JPH09118875A - 亜鉛及び亜鉛合金の撥水処理用水溶性組成物及び撥水処理方法 - Google Patents

亜鉛及び亜鉛合金の撥水処理用水溶性組成物及び撥水処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法で、亜鉛及び亜鉛合金に撥水性を
付与できる撥水処理用水溶性組成物を提供すること。 【解決手段】 分子内に親水基と疎水基を含む非イオン
性高分子化合物を含有する亜鉛及び亜鉛合金の撥水処理
用水溶性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛及び亜鉛合
金、特に化成処理された亜鉛及び亜鉛合金に撥水性を付
与するための撥水処理用水溶性組成物及び撥水処理方法
に関するものである。
【従来の技術】亜鉛及び亜鉛合金、特に鋼などの金属の
表面にメッキ処理した亜鉛及び亜鉛合金皮膜の特性を一
層向上させるために、６価クロムを使用したクロメート
処理が行われている。クロメート処理により、亜鉛及び
亜鉛合金メッキ皮膜の耐久性は著しく向上するものの、
さらに耐食性を向上させるために、クロム酸を使用した
仕上げ処理が行われたり、各種の塗装組成物を塗布する
のが一般的である。しかしながら、クロメート処理や、
クロム酸による仕上げ処理は有害な６価クロムを処理に
用いるため環境に悪影響を与える。また、塗装の場合
は、処理工程が複雑であり、更に塗装組成物自体が高価
であるという難点がある。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡単な方法
で、亜鉛及び亜鉛合金に撥水性を付与できる撥水処理用
水溶性組成物を提供することを目的とする。本発明は、
又、亜鉛及び亜鉛合金に撥水性を付与する効率的な方法
を提供することを目的とする。特に、６価クロムを使用
しない化成処理皮膜の耐食性を向上させることを目的と
する。
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の高分子
化合物を含有する水溶液に浸漬するだけで、亜鉛及び亜
鉛合金に撥水性を付与でき、これにより上記課題を解決
できるとの知見に基づいてなされたのである。すなわ
ち、本発明は、分子内に親水基と疎水基を含む非イオン
性高分子化合物を含有することを特徴とする亜鉛及び亜
鉛合金の撥水処理用水溶性組成物を提供する。本発明
は、又、化成処理された亜鉛又は亜鉛合金を、上記水溶
性組成物に浸漬した後、水洗及び乾燥を行うことを特徴
とする亜鉛及び亜鉛合金の撥水処理方法をも提供する。
【０００３】
【発明の実施の形態】本発明で用いる分子内に親水基と
疎水基を含む非イオン性高分子化合物としては、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの一種又
は二種以上の混合物があげられる。このような非イオン
性高分子化合物としては、水溶性である限り、任意の分
子量のものを用いることができるが、重量平均分子量が
10,000〜160,000 程度のものを用いるのがよい。尚、ポ
リビニルアルコールとしては、ケン化度が８２モル％以
下のものが好ましく、特に７０〜８０モル％のものが好
ましい。非イオン性高分子化合物の水溶液中の濃度は、
任意とすることができるが、0.０１〜１０重量％である
のが好ましく、最も好ましくは0.１〜１０重量％であ
る。
【０００４】本発明の撥水処理用水溶性組成物には、さ
らにポリアクリル酸塩、好ましくはアルカリ金属塩を含
有させるのが好ましい。ここで、ポリアクリル酸塩とし
ては水溶性であればどのような分子量のものでもよい
が、重量平均分子量が250,000〜7,000,000 程度のもの
を用いるのがよい。ポリアクリル酸塩の含有量も任意で
あるが、0.０１〜１０重量％程度とするのがよい。本発
明の撥水処理用水溶性組成物には、さらに、所望によ
り、水溶性メラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂などを添
加することができる。又、撥水処理用水溶性組成物のｐ
Ｈも任意とすることができるが、ｐＨ６〜８とするのが
好ましい。本発明で対象とする亜鉛及び亜鉛合金として
は、これら自体でもよいが、鋼、銅などの基体に、亜鉛
又は亜鉛合金の皮膜を形成、好ましくはメッキにより形
成したものとするのがよい。亜鉛合金としては、亜鉛と
鉄、クロム、スズ、ニッケル、コバルト、マンガンなど
の合金があげられる。亜鉛又は亜鉛合金の皮膜の厚み
は、任意とすることができるが、１〜２５μ程度とする
のがよい。
【０００５】本発明では、亜鉛及び亜鉛合金として、特
に、亜鉛又は亜鉛合金のメッキ皮膜に化成処理を施した
ものを対象とするのが好ましい。化成処理としては、例
えば特願平７−２１１５８５号明細書に記載の防錆皮膜
処理や特開昭５９−１１６３８３号公報に記載の燐酸塩
処理など６価クロムを含まない化成処理液での化成処理
が好ましい。なお、無論、クロメート処理を施したもの
に使用することもできる。本発明では、化成処理した亜
鉛及び亜鉛合金を、水洗した後、又は水洗することな
く、次いで、本発明の撥水性水溶性組成物に浸漬した
後、水洗及び乾燥を行う。撥水性水溶性組成物に浸漬
は、１５〜３５℃で５〜１２０秒間程度とするのがよ
く、次いで、１０〜３０℃で５〜６０秒間程度水洗し、
４０〜６０℃で３〜２０分間程度乾燥するのがよい。
【０００６】
【発明の効果】本発明の撥水処理用水溶性組成物を用い
ると、水及び酸素が存在する腐食条件において、腐食の
原因となる水分の金属材に対する接触面積を大いに減ず
ることができ、これにより防食作用を向上させることが
できる。次に、本発明の実施例により説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【０００７】
【実施例】
実施例１ ＳＰＣＣ鋼板に８μの厚みにＺｎめっきを施したＺｎ部
材に、化成処理として特願平７−２１１５８５号明細書
に記載の処理液、つまり、３５％過酸化水素５０ｇ／リ
ットル、珪酸カリウム １０ｇ／リットル、２０％塩化
チタン溶液１０ｇ／リットルからなる水溶液であって、
硫酸でｐＨを1.６に調整した処理液を用いて、防錆皮膜
処理を２５℃、６０秒の条件で行った。このようにして
得た防錆皮膜処理Ｚｎ部材を、ケン化度７1.０〜８2.０
モル％、重合度１０００〜１５００であるポリビニルア
ルコールを水に４ｇ／リットル溶解させた撥水処理用水
溶液に２５℃で１分間浸漬し、水洗し、５０℃で乾燥を
行った。 実施例２ 防錆皮膜処理の代わりにクロメート処理を行った以外
は、実施例１と同様にして撥水処理した。尚、使用した
クロメート処理液はディップソール株式会社製「Ｚ−４
９６」（主要成分 無水クロム酸、硝酸）であり、クロ
メート処理を２５℃、２０秒の条件で行った。
【０００８】実施例３ 防錆皮膜処理の代わりに燐酸塩処理を行った以外は、実
施例１と同様にして撥水処理した。なお、使用した燐酸
塩処理液はディプソール株式会社製「Ｐ−６７０」（主
要成分 リン酸、硝酸）であり、５０℃、２０秒の条件
で行った。 実施例４ ケン化度７1.０〜８2.０モル％、重合度１０００〜１５
００であるポリビニルアルコールを水に４ｇ／リットル
溶解させ、ポリアクリル酸ナトリウムを１０ｇ／リット
ル添加した撥水処理用水溶液を使用した以外は、実施例
１と同様の条件で撥水処理を行った。 実施例５ メチルセルロースを水に５ｇ／リットル溶解させた撥水
処理用水溶液を使用した以外は、実施例１と同様の条件
で撥水処理を行った。
【０００９】実施例６ ヒドロキシエチルセルロースを水に８ｇ／リットル溶解
させた撥水処理用水溶液を使用した以外は、実施例１と
同様の条件で撥水処理を行った。 実施例７ 防錆皮膜処理の代わりにクロメート処理を行った以外
は、実施例４と同様にして撥水処理した。 実施例８ 防錆皮膜処理の代わりに燐酸塩処理を行った以外は、実
施例４と同様にして撥水処理した。 比較例１ 実施例１の防錆皮膜処理Ｚｎ部材を、撥水処理せずにそ
のまま使用した。
【００１０】比較例２ 実施例２のクロメート処理Ｚｎ部材を、撥水処理せずに
そのまま使用した。 比較例３ 実施例３のクロメート処理Ｚｎ部材を撥水処理せずにそ
のまま使用した。上記の方法で得たＺｎ部材の耐食性を
次ぎの方法で評価した。耐食性試験 ５％塩水によるＪＩＳ Ｚ２３７１に準拠する塩水噴霧
試験を行い、白錆発生面積が全面積に対して５％になる
のに要した時間を測定した。結果を第１表に示す。
【００１１】
【表１】 第１表 ─────────────────────────────────── 化成処理 撥水処理 耐食性（時間) 実施例１ 防錆皮膜 ポリビニルアルコール ４０８ 実施例２ クロメート ポリビニルアルコール ３８４ 実施例３ 燐酸塩 ポリビニルアルコール ４８ 実施例４ 防錆皮膜 ポリビニルアルコール＋ ４８０ ポリアクリル酸ナトリウム 実施例５ 防錆皮膜 メチルセルロース １９２ 実施例６ 防錆皮膜 ヒドロキシエチルセルロース ２０６ 実施例７ クロメート ポリビニルアルコール＋ ４３２ ポリアクリル酸ナトリウム 実施例８ 燐酸塩 ポリビニルアルコール＋ ７２ ポリアクリル酸ナトリウム 比較例１ 防錆皮膜 なし １４４ 比較例２ クロメート なし ２４０ 比較例３ 燐酸塩 なし １２以下
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 剛 東京都葛飾区西新小岩３−８−10 ディッ プソール株式会社テクニカルセンター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 分子内に親水基と疎水基を含む非イオン
    性高分子化合物を含有することを特徴とする亜鉛及び亜
    鉛合金の撥水処理用水溶性組成物。
  2. 【請求項２】 非イオン性高分子化合物が、ポリビニル
    アルコール、メチルセルロース又はヒドロキシエチルセ
    ルロースである請求項１記載の水溶性組成物。
  3. 【請求項３】 さらにポリアクリル酸塩を含有する請求
    項１記載の水溶性組成物。
  4. 【請求項４】 化成処理された亜鉛又は亜鉛合金を、請
    求項１〜３のいずれか１項に記載の水溶性組成物に浸漬
    した後、水洗及び乾燥を行うことを特徴とする亜鉛及び
    亜鉛合金の撥水処理方法。
  5. 【請求項５】 化成処理された亜鉛又は亜鉛合金が、６
    価クロムを含まない化成処理液で化成処理したものであ
    る請求項４記載の撥水処理方法。
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