JPH09123633A - 感熱孔版印刷原紙およびこれに用いるフイルム - Google Patents

感熱孔版印刷原紙およびこれに用いるフイルム

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JPH09123633A
JPH09123633A JP7279283A JP27928395A JPH09123633A JP H09123633 A JPH09123633 A JP H09123633A JP 7279283 A JP7279283 A JP 7279283A JP 27928395 A JP27928395 A JP 27928395A JP H09123633 A JPH09123633 A JP H09123633A
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film
heat
polyester
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base paper
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JP7279283A
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Kotaro Kato
光太郎 加藤
Hiroshi Tomita
博史 冨田
Hiroshi Tateishi
比呂志 立石
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた穿孔感度を有し、且つ印刷時の解像
度、印字品位性、耐刷性の改善された感熱孔版印刷原紙
用フイルムを提供する。 【解決手段】 二軸延伸ポリエステルフイルムであっ
て、該フイルムを構成するポリエステルが(A)ポリエ
チレンテレフタレート系ポリエステル、(B)ポリヘキ
サメチレンテレフタレート系ポリエステルおよび(C)
ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルが下記式
(1)〜(3)を満足する割合で含有され且つフイルム
の150℃における熱収縮率が30%以上であることを
特徴とする感熱孔版印刷原紙用フイルム。 35≦a≦65・・・(1) 15≦b≦45・・・(2) 0≦c≦45・・・(3) ここで、aは(A)成分の割合(重量%)、bは(B)
成分の割合(重量%)、cは(C)成分の割合(重量
%)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版印刷原紙
およびこれに用いるフイルムに関する。さらに詳しく
は、穿孔感度に優れ、印刷時の解像度(階調性)、印字
品位性、耐刷性(印刷耐久性)の改良された感熱孔版印
刷原紙およびこれに用いるフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、キセノンフラッシュランプやサー
マルヘッド、あるいはレーザー光線等のパルス照射等で
穿孔製版する感熱孔版印刷原紙として、感熱孔版印刷原
紙用フイルムと多孔性薄葉支持体を貼合わせたものが用
いられている。そして、この感熱孔版印刷原紙用フイル
ムとしては、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体フイ
ルム、ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンテレフタ
レート共重合体フイルム等が使用され、また多孔性薄葉
支持体としては、薄葉紙、ポリエステル(ポリエチレン
テレフタレート)紗等が使用されている。
【0003】また近年、感熱孔版印刷原紙用フイルムそ
のものを、多孔性薄葉支持体を用いないで感熱孔版印刷
原紙(支持体レス感熱孔版印刷原紙)として使用するこ
とが提案されている(特開平5−185574号公報お
よび特開平5−220919号公報参照)。そして、こ
のフイルムの具体例としてエチレンテレフタレート−シ
クロヘキサンジメチレンテレフタレートコポリエステル
からなる二軸延伸フイルムが示されている。
【0004】かかる感熱孔版印刷原紙用フイルムには、
以下の特性が要求される。 (1)熱穿孔感度が良いこと。すなわち、少量の熱量で
溶融し且つ印刷時の画像が鮮明になるような適度な大き
さの穿孔が得られるような十分な熱収縮率を有するこ
と。この熱穿孔感度が良いと、製版時間の短縮、キセノ
ンフラッシュランプやサーマルヘッドに印加するエネル
ギーが少なくてすむことによる寿命アップ等のメリット
がある。 (2)多孔性薄葉支持体とのラミネートおよび印刷時の
作業に十分耐え得る強度、弾性率を有すること。また、
かかる作業において、加熱工程があってもその影響で原
紙の著しいカール等の問題が生じないこと。 (3)熱穿孔の階調性が良いこと。原紙として使用する
際、穿孔されるべき部分以外が周囲の穿孔の影響で溶融
してしまうと、印刷画像の階調性が劣るようになり好ま
しくない。すなわち、穿孔される部分と穿孔されない部
分とがはっきり区分できるような熱穿孔特性を有するこ
と。
【0005】また、これらの要件に加え、フイルム製造
時の生産性にも優れることが好ましく、具体的にはフイ
ルムの延伸性が良好で、破断等のトラブルを起こさず、
また巻取り性、スリット性も良好で、巻取時にシワが入
ったり、巻きずれを起こしたりしないことが好ましい。
かかる点から、二軸延伸フイルムであって、その熱的特
性を規定することで印刷特性を改善した感熱孔版印刷原
紙用フイルム(特開昭62−149496号公報参照)
や熱収縮特性を規定した感熱孔版印刷原紙用フイルム
(特開昭62−282983号公報参照)が提案されて
いるが、上記したすべて要件を十分満足するものではな
かった。特に、支持体レス感熱孔版印刷原紙用のフイル
ムは、それ自体が支持体の機能も発現する必要があり、
より一層の熱穿孔感度、階調性等が求められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、穿孔
感度に優れ、印刷時の解像度、印字品位性、耐刷性の改
善された感熱孔版印刷原紙用フイルムを提供することに
ある。本発明の他の目的は、穿孔感度に優れ、印刷時の
解像度、印字品位性、耐刷性の改善された感熱孔版印刷
原紙用フイルムを多孔性薄葉支持体と貼合せた感熱孔版
印刷原紙を提供することにある。本発明のさらに他の目
的は、穿孔感度に優れ、印刷時の解像度、印字品位性、
耐刷性の改善された感熱孔版印刷原紙用フイルムのみか
らなる支持体レス感熱孔版印刷原紙を提供することにあ
る。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明
から明らかになろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的および
利点は、本発明によれば第一に、二軸延伸ポリエステル
フイルムであって、該フイルムを構成するポリエステル
が(A)ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、
(B)ポリヘキサメチレンテレフタレート系ポリエステ
ルおよび(C)ポリブチレンテレフタレート系ポリエス
テルを下記式(1)〜(3)
【0008】35≦a≦65・・・(1) 15≦b≦45・・・(2) 0≦c≦45・・・(3)
【0009】ここで、aは(A)成分の割合(重量
%)、bは(B)成分の割合(重量%)、cは(C)成
分の割合(重量%)である、を満足する割合で含有し且
つフイルムの150℃における熱収縮率が30%以上で
あることを特徴とする感熱孔版印刷原紙用フイルムによ
って達成される。
【0010】本発明における感熱孔版印刷原紙とは、前
述したように、キセノンフラッシュランプやサーマルヘ
ッド、あるいはレーザー光線等のパルス照射等による熱
を受けることにより穿孔製版されるもので、感熱孔版印
刷原紙用フイルムそのものを使用するもの(支持体レス
感熱孔版印刷原紙)および感熱孔版印刷原紙用フイルム
と多孔性薄葉支持体とを貼合せたものとがある。そし
て、この感熱孔版印刷原紙用フイルム(以下、感熱フイ
ルムということがある)は、閃光照射やサーマルヘッド
の熱を受けた時、被印刷原紙の文字等の部分が穿孔され
る部分を形成する。
【0011】本発明において、二軸延伸フイルムを構成
するポリエステルは、(A)ポリエチレンテレフタレー
ト(以下、PETと略記する)系ポリエステルと(B)
ポリヘキサメチレンテレフタレート(以下、PHTと略
記する)系ポリエステルの特定割合からなるもの、ある
いはこれらと(C)ポリブチレンテレフタレート(以
下、PBTと略記する)系ポリエステルの特定割合から
なるものである。
【0012】このPET系ポリエステルとは、ポリマー
構成単位の少なくとも70モル%がエチレンテレフタレ
ート単位から構成されているポリマーであり、全酸成分
当り30モル%以下の第三成分によって変性されたコポ
リマーも包含する。同様に、PHT系ポリエステルと
は、ポリマー構成単位の少なくとも70モル%がヘキサ
メチレンテレフタレート単位から構成されているポリマ
ーであり、全酸成分当り30モル%以下の第三成分によ
って変性されたコポリマーも包含する。また、PBT系
ポリエステルとは、ポリマー構成単位の少なくとも70
モル%がブチレンテレフタレート(テトラメチレンテレ
フタレート)単位から構成されているポリマーであり、
全酸成分当り30モル%以下の第三成分によって変性さ
れたコポリマーも包含する。
【0013】これらポリエステルは、一般にテレフタル
酸またはその機能的誘導体(例えば、ジメチルエステル
のようなジ低級アルキルエステル)とアルキレングリコ
ール(エチレングリコール、ヘキサメチレングリコール
またはテトラメチレングリコール)とを反応させ、さら
に反応生成物を重縮合させることにより製造される。ま
た、テレフタル酸のジアルキレングリコールエステルを
重縮合させる等の方法によっても製造される。これら反
応は、従来から知られている触媒の存在下で行なうのが
好ましい。
【0014】これらポリエステルを変性させる第三成分
の具体例としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボ
ン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニ
ルケトンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸
等)、脂環族ジカルボン酸(例えば、デカリンジカルボ
ン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等)、脂肪族カルボン
酸(例えば、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸等)、脂肪
族ジオール(例えば、エチレングリコール(PET系ポ
リエステルの場合を除く)、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、(PBT系ポリエステルの
場合を除く)、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール(PHT系ポリエステルの場合を除
く)、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコー
ル等)、脂環族ジオール(例えば、シクロヘキサンジオ
ール、シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族ジオー
ル(例えば、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシ
ン、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノール
A、ジヒドロキシエトキシビスフェノールA、ビスフェ
ノールS、ジヒドロキシメトキシビスフェノールS、ジ
ヒドロキシエトキシビスフェノールS、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,
3’5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン等)、脂肪族オキシカルボン酸(例え
ば、グリコール酸、ヒドロアクリル酸、3−オキシプロ
ピオン酸等)、脂環族オキシカルボン酸(例えば、アシ
アチン酸、キノバ酸等)、芳香族オキシカルボン酸(例
えば、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安
息香酸、マンデル酸、マトロラクチン酸等)等を例示す
ることができる。
【0015】さらに、ポリエステルが実質的に線状であ
る範囲で3官能以上の多官能化合物、例えばグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリ
カルバリル酸、没食子酸等を共重合してもよく、また単
官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ
酸等を反応させてもよい。
【0016】かかるポリエステルには、必要に応じ、例
えば酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電
防止剤、導電剤、染料、滑剤、閃光照射光の波長域に吸
収ピークを持つ剤(光吸収剤)等の添加剤を添加しても
よい。前記PET系ポリエステル(A)の固有粘度は、
好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5〜1.0で
ある。PHT系ポリエステル(B)の固有粘度は、好ま
しくは0.4以上、より好ましくは0.5〜1.0であ
る。また、PBT系ポリエステル(C)の固有粘度は、
好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8〜1.3で
ある。これらの固有粘度が小さすぎると、フイルムの物
性が不足するようになる。
【0017】本発明における二軸延伸フイルムを構成す
るポリエステルは、前記したように、(A)PET系ポ
リエステル、(B)PHT系ポリエステルおよび(C)
PBT系ポリエステルからなるが、これら成分の割合は
下記式(1)〜(3)を満足する必要がある。
【0018】35≦a≦65・・・(1) 15≦b≦45・・・(2) 0≦c≦45・・・(3)
【0019】ここで、aは(A)成分の割合(重量
%)、bは(B)成分の割合(重量%)、cは(C)成
分の割合(重量%)である。
【0020】(A)PET系ポリエステルの割合(a:
重量%)は、好ましくは38以上62以下、特に好まし
くは41以上59以下である。この割合(a:重量%)
が35より小さいと、穿孔感度が低下し、また製版シワ
が発生するため好ましくない。一方、この割合(a:重
量%)が65より大きいと、穿孔感度が不足し、また印
字品位性が悪化するため好ましくない。
【0021】(B)PHT系ポリエステルの割合(b:
重量%)は、好ましくは18以上45以下、特に好まし
くは21以上39以下である。このPHT系ポリエステ
ルの使用によって穿孔感度、階調性等がより一層向上
し、特に支持体レス感熱孔版印刷原紙で求められる特性
を満足させることができる。この割合(b:重量%)が
15より小さいと、穿孔感度が低下し、また印字品位性
の悪化、製版シワが発生するため好ましくない。一方、
この割合(b:重量%)が45より大きいと、ポリマー
の混練不良が起こりやすく安定して成膜することが困難
となり、ひいてはフイルムの製膜性、生産性が悪化し、
且つフイルムとして十分な機械的強度、耐溶剤性が得ら
れず、コーティング、ラミネートあるいは印刷時の作業
性に耐えられず、また製版シワが発生したりするため好
ましくない。
【0022】(C)PBT系ポリエステルの割合(c:
重量%)は、好ましくは3以上42以下、特に好ましく
は6以上39以下である。このPBT系ポリエステルの
使用によってPET系ポリエステルとPHT系ポリエス
テルの混合性、特に溶融混練性が向上し、また穿孔感度
が向上する。この割合(c:重量%)が45より大きい
と、PBT系ポリエステルの易結晶化特性によるのか穿
孔感度が不足し、また熱収縮応力が大きくなって製版シ
ワが発生するため好ましくない。
【0023】フイルム中のPET系ポリエステル、PH
T系ポリエステルおよびPBT系ポリエステル成分の量
は、フイルムサンプルをCF3COOD:CDCl3
1:1混合溶媒に溶解後、1H−NMR測定を行い、各
ピークを帰属後、1Hの積分強度から求めることができ
る。
【0024】本発明におけるポリエステルは、前記した
(A)PET系ポリエステルおよび(B)PHT系ポリ
エステルを、あるいはこれらと(C)PBT系ポリエス
テルを溶融混練、または溶媒に溶解・混合して得ること
ができる。この混練は、通常フイルム成膜時に行なう。
また、フイルム成膜より前の段階で予め混練してもよ
い。この溶融混練では、通常各成分の反応が進行してブ
ロック共重合体、さらにはランダム共重合体を形成する
ようになるが、本発明では、ランダム共重合体を形成す
るようになる前に溶融混練を停止する必要がある。さも
ないと、各成分を溶融混練する意味が無くなる。換言す
ると、実質的にブロック共重合体を形成するまでの溶融
混練を許容する、と理解すべきである。従って、これら
成分の溶融混練で得られたものは、各成分が単に均一混
合した状態の混合物(組成物)から実質的にブロック共
重合体になったものを含む。そして、各成分の量比にも
よるが、溶融混練物が主としてないし実質的にブロック
共重合体からなると、1つの融解ピークがみられるよう
になる。
【0025】本発明におけるポリエステルは、前記した
(A)PET系ポリエステル、(B)PHT系ポリエス
テルおよび(C)PBT系ポリエステル成分以外の第三
成分(他の熱可塑性ポリマー)を含むことができる。こ
の場合、第三成分の量は20重量%以下、さらには15
重量%以下、特に10重量%以下であることが好まし
い。この第三成分の量が20重量%を超えると、PET
系ポリエステル、PHT系ポリエステルおよびPBT系
ポリエステルによる固有の優れた物性が損なわれ、特に
熱穿孔性の効果が十分得られないようになるので好まし
くない。この第三成分としては、例えばポリエチレン、
ポリスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリアミド、ポリイミド等を挙げることができる。
【0026】本発明において、かかるポリエステルから
なるフイルムは、二軸延伸されている必要があり、無延
伸や一軸延伸フイルムでは穿孔斑を生じ、印刷後も欠落
斑を生じる。なお、二軸延伸の程度は特に限定されない
が、面配向係数が0.90〜0.98にあることが本発明
にとって好ましい。
【0027】前記二軸延伸ポリエステルフイルムは、1
50℃における熱収縮率が30%以上である。好ましく
は35%以上であり、さらに好ましくは40%以上であ
る。但し、この熱収縮率はフイルムの縦、横方向の熱収
縮率の平均値をもって表すものとする。この熱収縮率が
30%未満では、穿孔が不均一となり易く解像度が劣る
ことがあり且つ穿孔感度が不足することもあるので好ま
しくない。150℃における熱収縮率は、60%を超え
ないことが好ましい。この熱収縮率が60%を超える
と、印字品位性の悪化、製版シワが発生するようになる
ため好ましくない。
【0028】前記二軸延伸ポリエステルフイルムは、上
記溶融混練から理解できるように、DSC昇温測定にお
いて2つ以上の融解ピークが観察されるものでもよい
し、単一の融解ピークが観察されるものでもよい。この
融解ピークの温度は、260℃以下、さらに245℃以
下、特に230℃以下であることが好ましく、また90
℃以上、さらに105℃以上、特に120℃以上である
ことが好ましい。この融解ピーク温度が260℃より高
いと、穿孔性が不十分となり、感度の悪いものとなるよ
うになるため好ましくない。一方、90℃より低いと、
サーマルヘッドに穿孔時軟化したポリマーが付着しやす
く、印刷品質上に問題が生じたり、閃光照射による穿孔
の際、原稿引っ付き(スティッキング)を起こすように
なるので好ましくない。なお、2つ以上の融解ピークが
観察される場合、最も高温側の融解ピーク温度が上記上
限を満足するようにし、最も低温側の融解ピーク温度が
上記下限を満足するようにするとよい。
【0029】また、前記二軸延伸ポリエステルフイルム
のガラス転移温度(Tg)は25℃以上、さらに30℃
以上、特に35℃以上であることが好ましい。このガラ
ス転移温度が25℃未満では、フイルムの取扱い性が悪
く、原紙作成時の工程でカールしやすくなり、また経日
でフイルム品質が変化するため好ましくない。なお、2
つ以上のガラス転移温度が観察される場合、最も低いも
のが上記温度を満足するようにするとよい。
【0030】本発明における二軸延伸ポリエステルフイ
ルムは、全融解エネルギー(△Hu)が17〜50ジュ
ール(J)/g、さらに21〜46J/g、特に25〜
42J/gであることが好ましい。この全融解エネルギ
ーが17J/g未満では、サーマルヘッドや原稿へのポ
リマーの引っ付き(スティッキング)が生じ易く、十分
な機械的強度、耐溶剤性が得られ難く、多孔性薄葉支持
体とのラミネートや印刷時の作業性に耐えられなくなり
易く好ましくない。一方、50J/gを超えると、十分
な穿孔性が得られ難く、欠落部分を生じた文字となった
り、また感度の悪いものとなり易く好ましくない。
【0031】前記二軸延伸ポリエステルフイルムは、ヤ
ング率が250kg/mm2以上、さらに300kg/
mm2以上、特に350kg/mm2以上であることが、
孔版原紙の作業性、耐刷性がより良好となるので好まし
い。但し、このヤング率は、縦、横方向のヤング率の平
均値をもって表すものとする。
【0032】また、前記二軸延伸ポリエステルフイルム
は、搬送性、巻取性、原紙作成時のコーティング、貼合
せ工程および印刷時の作業性を向上させるため、あるい
は熱穿孔時のサーマルヘッドとフイルムとの融着を防止
するため、表面を粗面化して適度の滑り性を付与するの
が好ましい。この粗面化の程度としては、中心線平均粗
さ(Ra)が0.015〜0.5μm、さらには0.02
〜0.3μmであることが好ましい。この粗面化剤とし
て、フイルム中に平均粒径0.05〜2.0μmの微粒子
を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%
含有させることが好ましい。この微粒子としては、内部
析出粒子であっても外部添加粒子であってもよい。
【0033】外部添加粒子としては、例えば炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウ
ム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミ
ニウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、カオリ
ン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ
素、架橋ポリマー微粒子(例えば、架橋ポリスチレン、
架橋アクリル樹脂、架橋シリコーン樹脂等の微粒子)等
を挙げることができる。これらは、単独使用でもよく、
また2種以上の併用でもよい。これらのうち、粒径分布
のシャープなものや、球状粒子が好ましく、特に球状シ
リカ粒子が好ましい。ここで、球状とは長径/短径の比
が1.0〜1.2のものをいう。
【0034】かかる粗面化剤を含有させる方法として
は、ポリエステル製造時にアルカリ(土類)金属化合物
をリン化合物の添加で微細な粒子として析出させる内部
粒子析出法や、ポリマー製造工程からフイルム成膜工程
のいずれかの工程で、ポリマーに不活性な無機または有
機の微粒子を添加する外部粒子添加法が挙げられる。
【0035】前記二軸延伸ポリエステルフイルムは、ま
た、表面の平均空気層厚み(Rp)が2.2〜5.0μ
m、さらに2.4〜4.5μm、特に2.6〜4.0μmで
あることが、サーマルヘッドとのスティッキングを防止
し、且つオーバーコート層の保持力を向上するので好ま
しい。
【0036】本発明における二軸延伸ポリエステルフイ
ルムは、従来から知られている方法に準じて製造するこ
とができる。例えば各ポリエステルを所定の条件で十分
乾燥した後、エクストルーダーに代表される周知の溶融
押出装置に供給し、ポリマー融点(Tm:℃)以上の温
度、特にTm〜(Tm+70)℃の範囲の温度に加熱し
溶融する。この押出工程で各ポリエステルを均一に溶融
混練し、且つ溶融混練の程度を調整する。次いで、溶融
混練したポリマーをスリット状のダイからシートに押し
出し、回転冷却ドラム上で急冷固化し、実質的に非晶状
態の未延伸(配向)シートを得る。この場合、回転冷却
ドラムとの密着性を高め、シートの表面平坦性(平面
性、平滑性)を向上させるために、静電荷印加密着法お
よび/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0037】静電荷印加密着法とは、ダイから押出され
たシートの流れと直交する方向に張った線状電極に直流
電圧を印加して該シートの表面(非ドラム側)に静電荷
を乗せ、この作用でシートと回転冷却ドラムとの密着性
を向上させる方法である。液体塗布密着法とは、回転冷
却ドラム表面の全部または一部(例えば、シート両端部
と接触する部分)に液体を均一に塗布することにより、
シートと回転冷却ドラムとの密着性を向上させる方法で
ある。本発明においては、必要に応じ両者を併用して
も、また実質的に非晶状態の未延伸(配向)シートを製
造する方法として、インフレーションキャスト法や流延
法を採用することもできる。
【0038】かくして得られる未延伸(配向)シート
を、次いで、二軸方向に延伸して二軸延伸フイルムとす
る。この延伸方法としては、逐次二軸延伸法(テンター
法)や同時二軸延伸法(テンター法またはチューブ法)
を用いることができる。逐次二軸延伸法での延伸条件と
しては、前記未延伸シートを(Tg−10)〜(Tg+
70)℃の範囲の温度(但し、Tgは未延伸シートの最
も高いガラス転移温度)で一方向(縦方向または横方
向)に好ましくは2〜6倍、より好ましくは2.5〜5.
5倍延伸し、次に一段目と直交する方向(一段目延伸が
縦方向の場合には二段目延伸は横方向になる)にTg〜
(Tg+70)℃の範囲の温度で好ましくは2〜6倍、
より好ましくは2.5〜5.5倍延伸する。なお、一方向
の延伸は、2段階以上の多段で行なう方法も用いること
ができるが、その場合も最終的な延伸倍率が前記した範
囲内であることが望ましい。また、二段目延伸後、中間
熱処理をしてから、再度一段目と同じ方向および/また
は二段目と同じ方向に延伸してもよい。また、前記未延
伸シートを面積倍率が好ましくは6〜30倍、より好ま
しくは8〜25倍になるように同時二軸延伸することも
できる。
【0039】かくして得られる二軸延伸フイルムは、必
要に応じ熱処理するが、この処理は熱収縮率が30%以
上になる条件で行なう。この熱収縮率とするには、(T
g)〜(Tg+100)℃の範囲の温度(但し、Tgは
最も高いガラス転移温度)で、1秒〜10分間熱処理す
るのが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしく
は伸長、または定長下で行い、また2段以上で行っても
よい。
【0040】かくして得られる二軸延伸ポリエステルフ
イルムの厚みは、0.2〜10μmであることが好まし
いが、支持体と貼合せて用いる場合0.2〜7μm、さ
らに0.5〜5μm、特に0.9〜3.5μmの厚みであ
ることが好ましい。また、支持体レス、すなわち支持体
なしで用いる場合1.5〜10μm、さらに2〜7μ
m、特に3〜5μmの厚みであることが好ましい。フイ
ルムの厚みが薄すぎると、支持体との貼合せが困難にな
り、印刷時不鮮明で濃淡斑が出やすく、且つ耐刷性も低
下する傾向を示し、一方、厚すぎると、穿孔感度が低下
し易く、欠落部分を生じたり、太った斑となり易くなる
ため好ましくない。
【0041】本発明においては、一つの態様として前記
二軸延伸ポリエステルフイルム(感熱フイルム)と多孔
性薄葉支持体とを貼合せて感熱孔版印刷原紙とする。こ
の態様では、該支持体による強度、取扱い性の向上が期
待でき、この為フイルムの厚みを薄くすることができ、
そして該支持体の低熱伝導性により穿孔エネルギーの効
率が高められる。この多孔性薄葉支持体としては、特に
限定されないが、和紙、典具貼紙、合成繊維抄造紙、各
種織布、不織布等を代表例として挙げることができる。
多孔性薄葉支持体の坪量は、特に限定されないが、2〜
20g/m2程度、さらに5〜15g/m2程度であるこ
とが好ましい。また、メッシュ状シートの場合は、20
〜60μmの太さの繊維を織ったものが、また格子間隔
20〜250μmのものが好ましい。
【0042】感熱フイルムと多孔性薄葉支持体と貼合せ
るのに使用する接着剤としては、特に限定されないが、
酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、コポリ
エステル系樹脂等を代表例として挙げることができる。
本発明においては、他の態様として多孔性薄葉支持体を
用いることなく、前記二軸延伸ポリエステルフイルム
(感熱フイルム)単体を感熱孔版印刷原紙(支持体レス
感熱孔版印刷原紙)とする。この態様では、フイルム自
体に原紙としての強度、取扱い性等と、フイルムの熱伝
導性(穿孔熱エネルギーの逃げ)からより一層の穿孔感
度とが求められるが、該二軸延伸ポリエステルフイルム
は、これらに応じ得るという特徴を発揮する。この原紙
は、穿孔感度、階調性に優れ、閃光製版、サーマルヘッ
ド製版でドット状に不連続に穿孔した孔より鮮明な画像
を形成することができる。支持体レス感熱孔版印刷原紙
を用いた製版方法は、特開平5−185574号公報、
特開平5−220919号公報等に示されている。
【0043】本発明の感熱孔版印刷原紙は、サーマルヘ
ッド製版に用いる場合、感熱フイルムのサーマルヘッド
に接触する側に熱融着防止処理を施すことが好ましい。
この処理方法としては、脂肪酸金属塩、リン酸エステル
型界面活性剤、シリコーンオイル等の流動性潤滑剤、パ
ーフロロアルキル基を有するフッ素化合物等の熱融着防
止剤を均一に塗布して熱融着防止層を設ける方法が挙げ
られる。塗布量としては、0.001〜2g/m2、さら
に0.005〜1g/m2が好ましい。
【0044】また、本発明の感熱孔版印刷原紙は、帯電
防止処理を施してもよい。この処理方法としては、感熱
フイルムに帯電防止剤や導電剤を均一に塗布する方法や
感熱フイルム中に帯電防止剤や導電剤を添加含有させる
方法が挙げられる。塗布方法での帯電防止剤としては、
有機スルホン酸金属塩、ポリアルキレンオキシド、エス
テル、アミン、ポリエトキシ誘導体、カルボン酸塩、ア
ミングアニジン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルリ
ン酸エステル等の一般的な帯電防止剤が挙げられる。帯
電防止剤の塗布量としては、0.001〜2g/m2、さ
らに0.01〜0.5g/m2が好ましい。添加含有方法
での帯電防止剤としては、例えば有機スルホン酸金属
塩、ポリアルキレンオキシド、第4級アンモニウム塩等
が挙げられる。帯電防止剤の添加含有量は、その種類に
もよるが、例えば有機スルホン酸金属塩の場合0.1〜
2重量%、さらに0.2〜1.5重量%が好ましく、ポリ
アルキレンオキシドの場合0.1〜5重量%、さらに0.
2〜4重量%が好ましい。導電剤の添加含有量は、その
種類にもよるが、例えば1〜50重量%、さらに2〜3
0重量%が好ましい。
【0045】前記有機スルホン酸金属塩としては、下記
【0046】R1SO3
【0047】(ここで、R1は脂肪族基、脂環族基また
は芳香族基であり、XはNa、K、Li等の金属であ
る)で表される化合物が挙げられる。具体的にはアルキ
ルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属
塩等を例示できる。このアルキル基としては、オクチ
ル、デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミ
リスチル)、ヘキサデシル、オクタデシル(ステリア
ル)等の高級アルキル基を好ましいものとして例示でき
る。さらに具体的な化合物としては、ラウリルスルホン
酸Na、ラウリルスルホン酸K、ラウリルスルホン酸L
i、ステアリルスルホン酸Na、ステアリルスルホン酸
K、ステアリルスルホン酸Li、ドデシルベンゼンスル
ホン酸Na、ドデシルベンゼンスルホン酸K、ドデシル
ベンゼンスルホン酸Li等を例示できる。
【0048】前記ポリアルキレンオキシドとしては、ポ
リエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエ
チレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、ポリテ
トラメチレンオキシド等を例示できる。これらの分子量
は、400〜50万、さらに1000〜5万であること
が好ましい。前記導電剤としては、下記式
【0049】[R2−N(CH32−R3]X
【0050】(ここで、R2は炭素数12〜18のアル
キル基、R3は炭素数12〜18のアルキル基またはメ
チル基、XはClまたはBrである)で表される第4級
アンモニウム塩が挙げられる。このアルキル基として
は、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチ
ル)、ヘキサデシル、オクタデシル(ステリアル)等を
例示できる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明におけ
る種々の物性値および特性は、以下の如く測定されたも
のであり、また定義される。 (1)固有粘度[η] o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定
した値(単位:100cc/g)である。
【0052】(2)面配向係数 フイルムの厚み方向の屈折率(Nz)と、該フイルムを
融点より50℃高い温度で5分間保ち(但し、面が凹凸
にならないようにガラス板にはさみ)、その後このサン
プルを急冷し、ガラス板間から取り出し、厚み方向の屈
折率(Nz0)を求め、下記式により求める。
【0053】面配向係数=Nz/Nz0
【0054】屈折率の測定は、アツベの屈折計を用い
る。
【0055】(3)融解ピーク温度 Tmp(℃)[T
mp(min、・・・・、Tmp(max))] フイルム10mgをセイコー電子工業(株)製 熱分析
システムSSC/5200、DSC220にセットし、
2気流中で20℃/minの昇温速度で加熱し、該フ
イルムの融解に伴う吸熱挙動を1次微分、2次微分で解
析し、ピークまたはショルダーを示す温度を決定し、こ
れを融解ピーク温度とする。
【0056】(4)全融解エネルギー△Hu(J/g) (3)と同様に、フイルム10mgをセイコー電子工業
(株)製 熱分析システムSSC/5200、DSC2
20にセットし、N2気流中で20℃/minの昇温速
度で加熱し、該フイルムの融解に伴う吸熱エネルギーに
対応するDSCチャート上の融解側の面積から求める。
この面積は、昇温することによりベースラインから吸熱
側にずれ、さらに昇温を続けて、最も高温側の融解ピー
クを経た後、ベースラインの位置まで戻るまでの吸熱側
の面積であり、融解開始温度位置から終了温度位置まで
を直線で結び面積(a)を求める。同じDSCの測定条
件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)を2
8.6J/g として次の式より求める。
【0057】 (a/b)×28.6=△Hu(total)(J/
g)
【0058】(5)ガラス転移温度 Tg(℃) フイルム10mgをセイコー電子工業(株)製 熱分析
システムSSC/5200、DSC220にセットし、
2気流中で20℃/minの昇温速度で300℃まで
加熱し、さらに300℃の温度で3分間溶融保持した
後、液体窒素にて急冷し、再び20℃/minの昇温速
度で加熱し、ガラス転移温度を測定する。ガラス転移温
度は、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラ
インが平行移動する形で感知される。かかる屈曲点以下
の温度でのベースラインの接線と、屈曲した部分で傾き
が最大となる点の接線との交点を屈曲の開始点とし、こ
の温度をガラス転移温度Tgとする。
【0059】(6)フイルム厚み フイルムの厚みt(μm)は、該フイルムの幅をW(c
m)、長さをl(cm)にサンプリングした時の重さを
G(g)、密度をd(g/cm3)としたとき、次式で
計算する。
【0060】
【数1】
【0061】(7)熱収縮率(150℃熱収縮率) フイルム試料の大きさ350mm×350mmのものの
縦および横方向につき中央部に300mmの距離をおい
て標点を付け、所定温度150℃に設定したテスター産
業製 熱風式恒温槽内に試料10枚を無緊張下に吊下
げ、30分間保持後取り出し、標点間の距離を再び測定
し、熱収縮率を下記の式により算出し、n=10の平均
値で表す。
【0062】
【数2】
【0063】[但し、L0:原長(標点間の距離300
mm)、L:試験後の長さ(単位・mm)]
【0064】 (8)引張弾性率(ヤング率)(kg/mm2) フイルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度100mm/分にインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張り、得られた荷重−伸び曲線の立上り
部の接線より引張弾性率(ヤング率)を計算する。
【0065】(9)フイルムの表面粗さ(Ra) 中心線平均粗さ(Ra)としてJIS−B0601で定
義される値であり、本発明では(株)小坂研究所の光触
針式非接触三次元粗さ計(ET−30HK)を用いて測
定する。測定条件等は、次の通りである。 (a)レーザー:半導体レーザー波長 780nm (b)レーザービーム径:1.6μm (c)カットオフ:0.25mm (d)測定長(Lx):1mm 縦方向拡大倍率10000倍、横方向拡大倍率200
倍、サンプリングピッチ2μm、走査本数100本(従
って、Y方向測定長Ly=0.2mm)の条件にてフイ
ルム表面の突起のプロファイルを測定し、その粗さ曲面
をZ=f(x、y)で表したとき、次の式で与えられる
値(Ra:μm)をフイルム表面粗さとして定義する。
【0066】
【数3】
【0067】また、突起高さは、基準レベルからの面積
比率が70%となる点の突起高さを0レベルとし、その
高さとの差を突起高さとし、それに対応する突起数を読
み取る。
【0068】(10)フイルム表面の平均空気層厚みR
p(μm) 平均空気層厚み(Rp)は、マイクロトポグラフ(株式
会社東洋精機製作所製)により測定する。すなわち、フ
イルムと圧力1.5kg/cm2で密着させたガラスプリ
ズムに光を入射し、反射光量の変化で、次式によりガラ
スプリズムとフイルムの接触状態での平均空気層厚みを
求める。
【0069】
【数4】
【0070】(11)フイルムの製膜性 二軸延伸製膜を8時間連続生産したときのフイルム破断
の起こった回数で判断する。極薄フイルムは、破断が起
き易いものの、通常この値が2回/8時間以下でない
と、実用化は難しい。 ○:破断率=0回/8時間 △:破断率=1〜2回/8時間 ×:破断率=3〜4回/8時間 ××:破断率=5回以上/8時間
【0071】(12)感熱孔版印刷原紙の実用特性 実質的に感熱フイルムそのものを感熱孔版印刷原紙とし
て用いる場合(支持体レス感熱孔版印刷原紙)は、感熱
フイルムの両面に熱融着防止層として、アクリルシリコ
ーン(US−270:東亜合成化学社製)とさらに帯電
防止剤として第4級アンモニウム塩ドデシルトリメチル
アンモニウムクロライドを1:1の比で乾燥重量0.2
g/m2になるように、マイヤーバー(金属ロッド)を
用いて塗布し、感熱孔版印刷原紙を作成する(実施例1
〜9、比較例1〜11)。また、感熱フイルムを多孔性
支持体とラミネートしたものを感熱孔版印刷原紙として
用いる(従来通り)場合は、感熱フイルムにインキ透過
性の多孔性支持体として坪量8g/m2のポリエステル
繊維を混抄した和紙を用い、酢酸ビニル系接着剤を1.
0g/m2の付着量となるようにして接着積層し、感熱
フイルム面に熱融着防止層としてアクリルシリコーン
(US−270:東亜合成化学社製)を乾燥重量0.1
g/mm2になるように塗布して、感熱孔版印刷原紙を
作成する(実施例10〜13、比較例12〜17)。上
記のようにして作成した感熱孔版印刷原紙を(株)リコ
ー社製 プリポートVT−3820+(株)リコー社製
PCリンクシステム(パソコンオンラインアダプタ
ー)+Apple社製 Machintosh(パソコ
ン)を用いて、サーマルヘッド印加エネルギーを下記
(表1)の通りに変化させ、文字画像(各種記号)およ
びマトリクスの組み合わせによる24階調の階調画像
(ベタパターン)を製版する。支持体レス感熱孔版原紙
の場合は、製版した原紙を手で版銅にセットして印刷
し、支持体有の感熱孔版原紙の場合は、一貫して製版・
印刷する。
【0072】
【表1】
【0073】(i)穿孔感度 印刷物のベタ部の画像濃度(ID)を、マクベス濃度計
を用いて測定し、その画像濃度に基づき下記のように判
定する。 ◎:画像濃度(ID)が1.0以上 ○:画像濃度(ID)が0.9以上1.0未満 △:画像濃度(ID)が0.7以上0.9未満 ×:画像濃度(ID)が0.7未満
【0074】(ii)印字品位性 印刷物の7ポ英文字を、顕微鏡観察し、その文字欠けの
有無に基づき下記のように判定する。 ◎:文字欠け無し(文字欠け率をrとするとr=0%) ○:80%以上の文字において文字欠け無し(r≦20
%) △:60%以上80%未満の文字において文字欠け無し
(20<r≦40%) ×:50%以上60%未満の文字において文字欠け無し
(40<r≦50%) ××:50%未満の文字において文字欠け無し(r>5
0%)
【0075】(iii)製版シワ 支持体レス感熱孔版原紙の場合のみ評価。印刷物のベタ
部、5cm×5cm角、および1cm×1cm角の印刷
品質、シワによる白抜けの有無に基づき下記のように判
定する。 ◎:5cm×5cm角のベタでもシワによる白抜けなし ○:1cm×1cm角のベタではシワによる白抜けなし
だが、5cm×5cm角のベタではシワによる白抜け有 △:1cm×1cm角のベタでわずかにシワによる白抜
け有 ×:1cm×1cm角のベタでかなりシワによる白抜け
【0076】(13)総合判定 (11)フイルムの製膜性および(12)感熱孔版印刷
原紙実用特性の3つの評価項目の結果を下記の基準で判
定する。 ◎:穿孔感度が◎で、他の項目に×または××がないも
の ○:穿孔感度が○で、他の項目に×または××がないも
の △:穿孔感度が△で、他の項目に×または××がないも
の ×:いずれかの項目に×または××があるもの 総合判定が、◎または○のものが操業性および孔版印刷
原紙特性の両面において望ましい。
【0077】実施例1〜9、比較例1〜11 フイルム製膜の原料として、以下のポリエステルを準備
し、表2に示すポリエステル組成になるようブレンドし
て使用した。ポリエチレンテレフタレート(PET)系
ポリエステルとしては、[η]が0.65であるポリエ
チレンテレフタレート(PETと略記する)、イソフタ
ル酸成分が12、17、25モル%(全酸成分当り)の
割合でそれぞれ共重合され、[η]が0.65であるポ
リエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体
(それぞれPET/IA12、PET/IA17、PET/
IA25と略記する)、さらに酸成分がテレフタル酸から
なり、ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール(トランス/シス=72/28)30モル%および
エチレングリコール70モル%からなる、[η]が0.
75で実質的に非晶質な共重合ポリエステル(PET/
CHDM30と略記する;イーストマン・コダック社製
KODAR(登録商標)PETG6763相当品)を準
備した。ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)
系ポリエステルとしては、イソフタル酸成分が10モル
%(全酸成分当り)の割合で共重合され、[η]が1.
30であるポリヘキサメチレンテレフタレート・イソフ
タレート共重合体(PHMT/IA10と略記する)を準
備した。ポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリ
エステルとしては、[η]が1.10であるポリブチレ
ンテレフタレート(PBTと略記する)、イソフタル酸
成分が13モル%(全酸成分当り)の割合で共重合さ
れ、[η]が0.95であるポリブチレンテレフタレー
ト・イソフタレート共重合体(PBT/IA13と略記す
る)を準備した。
【0078】表2に示すポリエステル組成になるよう
に、原料ポリエステルをブレンドする際に、併せて二軸
延伸フイルムの表面を適度に粗面化するために、平均粒
径1.5μmの球状シリカ粒子と平均粒径0.3μmの球
状シリカ粒子をポリエステル総量に対してそれぞれ0.
3wt%、0.15wt%になるように加え、ブレンド
した。こうして得られた原料を十分に乾燥した後、押出
機に供給し、ポリエステル組成に適した温度を225〜
280℃から選択して溶融押出し、静電印加密着法を用
いて表面温度15℃のキャスティングドラム(回転冷却
ドラム)に密着させて冷却固化し、未延伸フイルムを得
た。この未延伸フイルムを、ポリエステル組成に適した
延伸温度を45〜95℃から選択して縦方向に2.8〜
4.0倍、横方向に3.2〜3.9倍の倍率で逐次二軸延
伸を施した後、一旦冷却した後、50〜150℃で熱処
理を施し、厚み3.5μmの二軸延伸ポリエステルフイ
ルムを製造した。このようにして得られた厚み3.5μ
mの二軸延伸ポリエステルフイルムを感熱フイルムとし
て、感熱孔版印刷原紙の実用特性の測定法に示したよう
に、熱融着防止層および帯電防止剤を塗布し、支持体レ
ス感熱孔版印刷原紙として評価した。その結果を表3に
示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】実施例10〜13、比較例12〜17 実施例1〜9、比較例1〜11で使用したポリエステル
原料を準備し、表4に示すポリエステル組成になるよう
に、併せて平均粒径1.5μの球状シリカ粒子と平均粒
径0.3μmの球状シリカ粒子をポリエステル総量に対
してそれぞれ0.5wt%、0.2wt%になるように加
えブレンドした。こうして得られた原料を用いた他は実
施例1〜9、比較例1〜11と同様にして厚み1.5μ
mの二軸延伸ポリエステルフイルムを製造した。組成を
表4に示した。このようにして得られた厚み1.5μm
の二軸延伸ポリエステルフイルムを感熱フイルムとし
て、感熱孔版印刷原紙実用特性の測定法に示したよう
に、ポリエステル繊維を混抄した和紙と貼合せ、さらに
熱融着防止層を塗布し、原紙として評価した。その結果
を表5に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、より優れた穿孔感度を
有し、且つ印刷時の解像度、印字品位性、耐刷性の改善
された感熱孔版印刷原紙用フイルムを提供することがで
き、さらに該感熱孔版印刷原紙用フイルムと多孔性薄葉
支持体とを貼合わせた感熱孔版印刷原紙、該感熱孔版印
刷原紙用フイルムのみからなる支持体レス感熱孔版印刷
原紙を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 光太郎 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内 (72)発明者 冨田 博史 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内 (72)発明者 立石 比呂志 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸ポリエステルフイルムであっ
    て、該フイルムを構成するポリエステルが(A)ポリエ
    チレンテレフタレート系ポリエステル、(B)ポリヘキ
    サメチレンテレフタレート系ポリエステルおよび(C)
    ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを下記式
    (1)〜(3) 35≦a≦65・・・(1) 15≦b≦45・・・(2) 0≦c≦45・・・(3) ここで、aは(A)成分の割合(重量%)、bは(B)
    成分の割合(重量%)、cは(C)成分の割合(重量
    %)である、を満足する割合で含有し且つフイルムの1
    50℃における熱収縮率が30%以上であることを特徴
    とする感熱孔版印刷原紙用フイルム。
  2. 【請求項2】 フイルムの全融解エネルギー(△Hu)
    が17〜50ジュール(J)/gである請求項1記載の
    感熱孔版印刷原紙用フイルム。
  3. 【請求項3】 フイルムのヤング率が250kg/mm
    2以上である請求項1記載の感熱孔版印刷原紙用フイル
    ム。
  4. 【請求項4】 フイルム表面の中心線平均粗さ(Ra)
    が0.015〜0.5μmであり、平均空気層の厚みが
    2.2〜5.0μmである請求項1記載の感熱孔版印刷原
    紙用フイルム。
  5. 【請求項5】 フイルムの厚みが0.2〜10μmであ
    る請求項1記載の感熱孔版印刷原紙用フイルム。
  6. 【請求項6】 フイルムの表面に熱融着防止および/ま
    たは帯電防止の層を設けた請求項1記載の感熱孔版印刷
    原紙用フイルム。
  7. 【請求項7】 請求項1または6記載のフイルムに多孔
    性薄葉支持体を貼合せた感熱孔版印刷原紙。
  8. 【請求項8】 請求項1または6記載のフイルムからな
    り、多孔性薄葉支持体を用いない感熱孔版印刷原紙。
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Cited By (4)

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