JPH09184218A - 木造建築用免震兼脱気ゴムマット及びそれを組み込んだ木造建築用免震連結構造 - Google Patents

木造建築用免震兼脱気ゴムマット及びそれを組み込んだ木造建築用免震連結構造

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JPH09184218A
JPH09184218A JP1706196A JP1706196A JPH09184218A JP H09184218 A JPH09184218 A JP H09184218A JP 1706196 A JP1706196 A JP 1706196A JP 1706196 A JP1706196 A JP 1706196A JP H09184218 A JPH09184218 A JP H09184218A
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seismic isolation
wooden
construction
building
degassing
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JP1706196A
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Keiichi Suga
敬一 須賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、木造建築物において、建築用構造
材間に免震兼脱気ゴムマットを介在させ、地震時の震動
を緩和すると共に建築用構造材間の脱気を可能にした木
造建築用免震連結構造を提供する。 【解決手段】 コンクリート製の基礎32と木製の土台
34との間、また床板42と壁枠組44の木製下枠47
との間に免震兼脱気ゴムマット3が介装されている。免
震兼脱気ゴムマット3には、両表面上に部分的な凸部と
凸部によって形成された脱気路と、両表面間を穿設した
脱気孔とが形成されている。免震兼脱気ゴムマット3の
両面に形成した部分的な凸部は、震動時に変形して地震
の第一撃を緩和する。免震兼脱気ゴムマット3の脱気路
と脱気孔とは、空気の流れを促進して木製の土台34や
下枠47に含まれる湿気を取り除く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、木造建造物における
建築用構造材間に介在される免震兼脱気ゴムマット、及
び前記免震兼脱気ゴムマットと木製建築用構造材の貫通
孔に装填される木造建築用免震ゴム体とを組み込んだ木
造建築用免震連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般家屋等の木造建築の建築方法として
は、大きく分けて次の二つの方法が用いられている。一
つの方法は、我が国伝来の工法である柱や梁、筋交い等
の強度を担う木製の構造材即ち木製建築用構造材を組む
在来軸組工法であり、他の方法は、北米で生まれて発達
してきた工法であって規格材を組んだ枠即ち柱材に構造
用合板の板材を張って作られた壁・床・屋根等のパネル
即ち枠組材を組み立てていく所謂2×4(ツーバイフォ
ー)工法である。後者の工法は、枠組壁工法とも称され
ている。枠組壁工法は、使用木材や施工が規格化、単純
化された合理的な工法である一方で、耐震性や耐火性に
特性を有する工法として我が国に導入されている。
【0003】いずれの工法であっても、木造建築物であ
る家屋自身の重量や家屋内に据え付けたり収納した物品
の重量は、床、根太、桁、柱等の構造材を介して地盤に
打設したコンクリート製の基礎に支持される。一階と基
礎との間においては、地盤に打設したコンクリート製の
基礎の上に木製の土台を載せた基礎構造や大引を支える
束が用いられている。土台の上には柱が立設されたり、
大引、根太等の構造材が架け渡される。二階以上の上階
においても、柱と梁との間、及び柱と胴差との間のよう
に、木造の構造材を組んで連結して、上部からの荷重を
支えると共にその荷重を下位の構造材で支持している。
【0004】一方、最近の都市部での一戸当たりの宅地
面積が小面積化していることに対応して従来の建築制限
の緩和が図られ、木造建築物においても、広い容積率を
確保することができる三階建ての建物が普及しつつあ
る。三階建ての木造建築においては、基礎、基礎に載置
される土台及び土台の上に立設される柱からなる基礎連
結構造材に作用する荷重が従来の二階建ての場合に比較
して格段に大きくなるので、基礎連結構造材は大きな荷
重に耐えるものとする必要がある。また、一階と二階の
間の柱と梁との間の連結構造についても、木製の構造材
のみで二階以上の家屋とその収容物の荷重を支え且つ歪
みを生じないようにする必要がある。したがって、柱等
の建築構造材の連結にはホールダウン金具等の連結金具
を用いることが通常となっている。
【0005】三階建ての建造物に限らず、二階建ての建
造物においても、各構造材間において、建物の構造の骨
格を維持するために連結金具を用いた主要な連結構造が
存在する。その主要な連結構造の一つが、コンクリート
製の基礎と該基礎の上に載置される木製土台との間の連
結構造である。基礎と土台とは、従来、基礎にアンカー
ボルト等の連結金具を埋設し、上方に突出した連結金具
の上部を土台に形成した貫通穴に通し、連結金具の上端
に形成した雄ねじに座金を介してナットを螺合すること
により、互いに連結されている。土台に加わる荷重は、
土台の下面と基礎の上面からなる対向面を介して基礎に
支持される(例えば、特開平4−272373号公報参
照)。上記連結構造においては、基礎と土台との間に適
宜の間隔を置いて挿入される震動緩衝装置は、相当の高
さがあり、簡素な構造とまでは言えない。土台と基礎と
の間には、湿気の侵入を防ぐために防湿パッキン等のシ
ート材を介在させることもあるが、本来的に耐震性を考
慮して設けられるものではない。
【0006】もう一つの主要な連結構造は、土台と柱と
の間、又は枠組壁工法による建築の場合に床根太を挟ん
で配置される上下階の壁枠組構造の間の連結構造であ
る。この連結構造における連結金具としては、ホールダ
ウン金具が用いられている。ホールダウン金具が柱に対
してボルト等の固着具によって固定され、土台や根太を
貫通した連結軸部がホールダウン金具に係合されること
によって、家屋が地震に襲われたときにも、柱と土台や
根太との間で位置のずれや姿勢の歪みが生じないように
拘束している。
【0007】更に、高温多湿の環境下では、湿気は木造
建築物を劣化させる。枠組壁工法によって建築された建
物は、工法自らに備わる特徴の故に、断熱性や密閉性が
良い反面、湿気を内部に閉じ込め易い。特に、壁内に閉
じ込められた湿気は、断熱材の断熱性能を低下させるだ
けでなく、木材を腐らせる腐朽菌を繁殖させて構造材と
しての強度を低下させ、建物の寿命を縮めるおそれがあ
る。この対策として、壁を構成する幾つかの層の一つと
して通気路を形成し、例えば太陽熱を利用して空気の流
れを起こして、前記通気路に外気を流入させることによ
り、湿った空気を壁内に閉じ込めずに建物外部に流出さ
せる工夫が施されている。かかる構造にすることによ
り、壁内部に結露が発生するのを防止すると共に、室内
の湿気も排出するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】地震等による地盤の振
動が基礎に作用した場合、防湿パッキン等のシート材で
は制振作用を期待することができないので、振動が基礎
から土台に直接伝達される。震源が近いほど最初の縦揺
れと、次いで来襲する横揺れとは、殆ど時間を置かず、
第一撃となって襲来する。地震による揺れは、基礎から
土台の上部に構築されている各階の柱、胴差、根太等の
構造材に伝達され、これらの構造材が強い振動に晒され
る。構造材の連結構造が完全な剛性を有することは、何
等の減衰をせずに二階等の他の家屋部分に地震の揺れが
そのまま伝わることを意味し、却って家屋全体の揺れを
大きくする。木造家屋は、特に構造材の連結部分が地震
の第一撃に耐えて持ちこたえることができなければ、建
物全体が倒壊するか、又は一部破壊であっても住居とし
ての機能をもつことができない損害を被る。逆に、構造
材の連結部分が地震の第一撃に耐えることができれば、
後続する地震の揺れにも耐えることができ、建物として
の機能を損わずに済む可能性が高い。
【0009】一方、従来から、基礎からの振動が土台に
直接伝達されないようにするために、或いは階下から階
上への振動の伝播を減衰させるために、連結構造に震動
減衰用のばねの要素を含ませる等、免震構造として種々
の技術が提案されてきているが、基礎構造の高さを増や
すことなく縦揺れと横揺れを十分に吸収したり緩衝する
ことができるものは得られていない。免震構造の高さが
嵩高になると、法令や協定等により種々の建築制限があ
る地域においては、建築しようとする建物の仕様に制限
が加わり、居住性が悪化する等の不具合がある。
【0010】また、壁内に通気路を設けて湿気を換気さ
せようとするものにおいては、木製建築用構造材である
土台や壁枠組構造の上下の枠構造自体が含む湿気のう
ち、特に他の建築用構造材と直接接触する対向面や、他
の建築用構造材との間にマットやシートを挟む対向面に
含まれる湿気は、通気路を流れる空気によっても運び去
られることが殆どなく、木製建築用構造材を腐らせてし
まうという問題がある。
【0011】したがって、木造建築においては、基礎と
土台との間、床根太と床板との間、土台と壁枠組構造と
の間又は上下階の壁枠組構造の間等、木造建築に用いら
れる少なくとも一方の構造材が木製である二つの連結す
べき木製建築用構造材間に介装される免震兼脱気ゴムマ
ットであって、通常時は上階からの荷重を確実に伝える
が、建築物が地震による震動に晒されたときは、自身が
変形することによって、特に地震の第一撃を緩和すると
共に、免震兼脱気ゴムマットと当接する木製建築用構造
材の対向面に含まれる湿気を運び去ることができる免震
兼脱気ゴムマットが望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の主たる目的
は、地震の第一撃と構造材の連結構造との間に上記の関
係があることの知見に基づいて、木造建築において互い
に連結されるべき少なくとも一方の建築用構造材が木製
である二つの建築用構造材の対向面間に介在され、通常
は適度な強度を示して建物とその収容物の荷重を支えつ
つ地震時には前記対向面間に働く第一撃、引き続く地震
の衝撃を緩和させ、各階天井内の脱気による結露を防止
し、直上階による衝撃音の緩衝低減を行うと共に、木製
建築用構造材の対向面から湿気を取り除くことができる
免震兼脱気ゴムマットを提供し、更に前記免震兼脱気ゴ
ムマットを建築用構造材の対向面間に介在させると共
に、木製建築用構造材と他の建築用構造材とを互いに連
結する連結金具と共に使用される適正な剛性を持つ地震
時には衝撃を緩和させる木造建築用免震ゴム体を組み込
んだ木造建築用免震連結構造を提供することである。
【0013】この発明は、互いに対向する建築用構造材
間に介装されるゴム製板体から成り、前記板体の両表面
には対向する前記建築用構造材に接触可能な部分的な凸
部と前記凸部間で相互に連通する脱気路を構成する凹部
とが形成され、前記板体を貫通する脱気孔が形成されて
いることから成る木造建築用免震兼脱気ゴムマットに関
する。更に、前記凸部は比較的に大きい突起部と比較的
に小さい突起部とから成り、前記突起部はほぼ高さが等
しく形成されているものである。
【0014】又は、この発明は、木製建築用構造材に形
成された貫通孔に装填されたゴム製筒体から成り且つ前
記筒体の外周面に形成された前記貫通孔の内周面に接触
する部分的な凸部、前記凸部間の凹部及び前記筒体の長
手方向に形成された挿通孔を備えた木造建築用免震ゴム
体と、建築用構造材に対して連結される連結部、前記筒
体の前記挿通孔に挿通される軸部及び前記木製建築用構
造材から前記筒体の抜け出しを防止する抜止め手段を有
する前記木製建築用構造材を前記建築用構造材に連結す
る連結金具と、前記建築用構造材の対向面間に介装され
たゴム製板体から成り且つ前記板体の両表面に部分的な
凸部、前記凸部間で相互に連通する脱気路を構成する凹
部及び前記板体を貫通する脱気孔が形成されている免震
兼脱気ゴムマットと、から成る木造建築用免震連結構造
に関する。また、この発明による木造建築用免震兼脱気
構造は、上昇気流による換気等を採用した積極的に湿気
を排気するタイプの木造建築物に適用できることも勿論
である。
【0015】また、前記免震兼脱気ゴムマットが介在さ
れる一方の前記建築用構造材は床板であり、他方の前記
建築用構造材は前記床板を上に張設した床根太である。
或いは、前記免震兼脱気ゴムマットが介在される一方の
前記建築用構造材はコンクリート製基礎であり、他方の
前記建築用構造材は前記基礎に載置される土台であり、
前記基礎と前記土台とは前記連結金具により連結されて
いる。
【0016】また、枠組壁工法によって建築される木造
建築物において、前記免震兼脱気ゴムマットが介在され
る一方の前記建築用構造材は土台及び側根太の上部に敷
設される床板であり、他方の前記建築用構造材は前記床
板の上部に組まれる木製壁枠組構造の下枠であり、前記
床板と前記下枠とは前記連結金具により連結されてい
る。
【0017】或いは、枠組壁工法によって建築される木
造建築物において、前記免震兼脱気ゴムマットが介在さ
れる一方の前記建築用構造材は上下階間における側根太
を含む床構造であり、他方の前記建築用構造材は下階の
木製壁枠組構造の上枠及び上階の木製壁枠組構造の下枠
であり、前記上下階の木製壁枠組構造の縦枠である柱が
前記側根太を含む床構造を貫通する前記連結金具によっ
て連結されている。
【0018】更に、前記免震兼脱気ゴムマットと当接し
て前記枠組構造の内側に位置する木製枠組構造の前記上
枠又は前記下枠には、前記免震兼脱気ゴムマットの前記
脱気路又は前記脱気孔と連通し且つ前記枠組構造の内面
に開口する脱気孔が穿設されている。
【0019】また、前記連結金具は前記建築用構造材と
してのコンクリート製基礎に前記連結部が埋設されたア
ンカーボルトである。或いは、前記連結金具は前記木製
建築用構造材を構成する柱に連結される連結部と、前記
土台に形成された貫通孔又は前記土台と前記木製建築用
構造材を構成する根太とに形成された貫通孔に挿通され
た前記木造建築用免震ゴム体の挿通孔に挿通する軸部と
から成るホールダウン金具である。
【0020】更に、前記抜止め手段は、前記連結金具の
前記軸部の先端において前記土台の下面と係合する平板
部、又は前記土台を載置する前記基礎への埋設部から構
成されている。
【0021】また、前記木製建築用構造材は柱材と前記
柱材に固定された板材から成る枠組材から構成され、前
記枠組材に形成された貫通孔内に前記木造建築用免震ゴ
ム体が挿入され、前記連結金具は前記木造建築用免震ゴ
ム体の前記挿通孔に挿通して前記枠組材に係合する挿通
ボルトで構成されている。或いは、前記連結金具は、前
記木製建築用構造材を構成する胴差や梁の横設構造材に
連結される板部、前記横設構造材に対して連結された前
記木製建築用構造材を構成する柱に形成された貫通孔に
挿通した前記木造建築用免震ゴム体の前記挿通孔に挿通
したボルト部、及び前記柱から前記木造建築用免震ゴム
体の抜け出しを防止する前記ボルト部のねじに螺入する
前記抜止め手段を構成するナットから構成されている。
【0022】この木造建築用免震兼脱気ゴムマットによ
れば、その両面に形成した部分的な凸部は、地震時に、
前記板体の厚み方向の成分の震動に対しては潰れるよう
に変形することによって、また前記板体の表面に平行な
方向の成分の震動に対しては凹部に倒れるように変形す
ることによって、前記建築用構造材間に伝わる震動を吸
収して緩衝する。前記板体を貫通する前記脱気孔が形成
されているので、前記板体の前記脱気路を流れる空気
は、前記脱気孔を通って他方の表面の前記脱気路に流れ
出る。前記板体の一方の表面から他方の表面への上下方
向の空気流れが生じることになるので、少なくとも一方
の木製建築用構造材の対向面が帯びやすい湿気や結露を
空気の流れと共に運び去る機能が促進される。
【0023】前記免震兼脱気ゴムマットの前記凸部は、
縦横に設けられた大断面積の突起部、該突起部間に点在
する小断面積の突起部及びそれらの間の凹部から構成す
ることが好ましい。しかしながら、前記凸部及び前記凹
部の形状はこれらの形状に限られることなく、種々の形
状に形成することができる。例えば、前記凸部の形状
は、前記凹部の方向や形状等の構造に合わせて、矩形、
菱形等の形状に形成することができる。いずれの形状で
あっても、前記凸部は前記免震兼脱気ゴムマットの表面
上に分布し且つ震動に対して適度に変形するがへたりを
容易に生じない面積と高さを有する構造に構成されてい
る。また、前記免震兼脱気ゴムマット及び前記木造建築
用免震ゴム体は、材料の観点からすると、震動の大きさ
に対して変形可能である反面、通常は構造材を堅固に支
持或いは耐久性を有する合成ゴム等で製作されている。
【0024】前記免震兼脱気ゴムマットの両表面に形成
される凸部をこのような二種類の突起から構成すると、
小面積突起部は大面積突起部と比較して震動に対して変
形し易い。前記小面積突起部と前記大面積突起部との断
面積の比率、或いは分布の仕方を変更することにより、
震動に対する緩衝特性を調節することができる。
【0025】この木造建築用免震連結構造では、地震時
に前記免震兼脱気ゴムマットの両面に形成した部分的な
凸部が、その厚み方向の成分の震動に対しては潰れるよ
うに変形し、またマットの表面に平行な方向の成分の震
動に対しては前記凸部が倒れるように変形することによ
って前記建築用構造材間に生じる衝撃が緩和される。前
記免震兼脱気ゴムマットには前記脱気孔が形成されてい
るので、一方の表面の前記脱気路を流れる空気は、前記
脱気孔を通って他方の表面の前記脱気路に流れる。前記
免震兼脱気ゴムマットの一方の表面から他方の表面への
空気流れは、前記建築用構造材の内側に帯びやすい湿気
や結露が空気の流れ即ち脱気によって消失させる機能を
増大させ、前記建築用構造材を常に良好な状態に乾燥で
きる。
【0026】この木造建築用免震連結構造は、一方の前
記建築用構造材としての床板と、前記建築用構造材とし
ての前記床板を上に張設する床根太との対向面間に適用
することができる。この木造建築用免震連結構造による
と、前記免震兼脱気ゴムマットは、地震時に床根太と床
材との間の震動を緩衝するのみならず、上階で人が比較
的大きな動きをしても床を介して下階へ伝播される衝撃
音を天井内空気を脱気により緩和、緩衝するので、下階
へ伝わる振動や騒音を低減させることができる。また、
人がたとえゆっくりと動いたとしても、床や床根太が変
形するときに軋み音を出す所謂床鳴り現象が生じて、当
該部屋や下階の居住者に不快感を与えることがあるが、
この木造建築用免震連結構造は、床に加わる荷重の増減
を緩和してみ音の発生を抑制するので、上階直下の天井
内空気を脱気することにより床鳴防止としても役立つ。
【0027】この木造建築用免震連結構造は、前記建築
用構造材としての前記基礎と、前記基礎に載置され且つ
前記連結金具によって前記基礎と連結されている前記土
台との対向面間に適用することができる。前記基礎と前
記土台との間は建築物と収納した物との殆どの荷重が作
用する重要な連結部分であるが、この木造建築用免震連
結構造によれば、前記基礎と前記土台との上下方向に離
間する方向の変位については前記連結金具によって制限
しつつ、上下方向の震動による接近方向の衝撃について
は前記免震兼脱気ゴムマットの前記凸部が押し潰される
変形により、また、横方向の震動による衝撃は前記木造
建築用免震ゴム体及び前記免震兼脱気ゴムマットの前記
凸部が剪断方向の応力を受けても変形することにより、
前記基礎と前記土台との間に衝撃が緩和される。前記土
台の前記免震兼脱気ゴムマットと当接する対向面は、ゴ
ムマットに形成された脱気路と脱気孔とによる空気の流
れにより、湿気が効率よく追放されて乾燥される。
【0028】枠組壁工法によって建築される木造建築物
においては、壁を構成する構造用合板が剪断荷重を支え
ているので、柱、根太及び枠体は正方形ではなく厚さが
薄い矩形材を用いている。したがって、これらの矩形材
に対して衝撃が作用する次に挙げる箇所には積極的に免
震構造を採用する必要がある。即ち、この木造建築用免
震連結構造は、枠組壁工法によって建築される木造建築
物において、土台及び側根太の上部に敷設される一方の
木造建築用構造材としての床板と、前記木製建築用構造
材としての前記床板の上部に組まれる木製壁枠組構造の
下枠との間、又は、一方の木造建築用構造材としての上
下階間における側根太を含む床構造と、前記木製建築用
構造材としての下階の木製壁枠組構造の上枠及び上階の
木製壁枠組構造の下枠との間の対向面間に適用される。
【0029】この木造建築用免震連結構造によると、連
結金具としてのホールダウン金具は、壁枠組構造の特に
柱(スタッド)と床構造としての側根太及び土台との
間、又は上下階の壁枠組構造の柱間を引き付けて連結
し、地震の震動に晒されたときにも、壁枠組構造が床構
造に対してずれや傾きを生じるのを防止すると共に、免
震兼脱気ゴムマットを対向面間の位置に挟持して免震兼
脱気ゴムマットがその本来の機能を十分に発揮すること
ができるようにする。免震兼脱気ゴムマットは、その両
表面に形成された凸部の変形により、壁枠組構造と床板
との間において互いに接近する方向及び横方向の衝撃を
緩和する。
【0030】また、この木造建築用免震連結構造によれ
ば、前記免震兼脱気ゴムマットと当接して前記壁枠組構
造の内側に位置する前記上枠又は前記下枠には、前記免
震兼脱気ゴムマットの前記脱気路又は脱気孔と連通し且
つ前記壁枠組構造の内面に開口する脱気孔が穿設されて
いる。前記免震兼脱気ゴムマットの表面に形成された脱
気路は、壁枠組構造の内側に位置する上下枠の脱気孔を
介して壁枠組構造の内部空間を外部と連通させるので、
壁枠組構造が含みやすい湿気を有効に建築物の外部に逃
すことができる。例えば、壁枠組構造の上枠に当接して
設けられた前記免震兼脱気ゴムマットの場合には、壁枠
組構造の内部空間内の湿気を含む空気は、上枠に穿設さ
れた脱気孔を介して上昇して前記免震兼脱気ゴムマット
の下側表面の脱気路に至り、外壁の通気路に沿って上部
又は床下構造又は屋根からやがて建物外部へ排出され
る。また、壁枠組構造の下枠に当接して設けられた前記
免震兼脱気ゴムマットの場合には、前記免震兼脱気ゴム
マットの上側表面の脱気路を流れる空気は、下枠に穿設
された脱気孔を介して壁枠組構造の内部空間に至り、湿
気を吸収した空気は、上記した通り上枠に穿設された脱
気孔を介して外壁の通気路等を通り、やがて建物外部へ
排出される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による木造建築用免震兼脱気ゴムマット及びそれを組み
込んだ木造建築用免震連結構造の実施例を説明する。図
1は、在来の軸組工法による三階建て木造建築物の基礎
から三階部分に至る一部を断面で示した概略図である。
図1では、基本的な構造材のみを示してあり、実際には
必要となる各種の補強材等については図示を省略してあ
る。
【0032】地盤1にはコンクリート製の布基礎等の基
礎2が打設され、固化した基礎2の上には免震兼脱気ゴ
ムマット3を介して木製の土台4が載置されている。土
台4は、後述する免震ゴム体70及び免震ゴム座金87
(図7)を介してアンカーボルト5によって基礎2に連
結される。土台4には、所定の間隔で柱6が立設されて
いる。土台4に対して水平方向に交差する大引7(図で
は一つの大引7のみを示す)が比較的に広い間隔を置い
て設けられ、大引7は基礎2や束8によって支えられて
いる。土台4と大引7上には、比較的狭い間隔を置いて
複数の床根太9が平行に載置されて釘等の手段により固
定されている。三階建ての場合、土台4に対して柱6を
連結して直立状態に保持するためにホールダウン金具1
0が設けられている。柱6の外側には外壁パネル11
が、柱6の内側には内壁パネル12が施工される。一階
部分においては、根太9の上に免震兼脱気ゴムマット3
を介して床板13が敷かれ、天井部には天井板14が張
り渡される。免震兼脱気ゴムマット3は、床板13上で
居住者等が振動を与えたときに床根太9から大引7に至
る床構造に対して加わる衝撃を緩和すると共に、当接す
る木製建築用構造材の湿気を脱気するものである。床構
造は床鳴りを生じることがあるが、免震兼脱気ゴムマッ
ト3は、床根太9又は大引7に伝わる衝撃を緩衝するの
で、床鳴りを防止すると共に、天井内空気を脱気するこ
とにより、上階での歩行等による衝撃音を緩衝、低減す
ることができる。
【0033】二階部分及び三階部分は、基本的に一階部
分と同様の構造が施工される。即ち、柱6と仕口で水平
に交差して各階の床構造となる胴差16が、羽子板ボル
ト18(後述)を用いた免震連結具124によって柱6
に対して強固に連結されている。胴差16の上には、複
数の床根太9が比較的狭い間隔を置いて載置されてい
る。床根太9の上には免震兼脱気ゴムマット3を介して
床板13が敷かれており、内装として内壁パネル12及
び天井板14が施工されている。三階屋根の桁20と横
桁21は、図示しない多数の束により、たる木及び野地
板からなる屋根構造22を支えている。在来の軸組工法
では、建築物自体の荷重や収納物の荷重は、桁や根太9
から胴差16、柱6を介して最終的にコンクリート基礎
2、或いは束8に支えられる。軸組工法では、上下階の
間における荷重を伝える構造材は柱6であって、壁自体
が面内で荷重を支えることは殆どない。
【0034】図2は、2×4工法即ち枠組壁工法による
三階建て木造建築物の基礎から三階部分に至る一部を断
面で示した概略図である。枠組壁工法における基礎構造
は、図1に示した在来軸組工法による建築の基礎構造と
同様である。地盤31には、コンクリート製の布基礎等
の基礎32が打設され、基礎32の上には、免震兼脱気
ゴムマット3を介して木製の土台34が載置される。土
台34は、アンカーボルト35によって基礎32に固定
される。土台34には、所定の間隔で柱36が立設され
ている。大引37が、土台34の長手方向に対して交差
した方向に比較的に広い間隔を置いて設けられており、
大引37は、基礎32や束38によって支えられてい
る。土台34と大引37上には、比較的狭い間隔を置い
て複数の床根太39が平行に載置されて釘等の手段によ
り固定されている。三階建ての場合、柱36を土台34
に対して直立状態に保持するホールダウン金具40が設
けられている。
【0035】土台34の上において、根太は2本並べた
側根太41となっている。床根太39の上には、免震兼
脱気ゴムマット3を介して床板42が敷かれている。一
階の骨組が終了した後、柱36を含めた壁構造が施工さ
れる。即ち、柱36と、外側には外壁パネル45、内側
の内壁パネル46、床板42上の下枠47及び二階床構
造としての側根太41の下に位置する上枠48とで、枠
組としての壁枠組44が施工される。天井には天井板4
9が張り渡される。
【0036】二階部分と三階部分の構造は、基本的に一
階部分の構造と同様である。即ち、二階及び三階の側壁
には、柱36と、外壁パネル45、内壁パネル46、下
枠47及び上枠48とで、壁枠組44が施工される。二
階床及び三階の床根太50の上には免震兼脱気ゴムマッ
ト3が敷かれて床板42を支持している。床板42の最
側部は、矩形断面の板材を横に並べた側根太51の上に
あって、一階部分と同様、壁枠組44の下枠47との間
に免震兼脱気ゴムマット3を挟んでいる。上階の壁枠組
44の柱36と下階の壁枠組44の柱36とは、ホール
ダウン金具52によって互いに引き寄せられており、側
根太51、床板42及び免震兼脱気ゴムマット3は、上
階の壁枠組44の下枠47と下階の壁枠組44の上枠4
8との間で挟み込まれて固定されている。
【0037】在来軸組工法、枠組壁工法のいずれの工法
であっても、木造建築用免震連結構造は、基礎2,32
と土台4,34との間、柱6と土台4との間、柱6と胴
差16との間のように木造建築用構造材が互いに当接し
たり、連結したりする箇所に適用されるものであり、ア
ンカーボルト5,35、ホールダウン金具10,40,
52及び羽子板ボルト18のような連結金具と関連付け
て適用されている。しかしながら、この木造建築用免震
連結構造は、これらの実施例に限られることはなく、少
なくとも一方の建築用構造材が木製の構造材である建築
用構造材間であれば適用可能である。
【0038】図3及び図4は、木造建築用免震連結構造
において、連結金具と関連して用いられる木造建築用免
震ゴム体の実施例を示す断面図である。免震ゴム体7
0,71は、合成ゴム、好ましくは硬質の合成ゴムから
作製され、例えば、概略円柱に成形されている。免震ゴ
ム体70,71は、アンカーボルト、ホールダウン金具
又は羽子板ボルト等の連結金具、或いはこれらの連結金
具に関連して用いられる挿通ボルトと組み合わせて用い
られる。免震ゴム体70,71の本体72の軸心部に
は、連結金具の挿通軸部や通しボルト等が挿通する挿通
孔73が貫通して穿設されている。挿通孔73の径は、
連結金具の挿通軸部の径とほぼ同等に形成され、挿通孔
73に連結金具の軸部を挿通することが可能であるが、
軸部を挿通したときに挿通孔73との間に間隙が形成さ
れない寸法に設定されている。
【0039】免震ゴム体70,71の軸方向長さや外径
は、連結すべき木製建築用構造材の寸法や形成する貫通
孔との関係で定められる。軸方向長さは、免震ゴム体7
0,71を装填する木製建築用構造材に形成する貫通孔
の長さよりも若干長く成形されている。免震ゴム体7
0,71を木製建築用構造材に形成した貫通孔に装填し
た後、木製建築用構造材を他の建築用構造材に連結する
場合に、免震ゴム体70,71は両端面74,75に作
用する力によって軸方向に若干圧縮されるので、その変
形量を予め見込む必要がある。免震ゴム体70,71の
軸方向の圧縮によって、挿通孔73は連結金具の軸部を
締め付けて両者の間隙を吸収する。
【0040】免震ゴム体70,71の外周には、木製建
築用構造材の貫通孔と部分的に接触する凸部が形成され
ている。図3に示す免震ゴム体70では、凸部は、軸方
向に並列して形成された多数のリング状突起部76から
成る。リング状突起部76は隣接する凸部間にリング状
溝部77を形成することによって形成される。図4に示
す免震ゴム体71では、凸部は螺旋状突起部78によっ
て形成されている。図4に示された螺旋状突起部78
は、1条の螺旋であるが、複数条の螺旋でもよい。螺旋
状突起部78は螺旋状溝部79を形成することによって
形成されている。リング状突起部76であっても螺旋状
突起部78であっても、凸部の頂面を包絡する円筒曲面
の径は、後述する構造材の貫通孔の内径よりも僅かに小
さく設定されている。このような設定により、建築用構
造材の貫通孔への免震ゴム体70,71の装填作業に手
間取ることがない。
【0041】木造建築用免震ゴム体に形成される部分的
な凸部の構造は、上記の形状に限られることなく、例え
ば、螺旋状溝部79を相互に逆方向に傾斜する溝とし
て、本体72の外面には整列した多数の菱形状の凸部を
形成してもよい。周方向の幅を比較的狭いものとすれ
ば、軸線方向と平行な多数の溝を形成してもよい。
【0042】図5は、図1に示した在来の軸組工法にお
いて、本発明による木造建築用免震連結構造を木造建築
物のコンクリート製の基礎、木製の土台及び柱間に適用
した実施例を示した斜視図である。図6は、図2に示し
た枠組壁工法において本発明による木造建築用免震連結
構造を木造建築物のコンクリート製の基礎、木製の土台
及び柱間に適用した実施例を示した斜視図である。図7
は、免震ゴム体と免震兼脱気ゴムマットとをアンカーボ
ルトと共に用いた木造建築用免震連結構造の詳細断面図
である。
【0043】図3及び図4に示した構造を有する免震ゴ
ム体70,71をアンカーボルト5,35と共に用いた
免震連結具80,81によって、コンクリート製の基礎
2,32と木製の土台4,34との間が連結されてい
る。免震ゴム体70,71を土台4,34側と柱6,3
6側とにそれぞれ利用し、ホールダウン金具10,40
と共に用いた免震連結具82,83によって、木製の土
台4,34と柱6,36との間が連結されている。コン
クリート製の基礎2,32と木製の土台4,34との間
には、免震兼脱気ゴムマット3が介装されている。免震
兼脱気ゴムマット3の幅はコンクリート製の基礎2,3
2に合わせてあり、土台4,34は、下面全面で免震兼
脱気ゴムマット3を介して基礎2,32に支持されてい
る。免震連結具80,81は基本的に同等であるので、
図7に基づいてのみ説明する。
【0044】免震連結具80は、木製建築用構造材であ
る土台4と他の建築用構造材である基礎2との間を、連
結金具としてのアンカーボルト5とアンカーボルト5の
軸部を挿通した免震ゴム体70とを用いて連結するもの
である。アンカーボルト5の基礎2側端部は、L字状に
曲げられてコンクリートに埋設されて強固に連結されて
いる。免震兼脱気ゴムマット3が、基礎2から突き出た
アンカーボルト5に挿通孔84を通して、基礎2の上面
に載せられる。土台4に形成された貫通孔85にアンカ
ーボルト5を通し、土台4を免震兼脱気ゴムマット3を
介して基礎2上に載置する。免震ゴム体70は、挿通孔
73をアンカーボルト5の上端から挿通し、土台4に形
成された貫通孔85内に装填される。免震ゴム体70の
高さは、土台4の高さより若干高く設定され、アンカー
ボルト5の先端のねじ部86に免震ゴム座金87を介し
てナット88によって締め付けると、免震ゴム体70は
縦方向に圧縮されて免震ゴム座金87が土台4に当接し
たところで締め付け作業が終了する。このとき、免震ゴ
ム体70は、軸線方向に圧縮されるので軸線に交差する
径方向に膨張し、外周に形成された凸部が土台4の貫通
孔85の内面に圧接すると共に、軸心部の挿通孔73が
アンカーボルト5の軸部を握り締める。
【0045】免震兼脱気ゴムマット3は、上記免震ゴム
体70と同様の硬質ゴムから形成されている。図8及び
図9に示すように、免震兼脱気ゴムマット3のゴム基板
90の両面には、基礎2と土台4との対向面に対して部
分的に接触する多数の凸部が形成されている。凸部は、
格子点状に規則的に配列された比較的大径の円形突部9
1を含む。また凸部には、周囲の円形突部91によって
囲まれた位置において各々が配列された比較的小径の円
形突部92も含まれる。小径の円形突部92は、大径の
円形突部91よりも変形し易く、両突部を組み合わせる
ことにより免震兼脱気ゴムマット3の制震特性を調節す
ることができる。
【0046】円形突部91,92が形成される部分以外
の免震兼脱気ゴムマット3のゴム基板90の面状には、
互いに繋がった凹部93が形成されている。免震兼脱気
ゴムマット3が土台4を支えたときにすべての凸部が完
全に潰れることはないので、免震兼脱気ゴムマット3の
上面と土台4の下面との間、及び下面と基礎2との間に
残される繋がった凹部93は空気が流れ得る脱気路とな
っている。脱気路は、免震兼脱気ゴムマット3の周囲に
滞る空気を外部に脱気することができる。免震兼脱気ゴ
ムマット3の所々には、両面間を貫通する脱気孔94が
穿設されている。脱気孔94の径をアンカーボルト5が
挿通することができる大きさとすることが好ましい。こ
の場合、免震兼脱気ゴムマット3に設ける孔の大きさを
一つの寸法だけにすることができ、製造上有利であると
共に、脱気孔94の幾つかをアンカーボルト5用の挿通
孔84として流用することができる。
【0047】脱気孔94は、免震兼脱気ゴムマット3の
両面に凹部93を繋ぐ位置に設けられる。脱気孔94が
設けられる位置とその近傍には凸部を設けず、脱気孔9
4の周囲をすべて凹部93とするのが、脱気効率上好ま
しい。空気は脱気孔94を通って免震兼脱気ゴムマット
3の一方から他方の表面へと流れ得る。また、免震兼脱
気ゴムマット3の表面にも外部から凹部93を通って脱
気孔94への流入、又は脱気孔94から凹部93を経て
外部への空気の流出が生じて、土台4の下面から湿気を
奪って最終的には建物外部へ脱気することができる。免
震ゴム体70に軸線方向に空気が流れることのできる脱
気溝を形成するか、或いは挿通孔85の内周に軸方向に
伸びる脱気溝を設ければ、アンカーボルト5の位置にお
いても免震ゴム体70を貫く方向の脱気作用を得ること
ができる。免震ゴム体70は、下端を免震兼脱気ゴムマ
ット3に当接させる代わりに、免震兼脱気ゴムマット3
に免震ゴム体70を嵌めることができる程度の孔84を
形成してもよい。
【0048】図10及び図11には免震ゴム座金が示さ
れている。免震ゴム座金87は、免震ゴム体や免震兼脱
気ゴムマットと同様な材料の硬質ゴムから製作されてお
り、ゴム基板95と、ゴム基板95の一側面(図11で
は、上側面)においてのみ形成された多数の凸部96と
から構成されている。基板95の他側面(図11では、
下側面)は、ナット88が当接する平坦面に形成されて
いる。凸部96以外の部分には、互いに繋がった凹部9
6aが形成されており、凸部96の変形を容易にしてい
る。免震ゴム座金87の中央には、アンカーボルト5の
ような連結金具の軸部のための挿通孔97が穿設されて
いる。ナット88によって免震ゴム座金87を締め付け
たとき、多数の凸部96が変形可能であり、特に上下方
向の震動等によってナット88と土台4との間に加わる
衝撃を緩和することができる。なお、免震ゴム座金87
は、免震ゴム体70と共に用いる場合に限って使用する
必要はなく、在来軸組工法及び枠組壁工法による木造建
造物における全ての締付け金具において座金として適用
することができる。
【0049】建造物は、その慣性によりもとの状態即ち
静止している場合は静止のまま、そして一旦運動し始め
ればその運動状態を保とうとするから、震動が基礎2に
作用すると、地盤1と共に動こうとする基礎2と建築物
側の土台4との間には互いの連結を破壊しようとする大
きな力が作用する。この力は、地震初期の時、特に、縦
揺れと横揺れの第一撃の時に最も大きな値を示す。この
力には、水平方向の成分も上下方向の成分も存在する
が、衝撃の上下方向の成分に対しては、免震兼脱気ゴム
マット3と免震ゴム座金87が、凸部の潰れによる変形
によって衝撃をある程度吸収し、建築物の上部に伝わる
衝撃を大きさを緩和する。衝撃の水平方向の成分に対し
ては、免震兼脱気ゴムマット3の両表面に形成した凸部
が剪断力を受けて変形することにより衝撃を緩和すると
共に、土台4の貫通孔85の内面に部分的に当接する免
震ゴム体70の外周に形成されている突部76,78が
潰れるように変形したり、溝77,79内へ変形するこ
とによって衝撃を緩和することができる。この実施例で
は、免震ゴム体70は円筒形状であるので、水平面内の
いかなる方向の震動であっても衝撃を吸収することがで
きる。
【0050】図12は、在来軸組工法による木造建築に
おいて柱と土台との間の連結にホールダウン金具と免震
兼脱気ゴムマットとを用いた木造建築用免震連結構造の
実施例を示す断面図、図13は枠組壁工法による木造建
築において柱と土台との間の連結にホールダウン金具と
免震兼脱気ゴムマットとを用いた木造建築用免震連結構
造の実施例を示す断面図、及び図14は図13に示した
木造建築用免震連結構造の実施例の正面図である。これ
らの実施例は、土台及び側根太に設けられた貫通孔には
ホールダウン金具の軸部が挿通する免震ゴム体が装填さ
れたものとして示されている。
【0051】ホールダウン金具10は、柱6に沿う基板
98と基板98の土台4側の端部に固定されているブラ
ケット99とから形成されている。柱6には、基板98
に沿って等間隔に適宜の数の貫通孔、図示の実施例で
は、三つの貫通孔101が一列に穿設されている。各貫
通孔101には、免震ゴム体70が装填される。各免震
ゴム体70の内部に挿通された通しボルト102の先端
ねじ部に螺合するナット103を締め付けたときに、ナ
ット103が柱6の一側面と免震ゴム体70の一側の端
面に当接し、ホールダウン金具10の基板98が柱6の
他側面と免震ゴム体70の他側の端面に当接する。軸方
向に圧縮された免震ゴム体70は、柱6の貫通孔101
の内面に圧接される。ナット103と関連して、免震連
結具80について用いられた免震ゴム座金87を用いて
もよい。
【0052】土台4に穿設された貫通孔104には免震
ゴム体70が装填される。免震ゴム体70の内部に挿通
された長尺ボルト100の先端に形成された平坦部10
5が、貫通孔104の下端に拡大して形成された凹部1
07内で土台4と係合して、土台4と柱6とを拘束して
いる。長尺ボルト100の他端は、ブラケット99に設
けられた孔を通り、ナット106によってブラケット9
9に対して抜け止め係合される。
【0053】長尺ボルト100は、土台4に対して免震
ゴム体70を介して連結されるので、地震による震動が
作用したときに、免震ゴム体70が貫通孔104の内面
に対して部分的に接触する凸部の変形によって土台4と
柱6との間に作用する、特に水平方向の衝撃や柱を倒そ
うとする衝撃が緩和される。長尺ボルト100と連結さ
れるホールダウン金具10は柱6に対して免震ゴム体7
0を介して固定されるので、柱6に対する衝撃が緩和さ
れる。なお、筋交い108は、柱6を土台4や胴差に対
して対角線方向に支える構造材であり、筋交い金物10
9が土台4、柱6及び筋交い108の三者を繋ぎ部分で
固定している。
【0054】図13及び図14は、枠組壁工法による木
造建築において、基礎、土台及び側根太、下枠間に免震
兼脱気ゴムマットが適用された木造建築用免震連結構造
の実施例を示す断面図である。この実施例は、柱と土台
及び側根太との間の連結にホールダウン金具と免震ゴム
体とを合わせて用いたものとして示されている。柱36
は、壁枠組44の縦枠として用いられる構造材111を
重ね合わせた合わせ柱で構成されている。ホールダウン
金具40に係合される長尺ボルト112は、土台34の
貫通孔113と側根太41の貫通孔114とに渡って装
填された免震ゴム体70の軸心部に形成された貫通孔を
挿通している。免震ゴム体70の上端は床板42の下面
に当接され、免震ゴム体70の下端は基礎32の上に敷
かれた免震兼脱気ゴムマット3に当接されており、軸線
方向に圧縮された免震ゴム体70は、貫通孔113及び
114の内面に対して部分的な凸部で当接している。長
尺ボルト112は、土台34までの長さとすることもで
きるが、図示のとおり基礎32の内部に埋設することも
できる。長尺ボルト112及び免震ゴム体70は、土台
34だけでなく側根太41も貫通しており、枠組壁工法
における基礎と壁枠組44との連結を強固にしている。
免震連結具83において、ホールダウン金具40の構造
や柱36との結合等の細部は、在来軸組工法における免
震連結具82と同様であるので、重複する説明を省略す
る。
【0055】図15及び図16は、それぞれ、枠組壁工
法による三階建ての木造建築において、上下階の壁枠組
の柱と床梁との連結に免震兼脱気ゴムマットが適用され
た木造建築用免震連結構造の実施例を示す側面図及び正
面図である。この実施例は、上下階の壁枠組の柱と床梁
との連結にホールダウン金具と免震ゴム体とを合わせて
用いたものとして示されている。上下階の柱を直接連結
する免震連結具116は、上下階の柱36,36にそれ
ぞれ固定されるホールダウン金具52と、ホールダウン
金具52のブラケット117,117間を連結する長尺
ボルト118と、長尺ボルト118の中間部分が挿通し
且つ側根太51に形成された貫通孔119内に装填され
る免震ゴム体70とからなる。長尺ボルト118は、下
から順に、下階の上枠48、上枠48の上に敷かれた免
震兼脱気ゴムマット3、頭つなぎ120、側根太51、
床板42、床板42上に敷かれた免震兼脱気ゴムマット
3、及び上階の下枠47を貫通している。免震連結具1
16において、ホールダウン金具52の構造や柱36,
36との結合等の細部は、在来軸組工法における免震連
結具82と同様であるので、重複する説明を省略する。
地震時の震動によって、木造建築物の上下階間に衝撃が
作用し、歪みを生じさせようとするが、免震連結具11
6は、特に免震ゴム体70や免震兼脱気ゴムマット3の
部分的な凸部の変形が許容されることによって、震動の
第1撃を緩和することができる。免震連結具116は、
上下階の柱36,36を直接連結しているから、柱3
6,36の真直性を確保すると共に、柱36,36と床
構造である側根太51との直交性をも確保して地震によ
る歪みが生じるの極力防止することができる。
【0056】図17及び図18には、在来軸組工法によ
る木造建築において、隅柱と胴差のような横設構造材と
の間の連結に、羽子板ボルトと免震ゴム体とを用いた木
造建築用免震連結構造が示されている。隅柱122と胴
差123とを連結する免震連結具124は、胴差123
に固定される羽子板ボルト18と、隅柱122に設けら
れた貫通孔127内に装填される免震ゴム体70とから
なる。羽子板ボルト18のボルト部126は、免震ゴム
体70の内部を挿通しており、免震ゴム体70をフラン
ジ129とナット130及び座金131を介した免震ゴ
ム座金87とによって免震ゴム体70を軸線方向に圧縮
すると共に、隅柱122を挟み付けている。また、羽子
板ボルト18は、平板部125において、通しボルト1
32と免震ゴム体70を介して胴差123を両側で挟み
付けるようにして連結されている。震動に晒された時、
例えば、羽子板ボルト18のみによる連結では、図17
において想像線で示すように、衝撃を吸収するものが備
わっていないために隅柱122と胴差123とが傾斜す
るように変位するが、この実施例によれば、免震連結具
124は、隅柱122と胴差123とを、免震ゴム体7
0を介して衝撃を吸収しつつ強固に結合させているの
で、免震ゴム体70の外周の部分的な凸部が変形するこ
とによって地震の第一撃を緩和し、歪みが残ることを回
避することができる。免震連結具124は、縦横の関係
が異なる以外は、図5に示すホールダウン金具10を用
いた免震連結具82と類似しており、羽子板ボルト18
の胴差123に対する結合構造等の細部の説明を省略す
る。
【0057】図19は、枠組壁工法においてこの発明に
よる木造建築用免震連結構造を適用した三階建て木造建
築物の一階から三階及び屋根における壁枠組の脱気の模
様を示す説明図である。図中の矢印で示すように、外壁
パネル11の内側に形成される通気路140を流れる空
気の一部は、各免震兼脱気ゴムマット3の両面の凹部か
らなる脱気路と両面間を貫通する脱気孔94を通って、
壁枠組44の内部空間、天井空間又は屋根の空間に流れ
て木製建築用構造材に含まれる湿気を取り除く作用をす
る。一階の壁枠組44の幅は、図2に記載したものと比
較してやや広く記載してあるが、図2と同様の幅にして
もよく、一階の壁枠組44に加わる荷重を考慮してその
幅寸法は設計により適宜定めることができるものであ
る。基礎32と一階壁枠組44との間の免震連結構造及
び上下階間の免震連結構造について、図20及び図21
を参照して次に詳細に説明する。
【0058】図20は、図19において、一階の壁枠組
の下枠の脱気状態を示す説明図である。図21は、図1
9において、側根太を含む床構造と、上下階の壁枠組の
上枠及び下枠との脱気状態を示す説明図である。
【0059】図20に示す木造建築用免震連結構造にお
いて、側根太41と壁枠組44の下枠47との間には、
床板42が下側に、そして免震兼脱気ゴムマット3が上
側に位置するように介装されている。免震兼脱気ゴムマ
ット3の上面に当接する下枠47には、免震兼脱気ゴム
マット3の上面に設けられた凹部93(図8及び図9)
からなる脱気路に繋がる脱気孔141が形成されてい
る。外壁パネル11の内側には通気路140が形成され
ているので、通気路140を上昇する空気の一部は、矢
印で示すように免震兼脱気ゴムマット3と下枠47及び
床42との間において免震兼脱気ゴムマット3の上下両
面の凹部93を通り、免震兼脱気ゴムマット3の下表面
の凹部93を通った空気は、その一部が免震兼脱気ゴム
マット3の脱気孔94を通る。更に、免震兼脱気ゴムマ
ット3の上面の凹部93を流れる空気の一部は、下枠4
7に設けられた脱気孔141を通って壁枠組44の内部
空間142に流れ出ることができる。なお、空気の流れ
方向は、昼夜の時間帯によっては、逆になることもあ
る。
【0060】図21に示す木造建築用免震連結構造は、
一階と二階の間又は二階と三階の間のような上下階間に
おいて、床構造としての側根太51と上下の壁枠組4
4,44との間に免震兼脱気ゴムマット3を介装したも
のである。床板42の上に敷かれた免震兼脱気ゴムマッ
ト3の上面に当接する下枠47には、免震兼脱気ゴムマ
ット3の上面に設けられた凹部93に繋がる脱気孔14
1が形成されている。同様に、側根太51の下側に設け
られた頭つなぎ120と下階の壁枠組44の上枠48と
の間に介装された免震兼脱気ゴムマット3の下面に当接
する上枠48には、免震兼脱気ゴムマット3の下側表面
に設けられた凹部93に繋がる脱気孔143が形成され
ている。
【0061】免震兼脱気ゴムマット3と壁枠組44の下
枠47の脱気孔141を流れる空気による湿気の排除に
ついては、図20に基づく説明と同様であるので、説明
を省略する。壁枠組44の内部空間142から上昇する
空気は、上枠48の脱気孔143を通って、免震兼脱気
ゴムマット3の下面の凹部93に至り、通気路140に
入るか、或いは室内側に向かって天井空間144に入
る。また、一部の空気は免震兼脱気ゴムマット3の脱気
孔94を通って免震兼脱気ゴムマット3の上面の凹部に
出て、通気路140に入るか、或いは天井空間144に
入る。このようにして、側根太51又はその下側に設け
られる板材120の湿気を取り除くことができる。
【0062】
【発明の効果】この発明による木造建築用免震兼脱気ゴ
ムマットは、以上のように構成されているので、通常、
適度な剛性を示すが、地震時には、各表面に形成した部
分的な凸部が、厚み方向の震動に対しても板体の表面に
平行な方向の震動に対しても変形することによって、建
築用構造材と木製建築用構造材との間に伝わる震動を緩
和する。また、前記免震兼脱気ゴムマットを貫通する脱
気孔が形成されているので、その一方の表面から他方の
表面への上下方向の空気流れが生じることになるので、
少なくとも一方の木製建築用構造材の対向面が帯びやす
い湿気や結露を空気の流れ即ち脱気と共に運び去る。し
たがって、前記建築用構造材を湿気や結露による腐敗か
ら保護して、建物の寿命を長く保つことができる。更
に、この木造建築用免震兼脱気ゴムマットによれば、規
格に従った一定の幅を有する前記建築用構造材に合わせ
て、一定の幅を有する帯状をした板体を適宜の長さに切
断し、木製建築用構造材に対して敷設するだけでよく、
建築作業現場での取扱いも好都合である。
【0063】この免震兼脱気ゴムマットは、前記凸部は
縦横に整列配置された大面積突起と小面積突起部とから
構成すると、前記小面積突起部は前記大面積突起部と比
較して震動に対して変形し易いため、面積の比率、或い
は分布の仕方を変更することにより、前記免震兼脱気ゴ
ムマットが適用される場所等の木造建築物の仕様に応じ
て、震動に対する緩衝特性を調節することができる。し
かしながら、前記凸部の形状はこれらの形状に限られる
ことなく、前記免震兼脱気ゴムマットの表面上に分布し
且つ震動に対して適度に変形するがへたりを容易に生じ
ない面積と高さを有する構造であればよい。
【0064】この木造建築用免震連結構造は、上記のよ
うに構成され、地震時に部分的な前記凸部が、厚み方向
の震動に対しても表面に平行な方向の震動に対しても変
形及び脱気によって、前記建築用構造材間に生じる衝撃
を緩和する。前記免震兼脱気ゴムマットには、前記脱気
孔が形成されているので、一方の表面の脱気路を流れる
空気は、前記脱気孔を通って他方の表面の脱気路に流
れ、湿気や結露を空気の流れ即ち脱気と共に運び去る機
能を増大させ、前記建築用構造材を乾燥させて、木造建
築物の寿命を長くすることがてきる。前記免震兼脱気ゴ
ムマットは、地震時に床根太と床材との間の震動を緩衝
するのみならず、上階での人の動きによる衝撃力を脱気
によって緩和するので、下階への振動や騒音を減少させ
ることができ、床構造は、所謂床鳴り現象を生じること
があるが、この木造建築用免震連結構造は、床に加わる
荷重の増減を緩和して衝撃音の発生を抑制するので、床
鳴防止としても役立ち、当該部屋や下階の居住者に不快
感を与えることがない。
【0065】この木造建築用免震連結構造を、前記基礎
と前記土台との上下方向に離間する方向の変位について
はアンカーボルトによって制限しつつ、上下方向の震動
と横方向の震動とによるいずれの方向の衝撃についても
前記免震兼脱気ゴムマットの凸部が剪断方向の応力を受
けても変形することにより、前記基礎と前記土台との間
に衝撃を緩和する。また、前記免震兼脱気ゴムマットと
当接する前記建築用構造材の対向面は、前記免震兼脱気
ゴムマットの前記脱気路と前記脱気孔とによる空気の流
れ即ち脱気により、湿気や結露が効率よく追放されて乾
燥される。したがって、建築物と収納した物との殆どの
荷重が作用する建物の重要な連結部分において、既存の
アンカーボルトと組み合わせた簡素な連結構造によっ
て、且つ低コストで、建築用構造材の衝撃と湿気に対す
る保護が得られ、建物の寿命を長くすることができる。
【0066】この木造建築用免震連結構造を、枠組壁工
法によって建築される木造建築物において、地震の震動
に晒されたときにも、壁枠組構造が床構造に対してずれ
や傾きを生じるのを防止すると共に、前記免震兼脱気ゴ
ムマットを対向面間の位置に挟持して前記免震兼脱気ゴ
ムマットがその本来の機能を十分に発揮することができ
るようにする。前記免震兼脱気ゴムマットは、その両表
面に形成された凸部の変形により、壁枠組構造と床板と
の間において互いに接近する方向及び横方向の衝撃を緩
和する。したがって、枠組壁工法によって建築される木
造建築物の重要な構造材連結箇所である柱と土台や側根
太との間の連結が、既存のホールダウン金具と組み合わ
せた簡素な連結構造によって、低コストで、建築用構造
材の衝撃、湿気や結露に対する保護が得られ、建物の寿
命を長くすることができる。
【0067】また、この木造建築用免震連結構造におい
て、前記免震兼脱気ゴムマットの表面に形成された脱気
路は、壁枠組構造の内側に位置する上下枠の脱気孔を介
して壁枠組構造の内部空間を外部と連通させるので、壁
枠組構造が含みやすい湿気を有効に建築物の外部に逃す
ことができる。したがって、密閉性がよい枠組壁工法に
よる木造建築物において、壁枠組に滞って、結露の原因
となる湿気を脱気して壁枠組の外部に追放できるので、
建築物の寿命を長くすることができる。
【0068】更に、この木造建築用免震連結構造では、
木造建築用免震ゴム体が組み込まれているので、前記免
震ゴム体の凸部は、地震等による衝撃が作用したとき
に、前記貫通孔の内面に当接して変形し、免震兼脱気ゴ
ムマットの凸部が剪断方向に変形するのと共働して、連
結した建築用構造材間の特に横方向の衝撃を緩和し、主
要な構造材である柱、土台や側根太の組付け当初の位置
と姿勢とを維持することができる。前記木造建築用免震
ゴム体は、前記建築用構造材に対しても適用して連結金
具の前記建築用構造材に対する連結にも、震動の緩衝機
能を備えることができる。更に、貫通孔に装填された免
震ゴム体を軸方向に圧縮して、免震ゴム体の部分的な凸
部と貫通孔との間に残されていた間隙を吸収し、震動が
襲来時に、凸部の緩衝作用を直ちに得てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による木造建築用免震連結構造を在来
の軸組工法に適用して建築された三階建て木造建築物の
基礎から三階に至る一部を示す概略図である。
【図2】この発明による木造建築用免震連結構造を枠組
壁工法に適用して建築された三階建て木造建築物の基礎
から三階に至る一部を示す概略図である。
【図3】木造建築用免震ゴム体の一実施例を示す断面図
である。
【図4】木造建築用免震ゴム体の別の実施例を示す断面
図である。
【図5】この発明による木造建築用免震連結構造を、在
来軸組工法による木造建築物の基礎、土台及び柱間に適
用した実施例を示す斜視図である。
【図6】この発明による木造建築用免震連結構造を枠組
壁工法による木造建築物の基礎、土台及び柱間に適用し
た実施例を示す斜視図である。
【図7】この発明による木造建築用免震連結構造を適用
して土台と基礎とを連結した免震構造の実施例を示す断
面図である。
【図8】この発明による免震兼脱気ゴムマットの一実施
例を示す平面図である。
【図9】図8の免震兼脱気ゴムマットを示す断面図であ
る。
【図10】免震ゴム座金を示す下面図である。
【図11】図10の免震ゴム座金を示す断面図である。
【図12】この発明による木造建築用免震連結構造を在
来軸組工法による木造建築に適用して柱と土台とを連結
した実施例を示す断面図である。
【図13】この発明による木造建築用免震連結構造を枠
組壁工法による木造建築に適用して柱と土台及び側根太
とを連結した実施例を示す断面図である。
【図14】図13に示した構造と直交する方向の構造の
断面図である。
【図15】この発明による木造建築用免震連結構造を枠
組壁工法による三階建ての木造建築に適用して上下階の
柱間を連結した免震連結構造を示す側面図である。
【図16】図15に示す木造建築用免震連結構造の正面
図である。
【図17】在来軸組工法による木造建築における隅柱と
胴差とを連結した免震構造を示す側面図である。
【図18】図17に示す木造建築用免震連結構造の下面
図である。
【図19】この発明による木造建築用免震連結構造を枠
組壁工法に適用した三階建て木造建築物の壁内部の脱気
の状態を示す説明図である。
【図20】図19において、壁枠組の下枠の脱気状態を
示す説明図である。
【図21】図19において、側根太を含む床構造と、上
下階の壁枠組の上枠及び下枠との脱気状態を示す説明図
である。
【符号の説明】
1,31 地盤 2,32 基礎 3 免震兼脱気ゴムマット 4,34 土台 5,35 アンカーボルト 6,36 柱 9,39,50 床根太 10,40,52 ホールダウン金具 42 床板 16,123 胴差 44 枠組 70,71 木造建築用免震ゴム体 73,84 挿通孔 76,78 突起部 77,79 溝部 80,81,82,83,116,124 免震連結
具 85,104,113,114,119,127 貫
通孔 87 免震ゴム座金 88 ナット 91,92 凸部 93 凹部 94,141,143 脱気孔 102,132 通しボルト 140 通気路

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する建築用構造材間に介装さ
    れるゴム製板体から成り、前記板体の両表面には対向す
    る前記建築用構造材に接触可能な部分的な凸部と前記凸
    部間で相互に連通する脱気路を構成する凹部とが形成さ
    れ、前記板体を貫通する脱気孔が形成されていることか
    ら成る木造建築用免震兼脱気ゴムマット。
  2. 【請求項2】 前記凸部は比較的に大きい突起部と比較
    的に小さい突起部とから成り、前記突起部はほぼ高さが
    等しく形成されている請求項1に記載の木造建築用免震
    兼脱気ゴムマット。
  3. 【請求項3】 木製建築用構造材に形成された貫通孔に
    装填されたゴム製筒体から成り且つ前記筒体の外周面に
    形成された前記貫通孔の内周面に接触する部分的な凸
    部、前記凸部間の凹部及び前記筒体の長手方向に形成さ
    れた挿通孔を備えた木造建築用免震ゴム体と、建築用構
    造材に対して連結される連結部、前記筒体の前記挿通孔
    に挿通される軸部及び前記木製建築用構造材から前記筒
    体の抜け出しを防止する抜止め手段を有する前記木製建
    築用構造材を前記建築用構造材に連結する連結金具と、
    前記建築用構造材の対向面間に介装されたゴム製板体か
    ら成り且つ前記板体の両表面に部分的な凸部、前記凸部
    間で相互に連通する脱気路を構成する凹部及び前記板体
    を貫通する脱気孔が形成されている免震兼脱気ゴムマッ
    トと、から成る木造建築用免震連結構造。
  4. 【請求項4】 前記免震兼脱気ゴムマットが介在される
    一方の前記建築用構造材は床板であり、他方の前記建築
    用構造材は前記床板を上に張設した床根太である請求項
    3に記載の木造建築用免震連結構造。
  5. 【請求項5】 前記免震兼脱気ゴムマットが介在される
    一方の前記建築用構造材はコンクリート製基礎であり、
    他方の前記建築用構造材は前記基礎に載置される土台で
    あり、前記基礎と前記土台とは前記連結金具により連結
    されている請求項3に記載の木造建築用免震連結構造。
  6. 【請求項6】 枠組壁工法によって建築される木造建築
    物において、前記免震兼脱気ゴムマットが介在される一
    方の前記建築用構造材は土台及び側根太の上部に敷設さ
    れる床板であり、他方の前記建築用構造材は前記床板の
    上部に組まれる木製壁枠組構造の下枠であり、前記床板
    と前記下枠とは前記連結金具により連結されている請求
    項3に記載の木造建築用免震連結構造。
  7. 【請求項7】 枠組壁工法によって建築される木造建築
    物において、前記免震兼脱気ゴムマットが介在される一
    方の前記建築用構造材は上下階間における側根太を含む
    床構造であり、他方の前記建築用構造材は下階の木製壁
    枠組構造の上枠及び上階の木製壁枠組構造の下枠であ
    り、前記上下階の木製壁枠組構造の縦枠である柱が前記
    側根太を含む床構造を貫通する前記連結金具によって連
    結されている請求項3に記載の木造建築用免震連結構
    造。
  8. 【請求項8】 前記免震兼脱気ゴムマットと当接して前
    記枠組構造の内側に位置する木製枠組構造の前記上枠又
    は前記下枠には、前記免震兼脱気ゴムマットの前記脱気
    路又は前記脱気孔と連通し且つ前記枠組構造の内面に開
    口する脱気孔が穿設されている請求項6又は7に記載の
    木造建築用免震連結構造。
  9. 【請求項9】 前記連結金具は前記建築用構造材として
    のコンクリート製基礎に前記連結部が埋設されたアンカ
    ーボルトである請求項3に記載の木造建築用免震連結構
    造。
  10. 【請求項10】 前記連結金具は前記木製建築用構造材
    を構成する柱に連結される連結部と、前記土台に形成さ
    れた貫通孔又は前記土台と前記木製建築用構造材を構成
    する根太とに形成された貫通孔に挿通された前記木造建
    築用免震ゴム体の挿通孔に挿通する軸部とから成るホー
    ルダウン金具である請求項3に記載の木造建築用免震連
    結構造。
  11. 【請求項11】 前記抜止め手段は、前記連結金具の前
    記軸部の先端において前記土台の下面と係合する平板
    部、又は前記土台を載置する前記基礎への埋設部から構
    成されている請求項3に記載の木造建築用免震連結構
    造。
  12. 【請求項12】 前記木製建築用構造材は柱材と前記柱
    材に固定された板材から成る枠組材から構成され、前記
    枠組材に形成された貫通孔内に前記木造建築用免震ゴム
    体が挿入され、前記連結金具は前記木造建築用免震ゴム
    体の前記挿通孔に挿通して前記枠組材に係合する挿通ボ
    ルトで構成されている請求項3に記載の木造建築用免震
    連結構造。
  13. 【請求項13】 前記連結金具は、前記木製建築用構造
    材を構成する胴差や梁の横設構造材に連結される板部、
    前記横設構造材に対して連結された前記木製建築用構造
    材を構成する柱に形成された貫通孔に挿通した前記木造
    建築用免震ゴム体の前記挿通孔に挿通したボルト部、及
    び前記柱から前記木造建築用免震ゴム体の抜け出しを防
    止する前記ボルト部のねじに螺入する前記抜止め手段を
    構成するナットから構成されている請求項3に記載の木
    造建築用免震連結構造。
JP1706196A 1996-01-08 1996-01-08 木造建築用免震兼脱気ゴムマット及びそれを組み込んだ木造建築用免震連結構造 Pending JPH09184218A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110409517A (zh) * 2019-09-04 2019-11-05 河南省水利勘测设计研究有限公司 箱式变电站抗震结构及其施工方法
CN110409516A (zh) * 2019-09-04 2019-11-05 河南省水利勘测设计研究有限公司 箱式变电站抗震基础结构及其施工方法

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CN110409517A (zh) * 2019-09-04 2019-11-05 河南省水利勘测设计研究有限公司 箱式变电站抗震结构及其施工方法
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