JPH091332A - ワイヤ消耗式パルスアーク溶接機 - Google Patents

ワイヤ消耗式パルスアーク溶接機

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JPH091332A
JPH091332A JP14909095A JP14909095A JPH091332A JP H091332 A JPH091332 A JP H091332A JP 14909095 A JP14909095 A JP 14909095A JP 14909095 A JP14909095 A JP 14909095A JP H091332 A JPH091332 A JP H091332A
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wire
feeding
pulse
tip
tip portion
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JP14909095A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Matsui
仁志 松井
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ワイヤ先端部A1と被溶接物11との間のアー
ク長を安定させ、溶接品質の向上に有利なワイヤ消耗式
パルスアーク溶接機を提供すること。 【構成】送給ローラ14でワイヤAを一定速度で送給し
つつ、送給抵抗子320、321で脈送装置30内のワ
イヤ先端部A1を挟持し、摩擦によりワイヤ先端部A1
の速度を減少させる。ワイヤ先端部A1は撓み変形し、
脈送装置30内でワイヤ長が蓄積される。次に送給抵抗
子320、321を元に戻せば、ワイヤ先端部A1は撓
みは解除され、ワイヤ先端部A1は被溶接物11に向け
て脈送される。脈送はパルス電流に対して同期または所
定の位相差をもって行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルス電流を含むアー
ク発生電流によりワイヤ先端部を溶融して溶接を行うワ
イヤ消耗式パルスアーク溶接機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より産業界ではワイヤ消耗式パルス
アーク溶接機が使用されている。このワイヤ消耗式パル
スアーク溶接機によれば、被溶接物にワイヤ先端部を接
近させた状態で、パルス電流を含むアーク発生電流をワ
イヤに給電し、これによりワイヤ先端部と被溶接物との
間でアーク(電孤)を発生させ、アークの熱によりワイ
ヤ先端部を溶融して溶接を行う。
【0003】ワイヤ消耗式パルスアーク溶接機の種類に
もよるが、一般的にはパルス電流の周期は5〔ms〕〜
20〔ms〕であり、パルス電流の給電時間は1〜3
〔ms〕である。このワイヤ消耗式パルスアーク溶接機
では、基本的にはパルス電流ごとにワイヤ先端部から溶
滴が生成するため、ワイヤ先端部が消耗する。そして溶
滴がワイヤ先端部から離脱した際には、ワイヤ先端部と
被溶接物との間の間隔が増大する傾向となる。
【0004】ところでこのワイヤ消耗式パルスアーク溶
接機では、溶接品質を維持するには、ワイヤ先端部と被
溶接物との間隔は、アーク長の維持のため、できるだけ
変動しないことが好ましい。即ち、ワイヤ先端部と被溶
接物との間隔が増大した場合には、アークが不安定とな
り、充分な溶け込みを期待できない。またワイヤ先端部
と被溶接物との間隔が狭小化した場合には、ワイヤ先端
部と被溶接物とが短絡し易くなりスパッタが生成し易く
なる。
【0005】そこで特公昭62−50221号公報に
は、アーク電圧がワイヤ先端部と被溶接物との間の間隔
に相応していることに着目し、溶接中のアーク電圧を検
出し、検出したアーク電圧値と目標アーク電圧値とを比
較し、その差信号に基づいてアーク電圧を一定値に維持
し、これによりワイヤ先端部と被溶接物との間の間隔を
速やかに矯正して一定に維持する様にした技術が開示さ
れている。
【0006】更に近年、従来技術として、ワイヤを送給
する送給モータの送給速度を可変とすべく、送給モータ
の速度を制御する可変制御装置を設け、そしてワイヤ先
端部の溶滴がワイヤ先端部から離脱して被溶接物に移行
し、ワイヤ先端部と被溶接物との間の間隔が増大した直
後に、可変制御装置により送給モータの速度を所定時間
(数ms)だけ増大し、これによりワイヤ先端部を被溶
接物に向けて脈送し、以てワイヤ先端部と被溶接物との
間隔を速やかに矯正して一定に維持する様にした技術
が、本出願人により開示されている(特開平6−142
927号公報)。
【0007】この特開平6−142927号公報に係る
技術のタイミングチャートを図11に示す。図11
(A)は、コンタクトチップ10rからワイヤ先端部B
1に給電されたアーク発生電流に基づきアークCを発生
すると共に、アークCの熱でワイヤ先端部B1から溶滴
B2が生成し、その溶滴B2がワイヤ先端部B1から離
脱して被溶接物11に移行する状態の時間的変化を模式
的に示す。図11(B)は溶接に用いるアーク発生電流
のタイミングチャートを示す。図11(C)はワイヤ先
端部B1の速度のタイミングチャートを示す。
【0008】上記したワイヤ消耗式パルスアーク溶接に
よれば、図11(B)に示す様にベース電流IB にパル
ス電流IP が周期的に重畳される。ここで、パルス電流
Pの立ち上がりの直前の時刻t1ではワイヤBの溶滴
B2は微小であるものの、パルス電流IP が立ち上がっ
ている時刻t2、t3ではワイヤ先端部B1における溶
滴B2は成長している。また時刻t4、t5ではパルス
電流IP が立ち下がった後であり、溶滴B2がワイヤ先
端部B1から離脱している。
【0009】この図11に係る公報技術によれば、溶滴
B2が離脱した直後である時刻t4、t5においては、
パルス電流IP に対して所定の位相差ΔTaをもってワ
イヤ先端部B1の速度がVaからVbに増大し、これに
よりワイヤ先端部B1を被溶接物11に向けて脈送す
る。従って溶滴B2の離脱に伴い被溶接物11とワイヤ
先端部B1との間隔Lcが増大したとしても、脈送によ
り間隔Lcを速やかに矯正することができ、溶接品質の
向上に貢献できる。
【0010】更に上記した特開平6−142927号公
報には図12(A)(B)(C)に示すタイミングチャ
ートに係る技術も開示されている。図12に示すタイミ
ングチャートによれば、パルス電流IP に対して同期さ
せて、ワイヤ先端部B1の速度を増大し、ワイヤ先端部
B1を脈送し、ワイヤ先端部B1の送給量を増大してい
る。
【0011】ここで電流が急激に増大するパルス電流I
P を給電した場合には、ジュール熱でコンタクトチップ
10rは熱をもち易い。しかし図12に示す様にパルス
電流IP に同期させてワイヤ先端部B1の送給量を増大
すれば、コンタクトチップ10rの熱をワイヤ先端部B
1側に伝熱し易くなり、よってコンタクトチップ10r
の過熱、ひいては過熱に起因するコンタクトチップ10
rの熱損傷を軽減するのに貢献できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記した特開
平6−142927号公報に係る技術によれば、前述し
た様にパルス電流IP に所定の位相差をもって、また
は、同期させてワイヤ先端部B1を脈送する方式が採用
されている。この公報技術によればワイヤ先端部B1を
脈送するにあたり、ワイヤを送給するための送給モータ
の回転速度を可変とする可変制御装置を設けねばならな
い。この場合には、装置の複雑化、価格のアップが誘発
され易い。
【0013】また上記したもう1つの公報技術、つまり
特公昭62−50221号公報に係る技術によれば、ワ
イヤ先端部と被溶接物との間隔を維持するにあたり、ア
ーク電圧に基づく方式が採用されている。本発明は上記
した2つの公報技術とは異なる方式を採用しており、ワ
イヤ長を蓄積する第1形態と、蓄積量を解除または減少
する第2形態とに切替え可能とすることにより、第1形
態から第2形態への切替に伴いワイヤ先端部の速度を増
大させてワイヤ先端部を被溶接物に向けて脈送し、これ
によりワイヤ先端部と被溶接物との間隔を維持し、アー
ク長を安定させ、溶接品質を高めるのに有利なワイヤ消
耗式パルスアークを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係るワイヤ消耗
式パルスアーク溶接機は、ワイヤを送給する送給部をも
ちワイヤ先端部を被溶接物に向けて送給するワイヤ送給
手段と、パルス電流を含むアーク発生電流により、ワイ
ヤ先端部を溶融して消耗させるアークをワイヤと被溶接
物との間に発生する給電手段と、ワイヤの少なくとも一
部においてワイヤ長を蓄積する第1形態と、その蓄積量
を解除または減少させる第2形態とに切替可能に設けら
れ、第1形態から第2形態への切替に伴い、パルス電流
に対して同期させてまたは所定の位相差をもってワイヤ
先端部を被溶接物に脈送する脈送手段とを具備してなる
ことを特徴とするものである。
【0015】
【作用】本発明のワイヤ消耗式パルスアーク溶接機によ
れば、ワイヤ送給手段が作動すると、その送給部により
ワイヤは搬送され、ワイヤ先端部は被溶接物に向かう。
送給部は、ワイヤを略一定速度で被溶接物に向けて送給
するものが好ましいが、必ずしもこれに限定されるもの
ではなく、要するにワイヤ先端部を被溶接物に送給でき
るものであれば良い。
【0016】パルス電流を含むアーク発生電流により、
ワイヤ先端部と被溶接物との間でアークが発生する。ア
ークの熱によりワイヤ先端部は溶融される。従ってワイ
ヤは消耗されると共に、溶滴等の溶融部分がワイヤ先端
部から離脱して被溶接物に移行し、溶接が行われる。溶
滴等の溶融部分が被溶接物先端部から離脱して被溶接物
に移行すると、従来技術と同様に、ワイヤ先端部と被溶
接物との間隔は増大する。増大するとアークの不安定、
アンダーカット等の溶接不具合等が誘発され易い。
【0017】この点本発明のワイヤ消耗式パルスアーク
溶接機によれば、脈送手段は、ワイヤ長を蓄積する第1
形態と、その蓄積量を解除または減少させる第2形態と
に切替え可能とされている。脈送手段の第1形態のとき
にはワイヤ長が蓄積される。脈送手段が第1形態から第
2形態に切替わると、ワイヤ長の蓄積量が解除または減
少されるため、ワイヤ先端部の速度は増大し、ワイヤ先
端部は被溶接物に向けて脈送される。これによりワイヤ
先端部と被溶接物との間の間隔の過剰増大は抑えられ
る。
【0018】本発明に係る脈送手段は、ワイヤに送給抵
抗を与えてワイヤ長を蓄積する第1形態と、ワイヤの送
給抵抗を解除または減少してワイヤ長の蓄積を解除また
は減少する第2形態との切替可能な送給抵抗切替部で構
成できる。また本発明に係る脈送手段は、ワイヤを所定
の曲率で撓ませてワイヤ長を蓄積する第1形態と、ワイ
ヤの撓みを解除または減少してワイヤ長の蓄積を解除ま
たは減少する第2形態とに切替可能なワイヤ撓み切替部
で構成できる。
【0019】また本発明に係る脈送手段は、ワイヤ送給
路の全長を微小量(ΔLf)長くしてワイヤ長を蓄積す
る第1形態と、ワイヤ送給路の全長を元に戻す第2形態
とに切替可能なワイヤ送給路長切替部で構成できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例1を図1から図4を参
照して説明する。まず本実施例に係る全体構成を説明す
る。図1は、本発明に係るワイヤ消耗式パルスアーク溶
接機の一実施例の全体構成図を示す。図1において符号
1aは給電手段を示し、符号1は一次側入力の整流回路
を示す。この整流回路1の出力端子は平滑回路2に接続
され、次いで、インバータ回路3に接続される。
【0021】またインバータ回路3の出力端子は高周波
トランス4と接続されている。高周波トランス4は整流
回路5に接続され、整流回路5の出力端子のうち正極
は、リアクトル6を有するパワーケーブル8を介してト
ーチ10内の給電体として機能するコンタクトチップ1
0rに接続されている。また整流回路5の負極はパワー
ケーブル9を介して被溶接物である金属製の被溶接物1
1に接続されている。なおトーチ10は被溶接物11の
上方に近接して配置されており、トーチ先端部10fは
被溶接物11の被溶接部分に所定の距離隔てて対面して
いる。
【0022】ワイヤ送給手段12は、溶接棒として機能
する消耗式のワイヤA(直径:1.2mm)を連続的に
被溶接物11に向けて略一定速度(VW )で送給するも
のである。ワイヤ送給手段12は、ワイヤAが多重に巻
回されたワイヤリール13と、送給部としての一対の送
給ローラ14と、送給ローラ14を矢印P1方向に回転
駆動する送給モータ15とで構成されている。
【0023】送給モータ15には、モータ制御部17の
出力端子が接続されており、送給モータ15ひいては送
給ローラ14はモータ制御部17により制御される。即
ちワイヤAの送給速度は、モータ制御部17の指令値に
より定められる。したがって送給モータ15が駆動する
と、1対の送給ローラ14が矢印P1方向に回転し、こ
れによりワイヤAが略一定の速度で矢印H1方向に送給
される。ワイヤリール13のワイヤAは、可撓性をもつ
フレキシブルワイヤコンジット16を経てトーチ10に
挿入され、コンタクトチップ10rのチップ孔に挿入さ
れ、被溶接物11に向けて送給される。このワイヤAは
導電性をもち、トーチ10内でコンタクトチップ10r
と電気的に接触している。よってワイヤAは、パワーケ
ーブル8を介してコンタクトチップ10rから給電され
る。
【0024】以上の構成は従来のパルス溶接機と同様で
ある。すなわち、一次側に供給された3相交流は、整流
回路1で整流されて直流となり、次いで平滑回路2で平
滑されてリプルが軽減された後、直流電源としてインバ
ータ回路3に供給される。インバータ回路3は、パワー
素子駆動回路27から供給される駆動信号に基づいて所
望の周期の信号を高周波トランス4に出力する。
【0025】そして、インバータ回路3から出力された
電流は、高周波トランス4で変圧され、整流回路5で再
び整流された後、直流のベース電流IB と所望のパルス
電流IP とが重畳された形態となり、その形態でワイヤ
Aに給電される。従って本実施例において、ワイヤAと
被溶接物11との間に形成されるアークCは、従来技術
と同様に、直流ベース電流IB と所望のパルス電流IP
とが重畳した状態のアーク発生電流を有している。この
ときワイヤ先端部A1はこのアークCの熱により従来同
様に溶融し、溶滴としてワイヤ先端部A1から離脱して
被溶接物11に移行する。溶融に伴いワイヤAは消耗す
るが、モータ制御部17により送給モータ15ひいては
送給ローラ14が所定の速度で連続的に回転されている
ので、この溶滴離脱によるワイヤAの消耗分の補給は行
われる。
【0026】尚本実施例においては、ワイヤAと被溶接
物11との間に形成されるアークCの電流値・電圧値は
フィードバック制御されており、これにより安定したア
ークCの確保を可能ならしめている。以下、本実施例の
フィードバック系について説明する。図1において、符
号20は平均電圧検出器を示す。平均電圧検出器20は
パワーケーブル8、9間の電位差を検出して、その検出
値を電圧比較器21に供給している。電圧比較器21に
は上記の平均電圧検出器20の他、パワーケーブル8、
9間に発生すべき所定の目標電位値を設定する平均電圧
設定部22の出力端子が接続されている。そして、電圧
比較器21はそれらの値を比較して、実測値を目標電位
値に近づかせるために、電圧指令を電流波形設定部23
に出力する。
【0027】パワーケーブル8、9間に発生する電位差
は、ワイヤAのワイヤ先端部A1と被溶接物11との間
の間隔Leに対応した値を示す。この値を一定値に保持
できれば、アークCの長さをほぼ一定に保持できること
になり、溶接品質が安定する。そこで、パワーケーブル
8、9間に発生する電位差が目標電圧値よりも低いと検
出された場合、すなわち、ワイヤAと被溶接物11との
間隔Leが狭まっている場合には、電流波形設定部23
ではワイヤAの消耗促進のためアーク電流値を増加させ
る。また、その逆の場合は、即ち、その電位値が目標電
圧値より高いと検出された場合には、つまり、ワイヤA
と被溶接物11との間隔Leが増大している場合には、
ワイヤ先端部A1の消耗を抑えるためアーク電流を減少
させている。
【0028】また、パワーケーブル8のシャント7に
は、電流検出器25が接続されている。この電流検出器
25は、ワイヤAと被溶接物11との間のアーク電流の
値を検出しており、その検出値を比較器26に出力して
いる。比較器26は、電流検出器25から供給される電
流値と電流波形設定部23の電流波形とを比較して、そ
の比較結果をパワー素子駆動回路27に出力する。
【0029】パワー素子駆動回路27は、比較器26の
比較結果に基づいて、ワイヤAから被溶接物11に向か
うアーク発生電流が電流波形設定部23で設定された電
流に対応するように、インバータ回路3を駆動して、パ
ワーケーブル8、9に流れる電流の制御を行っている。
さて本実施例に係る要部構成を説明する。本実施例では
図1に示す様に、ワイヤ先端部A1を脈送するための脈
送装置30と、脈送装置30の作動を制御する脈送制御
部31とが装備されている。脈送装置30及び脈送制御
部31で脈送手段が構成されている。脈送装置30はト
ーチ10の上部に装備されている。
【0030】脈送制御部31は、脈送装置30の脈送作
動を制御する指令信号を信号線31aを介して脈送装置
30に出力するとと共に、これと同期した信号を信号線
31bを介してパルス位相設定部32に出力する。パル
ス位相設定部32ではワイヤ先端部A1の高さ変動に対
応すべく、パルス電流IP の立ち上がりの目標位相を設
定して、電流波形設定部23へ電流の立ち上がりの指令
信号を出力する。
【0031】本実施例に係る脈送装置30の要部は図2
(A)(B)に示されている。図2(A)(B)に示す
様に、脈送装置30は、ワイヤAが通過する案内通路3
00をもつ案内部材310と、ワイヤAの伸びる方向と
交差する方向に変位可能に案内部材310に配置された
送給抵抗子320、321と、送給抵抗子320、32
1を駆動させる駆動回路330、331と備えている。
【0032】案内通路300には、ワイヤAの長さを蓄
積する撓み収容空間301、302が形成されている。
送給抵抗子320、312は圧電体素子の伸縮機能を利
用したり、電磁ソレノイドの励磁機能を利用したり、空
気や作動油等の流体で往復移動するシリンダを利用した
り、場合によっては磁歪素子を利用したりして構成でき
る。圧電体素子は、PZT等の圧電体を多数枚積層した
積層タイプでも、あるいは、バイモルフタイプでも良
い。この場合には物理的変位量を確保すべく、圧電体素
子の物理的変位量を拡大する拡大機構を設けることも好
ましい。圧電体素子を利用すれば、高速応答性、小型化
に有利である。
【0033】なお送給抵抗子320、321の先端部3
20n、321nは、ワイヤAとの接触面積を低減させ
るべく先端が突出している。また先端部320n、32
1nは、摩擦抵抗の大きな部材で形成することも好まし
い。本実施例では、脈送制御部31からの指令信号によ
り駆動回路330、331が作動して送給抵抗子32
0、321が第1形態に切替られる。すると送給抵抗子
320、321が図2の矢印X1方向に変位する。よっ
て、案内通路300内のワイヤAは送給抵抗子320、
321で挟持され、ワイヤAの摩擦抵抗が増大し、ワイ
ヤ先端部A1の送給速度が低下したり、あるいは零にな
ったりする。一方、送給ローラ14によりワイヤAは被
溶接物11に向けて矢印H1方向に連続的に略一定速度
(VW )で送給されている。
【0034】そのため図2(B)から理解できる様に、
ワイヤAが送給抵抗子320、321で挟持される第1
形態では、脈送装置30の案内通路300内のワイヤA
は撓み、略Sの字形状となり、その撓み部分は撓み収容
空間301、302に収容される。この様な撓みに伴い
ワイヤ長が部分的に蓄積される。その後、脈送制御部3
1からの指令信号により駆動回路330、331が作動
して送給抵抗子320、321が第2形態に切り替わ
る。すると送給抵抗子320、321が矢印X2方向に
復帰する。よって送給抵抗子320、321によるワイ
ヤAの挟持は解除され、ワイヤAと送給抵抗子320、
321との摩擦抵抗は解消される。
【0035】そのため、脈送装置30の撓み収容空間3
01、302で略Sの字形状に撓んでいたワイヤAの撓
み部分は解除される。例えば図2(A)に示す様にワイ
ヤAの自身の弾性力で略真っ直ぐな状態に復帰する。こ
の様にワイヤ長の蓄積が解除されると、案内部材310
の下端の吐出口301から、ワイヤ先端部A1はその弾
性力等で急激に吐出される。即ちワイヤ先端部A1の速
度が急激に増大し、ワイヤ先端部A1は被溶接物11に
向けて脈送される。
【0036】なお送給抵抗子320、321の矢印X1
方向への移動量は、ワイヤ消耗式パルスアーク溶接の条
件によって適宜変更されるが、一般的には0.05〜
0.3mm程度、特に0.1〜0.2mm程度にでき
る。ワイヤ先端部A1の脈送量はワイヤ消耗式パルスア
ーク溶接の条件によって適宜変更されるが、一般的には
0.3〜2mm程度、特に0.5〜0.8mm程度にで
きる。
【0037】なお図2に示す様に撓み収容空間301の
下流側には、下方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面
301rが形成されている。撓み収容空間302の下流
側には、下方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面30
2rが形成されている。そのため、撓んでいたワイヤA
の弾性復帰に有利である。本実施例によれば脈送制御部
31からの指令信号に基づいて、上記したワイヤAの撓
みによるワイヤ長の蓄積操作(つまり第1形態)、更に
蓄積解除操作(つまり第2形態)が、パルス電流IP
出力に対して、所定の位相差をもって周期的に行われ
る。
【0038】図3は、ワイヤAを一定速度(VW )で送
給した場合のワイヤ先端部A1の様子などを説明するた
めのタイムチャートを示す。図3(A)の(ア)〜
(オ)は、ワイヤ先端部A1の時間的変化を示す。図3
(B)はアーク電流の変動を示す。図3(C)はワイヤ
先端部A1の速度の変動を示している。図3(A)の
(ア)〜(オ)にかけて溶滴A2の様子が示されてい
る。図3(A)の(エ)から理解できる様に、溶滴A2
がワイヤ先端部A1から離脱した場合には、ワイヤ先端
部A1と被溶接物11との間隔Leが増大している。
【0039】また図3(B)から理解できる様に、パル
ス電流IP の『立ち上がり』はIPr(rising)で
示され、『立ち下がり』はIPf(falling)で示
されている。パルス電流IP の立ち上がりIPrより前の
時刻t1では、ワイヤ先端部A1の溶滴A2は微小であ
る。電流値が大きなパルス電流IP がワイヤ先端部A1
に給電されていないからである。
【0040】更にパルス電流IP が立ち上がっている時
刻t2、t3では、パルス電流IPによる溶融によって
溶滴A2は成長している。また時刻t4、t5は、パル
ス電流IP の立ちさがりIPfの後の時刻であり、時刻t
4では溶滴A2がワイヤ先端部A1から離脱しており、
時刻t5では溶滴A2は被溶接物11に移行し終わって
いる。なお溶滴A2の離脱は、急激なパルス電流IP
よる磁界及び磁界に基づく電磁力の影響で溶融部分が絞
りこまれることも影響すると、一般的には考えられてい
る。
【0041】本実施例では図3から理解できる様に、パ
ルス電流IP の立ち下がりIPfに対して所定位相差ぶん
遅れて、ワイヤ先端部A1の速度が最高値Vm となって
いる。これはワイヤ先端部A1が脈送されたことを示し
ている。従って図3(B)の(エ)と(オ)との比較か
ら理解できる様に、ワイヤ先端部A1と被溶接物11と
の間の間隔Leは、脈送により急速に元の大きさに矯正
されている。
【0042】本実施例によれば、図3(C)から理解で
きる様にワイヤ先端部A1の速度が減少し始める時刻は
t1である。即ち、パルス電流IP の立ち上がりIPr
時刻よりもΔTcぶん前の時刻t1から、ワイヤ先端部
A1の速度が減少し始め、ワイヤ長の蓄積が開始され
る。即ち、図2(B)に示す様に送給抵抗子320、3
21がワイヤAを挟持しているからである。従って脈送
装置30の撓み収容空間301、302にワイヤAを収
容して蓄積する蓄積量が増大する。この様にワイヤAの
蓄積量が増大することから、第1形態から第2形態に切
替えたときにワイヤ先端部A1の脈送を効果的になし得
る。勿論、ワイヤAの脈送量も確保できる。
【0043】なお図3(C)によれば、ワイヤ先端部A
1の速度が減少し始める時刻t1からワイヤ速度の最高
値Vm までの時間がTiとして示されている。ところで
ワイヤ先端部A1において生成した溶滴A2がワイヤ先
端部A1から離脱しないままに垂下して被溶接物11に
接触すると、短絡現象が生じ、スパッタ等の不具合が生
じ、溶接品質の維持に不利である。本実施例の様なパル
スアーク溶接によれば、電流が急激に増加するパルス電
流IP が出力されている際には、大きな磁界が発生し、
その磁界に基づく電磁力の影響で溶滴A2が絞りこま
れ、垂下する傾向があると考えられており、従って溶滴
A2の垂下に起因する短絡現象の恐れはなおさらであ
る。
【0044】この点本実施例によれば、ワイヤ先端部A
1において生成した溶滴A2が成長している際には、図
3(C)から理解できる様に、ワイヤ先端部A1の送給
速度がVhとなり、速度(VW )の値よりも減少するも
のである(Vh<VW )。従って溶滴A2がワイヤ先端
部A1から離脱しないまま被溶接物11に着地するこ
と、つまり溶滴A2による短絡現象を防止するのに有利
であり、スパッタ等の不具合の解消に貢献できる。
【0045】なお図3に示す形態では、パルス電流IP
は例えば3〜6msの間隔ごとに出力され、パルス電流
P の給電時間は例えば0.8〜1.3msである。図
4は上記実施例に係る他の形態のタイムチャートを示
す。図4(A)(ア)〜(オ)は、ワイヤ先端部A1の
時間的変化を示す。図4(B)はアーク発生電流の変動
を示す。図4(C)はワイヤ先端部A1の速度の変動を
示す。この形態によれば図4(C)から理解できる様
に、パルス電流IP の立ち上がりIPrからΔTd経過し
た後に、ワイヤ先端部A1の速度は減少し始め、つまり
ワイヤ長野蓄積が開始される。そしてパルス電流IP
立ち下がりIPfに対して、所定の位相差をもってワイヤ
先端部A1の速度は最大値Vm となっている。
【0046】図4(C)によれば、ワイヤ先端部A1の
速度が減少し始める時刻からワイヤ速度の最高値Vm
での時間がThとして示されている。ここで時間Thは
時間Tiよりも短い(Th<Ti)。そのため図4に示
すタイミングチャートによれば、パルス電流IP が出力
されている期間において、ワイヤ先端部A1の速度が極
端に減少することにはならない。そのためコンタクトチ
ップ10rがジュール熱で熱をもったとしても、コンタ
クトチップ10rの熱をワイヤ先端部A1に効果的に伝
熱でき、コンタクトチップ10rの過熱を抑制できる。
そのため過熱に起因するコンタクトチップ10rの熱損
傷、寿命低下を軽減、回避するのに有利である。
【0047】なお本実施例によれば、図3に示すタイミ
ングチャートを選択するか、図4に示すタイミングチャ
ートを選択するかは、パルスアーク溶接の条件に応じて
適宜選択できる。上記した形態では、パルス電流IP
出力に対して所定の位相差をもってワイヤ先端部A1を
脈送する方式が採用されているが、これに限らず、図1
2に示すタイミングチャートの様にパルス電流IP の出
力に対して同期させて、つまりパルス電流IP とワイヤ
先端部A1の脈送とを時間的に同じ位相として、ワイヤ
先端部A1を脈送する方式を採用しても良い。
【0048】この様に同期させれば、大電流であるパル
ス電流IP が給電させる際にワイヤ先端部A1の送給量
が増大する。そのため前述同様に大電流であるパルス電
流I P によってコンタクトチップ10rが熱をもったと
しても、コンタクトチップ10rの熱をワイヤAに伝熱
するのに有利となる。よってコンタクトチップ10rの
過熱、過熱に起因する熱損傷の軽減、回避に有利であ
る。 (他の例) ○図5は実施例2を示す。図5に示す例は基本的には前
記した実施例1と同様の構成である。以下異なる部分を
中心として説明する。この例では、パルス電流IP の立
ち上がりIPrのタイミング時期を電流波形設定部23に
おいて検出する。そしてその信号をパルス位相設定部3
2に出力し、パルス位相設定部32により、ワイヤAを
脈送する際の脈送の目標位相を設定する。そしてパルス
位相設定部32は脈送の目標位相に関する信号を信号線
31bを介して脈送制御部31に出力する。脈送制御部
31は信号線31aを介して脈送装置30の作動を制御
し、前記した実施例1と同様に脈送装置30を第1形態
と第2形態とに周期的に切替え、これによりワイヤ先端
部A1を被溶接物11に向けて脈送する。 ○図6は実施例3の要部を示す。図5に示す例も基本的
には前記した実施例1と同様の構成である。以下異なる
部分を中心として説明する。この例では、脈送装置40
は、案内通路400をもつ案内部材410と、案内部材
410に変位可能に配置された送給抵抗子420、42
1と、送給抵抗子420、421を駆動する駆動回路4
30、431と備えている。案内通路400には、ワイ
ヤAの長さを蓄積する撓み収容空間401が形成されて
いる。撓み収容空間401は縦長の略菱形形状をなして
おり、傾斜面401a〜401dを備えている。
【0049】送給抵抗子420、421は前述同様に圧
電体素子の伸縮機能を利用したり、電磁ソレノイドの励
磁機能を利用したり、空気や作動油等の流体で往復移動
するシリンダを利用したりして構成できる。この例でも
脈送制御部31からの指令信号が駆動回路430、43
1に出力される。よって駆動回路430により一方の送
給抵抗子420が矢印X3方向に駆動すると同時に、駆
動回路431により他方の送給抵抗子421が矢印X
4’方向に駆動する。ここで送給ローラ14によりワイ
ヤAは一定速度(VW )で矢印H1方向に連続的に送給
されているため、脈送装置40内に収容されているワイ
ヤAは、図6から理解できる様に右側に撓む。その撓み
部分は撓み収容空間401に収容され、これによりワイ
ヤ長が蓄積される。
【0050】その後、脈送制御部31からの指令信号に
より駆動回路430、431が作動して、一方の送給抵
抗子420が矢印X4方向に駆動すると同時に、他方の
送給抵抗子421が矢印X3’方向に駆動し、ワイヤA
は図6の鎖線に示す様に左側に撓む。この様にワイヤA
が右側に撓んだり左側に撓んだりする途中で、ワイヤA
は、自身の弾性で真っ直ぐな状態に復帰する。このとき
ワイヤ先端部A1の送給速度は急激に増大、脈送装置3
0の案内部材410の吐出口401から急激に吐出され
る。即ちワイヤ先端部A1は被溶接物11に向けて脈送
される。
【0051】この例では、送給抵抗子420が矢印X3
方向に移動し、次に矢印X4方向に戻る際に、即ち送給
抵抗子420が1往復する際に、ワイヤAは図6におい
て右側と左側とに合計2回撓むことになる。従ってワイ
ヤAの撓み変形の回数を増加でき、ワイヤAの撓み変形
の高速化に有利である。 ○図7は実施例4の要部を示す。この例では脈送装置5
0は、ワイヤAが通過する案内通路500をもつ案内部
材510と、案内部材510に配置された電磁アクチュ
エータ520と、電磁アクチュエータ520を駆動させ
る駆動回路530と備えている。電磁アクチュエータ5
20は、鉄芯521と、鉄芯521を励磁する励磁コイ
ル522とを備えている。案内通路500には、ワイヤ
Aの長さを蓄積する撓み収容空間501が形成されてい
る。撓み収容空間501は略二等辺三角形状をなし、傾
斜面501a、501bをもつ。
【0052】この例においても、脈送制御部31からの
指令信号により駆動回路530が作動し、励磁コイル5
22により鉄芯521が励磁されると、磁極が発生し、
磁気力でワイヤAは鉄芯521側に吸引され、これによ
り図7に示す様に案内部材510内のワイヤAに撓みが
生じる。更に脈送制御部31からの指令信号により駆動
回路530が作動し、励磁コイル522が消磁される
と、ワイヤAの撓みは解除され、ワイヤAは自身の弾性
力で真っ直ぐな状態に復帰する。このときにおいても、
ワイヤAは送給ローラ14により略一定速度(VW )で
連続的に送給されているので、撓みの解除量は吐出口5
01側に向かう。よってワイヤ先端部A1の送給速度は
急激に増大し、脈送装置50の案内部材510の吐出口
501から急激に吐出される。即ちワイヤ先端部A1は
被溶接物11に向けて脈送される。
【0053】この様な励磁および消磁は、パルス電流I
P の出力に連動して、パルス電流I P の出力に対して所
定の位相差をもって周期的に行われ、従ってワイヤ先端
部A1は周期的に脈送される。 ○図8及び図9は実施例5を示す。この例では、図8に
示す様に送給ローラ14、送給ローラ14を回転駆動さ
せる送給モータ15は、ロボット80のロボットアーム
80nに保持されている。脈送装置60は、ロボット8
0のロボットアーム80mに保持されている。
【0054】この例においても送給モータ15により送
給ローラ14が矢印P1方向に回転駆動すると、ワイヤ
Aはガイド16k、フレキシブルワイヤコンジット16
の挿通路を経て、脈送装置60に挿通される。フレキシ
ブルワイヤコンジット16は可撓性をもち、ゴム外チュ
ーブ16fと、ゴム外チューブ16fに内設されたコイ
ル16hとで形成されている。なおコイル16h内をワ
イヤAが挿通される。
【0055】この例においても脈送装置60はトーチ1
0に装備されている。脈送装置60は、本筒61と、矢
印Y1、Y2方向(=ワイヤAの伸びる方向)に移動可
能に本筒61に嵌合された可動筒62と、可動筒62を
矢印Y1、Y2方向に移動させる駆動部63とで構成さ
れている。図9に示す様にこの駆動部63は、可動筒6
2に係合する回転カム64と、回転カム64を回転作動
させるモータ軸65cをもつ脈送モータ65とを備えて
いる。そして脈送モータ65のモータ軸65cがモータ
軸芯P1を中心として回転すると、モータ軸芯P1を中
心として回転カム64が回転作動し、これにより可動筒
62が本筒61に対して矢印Y1方向および矢印Y2方
向に周期的に交互に移動する。
【0056】図9(A)から理解できる様に脈送モータ
65により回転カム64が回転作動して可動筒62が矢
印Y1方向に移動した場合において、トーチ10のトー
チ先端部10fからフレキシブルワイヤコンジット16
の取付部16tの上端までの距離をL1とする。また図
9(B)に示す様に、可動筒62が矢印Y2方向に移動
して可動筒62が本筒61からΔLf’浮いた場合に
は、トーチ先端部10fからフレキシブルワイヤコンジ
ット16の取付部16kの上端までの距離は、ΔLfぶ
ん増加してL2となる(L2>L1)。
【0057】ここでフレキシブルワイヤコンジット16
は撓むことができるものの、フレキシブルワイヤコンジ
ット16の全長は変化しない。そのため送給ローラ14
でワイヤAを連続的に送給しつつ、送給ローラ14とト
ーチ先端部10fとの間において、ΔLfに相当する長
さだけワイヤ送給路の全長が瞬間的に伸びることにな
る。従ってワイヤ長が蓄積されることになる。なおΔL
fは適宜選択できるものの、一般的には0.3〜1mm
程度、特に0.4〜0.6mm程度にできる。
【0058】この様にワイヤ長を蓄積した後に、可動筒
62が矢印Y1方向に再び移動すれば、ΔLfに相当す
るぶんの蓄積量が速やかに解消されるので、ワイヤ先端
部A1の速度は急激に増大し、これによりワイヤ先端部
A1は被溶接物11に向けて脈送される。この例におい
てもパルス電流IP の出力に対して所定の位相差をもっ
て脈送が行われる。 ○図10は実施例6の要部を示す。この例では脈送装置
70は、本筒710と、矢印Y3、Y4方向(=ワイヤ
Aの伸びる方向)に変位可能に本筒710に嵌合された
可動筒720と、可動筒720を変位させる駆動源とな
るアクチュエータ730と、アクチュエータ730を駆
動させる駆動回路740と備えている。アクチュエータ
730は、圧電素子で形成した圧電方式でも、或いは、
鉄芯と励磁コイルとからなる電磁方式でも良い。
【0059】この例においてもアクチュエータ730が
駆動して、前述同様に可動筒720が矢印Y4方向に変
位すれば、ΔLfぶんワイヤ長が蓄積される。従って可
動筒720が矢印Y4方向に変位した後に矢印Y3方向
に変位することが周期的に繰り返されれば、ワイヤ長の
蓄積、蓄積解除が周期的に行われ、ワイヤAの脈送が行
われる。この例においてもパルス電流IP の出力に対し
て所定の位相差をもって脈送が行われる。
【0060】(付記)上記した実施例から次の技術的思
想も把握できる。 ○ワイヤを連続的に送給する送給部をもちワイヤ先端部
をトーチを通して被溶接物に向けて送給するワイヤ送給
手段と、パルス電流を含むアーク発生電流により、ワイ
ヤ先端部を溶融させて消耗するアークを発生する給電手
段とを用い、パルス電流に対して同期させてまたは所定
の位相差をもってワイヤ先端部を脈送して被溶接物に接
近させるワイヤ消耗式パルスアーク溶接方法において、
ワイヤ送給手段の送給部によりワイヤを略一定速度で被
溶接物に向けて送給しつつ、脈送手段により、被溶接物
に対面するトーチ先端部と送給部との間におけるワイヤ
の少なくとも一部においてワイヤ長を蓄積する第1形態
から、その蓄積量を解除または減少する第2形態へと切
替えることにより、ワイヤ先端部の速度を一時的に増大
させて被溶接物に向けて脈送することを特徴とするパル
スアーク溶接方法。
【0061】○脈送手段は、ワイヤの送給方向(ワイヤ
の伸びる方向)と交差する向きに変位可能な送給抵抗子
を備えているパルスアーク溶接装置または方法。 ○脈送手段は、ワイヤの送給方向(ワイヤの伸びる方
向)に沿う方向に伸縮可能な筒体を備えており、筒体の
伸長に伴いワイヤ送給路の全長をΔLfぶん長くしてワ
イヤ長を蓄積する第1形態と、筒体の収縮に伴いワイヤ
送給路の全長を戻してワイヤ長の蓄積を解除または減少
する第2形態とに切替可能であるパルスアーク溶接装置
またはパルスアーク溶接方法。
【0062】○図3に例示する様に、パルス電流IP
立ち上がりIPrよりも前の時刻においてワイヤ先端部の
速度が低下してワイヤの蓄積が開始され、パルス電流I
P の立ち下がりIPfの後で、ワイヤ先端部の送給速度が
増大することを特徴とするパルスアーク溶接装置、及
び、パルスアーク溶接方法。これによれば、ワイヤの蓄
積量を増大させ、脈送を効果的に行うのに有利である。
【0063】○図4に例示する様に、パルス電流IP
立ち上がりIPrよりも後の時刻においてワイヤ先端部の
速度が低下してワイヤの蓄積が開始され、パルス電流I
Pの立ち下がりIPfの後で、ワイヤ先端部の送給速度が
増大することを特徴とするパルスアーク溶接装置、及
び、パルスアーク溶接方法。
【0064】これによれば、パルス電流IP が出力され
ているときにおいても、ワイヤの送給量を確保できるの
で、コンタクトチップの熱をワイヤAに奪うのに有利と
なる。よってコンタクトチップの過熱、熱損傷を抑える
のに有利である。
【0065】
【発明の効果】本発明のワイヤ消耗式パルスアーク溶接
機によれば、ワイヤの長さを蓄積する第1形態と、蓄積
量を解除または減少させる第2形態とを切替え可能な脈
送手段を設け、脈送手段の第1形態から第2形態への切
替に伴い、ワイヤ先端部の速度を増大させてワイヤ先端
部を被溶接物に向けて脈送することにしている。
【0066】そのため本発明のワイヤ消耗式パルスアー
ク溶接機によれば、ワイヤ先端部の溶融に伴いワイヤ先
端部と被溶接物との間隔が増大する際において、脈送に
より、該間隔を速やかに矯正できる。そのため特開平6
−142927号公報に係る技術と同様に、ワイヤ先端
部と被溶接物との間隔を維持でき、アーク長の安定に有
利であり、溶接品質の向上に貢献できる。
【0067】また上記した特開平6−142927号公
報に係る技術によれば、ワイヤを送給するための送給モ
ータによる送給速度を可変とする可変制御装置を設けて
おり、この可変制御装置を利用してワイヤを脈送するこ
とにしているが、本発明のワイヤ消耗式パルスアーク溶
接機によれば、ワイヤの長さの蓄積と、その蓄積量の解
除または減少とを利用する方式が採用されており、その
ため両者は脈送という点において共通するものの、脈送
の方式が異なり、装置の複雑化、価格のアップ回避に有
利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る装置の全体の構成図である。
【図2】実施例1に係る脈送装置の構成図である。
【図3】実施例1に係るワイヤ先端部の様子と、電流及
びワイヤ先端部の速度との関係を示すタイミングチャー
トである。
【図4】実施例1に係るワイヤ先端部の様子と、電流及
びワイヤ先端部の速度との関係を示す別のタイミングチ
ャートである。
【図5】実施例2に係る装置の全体の構成図である。
【図6】実施例3に係る脈送装置の構成図である。
【図7】実施例4に係る脈送装置の構成図である。
【図8】実施例5に係る脈送装置をロボットアームに装
備した状態を示す構成図である。
【図9】実施例5に係る脈送装置の要部を示す構成図で
ある。
【図10】実施例6に係る脈送装置の要部を示す構成図
である。
【図11】従来公報技術に係るワイヤ先端部の様子と、
電流及びワイヤ先端部の速度との関係を示すタイミング
チャートである。
【図12】従来公報技術に係るワイヤ先端部の様子と、
電流及びワイヤ先端部の速度との関係を示す別のタイミ
ングチャートである。
【符号の説明】
図中、1aは給電手段、10はトーチ、10fはトーチ
先端部、11は被溶接物、Aはワイヤ、A1はワイヤ先
端部、A2は溶滴、12はワイヤ送給手段、14は送給
ローラ(送給部)、30は脈送装置、31は脈送制御
部、320、321は送給抵抗子、301、302は撓
み収容空間を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤを送給する送給部をもちワイヤ先端
    部を被溶接物に向けて送給するワイヤ送給手段と、 パルス電流を含むアーク発生電流により、前記ワイヤ先
    端部を溶融して消耗させるアークを前記ワイヤ先端部と
    前記被溶接物との間に発生する給電手段と、 前記ワイヤの少なくとも一部においてワイヤ長を蓄積す
    る第1形態と、その蓄積量を解除または減少する第2形
    態とに切替可能に設けられ、該第1形態から該第2形態
    への切替に伴い、前記パルス電流に対して同期させてま
    たは所定の位相差をもって前記ワイヤ先端部を前記被溶
    接物に脈送する脈送手段とを具備してなることを特徴と
    するワイヤ消耗式パルスアーク溶接機。
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