JPH09131253A - 繊維床タイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 住宅等の床敷物に要求される静置安定性、耐
久性に優れ、尚且、クッション性、歩行感、保温性、遮
音性等に優れた繊維床タイルを提供すること。 【解決手段】 上面より繊維質材料により構成された繊
維表面層（１）、高分子樹脂裏打ち層（２）、無機質又
は有機質繊維からなる織布又は不織布からなる補強材裏
打ち層（３）、厚み３ｍｍ以上の繊維質不織布であって
融着性繊維によって各繊維同士が融着補強されている融
着繊維含有繊維質裏打ち層（４）、高分子樹脂裏打ち層
（５）が順次積層されている繊維床タイル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、住宅等の床敷物として
利用される繊維床タイルの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、繊維床タイルは、敷設施工し易
い、持ち運びが容易、部分的な取換えが容易、色や形状
の組み合わせによる意匠性に優れているなどの長所を有
しており、これまでは非居住分野に普及してきたが、居
住分野においては商品の構造上、裏打ち層が硬く、居住
性がない等の理由で使用されず、専ら長尺繊維床材が多
く用いられてきた。しかし、居住分野に長尺繊維床材を
使用した場合には、汚れや磨耗が部分的なものであって
もその部分だけ取換えるわけにはゆかず全面取換えとな
り不経済であった。また取換えの際には長尺繊維床材の
上に配置されている家具等を全て移動しなければならず
作業が大変面倒であった。そこで、前述した長所を有す
る繊維床タイルの居住用として、裏打ち層に樹脂発泡体
や、繊維層を積層したものが開発され使用されている
が、これらは歩行感を重視するあまり、樹脂強度、弾性
強度が弱く、長期荷重による繊維表面層の剥離、弾性破
壊、伸びによる突き合わせ部での反り上がり、寸法安定
性が悪く温度による伸びや縮みが生じるなどの問題が起
きていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、住宅等の床敷物に要求される静置安定性、耐久
性に優れ、尚且、クッション性、歩行感、保温性、遮音
性等に優れた繊維床タイルを提供することを課題とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題は本発明の上面
より繊維質材料により構成された繊維表面層（１）、高
分子樹脂裏打ち層（２）、無機質又は有機質繊維製の織
布又は不織布からなる補強材裏打ち層（３）、厚み３ｍ
ｍ以上の繊維質不織布であって融着性繊維によって各繊
維同士が融着補強されている融着繊維含有繊維質裏打ち
層（４）、高分子樹脂裏打ち層（５）が順次積層されて
いる繊維床タイルによって解決される。以下本発明に付
いて説明する。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の繊維床タイルの繊維表面
層（１）は基布層（７）とパイル層（６）からなり、従
来タイルカーペットに用いられている、ナイロン、アク
リル、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維もし
くはウール等の天然繊維をポリエステル、ポリプロピレ
ン等の合成繊維の織布又は不織布の基布層にカット状、
ループ状あるいはカットとループとを組み合わせた状態
のパイル層を形成したものが使用される。特にパイル層
の密度等に拘らず居住用に十分耐えるものであれば良
い。この繊維表面層（１）は、デザイン性、保温性、吸
音性等を繊維床タイルに付与するものである。

【０００６】本発明の繊維床タイルの高分子樹脂裏打ち
層（２）及び（５）はエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、非晶性オレフィン重合体
樹脂、アスファルト系樹脂などの高分子樹脂が使用でき
るが、特に塩化ビニル樹脂及び非晶性オレフィン重合体
が性能、使い易さ、コスト等の面から好ましい。これら
の樹脂は高分子樹脂裏打ち層（２）に使用した場合、適
度な剛軟性を有するので荷重に対し樹脂面全体で受け、
点荷重による部分的な凹み、反り上がりを防ぐ。また、
十分な接着強度を有するので繊維表面層の剥離を防止す
る。さらに高分子裏打ち層（５）に使用した場合、適度
な剛軟性により、床下地に良く静置し、歩行等で生じる
横ズレ加重に対し十分に耐える効果を発揮する。

【０００７】本発明の繊維床タイルの補強材裏打ち層
（３）に使用される織布又は不織布は荷重に対して伸び
を防ぎ、温度変化に対して伸び、縮みを防ぐ等の性質を
有するものであれば使用できる。特にガラス繊維織布の
場合、その網目を通して高分子樹脂裏打ち層（２）内に
埋設させることが出来る為に、製造工程が簡略化でき、
且つ縦、横均衡のとれた補強効果が得られる。又、不織
布の場合目付けは３０ｇ／ｍ² 以上が寸法安定性の面か
ら好ましいが高分子樹脂裏打ち層（２）に十分含浸させ
ることが重要である。

【０００８】本発明の繊維床タイルの融着繊維含有繊維
質裏打ち層（４）は天然、合成、半合成等の有機繊維層
内に融点が１５０〜１７０℃の熱融着性繊維を前記有機
繊維１００重量部に対し２０〜５０重量部を均一に混繊
させ更にこの層の上面又は下面又は上下両面に２０〜５
０重量部のポリエステルスパンボンド不織布を重ね合わ
せ、同時にニードルパンチング機によりウエブ層を形成
させた後この有機繊維層間を加熱により溶融接着して結
合した不織布である。各繊維が機械的に絡み合っただけ
のニードルパンチ不織布では、せん断応力により繊維間
結合が切断されたり、取換え時の引っ張り力により繊維
間剥離などが発生する。又、各繊維が合成樹脂ラテック
ス等のバインダーで結合されたものは、柔軟性、クッシ
ョン性に欠け、荷重により樹脂破壊が生じて繊維間剥離
が生じるなどの問題がある。これに対し本発明の融着繊
維含有繊維質裏打ち層（４）は各繊維間が融点の低い同
質繊維による溶融接着によって結合されているので機械
的に強度があり、且つ柔軟性、クッション性の優れた特
性が得られる。融着繊維含有繊維質裏打ち層（４）の厚
さは居住分野におけるクッション性、歩行感、及び遮音
性等より３ｍｍ以上で密度０．０５〜０．０８ｇ／ｃｍ
³ が適当であるが、その製法によってはこれ以外でも良
い。

【０００９】本発明の繊維床タイルは、テフロンコーテ
ィングベルト上に高分子樹脂裏打ち層（５）をドクター
ナイフで１〜２ｍｍ厚となるよう塗布し、その上にクッ
ション層となる不織布層（４）を重ね合わせ、その上に
高分子樹脂裏打ち層（２）をドクターナイフで２〜３ｍ
ｍ厚に塗布し、その上に補強材裏打ち層（３）を貼り合
わせるように積層し、その上に繊維表面層（１）の基布
層（７）を下向きにして貼り合わせた後、層全面に加圧
して高分子樹脂裏打ち層（２）が繊維表面層（１）の基
布層（７）に充分含浸させ、次いで高分子樹脂裏打ち層
（２）及び高分子裏打ち層（５）の固型化加工処理を行
った後タイル状に裁断し本発明の繊維床タイルを得る。
高分子樹脂裏打ち層（２）又は（５）で使用する樹脂が
塩化ビニル樹脂の場合の固型化加工処理は１８０〜２２
０℃に加熱し次いで冷却する。また非晶性オレフィン重
合体組成物の場合１８０〜２００℃に加熱溶融した状態
で塗布されるのでその固型化加工処理は冷却だけであ
る。

【００１０】このようにして得た本発明の繊維床タイル
は従来なかった特徴を総合的に発揮し、特に加重に対し
ては面全体で受け局部的な凹みが生じず、クッション
性、歩行感、保温性、遮音性等の生活環境要求性能に優
れる。

【００１１】

【実施例】本発明の繊維床タイルは概略図１に示す構造
を有する。以下実施例に基づいて説明する。 ［実施例１］テフロンコーティングベルト上に塩化ビニ
ル樹脂（三菱化学社製 Ｐ−４１０Ｄ）１００重量部、
可塑剤（ＤＯＰ）１００重量部、安定剤（旭電化社製Ｏ
−１１０）１重量部、顔料（日弘ビックス社製ＴＷ−２
７）１重量部、無機質充填材（旭礦未社製Ｏ−２６０）
４００重量部からなるペースト状混練物（粘度 ２５，
０００ｃｐ Ｂ型粘度計）をドクターナイフで２ｍｍ厚
に塗布して高分子樹脂裏打ち層（５）を形成し、その上
に熱融着繊維（１７０℃タイプ）３０重量％含有ポリエ
ステル不織布（厚さ５ｍｍ）を重ね合わせて融着繊維含
有繊維質裏打ち層（４）を形成し、その上に塩化ビニル
樹脂（カネカ社製ＸＰＣＨ−８２）１００重量部、可塑
剤（ＤＯＰ）９０重量部、安定剤（旭電化社製Ｏ−１１
０）１重量部、顔料（日弘ビックス社製 ＴＷ−２７）
１重量部、無機充填材（旭礦未社製Ｏ−２６０）３００
重量部からなるペースト状混練物（粘度 １５，０００
ｃｐ Ｂ型粘度計）をドクターナイフで２ｍｍ厚に塗布
して高分子樹脂裏打ち層（２）を形成し、その上にガラ
ス繊維製メッシュ（縦６本／ｉｎ、横６本／ｉｎ）を積
層し、その上にアクリル１００％、Ｈｉ−Ｌｏループ、
パイル番手１／４Ｎｍ、パイル密度１／１０ゲージ、１
３スティッチ、パイル長さ２．５／６．５ｍｍ、パイル
重量６００ｇ／ｍ² のパイル層（６）とポリエステルス
パンボンドの基布層（７）からなる繊維表面層（１）の
基布層（７）を下にして貼り合わせた後１８０〜２２０
℃、５〜７分間加熱し、次いで冷却して固型化加工処理
を行い、裁断して本発明の繊維床タイルを得た。

【００１２】［実施例２］実施例１における高分子樹脂
裏打ち層（２）及び（５）に非晶性オレフィン樹脂（宇
部レキセン社製 ＵＴ−２３１５）１００重量部、石油
系粘着剤（三井石油化学 Ｔ−３００Ｘ）４０重量部、
結晶性ポリプロピレン（宇部レキセン Ｃ−３１４）１
０重量部、無機充填材（旭礦未社製Ｏ−２６０）３５０
重量部を混練加熱し、２００℃ 粘度 ２０，０００ｃ
ｐ で用いた点及び固型化加工処理が冷却だけである以
外は実施例１と同様にして本発明の繊維床タイルを得
た。

【００１３】［比較例１］ほぼ同一の繊維表面層の基布
層下面に化学発泡（発泡倍率７倍）させたポリウレタン
層（厚さ５ｍｍ）が積層された市販品の繊維床タイルを
比較例１として用意した。

【００１４】実施例１，２及び比較例１の繊維床タイル
について性能を測定しその結果を表１に示す。なお、各
性能の測定方法は次の通りである。 パイル引き抜き強度 … ＪＩＳ Ｌ−１０２３ ６ 動的荷重による厚さ減少 … ＪＩＳ Ｌ−１０２２ 静的荷重による厚さ減少 … ＪＩＳ Ｌ−１０２２ キャスターチャーによる … ＪＩＳ Ｌ−１９０４ ９ 寸法変化率 キャスターチャーによる … ＤＩＮ ５４３２４ 厚み変化率 熱及び水による … ＪＩＳ Ｌ−１９０４ ３ 寸法変化率 軽量床衝撃音 … ＪＩＳ Ａ−１４１８ タッピングハンマー ：スチール製 コンクリートスラブ厚み ：１５０ｍｍ

【００１５】

【表１】

【００１６】

【発明の効果】本発明の繊維床タイルは表１及び図２に
示される通り、居住分野の敷物に要求されるパイル引き
抜き強度、静置安定性、耐久性に優れ、尚且、クッショ
ン性、歩行感、遮音性に優れるので快適な居住環境を提
供する効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の繊維床タイルの構成を示す概略図。

【図２】本発明の繊維床タイルのＪＩＳ Ａ−１４１８
による軽量床衝撃音の測定結果を示すグラフ。本発明
の警棒の断面の説明図

【符号の説明】

１：繊維表面層 ２：高分子樹脂裏打ち層 ３：補強材裏打ち層 ４：融着繊維含有繊維質裏打ち層 ５：高分子樹脂裏打ち層 ６：パイル層 ７：基布層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面より繊維質材料により構成された繊
   維表面層（１）、高分子樹脂裏打ち層（２）、無機質又
   は有機質繊維製の織布又は不織布からなる補強材裏打ち
   層（３）、厚み３ｍｍ以上の繊維質不織布であって融着
   性繊維によって各繊維同士が融着補強されている融着繊
   維含有繊維質裏打ち層（４）、高分子樹脂裏打ち層
   （５）が順次積層されていることを特徴とする繊維床タ
   イル。
2. 【請求項２】 高分子樹脂裏打ち層（２）及び高分子樹
   脂裏打ち層（５）が塩化ビニル樹脂からなり、織布又は
   不織布からなる補強材裏打ち層（３）がガラス繊維製織
   布又は不織布からなることを特徴とする請求項１記載の
   繊維床タイル。
3. 【請求項３】 高分子樹脂裏打ち層（２）及び高分子樹
   脂裏打ち層（５）が非晶性オレフィン重合体組成物から
   なることを特徴とする請求項２記載の繊維床タイル。