JPH09173831A - 脱酸素材料及びその製造方法 - Google Patents

脱酸素材料及びその製造方法

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JPH09173831A
JPH09173831A JP7350175A JP35017595A JPH09173831A JP H09173831 A JPH09173831 A JP H09173831A JP 7350175 A JP7350175 A JP 7350175A JP 35017595 A JP35017595 A JP 35017595A JP H09173831 A JPH09173831 A JP H09173831A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体廃材を簡便に且つ有効に脱酸素
材料として再利用できるようにする。 【解決手段】 基材上に強磁性金属磁性粉とバインダー
とを含有する磁性層が形成されてなる磁気記録媒体の当
該磁性層に高分子電解質を付着させて脱酸素材料とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性金属磁性粉
を用いた磁気記録媒体の廃材を利用した脱酸素材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
などの基材上に、強磁性金属磁性粉をバインダーに分散
させてなる磁性層が形成された磁気記録媒体が、オーデ
ィオ、ビデオ、データ等の信号の記録に広く用いられて
いる。
【0003】ところで、このような磁気記録媒体の生産
量は、近年、飛躍的に伸びており、それに伴い、製造工
程中に発生する磁気記録媒体廃材、あるいは末端使用者
の使用により発生する使用済み磁気記録媒体廃材などの
量も非常な勢いで増大している。
【0004】従来、このような磁気記録媒体廃材は、再
利用されることなく、ゴミ焼却場で焼却処分されるか、
あるいはゴミ埋め立て所で土中に埋没処分されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、磁気記録媒体廃材の再利用を図り、廃棄処分量を減
少させることが強く要請されているが、未だ、磁気記録
媒体を簡便に且つ有効に再利用できるような用途が少な
いというのが実状である。
【0006】本発明は、以上のような従来の技術の課題
を解決しようとするものであり、特に、磁気記録媒体廃
材を簡便に且つ有効に再利用することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、強磁性金属
磁性粉を含有する磁性層を有する磁気記録媒体の当該磁
性層に対し高分子電解質を付着させる処理を施すことに
より、磁性層中に含有されている強磁性金属磁性粉の酸
素吸収能を活性化させることができ、従って高分子電解
質付着処理を施された磁気記録媒体を脱酸素材料として
使用することができることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0008】即ち、本発明は、基材上に強磁性金属磁性
粉とバインダーとを含有する磁性層が形成されてなる磁
気記録媒体であって、磁性層が高分子電解質付着処理を
施されていることを特徴とする脱酸素材料を提供する。
【0009】また、本発明は、基材上に強磁性金属磁性
粉とバインダーとを含有する磁性層が形成されている磁
気記録媒体からなる脱酸素材料の製造方法において、磁
性層に高分子電解質付着処理を施すことを特徴とする製
造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の脱酸素材料は、基材上に強磁性金
属磁性粉とバインダーとを含有する磁性層が形成されて
なる磁気記録媒体から構成されている。この場合、磁気
記録媒体としては、通常の磁気記録媒体廃材を使用する
ことができるので、磁気記録媒体の再利用が可能とな
り、地球環境への負荷も軽減することができる。しか
も、脱酸素コストも低減させることができる。更に、材
料的に人体に安全性の高い材料を選択することができる
ので、食品等の脱酸素に適応できる。
【0012】本発明においては、磁気記録媒体磁性層に
対し高分子電解質を付着させる処理が施されていること
が特徴となっている。このような処理が必要となる理由
を以下に述べる。
【0013】即ち、磁気記録媒体の磁性層に従来より使
用されている強磁性金属磁性粉は一般に酸化されにくい
性質を有するが、この安定化のために、磁性粉の表面に
金属酸化物からなる耐酸化保護層が形成されている。こ
のため、磁性層中の強磁性金属磁性粉は、磁気記録媒体
の通常の使用環境下では酸素吸収性を示さないものとな
っている。しかし、磁気記録媒体を脱酸素材料として再
利用する場合には、磁性層中の強磁性金属磁性粉が酸素
吸収性を示す必要がある。そこで、本発明においては、
磁性層に対して高分子電解質付着処理を施すことにより
磁性層中の金属の酸化を電気化学的に促進して強磁性金
属磁性粉の酸素吸収能を向上させている。
【0014】このような高分子電解質付着処理の具体的
方法については後述することとし、まず、本発明の脱酸
素材料を構成する磁気記録媒体について説明する。
【0015】本発明において使用する磁気記録媒体とし
ては、強磁性金属磁性粉をバインダー中に分散してなる
磁性層が基材上に形成されている公知の磁気記録媒体を
使用することができる。
【0016】基材としては、従来の磁気記録媒体と同様
に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチ
ックフィルムを使用することができる。基材の厚みは、
一般に1μm〜100μmであり、好ましくは2μm〜
70μmである。
【0017】磁性層は、従来の磁気記録媒体の場合と同
様に、強磁性金属磁性粉がバインダー中に分散したもの
である。磁性層の厚みは、乾燥厚で0.1μm〜50μ
m、好ましくは1.0μm〜30μmである。
【0018】磁性層を構成する強磁性金属磁性粉として
は、針状の純鉄あるいは鉄を主成分とした合金(Fe−
Co,Fe−Ni,Fe−Ni−Co等)の微粒子を使
用することができる。なお、これらの微粒子の表面に
は、強磁性金属磁性粉の酸化劣化を防止するために、強
磁性金属もしくはその他の金属、例えばAl,Si,C
a,Mg,Sr,Ba,B,S,Ti,Zn,Na,Z
r,K,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,G
e,Sn,Ga等の金属を含有する酸化物からなる耐酸
化性無機保護層が形成されている。
【0019】なお、強磁性金属磁性粉は、強磁性金属元
素の酸化物、含水酸化物、水酸化物などの無機塩あるい
はシュウ酸などの有機酸塩を、気相還元法や湿式還元法
に従って還元し、更に、得られた還元物にトルエンなど
の有機溶剤を含浸させて乾燥するか、トルエンなどの有
機溶剤に浸漬させた後、水蒸気や低分圧空気などの酸化
性ガスを吹き込み乾燥させるか、あるいは有機溶剤を用
いることなく分圧を調整した酸化性ガスを吹き込むこと
により得られる。
【0020】また、磁性層を構成するバインダーは、強
磁性金属磁性粉を粒子単位で離間させており、従って強
磁性金属磁性粉の連鎖的且つ急激な酸化反応を抑制し、
安全な脱酸素能を脱酸素材料に付与することができる。
このようなバインダーとしては、酸素透過性のポリマー
を使用することができ、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン
酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、
メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルスチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセタール、ビニル
ブチラール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン等を構
成単位として含む重合体あるいは共重合体を使用するこ
とができる。更に、ニトロセルロース、セルロースアセ
テート等のセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等をブレンドして
もよい。
【0021】磁性層中における強磁性金属磁性粉とバイ
ンダーとの混合比は、バインダー1重量部に対して強磁
性金属磁性粉が好ましくは1〜10重量部であり、より
好ましくは3〜9重量部である。
【0022】磁性層には、上述の強磁性金属磁性粉とバ
インダーとに加えて、必要に応じて潤滑剤、研磨剤、帯
電防止剤、分散剤、カップリング剤、硬化剤等を適宜添
加されていてもよい。
【0023】潤滑剤としては、炭素数10〜40のアル
キル基を有するモノカルボン酸、これらカルボン酸の金
属塩、これらカルボン酸と炭素数10〜40のアルコー
ルとのモノエステル、これらカルボン酸と多価アルコー
ルの多価エステル、前記アルキル基を有するアミド、ア
ミン、あるいは、アルコール、シリコーンオイル、パラ
フィンオイル、又は前記化合物のフッ素化物等が挙げら
れる。
【0024】研磨剤としては、酸化アルミニウム、炭化
珪素、酸化クロム、酸化鉄、コランダム、ダイヤモン
ド、窒化珪素、炭化チタン、酸化チタン、窒化硼素など
が挙げられる。
【0025】また、帯電防止、塗膜強度向上のためにカ
ーボンブラックを添加することができる。さらに、分散
剤として各種界面活性剤あるいは各種カップリング剤が
使用できる。
【0026】また、硬化剤としては、ポリイソシアネー
ト化合物が使用できる。ポリイソシアネート化合物とし
ては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネー
ト、あるいは、これらジイソシアネートの重合体あるい
は多価アルコールとの反応物が挙げられる。
【0027】なお、磁性層の形成は、上述の強磁性金属
磁性粉とバインダーとを、有機溶剤中に均一に分散させ
た塗料組成物を基材上に塗布乾燥することにより形成す
ることができる。ここで、有機溶剤としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等
を使用することができる。
【0028】本発明の脱酸素材料においては、前述した
ように、強磁性金属磁性粉の酸素吸収能を向上させるた
めに、磁性層に対し高分子電解質付着処理を施すことが
必須である。これは、前述したように、強磁性金属磁性
粉の電解質付着面からの酸化を促進するためである。
【0029】このような高分子電解質付着処理として
は、高分子電解質を磁性層の表面に付着もしくは内部に
含浸させる種々の方法により行うことができる。例え
ば、高分子電解質の溶液(例えば、水、低級アルコー
ル、テトラハイドロフランなどの水相溶性溶媒、それら
の混合溶媒等に溶解させた溶液)を磁性層にスプレーし
たり、磁気記録媒体自体を高分子電解質溶液に浸漬した
りすることにより行うことができる。高分子電解質付着
処理後には必要に応じて乾燥させてもよい。
【0030】高分子電解質の磁性層への付着量は、少な
過ぎると十分な付着効果が得られず、多過ぎると高分子
電解質の結晶あるいは潮解物が磁性層の表面に折出し、
それが周囲の環境を汚染するおそれがあるので、1μm
厚の磁性層1cm2あたり、電解質が好ましくは1〜1
00μg、より好ましくは5〜50μgである。従っ
て、10μm厚の磁性層を有する磁気記録媒体では、1
cm2あたり10μg〜1mgグラムの高分子電解質を
付着させることが好ましい。
【0031】本発明において使用できる高分子電解質と
しては、酸性高分子又はその塩、塩基性高分子又はその
塩等を挙げることができる。
【0032】酸性高分子としては、アクリル酸、メタク
リル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スチ
レンリン酸、グルタミン酸などの単量体の重合体、ある
いはこれら単量体を含む共重合体等を挙げることができ
る。これらの酸性高分子の塩の対カチオンとしては、ア
ンモニウムイオン、あるいはリチウム、ナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属イオンなどを挙げることがで
きる。
【0033】塩基性高分子としては、ビニルアミン、エ
チレンイミン、リシン、ビニルピリジンなどの単量体の
重合体、あるいはこれら単量体を含む共重合体等を挙げ
ることができる。これら塩基性高分子の塩の対アニオン
としては、硫酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオンな
どを挙げることができる。
【0034】本発明においては、以上の酸性高分子や塩
基性高分子の他に、カルボキシメチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースナトリウム塩などのセルロース
系誘導体、あるいはアルギン酸、アルギン酸ナトリウム
などのアルギン酸類を高分子電解質として使用すること
もできる。
【0035】本発明において使用する高分子電解質の分
子量は、小さ過ぎると高分子電解質の凝集力が低下し、
且つ接着性が低下して磁性層から脱落し易くなり、大き
すぎると高分子電解質の溶媒(例えば、水、低級アルコ
ール、テトラハイドロフランなどの水相溶性溶媒、それ
らの混合溶媒等)への溶解度が低下し、また溶液粘度が
高くなって取扱性が低下するので、好ましくは5000
〜500000、より好ましくは10000〜3000
00である。
【0036】なお、高分子電解質付着処理の際に、強磁
性金属磁性粉の脱酸素能を更に向上させるために、通常
の電解質を併用することができる。このような電解質と
しては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等
のハロゲン化物、水酸化物、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硫
酸塩、硝酸塩、第三燐酸塩、第二燐酸塩、ポリ燐酸塩、
炭酸塩、有機酸塩等を使用することができる。より具体
的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシ
ウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一
鉄、塩化第二鉄、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化
マグネシウム、臭化カリウム、臭化鉄、臭化ニッケル、
沃化ナトリウム、沃化カリウム、沃化マグネシウム、沃
化カルシウム、沃化鉄、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チ
オ硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸
マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸錫、
硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸カルシウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸ナ
トリウム、第三燐酸カリウム、第二燐酸カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸ナトリウム、コハ
ク酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、フマル酸ナ
トリウム等を好ましく使用することができる。中でも、
人体への安全衛生性の見地等から金属塩化物が好まし
く、特に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カ
ルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましい。
【0037】また、高分子電解質付着処理の際には、強
磁性金属磁性粉上で高分子電解質や通常の電解質と水分
とを保持させて磁性粉の酸化反応を促進させるために親
水性高分子材料を含有させることが好ましい。このよう
な親水性高分子材料としては、例えば、ヒドロキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、
プロピルセルロース、澱粉、多価アルコール類、糖類、
ポリビニルアルコール、トラガカントゴム、ポリオキシ
エチレン等を使用することができる。
【0038】このような親水性高分子の磁性層への付着
量は、少な過ぎると高分子電解質等と水分との保持効果
が十分でなく、多過ぎると磁性層中への酸素ガスの拡散
を阻害するおそれがあるので、好ましくは1μ厚の磁性
層1cm2あたり、親水性高分子材料が0.01〜10
0μg、より好ましくは0.1〜20μgである。
【0039】本発明の脱酸素材料においては、以上説明
したように磁性層に高分子電解質付着処理を施すが、そ
の処理の前又は後で少なくとも磁性層に加熱処理を施す
ことが好ましい。これにより、強磁性金属磁性粉の表面
の不動態層を構成するイオンの拡散を促進させて強磁性
金属磁性粉自体の酸素吸収能を向上させ、更に、基材の
配向の緩和による熱収縮により磁性層に大量のクラック
を発生させ、それにより磁性層における酸素ガスの拡散
性を向上させて強磁性金属磁性粉の酸素吸収能を向上さ
せることができる。
【0040】加熱処理の加熱温度としては、基材のガラ
ス転移温度以上とすることが好ましい。より好ましく
は、ガラス転移温度より10℃以上、更に好ましくは、
20℃以上とする。加熱温度をこのような温度域とする
ことにより、強磁性金属磁性粉の表面の不動態層を構成
するイオンの拡散が促進され、しかも基材の配向の緩和
による熱収縮が顕在化して磁気記録媒体に顕著なカール
が発生する。これにより、磁性層に大量のクラックを発
生させることができ、しかもクラックの開口を大きく広
げることができる。また、このようなカールは、磁気記
録媒体を裁断して使用する場合には、媒体同士の密着を
防止して磁性層に拡散する酸素ガス量を増大させること
ができる。
【0041】なお、加熱処理温度の上限は、バインダー
や基材の耐熱温度に依存し、一般には250℃以下とす
る。
【0042】なお、本発明の脱酸素材料においては、高
分子電解質付着処理や加熱処理の前もしくは後又は間
で、磁気記録媒体の磁性層に有機溶媒洗浄処理を施すこ
とが好ましい。これにより、磁性層中に含有されている
低分子量のバインダー、潤滑剤、未反応架橋剤等を除去
し、磁性層における酸素ガスの拡散性を向上させ、強磁
性金属磁性粉の酸素吸収能を向上させることができる。
有機溶媒洗浄処理において使用する有機溶剤としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶
剤、n−ヘキサン、オクタン等の飽和炭化水素系溶剤を
好ましく挙げることができる。この有機溶媒洗浄処理の
処理温度や処理時間等の処理条件については適宜決定す
ることができる。
【0043】本発明の脱酸素材料は、基材上に強磁性金
属磁性粉とバインダーとを含有する磁性層が形成されて
なる磁気記録媒体の磁性層に対し、前述したように高分
子電解質付着処理を施すことにより製造することができ
る。この場合、高分子電解質付着処理の前又は後に加熱
処理、特に基材のガラス転移温度以上に加熱することに
より製造することができる。
【0044】本発明の脱酸素材料は、必要に応じて数ミ
リ角に裁断し、裁断されたものを和紙などからなる通気
性のよい袋に充填し、食品や精密機器の密封包装内に投
入するなどの態様で使用することができる。
【0045】なお、本発明の脱酸素材料は、脱酸素材料
として使用済みとなった場合には、焼却処分又は埋没処
理などにより廃棄されるので、磁気記録媒体として廃材
を使用することなく新たに製造する場合には、バインダ
ーとして塩化ビニルなどの有機塩素系樹脂を使用しない
ようにすることが好ましい。また、クロムなどの重金属
成分を減少させることが好ましい。
【0046】
【実施例】以下、本発明の脱酸素材料を実施例により具
体的に説明する。
【0047】実施例1 表1の成分からなる磁性塗料を常法により調製した。
【0048】
【表1】 成分 重量部 磁気記録媒体用針状金属鉄磁性粒子 100 (比表面積53.9m2/g,保磁力Hc=1580Oe,飽和磁化σs=120emu/g) 熱可塑性ポリウレタン樹脂(平均分子量20000) 17 カーボンブラック(平均粒径150nm) 5 α−アルミナ(平均粒径200nm) 5 オリーブ油 3混合溶剤(MEK:MIBK:トルエン=2:1:1) 220
【0049】得られた磁性塗料をボールミルで48時間
混合した後、その混合物にポリイソシアネート硬化剤
(コロネートL,日本ポリウレタン社製)3.5重量部
を添加し、更に30分間混合した。得られた混合物を、
12μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム基材
上に、乾燥後の厚みが6.5μmになるように塗布乾燥
して磁性層を形成することにより磁気記録媒体を製造し
た。この際、広幅ロールの移送中に皺になったロール最
外部の広幅シートを切り落とし、磁気記録媒体廃材とし
て採取した。
【0050】この磁気記録媒体廃材の一部を取り出し、
その磁性層に、ポリビニルスルホン酸6重量部を水10
0重量部に溶解した溶液をスプレーし、室温下、空気中
で風乾した。乾燥した後に、シュレッダーにより約3m
m角の大きさに切断した。そして、得られた切断した廃
材を通気性のよい和紙の袋に入れ封じることにより脱酸
素材料パックを製造し、得られた脱酸素材料パックを、
窒素パージした保存用袋(ポリエチレンテレフタレート
(外側)/蒸着Al/ポリエチレン(内側))に密封し
て保存した。
【0051】次に、保存開始6か月後に、保存用袋の中
から脱酸素材料パックを取り出し、それを、良好な光沢
の銅箔とともに気密性の良好な金属缶に密封して保存し
た。また、比較のために脱酸素材料パックを同封するこ
となく、良好な光沢の銅箔を気密性の良好な金属缶に密
封して保存した。その結果、脱酸素材料パックを同封し
た場合は、保存開始後6か月経過しても銅箔の光沢は当
初の光沢と変化していなかった。一方、脱酸素材料パッ
クを同封しなかった場合は、銅箔の表面は黒色化し、そ
の光沢は失われていた。
【0052】実施例2 実施例1で採取した磁気記録媒体廃材の一部を取り出
し、n−ヘキサンで洗浄し乾燥した後に、磁性層に、ポ
リスチレンスルホン酸ナトリウム5重量部と塩化マグネ
シウム2重量部と水100重量部とからなる溶液をスプ
レーし、室温下、空気中で風乾した。乾燥した後に、シ
ュレッダーにより約3mm角の大きさに切断した。そし
て、得られた切断した廃材を通気性のよい和紙の袋に入
れ封じることにより脱酸素材料パックを製造した。この
脱酸素材料パックを真空乾燥器内で室温下、3時間真空
脱気し、次いで大気圧になるまで純窒素を注入し、更
に、100℃に昇温して30分間保持した後、窒素雰囲
気下で室温になるまで放冷した。100℃までのこの昇
温過程で脱酸素材料はカールし、パックは膨らんだ。そ
してこの脱酸素材料パックを、窒素パージした保存用袋
(ポリエチレンテレフタレート(外側)/蒸着Al/ポ
リエチレン(内側))に密封して保存した。
【0053】保存開始後約2か月後に、保存用袋から脱
酸素材料パックを取り出し、食パンとともに食パン用包
装袋に封入して保存した。また、比較のために脱酸素材
料パックを同封することなく、食パンだけを食パン用包
装袋に封入して保存した。その結果、脱酸素材料パック
を同封した場合は、保存開始後10日経過してもカビの
発生は確認されなかった。一方、脱酸素材料パックを同
封しなかった場合は、4日経過後にはカビの発生が確認
された。
【0054】実施例3 工場内抜取り検査で電磁変換特性を評価した8mmテー
プカセットから取り出したテープを約10mm長に切断
した。この切断テープを、ポリメタクリル酸6重量部と
塩化ナトリウム1重量部と水100重量部とからなる溶
液に浸漬し、そして溶液から取り出した後に室温下で空
気中で風乾した。この切断テープを通気性のよい和紙の
袋に入れ封じ、これを室温で真空脱気し、真空下で12
0℃に加熱し、そのまま室温にまで放冷することにより
脱酸素材料パックを製造した。120℃までのこの昇温
過程で脱酸素材料はカールし、パックは膨らんだ。得ら
れた脱酸素材料パックを、窒素パージした保存用袋(ポ
リエチレンテレフタレート(外側)/蒸着Al/ポリエ
チレン(内側))に密封して保存した。
【0055】保存開始後2か月後に、保存用袋から脱酸
素材料パックを取り出し、銅箔積層プリント基板と一緒
にデシケーターに封入して保存した。また、比較のため
に、脱酸素材料パックを同封することなく、銅箔積層プ
リント基板のみをデシケーターに封入して保存した。そ
の結果、脱酸素材料パックを同封した場合は、保存開始
後2か月経過した後でもハンダ濡れ性は良好であった。
一方、脱酸素材料パックを同封しなかった場合には、ハ
ンダ濡れ性が不十分であり、ハンダ付け不良が生じた。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、強磁性金属磁性粉を用
いた磁気記録媒体の廃材を利用して脱酸素性に優れた脱
酸素材料を提供することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に強磁性金属磁性粉とバインダー
    とを含有する磁性層が形成されてなる磁気記録媒体から
    なり、磁性層が高分子電解質付着処理されていることを
    特徴とする脱酸素材料。
  2. 【請求項2】 磁性層が高分子電解質付着処理の前又は
    後で加熱処理されている請求項1記載の脱酸素材料。
  3. 【請求項3】 加熱処理の加熱温度が基材のガラス転移
    温度以上である請求項2記載の脱酸素材料。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体として磁気記録媒体の廃材
    を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の脱酸素材
    料。
  5. 【請求項5】 基材上に強磁性金属磁性粉とバインダー
    とを含有する磁性層が形成されている磁気記録媒体から
    なる脱酸素材料の製造方法において、磁性層に高分子電
    解質付着処理を施すことを特徴とする製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子電解質付着処理の前又は後に加熱
    処理する請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱処理の加熱温度を基材のガラス転移
    温度以上とする請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 磁気記録媒体として磁気記録媒体の廃材
    を使用する請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001048064A1 (fr) * 1999-12-27 2001-07-05 Ajinomoto Co., Inc. Procede de sechage et de stockage de resine desoxygenante ou de matiere de conditionnement desoxygenante

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