JPH0913672A - Frp緊張材、その定着方法及び定着具 - Google Patents

Frp緊張材、その定着方法及び定着具

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JPH0913672A
JPH0913672A JP16873895A JP16873895A JPH0913672A JP H0913672 A JPH0913672 A JP H0913672A JP 16873895 A JP16873895 A JP 16873895A JP 16873895 A JP16873895 A JP 16873895A JP H0913672 A JPH0913672 A JP H0913672A
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tension
frp
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sleeve
wedge
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JP16873895A
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English (en)
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Katsuhiko Kanamori
勝彦 金守
Haruo Inukai
晴雄 犬飼
Kaoru Kuroyama
薫 黒山
Kensuke Taniki
謙介 谷木
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Mitsubishi Chemical Corp
PS Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
PS Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ロッド状FRP緊張材1を均等な締付力で掴か
み、FRP線材1にせん断による破断が生じない定着具
を提供する。 【解決手段】ロッド状FRP緊張材の外径に対して公差
0.1mm以下の内径をもつ純アルミニウム材からなる
被覆筒2と、クロムモリブデン鋼製でロックウェル硬度
RC=30〜36の焼入した、長さがFRP緊張材外径
の10〜15倍の同材質の楔3及びスリーブ4と、楔3
の外周面を被覆するフッ素樹脂シート8とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプレストレストコンクリ
ートのプレストレス導入、又は斜張橋の斜材ケーブル、
グランドアンカーなどに使用されるFRP緊張材、その
定着方法及び定着具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来プレストレストコンクリートに使用
される緊張材としては、PC鋼線、PC鋼より線、PC
鋼棒などの金属材料が使用されてきたが、耐腐食性、軽
量、非磁性など優れた性状を持った炭素繊維、アラミド
繊維、ガラス繊維などの繊維材を合成樹脂でバインドし
たFRP緊張材が使用されるようになってきた。FRP
緊張材は高い抗張力を有するものの、緊張材軸に直角な
方向のせん断耐力が抗張力に比較して極端に小さく、緊
張材に与えた緊張力をどのように掴持定着するかが課題
となっていた。
【0003】この課題を解決するために種々の提案がな
されているが、何れも一長一短があり全面的な解決に至
っていない。例えば実開平3−22318号公報ではF
RP緊張材の表面に金属線材を螺旋状に巻き付けて緩衝
材としている。この場合、緩衝材の金属線材が局部的に
FRP緊張材の表面に食い込むことのないように考慮す
る必要がある。又、実開平4−62713号公報ではF
RP緊張材に金属筒体を圧着して被覆し楔で定着しよう
とするものであるが、金属筒体の材質・硬度が適切でな
いとFRP緊張材となじみ難いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はFRP緊張材
の緊張に当って、楔による定着方式であって、均等な締
付力でFRP緊張材を掴持すると共に、緊張材軸に直角
な方向のせん断による破断が生じないFRP緊張材、そ
の定着方法及び定着具を提供することを目的とするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために開発されたもので、対象部材に緊張定着す
べき定着長さを有するロッド状のFRP材の端部に純ア
ルミニウム材からなる被覆筒を嵌装固定して構成したこ
とを特徴とするFRP緊張材を提供する。このFRP緊
張材は、前記被覆筒が前記FRP材の外径に対して公差
が0.1mm以下の内径をもつ純アルミニウム材を、前
記FRP材の外周に加力縮径圧着固定した筒体とすれば
好適である。
【0006】また、本発明方法は、上記のFRP緊張材
を用い、前記被覆筒の外周に楔・スリーブを嵌着し一端
を固定端とし他端を緊張端として該FRP緊張材を定着
することを特徴とするFRP緊張材の定着方法である。
また、上記FRP緊張材を緊張端側からシース内に挿入
し、その緊張端に定着具を取付け、該緊張端をシース内
に押し込んで固定端を固定端側に突出させ、固定端に定
着具を取付け、ついで、緊張端側から牽引して緊張端外
部に緊張端を露出させ、ジャッキで緊張し、スリーブの
雄ねじに螺合するナットを定着板に当接させ定着するこ
とを特徴とするFRP緊張材の定着方法を提供する。こ
の時、緊張代の大きい条件のもとで使用する緊張材で
は、緊張端側の定着具にテンションロッドを取付けてお
き、緊張端外部に緊張端を露出させることなく、テンシ
ョンロッドをジャッキで緊張することとすればよい。
【0007】本発明を好適に実施するための定着具は、
長さがFRP緊張材の外径の10〜15倍でロックウェ
ル硬度HRCが30〜36の焼き入れをしたクロムモリブ
デン鋼製の楔と、この楔の外周面を被覆するフッ素樹脂
シートと、前記楔と同材質で該楔が内部に嵌入し外周に
雄ねじを設けたスリーブと、このスリーブの外周のねじ
に螺合し定着板に当接する定着ナットとを備えたことを
特徴とするFRP緊張材の定着具を用いるとよい。又こ
の場合に、上記緊張代の大きい条件のもとで使用する定
着具では、このスリーブに代わり、連結ロッドを螺入す
る雌ねじを備えた緊張側のスリーブを用いる。この場合
連結ロッドは、スリーブに螺合するねじの先端部に楔を
押圧するリング状の突起を設けておき、楔が抜け出すの
を防止する。
【0008】
【作用】本発明は、FRP緊張材の表面と楔内面との間
に適切な緩衝材を挟設することとしその材質・性状を選
定吟味するために、種々のサイズの試験体を作成し、テ
ストを重ねた結果、次の(イ)、(ロ)の知見を得て完
成するに至ったものである。 (イ)FRP緊張材の外周に純アルミニウム材からなる
被覆筒を嵌装固定し、この被覆筒の外周を楔で掴持する
と、確実一様な力で掴持することができ、FRP緊張材
に適切な緊張力を付与したときに、FRP緊張材に局部
的な余分のせん断力を与えないので、適切に最も効率よ
く定着することができる。 (ロ)定着具は、FRP緊張材を均一な掴持力でつか
み、FRP緊張材の掴持部に損傷を与えることなく、F
RP緊張材に所要の緊張力を確実に与えて定着する材
質、寸法を選定する。この定着具は、クロムモリブデン
鋼(SCM435相当品)でロックウェル硬度HRC30
〜36で焼き入れされている楔と、楔の外表面に被覆さ
れているフッ素樹脂シートと、内面に減摩剤のデフリッ
クコート(モリブデン系)が施されている楔と同材質の
スリーブとから構成されている定着具であって、楔の長
さがFRP緊張材外径の10〜15倍のものを用いると
よい。
【0009】本発明は上記(イ)、(ロ)の知見に基づ
くものである。以下その作用を詳細に説明する。楔はF
RP緊張材を一様に包み込むことが必要である。楔とF
RP緊張材とが直接接触すると、FRP緊張材が傷つ
き、変形し、強度が著しく低下する。そこで、FRP緊
張材に外嵌する被覆筒を用いることとした。
【0010】本発明の被覆筒は、適度の柔らかさと適度
の強度を有することが必要である。すなわち、FRP緊
張材の外周面によくなじみ、均一な圧縮力で縮径圧着さ
れること、楔内面とFRP緊張材間のFRP緊張材長手
方向の摩擦保持力及びせん断耐力が確保される材料であ
ること、FRP材のせん断耐力を超える不当掴持力を発
生しないこと、及び応力緩和や経時変化を生じない材
質、形状、寸法であることが必要である。このような被
覆筒として材質が純アルミニウム材(AA1050相当
品)からなり、微少隙間でFRP緊張材に外嵌する薄肉
パイプ状の被覆筒が選定された。他の材質、形状では、
これらの特性をすべて同時に満足することはできず、例
えば、硬度が大きいと、なじみ性、変形性が乏しく、又
はなじみ性や変形性に過度に富む材料ではせん断耐力が
不足するので、これらの要求にすべて合致することはで
きない。
【0011】純アルミニウム材からなる被覆筒は、FR
P緊張材に外嵌させるために、その内径をFRP緊張材
の外径(最大外径)よりも大きくする。その内外径の差
は公差が0.1mm以下とする。公差が0.1mmを超
えると圧縮して縮径させるのに過大な締付力を要し、か
つ均一圧着を達成することが容易でない。公差は小さい
ほど好ましいが、被覆筒をFRP緊張材に容易に外嵌さ
せることができるものでなければならない。被覆筒の肉
厚は適切な圧縮力で均一な掴持力を得るため、薄い方が
よいが、一方、製造面、変形防止などの観点から制約さ
れる。直径8〜10mmφのFRP緊張材に対してアル
ミニウム材からなる被覆筒は肉厚0.5〜1.2mmが
好ましい。
【0012】本発明の定着具を構造物に定着するに先立
ち、圧着治具を用いてアルミニウム被覆筒をFRP緊張
材に圧着しておく。場合によっては、先にFRP緊張
材、被覆筒、楔、スリーブを組立てておいて、楔をスリ
ーブに圧入して、FRP緊張材、被覆筒、楔及びスリー
ブを同時に一体化することとしてもよい。このようにす
ることによって、楔でFRP緊張材を確実で一様な力で
掴持し、構造物に適切な緊張力を付与し定着することが
できる。
【0013】本発明の定着具は、楔及びスリーブの材質
をクロムモリブデン鋼(SCM435)とし、ロックウ
エル硬度HRCが30〜36で焼き入れされたものとし、
長さはFRP緊張材外径の10〜15倍のものに限定す
る。クロムモリブデン鋼SCM435は、焼き入れが容
易で変形が少なく、剛性が大きいので、アルミニウム被
覆筒をFRP緊張材の外周面に均一な圧着力で圧着する
のに適切である。焼き入れは、ロックウエル硬度HRC
30〜36となるようにする。ロックウエル硬度HRC
0未満では焼き入れ不足のため十分な硬度と剛性を確保
することが困難であり、HRC36を超えると、硬度が大
きすぎて加工が困難となる。
【0014】又、適切な掴持力を得るためには長さはF
RP緊張材外径の10〜15倍とする必要がある。10
倍未満では掴持力が不十分となり、15倍を超えると、
掴持力は十分となるが、大型化し、これを回避しようと
すると楔の勾配が不適当になるので限定される。楔とス
リーブに上記材質を用いたので、楔とスリーブとを直接
テーパ接触させると接触面に焼き付き(いわゆるかじ
り)を生じて、円滑な楔のスリーブ内への滑り込みを阻
害するので、楔の外表面にフッ素樹脂シートを被覆して
滑り特性を確保し、楔力が適切に作用するようにする。
さらにスリーブの内面に減摩剤をコーティングし、滑り
をよくする。フッ素樹脂シートは摩擦抵抗が小さく、べ
とつかず、滑り材に適している。厚さ0.05〜0.1
mmのものが適切である。
【0015】
【実施例】図2に実施例のFRP緊張材1を、図1にそ
の端部を示した。丁度定着長さに切断されたロッド状の
FRP材1aの端部に純アルミニウム材からなる被覆筒
2を取付けてある。このFRP緊張材1は、例えばカー
ボン繊維からなる公称直径φ7.9mmのFRP緊張材
(リードライン:三菱化学商品名)(引張強度15t
f)で、被覆筒2は引張り強度7〜11kgf/mm
2 、伸び30〜45%、せん断強度4〜7kgf/mm
2 のものを用いた。被覆筒2はFRP材1aの外径に対
して公差が0.1mm以下の内径をもつ純アルミニウム
材をFRP材1aの外周に加力縮径圧着固定してあるも
のである。
【0016】図3〜図6は上記実施例のFRP緊張材1
を、ポストテンション方式でコンクリート構造物(例え
ばPC桁)に緊張定着する工程図と、定着状態の詳細縦
断面図である。図6は定着完了した状態を示している。
対象とするFRP緊張材1には、上記公称直径φ7.9
mmのリードライン(三菱化学商品名)を用いた。この
FRP緊張材1は、外径φ10.0mm×内径φ8.0
mm×厚さ1.0mmのアルミニウム引抜管からなる被
覆筒2を外嵌して、FRP緊張材1の外周面に圧着して
いる。楔3は、SCM435からなり、ロックウエル硬
度HRC30〜36に焼き入れしたもので、長さ110m
m(緊張材外径の13.75倍)のものを用いた。楔の
外面に0.1mm厚さのフッ素樹脂シート(商品名:テ
フロン)8が被覆されている。楔3は同じ材質、すなわ
ちSCM435、ロックウエル硬度HRC30〜36に焼
き入れ処理した外ねじを有するスリーブ4内に押込まれ
ている。スリーブ4はナット5をねじ込んで支圧板7に
定着されている。すなわち、コンクリート構造物50に
接する支圧板7にワッシャ6を介して、ナット5を締め
付け、定着部を形成している。図6において、51はコ
ンクリート構造物50内に埋め込まれたシースを示して
いる。
【0017】この定着具の緊張定着方法は次のとおりで
ある。FRP緊張材1は両端外表面にアルミニウム製の
被覆筒2を嵌装してあり、被覆筒2は圧着治具を用いて
FRP緊張材1に圧着されている。図3〜図5にしたが
って、実構造物における緊張定着の方法を説明する。図
3は、コンクリート構造物50を貫通したFRP緊張材
1の一端に取り付けた定着体を示している。FRP緊張
材1に楔3を装着する。楔3は断面円周方向で2分割さ
れているがテフロンシート8で包装し、一体にしておく
と取り扱いが容易である(図6参照)。スリーブ4の内
面に減摩剤のデフリックコート(モリブデン系)を施し
ておき、楔3をスリーブ4内に挿入する。次にリテーナ
を兼ねる圧入駒15を内挿した、一端にスリーブに螺嵌
可能な内ねじと他端のテンションバーに螺嵌可能な内ね
じを有するテンションカプラを兼ねる保持筒9をスリー
ブ4に螺嵌し、圧入駒15が楔3の頭部に当たるまで締
め付ける。
【0018】次に図4に緊張の準備段階を示すように、
中空形緊張ジャッキ13にテンションバー12を挿通
し、テンションバー12の先端をテンションカプラを兼
ねる保持筒9にねじ込み、ジャッキ13を取り付ける。
ジャッキ13の作動流体のホースは図示省略してある。
図5は、中空形緊張ジャッキ13を作動させ、FRP緊
張材1に緊張力を付与し、スリーブ4に外嵌するナット
5を締め付けてワッシャ6、支圧板7に定着したことを
示す図である。図6は、定着が完了し、中空形緊張ジャ
ッキ13、保持筒9を取り外し緊張が終了した状態を示
す図である。
【0019】さらに第2の実施例として、比較的長尺な
構造物に適用した例について図7〜図12を用いて説明
する。ここで用いているFRP緊張材1は上記と同じ三
菱化学(株)製造のカーボン繊維のFRP緊張材(商品
名:リードライン)で、所定の緊張力を導入した時約1
%の伸びを生じる。そのため長尺構造物に適用する場
合、その伸び量を考慮した長さとする必要があり、その
長さは対象構造物の長さより短尺となってしまう。従っ
て緊張定着には工夫が必要である。
【0020】このような場合に用いる定着具を図7に示
した。図7はFRP緊張材の両端の定着具を示してい
る。図7の向かって右側の定着具10は、固定端の定着
具を示し、上記第1の実施例に用いた定着具と同様のも
ので、さらにFRP緊張材の抜け出し防止用のリテーナ
キャップ14を備えている。図7の向かって左側の定着
具11は、FRP緊張材1の緊張端の定着具を示すもの
である。緊張端の定着具11はスリーブ4が楔3の長さ
より長く形成されており、その延長部にテンションバー
12を結合するための雌ねじ17を設けている。
【0021】この実施例の緊張定着作業工程を図8〜図
12を参照して説明する。図8に示すように、両端に純
アルミニウムの被覆筒を嵌装固定したFRP緊張材1を
コンクリート構造物50内に埋設されているシース51
内に挿通する。図9に示すように、FRP緊張材1の緊
張端に楔3、スリーブ4からなる定着具11を組み付け
る(図7参照)。図7に示すように、スリーブ4にテン
ションバー12をスリーブ4内の楔3の端面を押圧する
までねじ込む。次に、図10に示すように、テンション
バー12をコンクリート構造物50内に埋設してあるシ
ース51の拡張径部に挿入し、コンクリート構造物50
の他端(固定端)からFRP緊張材1の他端掴持部をコ
ンクリート構造物50の外に露出させ、この固定端に楔
3、スリーブ4、ワッシャ6、ナット5、リテーナキャ
ップ14からなる定着具10を組み付け(図7参照)、
緊張端のテンションバー12にワッシャ6、ナット5を
遊嵌させ、ついで中空型緊張ジャッキ13を装着する。
次に、図11に示すように、図示しないポンプ及び作動
流体供給ホースを介して中空型緊張ジャッキ13を作動
させ、FRP緊張材1に所定の緊張力を導入してナット
5を締め支圧板7に支持させて定着する。図11は、こ
の状態を示している。ついで、テンションバー12と共
に中空型緊張ジャッキ13を取り外し、図12に示すよ
うに、緊張が完了する。なお、この状態では、固定端側
の定着具10のリテーナキャップ14は取り外す。
【0022】この実施例2では緊張端側からのみ緊張す
るいわゆる片引きの緊張方法で説明したが、構造物の両
端で緊張定着する両引きの場合は、この例の緊張端の定
着具を固定端側にも用いることによって施工することが
できる。なお、以上の例では、FRP緊張材が1本の場
合の緊張定着について説明したが、太径で複数のテーパ
ー孔を穿設したスリーブを用いて複数本のFRP緊張材
を同時に緊張定着することも可能である。図13はこの
ような例を示すもので、その場合、スリーブ4の断面中
央にテンションバーをねじこむ内ねじ19と、それぞれ
のFRP緊張材の楔が抜け出ないようにリテーナプレー
ト18を取付けることとすれば大容量のFRP緊張シス
テムを構成することも可能である。この場合の緊張定着
工程は上記実施例2と同様に行うことができる。
【0023】また、本発明の緊張材、定着具は斜張橋の
斜材ケーブルやグラントアンカーのアンカー材にも好適
に利用可能である。次に本発明のFRP緊張材、緊張方
法及び定着具の性能を実証するための試験について詳細
に説明する。図14に示す試験ロッドを製作した。長さ
L=600mmのFRP緊張材20の両端に定着具21
を取付けた。定着具21は図15に拡大して示した。定
着具21はFRP緊張材20の外表面にアルミニウム製
薄肉パイプからなる被覆筒22を外嵌圧着し、その外周
に楔23を外嵌させている。楔23はフッ素樹脂シート
24で被覆し、スリーブ25内に緊密に嵌入している。
スリーブ25は圧入治具を兼ねるカプラ27に螺入され
ている。カプラ27内には、楔23の圧入と抜け出し防
止の圧入駒26が移動可能に内挿されている。
【0024】図16(a)、(b)は定着具21にFR
P緊張材20を圧入させる圧入装置30を示した。油圧
ジャッキ31はポンプ32を備え、油圧ホース33を経
て圧力油を供給される。油圧ジャッキ31はPC鋼棒3
4の両端に結合され、ベース37上に載置固定されてい
るフレーム35、36の間で作動する。圧入装置30の
作動を図17〜図21によって説明する。図17は圧入
治具を兼ねるカプラ27と、楔23、スリーブ25、圧
入駒26、楔圧入補助金具28を組立てた状態を示して
いる。なお、楔圧入補助金具28は断面方向で2つ割と
なっており着脱が容易な構造としてある。また、圧入治
具27の後部には圧入駒26を介してジャッキの圧力を
楔23に伝達する圧入ピン29が挿入されている。
【0025】FRP緊張材20はアルミニウム製の被覆
筒22を介して楔23が外嵌しており、楔23はフッ素
樹脂シート24を介してスリーブ25内に嵌入されてい
る。スリーブ25はその外表面に設けたねじにより圧入
治具を兼ねるカプラ27にねじ込まれている。カプラ2
7は圧入駒26が内挿されている。圧入駒26は一端が
楔23の頭部に接し、他端が圧入ピン29の先端部に接
している。圧入駒26はカプラ27内で軸方向に移動可
能となっている。圧入ピン29も軸方向可動に挿入され
ている。
【0026】図17のように組み立てた後、これを図1
6の圧入装置30にセットし、図18の矢印70で示す
方向に油圧ジャッキ31で圧入ピン29を押し込み圧入
駒26を介して楔23をスリーブ25内に押し込む。圧
入力はFRP緊張材の破断耐力の60〜80%の力が適
当である。例えば本例では10tf(67%)とした。
【0027】次に図19に示すように、油圧ジャッキ3
1を戻して圧入ピン29を矢印71方向に後退させる
と、楔23はスリーブ25から抜け出ようとするので、
図20に示すように、カプラ27が圧入駒26の端面に
当たるまで、矢印73で示すようにカプラ27を回動さ
せて、矢印72方向に進行させ、カプラ27をスリーブ
25の外周のねじにねじ込み、カプラ27をスリーブ2
5に締め付ける。その後、圧入ピン29を抜き取る。
【0028】図21に示すように、圧入ピン29を抜き
取ってしまうとFRP緊張材20の端部のスリーブ25
内への楔23の圧入が完了する。FRP緊張材20の他
端側も全く同様にして圧入装置30の端部への取付けを
完了する。図23はこのようにして準備されたFRP緊
張材20(試験ロッド)の破断試験装置60を示してい
る。FRP緊張材20はその両端にカプラ27を備え、
それぞれテンションバーのPC鋼棒61が接続され、一
端は中空形油圧ジャッキ62を貫通してジャッキ62の
ラム頭部に螺合したナットを介し、FRP緊張材20に
フレーム68に反力を取って張力を伝達する。ジャッキ
のラム頭部には、ロードセル63、変位計65を装着し
てある。他方のPC鋼棒61はロードセル64を介して
フレーム68にジャッキの反力を支持させる。中空形油
圧ジャッキ62は電動油圧ポンプ66によって駆動され
る。ロードセル63、64、変位計65の計測データは
記録装置67に伝送され記録される。
【0029】試験方法は次のとおりである。 (a)FRP緊張材(試験ロッド)20の両端のカプラ
27にテンションバーとして太さ23mmφのPC鋼棒
61を取付ける。この時回転防止ピンを差し込む。 (b)引張り装置は中空形油圧ジャッキ62を使用し片
引きとする。中空形油圧ジャッキ62は牽引力120t
f、ストローク150mmである。 (c)荷重管理は試験ロッドの両端にそれぞれ接続した
PC鋼棒端部に配置したロードセル63、64で行う。 (d)変位計65は中空形油圧ジャッキ62側のロード
セル63の後に配置する。 (e)ロードセル63、64と変位計65は記録装置6
7(自動デジタル歪測定器)で管理する。 (f)電動油圧ポンプ66は1.5kWの電動油圧ポン
プを使用する。 (g)荷重の上昇は1トン刻みとし、荷重の上昇は緩や
かに行い衝撃などが発生しないように行った。
【0030】図22にこれらの試験結果の一例をグラフ
で示した。実施例の定着具では、多数の試験のすべて
が、FRP緊張材の定着部で若干の滑りを生じたものは
あるが、破断を生じたものはなく、定着部から離れた位
置でFRP緊張材が破断し、本発明の定着具は優れた掴
持性能を有することが証明された。本発明の定着具は、
実構造物における緊張定着に有用であることはもとよ
り、その他、ロッド状FRP緊張材自体の試験にも好適
に利用できる。例えば、図14に示す試験ロッドを製作
して上述の方法により緊張材の試験を行う。線材直角方
向のせん断力に弱いFRP材の弱点を克服して、引張試
験を行うことが可能となる。すなわち、本発明の定着具
は、定着位置でのFRP材への食い込みも生じないか
ら、FRP材の変形による試験誤差を入るのを妨げ、正
常な引張試験を行うことができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、FRP緊張材の終局破
断位置が定着具内、又は定着具近傍ではなく、定着具か
ら離れたFRP緊張材の中途位置で生じ、本発明の定着
具が確実にFRP緊張材の性能を発揮させていることが
判明した。このことによって、設計時に過剰に高い安全
率を考慮する必要がなくなり、より経済的な設計が可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のFRP緊張材の端部拡大図である。
【図2】実施例のFRP緊張材の側面図である。
【図3】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図4】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図5】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図6】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図7】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図8】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図9】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図10】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図11】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図12】実施例の緊張定着工程の説明図である。
【図13】他の実施例の複数のFRP緊張材を定着する
定着具の図である。
【図14】試験ロッドの側面図である。
【図15】定着具の拡大縦断面図である。
【図16】圧入装置の平面、側面図である。
【図17】圧入治具、補助金具の縦断面図である。
【図18】圧入治具、補助金具の縦断面図である。
【図19】圧入治具、補助金具の縦断面図である。
【図20】圧入治具、補助金具の縦断面図である。
【図21】圧入治具、補助金具の縦断面図である。
【図22】破断試験の結果の一例を示すグラフである。
【図23】破断試験装置の側面図である。
【符号の説明】
1 FRP緊張材 2 被覆筒 3 楔 4 スリーブ 5 ナット 6 ワッシャ 7 支圧板 8 フッ素樹脂
シート 9 カプラ兼用保持筒 10 固定側定着
具 11 緊張側定着具 12 テンション
バー 13 中空形緊張ジャッキ 14 リテーナキ
ャップ 15 圧入駒 16 ナット 17 雌ねじ 18 リテーナプ
レート 19 内ねじ 20 FRP緊張
材(試験ロッド) 21 定着具 22 被覆筒 23 楔 24 フッ素樹脂
シート 25 スリーブ 26 圧入駒 27 カプラ(圧入治具) 28 補助金具 29 圧入ピン 30 圧入装置 31 油圧ジャッキ 32 ポンプ 33 ホース 34 PC鋼棒 35、36 フレーム 37 ベース 50 コンクリート構造物 51 シース 60 破断試験装置 61 PC鋼棒
(テンションバー) 62 中空形油圧ジャッキ 63、64 ロー
ドセル 65 変位計 66 電動油圧ポ
ンプ 67 記録装置 68 フレーム 70、71、72、73 矢印
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒山 薫 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三 菱化学株式会社機能資材カンパニー内 (72)発明者 谷木 謙介 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三 菱化学株式会社機能資材カンパニー内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロッド状のFRP材の端部に純アルミニ
    ウム材からなる被覆筒を嵌装固定してなることを特徴と
    するFRP緊張材。
  2. 【請求項2】 前記被覆筒は前記FRP材の外径に対し
    て公差が0.1mm以下の内径をもつ純アルミニウム材
    を前記FRP材の外周に加力縮径圧着固定した筒体であ
    ることを特徴とする請求項1記載のFRP緊張材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のFRP緊張材を用
    い、前記被覆筒の外周に楔・スリーブを嵌着し一端を固
    定端とし他端を緊張端として該FRP緊張材を定着する
    ことを特徴とするFRP緊張材の定着方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のFRP緊張材を緊
    張端側からシース内に挿入し、その緊張端に定着具を取
    付け、該緊張端をシース内に押し込んで固定端を固定端
    側に突出させ、固定端に定着具を取付け、ついで、緊張
    端側から牽引して緊張端外部に緊張端を露出させ、ジャ
    ッキで緊張し、スリーブの雄ねじに螺合するナットを定
    着板に当接させ定着することを特徴とするFRP緊張材
    の定着方法。
  5. 【請求項5】 前記緊張端側の定着具にテンションロッ
    ドを取付けておき、緊張端外部に緊張端を露出させるこ
    となく、該テンションロッドをジャッキで緊張すること
    を特徴とする請求項4記載のFRP緊張材の定着方法。
  6. 【請求項6】 長さがFRP緊張材外径の10〜15倍
    でロックウェル硬度HRCが30〜36の焼き入れをした
    クロムモリブデン鋼製の楔と、該楔の外周面を被覆する
    フッ素樹脂シートと、前記楔と同材質で該楔が内部に嵌
    入し外周に雄ねじを設けたスリーブと、該スリーブの外
    周のねじに螺合し定着板に当接する定着ナットとを備え
    たことを特徴とするFRP緊張材の定着具。
  7. 【請求項7】 前記スリーブに代わり、連結ロッドを螺
    入する雌ねじを備えた緊張側のスリーブを用いることを
    特徴とする請求項6記載のFRP緊張材の定着具。
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