JPH0917249A - 酸化物超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材及びその製造方法

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JPH0917249A
JPH0917249A JP7287031A JP28703195A JPH0917249A JP H0917249 A JPH0917249 A JP H0917249A JP 7287031 A JP7287031 A JP 7287031A JP 28703195 A JP28703195 A JP 28703195A JP H0917249 A JPH0917249 A JP H0917249A
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JP
Japan
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wire
oxide superconducting
oxide
superconducting wire
superconducting
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Application number
JP7287031A
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English (en)
Inventor
Michiya Okada
道哉 岡田
Keiji Fukushima
敬二 福島
Kazuhide Tanaka
和英 田中
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、長尺の酸化物超電導線であっ
て、磁界発生時に単尺線材の性能に近い長尺線材性能を
達成できる酸化物超電導線を提供することを目的とす
る。 【解決手段】従来の部分溶融凝固プロセスの前段に、緻
密化加工を施し、理論密度に対して、95%以上に高め
ることにより、部分溶融凝固した線材の性能を3倍以上
向上させる。 【効果】長尺線材の製造が可能となり、5T級の超電導
マグネットを作成できた。さらに、従来酸化物系超電導
体では不可能であった永久電流のマグネット運転が可能
となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物系超電導体
をマグネット応用に供するための、長尺の超電導線材及
びその製造方法に関するものであり、主として5T以上
の強磁界の発生を必要とするコイル形状の工業分野、た
とえば、超電導エネルギー貯蔵超電導発電機,核融合炉
用マグネット,加速器,NMR分析装置,医療用MRI
装置,電流リード等の機器構成において、酸化物超電導
体の超電導現象を利用して、100A以上の大きな機器
通電電流を利用する際に用いられる酸化物系超電導線材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物系超電導体は、従来金属系の超電
導体と比較して以下の特徴が知られている。
【0003】(1)超電導転移温度が40−150Kと
高い (2)臨界磁界が100T程度、或いはそれ以上と著し
く大きい (3)輸送臨界電流密度は、最大で1000A/mm2
ーダである (4)セラミックスであるため変形加工が困難 (5)結晶に異方性があり、結晶のa軸及びb軸方向に
は電流が流れやすいけれども、c軸方向に流れる電流は
1/10〜1/100と低い (6)臨界磁界に異方性があり、特に、電流輸送に係る
不可逆臨界磁界は、結晶のc軸方向に磁界が印加された
場合、a軸又はb軸に磁界が印加された場合の1/10
〜1/100であるなどである。
【0004】以上のような性質を有する酸化物超電導体
を、超電導マグネットとして応用する試みとしては、プ
ロシーディングス・オブ・ザ・フォース・インターナシ
ョナル・シンポジウム・オン・スーパーコンダクティビ
ティー(ISS91),1991年11月第547頁〜第5
52頁に記載されている。酸化物超電導体は臨界温度,
臨界磁界共に金属系材料と比較して桁違いに高いため、
マグネット用に適用すれば、クエンチ事故のない極めて
安定したシステムを構築できるという顕著なメリットが
ある。また、臨界温度が高いため、従来のように液体ヘ
リウムを冷媒として用いる必然性はない。冷凍機や液体
窒素などの冷媒が利用可能である。一方、これまで開発
されてきた酸化物超電導体を用いたマグネットは、性能
の最も高い液体ヘリウム温度においても、発生磁場は1
〜3T程度であって、低音工学第28巻第5号,199
3年,第29頁〜第49頁に記載されているように金属
系の従来超電導マグネットが20T程度であることと比
較すると一桁低い現状にある。
【0005】長尺線材の高性能化のための基本的なプロ
セスは、特開平4−79107号,特開平4−79109号,特開平
4−131122号及び特開平4−70701 号などに記載されてい
る。しかしながら、公知の手法では、まだ、長尺線材に
おける性能向上を十分に達成するには困難であり、さら
に、製造条件と製造装置の詳細を検討する必要があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現状の第一の問題点
は、4.2K におけるコイルの発生磁場が高々1〜3T
程度であって、実用に供するにはまだ小さすぎる点であ
る。本格的な工業応用を考えるには、なおコイルに供す
る線材自体の性能を高め、最低でも5T級の磁界発生可
能なマグネットを製造可能な技術を完成する必要があ
る。ここでの最大の課題は、既に知られているような、
酸化物超電導線の単尺線での高い性能を、如何にしてコ
イルを構成可能なほど十分に長い線材において達成する
かという工業的手段が確立していない点である。実際、
公知の単尺線の性能がそのまま長尺の線材で実現するな
らば、容易に工業材料として利用可能な5〜10T程度
の磁界発生が実現していてもなんら不思議ではない。従
って、従来技術では、酸化物超電導線を応用して作成し
た超電導コイルを用いて、永久電流により磁気エネルギ
ーを蓄積できたという報告はない。これは、超電導部の
臨界電流性能が永久電流を実現できるほど十分に高くな
いためである。この原因は、長尺線材の製造プロセスに
おいて、酸化物超電導体を緻密化する工程が最適化され
ていないことによると考えられる。酸化物超電導体を、
工業的に広く適用可能ならしめるには、最低でも5T以
上の磁界発生を可能ならしめ、更に望ましくは永久電流
による運転を可能にする長尺線材の製造技術を確立する
必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した長尺線材におけ
る超電導線の臨界電流密度を単尺線と同等の水準にまで
高め、5T級の磁界を発生可能な永久電流マグネットを
実現する手段は、偏平断面形状を有し、かつ金属被覆さ
れた酸化物超電導線材において、該線材の緻密化加工後
の横方向断面及び縦方向断面において、該金属被覆材と
酸化物超電導体部の界面が実質的に平滑であって、かつ
酸化物超電導体の密度が、理論密度の90%以上とする
ことで達成できる。
【0008】また、偏平断面形状を有し、かつ金属被覆
された酸化物超電導線材の製造方法において、該線材を
所定の形状に加工後、理論密度の90%以上に緻密化処
理した後に、部分溶融することにより達成される。
【0009】また、酸化物超電導線材の製造方法におい
て、該緻密化処理工程で、下部に配置された水平方向に
回転する円盤の水平面と上部に配置された垂直方向に回
転するロール面間に、線材を連続的に挿入することによ
り構成される減面加工装置を用い、該装置は、上部ロー
ル部と該円盤の間で、鉛直軸に対して1ton 以上の加圧
力で静的に加圧可能な構成であって、かつ該上部ロール
直径が、200mm以上であることにより達成できる。
【0010】また、酸化物超電導線材の製造方法におい
て、該緻密化処理工程で、平行に配置された一対の回転
軸と共に回転する一対のロールより構成し、この一対の
ロールの線材を挟んだ加工面を回転軸に対して一定の角
度だけ傾斜させ、上下部ロール部の間で、鉛直軸に対し
て1ton 以上の加圧力で連続的に加圧可能な構成であっ
て、かつ該ロール直径の最小部が200mm以上であるこ
とを特徴とすることにより達成できる。
【0011】また、酸化物超電導線材の製造方法におい
て、該緻密化処理工程で、上部に配置した外に突の円弧
面を有する工具の該円弧面により、移動する線材に繰り
返し圧下することを特徴とするテープ状線材の製造装置
において、該圧下工具に対向して下部に配置した工具の
面が平面であって、該円弧工具により鉛直軸に対して1
ton 以上の加圧力で連続的に加圧可能な構成であって、
かつ該円弧直径が200mm以上とすることにより達成でき
る。
【0012】また、該円盤及び該ロール及び該円弧工具
の材質が超硬合金であることにより達成できる。
【0013】また、該酸化物超電導線材の製造方法にお
ける該緻密化工程において、丸断面形状の線材を半径r
まで縮径加工を行う工程,幅wの偏平な形状に加工する
工程からなることを特徴とし、かつw/2rの比が3以
上6以下とすることにより達成できる。
【0014】また、該緻密化処理工程において、連続的
に排出されるテープの出口側にテンションをかけること
により、線材の蛇行を抑制することにより達成できる。
【0015】また、該緻密化処理工程において、該線材
に丸断面の多芯線材を用い、連続的に挿入される入り口
側において、回転動作を線材にかけることにより、偏平
断面の線材にツイスト構造を付与せしめることにより達
成できる。
【0016】また、該酸化物超電導線材において、該線
材は偏平形状であって、かつ該線材の断面内に配置され
た複数の超電導線体が各々金属に被覆され、該超電導体
の厚みの合計が、線材の全体厚みの20%以上80%以
下であることにより達成できる。
【0017】また、該線材の加工工程において、丸断面
形状時に、適宜、摂氏約800度で概ね1時間以上の加
熱処理後、急冷を施し、偏平断面形状に加工後の最終熱
処理での発生ガスによる線材のふくれを防止することに
より達成できる。
【0018】また、該酸化物超電導線材の製造方法にお
いて、該部分溶融熱処理後に1〜10%酸素と窒素又は
不活性ガスとの混合ガス雰囲気で400℃〜900℃で
1〜300時間の熱処理を施すことにより達成できる。
【0019】また、該酸化物超電導線の部分溶融熱処理
方法及び該熱処理工程において、該熱処理時の温度誤差
を摂氏1℃以下とすることにより達成できる。
【0020】また、該多芯線材の製造方法において、該
偏平形状に加工される初期外径Rの金属素管に充填する
粉末の結晶粒径Lは、最終加工後の多芯線材の各コアの
厚みtに対し L<t/2 であって、かつ少なくとも0.1ミクロン以上の結晶粒
径であることにより達成できる。
【0021】また、コイル状に巻き線された酸化物系超
電導テープ線と絶縁テープ線、及び永久電流スイッチか
らなる超電導コイルにおいて、該絶縁物の機械強度が該
超電導線の該強度と比較し、補強部材として機能するに
十分な強さでなることにより達成できる。
【0022】また、コイル状に巻き線された酸化物系超
電導テープ線と絶縁テープ線、及び永久電流スイッチか
らなる超電導コイルにおいて、該コイルの両端の電気抵
抗が、永久電流磁石として機能する程度に十分低く構成
してなることにより達成できる。
【0023】また、該酸化物超電導線材において、該酸
化物超電導体がビスマス系またはタリウム系超電導体で
あることにより達成できる。
【0024】また、該酸化物超電導線材において、該金
属被覆材が銀又は金、或いはこれらの一種又は二種を母
材とする合金、或いは添加物として微量のマグネシウ
ム,チタン,ニッケル,銅を含む銀又は金合金であるこ
とにより達成できる。
【0025】また、該酸化物超電導マグネットにおい
て、該絶縁材として2〜12%のアルミニウムを含有す
る銅合金,ステンレス鋼,チタン合金,鉄基耐熱合金,
ニッケル基耐熱合金,コバルト基耐熱合金のうちいずれ
か一種又は二種以上を用いることにより達成できる。
【0026】また、該酸化物超電導マグネットの製造方
法において、コイル巻線工程の前に、予め該絶縁金属材
を加熱処理し、表面に酸化皮膜を形成後、コイル巻き線
することにより達成できる。
【0027】また、該酸化物超電導マグネットの製造方
法において、コイル巻線工程の後に、熱処理を施すこと
により達成できる。
【0028】前述した長尺線材における超電導線の臨界
電流密度を単尺線と同等の水準にまで高め、5T級の磁
界発生が可能な永久電流マグネットを実現する手段にお
いて、偏平断面形状を有し、かつ金属被覆された酸化物
超電導線材において、該線材の緻密化加工後の横方向断
面及び縦方向断面において、該金属被覆材と酸化物超電
導体部の界面が実質的に平滑であって、かつ酸化物超電
導体の密度が、理論密度の90%以上とする酸化物超電
導線材によって達成されるが、また、その製造方法にお
いて、該線材を所定の形状に加工後、理論密度の90%
以上に緻密化処理した後に、部分溶融することにより達
成される。ここで、部分溶融熱処理は、公知の酸化物超
電導体結晶粒子間の接触面積を増加させ、超電導接合性
を高めるための工程であり、かつ結晶の配向性を整える
効果がある。発明者は、鋭意研究を行うことにより、高
い電流輸送能力を長尺にわたって得るには、偏平断面形
状を有し、かつ金属被覆された酸化物超電導線材におい
て、該線材の緻密化加工後の横方向断面及び縦方向断面
において、該金属被覆材と酸化物超電導体部の界面を、
強加工後においても、実質的に平滑に保持し、かつ酸化
物超電導体の密度を、理論密度の90%以上と緻密化す
る加工処理が必須のプロセスであり、この後、部分溶融
処理を施すことで、結晶の配向性及び部分溶融時に生ず
る異相及びボイドの分散が長尺線材全体にわたって容易
に達成され、長尺線における臨界電流密度の均質性と絶
対値が飛躍的に向上する効果を見出したものである。
【0029】また、酸化物超電導線材の製造方法におけ
る該緻密化処理工程では、下部に配置された水平方向に
回転する円盤の水平面と上部に配置された垂直方向に回
転するロール面間に、線材を連続的に挿入することによ
り構成される減面圧縮加工装置、又は、平行に配置され
た一対の回転軸と共に回転する一対のロールより構成
し、この一対のロールの線材を挟んだ加工面を回転軸に
対して一定の角度だけ傾斜させ、上下部ロール部の間
で、連続的に長尺の線材を圧縮加工できる減面圧縮加工
装置、又は、上部に配置した外に突の円弧面を有する工
具の該円弧面により、移動する線材に繰り返し圧下する
テープ状線材の減面圧縮加工装置を用いる。これらの該
装置は、上下方向に(鉛直軸)対して1ton 以上の加圧
力で静的に加圧しつつ、かつ直径200mm以上の該上部
ロール(又は円弧工具)が、回転動作して連続的に線材
を作成する。これにより、連続的な線材の緻密化に関す
る具体的手段が確立した。ここで、該線材の緻密化加工
後の横方向断面及び縦方向断面において、該金属被覆材
と酸化物超電導体部の界面を実質的に平滑に保持しつ
つ、十分な緻密度を得るには、上述した加圧装置によっ
て、加圧力としては単位面積辺り1トン以上、好ましく
は2トン以上必要である。また、ロールの構成は前述の
通りであり、通常圧延と平板のプレス加工の中間的性質
を有する圧縮加工が可能な構成になっている。ここで、
ロール径(円弧直径)は60mmは最低必要であり、これ
以下では、長さ方向において該金属被覆材と酸化物超電
導体部の界面を実質的に平滑に保つことが不可能とな
り、連続的な緻密化の手段としては十分に有効に作用し
ない。長尺にわたって安定に高い性能の線材を得るに
は、好ましくは、200mm以上のロール径(円弧直径)
とすべきである。また、該線材の緻密化工程において、
丸断面形状で半径rまで縮径加工を行った後、幅wの偏
平なテープ形状に加工する際に、w/2rの比が3以上
6以下とすることにより、幅方向において、該金属被覆
材と酸化物超電導体部の界面を実質的に平滑に保持しつ
つ、酸化物超電導体の密度を高め、長尺化を図ることが
可能となり、その後の部分溶融熱処理において、100
0A/mm2 以上の高い臨界電流密度Jcを得ることが可
能となる。
【0030】また、該円盤及び該ロール部及び該円弧工
具の材質は超硬合金であることにより、ロール面の変形
のない、平滑な断面の加圧が達成できる。
【0031】また、該緻密化処理工程において、連続的
に排出されるテープの出口側にテンションをかけること
により、線材の蛇行を効果的に抑制することができる。
このテンションは本加圧設備において必須の物であり、
使用しない場合には線材が蛇行湾曲することがある。
【0032】また、該緻密化処理工程において、該線材
に丸断面の多芯線材を用い、連続的に挿入される入り口
側において、回転動作を線材にかけることにより、偏平
断面の線材にツイスト構造を付与せしめ、励磁時の導体
に発生する交流ロスを低減できる効果が生ずる。この
際、好ましくは、下部に円盤を配置せしめた構成の減面
圧縮工具を利用する場合には、該円盤の周速度と線材の
回転速度を一致させることが望ましい。
【0033】また、該酸化物超電導線材において、該線
材は偏平形状であって、かつ該線材の断面内に配置され
た複数の超電導線体が各々金属に被覆され、該超電導体
の厚みの合計が、線材の全体厚みの20%以上80%以
下であることにより、本発明のプロセスにおいて安定に
長尺線が作成できる。
【0034】また、該線材の加工工程において、丸断面
形状時に、適宜、摂氏約800度で概ね1時間以上の加
熱処理後、急冷を施すことによって、偏平断面形状に加
工後の最終熱処理工程での発生ガスによる線材のふくれ
を防止し、長尺線のふくれによる性能劣化を防止するこ
とができる。
【0035】また、該酸化物超電導線材の製造方法にお
いて、該部分溶融熱処理後に1〜10%酸素と窒素又は
不活性ガスとの混合ガス雰囲気で400℃〜900℃で
1〜300時間の熱処理を施すことにより長尺線の臨界
温度性能を高め、かつ臨界電流密度を均質化できる。な
お、該熱処理は特にビスマス系の超電導体において顕著
な効果がある。
【0036】また、該酸化物超電導線の部分溶融熱処理
方法及び該熱処理工程において、該熱処理時の温度誤差
を摂氏1℃以下とすることにより、長尺線材の臨界電流
性能の分布を10%以下に抑制できる。これは、長尺線
における臨界電流密度の均質性を保持するために必要な
プロセスである。
【0037】また、該多芯線材の製造方法において、該
偏平形状に加工される初期外径Rの金属素管に充填する
粉末の結晶粒径Lは、最終加工後の多芯線材の各コアの
厚みtに対し L<t/2 であって、かつ少なくとも0.1 ミクロン以上の結晶粒
径とすることにより、長尺線、特にコア断面厚みの薄い
多芯線材におけるコアと被覆金属との間の平滑性を顕著
に高めることが可能となり、線材の全長にわたって配向
性を高め、性能を均質にできる。
【0038】また、コイル状に巻き線された酸化物系超
電導テープ線と絶縁テープ線、及び永久電流スイッチか
らなる超電導コイルにおいて、該絶縁物の機械強度が該
超電導線の該強度と比較し、補強部材として機能するに
十分な強さとすることで、強磁界発生時の電磁力に耐え
うるマグネットが構成でき、永久電流コイルが実現でき
る。
【0039】また、コイル状に巻き線された酸化物系超
電導テープ線と絶縁テープ線、及び永久電流スイッチか
らなる超電導コイルにおいて、該コイルの両端の電気抵
抗が、永久電流磁石として機能する程度に十分低く構成
してなることにより永久電流コイルが実現できる。
【0040】また、該酸化物超電導線材において、該酸
化物超電導体がビスマス系またはタリウム系超電導体で
あることが望ましいが、公知の超電導材料、たとえば、 Tl−Ba−Ca−Cu−O系 Tl1.5-2.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Tl1.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Tl1.5-2.2−Ba1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 Tl−Sr−Ca−Cu−O系 Tl1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Tl1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Tl1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 Tl−Ba−Sr−Ca−Cu−O系 Tl1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Tl1.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Tl1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 x=0.1〜0.9 Tl−Pb−Sr−Ca−Cu−O系 (Tly−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Tly−Pb1-y)1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 (Tly−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 y=0.1〜0.9 Tl−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O系 (Tly−Pb1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Tly−Pb1-y)1.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.3 −Cu1.5-2.3−O7-9 (Tly−Pb1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.3−Ca1.5-2.3 −Cu2.5-3.3−O9-11 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.2 −Cu1.5-2.3−O6-8 (Tly−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca2.5-3.2 −Cu3.5-4.3−O8-10 x=0.1〜0.9 y=0.1〜0.9 Bi−Sr−Ca−Cu−O系 Bi1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Bi1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Bi1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系 (Biy−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Biy−Pb1-y)1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 (Biy−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 y=0.1〜0.9 Ln−Ba−Cu−O系 Ln1.5-2.3−Cu0.5-1.3−O4-6 Ln0.5-1.3−Ba1.5-2.3Cu2.5-3.3−O6-8 Ln:Y,Sc,La,Ac,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu Ln−Sr−Cu−O系 Ln0.5-1.3−Sr1.5-2.3Cu2.5-3.3−O6-8 Ln:Y,Sc,La,Ac,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu Bi−Sr−Y−Cu−O系 (Bi1-xCux)−Sr2−(Y1-yCuy)−Cu2−O6-8 x=0.1〜0.9 y=0.1〜0.9 Ba−Ca−Cu−O系 Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 x=0〜1 Sr−Ca−Cu−O系 Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 (Agx,Cu1-x)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 x=0〜1 Hg−Ba−Ca−Cu−O系 Hg1.5-2.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Hg1.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Hg1.5-2.2−Ba1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 Hg−Sr−Ca−Cu−O系 Hg1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Hg1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Hg1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 Hg−Ba−Sr−Ca−Cu−O系 Hg1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 Hg1.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 Hg1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 x=0.1〜0.9 Hg−Pb−Sr−Ca−Cu−O系 (Hgy−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Hgy−Pb1-y)1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9 (Hgy−Pb1-y)1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 y=0.1〜0.9 Hg−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O系 (Hgy−Pb1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Hgy−Pb1-y)1.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.3 −Cu1.5-2.3−O7-9 (Hgy−Pb1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.3−Ca1.5-2.3 −Cu2.5-3.3−O9-11 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.2 −Cu1.5-2.3−O6-8 (Hgy−Pb1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca2.5-3.2 −Cu3.5-4.3−O8-10 x=0.1〜0.9 y=0.1〜0.9 Hg-Tl−Ba−Ca−O系 (Hgy-Tl1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7 (Hgy-Tl1-y)1.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.3 −Cu1.5-2.3−O7-9 (Hgy-Tl1-y)1.5-2.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.3−Ca1.5-2.3 −Cu2.5-3.3−O9-11 (Hgy-Tl1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6 (Hgy-Tl1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca0.5-1.2 −Cu1.5-2.3−O6-8 (Hgy-Tl1-y)0.5-1.2−(Bax−Sr1-x)1.5-2.2−Ca2.5-3.2 −Cu3.5-4.3−O8-10 x=0〜1 y=0.1〜0.9 などである。
【0041】また、該酸化物超電導線材において、該金
属被覆材が銀又は金、或いはこれらの一種又は二種を母
材とする合金、或いは添加物として微量のマグネシウ
ム,チタン,ニッケル,銅を含む銀又は金合金であるこ
とにより、引張強さを3倍に高めることが可能となり、
電磁力に耐え、かつ、被覆材が酸化物超電導体と反応し
劣化させることのない超電導線材を構成できる。
【0042】また、該酸化物超電導マグネットにおい
て、該絶縁材として2〜12%のアルミニウムを含有す
る銅合金、好ましくはアームスブロンズ、また、ステン
レス鋼,チタン合金,鉄基耐熱合金,ニッケル基耐熱合
金,コバルト基耐熱合金等の耐熱金属を用いることによ
り、絶縁材によるコイルの補強が可能となる。
【0043】また、該酸化物超電導マグネットの製造方
法において、コイル巻線工程の前に、予め該絶縁金属材
を加熱処理し、表面に緻密な酸化皮膜を形成後、コイル
巻き線することにより、該絶縁材と酸化物超電導体との
反応を防止し、永久電流マグネットを達成できる。この
場合、該絶縁金属材の内部は酸化しない状態で保持し、
金属材料の機械強度を維持し、電磁力に対して十分な強
度を保持させる。必要とされる耐電磁力性能は、コイル
が発生する磁場の強さや電流値などによって様々であ
る。これらは事前に設計を行い、必要な場合には、絶縁
層の厚みを十分大きくとるなどの工夫をする。ただし、
あまり厚くなると巻き線に支障を来すので、例えば、ア
ームスブロンズを用いた場合には、通常は30ミクロン
から200ミクロンの厚みで使用することが望ましい。
【0044】また、該酸化物超電導マグネットの製造方
法において、コイル巻線工程の後に、熱処理を施すこと
により、局所的な機械的歪みを受けない、長尺にわたっ
て超電導を保持できる線材を実現し、永久電流マグネッ
トを達成できる効果がある。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施例1)本発明の製造方法の一例を、以下、図1を
基に説明する。
【0046】図1は、製造方法の詳細工程を示す図であ
る。あらかじめ合成した結晶粒径1〜3ミクロンのBi
2Sr2Ca1Cu2x の粉末を、800℃で1〜20h
加熱後急冷し、吸着ガスを放出させた後、外径6mm,内
径5mm,長さ800mmの銀パイプに充填後、ドローベン
チにより外径0.9mm までダイス線引加工した。ここ
で、加工途中において直径3.9mmで、300℃,10
分焼鈍,1.03mm径で800℃/1〜20h加熱後急
冷した。最初の熱処理は加工途中の断線を防止するため
であり、次の熱処理は線材内部でのガス発生を防止し、
膨れを抑制するためである。これを、対角長さ0.96m
m の6角ダイスにより線引加工し、6角断面形状で長さ
15〜20mの素線を得た。これを、長さ450mmに切
断後、外径8.2 mm,内径7.1mm ,長さ520mmの銀
パイプに組み込み、図2に示すような55芯線材とし
た。この線材を再度ドローベンチを用いて線引加工し最
終的に直径0.5 〜2mm,長さ10〜30mの線材とし
た。ここで、加工途中において直径3.9 mmで、300
℃,10分焼鈍,1.62mm 径で800℃/1〜10h
加熱後急冷した。最初の熱処理は加工途中の断線を防止
するためであり、次の熱処理は線材内部でのガス発生を
防止し、膨れを抑制するためである。この処理を怠った
場合には最終熱処理で線材に膨れが生じ、部分的な断
線,短絡などの問題を生じて、長尺線材を作成できな
い。なお、最終線径が1.62mm 以上の場合には、最終
線径において同様の熱処理を行った。次に、この線材を
偏平形状とする際に、まず、ロール圧延により厚さ0.
2〜0.5mm,幅1〜3mm,長さ5〜15mにまで加工
した。この工程は、後に述べるツイスト線の場合を除い
て、多芯線材の加工を行う際には必須の工程であって、
この工程を省略してすぐに、次の緻密化プロセスを実施
すると、線材断面内において各酸化物コアの不均質な変
形が生じてしまい長尺線の性能が十分に達成できない。
【0047】このあと、コイル巻き線を行う場合には、
絶縁材とともにパンケーキコイルを作成する。このあ
と、部分溶融する。図3に部分溶融条件を図示した。雰
囲気は純酸素中で圧力は常圧もしくは、4〜10気圧の
圧力で加圧した状態で熱処理した。部分溶融の熱処理は
酸素気流中で行った。このあと、最終的に図4に示す条
件でアニールを施した。この際の雰囲気は1〜20%酸
素を含む窒素ガス中で行った。この際の酸素の含有量
は、更に好ましくは5〜7%である。酸素分圧が高いと
アニール効果が得られにくく、また、低すぎると、結晶
が分解反応し、良好な特性が得られにくくなる。
【0048】図5は、緻密化加工を実施しない比較例に
よる製造方法の工程図を示す。緻密化加工工程以外のプ
ロセスは図1の実施例と全く同一とし、ロール圧延によ
り図1と同じテープ厚みまで加工した。
【0049】図6は図1の本発明の製造プロセスにした
がって外径1.52mm から圧延加工工程に入った本発明
の線材の臨界電流特性を、図5の比較例のプロセスによ
って作成した線材とを比較したものである。線材の長さ
は1mであり、幅5mm,厚さ0.15mm である。電圧端
子は、線材の両端からそれぞれ3cm内側に設置して4端
子法により計測した。図から、本発明の線材は従来比較
例と比べて、約3倍の性能向上が認められることがわか
り、幅5mm,厚さ0.15mmのサイズで550Aという大
電流を通電可能ならしめた。この値は、導体全断面積値
で見積もった臨界電流密度において、実用上の目安とさ
れる単位平方センチメートル辺り1万アンペアを十分越
える、73000A/cm2 という値であり、単尺線材の
性能とほぼ一致する。
【0050】長尺線を作成する際には、線材の加工性が
問題となる。特に本発明のような極端な緻密化加工を行
う場合には、線材コアと金属被覆材の比率が重要にな
る。本発明によれば、多芯線材であっても線材の全体厚
みに対し、超伝導部の厚みの合計が20%以上40%以
下であれば問題なく加工可能であることを見出した。5
0%以上であれば、テープ端部に耳割れが生じ、10%
以下では、オーバーオール臨界電流密度が十分に確保さ
れない。
【0051】図7はこれらの線材の磁場中における臨界
電流密度を比較したものである。図から明らかなよう
に、本発明の線材は、長尺においても単尺線材の性能と
比較してほとんど遜色がなく、実用に供するに十分な性
能を有することがわかる。
【0052】図8及び図9は図1及び図5に示した本発
明と従来の製造方法により作成した線材を比較した結果
を示す図である。図8は、4.2K において、外部磁界
のない状態での臨界電流密度と線材の長さ(端子間距
離)の関係を示す図である。なお臨界電流密度は10
-13 Ωmの抵抗発生点で定義した。本図から明らかなよ
うに本発明の線材は、従来の線材に比較して単尺で約4
〜5倍の性能を有すると共に、10,000cm 即ち10
mを越える領域では、従来線材は全く通電ができないの
に対し、本発明の線材では、4000〜5000A/mm
2 の臨界電流密度が得られるという顕著な効果が示され
た。図9には、本発明と比較例の線材における線材の長
さ方向の断面における超電導コアの形状を比較した図で
ある。酸化物超電導体1は金属被覆材2によって被覆さ
れている。ここで、本発明では、緻密化によって酸化物
超電導体コアと金属の界面の平滑性が実質的に保たれて
いるのに対し、比較例の方法によって作成された線材
は、断面組織の脈動(以下ソーセージングと述べる)に
よって局所的なくびれを生じ、臨界電流の低下を招いて
いる。さらに、このソーセージングによって結晶の配向
性も低下し、臨界電流密度が低下していると思われる。
一般には、ソーセージングは金属被覆した粉体の加工を
行う際に、金属の変形の方向に生じやすいことが知られ
ている。テープ形状の圧延加工では線材が長さ方向にの
び幅方向には延びない。そのため、ソーセージングは長
さ方向の断面内で生じ、長さ方向の性能を劣化させてい
る。一方、プレス加工では、幅方向の延びを生じ、長さ
方向には大きな摩擦力があってほとんど変形しない。し
かし、この場合には、1m以上の長尺線の製造が困難で
あり、更に、幅方向の延びによって横断面内でソーセー
ジングが生じる。長尺導体で高い臨界電流密度を得るた
めにはソーセージングを可能な限り低減する加工条件を
厳密に選定する必要がある。発明者らは実施例2に示す
ような加工方法によって、ソーセージングをなくするこ
とを可能ならしめた。
【0053】(実施例2)以下、本発明のソーセージン
グをなくする緻密化加工プロセスの詳細について実施例
を基に説明する。
【0054】図10,図11及び図12は本発明の緻密
化加工装置の概略構成図を示す。本緻密化装置は基本的
には、公知の装置構成を基本としているが、長尺導体の
連続的な緻密化処理としてさらに、幾つかの重要な改良
点を付加している。図10において、本装置は、外に突
の円弧面を有する工具の円弧面10により、移動する線
材に繰り返し圧下し、下部に配置した円盤3の平面に加
圧することにより構成される。また、図11の構成にお
いては回転する一対のロール8より構成され、この一対
のロールの線材を挟んだ加工面を回転軸に対して一定の
角度だけ傾斜させることにより構成される。図12にお
いては、下部に配置された水平方向に回転する円盤3と
上部に配置された垂直方向に回転するロール4との面間
に線材を連続的に挿入することにより構成される。ここ
で、図12を例に取ると、円盤3とロール4の間の加圧
力は、ロードセル5により検出され1〜20ton の加圧
力が一定に保たれる構成となっている。これらの装置で
は、ロール等の加圧工具が動作しない場合においても、
通常のプレス加工装置と同じ様に、静的な加圧が可能な
構成としてある。また、線材の出口側においては、図1
3に示すように線材の蛇行を抑制するため、テンション
調整機11が付加されている。このテンション調整が無
い場合、線材の蛇行度は、1mあたり最大で3cmと顕著
であった。従来のロール圧延では、このような蛇行は生
じることはないので、この蛇行は本方法の顕著な特徴と
考えられる。しかしながら、テンション調整を行った場
合の蛇行は1mあたり0.5mm 以下であり、実質的に問
題は認められなくなった。テープ形状の線材に1mm以上
の蛇行があると、コイル巻き線は実質的に困難になるの
で、テンション調整機11は必須の付加機構である。な
お、図13では図10の装置構成を一例として説明した
が、図11及び図12の構成においても、線材の出口側
にテンションローラを配置することにより、全く同様の
蛇行抑制効果が得られる。
【0055】更に、本装置においては、ロール等の工具
の材質を超硬とし、ローラ又は円弧工具の圧縮効果に着
目してロール径(あるいは円弧工具の円弧径)を200
mm以上、好ましくは250mm〜500mmとした。図14
に加工前のテープ幅(厚さ0.5mm)と加工後のテープ
幅(0.1mm厚み)の関係を、圧荷重2ton の条件で種
々の径によって検討した結果を示す。ここで、線材の幅
方向への広がりが大きいほど、より緻密化されやすく、
長さ方向のソーセージングの抑制効果が大きい。この結
果から、ロール径(円弧工具径)は大きいほど好まし
く、更に好ましくは250mm以上であって、加工後の線
材幅は、ほぼ飽和することが解る。ロール径(円弧工具
径)に上限を設けたのは、工具製作が困難になること
と、作業性の問題であって、性能面からの制約ではな
い。
【0056】
【表1】
【0057】表1に図10の方法で作成した線材におけ
る上部ロール径と酸化物コアの理論密度比と臨界電流の
関係を示す。
【0058】以下、本実施例1で述べた線材の加工を例
にとり、具体的な作業手順を述べる。あらかじめ巻き取
りスプール6に巻きとった圧延済み線材7を図10又は
図11又は図12の圧縮工具間に挿入する。このあと、
ロードセルの値に注意しながら、徐々に線材に圧力を印
加してゆき、ロール間に全圧で3ton の荷重をかけた。
この状態で、まず、テンション調整機11を駆動し、引
き続いて装置を駆動し、線材を長さ方向連続的に移動さ
せて加工を行った。この場合、図10及び図12の構成
においてはロール(円弧工具)の直径は300mmとし、
下部水平平面ロールの直径は200mmであった。また、
図11の構成においては上下ロールの最大径を400m
m,最小径を300mmとした。緻密化処理前のテープ幅
は2.3mm厚みは0.5mm であった。最終的な加工後の
サイズは、いずれの加工方法においても幅5mm,厚さ
0.13mmであった。
【0059】図15に丸断面の線材を本発明の偏平断面
形状に加工する際の、線材断面における半径rと偏平化
後の線幅wの比と臨界電流密度Jcの関係を示す。図か
ら明らかなようにw/2rが3以上で顕著なJcの向上
効果が認められることが分かる。w/2rが6を越える
と線材端部に割れが生じ、熱処理中に融体がしみ出して
Jcが低下してしまう。長尺線材を必要とする場合には
上限を6とすることが望ましいことが分かる。
【0060】(実施例3)図16は、丸断面の酸化物超
電導線12をスプール6を回転させることによってツイ
スト構造を有する長尺の酸化物超電導テープ連続的に得
るものである。この装置の他の構成はすべて、実施例2
で述べたものと同様である。この効果によって、ツイス
トされた線材において緻密化を図ることが可能となると
ともに、丸断面からの、直接の緻密化であっても、超伝
導コアの断面形状は不均質化しない効果がある。この線
材の臨界電流密度は、ツイストしない場合と比較して、
誤差の範囲で一致した。なお、ツイストピッチは、任意
に制御可能であるが、不自然な加工歪みによるねじれや
断線を抑制するため、下部に回転円盤3を用いる図10
及び図12の構成では、円盤の回転に伴う周速度と同期
した速度で回転させることが望ましい。
【0061】このようにして作成されたツイスト線は通
常の金属系超電導線のものと全く同等であって、交流損
失に関する公知の理論にしたがって、大幅にカップリン
グ損などを低減することが可能となる。
【0062】(実施例4)図17は、本発明における熱
処理方法を示す図である。酸化物超伝導体の熱処理は、
通常の超伝導体と比較して、最低でも温度誤差2℃以内
の厳しい温度管理を要求される。これは、単尺線の熱処
理においては、殆ど問題とならないが、とくに、長尺の
線材を作成する場合や、大型のコイルを熱処理する際に
は、電気炉内の温度分布の不均質性によって、線材乃至
コイルの性能が低下してしまうという問題がしばしば発
生し、加工工程が順調に進んでも十分な性能が出ないこ
とがしばしばある。図17に示す装置では、この問題を
解決し、温度誤差1℃以内で長尺線の熱処理を可能なら
しめるものである。
【0063】ここで、酸化物超伝導線7は環状ヒータ1
3によって加熱される。この際、該環状ヒータは、少な
くともヒータの円筒軸方向に3分割し、電気炉内の長さ
方向における温度分布を調整することが望ましい。ここ
で、長さ方向におけるヒータの分割数は、炉の大きさ,
形状に対応し、必要に応じて増減してもよい。
【0064】線材は、炉内に設置された直径30cmのド
ラム15に100ターン、即ち約100m巻き付けら
れ、その外側に放熱シールド16を設けている。ドラム
はモータ14によって毎秒0.2 〜1回転の回転動作を
する。これによって炉内の高さ方向の温度分布を相殺で
きる。炉内の雰囲気は、加熱部分を石英硝子やステンレ
スにより封じることによって任意の条件、例えば純酸
素、例えば5%酸素含有する窒素ガス等で熱処理が可能
である。実際にこの装置により、長さ100mの線材全
長にわたって、800〜900℃の温度範囲内の任意の
温度で1℃の温度誤差で熱処理が可能となり、本発明の
実施例に示すような均質な超伝導線が作成できた。ま
た、本装置のドラムの位置にコイルを設置することによ
り、コイル形状でも均質な熱処理が可能となる。
【0065】(実施例5)多芯線材における均質性を十
分に確保するには、充填される粉末の密度分布が均質で
あって、特に加工終了時点で、長さ方向や断面内におい
て均質である必要がある。これには、結晶の粒径を1〜
3ミクロンとすると効果的であって、特に多芯線材を構
成する場合には粉末の粒径Lと最終加工後の多芯線材の
コア厚みtとの関係で表わしたとき、 L<t/2 の関係を満足していると、超電導コアと被覆金属との界
面がコア厚みに対して比較的平滑に保たれ、結晶の配向
性を向上する効果がある。この様子を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】このような、粒径1〜3ミクロンの粉末は
以下のような方法で得ることができる。以下、Bi1.8
Pb0.4Sr2.0Ca2.2Cu3.01x の合成を例にとり
説明する。
【0068】まず、各成分元素の硝酸塩原料を所定のモ
ル比で準備し、硝酸ビスマス以外の硝酸塩については、
各硝酸塩の合計した重量100gに対し純水100gの
割合で溶解し、硝酸ビスマスのみ純水と濃硝酸の比が
1:1の硝酸水溶液10cc中に硝酸ビスマス10gの割
合で溶解後、これらを所定のモル比で混合する。これを
図18に示すようなフリーズドライヤのフラスコ容器1
7に所定のモル比で充填する。そして、コールドトラッ
プ18で−50℃以下、好ましくは−150℃〜−19
6℃に保持しつつ、真空ポンプ19によって減圧する。
これにより、フラスコ内の混合溶液は、蒸発潜熱により
自己冷却固化した状態で乾燥され、原子オーダで混合さ
れた粉末が得られる。この粉末を800〜840℃で1
0〜100時間加熱することにより、硝酸塩を除去し
て、粒径1〜3ミクロンの酸化物超電導結晶を得た。な
お、0.1 ミクロン以下の粒径では管充填が困難であっ
た。
【0069】(実施例6)図19は、本発明の線材を用
いたコイル構成の一例を示す。パンケーキコイル20は
本発明の実施例1の方法で作成した厚さ0.15mm ,幅
5mmの銀被覆55芯テープ状線材を用いた。コイルの内
径は30mm,外径は105mmである。各パンケーキコイ
ルのボビン24には外径30mm,厚さ2mmの銀基100
0ppm マグネシウム酸化物分散強化合金を用いた。図1
9の例ではシングルパンケーキを4個積層した構成で、
隣り合った各コイルは逆方向に巻き線されアルミナ板2
5によって絶縁されている。外部接続部23は、接続抵
抗を低減するため、上下のパンケーキを最外周で半周オ
ーバーラッピングさせてはんだ接続し、外側からFRP
で固定した。内部接続部21は、シングルパンケーキ巻
きの図19の場合にはボビン間を直接接合した。また、
公知のような、ダブルパンケーキ巻きのコイルの場合に
は、接続部21は不要で、上下で逆方向に巻き線された
パンケーキを同一ボビンに巻き線する。この場合にも、
ボビン材を介しての上下のパンケーキ間の抵抗発生が生
ずるので、これを解決するため、図20に示すようにボ
ビン24表面に、酸化物超電導層25をコーチィングす
るなどの工夫をした。
【0070】また、本コイルの絶縁材としては、純度9
9%以上のアルミナペーパ,アルミナクロスなどが使用
できる。これらは、酸化物超電導体と反応しないため優
れた絶縁材料である。反面、機械的強度に劣り、特に熱
処理後は、機械的な引っ張り強度は1kg以下と、耐電磁
力性に問題がある。酸化物超電導コイルを、5T以上の
磁場を発生するコイルとして用いる場合には、より強度
の高い絶縁材を使用し、超電導線を補強する必要があ
る。なぜなら、酸化物超電導線の引っ張り強度は、焼鈍
された純銀の場合10kg/mm2 程度、MgOを分散した
酸化物分散強化合金であっても高々30kg/mm2 である
ためである。
【0071】したがって、絶縁材によりコイルに加わる
電磁力を補強することが望ましいが、このとき、絶縁材
は、絶縁性があること、引っ張り強度が40kg/mm2
以上であること、熱処理過程で超伝導体を劣化させない
こと、などである。これらを満足する金属の中で最も好
ましいものは、アームスブロンズ(Cu−Al合金)系
材料である。そこで、アームスブロンズを厚さ70ミク
ロン,幅3〜5mm,長さ100mのテープ状とし、絶縁
材として使用した。この際、好ましくは、巻き線前にあ
らかじめ、絶縁テープ表面に緻密な酸化皮膜を形成する
熱処理を施すと、より効果的であるが、事前の酸化処理
が無い場合でも、コイル巻線後に800℃以上の純酸素
中で熱処理すれば利用できる。また、ステンレス鋼など
の耐熱金属材料も、あらかじめ表面に酸化皮膜を形成し
ておけば利用できる。
【0072】図21は図19と同様のパンケーキコイル
を24段積層した一例の断面構成を示す図である。積層
コイルは、全体をエポキシ樹脂35により含浸した。コ
イル仕様は、内径30mm,外径110mm,高さ120mm
であった。
【0073】(実施例7)図22は本発明の超電導マグ
ネットの構成図を示す。超電導マグネット29には、実
施例6で示した酸化物超電導マグネットを用い、マグネ
ットはクライオスタット31内に設置し、液体ヘリウム
30により冷却される。銅電極28,電流リード33を
介して、永久電流スイッチ32と超電導コイル29が接
続される。本構成において、超電導マグネットの両端に
10−13/Ωmの抵抗が発生した電流値で定義した臨
界電流は200Aであり、このときの発生磁場は5.8
Tであった。また、この状態で永久電流動作に移行する
と、3.4 テスラの磁場を140時間にわたって保持で
きた。
【0074】ここで、電流リード33には酸化物超電導
電流リードを利用すれば、システムへの熱侵入を低減で
きる効果があり、更に、抵抗による永久電流の減衰を抑
制可能である。また、永久電流スイッチに、酸化物超電
導体を用いると、液体窒素で冷却した簡便なシステムが
構築できるメリットがある。
【0075】以上、本発明の一実施例を基に、内容を説
明したが、本発明の応用としては、高磁界発生マグネッ
ト,NMR装置,医療用MRI装置,加速機,超電導磁
気浮上列車,SMES,限流機,理化学実験用超電導マ
グネット,電流リード,超電導ケーブルなどの超電導関
連の応用分野に広く適用できる。
【0076】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の効果と
して、酸化物超電導体の長尺線材の性能を単尺線並みに
高めることが可能となり、これによって、実用に供しう
る線材性能が実現でき、5T以上の磁界発生が可能とな
ったという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超電導線材の製造工程図。
【図2】本発明に供する多芯線材の断面構造図。
【図3】本発明の部分溶融熱処理工程図。
【図4】本発明のアニール熱処理工程図。
【図5】従来技術の特性図。
【図6】本発明の電流電圧特性図。
【図7】本発明の線材の臨界電流密度の磁場依存特性
図。
【図8】本発明と従来線材に関する臨界電流密度と線材
長さの関係図。
【図9】本発明と従来線材に関するソーセージングの比
較図。
【図10】本発明の緻密化工程を実施するための装置
図。
【図11】本発明の緻密化工程を実施するための装置
図。
【図12】本発明の緻密化工程を実施するための装置
図。
【図13】図12の装置構成における線材の蛇行防止方
法の具体的構成図。
【図14】加工前線幅と加工後のテープ幅に関するロー
ル径の関係図。
【図15】加工前線径と加工後線幅の比とJcの関係
図。
【図16】ツイストテープ線の作成工程の原理図。
【図17】本発明の長尺線材を熱処理する工程図。
【図18】本発明に用いる粉末合成装置図。
【図19】本発明のコイル構成図。
【図20】ダブルパンケーキ巻コイルのボビン構成図。
【図21】樹脂含浸した24段積層コイルの断面構成
図。
【図22】本発明の超電導マグネットシステム図。
【符号の説明】
1…酸化物超電導体、2…金属被覆材、3…円盤、4…
ロール、5…ロードセル、6…スプール、7…線材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 C04B 35/00 ZAAK H01F 6/06 ZAA H01F 5/08 ZAAC

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏平断面形状を有し、かつ金属被覆された
    酸化物超電導線材において、該線材の緻密化加工後の横
    方向断面及び縦方向断面において、該金属被覆材と酸化
    物超電導体部の界面が実質的に平滑であって、かつ酸化
    物超電導体の密度が、理論密度の90%以上あることを
    特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の酸化物超電導線材におい
    て、該線材は偏平形状であって、かつ該線材の断面内に
    配置された複数の超電導線体が各々金属に被覆され、該
    超電導体の厚みの合計が、線材の全体厚みの20%以上
    40%以下であることを特徴とする酸化物超電導線材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の酸化物超電導線材におい
    て、該酸化物超電導体がビスマス系またはタリウム系超
    電導体であることを特徴とする酸化物超電導線材。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の酸化物超電導線材におい
    て、該金属被覆材が銀又は金、或いはこれらの一種又は
    二種を母材とする合金、或いは添加物として微量のマグ
    ネシウム,チタン,ニッケル,銅を含む銀又は金合金で
    あることを特徴とする酸化物超電導線材。
  5. 【請求項5】偏平断面形状を有し、かつ金属被覆された
    酸化物超電導線材を所定の形状に加工する線材加工工程
    と,該線材加工工程後の線材を理論密度の90%以上に
    緻密化処理する緻密化処理工程と,該部分緻密化処理工
    程後に部分溶融する部分溶融工程とを有することを特徴
    とする酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 【請求項6】偏平断面形状を有し、かつ金属被覆された
    酸化物超電導線材を所定の形状に加工する線材加工工程
    と,該線材加工工程後の線材を理論密度の90%以上に
    緻密化処理する緻密化処理工程と,該部分緻密化処理工
    程後に部分溶融する部分溶融工程と,該部分溶融工程後
    に熱処理する熱処理工程とを有することを特徴とする酸
    化物超電導線材の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5あるいは6に記載の該緻密化処理
    工程で、下部に配置された水平方向に回転する円盤の水
    平面と上部に配置された垂直方向に回転するロール面間
    に、線材を連続的に挿入することにより構成される減面
    加工装置を用い、該装置は、上部ロール部と該円盤の間
    で、鉛直軸に対して1ton 以上の加圧力で静的に加圧可
    能な構成であって、かつ該上部ロール直径が、200mm
    以上であることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方
    法。
  8. 【請求項8】請求項5あるいは6に記載の該緻密化処理
    工程で、平行に配置された一対の回転軸と共に回転する
    一対のロールより構成し、この一対のロールの線材を挟
    んだ加工面を回転軸に対して一定の角度だけ傾斜させ、
    上下部ロール部の間で、鉛直軸に対して1ton 以上の加
    圧力で連続的に加圧可能な構成であって、かつ該ロール
    直径の最小部が200mm以上であることを特徴とする酸
    化物超電導線材の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項5あるいは6に記載の該緻密化処理
    工程で、上部に配置した外に突の円弧面を有する工具の
    該円弧面により、移動する線材に繰り返し圧下するとと
    もに、該圧下工具に対向して下部に配置した工具の面が
    平面であって、該円弧工具により鉛直軸に対して1ton
    以上の加圧力で連続的に加圧可能な構成であって、かつ
    該円弧直径が200mm以上であることを特徴とする酸化
    物超電導線材の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項5ないし9のいずれかに記載の該
    緻密化工程において、丸断面形状の線材を半径rまで縮
    径加工を行う工程,幅wの偏平な形状に加工する工程を
    有し、w/2rの比が3以上6以下であることを特徴と
    する酸化物超電導線材の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の該円盤,該ロールあるいは該工具のいずれかの材
    質が超硬合金であることを特徴とする酸化物超電導線材
    の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の該緻密化処理工程であって、連続的に排出される
    テープの出口側にテンションをかけることにより、線材
    の蛇行を抑制した事を特徴とする酸化物超電導線材の製
    造方法。
  13. 【請求項13】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の該緻密化処理工程において、該線材に丸断面の多
    芯線材を用い、連続的に挿入される入り口側において、
    回転動作を線材にかけることにより、偏平断面の線材に
    ツイスト構造を付与せしめることを特徴とする酸化物超
    電導線材の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の線材加工工程において、丸断面形状時に、適宜、
    摂氏約800度で概ね1時間以上の加熱処理後、急冷を
    施し、偏平断面形状に加工後の最終熱処理での発生ガス
    による線材のふくれを防止したことを特徴とする酸化物
    超電導線材の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の酸化物超電導線材の製造方法において、該部分溶
    融熱処理後に1〜10%酸素と窒素又は不活性ガスとの
    混合ガス雰囲気で400℃〜900℃で1〜300時間
    の熱処理を施すことを特徴とする酸化物超電導線材の製
    造方法。
  16. 【請求項16】請求項8,9あるいは10のいずれかに
    記載の酸化物超電導線の部分溶融熱処理方法あるいは熱
    処理工程において、該熱処理時の温度誤差を1℃以下と
    したことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  17. 【請求項17】偏平形状の酸化物超電導線材の断面内に
    配置された複数の超電導線体が各々金属に被覆された多
    芯線材の製造方法であって、該偏平形状に加工される初
    期外径Rの金属素管に充填する粉末の結晶粒径Lは、最
    終加工後の多芯線材の各コアの厚みtに対し L<t/2 であって、かつ少なくとも0.1 ミクロン以上の結晶粒
    径であることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方
    法。
  18. 【請求項18】コイル状に巻き線された酸化物系超電導
    テープ線と絶縁テープ線と永久電流スイッチを有する超
    電導マグネットであって、該マグネットの両端の電気抵
    抗が、永久電流磁石として機能する程度に十分低く構成
    してなることを特徴とする酸化物系超電導マグネット。
  19. 【請求項19】コイル状に巻き線された酸化物系超電導
    テープ線と絶縁テープ線と永久電流スイッチを有する超
    電導マグネットであって、該超電導マグネットの発生磁
    場が5.8 テスラ以上であることを特徴とする酸化物系
    超電導マグネット。
  20. 【請求項20】コイル状に巻き線された酸化物系超電導
    テープ線と絶縁テープ線と永久電流スイッチを有する酸
    化物系超電導マグネットであって、該絶縁物の機械強度
    が該超電導線の該強度と比較し、補強部材として機能す
    るに十分な強さでなることを特徴とする酸化物系超電導
    マグネット。
  21. 【請求項21】請求項18あるいは20に記載の該酸化
    物超電導マグネットにおいて、該絶縁材として2〜12
    %のアルミニウムを含有する銅合金,ステンレス鋼,チ
    タン合金,鉄基耐熱合金,ニッケル基耐熱合金,コバル
    ト基耐熱合金のうちいずれか1種又は2種以上を用いた
    ことを特徴とする超電導マグネット。
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