JPH09180721A - リチウム電池用電極とその製造方法及び電気化学装置とその製造方法 - Google Patents

リチウム電池用電極とその製造方法及び電気化学装置とその製造方法

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JPH09180721A
JPH09180721A JP7342849A JP34284995A JPH09180721A JP H09180721 A JPH09180721 A JP H09180721A JP 7342849 A JP7342849 A JP 7342849A JP 34284995 A JP34284995 A JP 34284995A JP H09180721 A JPH09180721 A JP H09180721A
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JP
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carbon
carbon material
electrode
electrolytic solution
fluorine
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JP7342849A
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English (en)
Inventor
Akio Hibara
昭男 檜原
Keiichi Yokoyama
恵一 横山
Shigeru Fujita
茂 藤田
Tokuo Komaru
篤雄 小丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Sony Corp
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭
素材料からなる電極において、使用可能な電解液溶媒の
選択の自由度を広げる。 【解決手段】 リチウム電池用電極の構成材料として、
リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料であ
って、炭素材料の表面をX線光電子分光法にて測定した
場合に、炭素材料を構成する炭素原子の最内核電子(C
1s)の炭素−炭素結合エネルギーを基準として高いエネ
ルギー側に6.5〜11.5eVシフトした範囲にC1s
のピークを有する炭素材料を使用する。この炭素材料
は、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料
に、フッ素置換炭酸エステル化合物を含む非水溶媒にリ
チウム塩を溶解した電解液を使用して電気化学的還元処
理を行なうことによって得られ、リン酸エステルを含む
電解液を使用してもリチウムイオンを充分にドープ・脱
ドープできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液電池、
コンデンサ等の電気化学装置に使用される炭素材料から
なる電極およびその製造方法、さらに炭素材料からなる
電極を用いた電気化学装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から非水電解液を用いた電池は、高
電圧、高エネルギー密度を有し、且つ貯蔵性などの信頼
性に優れているため、民生用電子機器の電源として広く
用いられている。このような電池に使用される電極物質
の中でも、リチウムは最も高い還元能力を持ち、原子量
が小さく単位体積当りの充填量が高い。従って、金属リ
チウムを負極に使用すると、最も高いエネルギーを持つ
電池を得ることができる。
【0003】しかし、金属リチウム、またはリチウム合
金の電極は、充放電を繰返すと電解液中のリチウムイオ
ンが不均一に電極上に析出し、デンドライトと呼ばれる
針状の反応性の高い金属が析出し堆積する場合が多い。
このようなリチウム金属を電極に使用した電池の問題点
を解決するために、電池の負極に炭素材料を使用し、正
極にLiCoO2、LiNiO2、LiMn24等のリチ
ウムと遷移金属の複合酸化物を使用した、ロッキングチ
ェア型と呼ばれる二次電池が開発された。このロッキン
グチェア型の電池においてはリチウムは充放電時にイオ
ン状態のまま炭素負極と金属酸化物正極間を往来するの
みで、金属状態にならないためデンドライトが生成しな
い。このため安全性が向上し、過充電、外部ショート、
釘刺し、押しつぶし等の実験によっても安全性が確認さ
れ、民生用高エネルギー電池として広く出回るようにな
った。
【0004】このような電池は今後も更に高エネルギー
化することが期待され、種々の試みがなされているが、
その試みの一つとして、炭素電極へのリチウムイオンの
吸蔵量を高める取組みがなされている。例えば、真密度
が高く理論上の限界値近くまでリチウムイオンを吸蔵で
きる黒鉛や黒鉛化度の高い炭素を使用する研究(J.Elec
trochem.Soc.,Vol.140,No.9(1993),2490-2498)や、リ
チウムイオンを黒鉛の理論吸蔵量以上にドープできる非
晶質炭素やポリアセンなどのパイロポリマーを負極に使
用する研究(Synthetic Metals,62(1994),153-158)が
盛んになされている。
【0005】一方、これらの電池は高電圧を発生するた
め、使用される電解液は電気分解され難い必要があり、
電解液の面からの研究も種々なされている。例えば負極
に炭素材料を使用し、正極にLiCoO2等のリチウム
と遷移金属との複合酸化物を使用した電池では、耐電圧
の高い非プロトン性の有機溶媒にリチウム塩を溶解した
ものが使用されている。
【0006】また今後のさらなるエネルギーの高密度
化、電池の大型化に対応するためには、安全性をさらに
向上することが課題の一つであり、このため自己消火性
のある化合物として知られるリン酸エステル類を電解液
に添加して電解液を難燃化することなどが提案されてい
る(特開平4−184870号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭素材
料を電極とする電池に使用する電解液としては、十分な
耐電圧を持つことに加えて炭素材料上で分解反応が起こ
らないことが必要である。しかるに電解液の含有成分に
よっては炭素材料上で分解反応が起こることがあり、こ
の分解反応のため炭素材料にリチウムイオンを充分にド
ープ・脱ドープできず、電池性能が低下する場合が多い
ことが知られている。
【0008】例えば、粉末X線回折の(002)面間隔
が3.4А以下の黒鉛や黒鉛化度の高い炭素材料では、
炭酸プロピレンを主成分に含んだ電解液を使用した場
合、溶媒の分解が起こり、リチウムイオンのドープ・脱
ド−プが妨害される。また前述したように電池の安全性
を高めるために自己消火性のあるリン酸エステル類を2
0体積%以上添加した場合、黒鉛や非晶質炭素を問わず
炭素材料へのリチウムイオンのドープ・脱ドープの効率
やエネルギー密度が低下することが判明した。
【0009】このため、炭素材料を電極に使用する二次
電池に対しては、電解液として、耐電圧が高く、且つリ
チウムイオンを充分にドープ・脱ドープできるもののみ
が適用可能であって、適用可能な電解液の種類が限定さ
れ、リン酸エステル類を多量に含有する電解液により難
燃化の向上や、電池特性の向上などの機能を付与するこ
とができないことが問題となっていた。
【0010】本発明は上記の問題点に鑑みなされたもの
で、従来においては炭素材料にリチウムイオンを充分に
ドープ・脱ドープできなかった電解液を使用しても、リ
チウムイオンを充分にドープ・脱ドープできる炭素材料
からなる電極を提供することを目的とし、これにより、
電池等における電解液溶媒選択の自由度を広げ、電池特
性の向上や難燃化などの所望の機能を電池に適宜付与す
ることを可能にすることを目的とする。
【0011】より詳しくは、自己消火性を持つリン酸エ
ステルを電解液に使用しても充分にドープ・脱ドープで
きる炭素材料からなる電極を提供するものである。ま
た、リン酸エステルを含む電解液を使用しても充分な性
能を示す電気化学的装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素材料
を電極に使用した電池における電解液溶媒選択の自由度
を広げることについて鋭意研究を行った。この結果、炭
素材料の表面をX線光電子分光法にて測定したとき、炭
素材料を構成する炭素原子の最内核電子(以下、C1sと
記載する)の炭素−炭素結合エネルギーよりも、6.5
〜11.5eV高いエネルギー側にシフトしたところ
に、C1sの結合エネルギーピークを有する炭素材料は、
リン酸エステルを含む電解液を使用してもリチウムイオ
ンを充分にドープ・脱ドープできるようになることを見
い出した。
【0013】即ち、本発明のリチウム電池用電極は、リ
チウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を含む
リチウム電池用電極において、炭素材料の表面をX線光
電子分光法にて測定したとき、炭素材料を構成するC1s
の炭素−炭素結合エネルギーよりも高エネルギー側に
6.5〜11.5eVシフトした範囲にC1sの結合エネ
ルギーのピークを有するものであり、具体的には、炭素
材料を構成する炭素原子のC1sの結合エネルギーを28
4.5eVとしたとき、291〜295eVの範囲にC
1sのピークを有するものである。好適には、炭素−炭素
結合エネルギーよりも高エネルギー側に7.5〜8.5
eVシフトした範囲にピークを有する炭素材料を用いる
ものである。
【0014】一般にX線光電子分光法によれば、内核電
子の結合エネルギーはほぼ個々の原子に特有の値を示す
が、原子のおかれた化学的環境によってその値はいくら
かシフトすることが知られており、このシフトしたピー
クを検出することにより炭素原子に結合した原子ないし
基を同定することができる。このような同定法によれ
ば、本発明の炭素材料に見られるピークは、フッ素又は
フッ素が結合した炭素が3原子以上結合した炭素に起因
する特徴的なものである。それ以外の場合は、いずれの
場合も291eV未満にC1sのピークを有する。このこ
とから、このピークを有する炭素材料は表面にフッ素置
換炭素を含む表面層が形成されていると考えられる。
【0015】即ち、本発明のリチウム電池用電極は、リ
チウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を含む
リチウム電池用電極において、炭素材料の表面にフッ素
置換炭素を含む表面層が形成されている炭素材料を用い
るものである。表面にこのような特定の表面層が形成さ
れている炭素材料は、リン酸エステル類を含む電解液の
ように従来の炭素材料ではリチウムイオンを充分にドー
プ・脱ドープができない電解液を使用した場合にも、ド
ープ・脱ドープ特性が阻害されにくくなる。この表面層
の作用は次のように考えられる。
【0016】即ち、従来の表面処理を行わない炭素材料
からなる電極においてリチウムイオンを充分にドープ・
脱ドープができない電解液を使用した場合、炭素材料上
で溶媒が多量に分解し炭素材料表面に溶媒の分解堆積物
が生成して炭素材料表面と電解液の界面抵抗が大きく増
大することにより、また、炭素材料からなる電極中で溶
媒が分解してガスが発生しその圧力により炭素材料から
なる電極の構造が破壊される等により、ドープ・脱ドー
プが妨害されると考えられている。
【0017】これに対して、フッ素置換アルキル基を有
する化合物を含有する非水電解液を使用して炭素材料か
らなる電極を電気化学還元処理すると、炭素材料表面の
電気化学的活性部位にフッ素置換炭素を含む表面層が形
成される。この表面層はリチウムイオンは透過するが溶
媒は透過せず、しかも充分薄いために界面抵抗もそれほ
ど増大させないものと考えられる。そして、この表面層
が形成された炭素材料においては、この表面層によって
電解液溶媒と炭素材料表面との直接の接触が防止される
ため、電気化学還元時に従来の炭素材料上で多量に分解
して悪影響を及ぼした溶媒を使用しても、溶媒の分解が
抑制され炭素材料に悪影響を及ぼさなくなると考えられ
る。
【0018】本発明のリチウム電池用電極の製造方法
は、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料
に、フッ素置換炭酸エステル化合物を含む非水溶媒にリ
チウム塩を溶解した電解液を使用して電気化学的還元処
理を行なうものである。好適には、フッ素置換炭酸エス
テル化合物が、一般式[1]で表されるものである。
【0019】
【化2】
【0020】(式中R1は炭素数が1〜4個のアルキル
基またはフッ素原子置換アルキル基を表し、R2は炭素
数が2〜4個のフッ素原子置換アルキル基を表す。) 本発明の方法によれば、炭素材料の、リチウムイオンの
ドープ・脱ドープに関わる電気化学活性部位のみに、も
れなく表面層を形成することができる。本発明の電気化
学装置は、上述した炭素材料を電極として用いたもので
あり、具体的には少なくともリチウムイオンをドープ・
脱ドープ可能な炭素材料からなる電極と、リチウムイオ
ンの供給源となる対極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解
した電解液を有するものであり、炭素材料としてその表
面をX線光電子分光法にて測定したとき、炭素材料を構
成するC1sの炭素−炭素結合エネルギーを基準として高
エネルギー側に6.5〜11.5eVシフトした範囲に
C1sの結合エネルギーのピークを有するもの、すなわち
表面にフッ素置換炭素を含む表面層が形成されているも
のを用いる。好適には、電解液がリン酸エステルを含有
するものである。
【0021】本発明の電気化学装置は、フッ素置換炭素
を含む表面層を有する炭素材料から成る電極を使用して
いるため、この表面層による前述の作用により、従来は
分解性のため電解液に適さなかった電解液を使用して
も、充分なエネルギー密度及びサイクル特性を確保する
ことができる。特に、電解液に自己消火性を有するリン
酸エステルを含有することにより、電解液が難燃化され
て従来の電気化学装置である電池よりも安全性が向上す
る。
【0022】さらに、本発明の電気化学装置の製造方法
は、少なくともリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能
な炭素材料からなる電極と、リチウムイオンの供給源と
なる対極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液を
有する電気化学装置の製造するものであって、フッ素置
換アルキル基を有する化合物を含有する電解液を使用し
て電気化学装置の充電及び放電を行ない炭素材料を酸化
・還元した後、電解液をリン酸エステルを含有する電解
液に変更するものである。好適には、フッ素置換アルキ
ル基を有する化合物がフッ素置換炭酸エステル化合物で
あることが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウム電池用電
極を詳細に説明する。本発明のリチウム電池用電極は、
その構成材料としてリチウムイオンをドープ・脱ドープ
可能な炭素材料を含むものであり、このような炭素材料
は、好適にはリチウム二次電池の電極の活物質として用
いられるものである。そして、炭素材料の表面をX線光
電子分光法にて測定したとき、炭素材料を構成する炭素
−炭素結合のみを有する炭素原子のC1sより高エネルギ
ー側に6.5〜11.5eVシフトした範囲にC1sのピ
ークを有する炭素材料であり、表面にフッ素置換炭素の
表面層を有するものである。
【0024】炭素材料としては、黒鉛、非晶質炭素など
の炭素の他に、カーボンブラックや有機物の熱処理体な
ども適用することができ、好適には熱処理温度が700
℃程度から2000℃程度までの非晶質炭素、熱処理温
度が2000℃以上の黒鉛類似構造炭素材料または黒鉛
(これらを以下、黒鉛材料と総称する)を使用すること
ができる。
【0025】非晶質炭素は、面間隔が3.4オングスト
ローム以上あり、リチウムイオンが炭素網面間に侵入す
る抵抗が低いために、電解液選択の幅が広いという特徴
がある。また、上述の黒鉛類似構造または黒鉛は、面間
隔が3.4オングストローム以下で、真密度が高いため
リチウムイオンの単位体積当りの吸蔵量が大きいという
特徴がある。
【0026】このような非晶質炭素の代表例としては、
フルフリルアルコール或いはフルフラールのホモポリマ
ー、コポリマー、又は、他の樹脂との共重合によりなる
フラン樹脂を焼成し、炭素化したものがある。さらに、
出発原料となる有機材料としては、フェノール樹脂、ア
クリル樹脂、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセチレ
ン、ポリ(p−フェニレン)等の共役系樹脂、セルロー
ス及びその誘導体、任意の有機高分子系化合物を使用す
ることができる。また、特定のH/C原子比を有する石
油ピッチを不融化し、400℃以上まで溶融することな
く固相状態で炭素化することにより非晶質炭素となる。
さらに、非晶質炭素にリンを含有させ、リン、酸素、炭
素を主成分とした化合物も利用可能である。
【0027】以上の原料有機材料を用いて炭素材料を得
る場合、例えば、300〜700℃で炭化した後、昇温
速度毎分1〜100℃、到達温度900〜1300℃、
到達温度での保持時間0〜30時間程度の条件で焼成す
ればよい。もちろん、場合によっては炭化操作を省略し
てもよい。本発明に使用する炭素材料は粉砕・分級して
負極材料に供されるが、この粉砕は炭化、か焼、高温熱
処理の前後、或いは昇温過程の間いずれで行ってもよ
い。
【0028】また黒鉛材料としては、天然黒鉛或いは有
機材料を炭化し、さらに高温処理された人造黒鉛が使用
可能である。この人造黒鉛を生成するに際して出発原料
となる代表的な有機材料としては、石炭やピッチがあ
る。更にピッチとなる出発原料としてはポリ塩化ビニル
樹脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、
3,5−ジメチルフェノール等がある。
【0029】これら石炭、ピッチは炭素化の途中最高4
00℃程度で液状で存在し、その温度で保持することで
芳香環同士が縮合、多環化して積層配向した状態とな
り、その後500℃程度以上の温度になると固体の炭素
前駆体、即ちセミコークスを形成する。このような過程
を液層炭素化過程と呼び、黒鉛類似構造をもつ易黒鉛化
炭素の典型的な生成過程である。
【0030】以上の有機材料を出発原料として所望の人
造黒鉛を生成するには、例えば、上述の有機材料を窒素
等の不活性ガス気流中、300〜700℃で炭化した
後、不活性ガス気流中、昇温速度毎分1〜100℃、到
達温度900〜1500℃、到達温度での保持時間0〜
30時間程度の条件でか焼する。このプロセスまで経た
ものが易黒鉛化性炭素材料であり、これを本発明の黒鉛
材料として用いることもできる。この易黒鉛化性炭素材
料をさらに2000℃以上好ましくは2500℃以上で
熱処理されることによって人造黒鉛を得ることができ
る。もちろん、場合によっては炭化やか焼操作を省略し
てもよい。
【0031】尚、得られた黒鉛材料は負極材料として用
いることができ、その場合分級或いは粉砕・分級して負
極材料に供される。粉砕は炭化、か焼の前後、或いは黒
鉛化前の昇温過程の間のいずれで行ってもよく、この場
合最終的には粉末状態で黒鉛化のための熱処理が行われ
る。本発明のリチウム電池用電極の形状としては、適用
される電池、電気化学装置等により所定の形状とするこ
とができ、繊維状、粒子状、フィルム状等何れであって
もよく、何れの場合も、リチウムイオンを充分に吸蔵・
放出ができるよう適当な表面積を持つ必要がある。この
形状に成形するためには、前述の炭素材料の粒子をバイ
ンダーで固めて成形する。このバインダーとしては電解
液に溶解しない樹脂であれば使用することができるが、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンな
どのフッ素樹脂やエチレン−プロピレン−ジエンターポ
リマーなどのポリオレフィンなどが好適に使用される。
【0032】次に本発明のリチウム電池用電極の製造に
ついて説明する。本発明のリチウム電池用電極は上述の
ように、炭素材料として炭素材料の表面層の構造内にフ
ッ素置換炭素を有するものを用いるものであり、一般に
炭素材料の表面にフッ素置換炭素を含む表面層を形成す
る方法としては次のような方法が考えられる。例えば、
1)フッ素或いはフッ素化試薬と炭素材料との反応によ
るもの、2)フッ素置換アルキル基を有するリチウム化
合物などの有機金属化合物やフッ素置換アルキル化試薬
と炭素材料との反応によるもの、3)炭素材料とアルカ
リ金属等の層間化合物とフッ素置換アルキル基を有する
化合物またはフッ素化合物との反応によるもの、4)フ
ッ素置換アルキル基を有する化合物やフッ素化合物のガ
スを用いた化学蒸着法(CVD)やプラズマ処理による
もの、5)フッ素置換アルキル基を有する化合物やフッ
素化合物を含有する電解液中で炭素材料を電気化学的に
酸化又は/かつ還元する方法によるもの。
【0033】しかし、例えば、バインダーとして用いら
れるポリテトラフルオロエチレンと炭素材料とを混合す
る方法や、ポリフッ化ビニリデンのN−メチルピロリド
ン溶液と炭素材料とを混合し、N−メチルピロリドンを
蒸発させるなどの方法でフッ素置換アルキル基を有する
化合物と炭素材料とを混合する場合には、表面層と炭素
材料との密着性が十分でなく、リン酸エステルを含む電
解液を使用したときのリチウムイオンのドープ・脱ドー
プ効率やエネルギー密度の低下を抑制することができな
い。
【0034】また、フッ素置換炭素を有する表面層の形
成は、炭素材料の表面、特に電気化学的活性部位に行わ
れればよく、表面層が厚くなりすぎた場合はリチウムイ
オンが透過しにくくなり、これを用いた電気化学装置の
性能が低下する。このため、フッ素化試薬との反応によ
り炭素材料を得る場合には、反応量をコントロールして
表面層が厚くなりすぎないようにしなければならない。
同様に、炭素材料中の炭素全てがフッ素化されたリチウ
ム1次電池の正極材に使用されるフッ化炭素などは使用
できない。
【0035】以上のことを考慮すると、上述のフッ素置
換炭素の形成方法のうち、フッ素置換アルキル基を有す
る化合物やフッ素化合物を含有する電解液中で炭素材料
を電気化学的に酸化又は/かつ還元する方法は、リチウ
ムイオンのドープ・脱ドープに関わる電気化学活性部位
のみにもれなく表面層が形成されると考えられ望まし
い。
【0036】本発明による方法では、特に後述するよう
な分子内にフッ素置換アルキル基を有する化合物(以
下、フッ素置換化合物と略す)を含有する溶媒であっ
て、且つ炭素材料にリチウムイオンを充分にドープ・脱
ドープできる溶媒にリチウムイオンが溶解された電解液
を使用して、電極に設置される炭素を一定の電位まで電
気化学還元処理することにより形成する。
【0037】ここでフッ素置換化合物としては、フルオ
ロエステル類、フルオロエーテル類、フルオロアミド
類、フルオロカーバメート類などが挙げられる。特に好
ましくは、フッ素置換炭酸エステルが用いられる。フッ
素置換炭酸エステルは、これを含む電解液を使用して表
面層を形成した炭素材料を電極に使用した場合、リチウ
ムイオンのドープ・脱ド−プ量が最も大きくなるため、
好ましい。
【0038】フッ素置換炭酸エステルとしては、炭酸メ
チル−2,2,2−トリフルオロエチル、炭酸メチル−
2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、炭酸メチル
−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、炭酸
メチルヘキサフルオロイソプロピル、炭酸エチル−2,
2,2−トリフルオロエチル、炭酸エチル−2,2,
3,3−テトラフルオロプロピル、炭酸エチル−2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、炭酸エチル
ヘキサフルオロイソプロピル、炭酸ジ−2,2,2−ト
リフルオロエチル、炭酸−2,2,2−トリフルオロメ
チル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等
の鎖状のフッ素置換炭酸エステルや、炭酸フルオロエチ
レン、炭酸−1,2−ジフルオロエチレン、炭酸−3−
フルオロプロピレン、炭酸−3,3−ジフルオロプロピ
レン、炭酸−3,3,3−トリフルオロプロピレン、炭
酸−1,3,3−テトラフルオロプロピレン、炭酸−
1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ2,3−ブチ
レン等の環状の炭酸エステル類などを挙げることがで
き、特に好適なものとして炭酸メチルトリフルオロエチ
ル、炭酸ジトリフルオロエチル、炭酸メチルペンタフル
オロプロピル、炭酸−3,3,3−トリフルオロプロピ
レン、炭酸フルオロエチレン、炭酸−3フルオロプロピ
レン等が挙げられる。
【0039】電解液におけるフッ素置換化合物の添加量
は、フッ素置換化合物の添加量が多いほど、電気化学還
元処理の効果が大きくなるが、電解液の電導度が低下す
るので、そのバランスを考慮し、溶媒全体に対して10
から90体積%、好ましくは20から60体積%であ
る。また本発明のリチウム電池用電極の製造方法に使用
される電解液は、上述のフッ素置換化合物以外に溶媒と
して、炭素材料にリチウムイオンを充分にドープ・脱ド
ープできる電気化学的安定性に優れる非プロトン性で、
電解質塩の溶解性に優れる化合物が含有される。このよ
うな特性を有する化合物としては、炭酸エステル類、エ
ステル類、エーテル類、アミド類、環状スルホン化合物
が挙げられが、イオン電導度の高い電解液とするために
高誘電率溶媒と低粘度溶媒とを混合して用いることが好
ましい。
【0040】高誘電率溶媒としては、炭酸エチレン、炭
酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレンなどの環状
炭酸エステル、γ−ブチロラクトンなどの環状エステ
ル、N−メチルピロリドンなどの環状アミド、N−メチ
ルオキサゾリジノンなどの環状カーバメート、スルホラ
ン等の環状スルホンなどが挙げられる。低粘度溶媒とし
ては、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルプ
ロピル、炭酸ジエチル、炭酸メチルトリフルオロエチ
ル、炭酸ジトリフルオロエチルなどの炭酸エステル類、
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸トリフル
オロエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸トリフルオロエチル、プロピオン酸メチル、プロピ
オン酸エチル、プロピオン酸プロピル、トリフルオロ酢
酸メチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸
プロピル、トリフルオロ酢酸トリフルオロエチル、ペン
タフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピ
オン酸エチル、ペンタフルオロプロピオン酸プロピル、
ペンタフルオロプロピオン酸トリフルオロエチル等のエ
ステル類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジ
オキソラン、ジトリフルオロエトキシエタンなどのエー
テル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等のアミド類、メチルジメチルカーバメートなどのカー
バメート類など鎖状の低粘度で極性基を有す化合物など
が挙げられる。
【0041】高誘電率溶媒は、誘電率は高いが粘度が高
く、一方低粘度溶媒は、誘電率は低いが低粘度でイオン
移動速度が速い。従ってこれら高誘電率溶媒と低粘度溶
媒を、最もイオン電導度が高くなるように、好適な混合
割合で使用することにより、両者の長所が引き出され
て、イオン電導度及び誘電率が高い特性を満足する電解
液を得ることができる。高誘電率溶媒と低粘度溶媒を混
合する場合は、体積比で9:1から1:9、好適には
8:2〜2:8の割合で混合して使用する。これにより
イオン電導度をそれぞれ単独の場合よりも向上させるこ
とができるこのような溶媒に溶解され、電解液に含有さ
れる電解質としては、リチウム塩が用いられる。具体的
には、LiPF6、LiBF4、LiSO3CF3、LiA
sF6、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF3
3、LiSbF6、LiBPh4等が挙げられる。これら
電解質を溶解する濃度は、0.1から3モル/リットル
であればよく、特に0.5から2モル/リットルが電解
液の電導度が高くなるため好ましい。
【0042】本発明のリチウム電池用電極の製造方法に
使用される電解液は、炭素材料にリチウムイオンを充分
にドープ・脱ドープできるものであることが必要である
が、このドープ・脱ドープ特性は電極に用いられる炭素
の面間隔、結晶子の大きさ、表面積等の構造に関わり、
特に炭素の面間隔に大きく依存する。例えば、熱処理温
度が700℃程度以上2000℃程度までの非晶質炭素
は、面間隔が3.4オングストローム以上あり、リチウ
ムイオンが炭素網面間に侵入する抵抗が低いために、電
解液選択の幅が広く、前掲の電解液を用いてリチウムイ
オンをドープ・脱ドープすることができる。従って前掲
の電解液を用いて、このような非晶質炭素を電気化学的
に還元処理することにより、効果的に本発明の炭素材料
を製造することができる。特に、高誘電率溶媒に炭酸エ
ステルを使用し、低粘度溶媒に炭酸エステル、エステ
ル、アミドもしくはエーテルを使用し、この両者の混合
溶媒からなる電解液を使用して表面層を形成して得られ
た炭素材料を適用した電池においては、リチウムイオン
のドープ・脱ドープ量が最も大きくなるため望ましい。
【0043】また、炭素材料として、熱処理温度が20
00℃以上の黒鉛類似構造の炭素または黒鉛は、面間隔
が3.4オングストローム以下であり、通常の溶媒を使
用した電解液で電気化学的処理した場合、充放電時に溶
媒の分解を伴う可能性がある。従ってこのような黒鉛類
似構造または黒鉛に表面層を形成する際に使用される電
解液は、これらの負極にリチウムイオンを充分に充放電
できる電解液として、前述の溶媒に炭酸エチレンが含ま
れる必要がある。この場合、炭酸エチレンの混合量は、
溶媒全体に対して10体積%以上、好ましくは20体積
%以上とする。
【0044】更に炭酸エチレンは高誘電率溶媒であるの
で、低粘度溶媒と混合して用いることが好ましく、この
場合高誘電率溶媒は、炭酸エチレンのみであってもよい
が、炭酸エチレン及び炭酸プロピレン、または炭酸エチ
レン及び炭酸ブチレン、あるいは炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレン及び炭酸ブチレンの組合わせの中から選ばれる
混合物を用いることも可能である。この場合、炭酸エチ
レンは高誘電率溶媒に対して少なくとも30体積%以上
含まれることが望ましい。30体積%以上とすることに
より、炭素材料上で溶媒の分解を抑制することができ
る。
【0045】以上説明したフッ素置換化合物を含む電解
液を用いて炭素材料を一定の電位まで電気化学還元処理
するには、一方の電極を炭素材料からなる電極とし、リ
チウムイオン源になる電極を対極とし、フッ素置換化合
物を含む電解液を使用した電気化学装置を作製し、両電
極間の電圧が所定の電圧になるまで放電し、次いで所定
の電圧になるまで充電することにより行うことができ
る。この際、炭素材料からなる電極の還元電位が0.1
V(Li/Li+を基準とする)以下に電気化学還元処
理を行う必要があり、より好ましくは0.05V以下に
電気化学還元処理を行う必要がある。還元電位を0.1
V以下とすることにより、処理後の炭素材料からなる電
極を用いた電池において、本来的にはリチウムイオンを
充分にドープ・脱ドープできない電解液を用いた場合で
も、この電極にリチウムイオンを充分にドープ・脱ドー
プさせることができる。特にリン酸エステルを含有する
電解液においても充分なドープ・脱ドープ特性を維持す
ることができる。
【0046】尚、炭素材料の表面にフッ素置換炭素を含
む表面層が形成されている炭素材料を用いる本発明のリ
チウム電池用電極は、以上述べたフッ素置換炭素の形成
方法によって形成された炭素材料を用いるものに限定さ
れるものではなく、例えば、炭素をフッ化カリウム−フ
ッ化水素(KF−2HF)浴中で電解する方法や、フッ
素ガスで処理する方法によって製造された炭素材料も使
用することができる。このような炭素材料は、炭素網面
のエッジ部分に直接フッ素が結合した構造を持ち、フッ
素の低い表面エネルギーにより反応基質が炭素に接近し
にくくなり、「陽極効果」と呼ばれる特異的な電解反応
妨害の効果が現れることが知られている(石川延男ら
著、化学総説27号、新しいフッ素化学、1980、学
会出版センター)。
【0047】更に黒鉛材料のエッジ面に水酸基を導入し
た後、この水酸基を炭酸ジトリフルオロエチル、炭酸ジ
ペンタフルオロプロピル等のフッ素置換炭酸エステル中
でエステル交換する方法も採用することができる。この
場合、黒鉛材料のエッジ面に水酸基を導入するために
は、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウムヒド
ロキシド等の水溶液を用いることができる。またエステ
ル交換の触媒としては炭酸カリウム等のアルカリ塩を用
いることができる。
【0048】このようにして得られた炭素材料も、電気
化学的還元処理によって得られた炭素材料と同様に、リ
チウムイオンのドープ・脱ドープに関わる電気化学活性
部位にもれなく表面層が形成され、リチウム電池用電極
として用いたときに電解液の選択性を広げ、且つ充分な
エネルギー密度及びサイクル特性を確保することができ
る。
【0049】次に本発明の電気化学装置について説明す
る。本発明の電気化学装置は、少なくともリチウムイオ
ンをドープ・脱ドープ可能な炭素材料からなる電極と、
リチウムイオンの供給源となる対極と、非水溶媒にリチ
ウム塩を溶解した電解液を有する電気化学装置であっ
て、電極として以上説明した炭素材料を使用する。
【0050】ここで炭素材料としては、予めフッ素置換
炭素を含有する表面層を形成した炭素材料を使用して電
極を作製し電気化学装置を作製してもよい。また電気化
学装置を作製した後に、炭素材料からなる電極にフッ素
置換炭素を含有する表面層を形成してもよい。即ち、最
終的に炭素材料からなる電極の表面にフッ素置換炭素を
含有する表面層が形成されていればよい。尚、電気化学
装置の作製プロセスを簡単にするためには、電気化学装
置を作製後、その装置内で電極を構成する炭素材料にフ
ッ素置換炭素を含む表面層を形成することが望ましい。
【0051】このため具体的には、フッ素化合物を含む
電解液を使用してこの電気化学装置を作製し、炭素材料
からなる電極を前述した一定電圧まで還元処理する。フ
ッ素置換化合物を含む電解液は、前述の炭素電極を作製
するときに例示したものが使用される。好適には、電解
液に含有されるフッ素置換化合物が前述のフッ素置換炭
酸エステルである場合に、炭素材料からなる電極にリチ
ウムイオンのドープ・脱ドープが充分に起こるために望
ましい。炭素材料からなる電極を還元する電位は前述の
炭素電極を作製する電位と同様でよい。
【0052】本発明の電気化学装置の電解液に用いられ
る非水溶媒としては、本発明による炭素材料の製造方法
において用いられたのと同様に、炭酸エステル類、エス
テル類、エーテル類、アミド類、環状スルホン化合物等
の電気化学的安定性に優れる非プロトン性で、電解質塩
の溶解性に優れる化合物が含まれることが望ましい。こ
の場合にもイオン電導度の高い電解液とするために高誘
電率溶媒と低粘度溶媒とを混合して用いることが好まし
い。
【0053】このような溶媒に溶解され、電解液に含有
される電解質としては、前述同様リチウム塩が用いられ
る。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiSO3
3、LiAsF6、LiN(SO2CF32、LiC
(SO2CF33、LiSbF6、LiBPh4等が挙げ
られる。これら電解質を溶解する濃度は、0.1から3
モル/リットルであればよく、特に0.5から2モル/
リットルが電解液の電導度が高くなるため好ましい。
【0054】本発明の電気化学装置における電解液は、
好適にはリン酸エステル化合物を含有するものである。
これにより電解液が難燃化されて従来の電気化学装置で
ある電池よりも安全性が向上する。リン酸エステル化合
物としては、リン酸アルキル、リン酸ハロゲン化アルキ
ル、リン酸アリール、リン酸アミド、ホスファゼン化合
物等が挙げられるが、電解液の電導度が低下しないよ
う、粘度が低く、誘電率が高いものが好ましい。このよ
うな化合物として、リン酸トリメチル、リン酸ジメチル
エチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル、リ
ン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸ト
リブチル、リン酸トリ(ジメチルアミド)、リン酸トリ
フェニル、ヘキサメトキシホスファゼントリマー等が挙
げられる。リン酸エステル化合物の含有量は1〜90%
で難燃の効果を示すが、少なすぎると難燃の効果が小さ
く、大きすぎると電導度に影響するため、5〜60%が
望ましい。
【0055】本発明の電気化学装置において、予めフッ
素置換炭素を含む表面層を形成した炭素材料を用いて、
電気化学装置を作製する場合は、上述したリン酸エステ
ル化合物を含有する電解液を用いて作製するが、電気化
学装置構成後に炭素材料の表面に表面層を形成する場合
は、前述の炭素材料の製造方法において述べた電解液を
用いて還元処理を行った後に、電解液をリン酸エステル
を含有するものに置換する。
【0056】この置換方法としては、電池中に最初から
あった電解液を一旦廃棄した後に、別のリン酸エステル
を含有する電解液を注入してもよいし、また、最初にあ
った電解液を廃棄することなく別のリン酸エステル又は
リン酸エステルを含有する溶媒を添加してもよい。添加
の方法は、外部から注入してもよく、また、予め電池内
部に設けた液溜に添加する電解液又は溶媒を保存してお
き、少なくとも1回の電池充電を行った後に、この液溜
を開封して注入するなどの方法でもよい。
【0057】尚、本発明の電気化学装置は、上述した構
成を備えていれば電池、コンデンサ等の電気化学装置に
適用することができ、例えば、電池に適用した場合、炭
素電極を負極とし、リチウムイオン源となる対極を正極
とする。但し、リチウムイオン源が金属リチウムの場合
には、炭素電極が正極、金属リチウムが負極となる。ま
た、電池の形状形態は特に限定されず、円筒型、角型、
コイン型、カード型、大型など様々な形状、形態等をと
ることができる。
【0058】
【実施例】以下に実施例を示して、具体的に本発明を説
明する。まず実施例の電池を以下のように作製した。 実施例1、2 1)炭素電極の作製 ポリフッ化ビニリデン(0.25g)を溶解したN−メ
チルピロリドン溶液(5ml)に、炭素材料の粉末
(4.75g)を加えよく混合しペースト状にしたもの
を、銅箔上に塗布、乾燥した後に、コイン(直径10m
m)に打ち抜いて炭素電極を得た。炭素材料としては
(002)面間隔が3.37Åの人造黒鉛(実施例1)
又はフェノール樹脂を1000℃で焼成した非晶質炭素
(実施例2)を用いた。 2)炭素電極の電気化学還元処理 上記炭素電極を更に150℃で真空乾燥した後、図1に
示す文鎮型電池試験セルを用いて、負極7に金属リチウ
ム、正極4に炭素電極をセパレーター6(セルガード3
501)を介して対向させて、表1に示す電解液Aを
0.2ml加えて電池を作製した。この電池を、0.2
5mAの電流で両極間の電圧が0Vになるまで放電し、
1.5Vになるまで充電して炭素電極の電気化学的酸化
還元処理を行った。実施例1では、電解液Aとして、炭
酸エチレン(ECと略す。)と、炭酸メチルエチル(M
ECと略す。)と、炭酸メチルトリフルオロエチル(M
FECと略す。)の体積比5:3:2の混合溶媒に、L
iPF6を1モル/リットル溶解した電解液(EC+MEC+MF
EC(5:3:2)/LiPF6(1M)と略す。)を使用した。
【0059】実施例2では、電解液Aとして、炭酸プロ
ピレンと炭酸メチルエチルと炭酸メチルトリフルオロエ
チルの体積比5:3:2混合溶媒にLiPF6を1モル
/リットル溶解した電解液(PC+MEC+MFEC(5:3:2)/LiPF6
(1M)と略す。)を使用した。 3)電池の作製 2)で電気化学的酸化還元処理を行った炭素電極を、1
0mlの炭酸ジメチル中で1分間撹拌した後によく液を
切る操作を3回繰り返して電極に付着した電解液Aを洗
浄した。次に、炭素電極を、電解液B中で1分間撹拌し
た後によく液を切る操作を3回繰り返して、炭素電極に
電解液Bを充分にしみこませた。この炭素電極、電解液
Bを使用して電池を作製した。
【0060】実施例1では、電解液Bとして、炭酸エチ
レンと、炭酸メチルエチルと、リン酸トリメチル(TM
PAと略す。)の体積比5:3:2の混合溶媒にLiP
6を1モル/リットル溶解した電解液(EC+MEC+TMPA(5:
3:2)/LiPF6(1M)と略す。)を使用して電池を作製した。
実施例2では、電解液Bとして炭酸プロピレンと炭酸メ
チルエチルとリン酸トリメチルの体積比5:3:2の混
合溶媒にLiPF6を1モル/リットル溶解した電解液
(PC+MEC+TMPA(5:3:2)/LiPF6(1M)と略す。)を使用して
電池を作製した。
【0061】実施例1及び2、比較例1〜5で用いた電
解液A、Bを表1にまとめた。
【0062】
【表1】
【0063】以上のように作製した実施例1、2の電池
を用いて、以下のように電池のサイクル試験を行った。
サイクル試験は、0.25mAの定電流で、0Vまで放
電し1.5Vまで充電するサイクルを9回行った。この
ように充放電を行ったときの黒鉛電極あたりの容量のサ
イクル変化を図2(実施例1)及び図3(実施例3)に
示す。尚、図にはサイクル1回目として炭素電極を還元
処理を行った時のリチウムイオンの容量を記した。 比較例1 電極として電気化学処理を施さない黒鉛電極を使用し、
電解液として、ECとMECの体積比1:1の混合溶媒
にLiPF6を1モル/リットル溶解した電解液(EC+MEC
(1:1)/LiPF6(1M)と略す。)を使用して電池を作製し
た。得られた電池の充放電を行ったときの黒鉛電極あた
りの容量のサイクル変化を図2に示す。 比較例2 比較例1と同様の黒鉛電極を使用し、電解液として、実
施例1と同様の電解液(EC+MEC+TMPA(5:3:2)/LiPF6(1
M))を使用して電池を作製した。得られた電池の充放電
を行ったときの黒鉛電極あたりの容量のサイクル変化を
図2に示す。 比較例3 炭素として人造黒鉛を使用し、電解液Aとして、ECと
MECの体積比1:1の混合溶媒にLiPF6を1モル/
リットル溶解した電解液(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))を
使用して電気化学還元処理を行って得られた黒鉛電極を
使用し、電解液Bとして、実施例1と同様の電解液(EC
+MEC+TMPA(5:3:2)/LiPF6(1M))を使用して電池を作製し
た。得られた電池の充放電を行ったときの黒鉛電極あた
りの容量のサイクル変化を図2に示す。
【0064】図2からも明らかなように、リン酸トリメ
チルを添加した電解液を使用した電池(比較例2)で
は、リン酸トリメチルを添加しない電解液を使用した電
池(比較例1)と比較して容量が低下しているが、リン
酸トリメチルを添加した電解液を使用した電池でも本発
明の方法により処理した炭素電極を用いた場合には(実
施例1)、比較例1と同等の容量を示した。また炭素電
極に充分にリチウムイオンのドープ・脱ドープができる
が、フッ素置換炭酸エステルを含まない電解液(EC+MEC
(1:1)/LiPF6(1M))で炭素電池を電気化学的処理した場
合には(比較例3)、容量が低下した。 比較例4 炭素として非晶質炭素を使用し、電気化学処理を施さな
い非晶質炭素電極を使用し、電解液Bとして、PCとM
ECの体積比1:1の混合溶媒にLiPF6を1モル/リ
ットル溶解した電解液(PC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))を使
用して電池を作製した。得られた電池の充放電を行った
ときの非晶質炭素電極あたりの容量のサイクル変化を図
3に示す。 比較例5 比較例4と同様の非晶質炭素電極を使用し、電解液Bと
して、実施例2と同様な電解液(PC+MEC+TMPA(5:3:2)/L
iPF6(1M))を使用して電池を作製した。得られた電池の
充放電を行ったときの非晶質炭素電極あたりの容量のサ
イクル変化を図3に示す。
【0065】炭素として非晶質炭素電極を用いた場合に
も、黒鉛電極の場合と同様に、リン酸トリメチルを添加
した電解液を使用した電池(比較例5)では、容量が低
下したが、フッ素置換炭酸エステルを含む電解液で電気
化学的還元処理した電極を用いた電池(実施例2)で
は、リン酸トリメチルを含まない電解液を使用した電池
(比較例4)と同等の容量を示した。 実施例3、4 1)フッ素置換炭素を含む表面層を形成した炭素材料の
化学的合成(エステル交換法) 実施例1と同じ人造黒鉛の粉末を20%KOH水溶液中
で90℃で1時間加熱し、黒鉛のエッジ面に水酸基を導
入した炭素材料(以下、これを酸化黒鉛と呼ぶ)を得
た。この酸化黒鉛を中和、乾燥した後、0.9gを炭酸
ジトリフルオロエチル9gに加え、更に触媒として炭酸
カリウム6mgを加え、90℃で6時間加熱し、エステ
ル交換反応により酸化黒鉛上の水酸基を炭酸トリフルオ
ロエチル基に交換した(以下、これを炭酸トリフルオロ
エチル化黒鉛と呼ぶ)。この炭酸トリフルオロエチル化
黒鉛を水洗後、乾燥して試料とした。 2)電池の作製 ポリフッ化ビニリデン(0.25g)を溶解したN−メ
チルピロリドン溶液(5ml)に、1)で合成した炭酸
トリフルオロエチル化黒鉛の粉末(4.75g)を加え
よく混合しペースト状にしたものを、銅箔上に塗布、乾
燥した後に、コイン(直径10mm)に打ち抜いて炭素
電極を得た。この電極と実施例1の電解液Bと同様の電
解液(EC+MEC+TMPA(5:3:2)/LiPF6(1M))(実施例3)又
は比較例1の電解液Bと同様の電解液(EC+MEC(1:1)/Li
PF6(1M))(実施例4)を使用して電池を作製した。 実施例5、6 1)フッ素置換炭素を含む表面層を形成した炭素材料の
化学的合成(フッ素との反応による方法) 容量100mlのステンレスオートクレーブ中に実施例1
と同じ人造黒鉛粉末1gを入れ、真空引きしながら20
0℃に加熱し、オートクレーブ内部を乾燥した。常温に
戻した後、0.1気圧のF2ガスをオートクレーブ内に
導入し密閉した後、さらに200℃に加熱し、表面にの
みフッ素を導入した黒鉛(以下、表面フッ素化黒鉛と呼
ぶ)を得た。これを水洗、乾燥して試料とした。 2)電池の作製 1)で合成した表面フッ素化黒鉛の粉末を用いて、実施
例3と全く同様に電極を製造した。この電極と電解液と
して(EC+MEC+TMPA(5:3:2)/LiPF6(1M))(実施例5)又
は(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))(実施例6)を使用して
電池を作製した電池を作製した。
【0066】実施例3〜6で用いた電解液Bを表2にま
とめた。
【0067】
【表2】
【0068】以上のように作製した実施例3〜6の電池
を用いて、実施例1と同様に電池のサイクル試験を行っ
た。充放電を行ったときの黒鉛電極あたりの容量のサイ
クル変化を図4(実施例3、4)及び図5(実施例5、
6)に示す。また比較のために、人造黒鉛電極及び電解
液として(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))を使用した比較例
1のサイクル変化も合せて示した。
【0069】図4及び図5から明らかなように、フッ素
置換炭素を含む表面層を化学的方法で形成した炭素から
なる電極を用いた場合も、フッ素置換炭酸エステルを含
む電解液で電気化学的還元処理を行った炭素電極を用い
た場合と同様にリン酸トリメチルを含んだ電解液を使用
した電池はリン酸トリメチルを含まない電解液を使用し
た電池とほぼ同等の容量を示した。 実施例7 実施例1と同様の電解液(EC+MEC+MFEC(5:3:2)/LiPF6(1
M))を用いて電気化学還元処理した黒鉛電極をMECで
洗浄し、常温で真空乾燥してサンプルを得た。この炭素
電極の表面をXPSにて測定した結果を図6に示す。 比較例6 比較例3と同様の電解液(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))を
用いて電気化学還元処理した黒鉛電極をMECで洗浄
し、常温で真空乾燥してサンプルを得、XPSで測定し
た結果を図7に示す。
【0070】図7では黒鉛とバインダーとして用いたポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)に起因するピークのみ
が観察された。これに対し、図6では黒鉛とPVDFに
起因するピークの他、フッ素置換炭素に起因する29
3.57eVのC1sのピークが観測された。このことか
ら電解液(EC+MEC+MFEC(5:3:2)/LiPF6(1M))にて電気化
学還元処理した黒鉛電極上にはフッ素置換炭素を含む表
面層が形成され、電解液(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))を
用いて電気化学還元処理した黒鉛電極にはこのような表
面層は生成されなかったことがわかる。
【0071】以上のことから、フッ素置換炭酸エステル
化合物を含む非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液を
使用して電気化学的還元処理を行った炭素電極の製造方
法の有効性が明らかになった。また、リン酸トリメチル
を添加した電解液を用いる電池では、予めフッ素置換炭
酸エステル化合物を含む電解液で電気化学還元処理する
ことが効果的であることが明らかになった。 実施例8、9 本発明の電気化学装置に用いる電解液の難燃性を以下の
ように評価した。
【0072】セパレータ用マニラ紙を幅1.5cm、長さ
30cm、厚さ0.04mmの短冊状に切断し、これを電解
液が入ったビーカーに1分以上浸した。マニラ紙から滴
り落ちる過剰の試料をビーカー壁で拭い、マニラ紙を
2.5cm間隔で支持針を有するサンプル台の支持針に刺
して水平に固定した。マニラ紙とサンプル台を25cm×
25cm×50cmの金属製の箱に入れ、一端にライターで
着火し、マニラ紙の燃えた長さを各3回測定した。3回
の測定値の平均値を表3に示した。
【0073】電解液としては、(EC+MEC+TMPA(5:3:2)/L
iPF6(1M))(実施例8)又は(PC+MEC+TMPA(5:3:2)/LiP
F6(1M))(実施例9)を用いた。また比較例として電解
液(EC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))(比較例7)及び電解液
(PC+MEC(1:1)/LiPF6(1M))(比較例8)を使用した。
【0074】
【表3】
【0075】表3からも明らかなように、リン酸トリメ
チルを20%含む電解液は難燃性が高く、着火してもす
ぐに消化したのに対して、比較例7、8の電解液は燃焼
が持続しセパレータがすべて燃焼した。このことからリ
ン酸トリメチルを含む電解液を使用した電池は安全性が
高くなることが容易に推測できる。以上の実施例からも
明らかなように、フッ素置換炭素を含む表面層が形成さ
れた炭素材料からなる電池と、リン酸トリメチルを添加
した電解液を組合せることにより、安全でしかもサイク
ル特性の優れた電気化学装置を構成することができる。
【0076】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、炭素材料からなる電極を特定の電解液で電
気化学的酸化・還元処理することにより、炭素材料の表
面に特定の表面層を形成したため、従来使用すると炭素
電極上で分解反応が生じるためリチウムイオンのドープ
・脱ドープが充分にできなかった電解液を使用しても、
リチウムイオンのドープ・脱ドープが充分にできる。従
って、電解液の溶媒にリン酸エステル等を適宜混合し、
電池などの電気化学装置の難燃化を図ることができる。
【0077】また、本発明の電気化学装置及びその製造
方法によれば、予め炭素電極に対してフッ素置換炭酸エ
ステルを含有する電解液を用いて電気化学装置の充電を
行って炭素電極を電気化学的還元処理することにより、
その後電解液の組成を本来ならば炭素電極に対して充分
にリチウムイオンをドープ・脱ドープできない電解液に
置換しても、変更前の電解液のみを用いている場合と同
等の特性を有する電気化学装置を得ることができる。従
って、置換後の電解液として自己消火性を有するリン酸
エステルを含む電解液を用いることができるため、安全
性の高い電気化学装置を作製するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭素材料からなる電極を製造するた
めの文鎮型電池試験セルを示す図。
【図2】 黒鉛電極を用いた電池におけるサイクル特性
を示す図。
【図3】 非晶質電極を用いた電池におけるサイクル特
性を示す図。
【図4】 炭酸トリフルオロエチル化炭素からなる電極
を用いた電池におけるサイクル特性を示す図。
【図5】 表面フッ素化炭素からなる電極を用いた電池
におけるサイクル特性を示す図。
【図6】 本発明の実施例による電気化学的還元処理を
行った黒鉛のC1sスペクトル。
【図7】 比較例による黒鉛のC1sスペクトル。
【符号の説明】
1・・・・・・充放電装置 2・・・・・・電極 3・・・・・・テフロン絶縁材 4・・・・・・正極(炭素電極) 5・・・・・・O−リング 6・・・・・・セパレータ 7・・・・・・負極(金属リチウム)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 茂 東京都品川区北品川六丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小丸 篤雄 東京都品川区北品川六丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な
    炭素材料を含むリチウム電池用電極において、前記炭素
    材料として、炭素材料の表面をX線光電子分光法にて測
    定したときの結合エネルギーが、前記炭素材料を構成す
    る炭素−炭素結合のみを有する炭素原子の最内核電子
    (1s軌道)の結合エネルギーを基準として高エネルギ
    ー側に6.5〜11.5eVシフトした範囲に炭素原子
    の最内核電子のピークを有する炭素材料を用いることを
    特徴とするリチウム電池用電極。
  2. 【請求項2】前記炭素材料の炭素原子の最内核電子の結
    合エネルギーのピークが、炭素−炭素結合のみを有する
    炭素原子の最内核電子の結合エネルギーを基準として高
    エネルギー側に7.5〜8.5eVシフトした範囲に存
    することを特徴とする請求項1記載のリチウム電池用電
    極。
  3. 【請求項3】リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な
    炭素材料を含むリチウム電池用電極において、前記炭素
    材料はその表面にフッ素置換炭素を含む表面層が形成さ
    れていることを特徴とするリチウム電池用電極。
  4. 【請求項4】リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な
    炭素材料に、フッ素置換炭酸エステル化合物を含む非水
    溶媒にリチウム塩を溶解した電解液を使用して電気化学
    的還元処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし請
    求項3いずれか1項記載のリチウム電池用電極の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記フッ素置換炭酸エステル化合物が、一
    般式[1]で表されることを特徴とする請求項4記載の
    リチウム電池用電極の製造方法。 【化1】 (式中R1は炭素数が1〜4個のアルキル基またはフッ
    素原子置換アルキル基を表し、R2は炭素数が2〜4個
    のフッ素原子置換アルキル基を表す。)
  6. 【請求項6】少なくともリチウムイオンをドープ・脱ド
    ープ可能な炭素材料からなる電極と、リチウムイオンの
    供給源となる対極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解した
    電解液を有する電気化学装置において、前記炭素材料か
    らなる電極が請求項1ないし請求項3いずれか1項記載
    の電極であることを特徴とする電気化学装置。
  7. 【請求項7】前記電解液がリン酸エステルを含有するこ
    とを特徴とする請求項6記載の電気化学装置。
  8. 【請求項8】少なくともリチウムイオンをドープ・脱ド
    ープ可能な炭素材料からなる電極と、リチウムイオンの
    供給源となる対極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解した
    電解液を有する電気化学装置を製造する際、フッ素置換
    アルキル基を有する化合物を含有する電解液を使用して
    前記電気化学装置の充電及び放電を行ない前記炭素材料
    を酸化・還元した後、前記電解液をリン酸エステルを含
    有する電解液に変更することを特徴とする請求項7記載
    の電気化学装置の製造方法。
  9. 【請求項9】前記フッ素置換アルキル基を有する化合物
    を含有する電解液がフッ素置換炭酸エステル化合物であ
    ることを特徴とする請求項8記載の電気化学装置の製造
    方法。
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