JPH09157538A - 顔料分散剤およびこれを含む塗料もしくは印刷インキ組成物 - Google Patents

顔料分散剤およびこれを含む塗料もしくは印刷インキ組成物

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JPH09157538A
JPH09157538A JP34574895A JP34574895A JPH09157538A JP H09157538 A JPH09157538 A JP H09157538A JP 34574895 A JP34574895 A JP 34574895A JP 34574895 A JP34574895 A JP 34574895A JP H09157538 A JPH09157538 A JP H09157538A
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pigment
component
pigment dispersant
acid
dispersant
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JP34574895A
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Hideki Matsui
秀樹 松井
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料等の顔料の分散性を向上させる分散剤お
よびこれを含む組成物を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される一価のアル
コールに下記一般式(2)で表されるラクトン化合物又
は炭素数2〜40のヒドロキシカルボン酸を反応させて
得られる末端に水酸基を有する数平均分子量100〜1
0000のポリエステル成分(A成分)と、下記一般式
(3)で表される酸無水物構造単位、酸無水物から誘導
されるカルボキシル基を有する構造単位又は下記一般式
(4)で示される(メタ)アクリル酸構造単位を含有す
る数平均分子量100〜100000のカルボン酸系重
合体成分(B成分)との反応生成物又はそのアルカリ金
属塩もしくはアンモニウム塩からなる顔料分散剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料分散剤および
これを含む組成物に関する。さらに詳しくは、塗料、イ
ンキなどを調製する際に、顔料の分散性を向上させるた
めに使用される分散剤、およびこれを含む組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、塗料、インキなどを調製する際
に、これらに含まれる顔料の分散性を向上させ、塗料等
の貯蔵安定性、色分かれ現象の防止、塗膜の光沢を向上
させるなどの目的で、種々の分散剤が使用されている。
たとえば、ポリアミン化合物と、ポリエステルまたはア
クリル樹脂とを結合させた構造を有する分散剤が、特開
昭61−174939号公報、または特開昭63−19
7529号公報、特開昭54−37082号公報、特開
昭48−79178号公報などに記載され、提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来から提案されてい
るこれらの分散剤の中で、分子鎖中にポリアミン構造を
有する分散剤は、顔料に吸着される機能を有しており、
顔料表面に酸性の吸着点を有する特異な顔料については
有効であるが、その表面の酸性度が低く、有効な吸着点
を有しない顔料については、必ずしも良好な分散性を示
さない。さらに、ポリアミン構造を有する分散剤を使用
して調製した塗料の場合、塗膜の焼付けの際に着色した
り、または、実際に使用した場合に耐候性が悪い、など
の問題を生ずる場合がある。
【0004】また、特開昭61−28433号公報、特
開昭61−61623号公報、特開平1−141968
号公報などには、顔料に吸着される基として、上記のポ
リアミン構造とは異なり、多価カルボン酸とアルコール
類との反応物が、顔料分散剤として使用できることが記
載されている。しかし、発明者の実験によれば、これら
刊行物に記載されているものは、低分子量のカルボキシ
ル基含有カルボン酸であり、顔料に吸着される機能が不
十分であり、顔料分散性、顔料分散液の貯蔵安定性、耐
フローキュレーション性が不十分であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる現状
に鑑み、上記の従来技術に存する問題、課題を解消した
顔料分散剤およびこれを含む組成物を提供することを目
的として、鋭意検討を重ねた結果、一価のアルコールと
ラクトンから誘導される末端水酸基を有するポリエステ
ル成分とカルボン酸系重合体成分とを反応させて得られ
る反応生成物が目的に合致した有効な分散剤となりうる
ことを見い出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明の第1によれば、下記一般
式(1)で表される一価のアルコールに下記一般式
(2)で表されるラクトン化合物又は炭素数2〜40の
ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られる末端に水酸
基を有する数平均分子量100〜10000のポリエス
テル成分(A成分)と、下記一般式(3)で表される酸
無水物構造単位、酸無水物から誘導されるカルボキシル
基を有する構造単位又は下記一般式(4)で示される
(メタ)アクリル酸構造単位を含有する数平均分子量1
00〜100000のカルボン酸系重合体成分(B成
分)との反応生成物又はそのアルカリ金属塩もしくはア
ンモニウム塩からなることを特徴とする顔料分散剤が提
供される。なお、本明細書で(メタ)アクリル酸とは、
アクリル酸又はメタクリル酸を示す。
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】また、本発明の第2によれば、前記第1の
顔料分散剤を分散剤とした塗料組成物が提供される。
【0011】さらに、本発明の第3によれば、前記第1
の顔料分散剤を分散剤とした印刷インキ組成物が提供さ
れる。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。 (A成分について)A成分は、上記一般式(1)で表さ
れる一価のアルコール、上記一般式(2)で表されるラ
クトン化合物または炭素数2〜40のヒドロキシカルボ
ン酸と反応させて得られる末端にヒドロキシル基を有す
る数平均分子量100〜10000ポリエステルであ
る。
【0013】一般式(1)で表される一価のアルコール
としては、Rの種類によりメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、n−オクタノール、2ー
エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ステ
アリルアルコールなどの各種脂肪族アルコール類、ベン
ジルアルコールなどの芳香族アルコール類、シクロヘキ
シルアルコールなどの脂環式アルコール類、エチレング
リコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル
類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類が挙
げられる。
【0014】前記一価のアルコールと反応させる一般式
(2)で表されるラクトン化合物としては、ε−カプロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレ
ロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクト
ン、2−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラク
トンなどが挙げられる。特に、側鎖を有するラクトン類
を使用した場合は、得られる顔料分散剤は液状となり、
塗料、インキなどを調製する際の作業性や、塗料用樹脂
との相溶性の点で有利である。これらラクトン化合物
は、単独でもよく、2種類以上の混合物であってもよ
い。ラクトン化合物の中では、ε−カプロラクトン、4
−メチルカプロラクトン、ε−カプロラクトンと4−メ
チルカプロラクトンとの混合物が、特に好ましい。
【0015】一価のアルコールと反応させる炭素数2〜
40のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、
乳酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシデカ
ン酸等の2−ヒドロキシ長鎖脂肪酸、3−ヒドロキシヘ
キサン酸、3−ヒドロキシデカン酸等の3−ヒドロキシ
長鎖脂肪酸、12ーヒドロキシステアリン酸、などの直
鎖状、分岐状のものが挙げられる。これらヒドロキシカ
ルボン酸は単独で一価のアルコールと反応させてもよい
が、上記ラクトン化合物と共重合させることによって、
ポリラクトン類の結晶性を低下させ、樹脂、溶剤への相
溶性の向上、融点を低下させるように機能する。
【0016】ヒドロキシカルボン酸のラクトン化合物に
対する組成比は、モル比で、ヒドロキシカルボン酸:ラ
クトン化合物=0:100から60:40の範囲で選ぶ
ことが好ましく、特に好ましいのは10:90〜30:
70の範囲である。60:40以上のヒドロキシカルボ
ン酸を含有する場合には、分散性能の低下、塗膜の金属
面への密着性の低下などが起こり、好ましくない。
【0017】A成分を合成するには、脱水管、コンデン
サーを装備した反応器に、原料のアルコール、ラクト
ン、あるいは更にヒドロキシカルボン酸を仕込み、窒素
気流下で、開環重合反応させればよい。合成反応には、
トルエン、キシレンのような適当な脱水溶媒を使用する
こともできる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸
留などの操作により取り除くか、または、そのまま溶媒
中でカルボン酸系重合体成分(B成分)とを反応させ
て、製品の一部として使用することもできる。
【0018】A成分を合成する際には、重合触媒を使用
することが好ましい。使用することが出来る触媒として
は、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチル
スズラウレート、モノブチルスズオキシド、ヒドロキシ
ブチルオキシドなどの有機スズ化合物類、酸化第一ス
ズ、塩化第一スズなどのスズ化合物類、テトラブチルチ
タネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチ
タネートなどが挙げられる。
【0019】触媒の使用量は、原料混合物に対して0.
1〜3000ppmの範囲で選ぶことが好ましい。触媒
の使用量が0.1ppm以下であると、ポリエステルの
重合速度がきわめて遅くなるので好ましくなく、300
0ppm以上となると、ポリエステルの着色が激しくな
り、製品の安定性にも悪影響を与えるので好ましくな
い。上記範囲内で特に好ましいのは、1〜100ppm
である。
【0020】A成分を合成する際の温度は、原料の種
類、モル比、触媒の種類、量、溶媒の種類、量などによ
って変るが、120〜220℃の範囲で選ぶことが好ま
しい。反応温度が120℃以下では、反応速度が極めて
遅く、210℃以上ではラクトン類の付加反応以外の副
反応、たとえばラクトン重合体のラクトンモノマーへの
分解、環状のラクトンダイマーの生成などが起こりやす
く、目標の分子量のカルボキシル基末端ポリラクトン類
が合成し難く、また、得られた共重合体の着色が起こり
易く、いずれも好ましくない。上記の温度範囲で特に好
ましいのは、160〜210℃の範囲である。
【0021】A成分を合成する際には、反応系に空気が
存在すると、生成物が着色する傾向があるので、窒素ガ
スなどの不活性ガスの雰囲気下で反応させることが好ま
しい。
【0022】A成分は、上記の方法で合成することがで
き、その分子鎖中にポリラクトン成分を持ったポリエス
テル共重合体であり、末端にカルボキシル基を有してい
る共重合体である。共重合体の分子鎖中に含まれるポリ
エステル部分は、顔料の周囲に立体的な反撥層を形成す
る機能を有する。本発明者の実験によれば、ポリエステ
ル部分の数平均分子量は、100〜10000の範囲の
ものが好ましいことが分かった。ポリエステル部分の分
子量が100以下では、充分な厚さの立体反撥層を形成
することができず、また分子量が10000以上となる
と、他の樹脂や、溶剤との相溶性の点で好ましくない。
なお、ここで数平均分子量は、下記水酸基価から換算し
た分子量を意味する。
【0023】A成分は、上記の通り、その分子鎖中にポ
リラクトン成分を持ったポリエステル共重合体であり、
かつ、末端に水酸基を有している共重合体である。A成
分は、本発明者の実験によれば、A成分の水酸基価が、
5〜560mgKOH/gの範囲内にあるものが好まし
いことが分かった。なお、ここで「水酸基価」とは、試
料1gに含まれる遊離の水酸基をアセチル化するに必要
な酢酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数をい
う。
【0024】(B成分について)B成分は、前記一般式
(3)で表される酸無水物、酸無水物から誘導される構
造、および/または、前記一般式(4)で表される(メ
タ)アクリル酸を含有する(メタ)アクリル酸エステル
重合体である。これらの構造は、ポリマー中に単独で
も、または同時に存在してもよく、他の共重合性モノマ
ーを含んでいてもよい。
【0025】一般式(3)で表される酸無水物構造単位
としては、2重結合を有するカルボン酸無水物類から誘
導される構造単位が代表的である。カルボン酸無水物類
としては、無水フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などを挙げることができる。酸無水物から誘導され
る構造単位としては、一般式(3)に示すもののほか、
酸無水物またはカルボキシル基が金属またはアミンとの
塩を形成しているものであってもよい。
【0026】これら2重結合を有するカルボン酸無水物
と共重合できる他の共重合性モノマーとしては、スチレ
ン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、(メ
タ)アクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−
n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−n
−オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、カプロラクトンをヒドロキシル基に付加したヒドロ
キシアルキレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイドの(メタ)アクリル酸付加
物などの(メタ)アクリル酸誘導体、メチルビニルエー
テル、アリルグリコールなどのアリルアルコール誘導
体、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテンなどの
不飽和単量体などが挙げられる。これら他の共重合性モ
ノマーは、単独でも2種類以上の混合物であってもよ
い。これらの2重結合を含有する酸無水物と、共重合す
る重合性モノマーのモル比は、5:1〜1:20の範囲
で選ぶことが好ましい。
【0027】B成分は、上記のモノマーを適宜組合せて
得られるが、中でも特に好ましいB成分の組合せは、無
水マレイン酸とスチレン、無水マレイン酸とメチルビニ
ルエーテル、などである。
【0028】B成分は、原料滴下装置、コンデンサーを
装備した反応器に、原料モノマー混合物を仕込み、ラジ
カル重合開始剤を用いて、不活性ガス流下で反応させる
ことにより合成することができる。合成反応には、トル
エン、キシレンのような適当な反応溶媒を使用すること
が望ましい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留
などの操作により取り除くか、または溶媒を含んだまま
A成分と反応させて、製品の一部として使用することも
できる。
【0029】使用できるラジカル重合開始剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド、ジベンジルパーオキサイ
ド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物類、アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)などのアゾ化合物類などが挙げられる。重
合開始剤の使用量は、原料モノマーの組合せ、割合、反
応温度、溶媒の種類、量などにより変るが、原料モノマ
ーの混合物に対し0.1〜10000ppmの範囲で選
ぶことができる。
【0030】B成分を合成する際の温度は、原料モノマ
ーの組合せ、割合、重合開始剤の種類、量、溶媒の種
類、量などによって変るが、40〜200℃の範囲で選
ぶことができる。温度が40℃以下では、反応速度が極
めて遅く、200℃以上では、反応の暴走などの危険が
あり、かつ副反応等により目標の分子量の(メタ)アク
リル酸重合体が得られず、いずれも好ましくない。
【0031】(B)成分は、(A)成分と反応させて顔
料に吸着される吸着基を形成するが、(B)成分の数平
均分子量は、好ましくは100〜100000の範囲で
ある。分子量が100以下では、吸着基が小さすぎ、十
分なカルボキシル基含有残基を含有できないため、顔料
への吸着能が不十分となり、分子量が100000を越
えると、顔料同士の凝集を促進する傾向が顕著となるこ
とや、顔料分散剤全体の分子量が大きくなり、塗料、イ
ンキ用のビヒクルまたは溶剤に対する相溶性、溶解性が
低下するため、いずれも好ましくない。なお、ここでB
成分の数平均分子量とは、GPC法で測定した分子量を
意味する。
【0032】
【発明の実施の形態】
(顔料分散剤の合成方法)次に、本発明の第1に係る顔
料分散剤を合成方法について説明する。本発明に係る顔
料分散剤は、A成分の一官能ポリエステルの末端OH基
と、B成分に含有される酸無水物との付加反応、または
B成分に含有されるカルボキシル基との縮合反応によっ
て合成される。得られる分散剤は、B成分にA成分がグ
ラフトした構造のものである。
【0033】上記の反応は、脱水管、コンデンサーを装
備した反応器に、A成分、B成分、さらに適当な反応溶
媒、および必要に応じて触媒を仕込み、不活性ガス気流
下で行なわせる。この際、トルエン、キシレンのような
適当な脱水溶媒を使用することもできる。反応に使用し
た溶媒は、反応終了後、蒸留などの操作により取り除く
か、または、そのまま製品の一部として使用することも
できる。
【0034】上記の反応の温度は、30〜220℃の範
囲で選ぶことができる。温度が30℃以下では、反応速
度がきわめて遅く、220℃以上ではラクトン類含有ポ
リエステルのモノマーへの分解、環状のラクトンダイマ
ーの生成などが起こり易く、また、製造した共重合体の
着色が起こり易いので、いずれも好ましくない。上記範
囲の中で特に好ましいのは、80〜150℃の範囲であ
る。
【0035】上記の反応によって得られた顔料分散剤
は、本発明者の実験によれば、その酸価が5〜1000
mgKOH/gの範囲であることが好ましいことが分か
った。酸価が5mgKOH/g以下では、顔料に相互作
用するカルボキシル基量が少なすぎ、十分な分散効果を
出すことができず、一方、1000mgKOH/gを越
えると、酸価が高すぎ塗膜性状、耐水性又は硬化性の塗
料ではホットライフの減少や硬化性を損なったりするた
めいずれも好ましくない。なお、顔料分散剤についての
酸価は、試料1g中に含まれる酸を中和するのに必要な
水酸化カリウムのmg数をいう。
【0036】(顔料分散剤の使用方法)本発明の第1に
係る顔料分散剤は、顔料、染料、その他の添加物などと
混合し、周知の方法によって分散させ、塗料組成物、印
刷インキ組成物として使用することができる。すなわ
ち、固体、分散剤、および特に液状の極性有機媒体を任
意の順序で混合することによって、塗料組成物、印刷イ
ンキ組成物を得ることができる。本発明の第1に係る顔
料分散剤は、これら用途に使用した時に、顔料などに吸
着され、従って顔料分散性、ミルベース流動性、顔料分
散液の貯蔵安定性、などを向上させる機能を果たす。
【0037】本発明の第1に係る顔料分散剤に組合せ使
用できる顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料
などが挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン、酸
化亜鉛、硫化カドミウム、黄色酸化鉄、ベンガラ、黄
鉛、カーボンブラックなどが挙げられ、有機顔料として
はフタロシアニン類、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔
料、縮合多環系顔料(スレン系、インジゴ系、ペリレン
系、ペリノン系、フタロン系、ジオキサジン系、キナク
リドン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール
系顔料)などの各種顔料が挙げられる。
【0038】その他の添加物としては、分散樹脂、磁性
材料などが挙げられる。分散樹脂としては、アルキッド
樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン
樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。磁性材料としては、
磁性を持つ金属有機化合物などが挙げられる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例、応用例によ
って、詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、これらの記載例に限定されるものではない。な
お、以下の記載例において、「部」、「%」はいずれも
「重量基準」を意味する。
【0040】なお、以下の記載例において、水酸基価、
酸価などは、以下に記載の方法によって測定したもので
ある。 (1)水酸基価:JIS K−1557に準拠した。 (2)酸価:JIS K−1557に準拠した。 (3)A成分の数平均分子量の測定方法:水酸基価からの
換算を行った。 (4)B成分の数平均分子量の測定方法:ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーによった。
【0041】[合成例1:中間体1の合成]コンデンサ
ー、窒素導入管、攪拌機、温度計を装備した容量3リッ
トルの反応器に、2−エチルヘキシルアルコール377
部、ε−カプロラクトン1623部、テトラ−n−ブチ
ルチタネートの5%ヘキサン溶液0.2部を、それぞれ
仕込んだ。内容物を攪拌しつつ、窒素ガス気流下、内温
を170℃に昇温し、この温度で約8時間反応させ、ε
−カプロラクトンモノマーが1%以下になるまで反応さ
せた。生成物は、硬いワックス状を呈し、その水酸基価
は47mgKOH/gであり、ポリエステル成分の数平
均分子量は1200であった。以下、これを「中間体
1」という。
【0042】[合成例2:中間体2の合成]「中間体
1」の合成に使用した同じ反応器に、2−エチルヘキシ
ルアルコール226部、ε−カプロラクトン1242
部、4−メチルカプロラクトン532g,テトラ−n−
ブチルチタネートの5%ヘキサン溶液0.2部を、それ
ぞれ仕込んだ。内容物を攪拌しつつ、窒素ガス気流下、
内温を170℃に昇温し、この温度で約8時間反応さ
せ、反応器からサンプリングした試料中のε−カプロラ
クトンモノマー、4−メチルカプロラクトンがそれぞれ
1%以下になるまで反応させた。生成物は、粘稠な液状
で、水酸基価は27mgKOH/gであり、ポリエステ
ル成分の数平均分子量は2080であった。以下、これ
を「中間体2」という。
【0043】[合成例3:中間体3の合成]「中間体
1」の合成に使用した同じ反応器に、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル118部、ε−カプロラクトン6
91部、4−メチルカプロラクトン733g,テトラ−
n−ブチルチタネートの5%ヘキサン溶液0.4部を、
それぞれ仕込んだ。内容物を攪拌しつつ、窒素ガス気流
下、内温を200℃に昇温し、この温度で約15時間反
応させ、反応器からサンプリングした試料の酸価が3以
下になるまで反応させた。生成物は粘稠な液状で、水酸
基価は38mgKOH/gであり、ポリエステル成分の
数平均分子量は1470であった。以下、これを「中間
体3」という。
【0044】[実施例1:分散剤1の合成]コンデンサ
ー、窒素導入管、攪拌機、温度計を装備した容量1リッ
トルの反応器に、SMA(スチレン・無水マレイン酸共
重合体)レジン(elf atochem社製、SAM
−1000、数平均分子量は1000)100部、「中
間体1」588部を、それぞれ仕込んだ。内容物を攪拌
しつつ、窒素ガス気流下、内温を160℃に昇温し、こ
の温度で約8時間反応させ、反応器からサンプリングし
た試料について、IRスペクトルで酸無水物の吸収(1
820,1760cm-1)が認められなくなるまで反応
させた。生成物は硬いワックス状で、酸価は40mgK
OH/gであった。以下、これを「分散剤1」という。
【0045】[実施例2:分散剤2の合成]「分散剤
1」を合成する際に使用した同じ反応器に、SMAレジ
ン(分散剤1の合成で使用したものと同じ)100部、
「中間体2」980.4部を、それぞれ仕込んだ。内容
物を攪拌しつつ、窒素ガス気流下、内温を160℃に昇
温し、この温度で約8時間反応させ、反応器からサンプ
リングした試料につき、IRスペクトルで酸無水物の吸
収(1820,1760cm-1)が認められなくなるま
で反応させた。生成物は粘稠な液状で、その酸価は26
mgKOH/gであった。以下、これを「分散剤2」と
いう。
【0046】[実施例3:分散剤3の合成]「分散剤
1」を合成する際に使用した同じ反応器に、SMAレジ
ン(分散剤1の合成で使用したものに同じ)100部、
「中間体3」735部を、それぞれ仕込んだ。内容物を
攪拌しつつ、窒素ガス気流下、内温を160℃に昇温
し、この温度で約8時間反応させ、反応器からサンプリ
ングした試料につき、IRスペクトルで酸無水物の吸収
(1820,1760cm-1)が認められなくなるまで
反応させた。生成物は粘稠な液状で、その酸価は33m
gKOH/gであった。以下、これを「分散剤3」とい
う。
【0047】[実施例4:分散剤4の合成]「分散剤
1」を合成する際に使用した同じ反応器に、メチルビニ
ルエーテル・無水マレイン酸共重合体(ダイセル化学社
製「VEMA A101」、数平均分子量は約2000
0、共重合割合50:50、低分子量タイプのメチルビ
ニルエーテル・無水マレイン酸共重合体)100部、
「中間体1」633部を、それぞれ仕込んだ。内容物を
攪拌しつつ、窒素ガス気流下、内温を180℃に昇温
し、この温度で約8時間反応させ、反応器からサンプリ
ングした試料につき、IRスペクトルで酸無水物の吸収
(1820,1760cm-1)が認められなくなるまで
反応させた。生成物は硬いワックス状で、その酸価は4
7mgKOH/gであった。以下、これを「分散剤4」
という。
【0048】[実施例5〜14,比較例1〜5:顔料分
散剤による顔料組成物の調製例]実施例に記載した方法
で得た分散剤に、ペイント用の樹脂(ポリエステル、お
よびアクリル樹脂)、顔料、溶剤などを配合し、さらに
ガラスビーズを加え、分散機(レッドデビル社製)で2
時間分散させて、顔料が顔料分散剤によって分散された
顔料組成物を得た。得られた顔料組成物につき、以下に
記載の方法で分散後ミルベースの流動性を評価した。そ
の結果を、表−1、表−2および表−3に示した。
【0049】(1)ミルベース流動性A:顔料組成物を調
製した直後に、顔料組成物を目視観察し、流動性の良好
なものを「良好」、分散しないものを「分散せず」と表
示した。 (2)ミルベース流動性B:顔料組成物を調製した後、室
温で24時間放置し、上記Aの場合と同様に顔料組成物
を目視観察したもの。結果の表示も、上記Aの場合と同
様とした。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表−1ないし表−3より、次のことが明ら
かである。 (1)本発明に係る顔料分散剤を使用して調製した顔料
の分散液組成物は、ミルベース流動性に優れ、かつ、分
散液組成物の貯蔵安定性にも優れている(実験番号1〜
10参照)。 (2)これに対して、本発明に係る顔料分散剤を使用し
ないで調製した顔料の分散液組成物は、分散性が悪い
(比較例1〜5参照)。
【0054】
【発明の効果】本発明は、次のような特別に有利な効果
を奏し、その産業上の利用価値は、極めて大である。 (1)本発明に係る顔料分散剤は、多数の広範囲の顔料
の分散性を向上させる。 (2)本発明に係る顔料分散剤によって分散させた顔料
液組成物は、優れたミルベース流動性を発揮する。 (3)本発明に係る顔料分散剤によって分散させた顔料
液組成物は、優れた貯蔵安定性を発揮する。 (5)本発明に係る顔料分散剤は、その分子鎖中に(メ
タ)アクリル酸エステル重合体成分を有するので、優れ
た耐候性を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 7/12 PSM C09D 7/12 PSM 11/02 PTG 11/02 PTG

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される一価のアル
    コールに下記一般式(2)で表されるラクトン化合物又
    は炭素数2〜40のヒドロキシカルボン酸を反応させて
    得られる末端に水酸基を有する数平均分子量100〜1
    0000のポリエステル成分(A成分)と、下記一般式
    (3)で表される酸無水物構造単位、酸無水物から誘導
    されるカルボキシル基を有する構造単位又は下記一般式
    (4)で示される(メタ)アクリル酸構造単位を含有す
    る数平均分子量100〜100000のカルボン酸系重
    合体成分(B成分)との反応生成物又はそのアルカリ金
    属塩もしくはアンモニウム塩からなることを特徴とする
    顔料分散剤。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 反応生成物の酸価が5〜1000mgK
    OH/gの範囲内にある請求項1に記載の顔料分散剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の顔料分散剤を分散剤と
    したことを特徴とする塗料組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の顔料分散剤を分散剤と
    したことを特徴とする印刷インキ組成物。
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