JPH09169114A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタ、複写機、ワープロ、ファクシミリ
等の情報通信機器用の画像記録装置に、インクジェット
記録ヘッドを用いる画像記録装置において、装置の小型
化、収容インクの大容量化、印字の高速化、印字品質の
向上等の要望に対処するため、低コスト、最小限構成で
形状的には互換性を有し、電気的に非互換性のインクジ
ェット記録ヘッド／装置を提供する。 【解決手段】 このため、複数の吐出口からインクを吐
出する発熱素子及びインク流量と吐出量を一定に保つよ
う駆動条件等を決定するために読み取るランクヒータ２
２を有する記録ヘッド１及び装置において、前記ランク
ヒータ２２抵抗値を吐出特性の異なる記録ヘッド毎にそ
れぞれ互に重複しない領域に設定し、また記録装置側に
おいても各々に適応するヘッドの前記ランクヒータ抵抗
値Ｒを識別し得るしきい値を設定し、不適合ヘッドが装
着された場合には、表示装置１１１にそのエラーを表示
して、その装置を作動しないように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、記録ヘッドから被記録
媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット
記録装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、プリンタ、複写機、ワープロ、
ファクシミリ等の情報通信機器用の画像記録装置の一つ
として近年インクジェット方式による記録ヘッドを用
い、デジタル画像記録を行うものが急速に普及してい
る。

【０００３】それぞれの上記機器に対し、インクジェッ
ト記録装置（以下、“記録装置”という）の小型化や、
インクジェット記録ヘッド（以下、“記録ヘッド”とい
う）内収容インクの大容量化、あるいは１走査時の印字
幅に係わる吐出ノズル数や駆動周波数を増加させること
による印字の高速化、さらには印字品位向上のためのイ
ンクの改良等、数限りない種類の記録ヘッドの開発設計
が必要となる。

【０００４】しかしながら、記録ヘッドの部品点数増加
や生産ラインへの新規設備投資などが、記録ヘッドのコ
ストアップに繋がるため、できるだけ同一部品を流用
し、生産ラインを活用してコストダウンを図った結果、
記録に関する能力は異なるが形状的に類似あるいはほぼ
同一という記録ヘッドが設計されるようになった。

【０００５】従来では、このような記録ヘッドを認識す
るため、（１）識別できる突起等の形状の部材を設け、
その形状を変えることで装置側で識別したり、その形状
によっては装置に装着不可能にしたり、（２）米国特許
明細書第５０４９８９８号に見られるように、記録ヘッ
ドにＲＯＭ等を追加し、予めあるいは後に情報を書き込
み、記録装置側に読み取り機構を追加すせることにより
印字を保証する等の方法が採られていた。

【０００６】しかしながら、これらの方法によると、記
録ヘッドの形状が変わることで、部品や生産ラインの流
用が妨げられ、またＲＯＭ等の使用により大幅なコスト
アップに繋がった。また、さらにインクを発泡させる発
熱素子等を組み込んだヒータボード内に識別回路を追加
する方法も考えられている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記識
別のための電気的抵抗や識別回路を独立して設定する
と、ヒータボード内のパターン、配線、パッドが増える
ことで、ヒータボードの小型化が阻止され、また装置本
体側でも配線が増加して回路も複雑化する。

【０００８】本発明は、以上のような局面にかんがみて
なされたもので、配線、パッド数等を全く増やすことな
しに、電気的非互換性を有するインクジェット記録ヘッ
ドを提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】このため、本発明は、吐
出口からインクを吐出する発熱素子と、ヘッドに応じた
抵抗値を有するランクヒータとを有するインクジェット
記録ヘッドであって、吐出特性が異なる複数のインクジ
ェット記録ヘッドを交換可能に装着して記録を行うイン
クジェット記録装置において、前記ランクヒータの抵抗
値は、前記ヘッドの吐出特性に応じてそれぞれ相互に重
複しない領域に設定され、前記ランクヒータの抵抗値を
識別する識別手段と、この識別手段による識別結果に応
じて装置の動作を制御する制御手段とを有するよう構成
すると共に、前記装置の動作制御手段は、前記識別手段
により前記ランクヒータの抵抗値が不適合と判定された
前記記録ヘッドが前記記録装置に装着された時、本装置
を不作動に制御すると共に、表示手段に不適合のヘッド
が装着されたことを示す表示を行うよう構成することに
より、前記目的を達成しようとするものである。

【００１０】

【作用】以上のような本発明構成によれば、ランクヒー
タにより駆動パルス設定用とヘッド種類識別用の２作用
を兼用することにより、ヒータボードを小型化でき、ま
た装置本体に識別用の回路を追加することなく電気的非
互換性を有する記録ヘッドを提供することができる。

【００１１】以上により、吐出量・吐出ノズル数・駆動
周波数・インク種類等の吐出特性が異なる記録ヘッド
が、不適合の装置本体上で動作しない結果、記録ヘッド
及び装置の破壊や印字品位の低下を防止でき、信頼性の
高い記録ヘッド及び装置を提供することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
複数の実施例に基づいて詳細に説明する。

【００１３】

【実施例】

（第１実施例）図３に、本発明に係わるインクジェット
記録装置の第１の実施例の概略外観図を示す。図３にお
いて、１はインクジェット記録ヘッド、２は、インクジ
ェット記録ヘッド１を装置上に固定し、記録ヘッド１が
固定されたときに電気的接続が可能となるキャリッジで
ある。記録ヘッドは、キャリッジ２とともに主走査方向
に走査される。また３は、記録が行われる用紙等の被記
録媒体であり、プラテン４によりインクジェット記録ヘ
ッド１の主走査方向に対して直交する方向に搬送され
る。５、６は、キャリッジ２を支えて走査するための各
シャフトであり、ねじ付きシャフト５を回転させること
によりキャリッジ２が移動する。

【００１４】図４は、インクジェット記録装置の制御回
路１００の構成を示すブロック図である。図４におい
て、１０８は、記録信号を入力するインタフェース、１
０１はＭＰＵ、１０２は、ＭＰＵ１０１が実行する制御
プログラムを格納するＲＯＭ、１０３は、上記記録信号
や記録ヘッド１に供給される記録データ等の各種データ
を保存しておくＤＲＡＭである。１０４は、記録ヘッド
１に対する記録データの供給制御を行うゲートアレーで
あり、インタフェース１０８、ＭＰＵ１０１、ＲＡＭ１
０３等のデータ転送制御をも行う。

【００１５】１１０は、インクジェット記録ヘッドが搭
載されたキャリアを走査させるためのキャリアモータ、
１０９は、被記録媒体搬送のための搬送モータである。
１０５は、インクジェット記録ヘッド１を駆動するヘッ
ドドライバ、１０６、１０７は、それぞれ搬送モータ１
０９、キャリアモータ１１０を駆動するための各モータ
ドライバである。

【００１６】つぎに、上記制御回路１００の動作を説明
する。インタフェース１０８に記録信号が入ると、ゲー
トアレー１０４とＭＰＵ１０１との間で記録信号がプリ
ント用の記録データに変換される。そして、各モータド
ライバ１０６、１０７が駆動されると共に、ヘッドドラ
イバ１０５に送られた記録データに従って、インクジェ
ット記録ヘッド１が駆動され記録が行われる。さらに、
制御回路１００は、プリンタの状態を使用者に知らせる
ための表示装置１１１の制御をも行っている。つぎにイ
ンクジェット記録ヘッド１について説明する。図５に、
その外観斜視図の一例を示す。７は、インクを貯蔵する
インクタンク、８は、インクを吐出する吐出口、９はイ
ンク供給部材、１０は、不図示の発熱素子と接続されて
いる印刷配線板（ＰＷＢ）、１１は、装置側とキャリッ
ジ２上で電気的に接続されるコンタクトパッド、１２
は、前記各部品を実装させるためのベースプレートであ
る。

【００１７】さらにインク吐出部回りの詳細を説明す
る。図６に、その断面拡大図を示す。図６において、１
３は、インクを発泡吐出させるための発熱素子１４を複
数形成する基板（以下、“ヒータボード”という）であ
り、ＰＷＢ１０とワイヤ１５とにより電気的に接続して
いる。２１は、記録液滴を吐出するための吐出口８及び
インク流路１６を複数形成すると共に、前記複数のイン
ク流路１６に共通に連通する共通液室１７を形成するた
めの天板である。

【００１８】そして、インク収容部であるインクタンク
７内部と記録ヘッド１内の共通液室１７とを連通させる
インク供給路１８のインクタンク７の側端部には、フィ
ルタ１９が設けられている。ここで、インクタンク７か
ら天板２１によって形成される吐出部までのインク経路
は、インク供給路１８と共通液室１７とを通る図中矢印
Ｆのようになる。

【００１９】図７は、ヒータボード１３部の拡大斜視図
である。図７において発熱素子１４及びそれらを繋ぐ配
線等は、ヒータボード１３上にスパッタ／蒸着等の膜付
けと、エッチングの繰り返しによる形成される。１５
は、発熱素子１４とＰＷＢ１０とを電気的に接続するた
めのワイヤボンディング部、２０は、ランクヒータ２２
に接続するためのワイヤである。

【００２０】インクを発泡させる発熱素子１４は、膜付
けとエッチングの繰り返しにより形成されるが、生産を
続けていく上で膜付け時の膜厚変動や、エッチング時の
エッチング寸法の変動等により、発熱素子１４の抵抗値
にばらつきが生ずる。その結果、記録装置上で同一電圧
を印加した場合、発泡に至らしめる発熱量が変化して吐
出量が一定しなくなる。

【００２１】そこで、膜付けやエッチングの変動影響を
発熱素子１４と同等に受けるランクヒータ２２をヒータ
ボード１３内に配置する。このランクヒータ２２は吐出
のための発熱素子１４とは形状は異なるが、発熱素子１
４と同一の工程にて形成される。ランクヒータ２２の抵
抗値を検知することにより発熱素子１４の抵抗値変動を
推定し、その値によって発熱素子１４への電圧印加時間
を制御して、発熱量をほぼ一定に保ち、吐出量を安定化
させることが可能となる。

【００２２】ランクヒータ２２は、加熱あるいは加熱に
よるインク発泡を目的とするわけではないので、限られ
たスペース内であれば縦横任意の大きさに設定すること
ができ、所望の抵抗値を自由に選択することができる。

【００２３】つぎに本実施例の動作シーケンス上の詳細
な説明を行う。表１に、ランクヒータ２２の抵抗値によ
るランク分けのテーブルを示す。表１（ａ）は、記録装
置Ａ用のテーブル、表１（ｂ）は、これとは吐出量・ノ
ズル数・駆動周波数等の吐出特性が異なる記録装置Ｂ用
のテーブルである。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１（ａ）の場合、ランクヒータ２２の抵
抗値Ｒの下限はＲ１、上限はＲ２で、この範囲をｎ個に
分割し、また同様に、（ｂ）の場合は下限がＲ３、上限
がＲ４で、ｍ個に分割している。

【００２６】記録装置Ａ用ヘッドのランクヒータ抵抗値
Ｒの範囲はＲ１≦Ｒ≦Ｒ２、これとは異なる記録装置Ｂ
用ヘッドのランクヒータ抵抗値Ｒの範囲はＲ３≦Ｒ≦Ｒ
４で、それぞれの関係はＲ２＜Ｒ３か、Ｒ４＜Ｒ１かの
いずれかであり、記録装置ＡとＢのランクヒータ抵抗値
の範囲は重ならない。

【００２７】つぎに、図１のフローチャートを用いて本
実施例の動作シーケンスを説明する。

【００２８】先ず、記録装置Ａに記録装置Ａ用の記録ヘ
ッド１ａが装着され（ステップＳ１）、記録ヘッド１ａ
内のランクヒータ抵抗値Ｒを読み取る（ステップＳ
２）。この抵抗値Ｒが規格値Ｒ１以上Ｒ２以下に入って
いるので（ステップＳ３）、表１（ａ）上のランクＮ
ｏ．が選択され（ステップＳ４）、印字時のパルス幅等
が決定され記録データにより（ステップＳ５）印字を開
始する（ステップＳ６）。

【００２９】同様に、（ｂ）図において、記録装置Ｂに
記録装置Ｂ用の記録ヘッド１ｂが装着された場合でも、
表１（ｂ）上のランクＮｏ．を選択して印字を開始する
（ステップＳ１１〜Ｓ１６）。

【００３０】ところが記録装置Ａ用のヘッド１ａが吐出
特性の異なる記録装置Ｂに装着された場合、記録装置Ｂ
の規格値Ｒ３以上Ｒ４以下を満たさないため、記録装置
を不動にするか、記録装置の表示装置１１１（図３）上
にエラーを表示して（ステップＳ１７）、印字動作を開
始させないよう機能する。

【００３１】また逆に、記録装置Ｂ用のヘッド１ｂをこ
れとは吐出特性の異なる記録装置Ａに装着した場合、同
様に記録装置Ａの規格値Ｒ３以上Ｒ４以下を満たさない
ため、印字動作を行わせないように制御したり、または
エラー表示を行う（ステップＳ７）。

【００３２】ランクヒータ２２は、ヘッド毎に適切な発
泡条件を制御する簡便かつ重要な機構であるが、これに
さらに、異なる種類のヘッドに対するＩＤ機能を合わせ
持たせることにより、インクジェット記録ヘッド１のヒ
ータボード１３のパッド数を増やさず、結果としてＰＷ
Ｂ１０（図４、５）の変更が不要となり、記録ヘッド１
については最小限の構成が可能となる。また記録装置で
は、従来使用している機能をそのまま、あるいはエラー
表示を行わせる場合は、最小限の追加のみで達成できる
ため、低コストで信頼性の高い記録装置を提供できる。

【００３３】（第２実施例）つぎに本発明に係る第２の
実施例について説明する。

【００３４】近年、記録装置の小型化と高機能化を両立
させるために、記録装置上で１個のキャリッジ２（図
２）に対し、複数の記録ヘッド１を付け替えることによ
り、同一記録装置で異なる機能の印字を行わせることが
ある。このような場合、それぞれの記録ヘッドを相互に
識別して駆動条件を選択する必要があり、本発明実施例
は、記録ヘッド及び記録装置の識別手段の低コスト化と
いう点で有効であり、また確実に記録ヘッドを識別し、
信頼性の高い印字を実現できる。

【００３５】例えば、ブラックのみを記録する単色の記
録ヘッドとして、全ノズルを用いることから高速印字を
可能とする記録ヘッドと、カラー３色（イエロー、マゼ
ンタ、シアン）あるいはさらにブラックを追加した４色
を一体の記録ヘッドとし、同一記録装置においてフルカ
ラー印字が可能となる記録ヘッドを交換可能な記録装置
においても、ブラック単色記録ヘッドとカラー一体記録
ヘッドの、それぞれのランクヒータの抵抗値を２種類の
重複しない領域に設定し、ランクヒータの抵抗値を記録
装置側で識別することにより、各々の駆動条件を選択で
きる点で本発明実施例は有効である。

【００３６】（第３実施例）さらに、本発明に係る第３
の実施例について説明する。

【００３７】例えば、インクジェット方式を用いたプロ
ッタのようなＡ２サイズ以上の媒体に対して印字を行う
ような大型のプリンタにおいては、印字の高速化と収納
インクの大容量化が要求される。このような場合、イン
クの使用効率等の見地からも、複数の色のインクを吐出
可能な一体型のカラー記録ヘッドとせずに、色毎に分
け、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンがそれぞれ
独立の記録ヘッドとして、記録装置上に同時に４個の記
録ヘッドが搭載されることが好ましい。

【００３８】この場合、これらの４種類のヘッドに対
し、４種類の重複しないランクヒータ抵抗値領域を設定
し、装置側でも４種類の識別領域を持つことでも、本発
明実施例は色毎の誤装着を防ぐ手段として有効である。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低コスト、最小限構成の記録ヘッド及び装置で、形状的
には互換性を持たせかつ電気的に非互換性とし、吐出
量、ノズル数、駆動周波数等が異なるヘッドが非対応の
記録装置または記録位置上で動作しないよう機能するこ
とにより、装置・ヘッドの破壊や印字品位の低下を防止
でき、より信頼性の高いインクジェット記録ヘッド及び
装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例としてのシーケンスを示すフ
ローチャート

【図２】 第１実施例のインクジェット記録装置の概略
外観図

【図３】 図２のインクジェット記録装置の制御回路の
構成ブロック図

【図４】 第１実施例のインクジェット記録ヘッドの外
観図

【図５】 図４のインクジェット記録ヘッドのインク吐
出部回りの一例の断面図

【図６】 ヒータボード部の拡大斜視図

【符号の説明】

１ インクジェット記録ヘッド ２ キャリッジ ３ 被記録媒体 ４ プラテン ５，６ シャフト ７ インクタンク ８ 吐出口 ９ インク供給部材 １０ 印刷配線板（ＰＷＢ） １１ コンタクトパッド １２ ベースプレート １３ ヒータボード １４ 発熱素子 １５ ワイヤ １６ インク流路 １７ 共通液室 １８ インク供給路 １９ フィルタ ２０ ワイヤ ２１ 天板 ２２ ランクヒータ １００ 制御回路 １１１ 表示装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吐出口からインクを吐出する発熱素子
   と、ヘッドに応じた抵抗値を有するランクヒータとを有
   するインクジェット記録ヘッドであって、吐出特性が異
   なる複数のインクジェット記録ヘッドを交換可能に装着
   して記録を行うインクジェット記録装置において、 前記ランクヒータの抵抗値は、前記ヘッドの吐出特性に
   応じてそれぞれ相互に重複しない領域に設定され、前記
   ランクヒータの抵抗値を識別する識別手段と、この識別
   手段による識別結果に応じて装置の動作を制御する制御
   手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のインクジェット記録装
   置において、前記制御手段は、前記識別手段により前記
   ランクヒータの抵抗値に応じて、装着されたインクジェ
   ット記録ヘッドが不適合であると判定されるとき、装置
   の動作を行わせないよう制御することを特徴とするイン
   クジェット記録装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のインクジェット記録装
   置において、 所定の情報を表示可能な表示手段をさらに有し、 前記制御手段は、前記識別手段により前記ランクヒータ
   の抵抗値に応じて、装着されたインクジェット記録ヘッ
   ドが不適合であると判定されるとき、前記表示手段に不
   適合のインクジェット記録ヘッドが装着されたことを示
   す表示を行わせることを特徴とするインクジェット記録
   装置。