS,Sb23,CdS,
In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi2
3 などの硫化物,SnSe2,Sb2Se3,CdS
e,ZnSe,In2Se3,Ga2Se3, GeS
e,GeSe2,SnSe2,PbSe,Bi2Se など
のセレン化物,CeF3,MgF2,CaF2などの弗化
物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,B,C、ま
たは、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。ま
た、これらの混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0060】中間層の膜厚は60nm以下または、18
0nm以上,240nm以下が好ましい。0nmの場
合、すなわち中間層を省略することもでき、この場合は
1層少なくなるため、情報記録媒体の作製が容易にな
る。180nm以上,240nm以下の範囲では、記録
感度がよくなる利点はあるが、記録膜流動はうすい場合
に比べて起こりやすくなる。記録膜の流動を抑えるため
には、60nm以下とすることが好ましい。また、25
nm以下では、記録膜が温度上昇した際、より熱が反射
層側に逃げやすい構造となるため、記録膜の流動を抑え
やすいという利点があり、より好ましい。
【0061】保護層の膜厚は50nm以上,300nm
以下が好ましい。70nm以上,130nm以下の範囲
では、読み出しレーザ波長が短波長化した場合に良好な
読み出し特性が得られるため、より好ましい。
【0062】(26)基板材料としては、ポリカーボネ
ート,ポリオレフィン,エポキシ,アクリル樹脂,紫外
線硬化樹脂層を表面に形成した化学強化ガラスなどを用
いてもよい。また、連続溝サーボフォーマットの基板だ
けでなく、サンプルサーボフォーマットの凹凸を形成し
た基板など、他のフォーマットによる基板でもよい。基
板サイズも13cm以外に、12cm,3.5インチ,2.5
インチ、それ以外のサイズを用いてもよい。
【0063】構成は、まったく同様の方法により、二つ
のディスク部材を作製し、接着剤層を介して、第1およ
び第2のディスク部材の反射層5,5′同士を貼り合わ
せてもよいし、第2のディスク部材の代わりに別の構成
のディスク部材、または保護用の基板などを用いてもよ
い。
【0064】また、超解像再生ディスクでは、表面に直
接、凹凸で情報が記録された基板、それ以外にポリオレ
フィン,エポキシ,アクリル樹脂,紫外線硬化樹脂層を
表面に形成した化学強化ガラスなどを用いてもよい。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって詳
細に説明する。
【0066】[実施例1] (構成・製法)図1は、本発明の第1実施例の情報記録
媒体の断面構造を示す。この媒体は次のようにして製作
された。
【0067】まず、直径13cm,厚さ1.2mm で表面に
連続溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つ連続溝フ
ォーマットのポリカーボネート基板1を形成した。次
に、この基板1上に薄膜を順次形成するため、基板1を
マグネトロン・スパッタリング装置内に置いた。この装
置は複数のターゲットを持ち、積層膜を順次形成するこ
とができるものである。また、形成される膜の厚さの均
一性および再現性に優れている。基板1上にまず(Zn
S)80(SiO2)20膜よりなる保護層2を膜厚約110n
mとなるように形成した。続いて、保護層2上に、(C
4Te5)7(Ge2Sb2Te5)93 記録膜3を膜厚約35
nmまで形成した。次に、記録膜3上に、(ZnS)
80(SiO2)20膜よりなる中間層4を約20nmの膜厚
まで形成した後、その上に同じスパッタリング装置内で
Si膜よりなる第1反射層5を膜厚88nm,続いてW
膜よりなる拡散防止層6を膜厚7nm,Al97Ti3
よりなる第2反射層7を膜厚200nmまで形成した。
こうして、第1のディスク部材を得た。
【0068】第1のディスク部材と基板1と同様の材料
からなる直径13cm,厚さ1.2mmの基板1′を第2反
射層7を接着剤層8を介して貼り合わせ、図1に示すデ
ィスク状情報記録媒体を得た。
【0069】(初期結晶化)このようにして製作した媒
体の記録膜3,3′に、日立コンピュータ機器製高速初
期結晶化機を用い、初期結晶化を行った。なお、記録膜
3′についてもまったく同様であるから、以下の説明で
は記録膜3についてのみ述べることとする。
【0070】この他にも、高速初期結晶化機を用いずに
図6にブロック図を示した記録再生装置を用いても初期
結晶化をすることができる。媒体を線速7m/sで回転
させ、半導体レーザ(波長680nm)のレーザ光パワ
ーを記録が行われないレベル(約1mW)に保ち、その
レーザ光を記録ヘッド中の開口数(NA)が0.55のレ
ンズで集光し、基板1を通して記録膜3に照射した。記
録膜3からの反射光を検出して、基板1のトラッキング
溝の中心にレーザ光スポットの中心が常に一致するよう
にトラッキングを行うと共に、記録膜3上にレーザ光の
焦点が来るように、自動焦点合わせを行いながら記録ヘ
ッドを駆動した。そして、初期結晶化のため、記録膜3
の同一記録トラック上に、パワー14mWの連続レーザ
光をそれぞれ10回照射した。最後に、パワー7mWの
連続(DC)レーザ光を10回照射した。各回の照射時
間(光スポット通過時間)は、約0.1μsecである。
【0071】このように、パワーの異なるレーザ光を照
射すると、初期結晶化を充分に行うことができる。
【0072】これらのレーザ光照射は、半導体レーザ・
アレイを用いて行うか、ガスレーザからの光ビームを複
数に分割したもの、あるいは高出力ガスレーザや半導体
レーザからの光ビームのスポット形状を媒体の半径方向
に長い長円形にしたものを用いて行えば、さらに好まし
い。こうすると、媒体を少数回転させるだけで初期結晶
化を完了することも可能となる。
【0073】複数のレーザ光スポットを用いる場合、そ
れらレーザ光スポットを同一の記録トラック上に配置せ
ず、媒体の半径方向に位置を少しずつズラして配置すれ
ば、1回の照射で広い範囲を初期化することができる,
消え残りが少なくなる、などの効果が得られる。
【0074】(記録・消去)次に、以上のようにして初
期結晶化が完了した記録膜3の記録領域に、前記と同様
にしてトラッキングと自動焦点合わせを行いながら、記
録用レーザ光のパワーを中間パワーレベル(7mW)と
高パワーレベル(14mW)との間で変化させて情報の
記録を行った。記録すべき部分を通り過ぎると、レーザ
光パワーを再生(読み出し)用レーザ光の低パワーレベ
ル(1mW)に下げるようにした。記録用レーザ光によ
り記録領域に形成される非晶質またはそれに近い部分
が、記録点となる。
【0075】記録用レーザ光の高レベルと中間レベルと
のパワー比は1:0.3〜1:0.8の範囲が特に好まし
い。また、この他に、短時間ずつ他のパワーレベルにし
てもよい。
【0076】このような記録方法では、既に情報が記録
されている部分に対して直接、新たな情報を記録すれ
ば、新たな情報に書き換えられる。すなわち、単一の円
形光スポットによるオーバーライトが可能である。
【0077】しかし、書き換え時の最初の1回転または
複数回転で、前記のパワー変調した記録用レーザ光の中
間パワーレベル(7mW)に近いパワー(例えば8m
W)の連続光を照射して、記録されている情報をいった
ん消去し、その後、次の1回転で再生(読み出し)用レ
ーザ光の低パワーレベル(1mW)と記録用レーザ光の
高パワーレベル(14mW)の間で、または、記録用レ
ーザ光の中間パワーレベル(7mW)と高パワーレベル
(14mW)の間で、情報信号に従ってパワー変調した
レーザ光を照射して記録するようにしてもよい。このよ
うに、情報を消去してから記録するようにすれば、前に
書かれていた情報の消え残りが少なく、高い搬送波対雑
音比(C/N)が得られる。
【0078】この方法は、この発明の記録膜ばかりでな
く他の記録膜にも有効である。
【0079】なお、このディスクにおいて中間層4を省
略した場合、前記よりも1桁少ない回数の書き換えでC
/Nの低下が生じた。しかし、従来構造ディスクにおい
て中間層4を省略した場合に比べて、C/Nの低下は少
なかった。中間層を省略した場合、作製プロセスが1段
階減るため、作製時間の短縮につながる点で好ましい。
【0080】(拡散防止層の効果)図2に従来構造ディ
スクの断面図を示した。このディスクは、Si膜よりな
る第1反射層5と、Al97Ti3膜よりなる第2反射層
7が直接積層されている。通常の記録・消去および超解
像再生特性は図1の本実施例に示すディスクと同様に良
好である。
【0081】しかし、両者をレーザ光のパワーを最適値
より15%高くした厳しい条件で、記録・消去を105
回以上繰り返した時には、本実施例ディスクでは、表1
のように従来構造ディスクに比べてC/Nの低下を少な
くすることが可能であった。
【0082】
【表1】
【0083】これは、従来ディスクでは、多数回書き換
え時に第1反射層5と第2反射層の間で層材料が拡散、
または反応し熱伝導度や光学定数に変化が生じてC/N
が低下していたのを、本実施例ディスクでは、拡散防止
層を設けることにより防止できたためと考えられる。
【0084】(拡散防止層材料:高融点無機化合物,合
金材料など)本実施例で拡散防止層6に用いたWの代わ
りの材料としては、Wを主成分とする合金,化合物が拡
散・反応防止効果が大きく好ましい。次にMo,Cr,
Ti,V,Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,C
u、またはこれらを主成分とする合金,化合物が拡散・
反応防止効果が大きく好ましい。
【0085】それ以外に、SiO2 ,Si−N系材料,
Al−Si,Al−Si−N(例えばAlSiN2)、
または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。
【0086】さらに、B,C,Ag,Rh,Ir,O
s,Re,Ta,Hf,Ac,Y,Zr,Sc,Be,
Si,Sn、これらを主成分とする合金,化合物でもよ
い。
【0087】(ZnS)80(SiO2)20、これのZnSと
SiOの混合比を換えたもの、Si−O−N系材料,S
iO,Ta25,TiO2,Al23,Y23,Ce
O,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,
SnO,SnO2,Bi23,TeO2,WO2,WO5
Sc23,ZrOなどの酸化物,TaN,AlN,Si
34系材料などの窒化物,ZnS,Sb23,CdS,
In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi2
3などの硫化物,SnSe2,Sb2Se3,CdSe,
ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeS
2,SnSe2,PbSe,Bi2Seなどのセレン化
物,CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるい
はSi,Ge,TiB2,B4C,B,C、または、上記
の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これら
の混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0088】また、拡散防止層6材料にW,Be,N
i,Cu,Au,Pt,Ag,Zn,電解鉄,黄銅(C
70Zn30),ジュラルミン,ステンレススチール,溶
融石英または、強度が大きい材料を使用すると、記録時
の記録膜流動が起こりにくくなるため、書き換え可能回
数が大きくなるという利点がある。
【0089】拡散防止層6の膜厚は平均膜厚で、1nm
以上が好ましい。拡散防止効果を大きくする点から3n
m以上,記録再生特性を良好にする点から10nm以下
がより好ましい。
【0090】(拡散防止層の製法−2)拡散防止層6は
前記拡散防止層材料組成のスパッタリングターゲットを
使用する方法の他の方法で形成してもよい。
【0091】拡散防止層6はマグネトロン・スパッタリ
ング装置でスパッタガスに反応ガスを混入させて反応性
スパッタリング,スパッタリングにて形成してもよい。
Ar,Xeなど、希ガスを主成分とするスパッタ雰囲気
ガスに少なくとも1%以上の窒素,酸素,塩素,弗素,
硫化水素,四塩化炭素,水素,沃素の少なくとも1種を
混入した混合したガスを使用した。それぞれ、窒素を混
入した場合は窒化物,酸素を混入した場合は酸化物、と
いうように混入したガスの化合物が形成された。この製
法はガス成分を制御しなくてはならないが、拡散防止層
専用ターゲットが不要となる点で好ましい。
【0092】これらの拡散防止層の形成は、前記第1反
射層の積層最終過程および/または積層後に行ってもよ
いし、前記第2反射層の積層最初過程および/または積
層前に行ってもよい。また、拡散防止層6は、第1反射
層と第2反射層を形成する過程において連続的に組成を
変化させることによって形成してもよい。
【0093】(拡散防止層の製法−3)さらに、第1反
射層を形成した後に第1反射層の界面部を弗酸,硝酸,
過酸化水素水,炭酸,硫酸,塩酸などの溶液またはこれ
らの溶液の蒸気,セレン化水素に曝すことにより、弗
化,窒化,酸化,炭化,硫化,弗化以外のハロゲン化,
セレン化処理を行うことにより、形成してもよい。
【0094】(拡散防止層の製法−4)また、第1反射
層と第2反射層を積層する間の過程において、少なくと
もどちらか一つの層の界面を反応防止処理または拡散防
止処理の少なくともどちらかの処理を行うことにより形
成してもよい。
【0095】(拡散防止層の製法−5)前記第1反射層
の積層最終過程および/または積層後に、第1反射層と
弗化物,窒化物,酸化物,炭化物,硫化物,セレン化
物,弗化物以外のハロゲン化物,炭素,硫黄,セレンの
いずれが一つ以上のターゲットを原料とし2ターゲット
の同時スパッタリングにより膜形成することにより拡散
防止層を形成してもよい。前記第2反射層の積層最初過
程および/または積層前に、第2反射層と弗化物,窒化
物,酸化物,炭化物,硫化物,セレン化物,弗化物以外
のハロゲン化物,炭素,硫黄,セレンのいずれか一つ以
上のターゲットを原料とし2ターゲットの同時スパッタ
リングにより膜形成することにより拡散防止層を形成し
てもよい。
【0096】(第1反射層材料)この実施例で第1反射
層5に用いたSiの代わりの、第1反射層の材料として
Si−Ge混合材料が、記録マーク部分の光吸収率を記
録マーク以外の部分の光吸収率より小さくできるので、
光吸収率差による消え残りを防止でき、さらに書き換え
可能回数が低下しない。Geの含有量は10原子%以
上,80原子%以下が書き換え可能回数の低下が生じに
くい。
【0097】次いで、Si−N,Si−Sn,Si−A
u、またはSi−In混合材料、あるいはこれら混合材
料の2種以上の混合材料でも同様の結果が得られた。こ
れらの反射層材料は、本発明の相変化膜ばかりでなく、
他の相変化膜を用いる場合の反射層材料として用いて
も、従来の反射層材料に比べて書き換え可能回数が低下
しない。Siに添加する元素の含有量は3原子%以上,
50原子%以下が書き換え可能回数の低下が生じにく
い。
【0098】さらに、上記以外のSi,Ge含有混合材
料,屈折率が大きくて消衰係数が小さい材料よりなる層
を用いてもよいし、それらの相よりなる多重層を用いて
もよいし、これらの酸化物などの他の物質との複合層な
どを用いてもよい。Geも使用可能である。その他、各
種窒化物,硫化物,セレン化物も使用可能である。
【0099】また、読み出し波長における、第1反射層
材料の屈折率nと消衰係数kがn≧2となる材料がより
好ましく、n≧2かつ2≧kとなる材料が特に好まし
い。
【0100】また、それらの層よりなる多重層を用いて
もよいし、これらとSiOなど酸化物などの他の物質と
の複合層などを用いてもよい。この時の、第1反射層と
第2反射層の屈折率nの差は2以上が好ましい。
【0101】(第2反射層材料)本実施例で第2反射層
6に用いたAl−Tiの代わりの第2反射層の材料とし
ては、Al−Ti,Al−Ag,Al−Cu,Al−C
rなどAl合金を主成分とするものが好ましい。Alも
使用可能である。Al合金以外の材料も使用可能であ
る。
【0102】Al合金の場合、Alの含有量は50原子
%以上,99.9 原子%以下が熱伝導率を大きくでき、
書き換え可能回数の低下が生じにくい。
【0103】また、Sb−Bi,Au,Ag,Cu,A
l,Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,
Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,V
の元素単体、またはこれらを主成分とする合金、あるい
はこれら同士の合金よりなる層を用いてもよいし、それ
らの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化
物などの他の物質との複合層などを用いてもよい。第1
反射層と屈折率および消衰係数が異なる材料であれば、
Si,Ge,Sn,Inを主成分とする合金、あるいは
これらと上記元素同士の合金よりなる層を用いてもよい
し、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これ
らと酸化物などの他の物質との複合層などを用いてもよ
い。
【0104】この中で、Cu合金,Al合金などのよう
に、熱伝導率が大きいものは、ディスク構造が急冷構造
となり、多数回書き換えによる反射率変動が生じにく
い。また、Sb−Bi,Dyなどのように熱伝導率が小
さいものは、保温されやすくなるため、記録感度がよく
なるという利点がある。
【0105】第2反射層の膜厚は0nmでもよいが、5
nm以上が好ましい。強度を大きくする点から30nm
以上,作製時間を少なくする点から300nm以下がよ
り好ましい。
【0106】(第1反射層と第2反射層の組み合わせ−
1)第1反射層と第2反射層の組み合わせとしては、第
1反射層がSi,Si−Ge混合材料,Si−N,Si
−Sn,Si−Au、またはSi−In混合材料の少な
くとも一つ、またはこれに近い組成であるか、第2反射
層がAl−Ti,Al−Ag,Al−Cu,Al−Cr
などAl合金を主成分とするもの、Al,Cu,Cu合
金,Au,Au合金,Ag,Ag合金,Mo,Mo合
金,Ta,Ta合金,W,W合金,Co,Co合金,P
t,Pt合金の少なくとも一つ、またはこれに近い組成
であることが書き換え可能回数が大きく、好ましい。こ
のように、第1反射層材料,第2反射層材料については
本実施例に述べた材料が使用できるが、これらの組み合
わせを選ぶことによって、書き換え特性が向上すること
がわかった。
【0107】(第1反射層と第2反射層の組み合わせ−
2)第1反射層と第2反射層の組み合わせとしては、第
1反射層が、消衰係数kが4以下である材料からなり、
かつ、前記第2反射層は消衰係数が第1反射層より大き
く、熱伝導率が100W/m・k以上である材料からな
ると、吸収率を適当に保つことができ、また記録時の記
録膜の温度を適当に保つことができるため好ましい。
【0108】(第1反射層と第2反射層の組み合わせ−
3)第1反射層と第2反射層の組み合わせを、次のよう
に選ぶと、非晶質状態と結晶状態の吸収率制御がしやす
いため、好ましい。
【0109】第1反射層材料としては、Mo,Ni,F
e,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Co,Sb,
Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、または
これらを主成分とする合金、あるいはこれら同士の合金
よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重
層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質と
の複合層などを用いてもよい。消衰係数が4以下である
材料を用いることにより,結晶状態の吸収率より非晶質
状態の吸収率が大きい場合に、吸収率差を小さくでき、
書き換え時の消え残りを小さくできた。
【0110】この中で、Mo,W,Ta,Mo合金,W
合金,Ta合金などは反応性が低く、多数回のレーザ照
射によって、第2反射層材料と反応して特性が変化する
恐れがないため、書き換え特性がよいという利点があ
る。
【0111】また、Cr4Te5,Cr−Te,Cr−S
b,Cr−Ge,Co−Sb,Co−Te,Co−G
e,Cu−Te,Cu−Sb,Mn−Te,Mn−S
b,V−Ge,Ni−Ge,Mo−Ge,W−Teの組
み合わせよりなる化合物,混合物よりなる群より選ばれ
た少なくとも一つ、またはこれに近い組成の材料を用い
てもよい。これらの材料は高融点であり、第2反射層材
料と反応して特性が変化する恐れがないため、書き換え
特性がよいという利点がある。
【0112】第1反射層と第2反射層の組み合わせとし
ては、前記第1反射層がAl−Ti,Al−Ag,Al
−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とするもの、
Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,Ag,Ag合
金、Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,W合金,C
o,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも一つ、また
はこれに近い組成であるか、あるいは前記第2反射層が
Si,Si−Ge混合材料,Si−N,Si−Sn,S
i−Au、またはSi−In混合材料の少なくとも一
つ、またはこれに近い組成である材料からなると、吸収
率を適当に保つことができるため好ましい。
【0113】第1反射層の膜厚は30nm以下の範囲に
選ぶと、吸収率制御ができ、好ましい。さらに薄く、約
15nm以下の範囲に膜厚を選ぶと、より好ましい。
【0114】第2反射層としては、Al,Cu,Au,
Cu合金,Al合金,Au合金などのように、熱伝導率
が大きいものが、ディスク構造が急冷構造となり、多数
回書き換えによる反射率変動が生じにくいため、好まし
い。この場合の熱伝導率は100W/m・k以上である
と、書き換え回数が大きくなるため好ましく、230W/
m・k以上にすると書き換え回数が2倍になるため好ま
しい。さらに、Au単体にくらべ、Au−Ag,Au−
Co,Au−AlなどのAu合金は接着力が大きくなる
という利点があり好ましい。
【0115】この他、第1反射層より消衰係数が大きい
材料であれば、Ag、Ni,Fe,Cr,Ti,Pd,
Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,M
n,Mg,Vの元素単体、または、Ag合金,Cu合
金,Al合金,Pd合金,Pt合金,Ni合金,Mn合
金,Sb−Bi化合物などこれらを主成分とする合金、
あるいはこれら同士の合金よりなる層を用いてもよい
し、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これ
らと酸化物などの他の物質との複合層などを用いてもよ
い。Si,Ge,Sn,Inを主成分とする合金、ある
いはこれらと上記元素同士の合金よりなる層を用いても
よいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、
これらと酸化物などの他の物質との複合層などを用いて
もよい。
【0116】第2反射層の膜厚は0nmでもよいが、5
nm以上が好ましい。強度を大きくする点から30nm
以上,作製時間を少なくする点から300nm以下がよ
り好ましい。
【0117】(記録膜の材料)本実施例では、記録膜3
を(Cr4Te5)7(Ge2Sb2Te5)93 により形成して
いるが、これに代えてCr4Te5とGe2Sb2Te5
混合比を換えたもの、(Cr4Te5)−(GeSb4
7),(Cr4Te5)−(GeSb2Te4)などCr−
Ge−Sb−Te系で組成比の異なる材料が書き換え可
能回数の低下が生じにくい。これ以外の組成比Cr−G
e−Sb−Te系でもよい。
【0118】次いで、Ag−Ge−Sb−Te,Co−
Ge−Sb−Te,V−Ge−Sb−Teなどでも同様
の結果が得られた。
【0119】さらに、上記以外のGe2Sb2Te5,G
eSb2Te4,GeSb4Te7, In3SbTe2,I
35Sb32Te33,In31Sb26Te43,GeTe,A
g−In−Sb−Te,Ni−Ge−Sb−Te,Pt
−Ge−Sb−Te,Si−Ge−Sb−Te,Au−
Ge−Sb−Te,Cu−Ge−Sb−Te,Mo−G
e−Sb−Te,Mn−Ge−Sb−Te,Fe−Ge
−Sb−Te,Ti−Ge−Sb−Te,Bi−Ge−
Sb−Te、およびこれらに近い組成のうちの少なくと
も一つで置き換えても、Geの一部をInに置き換えて
も、これに近い特性が得られる。
【0120】Ge−Sb−Te系に高融点成分を添加し
た記録膜が書き換え可能回数の低下が生じにくい。前記
情報記録媒体において、前記記録層の全原子数の95%
以上の組成がLを相変化成分,Hを高融点成分としたと
き、 (L)1-s(H)s で表され、かつ0.02≦s≦0.20を満たすと、記録
消去特性も良好でかつ書き換え可能回数の低下が生じに
くいため、より好ましい。
【0121】(保護層,中間層材料)本実施例では、保
護層2および中間層4を(ZnS)80(SiO2)20により
形成しているが、これに代えて、ZnSとSiO2 の混
合比を換えたもの、Si−N系材料,Si−O−N系材
料,SiO2,SiO,Ta25,TiO2,Al23
23,CeO,La23,In23,GeO,GeO
2,PbO,SnO,SnO2,Bi23,TeO2,W
2,WO5,Sc23,ZrOなどの酸化物,TaN,
AlN,Si34,Al−Si−N系材料(例えばAl
SiN2)などの窒化物,ZnS,Sb23,CdS,
In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi2
3などの硫化物,SnSe2,Sb2Se3,CdSe,
ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeS
2,SnSe2,PbSe,Bi2Se などのセレン化
物,CeF3,MgF2,CaF2 どの弗化物、あるいは
Si,Ge,TiB2,B4C,B,C、または、上記の
材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これらの
混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0122】中間層の膜厚は60nm以下または、18
0nm以上,240nm以下が好ましい。0nmの場
合、すなわち中間層を省略することもでき、この場合は
1層少なくなるため、情報記録媒体の作製が容易にな
る。180nm以上,240nm以下の範囲では、記録
感度がよくなる利点はあるが、記録膜流動はうすい場合
に比べて起こりやすくなる。記録膜の流動を抑えるため
には、60nm以下とすることが好ましい。また、25
nm以下では、記録膜が温度上昇した際、より熱が反射
層側に逃げやすい構造となるため、記録膜の流動を抑え
やすいという利点があり、より好ましい。
【0123】保護層の膜厚は50nm以上,300nm
以下が好ましい。70nm以上,130nm以下の範囲
では、読み出しレーザ波長が短波長化した場合に良好な
読み出し特性が得られるため、より好ましい。
【0124】(基板材料,構造など)本実施例では、表
面に直接、連続溝によるトラッキングガイドの凹凸を持
つ連続溝サーボフォーマットの基板1を用いているが、
その代わりに、ポリオレフィン,エポキシ,アクリル樹
脂,紫外線硬化樹脂層を表面に形成した化学強化ガラス
などを用いてもよい。また、連続溝サーボフォーマット
の基板だけでなく、サンプルサーボフォーマットの凹凸
を形成したポリカーボネート基板など、他のフォーマッ
トによる基板でもよい。基板サイズも13cm以外に、1
2cm,3.5 インチ,2.5 インチ、それ以外のサイズ
を用いてもよい。
【0125】本実施例では、まったく同様の方法によ
り、二つのディスク部材を作製し、接着剤層を介して、
前記第1および第2のディスク部材の反射層5,5′同
士を貼り合わせているが、第2のディスク部材の代わり
に別の構成のディスク部材、または保護用の基板などを
用いてもよい。
【0126】[実施例2] (構成・製法)図3は、この発明の第2実施例の情報記
録媒体の断面構造を示す。この媒体は次のようにして製
作された。
【0127】まず、直径13cm,厚さ1.2 mmで表面に
凹凸で情報が記録された、ポリカーボネート基板9を形
成した。次に、この基板上に薄膜を順次形成するため、
基板9をマグネトロン・スパッタリング装置内に置い
た。この装置は複数のターゲットを持ち、積層膜を順次
形成することができるものである。また、形成される膜
の厚さの均一性および再現性に優れている。基板9上に
まず(ZnS)80(SiO2)20膜よりなる保護層2を膜厚
約110nmとなるように形成した。続いて、保護層2
上に、(Cr4Te5)7(Ge2Sb2Te5)93 超解像読み
出し層10を膜厚約35nmまで形成した。次に、超解
像読み出し層10上に、(ZnS)80(SiO2)20膜より
なる中間層4を約20nmの膜厚まで形成した後、その
上に同じスパッタリング装置内でSi膜よりなる第1反
射層5を膜厚88nm、続いてW膜よりなる拡散防止層
6を膜厚7nm,Al97Ti3 膜よりなる第2反射層7
を膜厚200nmまで形成した。こうして、第1のディ
スク部材を得た。
【0128】第1のディスク部材と基板9と同様の材料
からなる直径13cm,厚さ1.2 mmの基板1′を第2反
射層7,7′を接着剤層8を介して貼り合わせ、図3に
示すディスク状情報記録媒体を得た。
【0129】(初期結晶化)前記のようにして製作した
媒体の超解像読み出し層10,10′に、日立コンピュ
ータ機器製高速初期結晶化機を用い、初期結晶化を行っ
た。なお、超解像読み出し層10′についてもまったく
同様であるから、以下の説明では超解像読み出し層10
についてのみ述べることとする。
【0130】この他にも、高速初期結晶化機を用いずに
記録再生装置を用いても初期結晶化をすることができ
る。媒体を線速7m/sで回転させ、半導体レーザ(波
長680nm)のレーザ光パワーを記録が行われないレベ
ル(約1mW)に保ち、そのレーザ光を記録ヘッド中の
開口数(NA)が0.55のレンズで集光し、基板9を通
して超解像読み出し層10に照射した。超解像読み出し
層10からの反射光を検出して、基板9のトラッキング
溝の中心にレーザ光スポットの中心が常に一致するよう
にトラッキングを行うと共に、超解像読み出し層10上
にレーザ光の焦点が来るように、自動焦点合わせを行い
ながら超解像再生ヘッドを駆動した。超解像再生ヘッド
は実施例1に示した記録ヘッドと同様である。そして、
初期結晶化のため、超解像読み出し層10の同一記録ト
ラック上に、パワー14mWの連続レーザ光をそれぞれ
10回照射した。最後に、パワー7mWの連続(DC)
レーザ光を10回照射した。各回の照射時間(光スポッ
ト通過時間)は、約0.1μsecである。
【0131】このように、パワーの異なるレーザ光を照
射すると、初期結晶化を充分に行うことができる。
【0132】これらのレーザ光照射は、半導体レーザ・
アレイを用いて行うか、ガスレーザからの光ビームを複
数に分割したもの、あるいは高出力ガスレーザや半導体
レーザからの光ビームのスポット形状を媒体の半径方向
に長い長円形にしたものを用いて行えば、さらに好まし
い。こうすると、媒体を少数回転させるだけで初期結晶
化を完了することも可能となる。
【0133】複数のレーザ光スポットを用いる場合、そ
れらレーザ光スポットを同一の記録トラック上に配置せ
ず、媒体の半径方向に位置を少しずつズラして配置すれ
ば、1回の照射で広い範囲を初期化することができる,
消え残りが少なくなる、などの効果が得られる。
【0134】(超解像再生)次に、以上のようにして初
期結晶化が完了した超解像読み出し層10の記録領域
に、前記と同様にしてトラッキングと自動焦点合わせを
行いながら、超解像再生用レーザ光を高パワーレベル
(12mW)で照射して情報の超解像再生を行った。情
報が記録された部分を通り過ぎると、レーザ光パワーを
トラッキング用レーザ光の低パワーレベル(1mW)に
下げるようにした。超解像再生後は、記録領域は非晶質
または結晶またはそれらに近い部分が形成される。非晶
質またはそれに近い状態の場合は、次回の超解像再生の
前に初期結晶化を行う。この初期結晶化は必ずしも高速
初期結晶化機で行う必要はなく、レーザ光パワーを中間
パワーレベル(6mW)にして照射すればよい。
【0135】上記の高レベルと中間レベルとのパワー比
は1:0.3〜1:0.8の範囲が特に好ましい。また、
この他に、短時間ずつ他のパワーレベルにしてもよい。
【0136】なお、このディスクにおいて中間層4を省
略した場合、中間層を省略しない場合よりも1桁少ない
回数の書き換えでC/Nの低下が生じた。しかし、従来
構造ディスクにおいて中間層4を省略した場合に比べ
て、C/Nの低下は少なかった。中間層を省略した場
合、作製プロセスのが1段階減るため、作製時間の短縮
につながる点で好ましい。
【0137】(拡散防止層の効果)図4に従来構造ディ
スクの断面図を示した。このディスクは、Si膜よりな
る第1反射層5と、Al97Ti3 膜よりなる第2反射層
7が直接積層されている。通常の超解像再生特性は図3
の本実施例に示すディスクと同様に良好である。
【0138】しかし、両者をレーザ光のパワーを最適値
より15%高くした厳しい条件で、超解像再生を104
回以上繰り返した時には、本実施例ディスクでは、表2
のように従来構造ディスクに比べてC/Nの低下を少な
くすることが可能であった。
【0139】
【表2】
【0140】これは、従来ディスクでは、多数回の超解
像再生時に第1反射層5と第2反射層の間で層材料が拡
散、または反応し熱伝導度や光学定数に変化が生じてC
/Nが低下していたのを、本実施例ディスクでは、拡散
防止層を設けることにより防止できたためと考えられ
る。
【0141】(超解像読み出し層の材料)実施例1に記
載した記録膜材料と同様である。
【0142】(基板材料,構造など)本実施例では、表
面に直接、凹凸で情報が記録された基板9を用いている
が、その代わりに、ポリオレフィン,エポキシ,アクリ
ル樹脂,紫外線硬化樹脂層を表面に形成した化学強化ガ
ラスなどを用いてもよい。基板サイズも13cm以外に、
12cm,3.5インチ,2.5インチ、それ以外のサイズ
を用いてもよい。
【0143】本実施例では、まったく同様の方法によ
り、二つのディスク部材を作製し、接着剤層を介して、
前記第1および第2のディスク部材の第2反射層7,
7′同士を貼り合わせているが、第2のディスク部材の
代わりに別の構成のディスク部材、または保護用の基板
などを用いてもよい。
【0144】(書き換え可能,超解像再生型ディスク)
また、凹凸で情報が記録された基板9の代わりに、図5
に示したように、実施例1に記載した基板1と同様の連
続溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つ連続溝サー
ボフォーマットの基板1,保護層11,記録膜12を使
用したディスク構成としてもよい。この場合も、拡散防
止層6を設けない場合に比べ、超解像再生回数が向上し
ている。
【0145】本実施例に記載していない事項は実施例1
と同様である。
【0146】
【発明の効果】従来ディスクでは、多数回の超解像再生
時に第1反射層と第2反射層の間で層材料が拡散、また
は反応し熱伝導度や光学定数に変化が生じてC/Nが低
下していたのを、本発明のディスクでは、拡散防止層を
設けることにより防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の情報記録媒体の断面図。
【図2】従来の情報記録媒体の断面図。
【図3】本発明の第2実施例の情報記録媒体の断面図。
【図4】第2実施例と比較用の従来の情報記録媒体の断
面図。
【図5】本発明の第2実施例の情報記録媒体で書き換え
可能な超解像再生用ディスクの断面図。
【図6】本発明の装置のブロック図。
【符号の説明】
1,1′…ポリカーボネート基板、2,2′…保護層、
3,3′…記録膜、4,4′…中間層、5,5′…第1
反射層、6,6′…拡散防止層、7,7′…第2反射
層、8…接着剤層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 靖 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に直接または下地層を介して形成さ
    れた、エネルギビームの照射を受けて生じる原子配列変
    化によって情報を記録および/または再生する情報記録
    用薄膜を記録層または超解像読み出し用のマスク層とし
    て備え、かつ保護層を備え、複数層の反射層を備え、上
    記反射層間の界面のうち少なくとも1界面に拡散防止層
    を備えた情報記録媒体。
  2. 【請求項2】複数層の上記反射層が読み出しレーザ波長
    における屈折率または消衰係数の少なくとも一方が相互
    に異なる材料よりなる第1反射層,第2反射層とその間
    の拡散防止層からなる請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 【請求項3】上記各層が基板上に、光入射側から保護
    層,記録層または超解像読み出し用のマスク層の順に積
    層され、その次に直接または中間層を介して第1反射
    層,拡散防止層,第2反射層の順に積層された構造を持
    つ請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 【請求項4】上記拡散防止層がW,Mo,Cr,Ti,
    V,Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Al
    −Si,Al−Si−N,SiO2 ,Si−N、または
    これらを主成分とする合金,化合物,混合材料の少なく
    とも一つ、またはこれに近い組成である請求項1に記載
    の情報記録媒体。
  5. 【請求項5】上記第1反射層の積層最終過程および/ま
    たは積層後に、第1反射層材料を弗化,窒化,酸化,炭
    化,硫化,セレン化,弗化以外のハロゲン化処理を行う
    ことにより形成された請求項1に記載の情報記録媒体。
  6. 【請求項6】上記第1反射層の積層最終過程および/ま
    たは積層後に、第1反射層形成時の雰囲気ガスに少なく
    とも1%以上の窒素,酸素,塩素,弗素,硫化水素,四
    塩化炭素,水素,沃素の少なくとも1種を混入した混合
    したガスを使用して第1反射層材料を積層することによ
    り拡散防止層を形成した請求項1に記載の情報記録媒
    体。
  7. 【請求項7】上記第2反射層の積層最初過程および/ま
    たは積層前に、第2反射層形成時の雰囲気ガスに少なく
    とも1%以上の窒素,酸素,塩素,弗素,硫化水素,四
    塩化炭素,水素,沃素の少なくとも1種を混入した混合
    したガスを使用して第2反射層材料を積層することによ
    り拡散防止層を形成した請求項1に記載の情報記録媒
    体。
  8. 【請求項8】上記第2反射層の積層最初過程および/ま
    たは積層前に、第2反射層材料を弗化,窒化,酸化,炭
    化,硫化,セレン化,弗化以外のハロゲン化処理を行う
    ことにより形成された請求項1に記載の情報記録媒体。
  9. 【請求項9】上記拡散防止層が第1反射層と第2反射層
    を積層する間の過程において、少なくともどちらか一つ
    の層の界面を反応防止処理または拡散防止処理の少なく
    ともどちらか一つの処理を行うことにより形成された請
    求項1に記載の情報記録媒体。
  10. 【請求項10】上記記録膜上に上記第1反射層が直接積
    層された請求項1に記載の情報記録媒体。
  11. 【請求項11】上記第1反射層がSi,Si−Ge混合
    材料,Si−N,Si−Sn,Si−Au、またはSi
    −In混合材料の少なくとも一つ、またはこれに近い組
    成であるか、あるいは上記第2反射層がAl−Ti,A
    l−Ag,Al−Cu,Al−CrなどAl合金を主成
    分とするもの、Al,Cu,Cu合金,Au,Au合
    金,Ag,Ag合金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合
    金,W,W合金,Co,Co合金,Pt,Pt合金の少
    なくとも一つ、またはこれに近い組成である請求項1に
    記載の情報記録媒体。
  12. 【請求項12】上記第1反射層がAl−Ti,Al−A
    g,Al−Cu,Al−CrなどAl合金を主成分とす
    るもの、Al,Cu,Cu合金,Au,Au合金,A
    g,Ag合金,Mo,Mo合金,Ta,Ta合金,W,
    W合金,Co,Co合金,Pt,Pt合金の少なくとも
    一つ、またはこれに近い組成であるか、あるいは上記第
    2反射層がSi,Si−Ge混合材料,Si−N,Si
    −Sn,Si−Au、またはSi−In混合材料の少な
    くとも一つ、またはこれに近い組成である請求項1に記
    載の情報記録媒体。
  13. 【請求項13】上記記録層または超解像読み出し用のマ
    スク層と、上記第1反射層の間に中間層を備える請求項
    1に記載の情報記録媒体。
  14. 【請求項14】上記保護層の膜厚が70nm以上,13
    0nm以下の範囲にある請求項1に記載の情報記録媒
    体。
  15. 【請求項15】上記情報記録媒体において、上記記録層
    または超解像読み出し用のマスク層の全原子数の95%
    以上の組成がLを相変化成分,Hを高融点成分としたと
    き、 (L)1-s(H)s で表され、かつ0.02≦s≦0.20を満たす請求項1
    に記載の情報記録媒体。
  16. 【請求項16】請求項1に記載の情報記録媒体に対し、
    その媒体の記録,再生または超解像再生波長の少なくと
    も一つに用いるレーザを備え、かつ、光ヘッド制御回
    路,トラッキング誤差検出手段,光ヘッド移動ドライ
    バ,記録データ変調手段,レーザドライバ,再生信号処
    理手段,再生データ送出手段を備えた情報メモリ装置。
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