JPH09177098A - 鋼製地下室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に屋根部に階段室用開口部などがあって、
屋根パネルを設置できない場合に、地震力などの大きな
水平力によって鋼製地下室の側壁が変形してしまうなど
の課題があった。 【解決手段】 床用、壁用および屋根用としてそれぞれ
構成された複数枚の床パネル３、壁パネル４および屋根
パネル５を備え、かつ、地上に通じる階段室Ａを有して
構築される鋼製地下室において、前記階段室Ａを構成す
る側壁6aの壁芯の延長線上に前記側壁6aを介して前記鋼
製地下室１の内方に作用する水平力Ｐに抵抗する補剛壁
10を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、床用、壁用およ
び屋根用としてそれぞれ構成された複数枚の床パネル、
壁パネルおよび屋根パネルを備え、かつ、ドライエリア
又は地上に通じる階段室を有して構築される鋼製地下室
に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近では、一般の住宅にも地下室を設け
ることが多く、また、この種の地下室は工期の短縮化、
施工の省力化などを図るために床用、壁用及び屋根用と
してそれぞれ構成された複数枚の床パネル、壁パネルお
よび屋根パネルを複数本の接合ボルトなどで連結するこ
とにより構築されている。

【０００３】また、図４に図示するように、地上に通じ
る階段室を設ける必要から、屋根部に階段室用開口部が
設けられ、さらに、地上からの直接採光を可能にするた
めにドライエリアを設けることもよくなされる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、屋根部に階段
室やドライエリア用の開口部を設けると、その開口部に
屋根パネルを設置することができないため、力の流れは
壁のみからしか伝わらないことになる。

【０００５】特に、鋼製地下室は在来の一体構築される
鉄筋コンクリート構造の地下室と異なり、組立式である
ため剛性や力学的連続性において弱いため、屋根部に階
段室用開口部を設けたり、周囲にドライエリアを設ける
と土圧や地震力などの水平力が壁パネルにダイレクトに
作用するため、地下室本体の階段室やドライエリアを構
成する側壁との当接部には、過大な力が生じたりするお
それがある。

【０００６】この場合、鉄筋コンクリート構造の地下室
は、壁躯体を厚くしたり、補強鉄筋を増やすなどして簡
単に補強できるが、鋼製地下室は簡単には補強できない
という課題があった。

【０００７】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、特に屋根部に階段室用開口部などがあ
って、屋根パネルを設置できない場合の鋼製地下室の地
震力などの大きな水平力に対する有効な補強を可能にし
た鋼製地下室を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係る鋼製地下
室は、床用、壁用および屋根用としてそれぞれ構成され
た複数枚の床パネル、壁パネルおよび屋根パネルを備
え、かつ、地上に通じる階段室やドライエリアを有して
構築される鋼製地下室に関し、前記階段室やドライエリ
アを構成する側壁の壁芯の延長線上に前記側壁を介して
前記鋼製地下室の内方に作用する水平力に抵抗する補剛
壁を設けることにより構成されている。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１〜図３は、この発明に係る鋼
製地下室の発明の実施の一形態を示し、図において、符
号１は鋼製地下室、２は所定深さに掘り下げられた根切
り地盤上に鉄筋コンクリートや無筋コンクリートによっ
て構築され、鋼製地下室１を支持する基礎スラブ、３は
この基礎スラブ２の上に設置され、鋼製地下室１の床を
構成する床パネル、４は床パネル３の周囲に立設され、
鋼製地下室１の壁を構成する壁パネル、５は壁パネル4,
4 間に架け渡され、鋼製地下室１の屋根を構成する屋根
パネル、６は鋼製地下室１の屋根部に設けられ、地上に
通じる階段室Ａを設けるための階段室用開口部、７は鋼
製地下室１に隣接して所定深さに構築され、地上から直
接採光などするドライエリア、８はこのドライエリア７
に面して設けられた窓又は出入り口、そして、符号９は
鋼製地下室１の外壁の外周および屋根の上に連続して所
定厚さに打設され、鋼製地下室１を保護する保護コンク
リートである。

【００１０】さらに、符号10は鋼製地下室１内に、階段
室Ａを構成する側壁6aとドライエリア７の側壁7bの壁芯
上に連続してそれぞれ設けられ、側壁6aと側壁7bをそれ
ぞれ介して室内側に作用する地震力などの水平力Ｐを受
ける補剛壁である。

【００１１】床パネル３、壁パネル４および屋根パネル
５は、いずれも溝形鋼やＬ形鋼などといった複数本の形
鋼を所定大きさの矩形枠状に組み立てて補強枠11を構成
し、この補強枠11の片側面に鋼板12を溶接するなどして
張り付けることにより構成され、かつ、複数本の接合ボ
ルトによって接合するなどして互いに接合されている。

【００１２】補剛壁10は可能な限り少ない壁量で大きな
水平力Ｐに有効に抵抗できるように可能な限り高剛性に
構成され、例えば鉄骨、鉄筋コンクリート、或いは鉄骨
鉄筋コンクリートなどによって構築されている。

【００１３】また、補剛壁10は品質の向上、生産コスト
の低減、さらに現場施工の省力化などを図るために工場
生産され、現場では単にボルト止めなどによって簡単に
設置できるように構成されている。

【００１４】このような構成において、側壁6aと側壁7b
をそれぞれ介して室内側に作用する地震力などの水平力
Ｐに対して補剛壁10が有効に抵抗するため、屋根部分に
階段室用開口部６が設けられ、この部分に屋根パネルが
設置されていなくても、また、ドライエリア７が設けら
れ、保護コンクリート９による壁補強が不可能な場合で
も、水平力Ｐによって鋼製地下室の壁（壁パネル４）が
室内側に大きく変形してしまうようなことはない。

【００１５】

【発明の効果】この発明に係る鋼製地下室は以上説明し
た構成からなり、階段室を構成する側壁およびドライエ
リアを構成する側壁の壁芯の延長線上に補剛壁を設けて
なるので、この側壁を介して室内側に作用する地震力な
どの水平力に対して補剛壁が有効に抵抗するため、水平
力によって鋼製地下室の壁（壁パネル）が室内側に大き
く変形してしまうのを防止できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】鋼製地下室の一部縦断面図である。

【図２】鋼製地下室の平面図である。

【図３】床パネル、壁パネルおよび床パネルの一部斜視
図である。

【図４】一般的な鋼製地下室の一部縦断面図である。

【符号の説明】

１…鋼製地下室、２…基礎スラブ、３…床パネル、４…
壁パネル、５…屋根パネル、６…階段室用開口部、７…
ドライエリア、８…窓又は出入り口、９…保護コンクリ
ート、10…補剛壁、11…補強枠、12…鋼板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床用、壁用および屋根用としてそれぞれ
   構成された複数枚の床パネル、壁パネルおよび屋根パネ
   ルを備え、かつ、地上に通じる階段室又はドライエリア
   を有して構築される鋼製地下室において、前記階段室又
   はドライエリアを構成する側壁の壁芯の延長線上に前記
   側壁を介して前記鋼製地下室の内方に作用する水平力に
   抵抗する補剛壁を設けてなることを特徴とする鋼製地下
   室。