JPH09136866A - シクロブテンジオン誘導体及びその製造方法並びにこれを用いた非線形光学素子 - Google Patents

シクロブテンジオン誘導体及びその製造方法並びにこれを用いた非線形光学素子

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JPH09136866A
JPH09136866A JP23346096A JP23346096A JPH09136866A JP H09136866 A JPH09136866 A JP H09136866A JP 23346096 A JP23346096 A JP 23346096A JP 23346096 A JP23346096 A JP 23346096A JP H09136866 A JPH09136866 A JP H09136866A
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JP23346096A
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Yasunari Nishikata
康成 西片
Ryujun Fu
龍淳 夫
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非線形光学効果、化学的・熱的安定性、透明
性に優れ、かつ、結晶育成、加工が容易で実用的な有機
非線形光学素子用材料に適した新規な化学物質及びその
製造方法並びにその物質を用いた非線形光学素子を提供
する。 【解決手段】 置換又は無置換の芳香族原子団Aと、芳
香族性結合基を含んでいてもよい共役鎖Bと、該共役鎖
Bと結合する芳香族性原子団を有する水素結合性又はイ
オン結合性のシクロブテンジオニル基Cと、がA−B−
Cの形で結合してなる。芳香族原子団Aはピリジン骨格
やハメットの置換基定数δ0 R が0又は負である、−N
(CH3 2 、−Br等の置換基を有し、強い電子供与
性を示し、シクロブテンジオニル基Cは強い電子吸引性
を示す。これらの間にπ電子共役系ポリエン構造及び/
又はこれとπ電子共役系を形成するようにベンゼン環を
結合した構造からなる長い分子鎖Bを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 非線形光学材料と
して有用性を有する新規なシクロブテンジオン誘導体及
びその製造方法並びにそれを用いた非線形光学素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】光通信や光情報処理の分野では、 非線形
光学素子が重要な役割を果たす。 非線形光学素子に使用
する非線形光学材料は、 周波数の異なる2種類の入射光
の和又は差の周波数を発生させる光混合や、 これらが元
の周波数とは異なる周波数の光として放射される光パラ
メトリック、 また、 光媒体の屈折率が変化することに起
因するポッケルス効果やカー効果、 或いは入射光の第二
次高調波(SHG) や第三次高調波(THG) への変換、 さらに
は光双安定性に起因するメモリー効果など、 光信号処理
の上で極めて重要な作用を行う物質である。
【0003】従来、 このような非線形光学素材料として
は、 主に無機化合物が使用されていた。 無機系の非線形
光学材料としては、 リン酸チタンカリウム( KTP:KTiOP
O4)やニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3 )などの無機化合
物の結晶が知られているが、上記の用途において、 要求
される特性を十分に満足するものではなかった。
【0004】一方、 有機系の非線形光学材料について
は、 近年、 オプトエレクトロニクス分野の新しい光学素
子材料として注目され、 その研究が盛んになっている。
特に、π電子共役系に電子供与性基及び電子受容性基を
有する化合物は、 電磁波としてのレーザー光と分子内に
偏在するπ電子との相互作用により分子レベルでの強い
光非線形を示すことが知られている。
【0005】これまで検討されている化合物としては、2
- メチル-4- ニトロアニリン、 m-ニトロアニリン、 N-(4
- ニトロフェニル)-L-プロリノール、4- ジメチルアミノ
-4’- ニトロスチルベン、4 ’- ニトロベンジリデン-4
- ニトロアニリンなどが挙げられる。
【0006】これらの材料は、 無機系のものと同じく、
多くは単結晶状態で使用される。これらの単結晶で二次
の非線形光学効果を発現させるためには、 中心対称性を
有しないものであることが必須であるが、 分子の双極子
能率が大きいために、 非中心対称性の結晶は熱力学的な
安定相になり難いという問題がある。
【0007】非中心対称性結晶を与えるような材料の設
計指針については、 不斉中心の導入や水素結合の利用が
有用であることが知られているが、 未だに一般的な手法
が見出されていない。
【0008】また、 有機物に特有の、 結晶成長の難しさ
や、得られる結晶が脆弱なため、 精密加工が困難であ
る、などの問題があり、 高効率の素子作製に必須である
高性能な材料の実用化が待たれている。
【0009】一般に、 非線形光学素子用材料としては、
光非線形性の大きさ、 良好な加工性、 耐熱・ 耐環境安定
性、 光透明性、 高い耐絶縁破壊電圧、 レーザ光照射時の
安定性などの特性を併せ持つことが要求される、 従来の
公知の材料は、 これらの特性を満足させるものは未だ実
用化されていなかった。
【0010】そこで、 本発明者等は、 先に下記一般式(V
I)で表されるシクロブテンジオン誘導体及びそれを用い
た非線形光学素子を提案した( 特開平3 ─112950号公
報)。これらの誘導体は、 従来知られている材料と比較
して大きな光非線形性を有するという特徴を有するが、
さらに飛躍的に性能の高い光非線形性を有する材料が求
められていた。
【0011】
【化17】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、 上記の問題
を解消し、 より大きな非線形光学効果を有し、 化学的・
熱的安定性、 透明性が優れ、 かつ溶液状態、 溶融状態か
らの結晶育成、 加工が容易で、実用的な有機非線形光学
素子用材料に適した新規な化学物質、 及び、 その製造方
法、 並びに、 その物質を用いた非線形光学素子を提供し
ようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、 先に提案
したシクロブテンジオン誘導体を含めて、 非線形光学素
子に適した有機化合物を検討する中で、 分子の双極子能
率が大きく、 結晶時に中心対称性構造を形成し易い化合
物群の中に、 分子に適切な置換基を導入することによ
り、 特に、 2次の非線形光学効果の大きな化合物を見出
し、 有機非線形光学素子用材料への適用を確認して、 以
下の発明を完成した。
【0014】即ち、本発明のシクロブテンジオン誘導体
は、 置換又は無置換の芳香族原子団Aと、芳香族性結合
基を含んでいてもよい共役鎖Bと、該共役鎖Bと結合す
る芳香族性原子団を有する水素結合性又はイオン結合性
のシクロブテンジオニル基Cと、がA−B−Cの形で結
合してなることを特徴とする。
【0015】ここで、前記置換又は無置換の芳香族原子
団Aは、下記一般式(1)で表されるものであることが
好ましい。
【0016】
【化18】
【0017】(式中、E1 〜E5 はそれぞれ窒素原子又
は置換基を有していてもよい炭素原子を表し、E1 〜E
5 のうち少なくとも2つは炭素原子である。隣接するE
1 及びE2 又はE3 及びE4 が置換基を有する炭素原子
である場合、置換基同士が連結して環を形成していても
よい。pは1又は0を表す。E5 が炭素原子のときpは
1であり、Dはハメットの置換基定数δ0 R が0又は負
である置換基を表し、E5 が窒素原子のときpは0又は
1であり、pが1のときDは置換基を有していてもよい
アルキル基を表す。このとき、E5 の窒素原子は正の電
荷を帯びるため、ここに適当な負の電荷を有するイオン
が対イオンとして存在する。) また、前記芳香族性結合基を含んでいてもよい共役鎖B
が、下記一般式からなる群より選ばれる分子構造の少な
くとも1つを含むことを特徴とする。
【0018】
【化19】
【0019】(式中、m、n及びlは共役鎖の結合単位
数を表す。なお、式中、二重結合を有する共役鎖におい
ては、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっ
ても、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
い。) さらに、前記共役鎖Bと結合する芳香族性原子団を有す
る水素結合性又はイオン結合性のシクロブテンジオニル
基Cが、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0020】
【化20】
【0021】(一般式(2)中、Rは下記式で表される
基を表す。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
表し、C* は不斉炭素原子を表す。) 本発明ののシクロブテンジオン誘導体中に含まれるシク
ロブテンジオニル基C、好ましくは、前記一般式(2)
で表されるシクロブテンジオニル基は、下記実施例に示
す極大吸収波長(分子内電荷移動吸収帯)からも分かる
ように、化合物中のπ電子との相互作用が大きく、共鳴
効果により強い電子吸引性を示す。そのため、分子が電
気的に大きく分極した構造を取り易くなり、高い光非線
形性発現のもとになっている。また、置換又は無置換の
芳香族原子団Aは特定の置換基をもつベンゼン及びその
誘導体であり、強い電子供与性を示す。これらの強い電
子吸引性と強い電子供与性との間のπ電子の大きな共鳴
挙動に加えて、さらに、この間の分子構造はπ電子共役
系ポリエン構造及び/又はこれとπ電子共役系を形成す
るようにベンゼン環を結合した構造からなる長い分子鎖
のπ電子共役構造、即ち、A−Bなる長いπ電子共役系
を有することにより、π電子の共鳴効果の影響が相乗的
に発現し、先に提案したシクロブテンジオン誘導体と比
較しても飛躍的に大きな光非線形性を示す。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。本発明のシクロブテンジオン誘導体は、前記の
如く、芳香族原子団Aと、共役鎖Bと、該共役鎖Bと結
合する芳香族性原子団を有するシクロブテンジオニル基
Cと、がA−B−Cの形で結合してなるものであるが、
さらにこの効果を有効にするためにAの部分を下記一般
式(1)で表されるように定義することができる。
【0023】
【化21】
【0024】(式中、E1 〜E5 はそれぞれ窒素原子又
は置換基を有していてもよい炭素原子を表し、E1 〜E
5 のうち少なくとも2つは炭素原子である。隣接するE
1 及びE2 又はE3 及びE4 が置換基を有する炭素原子
である場合、置換基同士が連結して環を形成していても
よい。pは1又は0を表す。E5 が炭素原子のときpは
1であり、Dはハメットの置換基定数δ0 R が0又は負
である置換基を表し、E5 が窒素原子のときpは0又は
1であり、pが1のときDは置換基を有していてもよい
アルキル基を表す。このとき、E5 の窒素原子は正の電
荷を帯びるため、ここに適当な負の電荷を有するイオン
が対イオンとして存在する。) ここでE5 が炭素原子のときpは1であり、Dはハメッ
トの置換基定数δ0 Rが0又は負である置換基である。
この置換基は共役系全体の電子密度を高め、分子の超分
子分極率をより高める効果を有する。またE5 が窒素原
子のときpは0又は1であり、pが1のときDは置換ま
たは無置換のアルキル基を示す。この場合も窒素原子上
の非共有電子対の作用もしくは窒素原子に結合した置換
または無置換のアルキル基の電子供与性により、分子の
超分子分極率をより高める効果が発現する。
【0025】E5 が炭素原子の場合のDはハメットの置
換基定数δ0 R が0又は負である置換基を表すことは前
記のとおりであるが、ハメットの置換基定数δ0 R は、
詳しくは、パラ置換位置におけるハメットの共鳴置換基
定数を指し、例えば、「ハメット 理論有機化学」(1
974年、廣川書店)等の文献に詳細に記載されてい
る。
【0026】ここで、Dとしてはより具体的には、水素
原子、−OR2 、−NR3 4 又はハロゲン原子から選
ばれるものが好ましく、ここで、R2 、R3 、R4 はそ
れぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
2 、R3 、R4 はメチル基、エチル基が好ましい。−
OR2 としては、具体的には、−OCH3 (δ0 R =−
0.43:以下カッコ内の数値は各々の置換基のδ0 R
の値を表す)等が、−NR3 4 としては、−N(CH
3 2 (−0.57)、−NH2 (−0.51)が、ハ
ロゲン原子としては、−I(−0.22)、−Br(−
0.29)、−Cl(−0.31)、−F(−0.4
8)等が挙げられる。また、前記式で表される置換基以
外には、−H(0.0)、−CN(−0.06)等が挙
げられる。なかでも、Dとしては、効果の観点から、−
H、−OCH3 、−N(CH3 2、−Br、−Cl等
が好ましく、ハメットの置換基定数δ0 R が小さく、電
子供与性の高い−N(CH3 2 が特に好ましい。
【0027】本発明のシクロブテンジオン誘導体がA−
Bなる長いπ電子共役系を有効に構築するためには、前
記芳香族性結合基を含んでいてもよい共役鎖Bが、下記
一般式からなる群より選ばれる分子構造の少なくとも1
つを含むことが有効である。
【0028】
【化22】
【0029】(式中、m、n及びlは共役鎖の結合単位
数を表す。なお、式中、二重結合を有する共役鎖におい
ては、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっ
ても、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
い。) また、上記分子構造のいずれにおいても、前記π電子の
共鳴効果を損なわない限りにおいて、共役系におけるポ
リエン結合の炭素原子及びフェニル結合の六員環におけ
る炭素原子に結合する水素原子は、炭素数1〜2の低級
アルキル基で置換されていてもよい。
【0030】さらに、前記共役鎖Bと結合する芳香族性
原子団を有する水素結合性又はイオン結合性のシクロブ
テンジオニル基Cが、下記一般式(2)で表されるよう
な構造とすることにより、分子の光非線形性を材料とし
て有効に発現させることができる。
【0031】
【化23】
【0032】(一般式(2)中、Rは下記式で表される
基を表す。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
表し、C* は不斉炭素原子を表す。) ここで、一般式(2)の化学構造はベンゼン環とシクロ
ブテンジオン構造の共役により、この構造のもつ大きな
光非線型性への寄与を最大限に発揮させることがを可能
ならしめる。また、前記式で表される置換基Rの化学構
造は、大きな光非線型性を有する分子を、結晶中で有効
に配列させるのに大きな寄与を有する。
【0033】これらの機能を有するシクロブテンジオン
誘導体の好適なものとして、一般式(I)及び(Ia)
のような化合物を例示することができる。
【0034】
【化24】
【0035】(一般式(I)中、Rは下記式で表される
基を表し、pは1又は0を表す。E 5 は炭素原子又は窒
素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1を表し、D
は置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を表し、E
5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は2の整数
を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは0、1
又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つのmは
同じであっても異なっていてもよい。なお、式中、二重
結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置
は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であって
も、両者の混合物であってもよい。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
表し、C* は不斉炭素原子を表す。)
【0036】
【化25】
【0037】(一般式(Ia)中、Rは下記式で表され
る基を表し、pは1又は0を表す。E5 は炭素原子又は
窒素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1を表し、
Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を表し、
5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は2の整
数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは0、
1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つのm
は同じであっても異なっていてもよい。なお、式中、二
重結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置
は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であって
も、両者の混合物であってもよい。) (置換基Rの式中、C* は不斉炭素原子を表す。) 一般式(I)及び(Ia)で示される化合物の具体的な
例として、以下の化合物を挙げることができるが、これ
に制限されるものではない。
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】
【化28】
【0041】
【化29】
【0042】(前記各式中、C* は不斉炭素原子を表
す。なお、式中、二重結合を有する共役鎖においては、
二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、
(Z)体であっても、両者の混合物であってもよい。) 上記一般式(I)のシクロブテンジオン誘導体中に含ま
れるシクロブテンジオニル基は、 化合物中のπ電子との
相互作用が大きく、 共鳴効果により強い電子吸引性を示
す。 そのため、 分子が電気的に大きく分極した構造を取
り易くなり、 高い光非線形性発現のもとになっている。
また、 この化合物は長いπ電子共役系を有するため先に
提案したシクロブテンジオン誘導体と比較しても飛躍的
に大きな光非線形性、具体的には、分子超分極率(β)
が20×10-30 esu以上を示し、非線形光学素子用
材料として好適なものである。
【0043】また、 上記一般式(I)のシクロブテンジ
オン誘導体のあるものには、 不斉炭素原子を有するアミ
ノアルコールが置換基として導入されており、 この置換
基が、 その立体構造と水素結合により結晶中での分子の
配向を制御可能にし、 双極子能率の大きな分子において
も非中心対称性の分子配向をもたらし、 大きな光非線形
性を示す結晶の生成を容易にした。
【0044】さらに、 上記一般式(I)のシクロブテン
ジオン誘導体の別なものには、 四級ピリジニウム塩構造
が導入されており、 これがイオン性の相互作用により結
晶中での分子の配向を制御可能にし、同様に大きな光非
線形性を示す結晶の生成を容易にした。
【0045】上記一般式(I)のシクロブテンジオン誘
導体のうち、nが2以上、又は、lが1以上の化合物の
具体例を以下に例示するが、本発明のシクロブテンジオ
ン誘導体はこれらに限定されない。
【0046】
【化30】
【0047】上記一般式(I)のシクロブテンジオン誘
導体は、 次に示す反応式によって容易にかつ収率良く合
成することができる。
【0048】
【化31】
【0049】(一般式(III)中、Xはハロゲン原子を表
し、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、C* は不
斉炭素原子を表す。) (式(IV)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素原子又
は窒素原子を表し、E 5 が炭素原子のときpは1を表
し、Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を表
し、E5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は2
の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは
0、1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つ
のmは同じであっても異なっていてもよい。なお、式
中、二重結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾
何配置は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であ
っても、両者の混合物であってもよい。) (一般式(I)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素原
子又は窒素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1を
表し、Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を
表し、E5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は
2の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、l
は0、1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2
つのmは同じであっても異なっていてもよい。R1 は炭
素数1〜4のアルキル基を表し、C* は不斉炭素原子を
表す。なお、式中、二重結合を有する共役鎖において
は、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であって
も、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
い。) まず、 上記一般式(III) で表されるシクロブテンジオン
誘導体を、 N,N-ジメチルホルムアミド、 N,N-ジメチルア
セトアミド、 N-メチルピロリドン、 ジメチルスルホキシ
ド等の溶媒に溶解させる。 次に、 得られた溶液中に、 上
記のシクロブテンジオン誘導体に対して少過剰量の化合
物(IV)をパラジウム錯体触媒、 酸受容剤とともに加え、
加熱して反応させる。 ここで、 パラジウム錯体触媒とし
ては、 テトラキス( トリフェニルホスフィン) パラジウ
ム(0)、テトラキス( トリ-o- トリルホスフィン) パラジ
ウム(0)、ジクロロ- ビス( トリフェニルホスフィン) パ
ラジウム(II)、 ビス[1,2- ジ( ジフェニルホスフィノ)
エタン] パラジウム(0) 等、 ハロゲン化アリールとジエ
ン化合物とのカップリング反応に対して触媒活性を有す
る公知の触媒を広く用いることができる〔ヘック( R.
F.Heck,)、パラジウム リージェンツ イン オーガ
ニック シンセシス(”Palladium Reagents in Organi
c Syntheses “)、Academic Press, London (1985)
〕。 この時の触媒量は、 上記一般式(II)で表されるシ
クロブテンジオン誘導体に対し1000分の1等量から
1等量の範囲で変えることができるが、 触媒量が上記一
般式(II)で表されるシクロブテンジオン誘導体に対し1
00分の1等量から100分の5等量の範囲にあるの
が、 より望ましい。 触媒量を上記のように限る理由は、
これが100分の1等量より著しく少なくなると触媒活
性が低下し、 逆にこれが100分の5等量より著しく多
くなると生成物と触媒との分離が困難になるなどの理由
で、 生成する一般式(I)の化合物の収率が低下するた
めである。 また、 パラジウム錯体触媒の代わりに、 塩化
パラジウム(II)、 酢酸パラジウム(II)のような有機、 無
機パラジウム二価化合物と、 トリフェニルホスフィン、
トリ-o- トリルホスフィン、1,2- ジ( ジフェニルホスフ
ィノ) エタン等のホスフィン化合物を別々に系中に投入
しても同様な反応を好収率で進行させることができる。
この時、 用いるホスフィン化合物の量は、 ホスフィン中
のリン原子数がパラジウムに対し4〜6等量の場合、 一
般に最も好収率で反応が進行するが、 パラジウム化合物
によっては、 ホスフィン化合物の量がこの範囲外の場合
でも反応は好収率で進行する。酸受容剤としては、 トリ
エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、1,8- ジア
ザ[5,4,0] ビシクロウンデセン-7、1,8- ビス( ジメチル
アミノ) ナフタレン、 炭酸カリウム、 酢酸ナトリウム等
の、 酸受容剤として公知のものを用いることができる。
酸受容剤の量は上記一般式(II)で表されるシクロブテン
ジオン誘導体に対し1.2〜1.5倍量用いた場合に収
率が最高となるが、 触媒との組みせによっては、 酸受容
剤がこれより著しく多いまたは少ない場合でも(特別な
場合には酸受容剤を用いなくても)、反応は好収率で進
行する。また、この反応は40℃〜200℃の範囲で進
行するが、 収率の点から見て反応温度を90℃〜120
℃に設定するのが望ましい。
【0050】さらに、 上記一般式(I)のシクロブテン
ジオン誘導体は、 次に示す反応式によっても容易にかつ
収率良く合成することができる。
【0051】
【化32】
【0052】(一般式(V)中、Xはハロゲン原子、Y
は塩素原子、臭素原子、メトキシ基またはエトキシ基を
それぞれ表す。) (一般式(VI)中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表
し、C* は不斉炭素原子を表す。) (一般式(IV)中、p、E5 、D、m、n、R1 及びC
* は前記したのと同義である。なお、式中、二重結合を
有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それ
ぞれ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者の
混合物であってもよい。) (一般式(I)中、p、E5 、D、m、n、R1 及びC
* は前記したのと同義である。なお、式中、二重結合を
有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それ
ぞれ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者の
混合物であってもよい。) まず、 上記一般式(V) で表されるシクロブテンジオン誘
導体を、 N,N-ジメチルホルムアミド、 N,N-ジメチルアセ
トアミド、 N-メチルピロリドン、 ジメチルスルホキシド
等の溶媒に溶解させる。 ここに、 少過剰量の上式(V) で
表される不斉1-アミノ-2- アルコール(VI)を攪拌しなが
ら加えて反応させる。 次に、 得られた溶液中に、 上記の
シクロブテンジオン誘導体に対して少過剰量の(III) を
パラジウム錯体触媒、 酸受容剤とともに加え、 加熱して
反応させる。 ここで、 パラジウム錯体触媒の種類および
量、 酸受容剤の種類および量、 反応温度等は先に示した
ものと同様である。
【0053】さらに、上記一般式(I) に示した化合物の
うち、4級ピリジニウム塩構造を有する化合物は以下に
示すように合成することが出来る。
【0054】
【化33】
【0055】(一般式(VII)中、Xはハロゲン原子、R
2 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。) (一般式(IVa)中、m、nは前記したのと同義であ
る。なお、式中、二重結合を有する共役鎖においては、
二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、
(Z)体であっても、両者の混合物であってもよい。) (一般式(VIII) 中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
を表す。mは1又は2の整数を表し、nは0又は1乃至
3の整数を表し、lは0、1又は2の整数を表す。lが
2の場合、式中の2つのmは同じであっても異なってい
てもよい。なお、式中、二重結合を有する共役鎖におい
ては、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっ
ても、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
い。) (一般式(IX) 中、Xはハロゲン原子、R5 は炭素数1
〜4のアルキル基を表す。) (一般式(II) 中、R5 、R6 、X、m及びlは、それ
ぞれ前記したものと同義である。なお、式中、二重結合
を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、そ
れぞれ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者
の混合物であってもよい。) まず、一般式(VII) で示す化合物と一般式(VIa) で示す
化合物から一般式(VIII)で示す化合物を合成する。反応
の様式、条件等は先に示したものと同様である。
【0056】つぎに一般式(VIII)で示した化合物とアル
キルハライド(IX)および酸受容剤をN,N-ジメチルホルム
アミド、 N,N-ジメチルアセトアミド、 N-メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド等の溶媒に溶解または懸濁さ
せる。 ここで系全体を加熱して反応を進行させる。反応
終了後系がまだ熱いうちに手早く不溶物を漉過し、系を
静置すると一般式(II)で示される。シクロブテンジオン
誘導体が結晶として得られる。ここで酸受容剤として
は、 トリエチルアミン、 トリブチルアミン、 ピリジン、
1,8- ジアザ[5,4,0] ビシクロウンデセン-7、1,8- ビス
( ジメチルアミノ)ナフタレン、 炭酸カリウム、 酢酸ナ
トリウム等の、 酸受容剤として公知のものを用いること
ができる。 酸受容剤の量は上記一般式(II)で表されるシ
クロブテンジオン誘導体に対し1.2〜1.5倍量用い
た場合に収率が最高となるが、 触媒との組みせによって
は、 酸受容剤がこれより著しく多いまたは少ない場合で
も( 特別な場合には酸受容剤を用いなくても)、反応は好
収率で進行する。 また、 この反応は100℃〜200℃
の範囲で進行するが、 収率の点から見て反応温度を90
℃〜120℃に設定するのが望ましい。
【0057】このように、本発明のシクロブテンジオン
誘導体が複数結合して形成される結晶は、優れた効果を
有する非線型光学素子として用いることができる。
【0058】これらの結晶構造の詳細は明確ではない
が、本発明のシクロブテンジオン誘導体においては、シ
クロブテンジオニル基Cの好ましい態様である一般式
(2)において、シクロブテンジオニル基の2位に水素
結合可能な置換基を有するため、結晶時に該置換基を介
した水素結合により3次元的に結晶化が進行し、これに
より形成された結晶は非中心対象構造を有するようにな
ると考えられる。従って、得られたシクロブテンジオン
誘導体の結晶を含む非線形光学素子は、優れた非線形性
を発現するようになるものである。
【0059】
【実施例】以下、本発明の詳細を実施例に基づき詳述す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 〔実施例1〕1-(4-ヨードフェニル)-2-〔(r)-2-ヒドロ
キシプロピルアミノ〕- シクロブテン-3,4- ジオン(II-
1)およびスチレン(III-1) を原料とするシクロブテンジ
オン誘導体(I−1)の合成 下記構造式(II-1)で示される化合物3.58g(10 m mol) 、
スチレン(III-1)1.8g(10.5 mmol)、 テトラキス( トリフ
ェニルホスフィン) パラジウム0.116g(0.1 m mol、(II-
1) に対し1%)、酢酸ナトリウム1.23g(15 m mol) をN,N-
ジメチルホルムアミド15 ml に溶解し、100度で6 時間反
応させた。 反応終了後、 反応液を水に投入して橙色結晶
を析出させ、 ろ別した。 これをN,N-ジメチルホルムアミ
ドより再結晶して下記構造式(I−1)で示される1-1-
(4”[ 〔2 ””-(r)- ヒドロキシプロピルアミノ〕- シ
クロブテン-3””,4’’- ジオン-1’’- イル] フェニ
ル)-4-1(フェニル)-エチレン3.54gを得た。 収率は
88%であった。得られた結晶は、元素分析によると、
C:73.87%(74.60%)、H:6.50%
(6.51%)、N:6.91%(7.04%)であり
(カッコ内は理論値)、融点は285℃以上(分解を伴
う)であり、メタノール溶液の吸収極大波長(λma
x)は339.5nmであった。
【0060】
【化34】
【0061】〔実施例2〕1-(4- ブロモフェニル)-2-〔(r)-2-ヒドロキシプロピル
アミノ〕- シクロブテン-3,4- ジオン(II-1)および4-ビ
ニルアニソール(III-3) を原料とするシクロブテンジオ
ン誘導体(I−2)の合成 下記構造式(II-2)で示される化合物3.09g(10 m mol)、4-
ビニルアニソール(III-3)1.8g(10.5 m mol)、テトラキス
( トリフェニルホスフィン) パラジウム0.578g(0.5 mmo
l 、(II-1) に対し5%)、1,8-ビス( ジメチルアミノ) ナフ
タレン3.15g(15m mol) をN,N-ジメチルホルムアミド15
ml に溶解し、100度で12時間反応させた。 反応終了後、
反応液を水に投入して橙色結晶を析出させ、 ろ別した。
これをN,N-ジメチルホルムアミドより再結晶して下記構
造式(I−2)で示される1-1-(4”[ 〔2 ””-(r)- ヒ
ドロキシプロピルアミノ〕- シクロブテン-3””,4’’
-ジオン-1’’- イル] フェニル)-2-(4’’’- メトキ
シフェニル)-エチレン1.17gを得た。 収率は29%であ
った。得られた結晶は、元素分析によると、C:72.
20%(72.21%)、H:5.81%(5.82
%)、N:3.49%(3.845)であり(カッコ内
は理論値)、融点は285℃以上(分解を伴う)であ
り、メタノール溶液の吸収極大波長(λmax)は40
0.2nmであった。
【0062】
【化35】
【0063】〔実施例3〕1-(4-ブロモフェニル)-2-エトキシ- シクロブテン-3,4-
ジオン(IV-1)および4-ジメチルアミノスチレン(III-7)
を原料とするシクロブテンジオン誘導体(I-3) の合成 下記構造式で示されるシクロブテンジオン化合物3.28g
(10 m mol) をN,N-ジメチルホルムアミド15mlに溶解し、
ここに(R)-(-)-1-アミノ-2- プロパノール0.8g(10 m m
ol)を加え室温で30分間、攪拌する。 次に、 ここに4-ジ
メチルアミノフェニルスチレン 1.8g(10.5 mmol)、 酢酸
パラジウム0.0225g(0.5 m mol 、 前記シクロブテンジオ
ン化合物に対し5%)、トリス(o- トリル) ホスフィン0.12
18g(2 m mol 、 酢酸パラジウムに対し4 倍)、酢酸ナトリ
ウム1.23g(15 m mol) を加え、100度で4 時間反応させ
た。 反応終了後、 反応液を水に投入して橙色結晶を析出
させ、ろ別した。 これをN,N-ジメチルホルムアミドより
再結晶して構造式(I-3) で示される1-1-(4”[ 〔2 ””
-(r)- ヒドロキシプロピルアミノ〕- シクロブテン-
3””,4’’- ジオン-1’’- イル] フェニル)-2-1(4
’’’- ジメチルアミノフェニル)-エチレン2.98
gを得た。 収率は74%であった。得られた結晶は、元
素分析によると、C:73.33%(73.38%)、
H:6.43%(6.43%)、N:7.39%(7.
44%)であり(カッコ内は理論値)、融点は295℃
以上(分解を伴う)であり、メタノール溶液の吸収極大
波長(λmax)は420.5nmであった。
【0064】
【化36】
【0065】〔実施例4〜7〕シクロブテンジオン誘導体の合成 中間原料として下記(表1−a)及び(表1−b)に記
載の化合物(III-4〜III-7)を使用した以外は、前記
実施例1〜3と同様にして(表1−a)及び(表1−
b)に記載の目的化合物であるシクロブテンジオン誘導
体(I−4〜I−7)を合成し、融点及びメタノール中
での吸収極大波長を測定し、元素分析を行った。結果を
実施例1〜3さらに下記の実施例14[構造式(I−
8)]とともに下記(表2)に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】〔実施例8〕1−(4−ヨードフェニル)−2−〔(r)−2−ヒド
ロキシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3、4−ジオ
ン(III-1)を原料とするシクロブテンジオン誘導体
(I’)の合成 下記構造式(III-1)で示される化合物3.57 g(1
0mmol)、4−ビニルピリジン(IV−1)1.1g
(10.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホス
フィン)パラジウム0.116g(0.1mmol(II
I −1)に対し1%)、酢酸ナトリウム1.23g(1
5mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド15ml
に溶解し、100℃で4時間反応させた。
【0070】反応終了後、反応液を水に投入して褐色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して下記構造式(I’)で示される
1−〔4’−{〔2’’−(r)−ヒドロキシプロピル
アミノ〕−シクロブテン−3’’、4’’−ジオン−
1’’−イル}フェニル〕−2−(4’’’−ピリジ
ル)−エチレン2.94gを得た。収率は88%であっ
た。得られた結晶は、元素分析によると、C:71.5
6%(71.84%)、H:5.60%(5.43
%)、N:8.11%(8.38%)であり(カッコ内
は理論値)、融点は265℃〜267℃(分解を伴う)
であり、メタノール溶液の吸収極大波長(λmax)は
375.5nmであった。また、ジエン結合はトランス
型の構造を有していた。
【0071】
【化37】
【0072】〔実施例9〕1−(4−ブロモフェニル)−2−〔(r)−2−ヒド
ロキシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3,4−ジオ
ン(III −2)を原料とするシクロブテンジオン誘導体
(I’)の合成 下記構造式(III −2)で示される化合物3.10g
(10mmol)、4−ビニルピリジン(IV−1)1.
1g(10.5mmol)、テトラキス(トリフェニル
ホスフィン)パラジウム0.578g(0.5mmo
l)、(III −2)に対し5%)、1,8−ビス(ジメ
チルアミノ)ナフタレン3.21g(15mmol)を
N,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶解し、12
0℃で6時間反応させた。
【0073】反応終了後、反応液を水に投入して黄色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して下記構造式(I’)で示される
1−(4’[〔2’’−(r)−ヒドロキシプロピルア
ミノ〕−シクロブテン−3’’、4’’−ジオン−
1’’イル]フェニル)−2−(4’’’−ピリジル)
−エチレン1.07gを得た。収率は32%であった。
元素分析、融点および吸光度測定の結果から、この化合
物は実施例8の反応により得られたものと同一であると
結論された。
【0074】
【化38】
【0075】〔実施例10〕1−(4−ヨードフェニル)−2−エトキシ−シクロブ
テン−3、4−ジオン(V−1)を原料とするシクロブ
テンジオン誘導体(I’)の合成 下記構造式(V−1)で示される化合物3.28g(1
0mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド15m
lに溶解し、ここに(R)−(−)−1−アミノ−2−
プロパノール(VI−1)0.8g(10mmol)を加
え室温で30分間、攪拌する。次に、ここに4−ビニル
ピリジン(IV−1)1.1g(10.5mmol)、酢
酸パラジウム0.0225g(0.5mmol、(V−
1)に対し5%)、トリス(o−トリル)ホスフィン
0.1218g(2mmol、酢酸パラジウムに対し4
倍)、酢酸ナトリウム1.23g(15mmol)を加
え、100℃で4時間反応させた。
【0076】反応終了後、反応液を水に投入して橙色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して構造式(I’)で示される1−
(4’[〔2’’−(r)−ヒドロキシプロピルアミ
ノ〕−シクロブテン−3’’、4’’−ジオン−1’’
イル]フェニル)−2−(4’’’−ピリジル)−エチ
レン2.67gを得た。収率は80%であった。得られ
た結晶は、元素分析、融点および吸光度測定の結果か
ら、この化合物は実施例8の反応により得られたものと
同一であると結論された。
【0077】
【化39】
【0078】〔実施例11〕1−(4−ヨードフェニル)−2−ブチルアミノ−シク
ロブテン−3,4−ジオン(V−1)を原料とするシク
ロブテンジオン誘導体(VIII−1)の合成 下記構造式(V−1)で示される化合物3.28g(1
0mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド15m
lに溶解し、ここにn−ブチルアミン0.8g(10m
mol)を加え室温で30分間、攪拌する。次に、ここ
に4−ビニルピリジン(IV−1)1.1g(10.5m
mol)、酢酸パラジウム0.0225g(0.5mm
ol、(V−1)に対し5%)、トリス(o−トリル)
ホスフィン0.1218g(2mmol、酢酸パラジウ
ムに対し4倍)、酢酸ナトリウム1.23g(15mm
ol)を加え、100℃で4時間反応させた。
【0079】反応終了後、反応液を水に投入して橙色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して下記構造式(VIII−1)で示さ
れる1−4’〔2’’−ブチルアミノ−シクロブテン−
3’’,4’’−ジオン−1’’−イル〕フェニル)−
2−(4’’’−ピリジル)−エチレン2.31gを得
た。収率は70%であった。得られた結晶は、元素分析
によると、C:74.79%(75.08%)、H:
6.31%(6.06%)、N:8.20%(8.43
%)であり(カッコ内は理論値)、融点は240℃〜2
43℃(分解を伴う)であり、メタノール溶液の吸収極
大波長(λmax)は375.5nmであった。
【0080】
【化40】
【0081】〔実施例12〕1-(4-ブロモフェニル)-2-エトキシ- シクロブテン-3,4-
ジオン(V-1) を原料とするシクロブテンジオン誘導体
(VIII-1)の合成 下記構造式で示されるシクロブテンジオン化合物3.09g
(10 m mol)、4-ビニルピリジン(IV)1.1g(10.5 m mol)、
テトラキス( トリフェニルホスフィン) パラジウム0.57
8g(0.5 m mol、前記シクロブテンジオン化合物に対し5
%)、1,8-ビス( ジメチルアミノ) ナフタレン3.15g(15 m
mol) をN,N-ジメチルホルムアミド15 ml に溶解し、100
度で4 時間反応させた。 反応終了後、 反応液を水に投入
して黄色結晶を析出させ、 ろ別した。 これをN,N-ジメチ
ルホルムアミドより再結晶して上記構造式(VIII-1)で示
される1-(4’[2’’- ブチルアミノ- シクロブテン-
3’’,4’’- ジオン-1’’- イル] フェニル)-2-
(4’’’- ピリジル)-エチレン1.65 gを得た。 収率は50
% であった。 元素分析、 融点および吸光度測定の結果か
ら、 この化合物は実施例11の反応により得られたもの
と同一であると結論された。
【0082】
【化41】
【0083】〔実施例13〕1−4’〔2’’−ブチルアミノ−シクロブテン−
3’’,4’’−ジオン−1’’−イル〕フェニル)−
2−(4’’’−ピリジル)−エチレン(VIII -1)を
原料とするシクロブテンジオン誘導体(II−13)の合成 下記構造式(VIII−1)で示される化合物3.30g
(10mmol)を、N−メチルピロリドン5mlに溶
解し、ここにN−ブチルブロミド1.64g(12mm
ol)を加え120℃で4時間反応させた。
【0084】反応終了後、反応液を水に投入して橙色針
状結晶を析出させ、ろ別した。これをメタノールより再
結晶して構造式(II−13)で示される1−4’〔2’’
−ブチルアミノ−シクロブテン−3’’,4’’−ジオ
ン−1’’−イル〕フェニル)−2−(4’’’−N−
ブチルピリジルニウム)−エチレンブロミド4.22g
を得た。収率は90%であった。得られた結晶は、元素
分析によると、C:63.56%(63.97%)、
H:6.52%(6.23%)、N:5.90%(5.
97%)、Br:16.58%(17.02%)であり
(カッコ内は理論値)、融点は265℃〜267℃(分
解を伴う)であり、メタノール溶液の吸収極大波長(λ
max)は370.8nmであった。
【0085】
【化42】
【0086】〔実施例14〕1−(4−ヨードフェニル)−2−〔(r)−2−ヒド
ロキシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3、4−ジオ
ン(II−1)を原料とするシクロブテンジオン誘導体
(I−8)の合成 下記構造式(II−1)で示される化合物3.58g(1
0mmol)、1−(4’−ジメチルアミノフェニル)
ブタジエン(III-1) 1.8g(10.5mmol)、
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.
116g(0.1mmol(II−1)に対し1%)、酢
酸ナトリウム1.23g(15mmol)をN,N−ジ
メチルホルムアミド15mlに溶解し、100℃で6時
間反応させた。
【0087】反応終了後、反応液を水に投入して橙色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して下記構造式(I−8)で示され
る1−〔4’−{2’’−〔2’’’−(r)−ヒドロ
キシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3’’、4’’
−ジオン−1’’−イル}フェニル〕−4−
(4’’’’−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブ
タジエン3.54gを得た。収率は88%であった。得
られた結晶は、元素分析によると、C:73.87%
(74.60%)、H:6.50%(6.51%)、
N:6.91%(7.04%)であり(カッコ内は理論
値)、融点は285℃以上(分解を伴う)であり、メタ
ノール溶液の吸収極大波長(λmax)は439.5n
mであった。また、赤外吸収スペクトルによると、この
化合物は970cm-1付近に強い吸収を示す一方、66
0−730cm-1付近の吸収は弱いことから、ジエン結
合はトランス−トランス型の構造を有していることがわ
かった。
【0088】
【化43】
【0089】〔実施例15〕1−(4−ブロモフェニル)−2−〔(r)−2−ヒド
ロキシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3,4−ジオ
ン(II−2)を原料とするシクロブテンジオン誘導体
(I−8)の合成 下記構造式(II−2)で示される化合物3.09g(1
0mmol)、1−(4’−ジメチルアミノフェニル)
ブタジエン(III-1) 1.8g(10.5mmol)、
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.
578g(0.5mmol)、(II−1)に対し5
%)、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン3.
15g(15mmol)をN,N−ジメチルホルムアミ
ド15mlに溶解し、100℃で12時間反応させた。
【0090】反応終了後、反応液を水に投入して橙色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して下記構造式(I−8)で示され
る1−〔4’−{2’’−〔2’’’−(r)−ヒドロ
キシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3’’、4’’
−ジオン−1’’−イル}フェニル〕−4−
(4’’’’−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブ
タジエン1.17gを得た。収率は29%であった。元
素分析、融点および吸光度測定の結果から、この化合物
は実施例14の反応により得られたものと同一であると
結論された。
【0091】
【化44】
【0092】〔実施例16〕1−(4−ヨードフェニル)−2−エトキシ−シクロブ
テン−3、4−ジオン(IV−1)を原料とするシクロ
ブテンジオン誘導体(I−8)の合成 下記構造式(IV−1)で示される化合物3.28g
(10mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド1
5mlに溶解し、ここに(R)−(−)−1−アミノ−
2−プロパノール(V−1)0.8g(10mmol)
を加え室温で30分間、攪拌する。次に、ここに1−
(4’−ジメチルアミノフェニル)ブタジエン(III-
1)1.8g(10.5mmol)、酢酸パラジウム
0.0225g(0.5mmol、(IV−1)に対し5
%)、トリス(o−トリル)ホスフィン0.1218g
(2mmol、酢酸パラジウムに対し4倍)、酢酸ナト
リウム1.23g(15mmol)を加え、100℃で
4時間反応させた。
【0093】反応終了後、反応液を水に投入して橙色結
晶を析出させ、ろ別した。これをN,N−ジメチルホル
ムアミドより再結晶して構造式(I−8)で示される1
−〔4’−{2’’−〔2’’’−(r)−ヒドロキシ
プロピルアミノ〕−シクロブテン−3’’、4’’−ジ
オン−1’’−イル}フェニル〕−4−(4’’’’−
ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエン2.9
8gを得た。収率は74%であった。得られた結晶は、
元素分析、融点および吸光度測定の結果から、この化合
物は実施例14の反応により得られたものと同一である
と結論された。
【0094】
【化45】
【0095】〔実施例17〕2次の超分子分極率βの測定 実施例14で合成した1−[4’−{2’’−
〔2’’’−(r)−ヒドロキシプルピルアミノ〕−シ
クロブテン−3’’’、4’’−ジオン−1’’−イ
ル}フェニル]−4−(4’’’’−ジメチルアミノフ
ェニル)−1、3−ブタジエン〔構造式(I−8)〕の
2次の超分子分極率βを測定した。ここで、測定法とし
ては、K.クレイ(Cray)及びA.パーソンズ(P
ersons)らの提案によるHyper−Rayle
igh散乱法〔フィジカル レビュー レターズ(Ph
ys.Rev.Lett.),66,2980(199
1年)〕を用いてメタノール中で測定を行った。得られ
たβの値は1700×10-30 esuであった。一方、
比較試料として公知の有機非線型光学材料であるp−ニ
トロアニリンおよび1−(4−ジメチルアミノフェニ
ル)−2−〔2−(r)−ヒドロキシプロピルアミノ〕
−シクロブテン−3、4−ジオン[前記一般式(VI)に
おいてD1 が−N(CH3 2 であるシクロブテンジオ
ン誘導体]([ 構造式(VII-1)])を用いて同様な測定を
行ったときのβの値はそれぞれ35×10-30 esu及
び140×10-30 esuであった。 〔実施例18〕2次の超分子分極率βの測定 実施例8で合成した1-(4’[ 〔2 ’’-(r)- ヒドロキシ
プロピルアミノ〕- シクロブテン-3’’,4’’- ジオン
-1’’- イル] フェニル)-4-1(4 ’’’- ピリジル)-エ
チレン(構造式(I’)〕の2次の超分子分極率βを実
施例17と同様の方法で測定した。 得られたβの値は5
00×10-30 esuであった。
【0096】〔実施例19〕2次の超分子分極率βの測定 実施例13で合成した1-(4’[2’’- ブチルアミノ- シ
クロブテン-3’’,4’’- ジオン-1’’- イル] フェニ
ル)-2-(4’’’-N- ブチルピリジニウム)-エチレンブロ
ミド〔構造式(I−13)〕の2次の超分子分極率βを、
実施例17と同様の方法で測定した。 得られたβの値は
470×10-30 esuであった。 〔実施例20〜24〕2次の超分子分極率βの測定 実施例4〜7で合成した化合物について、 実施例17と
同様にして2次の超分子分極率βを測定した。 結果は実
施例1〜3及び14のシクロブテンジオン誘導体の測定
値とともに下記(表3)に示す。 〔実施例25〕光非線形性(SHG活性)の測定 実施例14で合成した1−〔4’−{2’’−
〔2’’’−(r)−ヒドロキシプロピルアミノ〕−シ
クロブテン−3’’、4’’−ジオン−1’’−イル}
フェニル〕−4−(4’’’’−ジメチルアミノフェニ
ル)−1,3−ブタジエン[構造式(I−8)]の粉末
をガラスセル中に充填し、これをNdドープYAGレー
ザー(波長1.064μm、出力180mJ/パルス)
を照射すると、レーザーの第二高調波である532nm
の緑色錯乱光を発生した。その強度は、試料として尿素
粉末を用いて同様の測定を行ったときの強度の約30倍
であった。 〔実施例26〕光非線形性(SHG活性)の測定 実施例8で合成した1−〔4’−{〔2’’−(r)−
ヒドロキシプロピルアミノ〕−シクロブテン−3’’、
4’’−ジオン−1’’−イル}フェニル〕−2−
(4’’’−ピリジル)−エチレン〔構造式(I’)〕
の粉末をガラスセル中に充填し、 これに実施例25と同
様の条件でレーザを照射すると、 レーザの第二高調波で
ある532nmの緑色散乱光を発生した。 その強度は、
試料として尿素粉末を用いて同様の測定を行ったときの
強度の約30倍であった。 〔実施例27〕光非線形性(SHG活性)の測定 実施例13で合成した1-(4’[2’’- ブチルアミノ- シ
クロブテン-3’’,4’’- ジオン-1’’- イル] フェニ
ル)-2-(4’’’-N- ブチルピリジニウム)-エチレンブロ
ミド[ 構造式(I−13)] の粉末をガラスセル中に充填
し、 これに実施例25と同様の条件でレーザを照射する
と、 レーザの第二高調波である532nmの緑色散乱光
を発生した。 その強度は、 試料として尿素粉末を用いて
同様の測定を行ったときの強度の約25倍であった。 〔実施例28〜31〕光非線形性(SHG活性)の測定 実施例4〜7で合成したシクロブテンジオン誘導体につ
いて、実施例25と同様にして試料の非線型性を測定し
た。結果を実施例1〜3及び14のシクロブテンジオン
誘導体の測定値とともに下記表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】上記(表3)からわかるように、本発明の
シクロブテンジオン誘導体はいずれも高い2次の超分子
分極率β及び非線型性(SHG活性)を示し、有機非線
形光学材料として有用であった。なかでも、Dの置換基
として−N(CH3 2 を有する(I−3)及び(I−
8)の化合物が有機非線形光学材料として極めて優れた
特性を有することが確認された。
【0099】前記の結果より明らかな如く、本発明に係
る各実施例のシクロブテンジオン誘導体は、対照とされ
た公知の有機非線形光学材料に比較して、いずれも高い
2次の超分子分極率β及び非線型性(SHG活性)を示
し、有機非線形光学材料として有用であることが確認さ
れた。
【0100】なお、図1は光非線形性(SHG活性)の
測定に使用した光学系のブロック図であり、Ndドープ
YAGレーザー11より波長1.064μmの光を試料
12に照射し、試料12から発生する波長532nmの
緑色錯乱光は、レンズ13、フィルター14及びモノク
ロームメーター15を介して光電子倍増管16に導入
し、ボックスカラーインテグレーター17によって緑色
錯乱光の強度を測定し、結果をオシロスコープ18に表
示する。
【0101】
【発明の効果】本発明は、 上記の構成を採用することに
より、 大きな非線形光学効果を有し、化学的・ 熱的安定
性、 加工性及び透明性が優れた実用的な有機非線形光学
素子に適した新規な化学物質であるシクロブテンジオン
誘導体及び、 その簡易な製造方法さらには、その物質を
用いた非線形光学素子の提供を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料の光非線形性(SHG活性)を測定するた
めの光学系のブロック図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 7:00

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換又は無置換の芳香族原子団Aと、芳
    香族性結合基を含んでいてもよい共役鎖Bと、該共役鎖
    Bと結合する芳香族性原子団を有する水素結合性又はイ
    オン結合性のシクロブテンジオニル基Cと、がA−B−
    Cの形で結合してなるシクロブテンジオン誘導体。
  2. 【請求項2】 前記置換又は無置換の芳香族原子団A
    が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求
    項1記載のシクロブテンジオン誘導体。 【化1】 (式中、E1 〜E5 はそれぞれ窒素原子又は置換基を有
    していてもよい炭素原子を表し、E1 〜E5 のうち少な
    くとも2つは炭素原子である。隣接するE1 及びE2
    はE3 及びE4 が置換基を有する炭素原子である場合、
    置換基同士が連結して環を形成していてもよい。pは1
    又は0を表す。E5 が炭素原子のときpは1であり、D
    はハメットの置換基定数δ0 R が0又は負である置換基
    を表し、E5 が窒素原子のときpは0又は1であり、p
    が1のときDは置換基を有していてもよいアルキル基を
    表す。このとき、E5 の窒素原子は正の電荷を帯びるた
    め、ここに適当な負の電荷を有するイオンが対イオンと
    して存在する。)
  3. 【請求項3】 前記芳香族性結合基を含んでいてもよい
    共役鎖Bが、下記一般式からなる群より選ばれる分子構
    造の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記
    載のシクロブテンジオン誘導体。 【化2】 (式中、m、n及びlは共役鎖の結合単位数を表す。な
    お、式中、二重結合を有する共役鎖においては、二重結
    合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、(Z)
    体であっても、両者の混合物であってもよい。)
  4. 【請求項4】 前記共役鎖Bと結合する芳香族性原子団
    を有する水素結合性又はイオン結合性のシクロブテンジ
    オニル基Cが、下記一般式(2)で表されることを特徴
    とする請求項1記載のシクロブテンジオン誘導体。 【化3】 (一般式(2)中、Rは下記式で表される基を表す。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
    表し、C* は不斉炭素原子を表す。)
  5. 【請求項5】 下記一般式(I)で表されるシクロブテ
    ンジオン誘導体。 【化4】 (一般式(I)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素原
    子又は窒素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1を
    表し、Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を
    表し、E5 が窒素原子のときpは0を表す。Rは下記式
    で表される基を表し、mは1又は2の整数を表し、nは
    0又は1乃至3の整数を表し、lは0、1又は2の整数
    を表す。lが2の場合、式中の2つのmは同じであって
    も異なっていてもよい。なお、式中、二重結合を有する
    共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それぞれ
    (E)体であっても、(Z)体であっても、両者の混合
    物であってもよい。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
    表し、C* は不斉炭素原子を表す。)
  6. 【請求項6】 下記一般式(Ia)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体。 【化5】 (一般式(Ia)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素
    原子又は窒素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1
    を表し、Dは水素原子、−OR2 、−NR3 4 又はハ
    ロゲン原子を表す。ここで、R2 、R3 、R4 はそれぞ
    れ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表
    す。E5 が窒素原子のときpは0を表す。Rは下記式で
    表される基を表し、mは1又は2の整数を表し、nは0
    又は1乃至3の整数を表し、lは0、1又は2の整数を
    表す。lが2の場合、式中の2つのmは同じであっても
    異なっていてもよい。なお、式中、二重結合を有する共
    役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それぞれ
    (E)体であっても、(Z)体であっても、両者の混合
    物であってもよい。) (置換基Rの式中、C* は不斉炭素原子を表す。)
  7. 【請求項7】 下記一般式(II)で表されるシクロブテ
    ンジオン誘導体。 【化6】 (一般式(II)中、R5 、R6 はそれぞれ独立に炭素数
    1〜4のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
    mは1又は2の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数
    を表し、lは0、1又は2の整数を表す。lが2の場
    合、式中の2つのmは同じであっても異なっていてもよ
    い。なお、式中、二重結合を有する共役鎖においては、
    二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、
    (Z)体であっても、両者の混合物であってもよい。)
  8. 【請求項8】 下記式で表されるシクロブテンジオン誘
    導体。 【化7】 (式中、D1 は、−H、−OCH3 、−N(C
    3 2 、−NH2 、−Cl、−F又は−Brを表し、
    * は不斉炭素原子を表す。なお、式中、二重結合を有
    する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それぞ
    れ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者の混
    合物であってもよい。)
  9. 【請求項9】 下記式で表されるシクロブテンジオン誘
    導体。 【化8】 (式中、C* は不斉炭素原子を表す。なお、式中、二重
    結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置
    は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であって
    も、両者の混合物であってもよい。)
  10. 【請求項10】 下記式で表されるシクロブテンジオン
    誘導体。 【化9】 (式中、C* は不斉炭素原子を表す。mは1又は2の整
    数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは0、
    1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つのm
    は同じであっても異なっていてもよい。なお、式中、二
    重結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置
    は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であって
    も、両者の混合物であってもよい。)
  11. 【請求項11】 下記式で表されるシクロブテンジオン
    誘導体。 【化10】 (式中、C* は不斉炭素原子を表す。なお、式中、二重
    結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置
    は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であって
    も、両者の混合物であってもよい。)
  12. 【請求項12】 下記一般式(III)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体と、下記一般式(IV)で表される化合
    物とを反応させることを特徴とする請求項5記載の一般
    式(I)で表されるシクロブテンジオン誘導体の製造方
    法。 【化11】 (一般式(III)中、Xはハロゲン原子を表し、R1 は炭
    素数1〜4のアルキル基を表し、C* は不斉炭素原子を
    表す。) (式(IV)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素原子又
    は窒素原子を表し、E 5 が炭素原子のときpは1を表
    し、Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を表
    し、E5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は2
    の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは
    0、1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つ
    のmは同じであっても異なっていてもよい。なお、式
    中、二重結合を有する共役鎖においては、二重結合の幾
    何配置は、それぞれ(E)体であっても、(Z)体であ
    っても、両者の混合物であってもよい。) (一般式(I)中、pは1又は0を表す。E5 は炭素原
    子又は窒素原子を表し、E5 が炭素原子のときpは1を
    表し、Dは置換基定数δ0 R が0又は負である置換基を
    表し、E5 が窒素原子のときpは0を表す。mは1又は
    2の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数を表し、l
    は0、1又は2の整数を表す。lが2の場合、式中の2
    つのmは同じであっても異なっていてもよい。R1 は炭
    素数1〜4のアルキル基を表し、C* は不斉炭素原子を
    表す。なお、式中、二重結合を有する共役鎖において
    は、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であって
    も、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
    い。)
  13. 【請求項13】 下記一般式(V)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体と、下記一般式(VI)で表される不斉ア
    ミノアルコールを反応させた後に、下記一般式(IV)で
    表される化合物を反応させることを特徴とする請求項5
    記載の一般式(I)で表されるシクロブテンジオン誘導
    体の製造方法。 【化12】 (一般式(V)中、Xはハロゲン原子、Yは塩素原子、
    臭素原子、メトキシ基またはエトキシ基をそれぞれ表
    す。) (式(VI)中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    * は不斉炭素原子を表す。) (一般式(IV)中、p、E5 、D、m、n、R1 及びC
    * は前記したのと同義である。なお、式中、二重結合を
    有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それ
    ぞれ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者の
    混合物であってもよい。)
  14. 【請求項14】 下記一般式(VII)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体と、下記一般式(IVa)で表されるピ
    リジン誘導体を反応させて得た一般式(VIII)で表される
    生成物を、下記一般式(IX)で表されるアルキルハライ
    ドと反応させることを特徴とする請求項7記載の一般式
    (II)で表されるシクロブテンジオン誘導体の製造方
    法。 【化13】 (一般式(VII)中、Xはハロゲン原子、R2 は炭素数1
    〜4のアルキル基を表す。) (一般式(IVa)中、m、nは前記したのと同義であ
    る。なお、式中、二重結合を有する共役鎖においては、
    二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、
    (Z)体であっても、両者の混合物であってもよい。) (一般式(VIII) 中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
    を表す。mは1又は2の整数を表し、nは0又は1乃至
    3の整数を表し、lは0、1又は2の整数を表す。lが
    2の場合、式中の2つのmは同じであっても異なってい
    てもよい。なお、式中、二重結合を有する共役鎖におい
    ては、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっ
    ても、(Z)体であっても、両者の混合物であってもよ
    い。) (一般式(IX) 中、Xはハロゲン原子、R3 は炭素数1
    〜4のアルキル基を表す。) (一般式(II) 中、R5 、R6 はそれぞれ独立に炭素数
    1〜4のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
    mは1又は2の整数を表し、nは0又は1乃至3の整数
    を表し、lは0、1又は2の整数を表す。lが2の場
    合、式中の2つのmは同じであっても異なっていてもよ
    い。なお、式中、二重結合を有する共役鎖においては、
    二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体であっても、
    (Z)体であっても、両者の混合物であってもよい。)
  15. 【請求項15】 下記一般式(I)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体が複数結合してなる非線形光学素子。 【化14】 (一般式(I)中、Rは下記式で表される基を表し、p
    は1又は0を表す。E 5 は炭素原子又は窒素原子を表
    し、E5 が炭素原子のときpは1を表し、Dは置換基定
    数δ0 R が0又は負である置換基を表し、E5 が窒素原
    子のときpは0を表す。mは1又は2の整数を表し、n
    は0又は1乃至3の整数を表し、lは0、1又は2の整
    数を表す。lが2の場合、式中の2つのmは同じであっ
    ても異なっていてもよい。なお、式中、二重結合を有す
    る共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、それぞれ
    (E)体であっても、(Z)体であっても、両者の混合
    物であってもよい。) (置換基Rの式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を
    表し、C* は不斉炭素原子を表す。)
  16. 【請求項16】 下記一般式(II)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体が複数結合してなる非線形光学素子。 【化15】 (式中、R5 、R6 は炭素数1〜4のアルキル基を表
    し、Xはハロゲン原子を表す。mは1又は2の整数を表
    し、nは0又は1乃至3の整数を表し、lは0、1又は
    2の整数を表す。lが2の場合、式中の2つのmは同じ
    であっても異なっていてもよい。なお、式中、二重結合
    を有する共役鎖においては、二重結合の幾何配置は、そ
    れぞれ(E)体であっても、(Z)体であっても、両者
    の混合物であってもよい。)
  17. 【請求項17】 下記一般式(X)で表される化合物に
    おいて、シクロブテンジオニル基の2位に水素結合可能
    な置換基を有し、該置換基を介した水素結合により形成
    された非中心対象構造を有する結晶を含むことを特徴と
    する非線形光学素子。 【化16】 (式中、Zは水素結合可能な置換基を表し、pは1又は
    0を表す。E5 は炭素原子又は窒素原子を表し、E5
    炭素原子のときpは1を表し、Dは置換基定数δ0 R
    0又は負である置換基を表し、E5 が窒素原子のときp
    は0を表す。mは1又は2の整数を表し、nは0又は1
    乃至3の整数を表し、lは0、1又は2の整数を表す。
    lが2の場合、式中の2つのmは同じであっても異なっ
    ていてもよい。なお、式中、二重結合を有する共役鎖に
    おいては、二重結合の幾何配置は、それぞれ(E)体で
    あっても、(Z)体であっても、両者の混合物であって
    もよい。)
  18. 【請求項18】 前記一般式(I)で表されるシクロブ
    テンジオン誘導体が複数結合してなる、分子超分極率
    (β)が20×10-30 esu以上であることを特徴と
    する請求項13記載の非線形光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022244431A1 (ja) * 2021-05-20 2022-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 非線形光吸収材料、記録媒体、情報の記録方法及び情報の読出方法
WO2023223693A1 (ja) * 2022-05-17 2023-11-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 記録媒体、情報の記録方法及び情報の読出方法

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