JPH09164324A - 中空糸膜モジュール及びその製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュール及びその製造方法

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JPH09164324A
JPH09164324A JP29709695A JP29709695A JPH09164324A JP H09164324 A JPH09164324 A JP H09164324A JP 29709695 A JP29709695 A JP 29709695A JP 29709695 A JP29709695 A JP 29709695A JP H09164324 A JPH09164324 A JP H09164324A
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JP
Japan
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fiber membrane
hollow fiber
resin
hollow
coating
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JP29709695A
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English (en)
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Tamiyuki Eguchi
民行 江口
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端部が固定部材で固定された中空糸膜に曲げ
応力が作用したときの根本における破断や切り裂けを防
止するために、中空糸膜の根本を樹脂で被覆して補強す
る場合、被覆樹脂として、その被覆量が容易に制御で
き、中空糸膜自身の機械的な特性を残しながらそのネッ
トワーク骨格の表面を被覆し、かつこの程度の被覆量で
補強効果を発揮するようにする。 【解決手段】 中空糸膜の破断時における引張り応力及
び弾性率よりもおよそ10倍以上大きな引張り応力及び
弾性率を有し、破断時の伸びが5〜20%の熱可塑性樹
脂を、中空糸膜を変性させない溶剤に2〜15%溶解し
た溶液を、中空糸膜束集束固定部近傍の中空糸膜に塗布
若しくは浸漬して含浸させたのち、溶剤を乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精密ろ過、限外ろ
過などに使用される、中空糸膜モジュール及びその製造
方法に関し、より詳しくは、中空糸膜束の固定部材近傍
の中空糸膜が損傷し難い中空糸膜モジュール及び製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】中空糸膜はすでに精密ろ過、限外ろ過な
どの様々な分野で使用されているが、温度変動が大き
い、あるいはエアーバブルで中空糸膜を激しく揺動させ
る等、さらに過酷な条件での使用も望まれている。この
ような過酷な使用条件下ではしばしば中空糸膜束の固定
部近傍で中空糸膜が切断したり、破れるという問題が発
生している。
【0003】この点を改善するために、固定部近傍の中
空糸膜束外縁を可撓性帯などで保護する方法(実開昭5
5−99703号公報、特開昭58−183916号公
報、特開昭59−147603号公報、特開昭61−1
78902号公報、特開昭63−158103号公
報)、固定部材よりも柔らかい熱硬化性樹脂で被覆する
方法(特開昭59−4403号公報、特開平2−107
318号公報)、あるいは、これらを組み合わせた保護
ネットと固定部材表面に弾性樹脂層を設ける方法(特開
平4−334529号公報、特開平5−23550号公
報)が知られている。
【0004】しかしながら、特開平4−334529号
公報で詳しく検討されているように、保護ネット単独の
場合、弾性樹脂層単独の場合、及び、特に比較例3に示
されているように保護ネットを長くした場合、のいずれ
においてもリークが発生することからこれらの方法でも
十分とは言えない。
【0005】中空糸膜が固定部近傍で損傷を受ける原因
は、この近傍の中空糸膜に曲げ応力が集中し、この力に
耐えられないからである。したがって、このような力に
対する中空糸膜自身の強度を向上させなければ根本的な
解決にはならない。しかしながら、従来の方法では必ず
しも固定部近傍に集中する曲げ応力に耐えるほど中空糸
膜自身の強度が向上しているとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、まず未処
理の中空糸膜の固定部近傍で曲げ応力が集中したとき、
どの程度中空糸膜の強度が低下するか調べた。図1は、
その測定方法を示す略図である。図中1、2はそれぞれ
中空糸膜及び固定部材である。矢印Fは中空糸膜1の引
張り方向であり、αは固定部材2の面と引張り方向のな
す角度である。使用した中空糸膜は、内、外径が500
μm、800μm、孔径が0.2μm、破断引張り強度
が170g/本(破断引張り応力56Kg/cm2 )、
破断時の伸びが60%であり、ウレタン樹脂Aからなる
固定部材の破断引張り強度は500Kg/cm2 、破断
時の伸びは20%である。
【0007】図2は、角度αと引張り強度の関係を示す
が、角度によらず中空糸膜1の破断は固定部材2の近傍
の根本1Aで発生し、かつ角度が小さくなるにしたがっ
て引張り強度は低下した。約60°までは垂直方向に比
べて低下は少ないが、約30°では垂直方向に比べて約
1/5まで低下した。このとき、中空糸膜1は、固定部
材2の近傍の根本1Aで引き裂かれるように切れる様子
が観察された。同様な結果は、破断強度が110Kg/
cm2 、破断時の伸びが80%の他のウレタン樹脂Bを
固定部材に用いたときにも得られた。
【0008】次に、特開昭59−4403号公報に準じ
て、図3のように、あらかじめこのウレタン樹脂Bを薄
く被覆して被覆層3を形成した中空糸膜1を使って図1
と同様にして測定を行った。この場合、図1の場合に比
べて改善効果は見られたものの、ウレタン樹脂の中空糸
膜への染み込み程度によって大きく測定値が変動した。
また、予測されるように、被覆する樹脂の強度が中空糸
膜よりも小さい場合には補強効果は期待できない。逆
に、あらかじめ強度の大きいウレタン樹脂Aを被覆した
中空糸膜を用いた場合には、被覆層3が薄いときには固
定部材2の近傍の根本1Aで脆く折れ、厚いときには被
覆部分と被覆されていない部分の界面1Bで引き裂かれ
た。
【0009】これらの結果から、柔軟な固定部材(ウレ
タン樹脂B)を使用しても中空糸膜を被覆するのでなけ
れば中空糸膜の強度を向上させる効果は乏しく、また、
熱硬化性樹脂を被覆した場合には、樹脂自身の特性だけ
でなく、中空糸膜への染み込み量にもよる変動が大き
く、その制御は困難であると言える。
【0010】熱硬化性樹脂で被覆した場合をさらに詳し
く観察すると、樹脂は、中空糸膜のネットワーク骨格の
表面をその空孔を残しながら被覆しているというよりも
文字通り緻密な樹脂層を形成している。したがって、被
覆部分の中空糸膜の機械的な特性はこの被覆層によって
ほとんど決定される。そのため樹脂自身の特性及び染み
込み量に大きく影響され、制御が困難になっている。
【0011】以上の考察によれば、中空糸膜を効果的に
補強する被覆樹脂は、その被覆量が容易に制御でき、中
空糸膜自身の機械的な特性を残しながらそのネットワー
ク骨格の表面を被覆し、かつこの程度の被覆量で補強効
果を発揮するものでなければならない。また、このよう
な特性を熱硬化性樹脂の中から見出すことは困難であ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】かくして本発明は、「中
空糸膜の破断時における引張り応力及び弾性率よりもお
よそ10倍以上大きな引張り応力及び弾性率を有し、破
断時の伸びが5〜20%の熱可塑性樹脂で、中空糸膜束
集束固定部近傍の中空糸膜を被覆したことを特徴とする
中空糸膜モジュール」であり、「中空糸膜の破断時にお
ける引張り応力及び弾性率よりもおよそ10倍以上大き
な引張り応力及び弾性率を有し、破断時の伸びが5〜2
0%の熱可塑性樹脂を、中空糸膜を変性させない溶剤に
2〜15%溶解した溶液を、中空糸膜束集束固定部近傍
の中空糸膜に塗布若しくは浸漬して含浸させたのち、溶
剤を乾燥することを特徴とする中空糸膜モジュールの製
造方法」である。
【0013】ここで、熱可塑性樹脂で中空糸膜束集束固
定部近傍の中空糸膜を被覆する場合に、熱可塑性樹脂で
中空糸膜の空孔のすべてを埋没させないようにすること
が、中空糸膜の切断を防止する意味での補強効果におい
てより好ましい。
【0014】ここで、前記中空糸膜がポリスルホン系樹
脂からなり、前記熱可塑性樹脂がポリビニルブチラール
又はポリスチレン系樹脂であることが好適であり、中空
糸膜にこれらの熱可塑性樹脂を被覆する場合には、ポリ
ビニルブチラールをエタノールで溶解した溶液又はポリ
スチレン系樹脂をシクロヘキサンで溶解した溶液を塗布
若しくは浸漬した後、それら溶剤を乾燥するのである。
【0015】本発明によれば、被覆樹脂は中空糸膜より
もはるかに大きい機械的な強度を有するので少量被覆す
るだけで大きな補強効果が得られ、その希薄な溶液を用
いて被覆するので被覆量のバラツキが小さい。この結
果、従来使用された可撓性帯や保護ネットなどの補強体
は必ずしも必要でなくなり、モジュールの製造も簡単に
なる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に使用する中空糸膜は、補
強樹脂の溶液が浸透する孔径を有する限外ろ過や精密ろ
過などに利用する中空糸膜である。その素材には特に制
限はないが、例えば、セルロース系、ポリスルホン系、
ふっ素樹脂系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコー
ル系などが使用できる。
【0017】中空糸膜モジュールの形態としては、中空
糸膜の開口部を一カ所に集束固定したもの、両端で固定
したもの、いずれでもよい。図4に、中空糸膜の開口部
を一カ所に集束固定した構造のカートリッジ型の中空糸
膜モジュール10を例示している。この中空糸膜モジュ
ール10を簡単に説明すれば、中央部でループ状に折り
返された中空糸膜11の束はその一端部で円筒12の一
端に集束固定部13にてポッティングされ、中空糸膜1
1の端部はこの集束固定部13(固定部材2に相当す
る)の端面に開口し、前記円筒12の端部にはヘッダー
14が固着されている。そして、円筒12の孔15およ
び底の穴16を通って中空糸膜11の表面に供給された
被処理液は、中空糸膜11の外側から内側へろ過し、ろ
過液は集束固定部13の先端から前記ヘッダー14の出
口17に集まり、図示しないハウジングのろ過液出口か
ら取り出される。ここで、前記中空糸膜モジュール10
は、ヘッダー14に設けたOリング18を介してハウジ
ングのろ過室とろ過液室を区画する仕切機構に装着され
ている。
【0018】被覆樹脂は、中空糸膜の破断時の引張り応
力及び弾性率よりもおよそ10倍以上の引張り応力及び
弾性率を持つことが必要である。このような特性を有す
る樹脂で、中空糸膜束集束固定部近傍の中空糸膜を被覆
することによって、中空糸膜の強度を補強することがで
きる。この際、被覆樹脂で中空糸膜の空孔のすべてを埋
没させることなく、中空糸膜のネットワーク骨格を被覆
することによって、中空糸膜の切断を防止する意味での
補強効果がより高くなる。これらの値が小さいときに
は、被覆量を多くしなければならず、前記したように被
覆量の制御が困難になるだけでなく、固定部材の近傍の
根本1Aで脆く折れたり、界面1Bで引き裂ける。
【0019】被覆樹脂の破断時の伸びは、中空糸膜の素
材にほぼ等しいことが望ましい。中空糸膜のネットワー
ク骨格の表面に薄く被覆したとき、例えば、この値が中
空糸膜の素材よりも著しく小さい場合には被覆層の破断
が中空糸膜よりも先に発生し、逆に著しく大きい場合に
は中空糸膜の破断を抑えることができず、いずれの場合
でも補強効果は乏しい。前記した中空糸膜の素材の破断
時の伸びは5〜20%程度であり、したがって、被覆樹
脂の破断時の伸びもこの程度であることが望ましい。
【0020】被覆層の長さは固定部材の根本から2〜5
0mmの範囲で中空糸膜の長さなどを考慮して決定され
るが、5〜30mmがより好ましい。短すぎると曲げ応
力を緩和する効果が乏しく、長すぎても効果はなく、か
つ中空糸膜の有効膜面積が少なくなる。ここで、固定部
材の中に埋没している中空糸膜の根本近傍では、通常固
定部材が中空糸膜表面の薄い層までしか侵入していない
ので、固定部材が侵入していないところも補強樹脂で被
覆されるために、中空糸膜の被覆が集束固定する前でも
後でもあまり効果は変わらない。
【0021】中空糸膜同士が被覆樹脂で接着すると、引
き離すときに中空糸膜が破れることがあるので、被覆量
は、中空糸膜の重量の2〜20%の範囲に設定すること
が好ましく、5〜15%がより好ましい。この範囲であ
れば、中空糸膜同士が接着して互いに引き離す時に破れ
ることはない。また、この範囲の被覆量のときには、中
空糸膜の空孔のすべてを被覆樹脂が埋没させることな
く、多数の空孔が残っている様子が顕微鏡で観察され
る。
【0022】本発明に使用する被覆用の熱可塑性樹脂
は、中空糸膜の構造を変えない溶剤に溶解しなければな
らない。その溶液の濃度は、樹脂の分子量、直接的には
粘度によるが、2〜15重量%の範囲が好ましく、より
好ましくは5〜10%である。被覆用の熱可塑性樹脂の
溶液の粘度が大きいと被覆量が多量になり、中空糸膜同
士が接着するので、およそ0.1Pa・s以下、0.0
5Pa・s以下がより好ましい。
【0023】前記例示したセルロース系樹脂、ポリスル
ホン系樹脂及びふっ素系樹脂からなる中空糸膜の場合に
は、被覆用の熱可塑性樹脂の溶剤してメタノール、エタ
ノールなどのアルコール、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ンなどの無極性有機溶剤などが使用可能である。多くの
有機溶剤に対して耐溶剤性のあるポリオレフィン系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂からなる場合には、ア
セトンなどのケトン類、酢酸メチルなどのエステル類も
好適な溶剤である。
【0024】これらに溶解し、前記した機械的な特性を
有する熱可塑性樹脂として、ポリビニルブチラール、ポ
リスチレン及びスチレンを主成分とする共重合体、ポリ
塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステルな
どの疎水性樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、セルロース誘導体などの親水性樹脂が挙げられる。
これらの内で、疎水性樹脂は、被覆層が疎水性になり、
この部分ではろ過されず、汚染物の蓄積による固定部近
傍の中空糸膜の劣化が防止できるためにより好ましい。
【0025】例えば、ポリスルホン系樹脂からなる中空
糸膜の場合には、被覆用の熱可塑性樹脂としてポリビニ
ルブチラール若しくはポリスチレン系樹脂が、その溶剤
として各々エタノール若しくはシクロヘキサンが好例で
ある。特に、ポリビニルブチラールは、ポリスルホン中
空糸膜の補強効果に優れており、また、安全性の高い溶
剤であるエタノールに溶解するので好ましい。
【0026】中空糸膜に熱可塑性の樹脂の溶液を含浸さ
せる場合、前記したように中空糸膜を集束固定する前で
も後でもよい。また、中空糸膜の先端は開口していても
いなくてもよい。いずれの場合でも、被覆の方法は、被
覆箇所を前記の熱可塑性樹脂の2〜15重量%、好まし
くは5〜10%の溶液に5〜10分間浸すか、被覆箇所
にこの溶液を塗布すればよいが、浸漬する方がすべての
中空糸膜が均等に被覆されるので好ましい。また、集束
固定してから含浸させる方が作業が簡単である。
【0027】中空糸膜に含浸させた被覆樹脂の溶液の溶
剤を乾燥して除去する際、前記例示した溶剤は揮発性が
高いので、通常加温しないでそのまま1〜3時間放置す
るだけでよいが、さらに、被覆樹脂の熱変形温度以上で
加温することによって補強効果が向上することもある。
【0028】先端が開口した中空糸膜を被覆樹脂の溶液
に浸すと、当然中空糸膜の内側にもこの溶液が入り込む
が、垂れ落ちない程度に液切りしてから開口端が上方に
なるようにして乾燥すると、粘度が低く、濃度も小さい
ので乾燥後は、樹脂が被覆された中空糸膜の内径は、被
覆前とほとんど変わらない。開口端を下にして乾燥する
と、開口端に薄い樹脂被膜ができることがあるが、その
ときにはこの部分を切り落とせばよい。
【0029】乾燥後の中空糸膜は、予想したことではな
かったが、互いに接着することなく、それぞれ独立に補
強されている。このようにして被覆された樹脂の量は、
中空糸膜に対し2〜20%、通常5〜15%である。
【0030】以上のようにして、固定部材との角度を小
さくして引っ張ったときにも、中空糸膜自身の引張り強
度の50%を下回らないだけでなく、固定部材の根本で
切断しないほどの補強効果が発揮される。以下の実施例
で本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例
は本発明を限定するものではない。
【0031】
【実施例】
(実施例1) 評価試料の作成 長さが約50cm、内、外径が500及び800μm、
孔径が約0.2μmで、引張り強度が170g/本、破
断時の伸びが60%の親水性ポリスルホン中空糸膜17
00本を中央でループ状に折り返し、充填率(ただし、
充填率は、中空糸膜の外径が占める面積と集束固定部の
中空糸膜本数との積を、集束固定部の束の外径が占める
面積で割った数である)が約60%になるように束ね
て、破断強度が約500Kg/cm2 、破断時の伸びが
約20%のウレタン樹脂で集束固定し、固定部の長さが
約15mmになるように端部を切断して中空糸膜の端部
を開口した。
【0032】これを集束固定部を下にして、重合度が約
700のポリビニルブチラールの5重量%エタノール溶
液に5分間浸し、固定部の根本から約2cmまで中空糸
膜に含浸させた。中空糸膜束を引き上げてから、ポリビ
ニルブチラールの溶液を軽く振って液切りしてから開口
部をろ紙に乗せてそのまま3時間放置した。束の外側か
ら中央までの中空糸膜の強度が測定できるように、集束
固定部を中央で半分に分割した。
【0033】補強効果の測定 図1のようにして(ただし、引張り方向の内側に他の中
空糸膜が無いようにした)束の外側から内側までの中空
糸膜の引張り強度を角度αを変えながら測定した。位置
による差はほとんど無く、その結果を、未処理のものと
図2に一緒に示した。この図から補強効果は明らかであ
る。
【0034】(実施例2)孔径が0.04μmである以
外、実施例1とほぼ同じ特性のポリスルホン中空糸膜束
を用いて、実施例1と同様にして補強効果の評価を行っ
たが、実施例1と同様な結果が得られた。
【0035】(実施例3)孔径が0.45μmである以
外、実施例1とほぼ同じ特性のポリスルホン中空糸膜束
を用いて、実施例1と同様にして補強効果の評価を行っ
たが、実施例1に比べて少しではあるが、強度がさらに
向上した。
【0036】(実施例4)長さが約160cmである以
外は実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを作成し
た。このモジュールを水平にして水に埋没させ、集束固
定部を固定して垂直方向に15cmの振幅で70rpm
の振動数で1000回振動させた。この後でモジュール
を観察したが、切れた中空糸膜はなく、また、中空糸膜
の内側から100KPaの空気で加圧してももれは無か
った。
【0037】(比較例1)被覆処理をしなかった以外、
実施例4と同様な実験を行った結果、数十本の中空糸膜
が集束固定部の根本で切れた。
【0038】(実施例5)実施例4で、水をベンガラの
分散水に代え、モジュールの開口部から吸引ろ過した。
ろ過後モジュールを引き上げて外観を観察したところ、
集束固定部の根本からポリビニルブチラールを被覆した
約2cmの部分までの中空糸膜は白いままで、その他の
部分は赤く着色していた。
【0039】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の中空糸膜モジュ
ール及びその製造方法によれば、特定の性質を備えた熱
可塑性樹脂で、中空糸膜集束固定部近傍の中空糸膜を被
覆したことにより、曲げ応力が集中する固定部近傍の中
空糸膜の根本を効果的に補強することができ、中空糸膜
の破断や引き裂きを防止する上で有効である。特に、熱
可塑性樹脂で、中空糸膜の空孔のすべてを埋没させるこ
となく被覆すれば、その効果はより高くなる。また、特
定の性質を備えた熱可塑性樹脂を被覆する方法として
は、該熱可塑性樹脂を中空糸膜を変性させない溶剤に2
〜15%溶解した溶液を、目的部分に塗布若しくは浸漬
して含浸させたのち、溶剤を乾燥させるだけの簡単な作
業で済むので、工業的にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空糸膜の引張り強度を固定部材との角度αを
変えて測定する時の略図である。
【図2】本発明の中空糸膜の引張り強度と未処理の中空
糸膜の引張り強度を比較して示したグラフである。
【図3】あらかじめ熱硬化性樹脂で被覆した中空糸膜を
固定部材に埋没させた場合の強度を説明するための略図
である。
【図4】中空糸膜モジュールの一例を示す部分断面図で
ある。
【符号の説明】
1 中空糸膜 1A 根本 1B 界面 2 固定部材 3 被覆層 10 中空糸膜モジュール 11 中空糸膜 12 円筒 13 集束固定部(固定部材) 14 ヘッダー 15 孔 16 穴 17 出口 18 Oリング

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜の破断時における引張り応力及
    び弾性率よりもおよそ10倍以上大きな引張り応力及び
    弾性率を有し、破断時の伸びが5〜20%の熱可塑性樹
    脂で、中空糸膜束集束固定部近傍の中空糸膜を被覆した
    ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂で、中空糸膜束集束固
    定部近傍の中空糸膜を、その空孔のすべてを埋没させる
    ことなく被覆してなる請求項1記載の中空糸膜モジュー
    ル。
  3. 【請求項3】 中空糸膜がポリスルホン系樹脂からな
    り、熱可塑性樹脂がポリビニルブチラールである請求項
    1又は2記載の中空糸膜モジュール。
  4. 【請求項4】 中空糸膜がポリスルホン系樹脂からな
    り、熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である請求項1
    又は2記載の中空糸膜モジュール。
  5. 【請求項5】 中空糸膜の破断時における引張り応力及
    び弾性率よりもおよそ10倍以上大きな引張り応力及び
    弾性率を有し、破断時の伸びが5〜20%の熱可塑性樹
    脂を、中空糸膜を変性させない溶剤に2〜15%溶解し
    た溶液を、中空糸膜束集束固定部近傍の中空糸膜に塗布
    若しくは浸漬して含浸させたのち、溶剤を乾燥すること
    を特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  6. 【請求項6】 中空糸膜がポリスルホン系樹脂からな
    り、熱可塑性樹脂がポリビニルブチラールであり、かつ
    その溶剤がエタノールである請求項5記載の中空糸膜モ
    ジュールの製造方法。
  7. 【請求項7】 中空糸膜がポリスルホン系樹脂からな
    り、熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂であり、かつそ
    の溶剤がシクロヘキサンである請求項5記載の中空糸膜
    モジュールの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014226618A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 中空糸膜モジュールとその製造方法
CN114307655A (zh) * 2021-11-22 2022-04-12 北京工业大学 一种u型中空纤维渗透汽化膜组件及制备方法

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JP2014226618A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 中空糸膜モジュールとその製造方法
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