JPH09135550A - 回転電機の突極界磁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、界磁コイルの熱放散を良くし、ま
た長期にわたり可逆運転を繰り返したり、負荷側から衝
撃を受けても、隙間発生によるコイル移動のない回転電
機の突極界磁を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、磁極鉄心1aとこの磁極鉄心の
周囲に配置される界磁コイル２とを備えた回転電機の突
極界磁において、磁極鉄心1aと界磁コイル２との隙間に
絶縁板７を設け、この隙間に磁極鉄心と界磁コイルとを
一体成形するように充填材８を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は回転電機の回転子の
突極界磁に関する。

【０００２】

【従来の技術】以下図４，図５を参照しながら説明す
る。回転電機の突極界磁は磁極１に界磁コイル２が巻回
して構成されている。そして、磁極１は磁極鉄心１ａと
界磁コイル２を支持し、遠心力による界磁コイル２の半
径方向への移動を抑制する磁極鉄心端部１ｂとから構成
され、界磁コイル２は磁極鉄心１ａに銅帯３が巻回して
構成され、その巻回した銅帯３間すなわちターン間には
ターン絶縁材４（例えば、デュポン社のノーメックス）
が設けられている。また、界磁コイル２と磁極鉄心端部
１ｂとの間には絶縁カラー５が配置され、界磁コイル２
と磁極鉄心１ａとの間の隙間には対地絶縁の為の絶縁シ
ート６が挿入されている。なお、界磁コイル２と磁極鉄
心１ａとの間の隙間は、その製造上の問題から絶縁シー
ト６の厚さよりも大きくとってある。従って、この隙間
にはエポキシガラス積層板で代表される絶縁板７を複数
枚重ねて挿入し、界磁コイル２を磁極鉄心１ａに固定し
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た界磁コイル２と磁極鉄心１ａとの隙間は必ずしも均一
でなく、界磁コイル２の各銅帯３間すなわちターン間で
部分的に数ミリ程度の差が銅帯３自体の厚さ、幅寸法の
ばらつきや製造上から生じることがある。この隙間に絶
縁板７を複数枚重ねて挿入した場合、界磁コイル２と絶
縁板７間は理想的な全体面当たりに成らず、部分的に点
当たりや非接触部が生じ僅かな隙間が残る。この隙間部
の空気層は熱伝導が悪いため、前記界磁コイルの熱放酸
が妨げられ温度上昇を起こし、コイルの絶縁劣化を促進
する。また、この状態で長期に渡り可逆運転を繰り返し
たり、負荷側から衝撃を長期に渡り受けた場合、絶縁板
７は剛体のため、これらの衝撃を吸収できず、部分的に
磁極鉄心１ａや界磁コイル２により叩かれたり、複数枚
重ねた絶縁板７相互間でも叩かれて機械的損傷を受け絶
縁劣化を生じる。さらに、この状態を継続すると界磁コ
イル２と磁極鉄心１ａとの隙間が拡大し、界磁コイル２
が運転状態にしたがって動いてしまい、最終的には界磁
コイル２が大きく変形してターン絶縁材４がずれ出しタ
ーン間レアショートを起こしたり、あるいは界磁コイル
２の銅帯３が金属疲労により切損を起こし事故に至る可
能性があった。

【０００４】そこで、本発明は、界磁コイル２の熱放散
を良くし、長期に渡り可逆運転を繰り返したり、負荷側
から衝撃を長期に渡り受けても、隙間発生によるコイル
移動のない構造の回転電機の突極界極を提供することを
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、回転電機の磁極鉄心とその周囲に配置さ
れる界磁コイルによって構成される突極界磁において、
前記磁極鉄心と界磁コイルとの隙間に絶縁板を挿入した
後、高熱伝導性および耐衝撃性に優れた液状ゴムを充填
して、前記界磁コイルと磁極鉄心を一体成形するように
構成したものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。図１，図２および図３は、本発明の
一実施例である回転電機の突極界磁の構成例を示すもの
である。図１および図２において、磁極１は磁極鉄心１
ａと界磁コイル２を支持し、遠心力による界磁コイル２
の半径方向への移動を抑制する磁極鉄心端部１ｂとから
構成され、界磁コイル２は磁極鉄心１ａに銅帯３が巻回
して構成され、その巻回した銅帯３間すなわちターン間
にはターン絶縁材４（例えば、デュポン社のノーメック
ス）が設けられている。また、界磁コイル２と磁極鉄心
端部１ｂとの間には絶縁カラー５が配置され、界磁コイ
ル２と磁極鉄心１ａとの間の隙間には対地絶縁のための
絶縁シートが挿入されている。なお、界磁コイル２と磁
極鉄心１ａとの間の隙間はその製造上の問題から絶縁シ
ート６の厚さよりも大きくとってあるため、この隙間に
はエポキシガラス積層板で代表される絶縁板７が複数枚
重ねて固く挿入される。さらに、図２に示すように界磁
コイル２と絶縁板７間の非接触部や絶縁シート６と絶縁
板７間および絶縁板７の相互間等の磁極鉄心１ａと界磁
コイル２間の全隙間に液状ゴム（例えば東芝シリコーン
製ＴＳＥ３３３１）を充填し、加熱硬化させて磁極鉄心
１ａと界磁コイル２を一体成形する。このような構成と
することで、磁極鉄心１ａと界磁コイル２間に生じる隙
間を無くすことができる。

【０００７】以上本発明によれば、磁極鉄心と界磁コイ
ル間の隙間に絶縁板が複数枚固く挿入され、更にその絶
縁板と界磁コイルおよび磁極鉄心間に生じる全隙間部に
高熱伝導性および耐衝撃性の液状ゴムを充填し、その液
状ゴムを加熱硬化して磁極鉄心と界磁コイルを一体化す
るため、隙間の発生がなくコイルの熱放散が促進されコ
イルの温度上昇を低減させることが出来る。また、長期
に渡り可逆運転を繰り返したり、負荷側から衝撃を長期
に渡り受けても、隙間に充填されたゴム層でその衝撃が
吸収されるため、絶縁板の機械的な損傷がなく有害なコ
イル移動も発生することがない。

【０００８】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、突極
形回転子の界磁コイルと磁極鉄心を充填材により一体成
形することにより、界磁コイルの熱放散が促進されコイ
ルの温度上昇を低減させることができる。また、長期に
渡り可逆運転を繰り返したり、負荷側から衝撃を長期に
渡り受けても隙間の発生がなく、有害なコイル移動の発
生のない回転電機の突極界磁を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の回転電機の突極界磁の一実施例を示す
構成図。

【図２】図１の支持固定装置のＢ部の詳細拡大図。

【図３】図１の支持固定装置のＡ−Ａ矢視断面図。

【図４】従来の突極形回転子の回転電機の突極界磁を示
す構成図。

【図５】図４の支持固定装置のＡ−Ａ矢視断面図。

【符号の説明】

１…磁極鉄心 １ａ…磁極鉄心 １ｂ…磁極鉄
心端部 ２…界磁コイル ３…銅帯 ４…ターン絶
縁材 ５…絶縁カラー ６…絶縁シート ７…絶縁板 ８…液状ゴム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁極鉄心とこの磁極鉄心の周囲に配置さ
   れる界磁コイルとを備えた回転電機の突極界磁におい
   て、前記磁極鉄心と前記界磁コイルとの隙間に絶縁板を
   設け、この隙間に前記磁極鉄心と前記界磁コイルとを一
   体成形するための充填材を充填したことを特徴とする回
   転電機の突極界磁。
2. 【請求項２】 請求項１記載の回転電機の突極界磁にお
   いて、前記充填材は液状ゴムであることを特徴とする回
   転電機の突極界磁。