JPH09140381A - 植物由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子 - Google Patents

植物由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子

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JPH09140381A
JPH09140381A JP7301054A JP30105495A JPH09140381A JP H09140381 A JPH09140381 A JP H09140381A JP 7301054 A JP7301054 A JP 7301054A JP 30105495 A JP30105495 A JP 30105495A JP H09140381 A JPH09140381 A JP H09140381A
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JP
Japan
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plant
gene
protoporphyrinogen oxidase
arabidopsis thaliana
derived
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JP7301054A
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Hachiro Iguchi
八郎 井口
Shinichiro Narita
新一郎 成田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】植物の育種に適するポルフィリン生合成系の酵
素タンパク質の遺伝子を提供すること。 【解決手段】シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)
植物から得られうる1.7Kbpの長さを有する遺伝子であ
り、5'末端から1.3Kbpの部位に制限酵素EcoRI の認識塩
基配列5'-GAATTC-3' が存在することを特徴とするプロ
トポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物由来のプロト
ポルフィリノーゲンオキシダーゼ(protoporphyrinogen
IX oxidase; EC 1.3.3.4 )遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物、植物、動物は共通して、5−ア
ミノレブリン酸を初発とするポルフィリン生合成系を持
ち、プロトポルフィリンを産生する。この生合成の最後
の段階であるプロトポルフィリノーゲンを酸化してプロ
トポルフィリンを生成する段階を触媒する酵素タンパク
質が、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼである。
細胞質で作用すると考えられる微生物由来のプロトポル
フィリノーゲンオキシダーゼとして大腸菌(GenBank ac
cession X68660:ECHEMGA)及び枯草菌(GenBank access
ion M97208:BACHEMEHY)の遺伝子、さらにミトコンドリ
アで作用すると考えられる動物由来のプロトポルフィリ
ノーゲンオキシダーゼとしてマウス(GenBank accessio
n U25114:MMU25114 )及びヒト(GenBank accession D3
8537:HUMPOX及び U26446:HSU26446)の遺伝子が知られ
ている。これに対して葉緑体で作用すると考えられる植
物由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼの遺伝
子は知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ポルフィリ
ン生合成は生物の物質代謝系において非常に重要な役割
を担っている。例えば、植物の場合、プロトポルフィリ
ンがマグネシウムケラターゼ酵素タンパク質の触媒作用
によって2価マグネシウムを取り込むことにより、プロ
トクロロフィリドが生成される。生成されたプロトクロ
ロフィリドはさらに別の酵素タンパク質による触媒作用
を受け、バクテリオクロロフィル、クロロフィルa、ク
ロロフィルbなど、バクテリア・藻類・植物の光合成に
不可欠な役割を持つ生体分子へと変換される。このよう
なポルフィリン生合成を人工的に増強できれば、作物の
光合成能力を向上させ早生・多収品種を育成すること、
光要求型除草剤に対する耐性品種を育成することが可能
になる。このため、植物の育種に適するポルフィリン生
合成系酵素タンパク質の遺伝子の探索が強く望まれてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは鋭意検討した結果、植物の育種に適するポルフ
ィリン生合成系の酵素タンパク質の遺伝子として、シロ
イヌナズナよりプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ
遺伝子を取得することに成功し、本発明に至った。即
ち、本発明は、 1)シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物から
得られうる1.7Kbpの長さを有する遺伝子であり、5'末端
から1.3Kbpの部位に制限酵素EcoRI の認識塩基配列 5'-
GAATTC-3' が存在することを特徴とするプロトポルフィ
リノーゲンオキシダーゼ遺伝子(以下、本発明遺伝子と
記す。)、 2)前項1のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺
伝子を含有することを特徴とするプラスミド(以下、本
発明プラスミドと記す。)、 3)前項2のプラスミドを保持することを特徴とする微
生物(以下、本発明微生物と記す。)、 4)前項2のプラスミドを保持することを特徴とする植
物細胞(以下、本発明植物細胞と記す。)、 5)前項1のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺
伝子を植物細胞に導入することにより形質転換された植
物(以下、本発明植物と記す。)、を提供するものであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、詳細に本発明について説明
する。本発明遺伝子は、シロイヌナズナ(Arabidopsis
thaliana)植物から得られうる1.7Kbpの長さを有する遺
伝子であり、5'末端から1.3Kbpの部位に制限酵素EcoRI
の認識塩基配列 5'-GAATTC-3' が存在する。本発明遺伝
子は、例えば、下記の方法により得ることができる。
【0006】例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis th
aliana)等の植物の葉、茎等の組織を採取し、採取した
組織を液体窒素中で凍結させた後、ワーリングブレンダ
ー等により機械的に磨砕することにより、細かい粉末状
の組織片を得る。尚、シロイヌナズナは、例えば、Arab
idopsis Biological Resource Center (ABRC),1735 Nei
l Avenue, Columbus, Ohio 43210, U.S.A.、The Nottin
gham Arabidopsis Stock Center (NASC),Depertment of
Life Science, University of Nottingham, Universit
y Park, Nottingham, NG72RD, United Kingdom等のスト
ックセンタ−から入手可能である。液体窒素を気化させ
た後、上記の組織片から通常の方法によりRNAを抽出
する。該抽出操作には、市販のRNA抽出キットを利用
するとよい。そして、得られたRNA抽出液からエタノ
−ル沈澱により全RNAを回収する。つぎに、回収した
全RNAから通常の方法によりポリAを有するRNAを
分画する。該分画操作には、市販のOligo dTカラムを利
用するとよい。得られた画分(ポリAを有するRNA)
から通常の方法によりcDNAを合成する。該合成操作
には、市販のcDNA合成キットを利用するとよい。合
成したcDNAを、例えば、市販の T4 ligaseを用いて
EcoRI 等のアダプタをライゲーションした後、該cDN
AをEcoRI 等の消化 lambda gt11と連結させることによ
り、ラムダファージからなる cDNA ライブラリを作製す
る。該連結等の操作には、市販の in vitro パッケージ
ングキットを利用するとよい。
【0007】このようにして作製された cDNA ライブラ
リを増幅し、例えば、K. Miyamoto、K. Nakahigashi、
K. Nishimura、H. Inokuchi 著、Journal of Molecular
Biology 1991 年、219 巻、393- 398頁、及び、K. Nis
himura、T. Nkayashiki 、H.Inokuchi 著、Gene 1993
年、133 巻、109-113 頁等に記載されているプロトポル
フィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子(hemG遺伝子座)欠
損突然変異系統である大腸菌菌株(例えば、 VSR751
株)に感染させ、LB寒天培地等の寒天培地にプレーティ
ングし、2日間程度の培養を行う。本来、プロトポルフ
ィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子(hemG遺伝子座)欠損
のため生育不良となり小さなコロニーしか形成されない
プレート上に、シロイヌナズナ等の植物由来のプロトポ
ルフィリノーゲンオキシダーゼ cDNA の発現による相補
作用により生育を回復した比較的大きなコロニーが生じ
るようになる。このコロニーを選抜することにより、植
物由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ cDNA
を有する菌株を得ることができる。尚、プロトポルフィ
リノーゲンオキシダーゼ遺伝子(hemG遺伝子座)欠損突
然変異系統である大腸菌菌株、例えば、VSR751株は、E.
coli GENETIC STOCK CENTER,Dertment of Human Geneti
cs,Yale University School of Medicine,333Cedar Str
eet,New Heaven,Conneticut 06510,U.S.A. 等のストッ
クセンタ−から入手可能である。つぎに、このようにし
て得られた菌株に紫外線を照射して溶菌し、そしてファ
ージを回収する。さらに、回収したファージを、例え
ば、渡辺・杉浦著、クローニングとシークエンス(植物
バイオテクノロジー実験マニュアル)1989年、農村文化
社(ISBN4-931205-05 C3045 )、180-189 頁に記載の通
常の方法により解析し、最長のインサートを持つものを
陽性クローンとして選抜する。
【0008】選抜された陽性クローンを、例えば、J.M.
Short、J.M. Fernandez、J.A. Sorge、W.D. Huse 著、
Nucleic Acids Research 1988 年、16巻、7583-7600 頁
等に記載の通常の方法により、市販のプラスミドベクタ
ー(例えば、 pUC118 等)に再クローニングする。
【0009】本発明遺伝子を植物細胞に導入するには、
例えば、カリフラワーモザイクウィルス 35Sプロモータ
ー(特表昭60-500796 及び特開平6-315381)の下流に該
遺伝子を連結して構成的に高発現するようにしたプラス
ミドベクターを構築する。構築されたプラスミドベクタ
ーを、アグロバクテリウム感染方法(特公平2-58917及
び特開昭60-70080)、プロトプラストへのエレクトロポ
レーション方法(特開昭60-251887 及び特開平5-68575
)、又はパーティクルガン方法(特表平5-508316及び
特開昭63-258525 )等の公知の手段により植物細胞に導
入し、形質転換した植物細胞を選抜し、例えば、内宮
著、植物遺伝子操作マニュアル(トランスジェニック植
物の作り方)1990年、講談社サイエンティフィク(ISBN
4-06-153513-7 C3045 )、27-55 頁に記載の通常の植物
細胞培養方法により形質転換植物を再生することによっ
て形質転換された植物を得る。
【0010】さらに、本発明遺伝子は下記のような利用
が可能である。本発明遺伝子は、上記と同様な方法に準
じて、該遺伝子の転写・翻訳活性を高めて該遺伝子がコ
−ドする酵素タンパク質を構成的に高発現させることに
より、該酵素タンパク質をターゲットとする光要求型除
草剤、例えばアシフルオルフェン(acifluorfen; Rhone
Poulenc Agrochimie 製)等に対する耐性を植物に付与
することに利用できる。また本発明遺伝子は、除草剤耐
性遺伝子を得る、または作り出すための手段にも利用で
きる。例えば、EMS 等の化学薬剤処理または放射線照射
処理等の突然変異誘発処理により突然変異を誘発した植
物をスクリーニングすることにより除草剤耐性個体を単
離することが可能である。即ち、突然変異誘発処理を行
った種子、例えばシロイヌナズナ種子、を寒天培地や培
土上で発芽させ、生育時に除草剤処理を行い、除草剤耐
性個体を選抜する。通常では、ゲノム上での突然変異遺
伝子の座位をマッピングして、いわゆるマップ・ベース
ド(map-based )クローニングを行うが、ここで、本発
明で提供される遺伝子、即ち本発明遺伝子、が有する一
部の塩基配列を用いてポリメラーゼ・チェイン・リアク
ション(PCR;特公平3-31434 、特公平4 -67957及び特公
平4-67960 )を行えば、容易に除草剤耐性遺伝子(除草
剤耐性型突然変異プロトポルフィリノーゲンオキシダー
ゼ遺伝子)を得ることが可能である。また、本発明遺伝
子がコ−ドする酵素タンパク質のアミノ酸配列に変更を
加え、除草剤耐性を示すアミノ酸配列をスクリーニング
することによっても新たな除草剤耐性遺伝子を作り出す
ことが可能になる。具体的には、例えば、本発明遺伝子
の塩基配列にランダムな突然変異をポリメラーゼ・チェ
イン・リアクション法により誘導してアミノ酸配列に変
異を導入する方法、又はW. Kramer ら著、Nucleic Acid
s Research 1984 年、12巻、9441頁又はW. Kramer 、H.
J. Frits著、Methods in Enzymology 1987年、154 巻、
350 頁等に記載のギャップド・デュープレックス(gapp
ed duplex )法に準じて、サイト・ディレクテッド・ミ
ュータジェネシス(site-directed mutagenesis )を適
用することによって新たな除草剤耐性遺伝子を作り出す
ことが可能になる。また、T.A. Kunkel 著、Proceeding
s of National Academy of Science U.S.A. 、1985年、
82巻、488 頁又はT.A. Kunkel ら著、Methods in Enzym
ology 1987年、154 巻、367頁等に記載のクンケル(Kun
kel)法に準じて、サイト・ディレクテッド・ミュータ
ジェネシスを適用することによっても新たな除草剤耐性
遺伝子を作り出すことが可能になる。さらに、本発明遺
伝子がコ−ドする酵素タンパク質のアミノ酸配列のうち
一カ所ないし数カ所の一部分を、他の生物由来のプロト
ポルフィリノーゲンオキシダーゼのアミノ酸配列の一部
と入れ替えたキメラ酵素タンパク質をコードする遺伝子
を作製することによっても新たな除草剤耐性遺伝子を作
り出すことが可能になる。
【0011】このようにして作製された除草剤耐性遺伝
子の効果(除草剤耐性発現)は、例えば、作製された除
草剤耐性遺伝子をプロトポルフィリノーゲンオキシダー
ゼ欠損の微生物に導入し、生育が可能となった形質転換
微生物を選抜した後、対象とする除草剤を処理すること
により除草剤耐性コロニーを再選抜する方法で効率的に
確認することができる。
【0012】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明する。本発明は以下の実施例にのみ限定されるもので
はなく、本発明の技術分野における通常の変更によって
も可能であることは言うまでもない。
【0013】実施例1 (シロイヌナズナ cDNA ライブ
ラリの調製) シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) ecotype Col
umbia 実験系統〔TheNottingham Arabidopsis Stock Ce
nter から入手〕を播種後、温室にて20日間栽培し、
緑葉を採取した。採取した緑葉5gを液体窒素10ml中
で凍結させ、乳鉢・乳棒により磨砕し、細かい粉末にし
た。液体窒素を気化させた後、市販の RNA抽出キット
( Extract-A-PLANTTM RNA ISOLATION KIT、Clontech社
製)を用いて RNA抽出を行い、この抽出液からエタノー
ル沈澱により全 RNA1mgを回収した。得られた全 RNAを
市販の Oligo dT カラム(5' -> 3'製)で分画し、poly
(A)+RNA 50μgを得た。該 poly(A)+ RNA から、市
販の cDNA 合成キット(cDNA合成システムプラス、Amer
sham製)を用いて cDNA 合成を行った。該 cDNA に市販
の T4 ligase(宝酒造製)を用いてEcoRI アダプタ(宝
酒造製)をライゲーションした後、EcoRI 消化 lambda
gt11( Stratagene 製)と、さらに市販の invitro パ
ッケージングキット(GIGA PACK II Gold 、Stratagene
製)を用い、ラムダファージからなる cDNA ライブラリ
を作製した。
【0014】実施例2 (プロトポルフィリノーゲンオ
キシダーゼ cDNA のスクリーニング) 実施例1で得られたシロイヌナズナ cDNA ライブラリを
増幅し、K. Miyamoto、K. Nakahigashi、K. Nishimur
a、H. Inokuchi 著、Journal of Molecular Biology 19
91 年、219 巻、393- 398頁、及び、K. Nishimura、T.
Nkayashiki 、H.Inokuchi 著、Gene 1993 年、133 巻、
109-113 頁に記載されている大腸菌プロトポルフィリノ
ーゲンオキシダーゼ遺伝子(hemG遺伝子座)欠損突然変
異系統 VSR751 株〔E.coli GENETIC STOCK CENTER から
入手〕に感染させ、LB寒天培養にプレ−ティングし、2
日間培養を行った。hemG遺伝子座欠損のため生育不良と
なり小さなコロニーしか形成されないプレート上に、シ
ロイヌナズナプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ c
DNA の発現による相補作用により生育を回復した比較的
大きなコロニーを選抜した。これらの生育を回復した選
抜 VSR751 株から、渡辺・杉浦著、クローニングとシー
クエンス(植物バイオテクノロジー実験マニュアル)19
89年、農村文化社(ISBN4-931205-05 C3045 )、180-18
9 頁に記載されている方法により、ファージを回収し、
最長のインサートを持つものを陽性クローンとして選抜
した。
【0015】実施例3 (プロトポルフィリノーゲンオ
キシダーゼ cDNA の再クロ−ニング) 実施例2で得られた選抜された陽性クローンを、J.M. S
hort、J.M. Fernandez、J.A. Sorge、W.D. Huse 著、Nu
cleic Acids Research 1988 年、16巻、7583-7600 頁に
記載されている通常の方法により、プラスミドベクター
pUC118 (宝酒造製)に再クローニングした。さらに該
プラスミドベクターのインサート部分を、EcoRI 制限酵
素(宝酒造製)で切断してアガロ−スゲル電気泳動し、
プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ cDNA の構造を
決定した。その結果、クローニングされたシロイヌナズ
ナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ cDNA
(APPO)は、1.7kbpの長さであり、5'末端から1.3Kbpの部
位に制限酵素EcoRI の認識塩基配列 5'-GAATTC-3' が存
在する構造であった(図1参照)。
【0016】参考例1 (直接導入用プロトポルフィリ
ノーゲンオキシダーゼ発現ベクターの構築) シロイヌナズナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキシ
ダーゼを植物細胞に導入して発現させるために、例え
ば、後述するような植物用直接導入発現ベクターを構築
する(図2参照)。実施例3で得られたプラスミドか
ら、制限酵素 EcoRI(宝酒造製)部分消化(条件:制限
酵素添加量 0.1 unit/μg DNA,制限酵素消化反応温度2
5℃,制限酵素消化反応時間10分間)によって切り出
されるプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ cDNA の
コード領域である 1.7Kbp 断片を回収し、 T4 DNA poly
merase(宝酒造製: DNAブランティングキット)を用い
て制限酵素消化による末端を平滑化する。一方、pUC19
由来の GUS発現ベクター pBI221 (Clontech製)を、制
限酵素 SmaI 、SacI(宝酒造製)で消化して GUS構造遺
伝子を取り除いた 2.8Kbp 断片を回収し、同様に T4 DN
A polymeraseを用いて末端を平滑化する。さらに、バク
テリアルアルカリフォスファターゼ(宝酒造製)により
末端の脱燐酸処理を行う。両者を、T4 DNA ligase (宝
酒造製: DNAライゲーションキット)を用いてつなぎ合
わせ、大腸菌 HB101株コンピテントセル(宝酒造製)を
形質転換し、アンピシリン耐性株を選抜する。さらに、
選抜株から増幅させた組換えプラスミドの内、カリフラ
ワーモザイクウィルス由来 35Sプロモーター、ノパリン
シンターゼ由来ターミネーターに対して、プロトポルフ
ィリノーゲンオキシダーゼのコード領域が順方向に挿入
されたクローンを選抜し、直接導入用プロトポルフィリ
ノーゲンオキシダーゼ発現ベクター pAPPO-1を得る。
【0017】参考例2 (間接導入用プロトポルフィリ
ノーゲンオキシダーゼ発現ベクターの構築) シロイヌナズナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキシ
ダーゼを植物細胞に導入して発現させるために、植物用
間接導入発現ベクターを構築する(図3参照)。参考例
1と同様に、末端を平滑化したプロトポルフィリノーゲ
ンオキシダーゼcDNA のコード領域である 1.7Kbp 断片
を得る。一方、pBIN19由来の GUS発現バイナリーベクタ
ー pBI121 (Clontech製)を、制限酵素 SmaI 、SacI
(宝酒造製)で消化して GUS構造遺伝子を取り除いた断
片を回収し、同様に末端を平滑化し、脱燐酸処理を行
う。両者をつなぎ合わせ、大腸菌を形質転換し、組換え
プラスミドを選抜し、間接導入用プロトポルフィリノー
ゲンオキシダーゼ発現ベクター pAPPO-2を得る。さら
に、トリペアレンタル法(tri-parental法; Clontech
製:GUS ジーン・フュージョン・システム)により、プ
ラスミド pAPPO-2を Agrobacterium tumefaciens LBA 4
404 株に移す。
【0018】参考例3 (プロトポルフィリノーゲンオ
キシダーゼ発現ベクター導入形質転換植物の作出) 参考例2で得られる pAPPO-2が導入された Agrobacteri
um tumefaciens LBA4404を、内宮著、植物遺伝子操作マ
ニュアル、1990年、講談社サイエンティフィク(ISBN4-
06-153513-7 )、27-33 頁に記載されている方法で、タ
バコ無菌培養葉片に感染させ形質転換タバコ植物を得
る。同様に、N. Pawlicki ら著、Plant Cell, Tissue a
nd Organ Culture、1992年、第31巻、129-139 頁に記載
されている方法で、ニンジン無菌培養実生の葉柄に感染
させ形質転換ニンジン植物を得る。さらに、参考例2で
得られる pAPPO-1を、特願平3-291501に記載されている
方法で、パーティクルガンによりダイズ不定胚に導入
し、形質転換ダイズ植物を得る。同様に、島田ら著、育
種学雑誌、1994年、第44巻別冊1 号、66頁に記載されて
いる方法で、パーティクルガンによりイネ無菌培養未熟
胚盤に導入し、形質転換イネ植物を得る。同様に、宅見
ら著、育種学雑誌、1995年、第45巻別冊1 号、57頁に記
載されている方法で、パーティクルガンによりコムギ無
菌培養未熟胚盤に導入し、形質転換コムギ植物を得る。
同様に、萩尾ら著、育種学雑誌、1994年、第44巻別冊1
号、67頁に記載されている方法で、パーティクルガンに
よりオオムギ無菌培養未熟胚盤に導入し、形質転換オオ
ムギ植物を得る。同様に、M.E. Frommら著、 BIO/TECHN
OLOGY 、1990年、第8 巻、833-839 頁に記載されている
方法で、パーティクルガンによりトウモロコシ不定胚に
導入し、形質転換トウモロコシ植物を得る。
【0019】
【発明の効果】本発明により、植物の育種に適するポル
フィリン生合成系酵素タンパク質の遺伝子を提供するが
可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、pUC118ベクターにクローニングされた
シロイヌナズナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキシ
ダーゼ cDNA 、及びpAGE17を示す図である。図中、「or
i 」はColE1 由来のプラスミド複製開始領域を、「amp
r 」はアンピシリン耐性遺伝子コード領域を、「lacZ」
はβ−ガラクトシダーゼ遺伝子コード領域を、「IG」は
M13 由来 Intergenic 複製開始領域を、その他は制限酵
素認識塩基配列部位を示す。
【図2】図2は、シロイヌナズナ由来のプロトポルフィ
リノーゲンオキシダーゼを植物細胞に導入して発現させ
るために構築される直接導入用プロトポルフィリノーゲ
ンオキシダーゼ発現ベクター pAPPO-1を示す図である。
図中、「35S 」はカリフラワ−モザイクウィルス由来の
35S プロモ−ターを、「GUS 」は大腸菌由来のβ−グル
クロニダ−ゼ遺伝子を、「NOS 」はアグロバクテリウム
由来のノパリンシンタ−ゼタ−ミネ−タ−を、「APPO」
はシロイヌナズナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキ
シダーゼcDNAを、その他は制限酵素認識塩基配列部位を
示す。
【図3】図3は、シロイヌナズナ由来のプロトポルフィ
リノーゲンオキシダーゼを植物細胞に導入して発現させ
るために構築される間接導入用プロトポルフィリノーゲ
ンオキシダーゼ発現ベクター pAPPO-2を示す図である。
図中、「35S 」はカリフラワ−モザイクウィルス由来の
35S プロモ−ターを、「GUS 」は大腸菌由来のβ−グル
クロニダ−ゼ遺伝子を、「NOS 」はアグロバクテリウム
由来のノパリンシンタ−ゼタ−ミネ−タ−を、「APPO」
はシロイヌナズナ由来のプロトポルフィリノーゲンオキ
シダーゼcDNAを、「NPTII 」はカナマイシン耐性遺伝子
を、「NOSp」はアグロバクテリウム由来のノパリンシン
タ−ゼプロモ−タ−を、「LB」及び「RB」はそれぞれア
グロバクテリウムT-DNA 由来の左端境界塩基配列及び右
端境界塩基配列を、その他は制限酵素認識塩基配列部位
を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)
    植物から得られうる1.7Kbpの長さを有する遺伝子であ
    り、5'末端から1.3Kbpの部位に制限酵素EcoRI の認識塩
    基配列5'-GAATTC-3' が存在することを特徴とするプロ
    トポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子。
  2. 【請求項2】請求項1記載のプロトポルフィリノーゲン
    オキシダーゼ遺伝子を含有することを特徴とするプラス
    ミド。
  3. 【請求項3】請求項2記載のプラスミドを保持すること
    を特徴とする微生物。
  4. 【請求項4】請求項2記載のプラスミドを保持すること
    を特徴とする植物細胞。
  5. 【請求項5】請求項1記載のプロトポルフィリノーゲン
    オキシダーゼ遺伝子を植物細胞に導入することにより形
    質転換された植物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011024594A (ja) * 1998-04-30 2011-02-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 雑草防除剤耐性の付与方法
US8129589B2 (en) 2005-09-26 2012-03-06 Nippon Soda Co., Ltd. Protoporphyrinogen oxidase having activity of imparting resistance against acifluorfen and gene thereof

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