JPH09111236A - 長残光蛍光体 - Google Patents

長残光蛍光体

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JPH09111236A
JPH09111236A JP31291096A JP31291096A JPH09111236A JP H09111236 A JPH09111236 A JP H09111236A JP 31291096 A JP31291096 A JP 31291096A JP 31291096 A JP31291096 A JP 31291096A JP H09111236 A JPH09111236 A JP H09111236A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 残光特性を改善する。 【構成】 下記の組成式で示される蛍光体であって、組
成式のa、b、c、が下記の範囲にある長残光蛍光体。
MO・a(Al1-bb23:cR 0.5≦a≦10.0(ただし、1.5≦a≦3.0は除く) 0.0001≦b≦0.5 0.0001≦c≦0.2 組成式において、MOはMgO、CaO、SrOそして
ZnOから成るグループから選ばれた少なくとも1種の
二価金属酸化物である。Rは、Eu2+である第1付活剤
に加えて、Pr、Nd、DyそしてTmから成るグルー
プから選ばれた少なくとも1種の第2の希土類付活剤を
含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、希土類付活二価
金属、ホウ素置換アルミン酸塩で構成された長残光性蛍
光体に関する。
【0002】
【従来の技術】数分から数時間にわたる長い減衰時間を
有する発光物質はこれまでに知られている。これ等の発
光物質は、一般的にリン光により発光している。リン光
物質は、主として安全標識、腕時計、置き時計の文字盤
に使われてきた。近年、プレス加工やモールド成形され
たプラスティック製品に、発光物質を埋め込む技術が発
展して来ている。この様な技術は、長残光蛍光体の用途
を著しく広げている。
【0003】たとえば、ZnS:Cu,Cl等の銅付活
硫化亜鉛蛍光体が、長残光蛍光体として多用されてい
る。それは、銅付活硫化亜鉛蛍光体が、相対的に高い発
光効率を持つスペクトル領域において発光するためであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銅付活
硫化亜鉛は、完全に満足される特性を示すものではな
い。それは、約30分から60分後では、かろうじて視
認出来る程度に発光出力が低下して、長期にわたる減衰
時間の後においては、輝度が実質的に低下してしまうか
らである。さらに、銅付活硫化亜鉛蛍光体は、湿った、
もしくは、湿気のある雰囲気下で、紫外線の照射を受け
ると、分解したり劣化する。その結果、硫化亜鉛を含有
する物質は、元素性亜鉛の存在により表面が黒ずんで来
る性質がある。このことが、この蛍光体の屋外に使用さ
れる用途を厳しく制限している。
【0005】長い減衰期間を有するリン光性物質は、グ
ラフィックアートやインテリア装飾、もしくは印刷用イ
ンクの様な分野にも使われている。これらの用途には、
硫化アルカリ二類系蛍光体が使用されている。この蛍光
体は、青から赤への可視スペクトル域にわたる色調の広
い領域で発光する。しかしながら、これらの物質は、吸
湿性があり、また、毒性物質である硫化水素を発生させ
る傾向があり、さらに、容易に湿気と反応する性質があ
る。このような特性は、蛍光体の家庭での使用を厳しく
制限している。
【0006】最近、Eu2+ 付活SrAl24の組成を
持つ長残光蛍光体が報告された。(第248回蛍光体同
学会講演予稿集1993年11月26日) この蛍光体の基本組成は完全に明らかにされた訳ではな
いが、この蛍光体は、ZnS:Cu,Clの発光に非常
に似た黄緑色発光蛍光体として機能し、かつZnS:C
u,Clの欠点のいくつかを解決したとしている。この
蛍光体の基本組成は、新しいものではなく、米国特許第
3294699号及び第4216408号に開示されて
いる。しかしながら、これらの特許は、すべてランプの
設計や製造に使われる蛍光体にかかわるものである。
【0007】Eu2+ は、広いスペクトル領域にわたっ
て間接遷移による発光を示し、その発光は、製造条件や
母結晶の構造に影響される。たとえばEu2+ に起因す
る発光スペクトルは、アルミン酸塩、ガリウム酸塩、ホ
ウ酸塩、リン酸塩、アルミノガリウム酸塩母結晶のいず
れかに、Eu2+ が存在することで、紫外線領域から黄
色領域まで幅広く分布することが知られている。
【0008】長残光特性を有するある種の硫化亜鉛蛍光
体ホスト中への希土類の組み込みも、最近報告されてい
る。 “青紫色夜光蛍光体CaS:Bi,Cu中の希土類の効
果の研究” Hunan Shifan Daxue, Ziran Kexue Xuebao Vol.15,No.2
Page 145-148,1992 X.Mao,S.Lian and Z.Wu(Hunan Nor
mal Univ., Hunan CHN) “非放射性夜光蛍光体ZnS:Pb,Cu中の希土類効
果” Hunan Shifan Daxue, Ziran Kexue Xuebao Vol.14, No.
1, Page 47-51,1991, X. Mai and M.Hong, (Acta Scien
tiarium Naturalium Univ.Normalis Hunanensis).
【0009】これらの蛍光体も、他の硫化物系蛍光体の
上記に示した様ないくつかの欠点により苦しめられてい
ると考えられる。
【0010】本発明は、従来の蛍光体の欠点を解決する
ために高い初輝度と長い減衰特性を持つ長残光蛍光体を
提供するものである。本発明の具体的な目的は、Zn
S:Cu,Clと比較して改善された残光特性を持つ蛍
光体を提供することである。本発明の第2の目的は、た
とえば紫、シアン、薄緑そして黄緑を含む広い領域の色
で発光する長残光蛍光体を提供することである。より具
体的には、本発明は、希土類付活、二価金属、ホウ素置
換アルミン酸塩で構成される長残光蛍光体に関する。本
発明のさらにより具体的な目的は、二価金属酸化物とホ
ウ素置換アルミニウムの化学量論比を調整すること、そ
して、該当する希土類付活、二価金属ホウ素置換アルミ
ン酸塩中で適当な希土類の組合せを選定する事により要
求される色や残光特性を調整することが出来る長残光蛍
光体を提供することにある。さらにその他の本発明の目
的は、太陽光、人工照明、電子線やX線の様なさまざま
な励起源により励起される長残光蛍光体を提供すること
にある。さらにもう一つの本発明の目的は、家庭での安
全な使用を含む、大変広い分野の用途で使用出来る様
に、既に知られた毒性作用がなく吸湿性でない長残光蛍
光体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】これらの及びさらに他の
目的、利点そして利益は、下記の組成で構成されるとこ
ろの長残光蛍光体を用いることにより得られる。 MO・a(Al1-bb23:cR ここで 0.5≦a≦10.0(ただし、1.5≦
a≦3.0は除く) 0.0001≦b≦0.5そして0.0001≦c≦
0.2 MOはMgO、CaO、SrOそしてZnOで構成され
る酸化物のグループより選ばれた少なくとも1種の二価
金属酸化物を表し、そしてRはEu2+及び少なくとも1
種の追加された希土類元素を表す。より具体的にはR
は、Eu2+に加えて、Pr、Nd、DyそしてTmで構
成されるグループから選ばれた少なくとも1種の追加さ
れた希土類元素である。
【0012】さらに、本発明の請求項2に記載される長
残光蛍光体は、請求項1の組成式のa、b、c、を下記
の範囲に調整している。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.002≦c≦0.1 さらにまた、二価金属酸化物であるMOは、総二価金属
酸化物成分に対して70から100mol%のCaO
と、0から30mol%のMgOとSrOそしてZnO
から構成されるグループから選ばれた二価金属酸化物で
ある。
【0013】さらにまた、本発明の請求項3に記載され
る長残光蛍光体は、請求項1の組成式のa、b、c、を
下記の範囲に調整している。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.001≦c≦0.1 さらに、組成式において二価金属酸化物を表すMOは、
CaOとSrOから成るグループから選ばれた少なくと
も1種の二価金属酸化物である。
【0014】本発明のより一層の目的と利点は後述す
る、開示された希土類付活、二価金属ホウ素置換アルミ
ン酸塩とその製造方法の詳細説明により明らかにされ
る。
【0015】
【作用】本発明の長残光蛍光体は、アルミン酸が酸化ホ
ウ素により部分的に置換された希土類付活二価金属アル
ミン酸塩で構成され、下記の組成式で表される。 MO・a(Al1-bb23 :cR……………(I) この組成式において、a、b、cは下記の範囲にある。 0.5≦a≦10.0(ただし、1.5≦a≦3.0は
除く) 0.0001≦b≦0.5 0.0001≦c≦0.2 上記の組成式(I)、及びここにおいて示される類似の
組成式は、長残光蛍光体の元素成分存在比率を代表する
もので、必ずしも該当する長残光蛍光体中に存在してい
る個々の結晶相の分子組成を示すものではない。
【0016】組成式(I)におけるMOで代表される二
価金属アルミン酸塩中の二価金属酸化物成分は、Mg
O、CaO、SrOそしてZnOで構成されるグループ
から選ばれた二価金属酸化物である。
【0017】組成式(I)中のRで代表される希土類金
属は、Euに加えて、少なくとも1種の希土類元素であ
る。好ましくは、Rは、Euに加えて、Pr、Nd、D
yそしてTmで構成されるグループから選ばれた少なく
とも1種の希土類元素である。本発明の長残光蛍光体
は、予期されなかった程の高い輝度で、しかも、予期さ
れなかった程の長い減衰期間のリン光を有することが明
らかとなった。長い減衰のリン光は、励起源を取り去っ
た後、少なくとも20分、好ましくは数時間の間は容易
に視認することが出来るものである。蛍光体の励起源
は、X線、太陽光もしくは人工照明からの放射等のよう
な電磁放射によって励起をおこさせるものである。さら
に、電子線によっても励起することができる。
【0018】発光体のリン光強度は、It=Io-at
表される、指数関数で減衰するタイプ、もしくはIt
o-nで表される、発光のベキ法則タイプ減衰のどち
らかで代表され、リン光発光データの測定により決定さ
れる。前記の式において、Itは時間tにおける相対リ
ン光強度を示す。Ioは0秒における、すなわち励起が
除かれた直後の相対リン光強度を表す。aとnは、減衰
のそれぞれのタイプでの減衰時間定数として経験的に確
立される。減衰時間定数は、時間の関数として、リン光
を適当な方法でプロットすることにより決定される。ベ
キ方法タイプで減衰する発光は、nの値が小さくなる
と、蛍光体の減衰特性はより遅くなる。蛍光体の相対的
なリン光強度が蛍光体のリン光輝度に関連する。
【0019】この分野の当業者は、酸化物系の蛍光体
が、一般的には、指数関数で減衰するタイプのリン光が
起こると予想するだろう。本発明の酸化物系の蛍光体組
成は、驚くべきことに、ベキ法則タイプで減衰する残光
特性を示した。ここで開示されるリン光輝度測定は、事
前に暗所に長時間放置して、蛍光体に貯えたエネルギー
をすべて放射させて、残光を充分に減衰させた蛍光体を
サンプルとして使用した。次に、サンプル蛍光体は、安
定な励起状態とするために、たとえば紫外線光源(波長
365.0nm)によって4分間照射された。紫外線の
照射を停止した後、ZnS:Cu,Cl蛍光体を基準に
して、相対的な輝度としてリン光輝度を測定した。
【0020】先行文献により、希土類付活アルカリ土類
金属アルミン酸塩蛍光体が、ZnS:Cu,Clと比較
して、長い減衰期間を持つ蛍光体として機能することが
すでに知られている。本発明の長残光蛍光体は、希土類
付活二価金属アルミン酸で構成される長残光性蛍光体の
残光時間や輝度が、ホウ酸のようなホウ素含有化合物
を、蛍光体を製造するときに融剤として使われた時に著
しく増強される事を発見して完成されたものである。本
発明は、ここに開示される現在の理論や意見により制限
されることを意図している訳ではないが、長時間にわた
る強いリン光は、すべてではないがその多くの部分は、
ホウ素を含有する融剤が蛍光体の母結晶に混入されるこ
とにより達成されたと推測する。
【0021】さらに、本発明の、希土類付活二価金属ホ
ウ素置換アルミン酸蛍光体が示す優れた長残光特性は、
アルカリ金属またはハロゲン、あるいは、その両方を含
む融剤を、製造工程において使用しないことにより達成
された。アルミン酸を母体とする蛍光体は、一般的に、
アルカリ金属化合物やアルカリ土類ハロゲン化物、もし
くはハロゲン化アルミニウムを含む融剤を使用して製造
されている。本発明の長残光蛍光体は、あらゆるハロゲ
ンを完全に含まないホウ素含有融剤を使用して製造され
た、アルミン酸塩蛍光体である。
【0022】好ましくは、本発明のアルミン酸蛍光体
は、アルカリ金属成分の含有率の少ないホウ酸や酸化ホ
ウ素融剤を使用して製造される。ただ、アルカリ金属を
完全に含まない融剤を使用して製造された蛍光体に比較
すると、多少その物性は低下するが、アルカリ金属ホウ
酸塩を融剤に使用して本発明の蛍光体を製造することは
可能である。それは、この蛍光体が許容できるリン光を
示すからである。
【0023】表1は、たとえばアルカリ金属やハロゲン
を含む融剤を使用して製造された二価金属アルミン酸蛍
光体に比較して、ホウ酸を融剤に使用して製造された蛍
光体のリン光輝度が実質的に改善されることを示してい
る。この表において、リン光輝度は、励起源が除かれて
から同じ時間間隔後での実施例1の蛍光体のリン光と比
較した相対輝度として測定されたものである。蛍光体の
製造に使用されるホウ酸はふたつの作用をする。第1の
作用は、蛍光体を製造するときに融剤として機能する。
第2の作用は、組成式(I)に示されるように、長残光
蛍光体の化学組成に組み込まれることである。
【0024】
【表1】
【0025】アルミン酸構造におけるホウ素の置換は、
本発明の二価金属アルミン酸蛍光体のより優れた結晶度
を実現すること、さらに、本発明の蛍光体中に形成され
る発光中心や捕獲中心の安定化を助けると考えられる。
さらに、本発明の長残光蛍光体の改良された結晶性や安
定性は、酸化ホウ素が、アルカリ土類金属や亜鉛酸化物
と共融混合物を形成することができること、加えて、酸
化ホウ素が酸化アルミと広い範囲の配合比で混合出来る
という事実に関係していると考えられる。ホウ素含有化
合物には、好ましくは、ホウ酸、酸化ホウ素、アルカリ
土類ホウ酸塩を使用する。さらに好ましくは、ホウ素含
有化合物にはホウ酸が使用される。ホウ素含有化合物の
添加量は、蛍光体に含まれるアルミとホウ素の総モル数
を1モルとして、約0.01から約50mol%のホウ
素を生成する量である。このことは、長残光蛍光体の組
成式におけるbの範囲を0.0001≦b≦0.5とす
ることを意味する。さらに、好ましくは、ホウ素含有化
合物は、製品となる蛍光体に、約0.1から約10mo
l%のホウ素を生成する量で加えられる。より好ましく
は、ホウ素含有化合物は、製品となる蛍光体に約1から
約10mol%のホウ素を生成する量で加えられる。
【0026】Eu2+が、二価金属アルミン酸中におい
て、単独で希土類付活剤として使われることは先行文献
で既に知られているが、本発明は、Euが第2の希土類
付活剤と組み合わされた時に、優れた長残光性を示すこ
とを見いだしたものである。好ましくは、第2の希土類
付活剤は、Pr、Nd、DyそしてTmから構成される
グループから選ばれる。2価のEu2+は、主に発光中心
として作用する。一方、第2の希土類は、捕獲中心とし
て働くと考えるが、本発明の蛍光体では、それぞれの付
活剤がどちらの役割をなすかは確認されていない。特
に、Eu2+は、本発明の二価金属アルミン酸蛍光体中
で、捕獲中心を形成することが見い出されていたが、こ
れらの捕獲中心は、実際の夜光用途において長く持続す
る程十分ではない。長時間のリン光は、追加された希土
類付活剤を含むことで著しく強められる。
【0027】リン光蛍光体の品質は、減衰時間定数と、
リン光輝度により特徴が決まる。これらの2つの要因
は、発光中心と捕獲中心の両方の濃度に強く依存する。
発光中心濃度が捕獲中心と比較して低ければ、リン光は
より長く持続し減衰時間定数は小さくなる。しかしなが
ら、発光中心濃度が低くて、減衰定数が小さければ、リ
ン光輝度は低くなる。発光中心濃度が低過ぎると、均一
な発光は得られない。逆に、発光中心の濃度が高けれ
ば、高い初期リン光出力は達成されるが、減衰は早くな
り過ぎて減衰時間定数は大きくなる。
【0028】似たような効果は、捕獲中心の濃度につい
ても観察される。すなわち、捕獲中心濃度が低いと、残
光は短く、減衰定数は大きくなる。捕獲中心濃度が高い
と、残光時間が長くなって減衰定数は小さくなる。しか
しながら、捕獲中心の濃度が高くなり過ぎると、付活剤
の濃度は濃度消光を生み出す。たとえば、黄緑色長残光
蛍光体の場合、Eu2+濃度(発光中心)が、実施例2よ
り6倍高くなると、減衰時間定数n=0.98、そして
ZnS:Cu,Clと比較したリン輝度は、励起後10
秒後で279%、20分後で1160%となる。
【0029】発光中心と捕獲中心の最適な濃度は、用途
による要求を満足するように最適化されなければならな
い。好ましくは、発光中心として機能する希土類の濃
度、及び捕獲中心として機能する追加の希土類濃度は、
それぞれ二価金属元素の0.0001モルから0.1モ
ルの間にすべきである。より好ましくは、それぞれの希
土類イオンは、二価金属元素の0.01モルから0.0
5モルの間に調整するべきである。
【0030】表2は実施例1、2で開示されるEu2+
及び追加の希土類付活剤を含有する本発明の長残光蛍光
体の組成式、発光スペクトル特性と色調を示している。
希土類元素の組合せは、その組合せが含まれる母結晶に
関して選択されることが好ましい。経験的に決められた
減衰時間定数と、実施例1、2で試作した長残光蛍光体
の、励起後10秒後と20分後におけるリン光輝度が表
3に示されている。この表において、リン光輝度は、Z
nS:Cu,Cl蛍光体に比較した相対的なリン光強度
であって、励起源が除かれてから同じ時間間隔後の相対
輝度を記載している。表3は、本発明のリン光性蛍光体
が、長残光特性と同様に高いリン光輝度を有することを
示す。リン光は、数時間の間、特に約10時間、あるい
はそれ以上長い時間観察される。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】本発明の1つの好ましい実施例は、前記の
組成式(I)で示す長残光蛍光体であって、下記の条件
を満足する。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.002≦c≦0.1 組成式において、MOは、二価金属酸化物成分のトータ
ル量に対して70〜100mol%のCaOを含み、さ
らに、0から30mol%のMgO、SrO、そしてZ
nOから構成されるグループから選ばれた二価金属酸化
物を含む。さらに好ましくは、本実施例は、0から30
mol%のSrOを含む。
【0034】他の本発明の好ましい実施例は、組成式
(I)で示す長残光蛍光体であって、下記の条件を満足
する。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.001≦c≦0.1
【0035】本発明の長残光蛍光体の製造に用いられた
原料は、少なくとも99.9%、好ましくは99.99
%以上の純度の高純度物質である。蛍光体原料は、それ
らの成分が、要求される蛍光体の化学組成の一部を形成
する以外に、長残光蛍光体中の他のどの様な成分も生み
出す反応を起こさない様な原料である。たとえば、Sr
CO3は、一般的に、原料組成中で過剰の炭酸分を含む
が、その過剰の炭酸分は焼成過程で容易に燃焼される。
その他の無機もしくは有機化合物は、蛍光体として不必
要な成分を副生することなく、長残光蛍光体に必要とさ
れる成分のみを生成する原材料組成であるかぎり原料と
して用いられる。これに適した化合物の例は、炭酸塩、
硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物塩である。製品となる蛍
光体において、不必要な成分を生成する融剤は、たとえ
ば、アルカリ金属とハロゲンのいずれかまたは両方を含
む化合物である。
【0036】二価金属アルミン酸塩に含まれる二価金属
を生成するための使用原料として、アルカリ土類金属や
亜鉛の炭酸塩、酸化物が使用される。これ等の原料は、
反応性、取り扱いの簡単さ、高純度での入手のし易さ等
により用いられる。高純度のAl23が、同様の理由
で、Al23源として用いられる。Al(NO33・9
2Oも、Al23のかわりに使用される。ホウ酸、酸
化ホウ素、もしくはアルカリ土類ホウ酸が、好ましく
は、ホウ素原料として使用される。酸化ホウ素は、結晶
成長を助け、そして蛍光体の結晶中に含まれて、リン光
減衰特性を改良すると考えられる。
【0037】アルカリ金属とハロゲンの何れかあるいは
両方を含む融剤を使用すると、融剤が長残光蛍光体の減
衰時間やリン光輝度を低下させるので、これ等の融剤の
使用は避けることが好ましい。希土類シュウ酸塩が、好
ましくは、希土類付活剤の原料として使用される。
【0038】これらの物質は、計算され、そして良く調
合されて均一な原料混合物を得るために、乾式もしくは
湿式の混合プロセスのどちらかにより混合される。湿式
混合物は、オーブン中で乾燥され、焼成するためにフル
イにかけられる。次に、混合物は、すでに知られた方法
を用いて、弱還元雰囲気中で焼成される。たとえば、混
合物は、1200〜1500℃の弱還元雰囲気下で焼成
される。焼成の時間は、好ましい残光特性となるように
調整される。焼成物質は、リン光測定実施のため粉砕さ
れてフルイにかけられる。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の長残光蛍光体は、下記の
組成式をしている。 MO・a(Al1-bb23:cR この組成式において、a、b、cは下記の範囲にある。 0.5≦a≦10.0(ただし、1.5≦a≦3.0は
除く) 0.0001≦b≦0.5 0.0001≦c≦0.2 この組成式において、MOは、MgO、CaO、SrO
そしてZnOで構成される酸化物のグループより選ばれ
た少なくとも1種の二価金属酸化物である。RはEu2+
及び少なくとも1種の追加された希土類元素である。よ
り具体的には、Rは、Eu2+に加えて、Pr、Nd、D
yそしてTmで構成されるグループから選ばれた少なく
とも1種の追加された希土類元素である。Rは、たとえ
ば、Eu2+とPr、Eu2+とNd、Eu2+とDy、Eu
2+とTmである。
【0040】さらに、本発明の長残光蛍光体は、前記の
組成式において、好ましくはa、b、cを下記の範囲に
設定する。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.002≦c≦0.1 さらに、組成式におけるMOは、二価金属酸化物成分の
トータル量に対して、70〜100mol%のCaOを
含み、さらに、0〜30mol%の、MgO、SrOそ
してZnOから構成されるグループから選ばれた二価金
属酸化物を含む。たとえば、組成式におけるMOは、二
価金属酸化物成分のトータル量に対して、70〜100
mol%のCaOと、0〜30mol%のSrOを含ん
でいる。
【0041】さらに、本発明の長残光蛍光体は、下記の
組成式とすることができる。 CaO・1.025(Al0.9760.02423:0.005E
2+,0.015Nd
【0042】さらに、本発明の長残光蛍光体は、組成式
のa、b、cを下記の範囲とすることもできる。 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.001≦c≦0.1
【0043】a、b、cを前記の範囲とする長残光蛍光
体は、MOを、CaOそしてSrOから構成されたグル
ープより選ばれた少なくとも1種の二価金属酸化物とす
ることができる。
【0044】また、本発明の長残光蛍光体は、下記の組
成式とすることができる。 SrO・1.025(Al0.9760.02423:0.005E
2+,0.015Dy この組成式の長残光蛍光体は、RをEu2+とDyとする
ことができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の長残光蛍光体は、それぞれに
特定の好ましい実施例についての詳細な説明に入るが、
後述する例に使用される物質や各工程段階は具体例を例
示することを意図するのみである。本発明の蛍光体は、
物質、条件、工程の要因、そしてここにおいて列挙され
ているものにより特許請求の範囲を制限することを意図
するものでない。
【0046】[実施例1]下記のようにして、青色発光
長残光蛍光体を製造する。この蛍光体の組成式は下記の
通りである。 CaO・1.025(Al0.9760.02423:0.005Eu,
0.015Nd この蛍光体は以下の混合物から製造される。 CaCo3 10.009g Eu2(C243・10H2O 0.187g Nd23 0.252g Al23 10.196g H3BO3 0.309g
【0047】以上の混合物は、弱還元雰囲気下におい
て、1300℃で4時間炉中で焼成される。冷却後、得
られた製品は粉砕され、測定のためフルイにかけられ
る。
【0048】粒径、発光スペクトル、光で励起した状態
での残光特性が、すでに知られている方法により測定さ
れた。この蛍光体の粒径は11.3μm、発光ピークは
約440nmであった。この実施例で得られた長残光蛍
光体の発光スペクトルを図2に示す。
【0049】[実施例2]下記のようにして、黄緑色発
光長残光蛍光体を製造する。この蛍光体の組成式は下記
の通りである。 SrO・1.025(Al0.9760.02423:0.005Eu,
0.015Dy この蛍光体は下記の混合物から製造される。 SrCO3 14.736g Eu2 (C243 ・10H2O 0.187g Dy23 0.281g Al23 10.196g H3BO3 0.309g
【0050】混合物は実施例1に記載される方法と同じ
工程で、弱還元雰囲気の下で、1350℃で2時間焼成
される。得られた蛍光体の粒径は約12.5μm、発光
ピークは、約515nmに観察された。この実施例で得
られた長残光蛍光体の発光スペクトルを図3に示す。
【0051】
【発明の効果】本発明の長残光蛍光体は、表1に示すよ
うに、極めて高い初輝度を示し、さらに表3に示すよう
に、極めて長い減衰特性を持つ優れた発光特性を示す。
本発明の長残光蛍光体がこのように優れた残光特性を示
すのは、ホウ素を蛍光体の母結晶に混入しているからで
ある。
【0052】とくに、本発明の長残光蛍光体は、Zn
S:Cu,Cl蛍光体に比較して、極めて優れた残光特
性を示し、さらに、発光色を、たとえば紫、シアン、薄
緑そして黄緑を含む広い領域の色で発光させることがで
きる。
【0053】さらにまた、本発明の長残光蛍光体は、二
価金属酸化物と、ホウ素に置換されるアルミニウムの化
学量論比を調整し、また、希土類付活二価金属ホウ素置
換アルミン酸塩において、最適な希土類の組合せとする
ことにより、要求される色、残光特性を調整することが
出来る特長もある。また、太陽光、人工照明、電子線や
X線の様なさまざまな励起源により励起できる特長もあ
る。さらにまた、本発明の長残光蛍光体は、家庭で安全
に使用でき、大変広い分野で多用途に使用でき、また、
毒性がなくて吸湿性でない特長も備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 253.7nmの紫外線を照射して励起した
従来のZnS:Cu,Cl蛍光体の発光スペクトルを示
すグラフ
【図2】 253.7nmの紫外線を照射して励起した
本発明の実施例1の長残光蛍光体の発光スペクトルを示
すグラフ
【図3】 253.7nmの紫外線を照射して励起した
本発明の実施例2の長残光蛍光体の発光スペクトルを示
すグラフ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の組成式で示される蛍光体であっ
    て、組成式のa、b、c、が下記の範囲にある長残光蛍
    光体。 MO・a(Al1-bb23:cR 0.5≦a≦10.0(ただし、1.5≦a≦3.0は
    除く) 0.0001≦b≦0.5 0.0001≦c≦0.2 ただし、組成式において、MOはMgO、CaO、Sr
    OそしてZnOから成るグループから選ばれた少なくと
    も1種の二価金属酸化物で、Rは、Eu2+である第1付
    活剤に加えて、Pr、Nd、DyそしてTmから成るグ
    ループから選ばれた少なくとも1種の第2の希土類付活
    剤を含む。
  2. 【請求項2】 下記の組成式で示される蛍光体であっ
    て、組成式のa、b、c、が下記の範囲にある請求項1
    に記載される長残光蛍光体。 MO・a(Al1-bb23:cR 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.002≦c≦0.1 ただし、組成式において、MOはMgO、CaO、Sr
    OそしてZnOから成るグループから選ばれた二価金属
    酸化物で、しかも、MOは、総二価金属酸化物成分に対
    して、70から100mol%のCaOと、0から30
    mol%のMgOとSrOそしてZnOから構成される
    グループから選ばれた二価金属酸化物である。
  3. 【請求項3】 下記の組成式で示される蛍光体であっ
    て、組成式のa、b、c、が下記の範囲にある請求項1
    に記載される長残光蛍光体。 MO・a(Al1-bb23:cR 0.6≦a≦1.5 0.001≦b≦0.1 0.001≦c≦0.1 ただし、組成式において、MOはCaO、そしてSrO
    から成るグループから選ばれた少なくとも1種の二価金
    属酸化物である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998053025A1 (en) * 1997-05-19 1998-11-26 Citizen Watch Co., Ltd. Phosphorescent pigment and process for preparing the same
WO2008149442A1 (ja) * 2007-06-07 2008-12-11 Itakura, Masako 長残光蛍光体および長残光蛍光物

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