JPH09169661A - ステロイドホルモン増加剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 タマネギを原料とする高付加価値化食品を開
発する。 【解決手段】 オニオンジュース又はオニオンヴィネガ
ーのようなタマネギ加工品を含有する、ステロイドホル
モン特に血中テストステロンの増加剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、タマネギ又はその
加工品を含有する食品等であって、これを服用すること
により、血漿中のステロイドホルモン、特に男性ホルモ
ンであるテストステロンを増加させ、男性の性腺機能増
進や男性ホルモンが有効とされる乳癌、子宮体癌、卵巣
癌、甲状腺癌等の予防治療に効果が期待されるものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】タマネギの薬理効果としては、殺菌作用
による切り傷、やけど等の傷口の殺菌感染の防止；利尿
作用による、結石症、尿閉、タンパク尿、通風、リュー
マチ等の予防治療；及び腸を刺激して清浄化することに
よる不眠症、動脈硬化、高血圧症に有効とされている。

【０００３】本発明者は、安価なタマネギ、特に規格外
品や廃棄対象となっていた余剰タマネギの利用拡大を図
るため研究し、先にタマネギからバイオリアクターによ
り連続的にオニオンヴィネガーを製造し、その食品とし
ての商品化の可能性を示唆した（日本食品機械工業会主
催の９４’国際食品工業展における研究発表）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、タマネギの
健康に及ぼす未知の機能性を鋭意研究し、タマネギを原
料とするさらに高付加価値化食品等の開発を目指すもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、タマネギ又は
その加工品を含有するステロイドホルモン増加剤であっ
て、これを連続的に服用することにより血漿中テストス
テロンが増加することを見い出した。したがって、男性
の性腺機能を増進し、また男性ホルモンが有効とされて
いる乳癌、子宮体癌、卵巣癌、甲状腺癌等の予防治療効
果、さらに男性の性腺機能不全症、潜在睾丸、女性の機
能性出血、閉経期障害等に効果がある高付加価値食品等
として期待される。

【０００６】

【発明の実施の形態】タマネギの加工品としては、タマ
ネギの粉末、顆粒、錠剤、タマネギエキス、オニオンジ
ュース、オニオンヴィネガー、オニオンワイン等があげ
られる。またタマネギエキス、オニオンヴィネガー又は
オニオンジュースを更に粉末、顆粒、錠剤等に加工した
ものも用いられる。

【０００７】オニオンジュースは、原料タマネギをジュ
ーサー等を用いて搾汁し、濾過して清澄化し、これを加
熱滅菌して製造される。ジューサーで粥状としたものを
短時間煮た後、粘性が弱まったものを濾過する方法はよ
り効率的である。

【０００８】オニオンヴィネガーの原料タマネギは、特
に糖濃度の高い「くれない」「オホーツクＨ８６号」が
適しており、上記オニオンジュースをアルコール発酵さ
せた後、酢酸発酵させることにより、オニオンヴィネガ
ーを製造することができる。使用菌株は、アルコール発
酵には、通常のアルコール発酵に用いられているアルコ
ール発酵酵母、例えばSaccharomyces cerevisiaeが用い
られ、酢酸発酵には、通常の酢酸発酵に用いられている
酢酸発酵細菌、例えばAcetobactor aceti が用いられ
る。発酵装置としては、連続操作バイオリアクターが好
ましく、例えば発酵槽に充填した多孔質セラミックビー
ズ及び／又は同リングにアルコール発酵菌を固定化し、
これに滅菌したオニオンジュースを流して、１５〜３５
℃で約４８時間嫌気的に培養する。次に同様に酢酸発酵
菌を多孔質セラミックビーズ及び／又は同リングに固定
化したものを充填した酢酸発酵槽に、上記アルコール発
酵生成物（エタノール濃度３０〜４０g/l)を流し、２５
〜３５℃で、約６０〜９６時間好気的に培養することに
より、酢酸濃度３０〜５０g/l のオニオンヴィネガーが
得られる。これらの発酵槽では長期連続運転が可能であ
り、担体の物理的破壊及び変質が起らないため発酵槽内
菌体濃度の変化が少なく、工業的に発酵工程を続けるこ
とができる。固定化担体としてアルギン酸カルシウムゲ
ル、κ−カラギーナンゲル、多孔質キトサンビーズ等を
用いることができる。このようにして得たオニオンヴィ
ネガーは、食酢として利用可能なもので、調味料として
用いることもできる。

【０００９】なお、原料に赤紫色の赤タマネギ「くれな
い」を用いれば、そのジュース及びヴィネガーはワイン
レッド色のものが得られ、商品価値が高くなる。

【００１０】このオニオンジュース及びオニオンヴィネ
ガーは、そのまま用いることができるが、必要により他
の野菜、果物ジュース、調味料等を添加して食品として
もよい。

【００１１】

【実施例】

実施例１ タマネギの外皮を取り除いた後、細断し、ジューサーに
かけ粥状にした。これを攪拌しつつ加熱して１〜２分煮
沸した。粘性の弱まったところでガーゼで絞りつつ濾過
し、濾液を１〜２分間加熱滅菌して、オニオンジュース
を得た。

【００１２】実施例２ Saccharomyces cerevisiae及びAcetobactor aceti を多
孔質セラミックビーズにそれぞれ固定化し、これを二段
連続発酵装置のアルコール発酵槽と酢酸発酵槽のぞれぞ
れに充填した。アルコール発酵は、オニオンジュースを
アルコール発酵槽の下部から供給し、発酵槽上部から下
部に循環させて、３０℃で４８時間ＣＯ₂ 雰囲気下で発
酵させた。酢酸発酵は、前工程で生成したアルコール発
酵液を酢酸発酵槽の下部から供給し、底部から空気を吹
込んで好気条件下で循環させて、３０℃で６０時間発酵
させ、発酵槽上部から生成酢酸液を取り出した。この酢
酸液を滅菌し、オニオンヴィネガーを製造した。このオ
ニオンヴィネガーは、上市されている他の食酢に比べて
各種アミノ酸、有機酸の含有が多いため、こく味、うま
味の高い食品であった。

【００１３】試験例１ 血漿中テストステロン値の測定 実施例１及び２で得られたオニオンジュース及びオニオ
ンヴィネガーの生理活性を次のようにして調べた。各５
人の男性に、１日２回、２５mlずつ１０日間飲用しても
らい、飲用前、４日後及び１０日後に採血し、血漿中の
テストステロン値を測定した。その結果を表１に示す。

【００１４】

【表１】

【００１５】試験結果からわかるように、オニオンジュ
ース又はオニオンヴィネガーを飲用した男性の血中テス
トステロン濃度は、いずれの人も増加した。なお、他の
血中成分の測定値は飲用後においても不変であった。

【００１６】試験例２ 老齢雄マウスの交尾行動に対す
るオニオンジュースの効果 （１）試験動物及び飼育条件 雄ラットは６０週齢の老齢のものを、雌ラットは１１週
齢のものを使用した。ラットの飼育は、室温（２０〜２
６℃）、湿度４０〜７０％、明暗各１２時間とした。動
物室でステンレス製ケージに１匹個別飼育した。飼料は
固型飼料ＣＲＦ−１を摂取させた。試験は１群１０匹で
行った。 （２）投与検体と投与方法 オニオンジュースをそのまま、１日２回、５ ml/μkg
を，飼育期間の１４日間経口投与し、更にそれに続く交
尾行動観察期間経口投与した。なお、対照区には注射用
水を与えた。 （３）交尾行動の観察 １４日間の検体投与が終了した雄マウスを、床敷を入れ
たプラスチックケージ内に１匹づつ入れ、馴化させた。
次に腟スメア標本で発情期と認めた雌ラット１匹を同居
させ、同居開始から５時間までの交尾行動をビデオカメ
ラで観察した。交尾行動は次の指標を用いて定量的に測
定した。 乗駕回数：挿入を伴わない乗駕のみの回数 挿入回数：挿入を伴う乗駕回数 ***回数：***を伴う乗駕回数 （４）試験結果 １群１０匹の平均回数を表２示す。

【００１７】

【表２】

【００１８】試験区の雄マウスは、対照区の雄マウスに
比べて、交尾行動が活発で、約２倍に増進された。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タマネギ又はその加工品を含有するステ
   ロイドホルモン増加剤。
2. 【請求項２】 加工品が、オニオンジュース又はオニオ
   ンヴィネガーである、請求項１のステロイドホルモン増
   加剤。
3. 【請求項３】 ステロイドホルモンが、テストステロン
   である、請求項１又は２のステロイドホルモン増加剤。
4. 【請求項４】 男性の性腺機能増進作用を有する、請求
   項３のステロイドホルモン増加剤。