JPH09111034A - ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法

Info

Publication number
JPH09111034A
JPH09111034A JP7274300A JP27430095A JPH09111034A JP H09111034 A JPH09111034 A JP H09111034A JP 7274300 A JP7274300 A JP 7274300A JP 27430095 A JP27430095 A JP 27430095A JP H09111034 A JPH09111034 A JP H09111034A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin particles
polypropylene
foamed
foaming agent
polypropylene resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7274300A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinpei Nakayama
新平 中山
Masatomo Sasaki
正朋 佐々木
Yasukazu Ishikawa
泰計 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Plastics Co Ltd filed Critical Sekisui Plastics Co Ltd
Priority to JP7274300A priority Critical patent/JPH09111034A/ja
Publication of JPH09111034A publication Critical patent/JPH09111034A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オゾン層の破壊等の環境破壊の少なく発泡剤
を使用し、内圧付与及び圧縮充填することなく二次発泡
性の良い発泡成形体を得ることを課題とする。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂からなる基材樹脂
粒子に、少なくとも2以上のフッ素原子で置換された炭
素数2〜6の炭化水素を主成分とする発泡剤を含浸させ
て、これを予備発泡させて0.15〜0.03g/cm
3 の嵩密度を有する予備発泡樹脂粒子を得た後、次いで
該予備発泡樹脂粒子をそのまま所望の成形型内で1.8
〜3.0倍に発泡成形さすことを特徴とするポリプロピ
レン系樹脂発泡成形体の製造方法、並びに予備発泡樹脂
粒子及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及
びそれらの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明
は、オゾン層の破壊等の環境破壊の少ない特定の発泡剤
を使用し、内圧付与及び圧縮充填することなく優れた発
泡成形体を提供しうるポリプロピレン系予備発泡樹脂粒
子、それらから得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形
体及びその製造方法に関する。
【0002】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体
は、各種OA機器、オーディオ機器、家電製品等の緩衝
包装材の形態として特に好適に使用される。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、耐衝撃性に優れて
いることが知られている。このポリプロピレン系樹脂発
泡成形体を製造する方法として、種々の方法が報告され
ているが、その内の1つとして型内発泡成形法が挙げら
れる。型内発泡成形法によれば、発泡剤を含有する発泡
性ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡樹脂粒
子となし、これを成形型内に入れ再び加熱することによ
り、発泡樹脂粒子が互いに融着したポリプロピレン系樹
脂発泡成形体を得ることができる。
【0004】従来、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体製
造用の発泡剤としては、ブタン、ペンタン等の炭化水
素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(F−14
1b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(F−
142b)等の塩素化フッ化炭化水素(例えば、特公平
6−62800号公報の実施例参照)が使用されてい
る。
【0005】しかしながら、ポリプロピレン系樹脂発泡
成形体を製造する場合、これら発泡剤は、ポリプロピレ
ン系樹脂に対する含浸量が比較的多いものの、散逸する
速度が早いという欠点があった。従って、同一の製造条
件で製造された発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子であっ
ても、含浸後の経時に応じて、得られる予備発泡樹脂粒
子の性状が異なるため、一定の性状のものを得るために
発泡条件を経時に応じて調節する必要があった。
【0006】一方、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を
製造する場合、発泡剤の散逸する速度が早いことから、
そのまま型内発泡成形したのでは、予備発泡樹脂粒子同
志の隙間を埋めるだけ発泡せず、得られるポリプロピレ
ン系樹脂発泡成形体にへこみ、割れなどの不良が生じて
いた。そのため、型内に予備発泡樹脂粒子を圧縮した状
態で、閉鎖し得るが密閉し得ない型内に充填しそのまま
発泡成形する(圧縮充填発泡法)か、予備発泡樹脂粒子
内の発泡剤を炭酸ガス、窒素、空気等で内圧を付与し、
かつ内圧が減じる前に速やかに成形する(内圧付与発泡
法)必要があった。このような成形には、ポリプロピレ
ン系樹脂発泡成形体を製造するための特別な付帯設備が
必要であった。なお、内圧付与発泡法としては、特公平
6−45721号公報等に記載された方法が知られてい
る。
【0007】更に、塩素化フッ化炭化水素は、含浸量が
炭化水素より多いという点では優れているが、該フロン
がそのまま大気中に放出されると、オゾン層の破壊等に
より環境が破壊されるという欠点があった。以上の課題
を鑑み、本発明の発明者等は鋭意検討の結果、特定の発
泡剤を使用すれば、内圧付与及び圧縮充填により発泡さ
すことなく優れた発泡成形体が得られることを見いだし
本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、基材樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂で、発泡剤が
少なくとも2以上のフッ素原子で置換された炭素数2〜
6の炭化水素で、予備発泡後の予備発泡樹脂粒子が0.
15〜0.03g/cm3 の嵩密度を有することを特徴
とするポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子が提供され
る。
【0009】更に、本発明によれば、基材樹脂粒子がポ
リプロピレン系樹脂で、発泡剤が少なくとも2以上のフ
ッ素原子で置換された炭素数2〜6の炭化水素で、0.
15〜0.03g/cm3 の嵩密度の予備発泡樹脂粒子
を1.8〜3.0倍に発泡させて得られることを特徴と
するポリプロピレン系樹脂発泡成形体が提供される。ま
た、本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂からなる基
材樹脂粒子に、少なくとも2以上のフッ素原子で置換さ
れた炭素数2〜6の炭化水素を主成分とする発泡剤を含
浸させて、これを予備発泡させて0.15〜0.03g
/cm3 の嵩密度を有する予備発泡樹脂粒子を得た後、
次いで該予備発泡樹脂粒子をそのまま所望の成形型内で
1.8〜3.0倍に発泡成形さすことを特徴とするポリ
プロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明にはポリプロピレン系樹脂
からなる基材樹脂粒子が使用される。ここでポリプロピ
レン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン
−プロピレンランダム共重合体(エチレン成分1〜20
重量%)、エチレン−プロピレンブロック共重合体、1
−ブテン−プロピレン共重合体、プロピレン−エチレン
−ブテン三元共重合体等からなる樹脂が挙げられる。こ
れらの樹脂は、単独でもよく2種以上混合されていても
よい。また、上記ポリプロピレン系樹脂を使用して、分
枝構造をもたせたもの、或いは架橋したものを使用して
もよい。
【0011】また、基材樹脂粒子の形状は、特に限定さ
れず、球状、円筒状、ペレット状等の形状が挙げられ
る。ここで、基材樹脂粒子には、体積が1〜10mm3
程度の粒子を使用することが好ましい。更に、本発明に
使用する基材樹脂粒子には、必要に応じて各種添加剤、
例えば、充填剤(例えばシリカ、アルミナ、酸化チタ
ン、タルク、クレー、炭酸カルシウム等)、酸化防止
剤、滑剤(例えば流動パラフィン、脂肪酸エステル、金
属セッケン等)、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤等を添
加することができる。
【0012】本発明では、少なくとも2以上のフッ素原
子で置換された炭素数2〜6の炭化水素(以下、フッ化
炭化水素と称する)からなる発泡剤を使用することも特
徴の1つとする。上記、フッ化炭化水素としては、ジフ
ルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエ
タン、ペンタフルオロエタン、ヘキフルオロエタンから
なるフッ素原子でエタンの水素原子が2〜6置換された
化合物;ジフルオロプロパン、トリフルオロプロパン、
テトラフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、ヘ
キフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、オクタ
フルオロプロパンからなるフッ素原子でプロパンの水素
原子が2〜8置換された化合物;ジフルオロブタン、ト
リフルオロブタン、テトラフルオロブタン、ペンタフル
オロブタン、ヘキフルオロブタン、ヘプタフルオロブタ
ン、オクタフルオロブタン、ノナフルオロブタン、デカ
フルオロブタンからなるフッ素原子でブタンの水素原子
が2〜10置換された化合物;ジフルオロペンタン、ト
リフルオロペンタン、テトラフルオロペンタン、ペンタ
フルオロペンタン、ヘキフルオロペンタン、ヘプタフル
オロペンタン、オクタフルオロペンタン、ノナフルオロ
ペンタン、デカフルオロペンタン、ドデカフルオロペン
タン、ウンデカフルオロペンタンからなるフッ素原子で
ペンタンの水素原子が2〜12置換された化合物;ジフ
ルオロヘキサン、トリフルオロヘキサン、テトラフルオ
ロヘキサン、ペンタフルオロヘキサン、ヘキフルオロヘ
キサン、ヘプタフルオロヘキサン、オクタフルオロヘキ
サン、ノナフルオロヘキサン、デカフルオロヘキサン、
ドデカフルオロヘキサン、ウンデカフルオロヘキサン、
トリデカフルオロヘキサン、テトラデカフルオロヘキサ
ンからなるフッ素原子でヘキサンの水素原子が2〜14
置換された化合物が挙げられる。
【0013】上記フッ化炭化水素の内、1,1−ジフル
オロエタン(F−152a)、1,1,1−トリフルオ
ロエタン(F−143a)、1,1,1,2−テトラフ
ルオロエタン(F−134a)、1,1,1,2,2−
ペンタフルオロエタン(F−125)、1,2−ジフル
オロブタン(F−245fa)、1,1−ジフルオロブ
タン(F−245eb)、1,1,2−トリフルオロブ
タン(F−236ea)、1,1,2,2,3−ペンタ
フルオロブタン(F−245ca)、1,1,1,3,
3−ペンタフルオロペンタン(F−338mcf)、
1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペン
タン(F−338pcc)、1,1,1−トリフルオロ
ペンタン(F−356mff)が好ましい。
【0014】特に好ましいフッ化炭化水素は、1,1,
1,2−テトラフルオロエタン(F−134a)、1,
1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(F−12
5)、1,2−ジフルオロブタン(F−245fa)、
1,1−ジフルオロブタン(F−245eb)又は1,
1,2−トリフルオロブタン(F−236ea)であ
る。上記フッ化炭化水素は、1種でも2種以上組み合わ
せて使用してもよい。
【0015】本発明のポリプロピレン系予備発泡樹脂粒
子を提供するための発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子
は、発泡剤を1〜8重量%、好ましくは2〜5重量%含
有することが好ましい。この発泡剤の含浸量は、炭化水
素及び塩素化フッ化炭化水素での含浸量よりも少ない
(炭化水素及び塩素化フッ化炭化水素の初期含浸量は、
それぞれ約10重量%及び約15重量%)。しかしなが
ら、含浸量の経時変化を測定すると、炭化水素及び塩素
化フッ化炭化水素は、急激に逸散するのに対して、本発
明に使用されるフッ化炭化水素は逸散速度が極めて遅
い。従って、従来の炭化水素及び塩素化フッ化炭化水素
からなる発泡剤では、含浸後直ちに発泡させることが行
われている。本発明ではポリプロピレン系樹脂粒子中に
発泡剤が十分残存するので、従来のような直ちに発泡を
行う必要はない。
【0016】基材樹脂粒子への発泡剤の含浸は、耐圧密
閉容器内で、基材樹脂粒子に発泡剤を圧入する方法によ
り行うことができる。発泡剤の含浸は、60〜150
℃、好ましくは80〜120℃で行うことができる。6
0℃未満の場合は含浸時間が長くなるので好ましくな
く、150℃より高い場合は基材樹脂粒子同志の合着が
起こるので好ましくない。また、含浸時間は、基材樹脂
粒子の大きさによって相違するが、例えば2mm3 程度
の粒子の場合、3時間以上、好ましくは6時間以上であ
る。含浸時間が3時間未満の場合、基材樹脂粒子の中心
部に未含浸部分ができ、予備発泡樹脂粒子とした際に、
一つの予備発泡樹脂粒子内に発泡部分と未発泡部分が混
在することになり、予備発泡樹脂粒子から得られたポリ
プロピレン系樹脂発泡成形体は所望の物性を備えないの
で好ましくない。
【0017】上記水性媒体中には、発泡性ポリプロピレ
ン系樹脂粒子を形成さす際に通常用いられる各種の添加
剤、例えば、分散剤、界面活性剤、発泡助剤(溶剤、可
塑剤)、懸濁剤、滑剤等を添加することができる。ここ
で、分散剤としては、ピロリン酸マグネシウム等が挙げ
られる。界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルフ
ォン酸ソーダ等が挙げられる。
【0018】発泡助剤としては、トルエン、エチルベン
ゼン、シクロヘキサン、イソパラフィン等が挙げられ
る。上記の方法により得られた発泡性ポリプロピレン系
樹脂粒子は、そのまま市販品となすことができる。本発
明では、上記発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を、予備
発泡させることにより0.15〜0.03g/cm3
好ましくは0.15〜0.06g/cm3の嵩密度を有
するポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子を得ることがで
きる。ここで、嵩密度が0.03g/cm3 未満の場合
二次発泡力が低下するので好ましくない。予備発泡は、
例えば、予備発泡装置内で、水蒸気圧を1.5〜5.0
Kg/cm2 G、15〜60秒加熱することにより得ら
れる。本発明のポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子は、
発泡剤の逸散速度が極めて遅いので、経時による発泡力
の低下が少なく、粒子の寿命が長くなる。
【0019】上記の方法により得られたポリプロピレン
系予備発泡樹脂粒子は、そのまま市販品となすことがで
きる。更に本発明では、上記ポリプロピレン系予備発泡
樹脂粒子を、所望の形状を有し、ポリプロピレン系予備
発泡樹脂粒子を閉鎖しうるが密閉しえない型内で、1.
8〜3.0倍に発泡させることによるポリプロピレン系
樹脂発泡成形体も提供される。ここで、1.8倍未満の
場合は、ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子相互の間隔
を埋めることができず、発泡成形体にへこみ、割れなど
の不良が生じるので好ましくない。しかしながら、内圧
付与及び圧縮充填なしに発泡させれば1.8倍以下とな
る場合でも、内圧付与及び圧縮充填により発泡させれ
ば、1.8倍以上に発泡さすことができる。なお、発泡
成形させる前に、ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子を
常温で24時間程度熟成したのち、発泡成形することが
好ましい。また、発泡成形は、蒸気圧2.5〜6.0K
g/cm2 G、15〜60秒加熱することにより行うこ
とができる。得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体
は、冷却後、型から取り出される。
【0020】ここで、より好ましいポリプロピレン系樹
脂発泡成形体は、予備発泡時の発泡嵩倍率が10倍以下
のポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子を発泡させたもの
である。10倍より大きいポリプロピレン系予備発泡樹
脂粒子を使用すると、発泡成形時に内圧付与及び圧縮充
填を行うのがよい。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例について説明する。 (1)実施例及び比較例(含浸量と逸散速度) 5リットルのオートクレーブに水2000g、ペレット
状(直径0.15cm、長さ0.2cm)のポリプロピ
レン樹脂粒子(住友化学社製、エチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体、ノーブレンS−131、密度0.89
g/cm3 )1000g、無機分散剤0.5重量%/
水、界面活性剤0.02重量%/水を仕込みかつ密閉し
た後、攪拌状態にし、発泡剤として1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン(F−134a)を15重量%/樹
脂圧入した。次いで温度を95℃に上げ、10時間維持
し含浸を行った。
【0022】含浸後、20℃まで冷却し、ガス抜きを行
いオートクレーブから発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子
を取り出した。この樹脂粒子を乾燥させたのち、20℃
の恒温室に入れ、経時による逸散速度を測定した。結果
を図1に示す。発泡剤として、ブタン、イソペンタン、
1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(F−142
b)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(F−1
41b)、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオ
ロエタン(F−123)、1,2−ジフルオロブタン
(F−245fa)、1,1,2−トリフルオロブタン
(F−236ea)を用いること以外は上記と同様にし
て、含浸処理し、経時による逸散速度を測定した。結果
を図1に示す。
【0023】なお、取り出し直後の含浸量を表1に示
す。
【0024】
【表1】
【0025】上記表1から取り出し直後において、炭化
水素及び塩素化フッ化炭化水素は非常に多く含浸される
が、フッ化炭化水素は3〜4重量%しか含浸されていな
い。次に、図1からフッ化炭化水素は炭化水素及び塩素
化フッ化炭化水素と比較して、逸散速度が顕著に遅いこ
とが判る。これはフッ化炭化水素が、予備発泡時の発泡
性において経時による大きな影響がないことを示してい
る。
【0026】また、F−134a、F−245fa及び
F−236eaについて、24時間放置後の含浸量を測
定した。含浸量はそれぞれ、1.9重量%、2.8重量
%、3.4重量%であり、大きく減少しなかった。
【0027】(2)実施例及び比較例(経時によるポリ
プロピレン予備発泡樹脂粒子の発泡性) 発泡剤として、ブタン、F−142b、F−134a、
F−236ea、F−245faを使用し、(1)の実
施例と同様にして発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を製造
した。得られた発泡性ポリプロピレン樹脂粒子の取り出
し直後の含浸量は、それぞれ10.0重量%、13.0
重量%、3.2重量%、4.2重量%、3.6重量%で
あった。
【0028】上記発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を一定
期間保存した後、予備発泡させ、各発泡剤に対する経時
(ブタン及びF−142bについては直後、5時間、1
日、3日及び6日後を、F−134a、F−236ea
及びF−245faについては直後、1日、3日及び6
日後を測定した)における発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関
係を図2〜6に示した。
【0029】比較例の図2及び3を見ると、ブタン(図
2)及びF−142b(図3)は経時と共に発泡可能な
水蒸気圧力の範囲が狭くなり、最高発泡嵩倍率も低下し
ている。これに対して、実施例の図4〜6を見ると、F
−134a(図4)、F−236ea(図5)、F−2
45fa(図6)のフッ化炭化水素は、経時6日目でも
取り出し直後の発泡性ポリプロピレン樹脂粒子と発泡性
は大きく変わらなかった。
【0030】(3)実施例及び比較例(予備発泡後の逸
散速度) 発泡剤として、ブタン、F−142b、F−236e
a、F−245fa、F−134aを使用し、前記
(1)の実施例と同様にして発泡性ポリプロピレン樹脂
粒子を製造した。
【0031】次いで、予備発泡嵩倍率を、ブタンは7
倍、F−142bは7.6倍、F−134aは6.0、
F−236eaは6.0倍、F−245faは6.0倍
となるように所定の発泡条件に付した。得られたポリプ
ロピレン予備発泡樹脂粒子の発泡剤の含浸量の経時変化
を図7に示した。なお、ポリプロピレン予備発泡樹脂粒
子の保存温度は20℃とした。
【0032】図7から、フッ化炭化水素は、炭化水素及
び塩素化フッ化炭化水素と比べて、ポリプロピレン予備
発泡樹脂粒子においても逸散速度が遅いことが判った。
これは、発泡成形時に、安定して発泡成形品が得られる
ことを示している。
【0033】(4)実施例及び比較例(ポリプロピレン
予備発泡樹脂粒子の二次発泡性) 発泡剤として、ブタン、F−142b、F−236e
a、F−245fa、F−134aを使用し、実施例1
と同様にして発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を製造し
た。
【0034】次に、発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を2
4時間放置した後、加圧発泡槽に入れ、発泡させ所定の
嵩倍率のポリプロピレン予備発泡樹脂粒子を得た。この
ポリプロピレン予備発泡樹脂粒子を所定温度で24時間
熟成させた後、加圧発泡槽内に入れ、所定の水蒸気圧力
で30秒間加熱することにより二次発泡を行った。冷却
後、加圧発泡槽から二次発泡粒子を取り出し、発泡嵩倍
率を測定した。
【0035】表2に、各発泡剤における、予備発泡嵩倍
率、熟成温度、水蒸気圧力、二次発泡嵩倍率、発泡性比
(二次発泡粒子の嵩倍率÷予備発泡樹脂粒子の嵩倍率)
を示した。
【0036】
【表2】
【0037】ここで、圧縮充填又は内圧付与することな
く発泡成形するには、発泡性比が1.8倍以上で行われ
る。この観点から表2を見ると、炭化水素であるブタン
及び塩素化フッ化炭化水素であるF−142bは、その
ままでは発泡成形さすことはできない(比較例)。これ
に対し本発明に使用されるフッ化炭化水素は、2倍以上
の発泡性比を示し、圧縮充填又は内圧付与することなく
発泡成形することができる。
【0038】また、ポリプロピレン予備発泡樹脂粒子の
熟成温度は、−1℃でも20℃でも変わらないので、温
度を維持するための特別の装置が必要とされないことが
判る。
【0039】(5)実施例 5リットルのオートクレーブに水2000g、ペレット
状のポリプロピレン樹脂粒子(住友化学社製、ノーブレ
ンS−131)1000g、無機分散剤0.5重量%/
水、界面活性剤0.02重量%/水を仕込みかつ密閉し
た後、攪拌状態にし、1,1,1,2−テトラフルオロ
エタン(F−134a)を15重量%/樹脂圧入した。
次いで温度を95℃に上げ、10時間維持し含浸を行っ
た。
【0040】含浸後、20℃まで冷却し、ガス抜きを行
いオートクレーブから発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を
取り出した。取り出し直後の発泡剤の含浸量を測定する
と3.2重量%であった。この発泡性ポリプロピレン樹
脂粒子を24時間放置し、加圧発泡槽に入れ、水蒸気圧
力2.1Kg/cm2 、時間30秒の条件で発泡させ、
発泡嵩倍率6倍のポリプロピレン予備発泡樹脂粒子を得
た。
【0041】このポリプロピレン予備発泡樹脂粒子を2
0℃で24時間放置した後、300mm×400mmの
成形型に充填し、水蒸気圧力3.0Kg/cm2 、時間
30秒の条件で加熱し、発泡成形させた。冷却後に取り
出したポリプロピレン樹脂発泡成形体は、粒子間が充分
融着した嵩密度0.16g/cm3 であった。
【0042】
【発明の効果】更に、本発明のポリプロピレン系予備発
泡樹脂粒子は、基材樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂
で、発泡剤が少なくとも2以上のフッ素原子で置換され
た炭素数2〜6の炭化水素で、予備発泡後の予備発泡樹
脂粒子が0.15〜0.03g/cm3 の嵩密度を有す
ることを特徴とする。
【0043】従って、発泡剤の逸散速度の極めて遅い予
備発泡樹脂粒子が得られるので、予備発泡後直ちに発泡
成形に付す必要がなく、また、該予備発泡樹脂粒子の発
泡性を向上させることができる。また、本発明に使用さ
れる発泡剤は、オゾン層の破壊の如き環境破壊の恐れが
ない。更に、発泡剤が、1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(F−134a)、1,1,1,2,2−ペン
タフルオロエタン(F−125)、1,2−ジフルオロ
ブタン(F−245fa)、1,1−ジフルオロブタン
(F−245eb)及び1,1,2−トリフルオロブタ
ン(F−236ea)の1種又は2種以上含有ることに
より、より逸散速度の遅いポリプロピレン系予備発泡樹
脂粒子を得ることができる。
【0044】また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡
成形体は、基材樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂からな
り、発泡剤が少なくとも2以上のフッ素原子で置換され
た炭素数2〜6の炭化水素を主成分として含有し、0.
15〜0.03g/cm3 の嵩密度の予備発泡樹脂粒子
を1.8〜3.0倍に発泡させて得られることを特徴と
する。
【0045】従って、へこみ、割れ等のないポリプロピ
レン系樹脂発泡成形体を得ることができる。更に、本発
明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、ポ
リプロピレン系樹脂からなる基材樹脂粒子に、少なくと
も2以上のフッ素原子で置換された炭素数2〜6の炭化
水素を主成分とする発泡剤を含浸させて、これを予備発
泡させて0.15〜0.03g/cm3 の嵩密度を有す
る予備発泡樹脂粒子を得た後、次いで該予備発泡樹脂粒
子をそのまま所望の成形型内で1.8〜3.0倍に発泡
成形さすことを特徴とする。
【0046】従って、へこみ、割れ等のないポリプロピ
レン系樹脂発泡成形体を得ることができる。また、発泡
成形が、内圧付与及び圧縮充填することなく行われるこ
とより、内圧付与及び圧縮充填のための装置が不要とな
るので、製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例の発泡性ポリプロピレン樹脂
粒子の経時による逸散速度を示すグラフである。
【図2】比較例の発泡剤(ブタン)に対する経時におけ
る発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関係を示すグラフである。
【図3】比較例の発泡剤(F−142b)に対する経時
における発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関係を示すグラフで
ある。
【図4】実施例の発泡剤(F−134a)に対する経時
における発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関係を示すグラフで
ある。
【図5】実施例の発泡剤(F−236ea)に対する経
時における発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関係を示すグラフ
である。
【図6】実施例の発泡剤(F−245fa)に対する経
時における発泡嵩倍率と水蒸気圧力の関係を示すグラフ
である。
【図7】実施例及び比較例の予備発泡樹脂粒子の発泡剤
の含浸量の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂
    で、発泡剤が少なくとも2以上のフッ素原子で置換され
    た炭素数2〜6の炭化水素で、予備発泡後の予備発泡樹
    脂粒子が0.15〜0.03g/cm3 の嵩密度を有す
    ることを特徴とするポリプロピレン系予備発泡樹脂粒
    子。
  2. 【請求項2】 発泡剤が、1,1,1,2−テトラフル
    オロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタ
    ン、1,2−ジフルオロブタン、1,1−ジフルオロブ
    タン及び1,1,2−トリフルオロブタンの1種又は2
    種以上である請求項1記載の樹脂粒子。
  3. 【請求項3】 基材樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂
    で、発泡剤が少なくとも2以上のフッ素原子で置換され
    た炭素数2〜6の炭化水素で、0.15〜0.03g/
    cm3 の嵩密度の予備発泡樹脂粒子を1.8〜3.0倍
    に発泡させて得られることを特徴とするポリプロピレン
    系樹脂発泡成形体。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系樹脂からなる基材樹脂
    粒子に、少なくとも2以上のフッ素原子で置換された炭
    素数2〜6の炭化水素を主成分とする発泡剤を含浸させ
    て、これを予備発泡させて0.15〜0.03g/cm
    3 の嵩密度を有する予備発泡樹脂粒子を得た後、次いで
    該予備発泡樹脂粒子をそのまま所望の成形型内で1.8
    〜3.0倍に発泡成形さすことを特徴とするポリプロピ
    レン系樹脂発泡成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 発泡成形が、内圧付与及び圧縮充填する
    ことなく行われる請求項5記載の製造方法。
JP7274300A 1995-10-23 1995-10-23 ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法 Pending JPH09111034A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7274300A JPH09111034A (ja) 1995-10-23 1995-10-23 ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7274300A JPH09111034A (ja) 1995-10-23 1995-10-23 ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09111034A true JPH09111034A (ja) 1997-04-28

Family

ID=17539731

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7274300A Pending JPH09111034A (ja) 1995-10-23 1995-10-23 ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09111034A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021100645A1 (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社カネカ ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04318040A (ja) * 1991-04-17 1992-11-09 Sekisui Plastics Co Ltd 予備発泡粒子の製造法及び製造装置
JPH06322168A (ja) * 1993-02-11 1994-11-22 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 熱可塑性発泡物品およびその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04318040A (ja) * 1991-04-17 1992-11-09 Sekisui Plastics Co Ltd 予備発泡粒子の製造法及び製造装置
JPH06322168A (ja) * 1993-02-11 1994-11-22 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 熱可塑性発泡物品およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021100645A1 (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社カネカ ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0146679B1 (ko) 폴리올레핀계 수지 발포입자의 제조방법
JPH0386736A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法
JPH04372630A (ja) ポリオレフィン系樹脂の低発泡粒子及びその製造方法
JP2016183255A (ja) 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子及び発泡成形体
JP3970191B2 (ja) 自己消火型発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体
JPH09111034A (ja) ポリプロピレン系予備発泡樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法
JP2009161749A (ja) スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法及び発泡成形体
JP2000169619A (ja) 導電性ポリプロピレン系樹脂発泡成形体とその製造方法
JP4940688B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法
JP2006022138A (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子
JP3453647B2 (ja) 発泡成形用プロピレン系樹脂粒子、発泡性プロピレン系樹脂粒子、プロピレン系樹脂予備発泡粒子及びプロピレン系樹脂発泡成形体
JP5315759B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法
JP5216353B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
JP5599154B2 (ja) 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体
JP2003082150A (ja) ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子
JP5885792B2 (ja) 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法及びポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法
JPH05255531A (ja) 発泡重合体成形品の製造方法
JPH08333471A (ja) 型内成型用発泡粒子及び型内発泡成型体
JPH08151471A (ja) 耐衝撃性発泡体製造用の発泡性粒子及びその製造方法
JP2002012692A (ja) 発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子、その製造法及び発泡成形体
WO2004007596A1 (ja) ポリスチレン樹脂発泡体及びその製造方法
JP2999812B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
JP2880834B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、型内成型体、エネルギー吸収材及び自動車のバンパー用芯材
JP4236516B2 (ja) ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の製造方法
JPH0673225A (ja) アクリロニトリル・スチレン系共重合体からなる発泡性粒子及びその製造方法