JPH0912674A - エポキシ樹脂およびその製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂およびその製造方法

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JPH0912674A
JPH0912674A JP17616795A JP17616795A JPH0912674A JP H0912674 A JPH0912674 A JP H0912674A JP 17616795 A JP17616795 A JP 17616795A JP 17616795 A JP17616795 A JP 17616795A JP H0912674 A JPH0912674 A JP H0912674A
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stilbene
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泰弘 平野
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Masatsugu Akiba
真継 秋庭
Hiroshi Nakamura
宏 中村
Shigeki Naito
茂樹 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低融点を有し、溶剤への溶解性の良いスチルベ
ン系エポキシ樹脂およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 (ここで、R1〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6の鎖
状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原子
を示す。炭素−炭素二重結合に結合している二つのアリ
ール基は互いに同じではない。)で表され、融点が15
0℃以下であるスチルベン系エポキシ樹脂、またはこれ
の一種または二種以上と、一般式(2) 【化2】 (ここでR9〜R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜6の
鎖状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原
子を示す。)で表される、炭素−炭素二重結合に結合し
ている二つのアリール基は互いに同じであるスチルベン
系エポキシ樹脂の一種もしくは二種以上を必須成分とす
る、融点が150℃以下であるエポキシ樹脂混合物、お
よびこれらの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着、塗料、絶縁
材料や積層板等の電気電子材料、特に、電子部品の封止
用として有用なエポキシ樹脂またはその混合物、および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂に
ついては多くの研究例がある。例えば、無置換、あるい
はアルキル基が置換されたスチルベン骨格、好ましくは
メチル基が対称的な位置に置換されたスチルベン骨格を
有するビスフェノール化合物のグリシジルエーテル体が
開示されている(米国特許第4762901号、独国特許第362
2613号、特開昭63-23931)。エポキシ樹脂の原料とな
る、炭素−炭素二重結合に同じアリール基が置換したス
チルベン型ビスフェノール化合物についても報告例があ
り、4,4'-ジヒドロキシスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ
-3,3'-ジメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',
5,5'-テトラメチルスチルベン等の化合物の製法と物性
が開示されている(von Rolf H.Sieber,Liebigs Ann.Ch
em.730,31-46(1969))。また、スチルベン骨格を有する
エポキシ樹脂には液晶構造を発現するものがあり、液晶
性を有する化合物を液晶状態下にて少量の触媒を加えて
重合を行うと、液晶構造をそのまま保持した架橋体を得
ること、特定条件の電場下にて重合を行うことで液晶ド
メインの配向が起こることが報告されている(第3回次
世代産業基盤技術シンポジウム予稿集P182(1985))。
この中で4,4'-ジヒドロキシ−α−シアノスチルベンの
エポキシ化物が液晶性を示す化合物として例示されてい
る。また、機械特性を改良するために液晶性を示すもし
くはロッド状部分を有するエポキシ樹脂が提案されてい
る(特開平2-275872)。この特許でエポキシ化する水酸
基含有化合物として、4,4'-ジヒドロキシ−α−メチル
スチルベン、4,4'-ジヒドロキシスチルベン、4,4'-ジヒ
ドロキ-3,3',5,5'-テトラブロモスチルベン、4,4'-ジヒ
ドロキ-3,3',5,5'-テトラメチルスチルベン等が例示さ
れている。この様にスチルベン系エポキシ樹脂は、その
応用開発が数多く提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スチル
ベン系エポキシ樹脂は一般に融点が高く、溶剤への溶解
性も低いため、その使用方法は限られる。例えば、4,4'
-ジヒドロキシスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ
メチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テト
ラメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物の融点
は、それぞれ208〜215℃、150℃、151℃と高く、エポキ
シ硬化剤との均一混合や他の成分との均一混練が困難で
ある等の問題点があった。本発明の目的は、低融点を有
し、溶剤への溶解性の良いスチルベン系エポキシ樹脂お
よびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は次のとおりである。 [1]一般式(1)
【化3】 (ここで、R1〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6の鎖
状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原子
を示す。炭素−炭素二重結合に結合している二つのアリ
ール基は互いに同じではない。)で表され、融点が15
0℃以下であるスチルベン系エポキシ樹脂。
【0005】[2]一般式(1)において、R1がt−
ブチル基である上記[1]記載のスチルベン系エポキシ
樹脂。
【0006】[3]一般式(1)において、R1がt−
ブチル基であり、R5〜R8がt−ブチル基以外である上
記[1]記載のスチルベン系エポキシ樹脂。
【0007】[4]一般式(1)において、R1のt−
ブチル基が酸素原子の結合位置に対してオルソ位に結合
している上記[2]または[3]記載のスチルベン系エ
ポキシ樹脂。
【0008】[5]上記[1]記載の一般式(1)で表
されるスチルベン系エポキシ樹脂の一種または二種以上
と、一般式(2)
【化4】 (ここでR9〜R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜6の
鎖状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原
子を示す。)で表される、炭素−炭素二重結合に結合し
ている二つのアリール基は互いに同じであるスチルベン
系エポキシ樹脂の一種もしくは二種以上を必須成分とす
る、融点が150℃以下であるエポキシ樹脂混合物。
【0009】[6]一般式(1)で表されるスチルベン
系エポキシ樹脂において、R1がt−ブチル基である上
記[5]記載のエポキシ樹脂混合物。
【0010】[7]一般式(1)において、R1がt−
ブチル基であり、R5〜R8がt−ブチル基以外である上
記[5]または[6]記載のエポキシ樹脂混合物。
【0011】[8]一般式(1)において、R1がt−
ブチル基であり、アリール基において酸素原子の置換位
置に対してオルソ位に置換している上記[5]、[6]
または[7]記載のエポキシ樹脂混合物。
【0012】[9]150℃での溶融粘度が1ポイズ以
下である上記[5]、[6]、[7]または[8]記載
のエポキシ樹脂混合物。
【0013】[10]2種以上のフェノール類とクロロ
アセトアルデヒド類とを酸性物質の存在下で反応させて
得られた1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)−2−ク
ロロエタン誘導体を塩基性物質の存在下に脱塩酸反応を
行ってジヒドロキシスチルベン誘導体とした後、該ジヒ
ドロキシスチルベン誘導体を塩基性物質の存在下にエピ
ハロヒドリンと反応させることを特徴とするエポキシ樹
脂またはその混合物の製造方法。
【0014】[11]フェノール類が2,6−キシレノ
ール、2,4−キシレノール、3−メチル−6−t−ブ
チルフェノール、2−メチル−6−t−ブチルフェノー
ルからなる群から選ばれる2種以上である上記[10]
記載のエポキシ樹脂またはその混合物の製造方法。
【0015】[12]フェノール類が2,6−キシレノ
ールおよび3−メチル−6−t−ブチルフェノールの混
合物である上記[10]記載のエポキシ樹脂またはその
混合物の製造方法。
【0016】本発明における一般式(1)または(2)
で表されるエポキシ樹脂の置換基R 1〜R12を具体的に
例示すると、それぞれメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル
基(各異性体を含む)、塩素原子および臭素原子等があ
げられる。中でも製品の溶融粘度の低さや原料の入手の
容易さからメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
が好ましい。
【0017】本発明における一般式(1)で表されるエ
ポキシ樹脂の原料となる、炭素−炭素二重結合に結合し
ている二つのアリール基が互いに同じではないスチルベ
ン系フェノール類の具体例としては、3-t-ブチル-4,4'-
ジヒドロキシ-3'-メチルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'-
ジヒドロキシ-5,3'-ジメチルスチルベン、3-t-ブチル-
4,4'-ジヒドロキシ-3',6-ジメチルスチルベン、3-t-ブ
チル-4,4'-ジヒドロキシ-5-エチル-3'-メチルスチルベ
ン、3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-3'-メチル-5-プロ
ピルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-5-ブ
チル-3'-メチルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロ
キシ-5-アミル-3'-メチルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'
-ジヒドロキシ-5-ヘキシル-3'-メチルスチルベン、3-t-
ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-5-シクロヘキシル-3'-メチ
ルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-3',5,5'
-トリメチルスチルベン、3-t-ブチル-2,4'-ジヒドロキ
シ-3',5',6-トリメチルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'-
ジヒドロキシ-3',5',6-トリメチルスチルベン、3-t-ブ
チル-4,4'-ジヒドロキシ-3',5,-ジメチル-5'-プロピル
スチルベン、3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-3',6,-ジ
メチル-5'-プロピルスチルベン等(置換位置の異なる異
性体を含む)が例示できるが、合成の容易さ、性能、原
料の価格の面から3-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ-3',5,
5'-トリメチルスチルベン、3-t-ブチル-2,4'-ジヒドロ
キシ-3',5',6-トリメチルスチルベン、3-t-ブチル-4,4'
-ジヒドロキシ-3',5',6-トリメチルスチルベンが特に好
ましい。
【0018】一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の原
料となるスチルベン系フェノール類の具体例としては、
4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルスチルベン、3,3'-ジ
エチル-4,4'-ジヒドロキシスチルベン、4,4'-ジヒドロ
キシ-3,3'-ジプロピルスチルベン、3,3'-ジアミル-4,4'
-ジヒドロキシスチルベン、3,3'-ジヘキシル-4,4'-ジヒ
ドロキシスチルベン、3,3'-ジシクロヘキシル-4,4'-ジ
ヒドロキシスチルベン、2,2'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-
テトラメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,
5'-テトラメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-
ジ-t-ブチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t
-ブチル-5,5'-ジメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ
-3,3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチルスチルベン、2,2'-ジ
ヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチルスチルベ
ン、2,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチ
ルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ-t
-ブチルスチルベン等(置換位置の異なる異性体を含
む。)が例示できるが、中でも合成の容易さ、性能、原
料の価格の面から2,2'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ
メチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テト
ラメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブ
チル-5,5'-ジメチルスチルベン、4,4'-ジヒドロキシ-3,
3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチルスチルベン、2,2'-ジヒ
ドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチルスチルベ
ン、2,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-6,6'-ジメチ
ルスチルベンが特に好ましい。
【0019】本発明において、スチルベン系エポキシ樹
脂の出発原料として用いられるフェノール類としては下
記のものが具体例として例示できる。t-ブチル基を含む
ものとして、3-メチル-6-t-ブチルフェノール、2-メチ
ル-6-t-ブチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、2-
エチル-6-t-ブチルフェノール、2-プロピル-6-t-ブチル
フェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-イソブチ
ル-6-t-ブチルフェノール、2-アミル-6-t-ブチルフェノ
ール、2-アミル-6-t-ブチルフェノール、2-ヘキシル-6-
t-ブチルフェノール、2-シクロヘキシル-6-t-ブチルフ
ェノール等が例示できるが、最終生成物の融点や入手の
し易さ、価格の面から3-メチル-6-t-ブチルフェノー
ル、2-メチル-6-t-ブチルフェノールが特に好ましい。
また、t-ブチル基を含まないものとして、クレゾール、
キシレノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフ
ェノール、メチルエチルフェノール、メチルプロピルフ
ェノール、メチルイソブチルフェノール、メチルヘキシ
ルフェノール、メチルシクロヘキシルフェノール等(各
異性体を含む)が例示できる。これらの中でもキシレノ
ールが性能、価格のバランスで特に好ましい。
【0020】本発明において、スチルベン系エポキシ樹
脂の出発原料として用いられるクロロアセトアルデヒド
類としては、クロロアセトアルデヒド、クロロアセトア
ルデヒド水溶液、クロロアセトアルデヒドのアセタール
類、クロロアセトアルデヒドのトリオキサン型三量体等
が例示される。
【0021】使用するクロロアセトアルデヒド類の量は
フェノール類の合計モル量を1として0.8〜1.4倍
モル、好ましくは等量配合で行う。この範囲より少ない
と未反応フェノール類が製品に残存し易く、この範囲を
超えると、製品が高分子量化し易い。
【0022】クロロアセトアルデヒド類とフェノール類
との反応は通常、酸性物質の存在下に実施させるが、こ
の様な物質としては、発煙硫酸、濃硫酸、硫酸水溶液、
濃塩酸、塩化水素ガス、塩酸水溶液、トリフルオロスル
ホン酸等の無機酸、p-トルエンスルホン酸、クロロ酢
酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、ヘ
テロポリ酸、酸性イオン交換樹脂等が例示できるが、濃
硫酸が高純度の製品を簡便に得られる点で好ましい。使
用する量はクロロアセトアルデヒド類に対して0.1〜
10倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルである。この
範囲より小さいと反応の進行が遅く、この範囲を超えて
使用しても一定以上の効果は得られない。
【0023】反応溶媒としてはトルエン、キシレン等の
炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
メタノール、プロパノール等のアルコール類、ジメチル
スルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルム
アミド等の非プロトン性極性溶媒、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール等のグリコール類、酢酸等の
酸性溶媒等が例示できるが、中でも酢酸が好ましい。こ
れらの溶媒は一種、もしくは二種以上が使用できる。
【0024】溶媒の使用量は、フェノール類とクロロア
セトアルデヒド類に対して0.1〜20重量倍、好まし
くは0.5〜10重量倍が好ましい。この範囲以下であ
ると反応によって析出した結晶により撹拌が困難とな
り、この範囲を超えると、反応一回当たりの製品得量が
低下し、経済的に不利となる。
【0025】反応は、フェノール類とクロロアセトアル
デヒド類を溶媒に溶かしておいてから、酸性物質を滴下
するか、フェノール類と酸性物質を先に反応容器に仕込
んでおいてから、クロロアセトアルデヒド類を滴下して
も良い。滴下時間は通常0.5時間から10時間以内で
ある。滴下後は3〜24時間反応を行う。温度は−30
〜60℃、好ましくは−10〜40℃で行う。この温度
以下では反応の進行が遅く、この範囲を超えると不純物
の生成が顕著となる。反応後、析出した結晶を濾別し、
水洗を行なってから減圧下に乾燥を行う。このようにし
て本発明のエポキシ樹脂の中間体である1,1-ビス(ヒド
ロキシフェニル)-2-クロロエタン誘導体が得られる。
【0026】次に、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2
-クロロエタン誘導体の脱塩酸/転位反応を行う。この
化合物を溶媒に溶解し、苛性ソーダ水溶液等の塩基性物
質を滴下することにより、容易に行うことができる。使
用する溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素
類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノー
ル、プロパノール等のアルコール類、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等
の非プロトン性極性溶媒、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のグリコール類、酢酸等の酸性溶媒等
が例示できるが、中でもメタノール、プロパノール等の
アルコール類が好ましい。これらの溶媒は一種、もしく
は二種以上が使用できる。
【0027】溶媒の使用量は、1,1-ビス(ヒドロキシフ
ェニル)-2-クロロエタン誘導体に対して0.1〜20
重量倍、好ましくは0.5〜10重量倍が好ましい。こ
の範囲以下であると反応中に析出した塩により撹拌が困
難となり、この範囲を超えると、反応一回当たりの製品
得量が低下し、経済的に不利となる。
【0028】反応に使用する塩基性物質としては、苛性
ソーダ、苛性カリ等の粉末、ペレット、水溶液がある
が、中でも苛性ソーダの水溶液が取扱い性や価格の面で
好ましい。使用する量は1,1-ビス(ヒドロキシフェニ
ル)-2-クロロエタン誘導体に対して1〜5倍モル、好
ましくは1〜2倍モルが好ましい。この範囲以下である
と未反応物が残存し、この範囲を超えて使用しても、一
定以上の効果は得られない。
【0029】反応は、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)
-2-クロロエタン誘導体を溶媒に溶かしておいてから、
塩基性物質を滴下するか、フェノール類と酸性物質を先
に反応容器に仕込んでおいてから、1,1-ビス(ヒドロキ
シフェニル)-2-クロロエタン誘導体を粉体のまま、あ
るいは溶液、スラリーの状態で滴下する。滴下時間は通
常0.5時間から10時間以内が好ましい。滴下後は3
〜24時間反応を行うのが好ましい。温度は好ましくは
−20〜150℃、さらに好ましくは20〜100℃で
ある。この温度以下では反応の進行が遅く、この範囲を
超えて反応を行っても一定以上の効果は得られない。
【0030】反応後は反応系を中和してから溶媒回収を
行う。溶媒回収後、反応容器内に水を入れることによ
り、反応混合物は容易に結晶化する。これを濾取後、水
洗してから減圧下に乾燥する。このようにして本発明の
エポキシ樹脂の中間体であるスチルベン骨格を持つビス
フェノール化合物が得られる。
【0031】本発明のスチルベン系エポキシ樹脂は、上
記のようにして得たスチルベン系のビスフェノールをグ
リシジルエーテル化する周知の方法によって得ることが
できる。つまり、ビスフェノールとエピハロヒドリンと
を、苛性ソーダ等のアルカリの存在下で反応させる方法
である。特に、高純度品を得る場合には、特開昭60-315
17号の様に、非プロトン性溶媒やジオキサン等の溶媒を
用いる反応が好適である。
【0032】本発明において、一般式(1)で表される
エポキシ樹脂と一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の
混合物は、それぞれ別々に合成して、混合して調製して
も良い。また、エポキシ化までの工程の途中まで別々に
合成し、その段階で混合してから残りの工程の反応を行
うことによって得ることもできる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。例中、エポキシ当量と
は、エポキシ基1個あたりのエポキシ樹脂の分子量で定
義される。
【0034】参考例1 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−1 温度計、撹拌機、コンデンサーを備えた2リットル四ツ
口フラスコに2,6−キシレノール(以下26XYと略
す。)244.4g(2.0mol)、40.5%クロ
ロアセトアルデヒド水溶液193.8g(1.0mo
l)および酢酸376gを仕込み、撹拌、溶解し、5℃
まで冷却した。次に、濃硫酸122g(1.2mol)
を酢酸84gに混合した溶液を5℃にて3時間かけて滴
下、その後25℃で6時間反応系を保温し、終夜室温で
撹拌を続けた。系の温度を5℃まで冷却し、析出した結
晶を濾別した。結晶を500gの水で6回洗浄し、その
後40℃にて8時間真空乾燥し、無色結晶264g(収
率86.6%)を得た(XYCEとする)。ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す。2
54nmの紫外線により検出)による純度は98.3
%、赤外吸収スペクトルにより3500cm-1付近に水酸
基による幅広い吸収が確認された。また、質量分析スペ
クトルにより、分子量304のフラグメントが観察でき
た。
【0035】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−1 温度計、撹拌機、コンデンサーの付いたリットル四ツ口
フラスコに(1)で得たXYCE225.6gとメタノ
ール451.2gを仕込み、窒素気流下、撹拌して溶解
させた。48.3%苛性ソーダ水溶液91.9gを内温
30℃、1時間で滴下した。次に昇温しメタノールを還
流させながら3時間反応させた。反応後、高速液体クロ
マトグラフィー(以下LCと略す)で原料のXYCEは
完全に消失していた。60℃まで冷却後、濃塩酸37.
5gを加えて中和し、メタノールを留去した。続いて温
水1000gを加えて、析出した結晶を濾取した。結晶
を水洗後、80℃で8時間真空乾燥を行い黄色結晶19
2g(96.7%)を得た(XYSBとする)。GPC
による純度は98.1%、赤外吸収スペクトルにより3
400cm-1付近に水酸基による幅広い吸収が確認され
た。また、質量分析スペクトルにより、分子量268の
フラグメントが観察できた。
【0036】(3)エポキシの合成−1 (2)で得られた原料フェノール(XYSB)100g
を温度計、撹拌機、滴下漏斗、分離管付きコンデンサー
の付いた反応容器に仕込み、エピクロルヒドリン48
5.6g、1,4−ジオキサン242.8gに溶解し
た。反応系内を140torrに保ちながら、温度62
℃で、48.3%苛性ソーダ61.71gを5時間で連
続的に滴下した。 この間、温度は62℃に保ちなが
ら、共沸するエピクロルヒドリンと水を冷却液化し、有
機層を反応系内に戻しながら反応させた。反応終了後
に、未反応エピクロルヒドリンと1,4−ジオキサンと
を減圧濃縮により除去し、副生塩とグリシジルエーテル
をメチルイソブチルケトン800gに溶解させ、副生塩
とジメチルスルホキシドを水洗により除去した。その後
160℃、10torrにてメチルイソブチルケトンを
減圧留去し目的物を122.2g(86.2%)得た
(XYCC−Eとする)。GPC(示差屈折率計により
検出)による純度は93.0%、このものの融点は15
1℃、エポキシ当量は198g/eqであった。赤外吸
収スペクトル測定の結果、フェノール性水酸基による吸
収は消失し、エポキシによる1240cm -1、915c
-1の吸収を有することが確認された。
【0037】参考例2 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−2 参考例1(1)の場合で26XY244.4g(2.0
mol)の代わりに3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール(以下3M6Bと略す。)328.5g(2.0m
ol)を用いた他は同様に操作を行い、淡紫結晶を31
7g(81.5%)得た(XMCE−100とする)。
GPC(254nmの紫外線により検出)による純度は
87.7%、赤外吸収スペクトルにより3500cm-1
近に水酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量
分析スペクトルにより、分子量389のフラグメントが
観察できた。
【0038】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−2 参考例1(2)の場合で、XYCEの代わりに参考例2
(1)で得られたXMCE−100を用いて同様に実験
を行い、淡黄色結晶134g(94.8%)を得た(X
MSB−100とする)。GPCによる純度は93.5
%、赤外吸収スペクトルにより3100cm-1付近に水
酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量分析ス
ペクトルにより、分子量352のフラグメントが観察で
きた。
【0039】(3)エポキシの合成−2 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりにXMSB−
100を用いた他は同様に操作を行い、同様にエポキシ
化を行って目的物を54.7g(36.2%)得た(X
MCC−100Eとする)。GPC(示差屈折率計によ
り検出)による純度は95.2%であった。また、この
ものの融点は220〜224℃、エポキシ当量は230
g/eqであった。赤外吸収スペクトル測定の結果、フ
ェノール性水酸基による吸収は消失し、エポキシによる
1230、920cm-1の吸収を有することが確認され
た。
【0040】実施例1 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−3 参考例1(1)の場合で26XY244.4g(2.0
mol)の代わりに26XY195.5g(1.6mo
l)と3M6B65.7g(0.4mol)を用いた他
は同様に操作を行い、淡紫結晶を271g(84.1
%)得た(XMCE−20とする)。GPC(254n
mの紫外線により検出)による純度は97.7%、赤外
吸収スペクトルにより3450と3550cm-1付近に
水酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量分析
スペクトルにより、分子量346、304のフラグメン
トが観察できた。また、LCによる分析で参考例4のX
MCE−100は検出されなかった。
【0041】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−3 参考例1(2)の場合で、XYCEの代わりに実施例1
(1)で得られたXMCE−20を144.8gを用い
て同様に実験を行い、黄色結晶124g(96.6%)
を得た(XMSB−20とする)。GPC(254nm
の紫外線により検出)による純度は97.1%、赤外吸
収スペクトルにより3400cm-1付近に水酸基による
幅広い吸収が確認された。また、質量分析スペクトルに
より、分子量310、268のフラグメントが観察でき
た。また、LCによる分析で参考例5のXMSB−10
0は検出されなかった。
【0042】(3)エポキシの合成−3 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりに上記(2)
で得られたXMSB−20を99.7g用いた他は同様
に操作を行い、目的物を131g(94%)得た(XM
CC−20Eとする)。GPC(示差屈折率計により検
出)による純度は93.6%、26XYと3M6Bを分
子中に持つスチルベン系エポキシ化合物は39.6%で
あった。このものの融点は110〜130℃、エポキシ
当量は208g/eqであった。赤外吸収スペクトル測
定の結果、フェノール性水酸基による吸収は消失し、エ
ポキシによる1240、920cm-1の吸収を有するこ
とが確認された。
【0043】実施例2 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−4 参考例1(1)の場合で26XY244.4g(2.0
mol)の代わりに26XY171.1g(1.4mo
l)と3M6B98.6g(0.6mol)gを用いた
他は同様に操作を行い、淡紫結晶を253g(76.7
%)得た(XMCE−30とする)。GPC(254n
mの紫外線により検出)による純度は96.0%、赤外
吸収スペクトルにより3450と3550cm-1付近に
水酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量分析
スペクトルにより、分子量346、304のフラグメン
トが観察できた。また、LCによる分析で参考例4のX
MCE−100は検出されなかった。
【0044】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−4 参考例1(2)の場合で、XYCEの代わりに上記
(1)で得られたXMCE−30を122.1gを用い
て同様に実験を行い、黄色結晶108g(99.4%)
を得た(XMSB−30とする)。GPC(254nm
の紫外線により検出)による純度は93.3%、赤外吸
収スペクトルにより3400cm-1付近に水酸基による
幅広い吸収が確認された。また、質量分析スペクトルに
より、分子量310、268のフラグメントが観察でき
た。また、LCによる分析で参考例2(2)のXMSB
−100は検出されなかった。
【0045】(3)エポキシの合成−4 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりに上記(2)
で得られたXMSB−30を95.4g用いた他は同様
に操作を行い、目的物を118g(89.5%)得た
(XMCC−30Eとする)。GPC(示差屈折率計に
より検出)による純度は86.6%、26XYと3M6
Bを分子中に持つスチルベン系エポキシ化合物は53.
2%であった。このものは室温で半固形状であり、エポ
キシ当量は200g/eqであった。溶融粘度は150
℃で0.16ポイズであった。赤外吸収スペクトル測定
の結果、フェノール性水酸基による吸収は消失し、エポ
キシによる吸収1260、910cm-1の吸収を有する
ことが確認された。
【0046】実施例3 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−5 参考例1(1)の場合で26XY244.4g(2.0
mol)の代わりに26XY122.2g(1.0mo
l)と3M6B164.3g(1.0mol)gを用い
た他は同様に操作を行い、無色結晶を321g(92.
5%)得た(XMCE−50とする)。GPC(254
nmの紫外線により検出)による純度は90.7%、赤
外吸収スペクトルにより3450と3550cm-1付近
に水酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量分
析スペクトルにより、分子量346、304および微量
の389のフラグメントが観察できた。
【0047】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−5 参考例1(2)の場合で、XYCEの代わりに上記
(1)で得られたXMCE−50を114.7gを用い
て同様に実験を行い、淡褐色結晶98.5g(95.8
%)を得た(XMSB−50とする)。GPC(254
nmの紫外線により検出)による純度は96.5%であ
り、26XYと3M6Bを分子中に持つスチルベン化合
物が86.4%であった。赤外吸収スペクトルにより3
400cm-1付近に水酸基による幅広い吸収が確認され
た。また、質量分析スペクトルにより、分子量310、
268および微量の352のフラグメントが観察でき
た。
【0048】(3)スチルベン系ビスフェノールの精製 実施例3(2)で得られたXMSB−50をトルエンか
ら再結晶した。結晶をシクロヘキサンで洗浄後、減圧下
に乾燥して褐色微結晶を得た。高速液体クロマトグラフ
ィー(以下LCと略)による純度は99.1%であり、
実施例3(2)で得られた26XYと3M6Bを分子中
に持つスチルベン系ビスフェノールのLCの保持時間と
完全に一致した。赤外吸収スペクトルにより3500cm
-1付近に水酸基による幅広い吸収が確認された。また、
質量分析スペクトルにより、分子量310のフラグメン
トが観察できた。 ・融点 175〜179℃ ・ 1H−NMR δ:1.43ppm(s、t−ブチル基、9H) 2.27ppm(s、Ar−CH3、6H) 2.33ppm(s、Ar−CH3、3H) 4.77ppm(brs、水酸基、2H) 6.5〜7.5ppm (m、Ar−H、−CH=CH−、6H)
【0049】(4)エポキシの合成−5 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりに上記(2)
で得られたXMSB−50を99.7g用いた他は同様
に操作を行い、目的物を131g(94%)得た(XM
CC−50Eとする)。GPC(示差屈折率計により検
出)による純度は93.5%、26XY残基と3M6B
残基を分子中に持つスチルベン系エポキシ化合物は8
0.5%であった。このものの融点は45℃、エポキシ
当量は226g/eq、溶融粘度は150℃で0.2ポ
イズであった。赤外吸収スペクトル測定の結果、フェノ
ール性水酸基による吸収は消失し、エポキシによる吸収
1260、920cm-1の吸収を有することが確認され
た。
【0050】(5) エポキシの合成−6 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりに実施例3
(3)で得られた再結晶品を38.8g用いた他は同様
に操作を行い、淡黄色の粘稠液状物を50.2g(95
%)得た。LCによる26XYと3M6Bを分子中に持
つスチルベン系エポキシ化合物の純度は94.2%であ
った。赤外吸収スペクトル測定の結果、フェノール性水
酸基による吸収は消失し、エポキシによる吸収126
0、910cm -1の吸収を有することが確認された。 ・ 1H−NMR δ:1.42ppm(s、t−ブチル基、9H) 2.32ppm(s、Ar−CH3、6H) 2.38ppm(s、Ar−CH3、3H) 2.7〜3.0ppm(m、エポキシ−CH2、4H) 3.4ppm(m、エポキシ−CH、2H) 3.7〜4.3ppm(m、−OCH2、4H) 6.6〜7.5ppm (m、Ar−H、−CH=CH−、6H)
【0051】実施例4 (1)1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)-2-クロロエタ
ン誘導体の合成−6 参考例1(1)の場合で26XY244.4g(2.0
mol)の代わりに26XY91.7g(0.75mo
l)と3M6B164.3g(1.25mol)を用い
た他は同様に操作を行い、淡紫結晶を315g(88.
0%)得た(XMCE−62.5とする)。GPC(2
54nmの紫外線により検出)による純度は94.4
%、赤外吸収スペクトルにより3450と3550cm
-1付近に水酸基による幅広い吸収が確認された。また、
質量分析スペクトルにより、分子量346、389、3
04のフラグメントが観察できた。
【0052】(2)スチルベン系ビスフェノールの合成
−6 参考例1(2)の場合で、XYCEの代わりに上記
(1)で得られたXMCE−62.5を121.1gを
用いて同様に実験を行い、淡褐色結晶103g(94.
7%)を得た(XMSB−62.5とする)。GPC
(254nmの紫外線により検出)による純度は92.
0%、赤外吸収スペクトルにより3500cm -1付近に
水酸基による幅広い吸収が確認された。また、質量分析
スペクトルにより、分子量310、268、352のフ
ラグメントが観察できた。
【0053】(3)エポキシの合成−7 参考例1(3)の場合でXYSBの代わりに実施例4
(2)で得られたXMSB−62.5を80.3g用い
た他は同様に操作を行い、目的物を95.2g(87.
9%)得た(XMCC−62.5Eとする)。GPC
(示差屈折率計により検出)による純度は85.8%、
26XYと3M6Bを分子中に持つスチルベン系エポキ
シ化合物は71.0%であった。このものの融点は10
5〜125℃、エポキシ当量は230g/eq、また、
溶融粘度は150℃で0.4ポイズであった。赤外吸収
スペクトル測定の結果、フェノール性水酸基による吸収
は消失し、エポキシによる吸収1260、915cm-1
の吸収を有することが確認された。
【0054】実施例5、溶媒に対するエポキシ樹脂の溶
解度試験 実施例1、2、3、4または参考例1、2で得られたエ
ポキシ樹脂(それぞれXMCC−20E、XMCC−3
0E、XMCC−50E、XMCC−62.5E、XM
CC−100E、XYCC−E)20重量部にメチルイ
ソブチルケトン80重量部を加え、80℃に加熱した時
の溶解度を調べた。また、参考例1と2で得られたエポ
キシ樹脂をそれぞれ10重量部ずつをメチルイソブチル
ケトン80重量部に加えて同様に溶解度を調べた。結果
を表1に示す。溶解した場合には○、溶解しなかった場
合には×の記号で示した。また、それぞれの樹脂の融点
も併記した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の互いに異なるアリール基を持つ
スチルベン系エポキシ化合物またはそれをを含むエポキ
シ樹脂混合物は、互いに等しいアリール基を持つスチル
ベン系エポキシ樹脂またはそれを含むエポキシ樹脂混合
物と比較して低融点である。このためこれらの樹脂等
は、従来品に比べ作業性や成形性が改善され、これらを
用いて成形加工を行う場合、製品化工程の時間短縮等、
経済性や生産性の面で優れる。また、本発明のエポキシ
樹脂等を用いると従来のものに比べ応用範囲も広がる。
本発明のエポキシ樹脂等の融点はアリール基の置換基を
変えることによって大きく変化させることができ、例え
ば150℃から室温で液状のものまで幅広い対応が可能
であり、目的や用途に応じて柔軟に対応することができ
る。また、本発明のエポキシ樹脂等は、従来のものと比
べ溶剤への溶解度も向上しており、ワニスや塗料といっ
た用途にも対応できる。この様に本発明のエポキシ樹脂
等は、接着、塗料、絶縁材料や積層板等の電気電子材
料、特に電子部品の封止用として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 宏 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 内藤 茂樹 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (ここで、R1〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6の鎖
    状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原子
    を示す。炭素−炭素二重結合に結合している二つのアリ
    ール基は互いに同じではない。)で表され、融点が15
    0℃以下であるスチルベン系エポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】一般式(1)において、R1がt−ブチル
    基である請求項1記載のスチルベン系エポキシ樹脂。
  3. 【請求項3】一般式(1)において、R1がt−ブチル
    基であり、R5〜R8がt−ブチル基以外である請求項1
    記載のスチルベン系エポキシ樹脂。
  4. 【請求項4】一般式(1)において、R1のt−ブチル
    基が酸素原子の結合位置に対してオルソ位に結合してい
    る請求項2または3記載のスチルベン系エポキシ樹脂。
  5. 【請求項5】請求項1記載の一般式(1)で表されるス
    チルベン系エポキシ樹脂の一種または二種以上と、一般
    式(2) 【化2】 (ここでR9〜R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜6の
    鎖状または環状アルキル基、水素原子またはハロゲン原
    子を示す。)で表される、炭素−炭素二重結合に結合し
    ている二つのアリール基は互いに同じであるスチルベン
    系エポキシ樹脂の一種もしくは二種以上を必須成分とす
    る、融点が150℃以下であるエポキシ樹脂混合物。
  6. 【請求項6】一般式(1)において、R1がt−ブチル
    基である請求項5記載のエポキシ樹脂混合物。
  7. 【請求項7】一般式(1)において、R1がt−ブチル
    基であり、R5〜R8がt−ブチル基以外である請求項
    5、6または7記載のエポキシ樹脂混合物。
  8. 【請求項8】一般式(1)において、R1がt−ブチル
    基であり、アリール基において酸素原子の置換位置に対
    してオルソ位に置換している請求項5、6または7記載
    のエポキシ樹脂混合物。
  9. 【請求項9】150℃での溶融粘度が1ポイズ以下であ
    る請求項5、6、7または8記載のエポキシ樹脂混合
    物。
  10. 【請求項10】2種以上のフェノール類とクロロアセト
    アルデヒド類とを酸性物質の存在下で反応させて得られ
    た1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)−2−クロロエ
    タン誘導体を塩基性物質の存在下に脱塩酸反応を行って
    ジヒドロキシスチルベン誘導体とした後、該ジヒドロキ
    シスチルベン誘導体を塩基性物質の存在下にエピハロヒ
    ドリンと反応させることを特徴とするエポキシ樹脂また
    はその混合物の製造方法。
  11. 【請求項11】フェノール類が2,6−キシレノール、
    2,4−キシレノール、3−メチル−6−t−ブチルフ
    ェノール、2−メチル−6−t−ブチルフェノールから
    なる群から選ばれる2種以上である請求項10記載のエ
    ポキシ樹脂またはその混合物の製造方法。
  12. 【請求項12】フェノール類が2,6−キシレノールお
    よび3−メチル−6−t−ブチルフェノールの混合物で
    ある請求項10記載のエポキシ樹脂またはその混合物の
    製造方法。
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