JPH09121522A - フラット回転機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラット回転機の効率を向上させる 【解決手段】 極性を異にして順に複数個の永久磁石６
を固着した円板状のフラット型ロータ８を空隙９を隔て
て少なくとも２枚配設すると共に、空隙９を隔てて配設
された当該２枚のフラット型ロータ８の各永久磁石６が
異なる極性で相対向して、回転自在に支持されたシャフ
ト５に固着されてなるロータ１５と、略三角形状に巻線
されたコイルを複数個円形に配置し、合成樹脂材でフラ
ット型にモールドされた円板状のステータコイル１０
と、上記２枚のフラット型ロータ８が形成する空隙位置
にステータコイル１０のコイル部分を配置し、当該ステ
ータコイル１０の外周部を固定する樹脂材のスペーサ１
６と、当該スペーサ１６、ステータコイル１０及びロー
タ１５を収納する樹脂材の円筒ケース１とを備えて構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フラット回転機、
特に永久磁石式フラット回転機において、漏洩磁束によ
る渦電流の発生を防止し、渦電流損を減少せしめ、効率
を改善するようにしたフラット回転機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】無停電電源装置の蓄積部に使用されるフ
ライホイール式エネルギー貯蔵装置は、電気エネルギー
を高速回転するフライホイールの運動エネルギーの形で
貯蔵し、停電発生時等必要時にこの運動エネルギーを電
気エネルギーに変換して負荷に電力として供給しようと
するものである。

【０００３】図５は従来のフライホイール式エネルギー
貯蔵装置の半断面図を示しており、構造的な特徴として
発電電動機部を縦型とし、金属接触のない軸受構造を有
するもので、５０はたらい状の外周部に取付部５０ａを
有する真空ケーシング、５１は真空ケーシング５０にボ
ルト５３によりねじ止め固定されたケーシング、５４は
ケーシング５１にねじ止め固定された天井板である。

【０００４】５５はピボット軸受、５６はこのピボット
軸受５５によって回転自在に支承されるピボットシャフ
トで、このピボットシャフト５６は高速回転によるグル
ープポンプ作用で、潤滑油に高い圧力を発生させピボッ
トシャフト５６を浮上支持し非接触状態となるように構
成されている。

【０００５】５７はステータフレームで、上記真空ケー
シング５０に固定されている。５８は薄電気鋼板材など
の金属材が多数枚積層され、コイル５９が巻回されてな
るステータコアである。

【０００６】６０は上記ピボットシャフト５６の振れを
抑制するニードルベアリングで、ステータフレーム５７
に装着されている。６１はピボットシャフト５６に固着
された金属材からなる取付板、６２は薄電気鋼板材など
の金属材が円板状に形成され、円板状の内周部に多数個
のスロット部を有しこのスロット部が連通するように多
数枚積層されてなるロータコアで、上記スロット部にア
ルミニウム材などの導体が注入され、積層されたロータ
コア６２の両端部で短絡してなるエンドリング６３を形
成している。

【０００７】ロータコア６２は上記ステータコア５８と
空隙を介して配設され、エンドリング６３の一端は上記
取付板６１に取付け固定されている。６４はエンドリン
グ６３に保持固定されたフライホイールで、ピアノ線が
多数回巻回され構成されている。

【０００８】そして、ピボットシャフト５６，取付板６
１，ロータコア６２，エンドリング６３，フライホイー
ル６４が一体となって上記ピボットシャフト５６を軸芯
とした回転体６５が構成される。さらに上述したステー
タコア５８，コイル５９と、ロータコア６２，エンドリ
ング６３とによって発電電動機部が誘導機として構成さ
れる。

【０００９】６６はフライホイール６４が万一破壊した
場合に装置を保護するためのプロテクタで、真空ケーシ
ング５０に固定されている。６７はケーシング５１に固
定され、取付板６１と空隙を介して対向配設された吸引
磁石で、この吸引磁石６７と取付板６１とによる吸引力
によって回転体６５の回転バランスをとっている。

【００１０】上記のように構成されたフライホイール式
エネルギー貯蔵装置は、ステータコア５８のコイル５９
に外部より通電されると、ステータコア５８とロータコ
ア６２との間に磁気誘導作用が発生し、ピボットシャフ
ト５６を軸芯として回転体６５が高速回転する。そして
高速回転するフライホイール６４が電気エネルギーを運
動エネルギーの形で貯蔵し、必要時にこの運動エネルギ
ーを電気エネルギーに変換して負荷に電力として供給さ
れるようになっている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】従来のフライホイール
式エネルギー貯蔵装置に用いられる発電電動機としての
回転機は、その効率が高いものが求められ、そのために
真空中で回転機を回転させて風損を少なくし、また回転
機に使用される巻線もリッツ線を用いる等して渦電流損
の発生を減少せしめ、効率を良くするように努力されて
いる。

【００１２】しかしながら、図５に用いられている回転
機においても、磁気回路中で磁束が時間的に変化するこ
とによって生じる鉄損の量が多く、できる限り効率のよ
い発電電動機としての回転機が用いられることが望まれ
る。

【００１３】本発明は、上記の点に鑑みなされたもので
あり、フライホイール式エネルギー貯蔵装置に使用する
に適した、漏洩磁束による渦電流の発生を防止し、渦電
流損を減少せしめ、効率の良いフラット回転機を提供す
ることを目的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに、本発明のフラット回転機は極性を異にして順に複
数個の永久磁石を固着した円板状のフラット型ロータを
空隙を隔てて少なくとも２枚配設すると共に、空隙を隔
てて配設された当該２枚のフラット型ロータの各永久磁
石が異なる極性で相対向して、ブラケットに回転自在に
軸支されたシャフトに固着されてなるロータと、略三角
形状に巻線されたコイルを複数個円形に配置し、合成樹
脂材でフラット型にモールドされた円板状のステータコ
イルと、上記２枚のフラット型ロータが形成する空隙位
置にステータコイルのコイル部分を配置し、当該ステー
タコイルの外周部を固定するスペーサと、当該スペー
サ、ステータコイル及びロータを収納する円筒ケースと
を備えたフラット回転機において、上記ステータコイル
の外周部を固定するスペーサを樹脂材で形成すると共
に、上記円筒ケースを樹脂材で形成し、スペーサ及び円
筒ケースに漏洩磁束による渦電流発生を防止し、渦電流
損をなくした構造を特徴としている。

【００１５】スペーサ及び円筒ケースに漏洩磁束による
渦電流の発生が防止され、渦電流損が少なくなって効率
が向上し、フライホイール式エネルギー貯蔵装置等に適
したフラット回転機となる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施例部分断面
図、図２は図１のＡ−Ａ断面図である。図１のフラット
回転機は、３段構成のものが図示されており、後に説明
する様に１段のフラット回転機にすることができるもの
である。

【００１７】図１，図２において、樹脂材で成形された
円筒ケース１の両端は、ブラケット２及びブラケットを
兼ねた真空ケーシング３の底部にそれぞれ固定されてい
る。ブラケットを兼ねた真空ケーシング３には摩擦を少
なくするためピボット軸受４が嵌め込まれ、後に説明す
る様にシャフト５が非接触で回転自在に支持されてい
る。シャフト５には、４枚の円板状のフラット型ロータ
８が、それぞれ空隙９を隔てて配設され固着されてい
る。そして当該円板状のフラット型ロータ８には、極性
を異にして順に複数個の永久磁石６が固着されている。
空隙９を隔てて配設された２枚の各フラット型ロータ８
の各永久磁石６は、その極性を異にし相対向して配設さ
れている。

【００１８】なお、図示されたフラット回転機のロータ
１５は４枚のフラット型ロータ８で構成されているが、
フラット回転機が１段構成の場合のロータ１５は２枚の
フラット型ロータ８で構成される。

【００１９】そしてこれらの永久磁石６は、エネルギー
密度の高い、例えばネオジムＮｄ，鉄Ｆｅ，ホウ素Ｂを
含んだ合金の磁性材でなる磁石が用いられる。２枚の各
フラット型ロータ８で形成される各空隙９には、フラッ
ト型に形成された図３の形状をした円板状のステータコ
イル１０、すなわち電機子巻線がそれぞれ配設されてい
る。当該ステータコイル１０は、直径が０．１ｍｍ程度
の細いエナメル線等を１０本から数１０本より合わせた
絶縁電線のリッツ線で、図４に示されている様に、略三
角形状に巻線されたＵ，Ｖ，Ｗ各相のコイル１１を、図
２の如く６個円形に配置して、３層構造で絶縁ワニスや
合成樹脂材でモールドして固形化されたものである。

【００２０】図３はステータコイルの一実施例部分断面
図を示しており、各コイル１１の層間に絶縁紙１２が挟
まれ、表面にも絶縁紙１２を付けてモールドされる。ス
テータコイル１０の外周部には、固定用の穴１３が形成
されている。

【００２１】ステータコイル１０の外周部は、ドーナツ
形の樹脂材でなるスペーサ１６でサンドイッチ状に挟ま
れ固定される。このときステータコイル１０のコイル１
１の部分が、上記永久磁石６の位置に配置されるように
なっていることは言うまでもない。

【００２２】この様にステータコイル１０の外周部を固
定するスペーサ１６を樹脂材で形成すると共に、円筒ケ
ース１を樹脂材で形成しているので、永久磁石６の漏洩
磁束がスペーサ１６を通って隣の永久磁石６に流れて
も、或いは永久磁石６の漏洩磁束がスペーサ１６と円筒
ケース１とを通って隣の永久磁石６に流れても、これら
の樹脂材でなるスペーサ１６や円筒ケース１に漏洩磁束
にって渦電流は発生することはなく、従って渦電流損が
生じることがない。

【００２３】上記の説明では、フラット回転機が３段構
成のものを説明して来たが、１段構成のものは図１で２
組のステータコイル１０やフラット型ロータ８などを取
り外ずしたものである。

【００２４】真空ケーシング３の開口端はケーシング２
１が取付けられ、さらに当該ケーシング２１の中央部に
設けられた凹部２２が、天井板２３で覆われている。凹
部２２の壁面にゲッタ２４が設けられ、当該ゲッタ２４
を介して真空ケーシング３、ケーシング２１および天井
板２３で形成される空間を高真空にしている。

【００２５】シャフト５には、フライホイール２５と磁
石取付板２６とが固着されており、磁石取付板２６の下
面に複数個の磁石２７が配設されている。一方ブラケッ
ト２の上面には、当該磁石取付板２６の下面に設けられ
た磁石２７に相対応し、かつその極性が同極で相対向し
た磁石２８がそれぞれ配設されており、これらの磁石２
７，２８によってロータ１５やフライホイール２５など
による重量を一部支えるようにされる。当該ロータ１５
のシャフト５は、ブラケット２に設けられた動圧・軸受
２９とケーシング２１に設けられたタッチダウンベアリ
ング３０とによって、その軸芯振れが防止されるように
なっている。

【００２６】ステータコイル１０に外部より通電される
と、当該ステータコイル１０に発生する磁界と永久磁石
６との間に磁気誘導作用が働き、ピボット軸受４を軸芯
としてロータ１５が、高速回転する。そして高速回転す
るフライホイール２５が電気エネルギーを運動エネルギ
ーの形で貯蔵し、必要時にこの運動エネルギーを電気エ
ネルギーに変換してフラット回転機からとりだすことが
できる。

【００２７】このフラット回転機が発電電動機として作
動する際、高効率で作動するので、効率のよいフライホ
イール式エネルギー貯蔵装置となる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、フ
ラット回転機のステータコイルの外周部を固定するスペ
ーサと円筒ケースを樹脂材で形成することにより、漏洩
磁束による渦電流が発生しなくなり、渦電流損が減少し
フラット回転機の効率が向上する。従って、当該フラッ
ト回転機は、損失の少ないことが要求されるフライホイ
ール式エネルギー貯蔵装置等に最適な回転機として使用
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例部分断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】ステータコイルの一実施例部分断面図である。

【図４】コイルの巻線説明図である。

【図５】従来のフライホイール式エネルギー貯蔵装置の
半断面図である。

【符号の説明】

１ 円筒ケース ２ ブラケット ３ 真空ケーシング ４ ピボット軸受 ５ シャフト ６ 永久磁石 ８ フラット型ロータ ９ 空隙 １０ ステータコイル １１ コイル １５ ロータ １６ スペーサ ２１ ケーシング ２５ フライホイール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 勲 新潟県長岡市北山町４丁目463番地

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 極性を異にして順に複数個の永久磁石を
   固着した円板状のフラット型ロータを空隙を隔てて少な
   くとも２枚配設すると共に、空隙を隔てて配設された当
   該２枚のフラット型ロータの各永久磁石が異なる極性で
   相対向して、ブラケットに回転自在に軸支されたシャフ
   トに固着されてなるロータと、 略三角形状に巻線されたコイルを複数個円形に配置し、
   合成樹脂材でフラット型にモールドされた円板状のステ
   ータコイルと、 上記２枚のフラット型ロータが形成する空隙位置にステ
   ータコイルのコイル部分を配置し、当該ステータコイル
   の外周部を固定するスペーサと、 当該スペーサ、ステータコイル及びロータを収納する円
   筒ケースとを備えたフラット回転機において、 上記ステータコイルの外周部を固定するスペーサを樹脂
   材で形成すると共に、 上記円筒ケースを樹脂材で形成し、 スペーサ及び円筒ケースに漏洩磁束による渦電流の発生
   を防止し、渦電流損をなくした構造を特徴とするフラッ
   ト回転機。