JPH09110592A - 積層薄膜、電子デバイス用基板、電子デバイスおよび積層薄膜の製造方法 - Google Patents

積層薄膜、電子デバイス用基板、電子デバイスおよび積層薄膜の製造方法

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JPH09110592A
JPH09110592A JP8217884A JP21788496A JPH09110592A JP H09110592 A JPH09110592 A JP H09110592A JP 8217884 A JP8217884 A JP 8217884A JP 21788496 A JP21788496 A JP 21788496A JP H09110592 A JPH09110592 A JP H09110592A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 c面単一配向の単純ペロブスカイト型または
タングステンブロンズ型の材料から構成されるc面単一
配向薄膜を有する積層薄膜、この積層薄膜を備えた電子
デバイス用基板、電子デバイスおよび前記積層薄膜の製
造方法を提供する。 【解決手段】 半導体単結晶基板上に酸化物薄膜が形成
されており、この酸化物薄膜は酸化ジルコニウムまたは
希土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定化さ
れた酸化ジルコニウムを主成分としたエピタキシャル薄
膜を少なくとも1層含み、この酸化物薄膜上にペロブス
カイト型またはタングステンブロンズ型の誘電体材料で
形成され、基板表面と平行にc面単一配向した配向薄膜
を備える積層薄膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
やタングステンブロンズ型の誘電体層や電極膜を備える
積層薄膜、この積層薄膜を備える電子デバイス用基板、
電子デバイス、および積層薄膜の製造方法に関し、さら
に詳細には、主として半導体メモリーセル、トランジス
タセルに用いられる多層膜構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】主としてSi単結晶基板である半導体結
晶基板上に、超電導膜または誘電体膜を形成、集積化し
た電子デバイスが考案されている。半導体と超電導体ま
たは誘電体を組み合わせることにより、たとえば、半導
体と超電導体の組み合わせでは、SQUID、ジョセフ
ソン素子、超電導トランジスタ、電磁波センサーおよび
超電導配線LSI等、半導体と誘電体では、集積度のさ
らに高いLSI、SOI技術による誘電体分離LSI、
不揮発性メモリー、赤外線センサー、光変調器および光
スイッチ、OEIC(光・電子集積回路:opto-electro
nic integrated circuits )等が試作されている。
【0003】これら超電導体材料または誘電体材料を用
いた半導体デバイスにおいて、最適なデバイス特性およ
びその再現性を確保するためには、超電導体材料および
誘電体材料として単結晶を用いることが必要である。多
結晶体では粒界による物理量の攪乱のため、良好なデバ
イス特性を得ることが難しい。このことは薄膜材料につ
いても同様で、できるだけ完全な単結晶に近い超電導ま
たは誘電体エピタキシャル膜が望まれる。
【0004】応用的に価値のある、おもな酸化物超電導
体および強誘電体の結晶構造は、ペロブスカイト構造を
とっている。ペロブスカイト型酸化物のエピタキシャル
成長は基板の材料と結晶方位に大きく依存し、ペロブス
カイト型酸化物をSi基板上へ直接エピタキシャル成長
させることは、現在のところ不可能である。そこで、S
i基板にエピタキシャル成長したYSZ (ZrO2 にYを
ドープした材料)によるバッファ層を設け、その上にペ
ロブスカイト型酸化物であるYBCOおよびBi系の超伝導膜
をエピタキシャル成長させることが、Appl.Phy
s.Lett.,Vol.54,No.8,p.754
−p.756(1989)、Japanese Jou
rnal of Applied Physics,V
ol.27,No.4,L634−635(1988)
および特開平2−82585号公報に述べられている。
【0005】特に、YSZは、基板のSi結晶と格子整
合がよく、さらにペロブスカイト結晶との格子整合もま
た優れているため、早くから、Si基板とペロブスカイ
ト結晶膜とのバッファ材として、Si基板上のYSZ膜
が注目されている。
【0006】しかしながら、これまで、YSZバッファ
層を用いて、このように直接エピタキシャル成長が実現
されているペロブスカイト型酸化物結晶は、YBa2
37-x (YBCO)、BiSrCaCu2 x 、L
aSrCoO3 などであり、すべて複合ペロブスカイト
である。複合ペロブスカイトは、単純ペロブスカイトの
変形であるK2 NiF4 型、Nd2 CuO4 型、Sr3
Ti2 7 型などの結晶構造をとる。このような複合ペ
ロブスカイトはc軸方向に長周期構造をもちa軸とc軸
の異方性が強い。したがって、c軸配向性が強く、基板
をc面として、c軸配向のエピタキシャル膜が得易い。
Appl. Phys. Lett. 57 (11) 1161-1163(1990)に述べら
れているように、エピタキシャル膜の面方位関係はYBCO
(001)//YSZ(001)//Si(100)、かつYBCO[110]//YSZ[100]/
/Si [010] となり、YBCOの単位格子は、YSZ の格子に対
してc面内で45°回転して格子の整合がとれてエピタキ
シャル成長する。
【0007】しかし、発明者らの検討ではBaTiO3、SrTi
O3、PbTiO3、PZT 、PLZTなどの単純ペロブスカイト構造
を基本とする材料は上述のように、例えばBaTiO3の場
合、BaTiO3(001)//YSZ(001)//Si(100)、かつBaTiO3[11
0]//YSZ[100]//Si[010]のように、BaTiO3の単位格子
を、YSZ の格子に対してc 面内で45°回転して格子の整
合がとれてエピタキシャル成長させることは、不可能で
あった。また、他の研究者からの報告もない。
【0008】これは、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、PZT 、
PLZTなどの単純ペロブスカイト構造を基本とする材料
は、単位格子が単純なペロブスカイト構造で異方性が小
さい。そのため、面内で回転して格子整合するより、単
純ペロブスカイト構造の(001)配向成長が(110) 配向と
なって格子整合がとられるためと考えられる。したがっ
て、単純ペロブスカイト構造の(001) 配向エピタキシャ
ル膜は得られない。
【0009】ところで、BaTiO3、PbTiO3、PZT 、PLZTな
どは強誘電体で、半導体装置と組み合わせることによ
り、不揮発性メモリーを実現することができる。このメ
モリーは強誘電体の分極反転現象を利用するものである
が、BaTiO3、PbTiO3、PZT 、PLZTなどの強誘電体は分極
軸がペロブスカイト構造のc軸方向である。したがっ
て、メモリーにこれらの強誘電体膜を利用するために
は、(001) 配向膜を用いる必要がある。しかし、上述し
たように、Si上にYSZを介してBaTiO3、PbTiO3、PZT
、PLZTなどの単純ペロブスカイト構造の材料を成膜し
た場合、(001) 配向のエピタキシャル膜がこれまで得ら
れてなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、c面単一配向の単純ペロブスカイト型またはタング
ステンブロンズ型の材料から構成されるc面単一配向薄
膜を有する積層薄膜、この積層薄膜を備えた電子デバイ
ス用基板、電子デバイスおよび前記積層薄膜の製造方法
を提供することである。
【0011】このような課題を解決するために、発明者
らは、検討を重ねた結果、ZrO2を主成分とする薄膜
に高結晶性、分子レベルの平坦性を有する薄膜を用いる
ことと、特にペロブスカイト酸化物薄膜について、新た
な結晶成長方法を見いだすことにより解決できることを
発見した。
【0012】
【課題を解決するための手段】具体的には、このような
目的は、下記(1)〜(41)の本発明により達成され
る。 (1) 半導体単結晶基板上に酸化物薄膜が形成されて
おり、この酸化物薄膜は酸化ジルコニウムまたは希土類
金属元素(ScおよびYを含む)により安定化された酸
化ジルコニウムを主成分としたエピタキシャル薄膜を少
なくとも1層含み、この酸化物薄膜上にペロブスカイト
型またはタングステンブロンズ型の誘電体材料で形成さ
れ、基板表面と平行にc面単一配向した配向薄膜を備え
る積層薄膜。 (2) 前記ペロブスカイト型またはタングステンブロ
ンズ型の誘電体材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ス
トロンチウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、ニオブ
酸ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ酸バ
リウム鉛(PBN)である上記(1)の積層薄膜。 (3) 前記配向薄膜がエピタキシャル膜である上記
(1)または(2)の積層薄膜。 (4) 前記半導体単結晶基板がSi(100)面を表
面に有するSi単結晶基板であって、前記配向薄膜とS
i単結晶基板の結晶軸方位関係がペロブスカイトまたは
タングステンブロンズ[100]//Si[010]であ
る上記(3)の積層薄膜。 (5) Si(100)面を表面に有するSi単結晶で
形成されたSi単結晶基板上に、ペロブスカイト型また
はタングステンブロンズ型の材料で形成され、エピタキ
シャル膜であり、結晶軸方位関係がペロブスカイトまた
はタングステンブロンズ[100]//Si[010]で
ある配向薄膜を備える積層薄膜。 (6) 前記ペロブスカイト型またはタングステンブロ
ンズ型の材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロン
チウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、ニオブ酸スト
ロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ酸バリウム
鉛(PBN)である上記(5)の積層薄膜。 (7) 前記Si単結晶基板と配向薄膜との間に酸化ジ
ルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびYを含
む)により安定化された酸化ジルコニウムを主成分とす
るエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物薄膜
が介設されている上記(5)または(6)の積層薄膜。 (8) 半導体単結晶基板上に、タングステンブロンズ
型材料で形成されたエピタキシャル膜である配向薄膜を
備える積層薄膜。 (9) 前記タングステンブロンズ型材料が、ニオブ酸
ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ酸バリ
ウム鉛(PBN)である上記(8)の積層薄膜。 (10) 前記半導体単結晶基板が、Si(100)面
を表面に有するSi単結晶基板である上記(8)または
(9)の積層薄膜。 (11) 前記半導体単結晶基板と配向薄膜との間に、
酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびY
を含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主成分
とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物
薄膜が介設されている上記(8)〜(10)のいずれか
の積層薄膜。 (12) 酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(S
cおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコニウ
ムを主成分とし、半導体単結晶基板上に形成された第1
のエピタキシャル膜と、この第1のエピタキシャル膜上
に直接形成されたペロブスカイト型材料による第2のエ
ピタキシャル膜である配向薄膜とを含む酸化物薄膜を有
する積層薄膜。 (13) 前記第2のエピタキシャル膜のペロブスカイ
ト型材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウ
ムまたはこれらの固溶体を主成分とする上記(12)の
積層薄膜。 (14) 前記半導体単結晶基板がSi(100)面を
表面に有するSi単結晶基板であって、このSi単結晶
基板と配向薄膜の結晶軸方位関係がペロブスカイト[1
00]//Si[010]である上記(12)または(1
3)の積層薄膜。 (15) Si(100)面を表面に有するSi単結晶
基板上に、金属または導電性酸化物で形成され、基板表
面と平行にc面またはa面単一配向したエピタキシャル
膜である導電性配向薄膜を備える積層薄膜。 (16) 前記金属がPt、Ir、Os、Re、Pd、
RhおよびRuのうちの少なくとも1種を含む金属であ
り、前記導電性酸化物がInを含む酸化物またはペロブ
スカイト酸化物である上記(15)の積層薄膜。 (17) 前記Si単結晶基板と導電性配向薄膜との間
に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(Scおよ
びYを含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主
成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸
化物薄膜が介設されている上記(15)または(16)
の積層薄膜。 (18) Si(100)面を表面に有するSi単結晶
基板上に、金属または導電性酸化物で形成され、基板表
面と平行にc面またはa面単一配向したエピタキシャル
膜である導電性配向薄膜、およびこの導電性配向薄膜上
に、ペロブスカイト型またはタングステンブロンズ型材
料により形成された配向薄膜を備える積層薄膜。 (19) 前記金属がPt、Ir、Os、Re、Pd、
RhおよびRuのうちの少なくとも1種を含む金属であ
り、前記導電性酸化物がInを含む酸化物またはペロブ
スカイト酸化物である上記(18)の積層薄膜。 (20) 前記配向薄膜のペロブスカイト型またはタン
グステンブロンズ型材料が、チタン酸バリウム、チタン
酸ストロンチウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、ニ
オブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ
酸バリウム鉛(PBN)である上記(18)または(1
9)の積層薄膜。 (21) 前記配向薄膜がエピタキシャル膜である上記
(18)〜(20)のいずれかの積層薄膜。 (22) 前記Si基板と配向薄膜の結晶軸方位関係が
ペロブスカイトまたはタングステンブロンズ[100]
//Si[010]である上記(21)の積層薄膜。 (23) 前記Si単結晶基板、導電性配向薄膜および
配向薄膜の間の面方位関係が、ペロブスカイトまたはタ
ングステンブロンズ(001)//導電性薄膜(001)
//Si(100)である上記(18)〜(22)のいず
れかの積層薄膜。 (24) 前記Si単結晶基板と導電性配向薄膜との間
に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(Scおよ
びYを含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主
成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸
化物薄膜を介設した上記(18)〜(23)のいずれか
の積層薄膜。 (25) 前記酸化物薄膜の酸化ジルコニウムまたは希
土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定化され
た酸化ジルコニウムの組成がZr1-xx2-δ(ここ
で、RはScおよびYを含む希土類金属元素であり、x
=0〜0.75、δ=0〜0.5である)である上記
(1)〜(5)、(7)、(11)、(12)〜(1
4)、(17)、(24)のいずれかの積層薄膜。 (26) 前記酸化物薄膜の酸化ジルコニウムが、酸素
をのぞく構成元素のみに換算してZrを93mol%以上含
有する上記(1)〜(5)、(7)、(11)、(1
2)〜(14)、(17)、(24)〜(25)のいず
れかの積層薄膜。 (27) 前記酸化物薄膜の(002)反射のロッキン
グカーブの半値幅が1.5°以下である上記(1)〜
(5)、(7)、(11)、(12)〜(14)、(1
7)、(24)〜(26)のいずれかの積層薄膜。 (28) 前記酸化物薄膜の表面のすくなくとも80%
が、基準長さ500nmでの十点平均粗さRzが2nm以下
である上記(1)〜(5)、(7)、(11)、(1
2)〜(14)、(17)、(24)〜(27)のいず
れかの積層薄膜。 (29) 前記酸化物薄膜が、酸化ジルコニウムまたは
希土類金属元素(ScおよびYを含む)で安定化された
酸化ジルコニウムを主成分とする第1のエピタキシャル
膜と、その上に形成されたペロブスカイト型材料による
第2のエピタキシャル膜を少なくとも含む上記(1)〜
(5)、(7)、(11)、(17)、(24)〜(2
8)のいずれかの積層薄膜。 (30) 前記第2のエピタキシャル膜のペロブスカイ
ト型材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウ
ムまたはこれらの固溶体を主成分とする上記(29)の
積層薄膜。 (31) 前記Si単結晶基板と、前記ペロブスカイト
型材料による第2のエピタキシャル膜の結晶軸方位関係
がペロブスカイト[100]//Si[010]である上
記(29)または(30)の積層薄膜。 (32) 上記(1)〜(31)のいずれかの積層薄膜
を備える電子デバイス用基板。 (33) 上記(1)〜(31)のいずれかの積層薄膜
を備える電子デバイス。 (34) Si単結晶基板、このSi単結晶基板上に、
酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびY
を含む)により安定化された酸化ジルコニウムで形成さ
れた酸化物薄膜と、この酸化物薄膜上に、ペロブスカイ
ト型またはタングステンブロンズ型材料で形成された配
向薄膜とを備える積層薄膜の製造方法であって、真空槽
内で、Si単結晶基板の加熱、真空槽内への酸化性ガス
の導入、およびZrまたはZrと少なくとも1種の希土
類金属元素(ScおよびYを含む)の単結晶基板表面へ
の蒸発による供給を行い、前記単結晶基板の表面に、前
記酸化物薄膜をエピタキシャル成長させての単一配向エ
ピタキシャル膜を形成し、これを前記酸化物薄膜とする
積層薄膜の製造方法。 (35) 前記酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素
(ScおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコ
ニウムが、Zr1-x x 2-δ(ここで、RはScおよ
びYを含む希土類金属元素であり、x=0〜0.75で
ある。また、δは0〜0.5である。)の組成のもので
ある上記(34)の積層薄膜の製造方法。 (36) 前記Si単結晶基板として、基板表面に、Z
rまたはZrおよび少なくとも1種の希土類金属元素
(ScおよびYを含む)と、酸素とにより形成された1
×1の表面構造を有するSi表面処理基板を用いる上記
(34)または(35)の積層薄膜の製造方法。 (37) 前記Si表面処理基板が、Si単結晶基板表
面に厚さ0.2〜10nmのSi酸化物層を形成し、この
後、基板温度を600〜1200℃に設定するととも
に、真空槽内に酸化性ガスを導入して、少なくとも基板
近傍の雰囲気の酸素分圧を1×10-4〜1×10-1Torr
とし、この状態で、前記Si酸化物層が形成された基板
表面に、ZrまたはZrと少なくとも1種の希土類金属
元素(ScおよびYを含む)とを蒸発させて供給するこ
とにより得られたものである上記(36)の積層薄膜の
製造方法。 (38) 前記Si酸化物層を形成する際、酸化性ガス
を導入した真空槽内で、Si単結晶基板を300〜70
0℃に加熱し、真空槽内の少なくとも基板近傍の雰囲気
の酸素分圧を1×10-4Torr以上として、Si酸化物層
を形成する上記(37)の積層薄膜の製造方法。 (39) 前記Si単結晶基板の表面に、その近傍から
酸化性ガスを噴射し、このSi単結晶基板近傍だけ他の
部分より酸化性ガス分圧の高い雰囲気を作る上記(3
4)〜(38)のいずれかの積層薄膜の製造方法。 (40) 前記Si単結晶基板を、基板表面面積が10
cm2 以上のものとするとともに、基板を回転させること
により、前記酸化性ガス高分圧雰囲気をSi単結晶基板
の全体にわたって供し、このSi単結晶基板の表面全面
にわたって実質的に均一な酸化物薄膜を形成する上記
(34)〜(39)のいずれかの積層薄膜の製造方法。 (41) 前記エピタキシャル膜を形成する際、前記S
i単結晶基板を750℃以上に加熱する上記(34)〜
(40)のいずれかの積層薄膜の製造方法。
【0013】
【作用】本発明の第1の酸化物薄膜(下地層)上には、
配向薄膜である単純ベロブスカイト膜を良好にエピタキ
シャル成長することができる。さらに例えばBaTiO3-Zr1
-x RxO1-δ-Si では、面方位関係をBaTiO3(001)//Zr1-x
RxO2- δ(001) //Si(100) 、かつ結晶軸方位をBaTiO3[1
00]//Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]で成長させることに
より、(001) 配向のBaTiO3薄膜を得ることができる。ま
た、この積層薄膜を下地層、すなわちバッファ層として
用いることにより、他の単純ペロブスカイト型、複合ペ
ロブスカイト型{層状ペロブスカイト型(K2 NiF4
型を含む)を含む}、タングステンブロンズ型等の
(強)誘電体材料、および金属、導電性酸化物等の導電
性のエピタキシャル膜をSi上で得ることができる。
【0014】また、特に、蒸着基板をその面内で回転さ
せるときには、10cm2 以上の大面積で均一で高品質の
積層酸化物薄膜を得ることができる。
【0015】なお、特開平2−258700号公報に
は、単結晶酸化物基板上に、ペロブスカイト型の酸化物
(BaTiO3)単結晶膜を共蒸着で成膜し、この成膜にあた
り、別々の金属元素の蒸発源を用いて、組成比を制御す
ること、基板近傍だけ酸素の圧力を高めること、および
特定の配向面をもった基板を用いる技術が開示されてい
る。本発明による積層薄膜は、さらに、以下の条件を最
適化することによりはじめて、面方位関係がBaTiO3(00
1)//Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(100)、かつBaTiO3[100]//
Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]であるエピタキシャル膜
の形成が可能になる。すなわち、Si(100) 単結晶上に
形成された組成Zr1-xRxO2-δ(ここで、RはScおよび
Yを含む希土類金属であり、x=0〜0.75、δ=0
〜0.5である)の高結晶性かつ分子レベルで平坦性を
有するエピタキシャル膜を蒸着基板とすること、蒸着基
板の加熱温度を850 ℃から1200℃とすること、BaTiO3
形成初期、すなわち膜厚0〜1nmの領域において金属元
素の供給比率Ba/Tiを0〜1とする(Bサイト金属
を過剰に供給する)ことによりSi基板上で(001) エピタ
キシャル膜成長を可能にしている。BaTiO3 以外の
ペロブスカイト型材料およびタングステンブロンズ型材
料も同様にして、作製することができる。すなわち成膜
初期にBサイト金属を過剰に供給する。
【0016】さらに、上記特開平2−258700号公
報に開示された技術は、10cm2 以上の大表面積を有す
る基板を全く対象としておらず、示唆すらもない。実
際、特開平2−258700号公報にも、基板面積2.
25cm2 (約15×15mm2 )の実施例があるだけであ
る。本発明においては、基板を基板面内で回転すること
によって、基板面積10cm2 以上を可能にしている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第1のアスペクトによる
積層薄膜は、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素
(ScおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコ
ニウムを主成分とし、半導体単結晶基板上に形成された
エピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物薄膜、
およびこの酸化物薄膜を下地層としてその上にペロブス
カイト型またはタングステンブロンズ型材料で形成さ
れ、基板表面と平行にc面配向、すなわち(001)配
向、より好ましくはc面単一配向、さらに好ましくはエ
ピタキシャル成長した配向薄膜を備えていることを特徴
とする。
【0018】なお、本明細書における単一配向膜とは、
基板表面と平行に目的とする結晶面がそろっている結晶
化膜のことを意味する。具体的には、例えば、(00
1)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、膜の2θ
−θX線回折(XRD)で(00L)面以外の反射強度
が、(00L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、
好ましくは5%以下のものである。なお、本明細書にお
いて(00L)は、(001)や(002)などの等価
な面を総称する表示であり、(L00)などについても
同様である。
【0019】また、本明細書においてエピタキシャル膜
とは、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたと
き、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともにそろって
配向しているものである。具体的には、第一に、X線回
折による測定を行ったとき、目的とする面以外のものの
反射のピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の1
0%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例え
ば、(001)エピタキシャル膜、すなわちc面エピタ
キシャル膜では、膜の2θ−θX線回折で(00L)面
以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の
10%以下、好ましくは5%以下である。第二に、RH
EED評価でスポットまたはストリークパターンを示す
必要がある。これらの条件を満足すれば、エピタキシャ
ル膜といえる。なお、RHEEDとは、反射高速電子線
回折(Reflection High Energy Electron Diffraction
)であり、RHEED評価は、膜面内における結晶軸
の配向の指標である。
【0020】単純ペロブスカイト型構造は、化学式AB
3 で表される。ここで、AおよびBはそれぞれペロブ
スカイト型結晶構造におけるAサイト、Bサイトに入る
各々陽イオンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、
K、Na、Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上
であることが好ましく、BはTi、Zr、TaおよびN
bから選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0021】こうしたペロブスカイト型化合物における
A/Bのモル組成比は0.8〜1.2であり、さらには
0.9〜1.1であることが好ましい。A/Bをこの範
囲にすることによって、誘電体の絶縁性を確保すること
ができ、また結晶性を改善することが可能になるため、
誘電体特性または強誘電特性を改善することができる。
これに対し、A/Bが0.8未満では結晶性の改善効果
が望めなくなってくる。またA/Bが1.2をこえると
均質な薄膜の形成が困難になってくる傾向が生じる。こ
のようなA/Bの組成比は、成膜条件を後述のように制
御することによって実現する。また上述のABO3 にお
けるOの組成は、3に限定されるものではない。ペロブ
スカイト材料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安
定したペロブスカイト構造を組むものであってよく、A
BOX において、xの値は2.7〜3.3であることが
好ましい。またA/Bの組成比は、蛍光X線分析法から
求めることができる。
【0022】本発明における単純ペロブスカイト型化合
物としては、A1+5+3 、A2+4+3 、A3+3+
3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3 、A
(B′0. 33B″0.67)O3 、A(B0.5 +30.5 +5 )O
3 、A(B0.5 2+0.5 6+ )O3 、A(B0.5 1+
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+0.5 4+
2.75、A(B0.5 2+0.5 5+ )O 2.75等のいずれであ
ってもよい。
【0023】具体的には、CaTiO3 、BaTiO
3 、PbTiO3 、KTaO3 、BiFeO3 、NaT
aO3 、SrTiO3 、CdTiO3 、KNbO3 、L
iNbO3 、LiTaO3 、PZT(PbZrO3 −P
bTiO3 系)、PLZT(La23 が添加されたP
bZrO3 −PbTiO3 系)その他Pb系ペロブスカ
イト、およびこれらの固溶体等である。
【0024】PLZTは、PbZrO3 −PbTiO3
系の固溶体であるPZTにLaがドープされた化合物で
あり、ABO3 の表記に従えば、A=Pb0.890.91
0. 110.09、B=Zr0.65Ti0.35であり、(Pb
0.890.91La0.110.09)(Zr0.65Ti0.35)O3
で示される。
【0025】本発明に用いることが好ましい単純ペロブ
スカイト化合物は、特にチタン酸塩ないしチタン酸塩含
有ペロブスカイト型化合物であり、例えばBaTiO
3 、SrTiO3 、PLZT、PZT、CaTiO3
PbTiO3 等が好ましい。
【0026】タングステンブロンズ型構造は、化学式A
26 で表される。ここでAおよびBは、それぞれタ
ングステンブロンズ型結晶構造におけるAサイト、Bサ
イトに入る各々陽イオンを表す。AはCa、Ba、S
r、Pb、K、Na、Li、Cd、Sc、Yおよび希土
類元素から選ばれた1種以上であることが好ましく、B
は、Nb、Ta、TiおよびZrから選ばれた1種以上
であることが好ましい。
【0027】こうしたタングステンブロンズ型化合物に
おけるA/Bのモル組成比は0.3〜0.7であり、さ
らには0.4〜0.6であることが好ましい。A/Bを
この範囲にすることによって、誘電体の絶縁性を確保す
ることができ、また結晶性を改善することが可能になる
ため、誘電体特性または強誘電特性を改善することがで
きる。これに対し、A/Bが0.3未満では結晶性の改
善効果が望めなくなってくる。またA/Bが0.7をこ
えると均質な薄膜の形成が困難になってくる傾向が生じ
る。このようなA/Bの組成比は、成膜条件を後述のよ
うに制御することによって実現する。また上述のAB2
6 におけるOの組成は、6に限定されるものではな
い。タングステンブロンズ材料によっては、酸素欠陥ま
たは酸素過剰で安定したタングステンブロンズ構造を組
むものであってよく、AB2X において、xの値は
5.6〜6.3であることが好ましい。またA/Bの組
成比は、蛍光X線分析法から求めることができる。
【0028】本発明におけるタングステンブロンズ型材
料としては、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vo
l. 16記載のタングステンブロンズ型材料のいずれであ
ってもよい。具体的には、(Ba,Sr)Nb26
PbNb26 、(Pb,Ba)NbO6 、PbTa2
6 、BaTa26 、PbNb411、PbNb2
6 、SrNb26 、BaNb26 等とそれらの固
溶体である。
【0029】上記のうち前記の単純ペロブスカイト型ま
たはタングステンブロンズ型材料は、チタン酸バリウ
ム、チタン酸ストロンチウム、PZT、SBN((B
a,Sr)Nb26 )、PBN((Pb,Ba)Nb
26 )が好ましい。前記配向薄膜はエピタキシャル膜
であることが好ましい。
【0030】本発明では、複合ペロブスカイト型化合物
{層状ペロブスカイト化合物(K2NiF4 型構造の化
合物を含む)を含む}から構成されるc面単一配向膜を
得ることもできる。
【0031】層状ペロブスカイト化合物のうちBi系層
状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti312、Bi2 SrTa29 、Bi2
SrNb29 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
【0032】用いる基板は、単結晶であり、ガリウムヒ
素、シリコン等の半導体であってもよい。これらのうち
ではSi単結晶基板が好ましい。そしてSi単結晶等の
(100)面を基板表面になるように用いることが好ま
しい。
【0033】前記配向薄膜とSiとの結晶軸方位関係は
ペロブスカイトまたはタングステンブロンズ[100]
//Si[010]であることが好ましい。なお、Siは
立方晶である。
【0034】本発明の第2のアスペクトによる積層薄膜
は、好ましくはSi(100)面を表面に有するSi単
結晶で形成されたSi単結晶基板上に、ペロブスカイト
型またはタングステンブロンズ型材料で形成され、エピ
タキシャル膜であり、結晶軸方位関係がペロブスカイト
またはタングステンブロンズ[100]//Si[01
0]である配向薄膜を備える。この場合、上記配向薄膜
は、Si単結晶基板上に直接または他の薄膜を介して形
成される。
【0035】前記ペロブスカイト型またはタングステン
ブロンズ型材料は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロ
ンチウム、PZT、SBNまたはPBNであることが好
ましい。前記Si単結晶基板と配向薄膜の間には、酸化
ジルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびYを含
む)により安定化された酸化ジルコニウムを主成分とす
るエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物薄膜
が介設されていることが好ましい。
【0036】本発明の第3のアスペクトによる積層薄膜
は、半導体単結晶基板上に、タングステンブロンズ型材
料で形成されたエピタキシャル膜である配向薄膜を備え
る。この場合、上記配向薄膜は、半導体単結晶基板上に
直接または他の薄膜を介して形成される。
【0037】前記配向薄膜の材料は、SBNまたはPB
Nであることが好ましい。前記半導体単結晶基板と配向
薄膜の間には、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素
(ScおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコ
ニウムを主成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも
1層含む酸化物薄膜が介設されていることが好ましい。
そして、半導体単結晶基板は、Si(100)面を表面
に有するSi単結晶基板であることが好ましい。
【0038】本発明の第4のアスペクトによる積層薄膜
は、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(Scおよ
びYを含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主
成分とし、半導体単結晶基板上に形成された第1のエピ
タキシャル膜と、この第1のエピタキシャル膜上に、介
在層を設けずに、ペロブスカイト型材料で形成される第
2のエピタキシャル膜である配向薄膜とを有する酸化物
薄膜を備える。
【0039】第2のエピタキシャル膜のペロブスカイト
型材料は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム
またはこれらの固溶体を主成分とするものであることが
好ましく、特に、チタン酸バリウムを主成分とするもの
であることが好ましい。半導体単結晶基板はSi単結晶
基板であり、このSi単結晶基板と配向薄膜の結晶軸方
位関係がペロブスカイト[100]//Si[010]で
あることが好ましい。このような第2のエピタキシャル
膜では、表面の80%以上、好ましくは90%以上、よ
り好ましくは95%以上が、基準長さ500nmでの十点
平均粗さRzが好ましくは2nm以下、より好ましくは1
nm以下、さらに好ましくは0.5nm以下である。本発明
では、このような平坦な表面を容易に実現できる。な
お、本明細書において、例えば表面の80%以上でRz
が2nm以下であるとは、薄膜の全体にわたって平均に分
布した任意の10ヶ所以上を測定したときにその80%以
上の箇所でRzが2nm以下であることを意味する。Rz
は、原子間力顕微鏡(AFM)により測定できる。
【0040】第4のアスペクトの積層薄膜上には、上記
したように、第2のエピタキシャル膜構成材料以外のペ
ロブスカイト等からなる配向薄膜が形成されるが、第2
のエピタキシャル膜が結晶性、表面平坦性に優れるた
め、良質の配向薄膜が得られる。
【0041】本発明の第5のアスペクトによる積層薄膜
は、Si(100)面を表面に有するSi単結晶基板上
に、Pt、Ir、Os、Re、Pd、RhおよびRuか
ら選ばれる金属のうちの少なくとも1種で形成されるか
導電性酸化物で形成されるエピタキシャル膜であり基板
に平行にc面またはa面単一配向した配向薄膜を備え
る。
【0042】前記Si単結晶基板と配向薄膜の間に、酸
化ジルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびYを
含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主成分と
するエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物薄
膜が介設されていることが好ましい。
【0043】本発明の第6のアスペクトによる積層薄膜
は、Si(100)面を表面に有するSi単結晶で形成
されたSi単結晶基板上に、Pt、Ir、Os、Re、
Pd、RhおよびRuから選ばれる金属のうちの少なく
とも1種で形成されるか、導電性酸化物で形成されるエ
ピタキシャル膜、およびペロブスカイト型またはタング
ステンブロンズ型材料で形成された配向薄膜を備える。
【0044】前記ペロブスカイト型またはタングステン
ブロンズ型材料は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロ
ンチウム、PZT、PBNまたはSBNであることが好
ましい。前記配向薄膜はエピタキシャル膜であることが
好ましい。
【0045】前記Si基板と配向薄膜の結晶軸方位関係
はペロブスカイトまたはタングステンブロンズ[10
0]//Si[010]であることが好ましい。
【0046】前記Si単結晶基板と金属または導電性酸
化物薄膜の間には、酸化ジルコニウムまたは希土類金属
元素(ScおよびYを含む)により安定化された酸化ジ
ルコニウムを主成分とするエピタキシャル薄膜を少なく
とも1層含む酸化物薄膜を介設してもよい。
【0047】前記Si単結晶基板、金属または導電性酸
化物薄膜および配向薄膜の間の結晶軸方位関係が、ペロ
ブスカイトまたはタングステンブロンズ[100]//金
属または導電性酸化物[100]//Si[010]であ
ることが好ましい。酸化物薄膜は(001)配向をと
る。
【0048】以上、第1〜第6のアスペクトの積層薄膜
においては、以下の内容であることが好ましい。
【0049】第1〜3、第5〜6の各アスペクトでは、
第4のアスペクトと同様に、前記酸化物薄膜が、酸化ジ
ルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびYを含
む)で安定化された酸化ジルコニウムを主成分とする第
1のエピタキシャル膜とその上に形成されたペロブスカ
イト型材料による第2のエピタキシャル膜を少なくとも
含む2層ないし多層構造の酸化物薄膜であってもよい。
なお、第2のエピタキシャル膜のペロブスカイト型材料
は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムまたは
これらの固溶体を主成分として形成されることが好まし
い。その場合、酸化物薄膜の第2のエピタキシャル膜上
に形成される配向薄膜は、第2のエピタキシャル膜構成
材料以外から構成される。また上記のペロブスカイト型
材料とSi基板の結晶方位関係は、ペロブスカイト[1
00]//Si[010]であることが好ましい。このペ
ロブスカイト/酸化ジルコニウムまたは希土類で安定化
された酸化ジルコニウムを主成分とする膜/Si構造
は、さらにこの構造上に形成される配向薄膜、例えばP
ZT、SBN、Bi層状化合物などの強誘電体、Ptな
どの電極膜の結晶性を向上させ、c面単一配向またはエ
ピタキシャル膜を得るのに効果的である。またいわゆる
メタル−強誘電体−絶縁体−半導体のMFIS構造,メ
タル−強誘電体−メタル−絶縁体−半導体のMFMIS
構造の絶縁体として機能する。
【0050】前記酸化物薄膜の酸化ジルコニウムまたは
希土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定化さ
れた酸化ジルコニウムの組成はZr1-xx2-δ(こ
こで、Rは希土類金属元素(ScおよびYを含む)であ
り、x=0〜0.75、δ=0〜0.5である)である
ことが好ましい。
【0051】前記酸化物薄膜の(002)反射のロッキ
ングカーブの半値幅は1.5°以下であることが好まし
い。ここで、下限値は、現在のところ一般に0.7°程
度、特に0.4°程度である。
【0052】前記酸化物薄膜の表面の80%以上、好ま
しくは90%以上、より好ましくは95%以上が、基準
長さ500nmでの十点平均粗さRzが好ましくは2nm以
下、より好ましくは0.8nm以下、さらに好ましくは
0.5nm以下である。
【0053】本発明の積層薄膜の基本構造は、半導体単
結晶基板上に必要な場合に形成される酸化物薄膜、およ
びこの酸化物薄膜上に形成される配向薄膜を備える。こ
こで、酸化物薄膜における少なくとも1層は組成Zr
1-xRxO2-δ(ここで、R は希土類金属元素(Scおよび
Yを含む)であり、X=0〜0.75、δ=0〜0.5 )のエピタ
キシャル膜であり、この酸化物薄膜の上に、結晶構造が
ペロブスカイト構造をなし、組成BaTiO3等である配向薄
膜が順次積層され、これらの面方位関係がBaTiO3(001)/
/Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(100)、かつ結晶軸方位関係が
BaTiO3[100]//Zr1 -xRxO2- δ[100]//Si[010]である構造
で構成されていることが好ましい。
【0054】YBCOなどの従来例からの類推では、(001)
配向のBaTiO3エピタキシャル膜を得ようとすると、その
面方位関係はBaTiO3(001)//Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(10
0)、かつBaTiO3[110]//Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]と
なり、BaTiO3の単位格子は、Zr1-xRxO2-δの格子に対し
てc面内で45°回転して格子の整合がとれてエピタキシ
ャル成長すると推定される。しかし、発明者らの実験に
よると、そのような面関係は構成困難であり、BaTiO3(0
01)//Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(100)、かつBaTiO3[100]/
/Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]の関係で構成可能である
ことを見いだした。
【0055】すなわち、Zr1-xRxO2-δ膜のa軸の格子定
数は0.52でBaTiO3のa軸は0.40であるが、上記45°面
内で回転して格子整合するBaTiO3[110]//Zr1-xRxO2- δ
[100]//Si[010]の関係ではミスフィットが8.4%になる。
ところが、本発明による格子整合関係BaTiO3[100]//Zr
1-xRxO2- δ[100]//Si[010]では、BaTiO3結晶のa面とZ
r1-xRxO2-δ結晶a面は回転せず、そのまま整合する
が、この際、Zr1-xRxO2-δ3格子(0.52 ×3=1.56nm) に
対し、BaTiO34格子(0. 4 ×4=1.60nm) が整合する。こ
の時ミスフィットは2.6%とよくマッチングする。したが
って、本発明では、BaTiO3[100]//Zr1-xRxO2- δ[100]/
/Si[010]の関係を利用することにより、(001) 配向のエ
ピタキシャルBaTiO3膜を得ることができる。
【0056】酸化物薄膜は、単一の結晶配向を有してい
ることが望ましい。これは、複数の結晶面を有する薄膜
においては粒界が存在するため、その上の配向薄膜のエ
ピタキシャル成長が不可能になるためである。
【0057】酸化物薄膜は、その上に配向薄膜であるBa
TiO3膜などを形成するため、酸化物薄膜の結晶性は高け
れば高いほどよく、また表面性は分子レベルにおいても
平坦であることが望ましい。従来得られているYSZ
膜、例えばAppl. Phys. Lett.57 (11) 1161-1163 (199
0)、Japanese Journal of Applied Physics,vol.27,No.
4,L1404(1988) に記載されたものでは、優れた平坦性は
実現しておらず、その上に高品質の配向薄膜を形成する
には適さない。本発明では、後述する方法により、結晶
性、表面性に優れる酸化物薄膜が得られるので、その上
に高品質の配向薄膜を形成することができる。
【0058】酸化物薄膜の結晶性は、XRD(X線回
折)における反射ピークのロッキングカーブの半値幅
や、RHEEDによる像のパターンで評価することがで
きる。また、表面性は、RHEED像のストリーク性、
および表面粗さ(十点平均粗さRz)で評価することが
できる。
【0059】本発明の上記酸化物薄膜の(002) 面の反射
のロッキングカーブの半値幅および表面の平坦性は、前
述したとおりである。また、上記酸化物薄膜のRHEED 像
は、ストリーク性が高い。すなわち、RHEED 像がストリ
ークであって、しかもシャープである。
【0060】以上により、本発明の酸化物薄膜は、結晶
性、およびその表面性がともに良好である。なお、上記
ロッキングカーブの半値幅および基準長さ500nm での十
点平均粗さRzの下限値は特にないが、小さければ小さい
ほどこのましい。現在のところ下限値はロッキングカー
ブの半値幅が上記した程度、十平均点粗さRzが0.1nm程
度である。
【0061】酸化物薄膜としての、酸化ジルコニウムま
たは希土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定
化された酸化ジルコニウムを主成分とするエピタキシャ
ル膜は、組成が実質的にZrO2 のものおよび希土類
(ScおよびYを含む)を添加した安定化ジルコニアが
好ましい。安定化ジルコニアに用いられる添加希土類元
素は、Y、Pr、Ce、Nd、Gd、Tb、Dy、H
o、Erが好ましい。
【0062】希土類金属元素(ScおよびYを含む)
は、Si基板の格子定数と配向薄膜の格子定数と、該酸化
物薄膜の格子定数とを好ましくマッチングさせるため、
その種類が選択される。例えば、希土類金属元素(Sc
およびYを含む)としてYを用いたZ0.7 0.3 2-δ
の格子定数は0.52nmであった。この値はxの値によ
り変化させることができる。例えば、上述したようにBa
TiO3結晶4格子に対しZr1-x x 2-δ結晶3格子と
マッチングし、さらにxの値により調整可能である。
【0063】しかしながら、マッチングの調整可能領域
がxの範囲内では限界がある。そこで希土類の種類を変
えることにより、マッチングを可能にすることができ
る。例えばYの代わりに希土類のPrを用いる。このと
きZr1-x x 2-δの格子定数を大きくすることが可
能で、BaTiO3結晶とのマッチングを最適化することがで
きる。このように酸化物薄膜中の希土類の種類と量を選
択することにより、酸化物薄膜と配向薄膜の格子を好ま
しくマッチングさせることができる。
【0064】ZrO2 は高温から室温にかけて立方晶→
正方晶→単斜晶と相転移を生じる。立方晶を安定化する
ために希土類元素を添加したものが、安定化ジルコニア
である。Zr1-xx2-δ膜の結晶性はxの範囲に依
存する。Jpn . J. Appl. Phys. 27 (8)L1404-L1405 (1
988)に報告されているように、xが0.2未満である組
成域では正方晶または単斜晶の結晶になる。これまで、
xが0.2以上の立方晶領域でのみ単一配向のエピタキ
シャル膜が得られている。ただし、xが0.75を超え
る領域では、立方晶ではあるが、例えば(001)単一
配向は得られず、(111)配向の結晶が混入する。一
方、正方晶または単斜晶となる領域では、J. Appl. Phy
s. 58 (6) 2407-2409 (1985)にも述べられているよう
に、得ようとするもの以外の配向面が混入し、単一配向
のエピタキシャル膜は得られていない。
【0065】我々の実験でも、xが0.75を越える領
域では立方晶であるが目的とする結晶面以外の面が混入
した。例えばZr1-xx2-δの(001)エピタキ
シャル膜を得ようとすると、xがこの範囲では(11
1)の結晶が混入し、また、膜の表面凹凸も5nm程度と
大きくなった。xの増大に伴ない、表面性は悪化する傾
向にある。そして、この上にBaTiO3 膜を形成した
ところ、(001)単一配向を得ることができなかっ
た。なお、本明細書では、c面配向に限らず、立方晶a
面配向の場合でも(001)配向と表示することがあ
る。
【0066】このような実験に基づき、Zr1-x x
2-δにおけるxの上限は、好ましくは0.75、より好
ましくは0.50とする。そして、より平坦な表面を得
るためには、xは好ましくは0.25以下、より好まし
くは0.10以下である。
【0067】なお、酸素欠陥を含まない酸化ジルコニウ
ムは、化学式ZrO2 で表わせるが、希土類を添加した
酸化ジルコニウムは、添加した金属元素の種類、量およ
び価数により酸素の量が変化するため、本発明の酸化物
薄膜の組成を化学式Zr1-xx 2-δとδを用いて表
わした。δは通常0〜0.5程度である。
【0068】またZrを含む酸化物薄膜は、酸素を除く
構成元素中のZrの比率が好ましくは93mol%以上、よ
り好ましくは93mol%超、さらに好ましくは95mol%以
上、特に好ましくは98mol%以上、最も好ましくは9
9.5mol%以上である。純度が高ければ高いほど絶縁抵
抗も高くなり、リーク電流も小さくなることから、絶縁
特性を必要とする中間層として好ましい。またZrO2
はYSZにくらべ金属−絶縁体−半導体構造(MIS構
造)を構成した場合、そのC−V特性でヒステリシスが
小さく、MIS素子として界面特性が優れているため、
特にZrO2 は中間層として好ましい。上記Zrの含有
量の上限は、現在のところ99.99%である。Zrを
含む酸化物薄膜のZrおよびO以外の元素は、希土類金
属やP等の不純物などである。酸化物中間層は、結晶性
および表面平坦性に優れるものが好ましい。
【0069】また、特に上記酸化物薄膜が、上述したx
が0.2 未満の小さい領域、特に酸素をのぞく構成元素中
のZrの比率が前述したような93mol%以上である高純度Zr
O2のエピタキシャル膜である場合、単一配向エピタキシ
ャル膜であることが好ましい。Zr1-x x 2-δにお
いてxが0.2〜0.75の範囲でエピタキシャル膜が
従来得られていることを述べたが、これまで、前述した
ような高純度ZrO2では、単一配向でさらに上記した結晶
性、表面性を有する薄膜は得られていなかった。
【0070】しかし本発明者らが検討を重ねた結果、後
述する方法で形成することにより、前述した高純度ZrO2
を用いて単一配向で、さらに上記した結晶性、表面性を
有する薄膜が得られた。この組成において、Si基板との
熱膨張係数の差にもとずくと思われる残留応力の低減効
果が確認された。ZrO2の純度があがるにしたがい、この
効果が著しいため、これは、ZrO2の相転移により、Siと
の残留応力が低減されるものと考えている。また、YSZ
膜にくらべ高純度の酸化ジルコニウム薄膜は、膜の抵抗
が高く、絶縁膜としても優れる。
【0071】酸化ジルコニウム薄膜の純度が高ければ高
いほど絶縁性に優れ、また残留応力も減少する。
【0072】また、現在の高純度化技術ではZrO2
HfO2 との分離は難しいので、ZrO2 の純度は、通
常、Zr+Hfでの純度を指している。したがって、本
明細書におけるZrO2 の純度は、HfとZrとを同元
素とみなして算出された値であるが、HfO2 は本発明
においてZrO2 と全く同様に機能するため、問題はな
い。高純度の酸化ジルコニウム薄膜は、立方晶(10
0)配向、正方晶(001)配向、単斜晶(001)配
向のいずれであってもよいが、単斜晶(001)配向で
あることが特に好ましい。
【0073】本発明の積層薄膜の酸化物薄膜として、以
上説明した組成Zr1-x x 2-δエピタキシャル膜を
用いると、粒界による物理量の攪乱等がなくなり、その
上に形成される配向薄膜であるBaTiO3膜等の配向薄膜の
結晶性が向上する。表面性、結晶性の悪い酸化物薄膜上
には、例えばBaTiO3の(001) 配向薄膜である単一配向エ
ピタキシャル膜を得ることは難しい。すでに述べたよう
に、(110) 配向面が混在したり、また(110) 配向が優先
的に成長したりする。表面性、結晶性の優れた酸化物薄
膜を設け、かつ、後述する配向薄膜の成長条件により、
(001) 配向のエピタキシャルペロブスカイト薄膜が得ら
れる。エピタキシャル酸化物薄膜上に良質のエピタキシ
ャルペロブスカイト薄膜が得られると、さらにこの上に
良質の他のペロブスカイト結晶膜、タングステンブロン
ズ結晶膜、金属結晶膜が得られる。この場合、組成Zr
1-x x 2-δの第1のエピタキシャル膜と、ペロブス
カイト、好ましくはBaTiO3、SrTiO3またはこれらの固溶
体から構成される第2のエピタキシャル膜との2層構造
全体が酸化物薄膜(下地層)であり、その上に高品質配
向膜、すなわち、配向性の良好な他のペロブスカイト
膜、タングステンブロンズ膜、金属膜が得られるという
ことになる。
【0074】酸化物薄膜および配向薄膜の厚さは用途に
より異なるが、両薄膜の積層体を下地層として用いる場
合、Zrを含む酸化物薄膜(第1のエピタキシャル膜)
は、2〜50nm程度、配向薄膜(第2のエピタキシャル
膜)は1〜50nm程度、総計3〜100nm程度が好まし
い。Zrを含む酸化物薄膜だけを下地層として用いる場
合は、Zrを含む酸化物薄膜は好ましくは2nm以上、よ
り好ましくは10nm以上であり、好ましくは200nm以
下、より好ましくは100nm以下である。そして、ペロ
ブスカイトないしタングステンブロンズの配向薄膜を強
誘電体層として用いるときには20〜1000nm程度の
厚さとする。
【0075】上記2層構造を下地層として用いるときに
は、酸化物薄膜の結晶性、表面性を損なわない程度にZ
rを含む酸化物薄膜およびペロブスカイト配向薄膜はと
もに薄いものがよい。MFISやMFMIS構造の絶縁
層として用いる場合には、特に酸化物薄膜であるZrO2
主成分とする薄膜は絶縁性に優れるため、酸化物薄膜を
2〜500nm程度とすることが好ましい。また、MIS
キャパシタの誘電体層やMISFETのゲート酸化物層
等のように半導体デバイスの酸化物層として用いる場合
には、酸化物薄膜を0.5〜20nm、特に1〜10nmと
薄くし、配向薄膜を5〜300nmとすることが好まし
い。これは積層薄膜のキャパシタとしての容量を高くす
るためである。
【0076】なお、上記したような酸化ジルコニウム系
薄膜上に以下に説明する希土類酸化物系薄膜を積層した
構成の酸化物薄膜としてもよい。この場合、配向薄膜は
希土類酸化物系薄膜の上に形成される。また、第1、第
2のエピタキシャル膜を積層した構成の下地層において
は、酸化ジルコニウム系薄膜と希土類酸化物系薄膜との
積層体を第1のエピタキシャル膜と考える。また、この
積層体の厚さの好ましい範囲は、希土類酸化物系薄膜を
設けない場合の酸化ジルコニウム系薄膜の厚さ範囲と同
じである。この積層体中において、両薄膜はいずれも
0.5nmを下回らない厚さであることが好ましい。
【0077】この希土類酸化物系薄膜は、Y、La、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種、特
に、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Hoおよび
Erの少なくとも1種を含有する希土類酸化物から実質
的に構成されていることが好ましい。なお、2種以上の
希土類元素を用いるとき、その比率は任意である。
【0078】このような希土類酸化物系薄膜は、基板上
に直接形成する場合には基板の面配向によらず(11
1)配向を示すが、(001)配向の酸化ジルコニウム
系薄膜の上に形成することにより、(001)配向の希
土類酸化物系薄膜が得られる。酸化物薄膜として上記し
た安定化ジルコニアを用いたときには、C−V特性にヒ
ステリシスがみられ、この点においてZrO2 高純度膜
に劣る。この場合、酸化ジルコニウム系薄膜上に希土類
酸化物系薄膜を積層することにより、C−V特性のヒス
テリシスをなくすことができる。また、希土類酸化物系
薄膜を積層することにより、強誘電体層との間での格子
整合のマッチングがより良好となる。希土類酸化物系薄
膜が積層されている場合、酸化ジルコニウム系薄膜は、
元素分布が均一な膜であってもよく、膜厚方向に組成が
変化する傾斜構造膜であってもよい。傾斜構造膜とする
場合、基板側から希土類酸化物系薄膜側にかけて、酸化
ジルコニウム系薄膜中の希土類元素含有率を徐々または
段階的に増大させると共に、Zr含有率を徐々または段
階的に減少させる。このような傾斜構造膜とすることに
より、酸化ジルコニウム系薄膜と希土類酸化物系薄膜と
の間の格子のミスフィットが小さくなるか、あるいは存
在しなくなり、希土類酸化物系薄膜を高結晶性のエピタ
キシャル膜とすることが容易となる。このような積層構
造の場合、希土類酸化物系薄膜に添加する希土類元素
は、酸化ジルコニウム系薄膜に添加する希土類元素と同
一のものを用いることが好ましい。
【0079】酸化ジルコニウム系薄膜および希土類酸化
物系薄膜には、特性改善のために添加物を導入してもよ
い。例えば、これらの層にCaやMgなどのアルカリ土
類元素をドーピングすると、膜のピンホールが減少し、
リークを抑制することができる。また、AlおよびSi
は、膜の抵抗率を向上させる効果がある。さらに、M
n、Fe、Co、Niなどの遷移金属元素は、膜中にお
いて不純物による準位(トラップ準位)を形成すること
ができ、この準位を利用することにより導電性の制御が
可能になる。
【0080】なお、本発明の積層薄膜において、Si単結
晶基板の基板表面、すなわち絶縁層膜形成表面が浅く
(例えば5nm 程度以下)酸化され、SiO2などの層が形成
されていてもよい。これは、ZrO2を主成分とする酸化物
薄膜中の酸素がSi単結晶基板の基板表面に拡散する場合
があるからである。また成膜の方法によっては、酸化物
薄膜形成時にSi基板表面にSi酸化物層が残留する場合が
ある。
【0081】上記第1および第2のエピタキシャル膜か
らなる酸化物薄膜を下地層として、その上に形成される
配向薄膜は、第2のエピタキシャル膜を構成するペロブ
スカイト以外のペロブスカイト、例えば、PbTiO
3 、PZT、PLZT、その他のPb系ペロブスカイト
等の単純ペロブスカイト;層状ペロブスカイト(K2
iF4 型を含む)を含む複合ペロブスカイト、例えばB
i系ペロブスカイトなど;(Sr,Ba)Nb2 6
(Pb,Ba)Nb26 等のタングステンブロンズ型
酸化物などであり、例えば、MFIS構造の強誘電体
(F)を構成するものである。この他、上記2層構造の
下地層上に形成される配向薄膜としては、具体的には、
Bi系酸化物超電導膜、YBa2 Cu3 7-8 (YBC
O)超電導膜等の高温超電導膜、さらには、La1-x
x CoO3 、La1-x Srx CaxRuO3 等の酸化
物導電膜、In23 、In23 (Snドープ)、そ
の他酸化物導電膜、Pt、Si、Ge、GaAs等の半
導体やメタルの膜が挙げられる。なお、導電性酸化物膜
については、さらに後述する。
【0082】本発明の1層ないし多層構造の酸化物薄膜
は、前記のとおり、メタル−強誘電体−絶縁体−半導体
のMFIS構造やメタル−強誘電体−メタル−絶縁体−
半導体のMFMIS構造の絶縁体に好適である。MFI
S構造では、半導体、好ましくはSi(100)面上
に、1層ないし多層構造の酸化物薄膜を設け、この上に
本発明の誘電体薄膜あるいは他の強誘電体薄膜を設けて
もよい。
【0083】一方、MFMIS構造では、好ましくはS
i(100)面上に、好ましくは2層構造の酸化物薄膜
を絶縁層(I)として設け、この上に導電性エピタキシ
ャル膜を金属電極膜として形成し、さらに本発明のある
いは他の強誘電体薄膜を設ける。
【0084】金属電極薄膜は、強誘電体薄膜用の電極お
よび強誘電体薄膜のメモリー応用に必要なMFMIS構
造を構成するために必要な導電性薄膜として使用する。
すなわち、Si(100)面を表面に有するSi単結晶
基板上に、例えば、Pt、Ir、Os、Re、Pd、R
hおよびRuから選ばれる金属のうちの少なくとも1種
類で形成され、基板表面と平行に正方晶(001)また
は立方晶(100)単一配向したエピタキシャル膜を形
成し、これを金属電極薄膜として用いる。
【0085】電極薄膜は、金属が好ましいが、金属でな
くとも導電性エピタキシャル膜であればよい。導電性エ
ピタキシャル膜が強誘電体層の下側の電極として機能す
るとともに、この中間層との格子整合性もよく結晶性の
高い強誘電体層が得られる。
【0086】金属電極薄膜は、Pt、Ir、Os、R
e、Pd、RhおよびRuの少なくとも1種を含有する
金属単体または合金が好ましい。導電性エピタキシャル
膜としての導電性酸化物膜は、以下の導電性酸化物を含
むことが好ましい。
【0087】NaCl型酸化物:TiO, VO, NbO, RO
1-x( ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を
含む)、0 ≦x <1), LiVO2等。
【0088】スピネル型酸化物: LiTi2O4, LiMxT i2-x
O4( ここで、M=Li,Al,Cr, 0 <x <2), Li1-xMxTi2O4
(ここで、M=Mg, Mn, 0 <x <1), LiV2O4, Fe3O4,等。
【0089】ペロブスカイト型酸化物: ReO3, WO3, Mx
ReO3( ここで、M 金属, 0 <x <0.5), MxWO3(ここで、
M=金属, 0 <x <0.5), A2P8W32O112(ここで、A=K, Rb,
Tl), NaxTayW1-yO3( ここで、0 ≦x <1, 0<y <1),
RNbO3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を
含む)), Na1-xSrxNbO3(ここで、0 ≦x ≦1), RTiO3(
ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), Can+1TinO3n+1-y(ここで、n=2,3,... , y >0),
CaVO3, SrVO3, R1-xSrxVO3( ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびY を含む)、0 ≦x ≦1), R1-xBax
VO3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)、0 ≦x ≦1), Srn+1V nO3n+1-y( ここで、n=1,2,
3 ...., y >0), Ban+1VnO3n+1-y( ここで、n=1,2,3
...., y >0),R4BaCu5O13-y( ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびY を含む)、0 ≦y), R5SrCu6 O
15(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), R2SrCu2O6.2( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む)), R1-xSrxVO3(ここで、R:一種
類以上の希土類(ScおよびY を含む)), CaCrO3, SrCrO
3, RMnO3( ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよび
Y を含む)), R1-xSrxMnO3( ここで、R:一種類以上の
希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1), R1-xBaxMn
O3( ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), 0 ≦x ≦1) , Ca1-xRxMnO3-y(ここで、R:一種
類以上の希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1, 0
≦y), CaFeO3, SrFeO3, BaFeO3, SrCoO3, BaCoO3, RCoO
3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), R1-xSrxCoO3( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1), R1-xBaxCoO3( こ
こで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む),
0 ≦x ≦1), RNiO3( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む)), RCuO3( ここで、R:一種類以
上の希土類(ScおよびY を含む)), RNbO3( ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)), Nb12O
29, CaRuO3, Ca1-xRxRu1-yMnyO3(ここで、R:一種類以
上の希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1, 0 ≦y
≦1), SrRuO3, Ca1-xMgxRuO3(ここで、 0≦x ≦1),
Ca1-xSrxRuO3( ここで、0 <x <1), BaRuO3, Ca1- xBax
RuO3( ここで、0 <x <1 ), (Ba, Sr)RuO3, Ba1-xKxRu
O3( ここで、 0<x≦1), (R, Na)RuO3( ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)),(R, M)RhO3
(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), M=Ca, Sr, Ba), SrIrO3, BaPbO3, (Ba,Sr)PbO3-y
( ここで、0 ≦y <1), BaPb1-xBixO3(ここで、0 <x
≦1), Ba1-xKxBiO3(ここで、0 <x ≦1), Sr(Pb, Sb)O
3-y( ここで、0 ≦y <1), Sr(Pb, Bi)O3-y( ここで、0
≦y <1), Ba(Pb, Sb)O3-y( ここで、0 ≦y <1), Ba
(Pb, Bi)O3-y( ここで、0 ≦y <1), MMoO3(ここで、M=
Ca,Sr, Ba), (Ba, Ca, Sr)TiO3-x(ここで、0 ≦x),
等。
【0090】層状ペロブスカイト型酸化物(K2NiF4型を
含む): Rn+1NinO3n+ 1( ここで、R:Ba, Sr, 希土類
(ScおよびY を含む) のうち一種類以上, n=1〜5の
整数),Rn+1CunO3n+1(ここで、R:Ba, Sr, 希土類(Sc
およびY を含む) のうち一種類以上, n=1〜5の整
数), Sr2RuO4, Sr2RhO4, Ba2RuO4, Ba2RhO4, 等。
【0091】パイロクロア型酸化物:R2V2O7-y( ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む), 0
≦y <1), Tl2Mn2O7-y( ここで、0 ≦y <1), R2Mo2O
7-y(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), 0 ≦y <1), R2Ru2O7-y(ここで、R:Tl, Pb, B
i, 希土類(ScおよびY を含む) のうち一種類以上, 0
≦y<1), Bi2-xPbxPt2-x RuxO7-y(ここで、0 ≦x ≦2,
0≦y <1), Pb2(Ru, Pb)O7- y(ここで、0 ≦y <1), R2R
h2O7-y(ここで、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(Scおよ
びY を含む) のうち一種類以上, 0≦y <1), R 2Pd2O
7-y( ここで、R:Tl,Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY
を含む) のうち一種類以上, 0 ≦y <1),R2Re2O7-y( こ
こで、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含
む) のうち一種類以上, 0≦y <1), R2Os2O7-y(ここ
で、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む)
のうち一種類以上, 0≦y <1), R2Ir2O7-y(ここで、
R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む) のう
ち一種類以上, 0≦y <1), R2Pt2O7-y(ここで、R:T
l, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む) のうち一
種類以上,0≦y <1)等。
【0092】その他の酸化物:R4Re6 O19(ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)), R4Ru6O
19(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), Bi3Ru3O11, V2O3, Ti2O3, Rh2O3, VO2, CrO2, N
bO2, MoO2, WO2, ReO2, RuO2, RhO2, OsO2, IrO2, Pt
O2, PdO2, V3O5, VnO2n-1(n=4 から9 の整数), SnO
2-x(ここで、0 ≦x <1), La2Mo2O7, (M, Mo)O( ここ
で、M=Na, K, Rb, Tl), MonO3n-1(n=4, 8, 9, 10), Mo
17O47, Pd1-xLixO(ここで、x ≦0.1)等。Inを含む酸
化物。
【0093】これらのうち特に、Inを含む酸化物また
は導電性ペロブスカイト酸化物が好ましく、特にIn2
3 、In23 (Snドープ)、RCoO3 、RMn
3、RNiO3 、R2 CuO4 、(R,Sr)CoO3
、(R,Sr,Ca)RuO3 、(R,Sr)RuO3
、SrRuO3 、(R,Sr)MnO3 (Rは、Yお
よびScを含む希土類)、およびそれらの関連化合物が
好ましい。導電性の金属または金属酸化物は、バルクで
の比抵抗が10-5〜10-2Ωcmであることが好ましい。
また薄膜としての比抵抗は10-5〜10-2Ωcmであるこ
とが好ましい。また超電導材料でもよい。
【0094】これらの導電性エピタキシャル薄膜は、電
極として機能するとともに、導電性エピタキシャル薄膜
の上に形成される強誘電体層の格子定数と、自らの格子
定数とを好ましくマッチングさせ、結晶性の高い強誘電
体層を形成する役割を果たす。このため、金属電極薄膜
ないし導電性酸化物膜は結晶性および表面平坦性に優れ
るものが好ましい。金属電極薄膜ないし導電性酸化物膜
は、立方晶(100)、正方晶(001)、斜方晶(0
01)または単斜晶(001)配向の結晶が好ましく、
特にこれらの単一配向、さらにはエピタキシャル膜であ
ることが好ましい。
【0095】導電性エピタキシャル膜の膜厚は用途によ
り異なるが、前記のとおり5〜500nm、好ましくは5
0〜150nm程度が好ましい。導電性エピタキシャル膜
の結晶性、表面性を損なわない程度に薄いものがよい。
また、特に導電性エピタキシャル膜を電極として機能さ
せる場合には、50〜500nm程度のものが好ましい。
【0096】いずれの場合も第1および第2のエピタキ
シャル膜を下地層として用いるまでもなく、第1のエピ
タキシャル膜のみの下地層上にエピタキシャル成長が可
能な材料もあるが、積層構造の酸化物薄膜を下地層とし
て用いると下地がペロブスカイト構造であるので、その
上にさらに高品質の配向膜が得られる。
【0097】本発明の電子デバイス用基板は、均一な上
記積層薄膜を有する大面積基板、例えば10cm2 以上の
基板面積を持つことができる。これにより、基板のみな
らずこの基板を用いて製造された電子デバイスも従来に
比べて極めて安価なものとなる。なお、基板の面積の上
限は特にないが、現状では2インチ〜8インチのSiウ
エハーを用いた半導体プロセス、特に6インチタイプが
主流で、これに対応が可能である。またSiウエハー全
面でなくとも、2〜8インチ基板内であれば、部分的に
マスク等で選択して積層薄膜を得ることも可能である。
【0098】次に、本発明の酸化物薄膜の形成方法につ
いて詳細に説明する。
【0099】なお、本発明の形成方法を実施するにあた
っては、図1に示したような蒸着装置1を用いることが
望ましい。
【0100】蒸着装置1は、真空槽1aを有し、この真
空槽1a内には、下部に単結晶基板2を保持するホルダ
3が配置されている。このホルダ3は、回転軸4を介し
てモータ5に接続されており、このモータ5によって回
転され、上記単結晶基板2をその基板面内で回転させる
ことができるようになっている。上記ホルダ3内には、
単結晶基板2を加熱するヒータ6が内蔵されている。
【0101】蒸着装置1は、また、酸化性ガス供給装置
7を備えており、この酸化性ガス供給装置7の酸化性ガ
ス供給口8は、上記ホルダ3の直ぐ下方に配置されてい
る。これによって、酸化性ガスは、単結晶基板2近傍で
その分圧が高くされるようになっている。ホルダ3の更
に下方には、Ba蒸発部9、Ti蒸発部10、Zr蒸発部1
1および希土類金属元素(ScおよびYを含む)蒸発部
12が配置されている。これらのBa蒸発部9、Ti蒸発部
10、Zr蒸発部11および希土類金属元素(Scおよ
びYを含む)蒸発部12には、それぞれの金属源の他
に、金属源に蒸発のためのエネルギを供給するためのエ
ネルギ供給装置(電子線発生装置、抵抗加熱装置等)が
配置されている。なお、図において、Pは、真空ポンプ
である。
【0102】本発明の積層薄膜の形成方法においては、
まず、上記ホルダにSi単結晶基板をセットする。このと
き、単結晶基板としては、Siの単結晶基板が用いら
れ、目的の酸化物薄膜が形成される基板表面として、
(100)面が選択される。基板表面上に形成される機
能膜をエピタキシャル成長させた単結晶とし、しかも結
晶を適切な方位とするためである。なお、基板表面は、
鏡面仕上げのウエハーを用い表面をエッチング洗浄して
おくことが好ましい。エッチング洗浄は40%フッ化ア
ンモニウム水溶液等によりおこなう。
【0103】この基板上に、本出願人がすでに特願平7
−93024号として提案した方法でZrO2を主成分とす
るエピタキシャル膜を形成し、酸化物薄膜とする。
【0104】本発明の酸化物薄膜の形成方法において
は、上記既出願特許に述べられている方法を用いること
ができる。以下、まず、酸化物薄膜の形成方法について
説明し、さらに、その次に、その上に形成する配向薄膜
の形成方法について説明する。
【0105】ここでは、酸化物薄膜としてZrO2
膜、配向薄膜としてBaTiO3 薄膜を例にとり説明す
る。
【0106】はじめに、酸化物薄膜の形成方法について
説明する。この方法においては、まず、上記ホルダに単
結晶基板をセットする。清浄化されたSi単結晶基板
は、極めて反応性が高いため、これを保護する目的と、
ZrO2 を主成分とする良好なエピタキシャル膜を成長
させる目的で、Si単結晶基板の基板表面を次のように
して表面処理する。
【0107】まず、基板表面が清浄化されたSi単結晶
基板を真空槽中に配置し、酸化性ガスを導入しつつ加熱
して、Si単結晶基板表面に、Si酸化物層を形成す
る。酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、原子状酸素、
NO2 等を用いることができる。清浄化されたSi単結
晶基板の基板表面は、上記したように極めて反応性に富
むため、これを保護膜として用い、Si単結晶基板表面
を再配列、汚染などから保護する。上記Si酸化物層の
層厚は、0.2〜10nm程度とすることが好ましい。
0.2nm未満ではSi表面の保護が不完全であるからで
ある。上限を10nmとした理由は、後述する。
【0108】上記の加熱は、300〜700℃の温度
に、0〜10分程度保持して行う。このとき、昇温速度
は、30〜70℃/分程度とする。温度が高すぎたり、
昇温速度が速すぎると、Si酸化膜の形成が不十分にな
り、逆に、温度が低すぎたり、保持時間が長すぎると、
Si酸化膜が厚すぎてしまう。
【0109】酸化性ガスの導入は、例えば酸化性ガスと
して酸素を用いる場合、真空槽内を当初1×10-7〜1
×10-4Torr程度の真空にし、酸化性ガスの導入によ
り、少なくともSi単結晶基板の近傍の雰囲気の酸素分
圧が1×10-4Torr程度以上となるようにすることが好
ましい。真空槽において処理する場合の酸素分圧の上限
は1×10-1Torr程度であるが、空気中で加熱して熱酸
化することによりSi酸化膜を形成してもよい。
【0110】上記工程後、真空中で加熱する。Si表面
結晶は、保護膜により、保護されているので、残留ガス
である炭化水素と反応してSiC膜が形成される等の汚
染がない。
【0111】加熱温度は、600〜1200℃、特に7
00〜1100℃とすることが好ましい。600℃未満
であると、Si単結晶基板表面に後述する1×1構造が
得られない。1200℃を超えると、保護膜によるSi
表面結晶の保護が十分でなくSi単結晶基板の結晶性が
乱れてしまう。
【0112】このような加熱を行いながら、Zrと酸化
性ガスまたはZrおよび希土類金属と酸化性ガスを表面
に供給する。この過程でZr等の金属は、前工程で形成
したSi酸化物による保護膜を還元し、除去する。同時
に露出したSi表面結晶表面にZrと酸素またはZrと
希土類金属元素および酸素により、1×1の表面構造が
形成される。このときのSi単結晶基板の近傍の雰囲気
の酸素分圧は、1×10-4Torr以上1×10-1Torr程度
以下となるようにすることが好ましい。
【0113】表面構造は、RHEEDによる像のパター
ンで調べることができる。例えば、本発明が目的とする
1×1の表面構造の場合、電子線入射方向が[110]
で図2の(a)に示したような1倍周期C1の完全なス
トリークパターンとなり、入射方向を[1-10]にして
も全く同じパターンとなる。一方、Si単結晶清浄表面
は、たとえば(100)面の場合1×2、2×1、また
は、1×2と2×1が混在している表面構造となる。こ
のような場合には、RHEED像のパターンは、電子線
の入射方向[110]または[1-10]のいずれか、ま
たは両方で図2の(b)に示したような、1倍周期C1
と2倍周期C2を持つパターンになる。本発明の1×1
の表面構造においては、上記RHEEDのパターンでみ
て、入射方向が[110]および[1-10]両方で、図
2の(b)の2倍周期C2が見られない。
【0114】またSi(100)清浄表面は、1×1構
造を示す場合がある。われわれの実験でも何度か観察さ
れたが、1×1を示す条件は不明確であり、安定に再現
性よく1×1をSi清浄面で得ることは、現状では不可
能である。
【0115】1×2、2×1、1×1いずれの構造のS
i清浄面は、真空中、高温で汚染されやすく、特に残留
ガス中に含まれる炭化水素と反応し表面にSiCを形成
し、基板表面の結晶が乱れる。したがって、Si基板上
に酸化膜を結晶成長させる際に適した1×1構造を安定
に形成することがこれまで不可能であった。
【0116】ZrまたはZrおよび希土類金属の供給量
は、その酸化物換算で、0.3〜10nm、特に3〜7nm
程度が好ましい。0.3nm未満では、Si酸化物の還元
の効果が十分に発揮できず、10nmを超えると表面に原
子レベルの凹凸が発生し易くなり、表面の結晶の配列
は、凹凸により、1×1構造でなくなることがあるため
である。なお、上記Si酸化物層の層厚の上限の好まし
い値を10nmとした理由は、10nmを超えると、上記の
ように金属を供給してもSi酸化物層を十分に還元でき
なくなる可能性がでてくるからである。
【0117】酸化性ガスとして酸素を用いる場合は、2
〜50cc/分程度供給することが好ましい。最適酸素量
は、真空槽の大きさ、ポンプの排気速度その他の要因で
決まり、あらかじめ最適な流量を求めておく。
【0118】以上のSi基板表面処理を行う理由は、以
下のとおりである。
【0119】結晶表面の数原子層における表面構造は、
バルク(3次元的な大きな結晶)の結晶構造を切断した
ときに考えられる仮想的な表面の原子配列構造とは一般
に異なる。それは片側の結晶がなくなくなることにより
表面に現れた原子の周囲の状況が変化し、これに対応し
てエネルギーのより低い安定な状態になろうとするから
である。その構造変化は、主として、原子位置の緩和に
留まる場合と、原子の組み換えが生じ、再配列構造を形
成する場合とがある。前者はほとんどの結晶表面で存在
する。後者は一般に表面の超格子構造を形成する。バル
クの表面構造の単位ベクトルの大きさをa、bとすると
き、ma、nbの大きさの超格子構造が生じた場合これ
をm×n構造とよぶ。清浄化されたSi(100)の表
面は、1×2または2×1構造、Si(111)表面
は、7×7または2×8構造の大きな単位メッシュをも
つ複雑な超構造となる。また、これら、清浄化されたS
i表面は、反応性に富み、とくに、酸化物薄膜をエピタ
キシャル形成する温度(700℃以上)では、真空中の
残留ガス、とくに炭化水素と反応をおこし、表面にSi
Cが形成されることにより基板表面が汚染され、表面結
晶が乱れる。
【0120】Si基板上に酸化物をエピタキシャル成長
させるためには、Si表面の構造が安定で、かつ結晶構
造情報を成長させる酸化物膜へ伝える役割を果たさなけ
ればならない。酸化物エピタキシャル膜結晶において、
バルク結晶構造を切断したときに考えられる原子配列構
造は1×1構造となるので、酸化物をエピタキシャル成
長させるための基板の表面構造は、1×2、2×1、7
×7または2×8構造の大きな単位メッシュをもつ複雑
な超構造は好ましくなく、安定な1×1構造が必要であ
る。また、エピタキシャル成長は、700℃以上の温度
で行うため、反応性に富んだSi表面を保護する必要が
ある。
【0121】次に、以上のように、表面が処理されたS
i単結晶基板を用いてZrO2 を主成分とする単一配向
エピタキシャル膜を形成する。
【0122】このZrO2 を主成分とする単一配向エピ
タキシャル膜の形成にあたっては、まず、表面を処理し
たSi単結晶基板を加熱する。成膜時における加熱温度
はZrO2 の結晶化のために400℃以上が望ましく、
さらに、約750℃以上が結晶性が優れ、特に分子レベ
ルでの表面平坦性を得るためには850℃以上が好まし
い。なお、単結晶基板の加熱温度の上限は、1300℃
程度である。
【0123】次いで、Zrを電子ビーム等で加熱し蒸発
させ、基板表面に供給すると共に、酸化性ガスおよび必
要に応じ希土類元素を基板表面に供給して、ZrO2を主成
分とする薄膜を形成する。成膜速度は、好ましくは0.
01nm/s以上、より好ましくは0.03nm/s以上、さら
に好ましくは0.05nm/s以上であり、また、好ましく
は1.00nm/s以下、より好ましくは0.50nm/s以
下、さらに好ましくは0.10nm/s以下である。成膜速
度が遅すぎると成膜速度を一定に保つことが難しくな
り、一方、成膜速度が速すぎると、形成される薄膜の結
晶性が悪くなり、表面に凹凸が生じてしまう。
【0124】このため、ZrO2 薄膜の蒸着に先立ち、
Zr金属および希土類金属元素が、蒸着源に加えた電力
量条件により単位時間あたりどの程度蒸発し、それらの
金属および酸化物の蒸着膜を形成するかを真空蒸着槽内
の基板近傍に設置した膜厚計により測定し校正してお
く。上記酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、原子状酸
素、NO2 等を用いることができる。ここでは、以下酸
素を用いることとして説明する。酸素は真空ポンプで継
続的に槽内を排気しつつ真空蒸着槽内に設けられたノズ
ルにより、2〜50cc/分、好ましくは5〜25cc/分
の酸素ガスを継続的に噴射させ、真空槽内の少なくとも
単結晶基板近傍に10-3〜10-1Torr程度の酸素雰囲気
を作る。最適酸素量は、チャンバーの大きさ、ポンプの
排気速度その他の要因により決まり、あらかじめ適当な
流量を求めておく。ここで酸素ガス圧の上限を10-1To
rrとしたのは、同真空槽内にある蒸発源中の金属源を劣
化させることなく、かつその蒸発速度を一定に蒸着させ
るためである。さらに真空蒸着槽に酸素ガスを導入する
に際しては、単結晶基板の表面にその近傍から酸素ガス
を噴射し、単結晶基板近傍付近にだけ高い酸素分圧の雰
囲気をつくるとよく、これにより少ない酸素導入量で基
板上での反応をより促進させることができる。この時、
真空槽内は継続的に排気されているので真空槽のほとん
どの部分は10-4〜10-6 Torr の低い圧力になってい
る。
【0125】また単結晶基板の1cm2 程度の狭い領域で
は、この方法で単結晶基板上で酸化反応を促進すること
ができるが、基板面積が10cm2 以上、たとえば直径2
インチの大きな単結晶基板面積に成膜するためには図1
のように基板を回転させ、高酸素分圧を基板全面に供給
することにより、大面積での膜作製が可能となる。この
とき、基板の回転数は、10rpm 以上であることが望ま
しい。回転数が遅いと基板面内で膜厚の分布が生じるた
めである。この基板の回転数の上限は特にないが、通常
は真空装置の機構上120rpm 程度である。
【0126】さらに、このZrO2を主成分とするエピタキ
シャル膜を蒸着基板とし、さらに配向薄膜であるBaTiO3
膜またはSrTiO3膜またはBaTiO3の固溶体膜を形成し、積
層薄膜を得る方法を説明する。ここではBaTiO3を例にと
り説明する。酸化物薄膜の成膜が完了した上記の蒸着基
板は真空槽中に配置され加熱されている。酸化性ガスを
導入しつつ加熱し続ける。
【0127】次いで、Baを電子ビーム等で加熱し蒸発を
行う。Ba金属、および酸化性ガスを単結晶基板に供給す
る。同時にTiも同様な方法で供給し、その供給量はBa:T
i=1:1 になるようにし、BaTiO3エピタキシャル薄膜を得
る。ここで、成膜時の蒸着基板の温度および成膜初期の
Ba/Ti供給量比は、BaTiO3膜の配向性に影響を及ぼ
し、BaTiO3エピタキシャル結晶の面方位関係がBaTiO3(0
01)//Zr1-xRxO2- δ(001)// Si(100) 、かつBaTiO3[10
0]//Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]で形成するために
は、BaTiO3成膜時における加熱温度は800 〜1300℃、好
ましくは900 〜1200℃が望ましい。ここでいう成長初期
とは0〜1nm膜厚の範囲内である。
【0128】成長初期のBa/Ti供給量比は、モル比
で0〜1、好ましくは0〜0.8とすることが望まし
い。ここでBa/Ti比が0とした理由は、成長初期に
Tiのみを供給してもよいことを示す。その理由は、加
熱温度が低すぎたりまた成長初期のBa/Ti比が適切
でないと形成されるBaTiO3は目的とする(001) 配向でな
く(110) 配向になるか、または(001) 配向BaTiO3薄膜に
(110) 配向が混在してしまう。初期のBa/Ti比が大
きすぎると、供給されたBaが下地のZrO2 と反応
し、目的の配向を有するBaTiO3 が得られなくなっ
てくる。BaとZrO2 の反応を避けるために、成長初
期にはTi過剰にすることが好ましい。温度が高すぎる
と積層膜は相互拡散し結晶性が低下する。成膜速度は、
0.05〜1.00nm/s、好ましくは0.100〜0.
500nm/sとすることが望ましい。その理由は、遅すぎ
ると、金属の蒸発源が導入した酸素により酸化されて蒸
発速度が不安定になり、組成を一定にできない。また速
すぎると形成される薄膜の結晶性が悪く表面に凸凹が生
じる。このため、BaTiO3薄膜の蒸着に先立ち、Ba金属お
よびTi金属が、蒸着源に加えた電力量条件により単位時
間あたりどの程度蒸発し、それらの金属および酸化物の
蒸着膜を形成するかを真空蒸着槽内の基板近傍に設置し
た膜厚計により測定し較正しておく。なお、他のペロブ
スカイトでも、タングステンブロンズでも周知のように
Aサイト金属とBサイト金属とが存在するが、初期の供
給はペロブスカイトでA/Bが0〜1、特に0〜0.
8、タングステンブロンズで0〜0.5となるようにす
ることが好ましい。
【0129】上記酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、
原子状酸素、NO2 等を用いることができる。ここで
は、以下酸素を用いることとして説明する。酸素は真空
ポンプで継続的に槽内を排気しつつ真空蒸着槽内に設け
られたノズルにより、2〜50cc/分、好ましくは5〜
25cc/分の酸素ガスを継続的に噴射させ、真空槽内の
少なくとも単結晶基板近傍に10-3〜10-1Torr程度の
酸素雰囲気を作る。最適酸素量は、チャンバーの大き
さ、ポンプの排気速度その他の要因により決まり、あら
かじめ適当な流量を求めておく。ここで酸素ガス圧の上
限を10-1Torrとしたのは、同真空槽内にある蒸発源中
の金属源を劣化させることなく、かつその蒸発速度を一
定に蒸着させるためである。さらに真空蒸着槽に酸素ガ
スを導入するに際しては、単結晶基板の表面にその近傍
から酸素ガスを噴射し、単結晶基板近傍付近にだけ高い
酸素分圧の雰囲気をつくるとよく、これにより少ない酸
素導入量で基板上での反応をより促進させることができ
る。この時、真空槽内は継続的に排気されているので真
空槽のほとんどの部分は10-4〜10-6Torrの低い圧力
になっている。
【0130】また単結晶基板の1cm2 程度の狭い領域で
は、この方法で単結晶基板上で酸化反応を促進すること
ができるが、基板面積が10cm2 以上、たとえば直径2
インチの大きな単結晶基板面積に成膜するためには図1
のように基板を回転させ、高酸素分圧を基板全面に供給
することにより、大面積での膜作製が可能となる。この
とき、基板の回転数は、10rpm 以上であることが望ま
しい。回転数が遅いと基板面内で膜厚の分布が生じるた
めである。この基板の回転数の上限は特にないが、通常
は真空装置の機構上120rpm 程度である。このように
本発明の積層薄膜が得られる。なお、金属エピタキシャ
ル膜の成膜は常法に従う。
【0131】以上、製造方法の詳細を説明したが、この
製造方法は、従来の真空蒸着法、スパッタリング法、レ
ーザーアブレーション法の比較において特に明確なごと
く、不純物の介在の余地のない、しかも制御しやすい操
作条件下で実施しうるため、再現性よく完全性が高い目
的物を大面積で得るのに好適である。さらに本方法をM
BE装置を用いても、全く同様にして目的薄膜を得るこ
とができる。
【0132】さらにその上に金属配向膜、BaTiO3以外の
ペロブスカイト材料あるいはタングステンブロンズ材料
の配向膜を多層に形成することができる。この場合、配
向膜は、蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法によっ
ても形成できる。
【0133】なお、これらの配向膜形成後、必要に応じ
てアニールを施してもよい。例えば、Bi酸化物膜等の
酸化物配向膜では、酸素欠陥によりリークが多くなるこ
とがあるが、空気中等の酸化性雰囲気中でアニールを施
すことにより、酸素欠陥を減らして絶縁性を向上させる
ことができる。アニール温度は、好ましくは400〜8
50℃、より好ましくは450〜800℃であり、アニ
ール時間は、好ましくは1秒間〜30分間、より好まし
くは5〜15分間である。なお、酸化物配向膜の上に電
極層を設ける場合、アニールは電極層形成前に行っても
よく、形成後に行ってもよい。
【0134】以上のようにして得られた積層酸化物薄膜
およびこれを用いた電子デバイス用基板は、例えば、そ
のままの構造で半導体プロセスにより加工し、従来のS
iO2 を代替することによりDRAM用のコンデンサお
よびゲートとして構成され、また、さらに半導体プロセ
スによりFET等とともに集積化することにより不揮発
性メモリーが構成される。さらに本基板上に機能膜とし
てSiを形成することによりSOIデバイスとして応用
でき、また超電導体の機能膜を形成することにより、赤
外線センサ、光変調器、光スイッチOEICが構成され
る。またSQUID、ジョセフソン素子、超電導トラン
ジスタ、電磁波センサおよび超電導配線LSIに応用す
ることもできる。
【0135】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0136】実施例1 酸化物薄膜を成長させる単結晶基板として、その表面が
(100)面となるように切断、鏡面研磨したSi単結
晶ウエハーを用いた。鏡面表面は購入後40%フッ化ア
ンモニウム水溶液により、エッチング洗浄を行った。な
お、Si基板は、5ΩcmP型、直径2インチの円形基板
を用いた。
【0137】真空槽内に設置された回転および加熱機構
を備えた基板ホルダーに上記単結晶基板を固定し、真空
蒸着槽を10-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した
後、基板洗浄面をSi酸化物を用いて保護するため、基
板を20rpm で回転させ、酸素を基板付近にノズルから
25cc/分の割合で導入しつつ、600℃にて加熱し
た。ここで、基板表面にSi酸化物膜が熱酸化で形成さ
れる。この方法で厚さ約1nmのSi酸化物膜を形成し
た。
【0138】次いで、その後、基板を900℃に加熱し
回転させた。回転数は20rpm とした。このとき、ノズ
ルから酸素ガスを25cc/分の割合で導入し、基板上に
金属Zrを蒸発源から蒸発させることにより、Zr金属
酸化物の膜厚に換算して5nm供給し、1×1の表面構造
を備えるSi表面処理基板を得た。この表面をRHEE
Dにより測定した図を図3に示す。
【0139】図3では入射方向[110]で測定したも
のであるが90°回転しても全くおなじパターンであっ
た。すなわち、安定な1×1の表面構造をしたSi表面
処理基板が得られていることが確認される。
【0140】さらに、このSi表面処理基板上に、基板
温度900℃、回転数は20rpm 、ノズルから酸素ガス
を25cc/分の割合で導入した状態で金属Zrを蒸発源
から供給することにより、膜厚10nmのZrO2 膜を、
前記処理基板上に得た。
【0141】得られた薄膜について測定したX線の結果
を図4に示す。図4にはZrO2 の(002)ピークが
明瞭に観察されている。ZrO2 の結晶構造、対称性を
反映した方位に強く配向した結晶膜が得られていること
がわかる。図中にみられるピークは、一つの反射面のみ
からの反射であり、特にZrO2 膜においては従来例で
はみられない単一配向性の高結晶性の膜であることがわ
かる。さらにこの反射のロッキングカーブの半値幅は
0.7°(実測値)であり、配向性に優れることも確認
できた。
【0142】さらに、図5にこの薄膜のRHEEDパタ
ーンを示す。電子線の入射方向はSi基板の[110]
方向からのものを示した。この結果からわかるように、
この構造の薄膜表面の回折パターンは、完全にストリー
クであるパターンである。この完全にストリークである
パターンは、ZrO2 が結晶性、表面性に優れるもので
あることを表わすものである。YSZ膜についても全く
同じような結晶性、表面性のものが得られた。しかしZ
rO2 膜は、YSZにくらべ5倍の高抵抗を示し、絶縁
性に優れることが判明した。また、得られたZrO2膜につ
いて、表面のほぼ全体にわたって10箇所、JIS B
0610による十点平均粗さRz(基準長さL:500
nm)をAFMにより測定したところ、平均で0.70n
m、最大で0.95nm、最小で0.10nm、測定箇所の
90%で0.80nm以下と、分子レベルで平坦であっ
た。
【0143】このようにして得られたZrO2膜が形成され
たSi単結晶基板を蒸着基板として、これらの蒸着基板
上に、基板温度900℃、回転数は20rpm 、ノズルか
ら酸素ガスを25cc/分の割合で導入した状態で金属Ba
と金属Tiを1:1 の割合で蒸発源から供給することによ
り、膜厚300nmのBaTiO3 膜を、前記蒸着基板上に得
た。成膜初期には、TiのみをTiO2 膜厚換算で0.
5nm供給した後、金属Baと金属Tiを1:1にして供
給し、BaTiO3 の成膜速度を0.05nm/ sとして2nm
成膜後、さらに成膜速度を0.2nm/s と速度を上げて形成
した。
【0144】ZrO2膜上に得られたBaTiO3 薄膜につ
いて測定したX線の結果を図6に示す。図6にはBaTiO3
(001)および(002)ピークが明瞭に観察されて
いる。BaTiO3の結晶構造、対称性を反映した方位に強く
配向した(001) 結晶膜が得られていることがわかる。と
くにこれらのピークは、それぞれ一つの等価な反射面の
みからの反射であり、単一配向性の高結晶性の膜である
ことがわかる。さらにこの反射のロッキングカーブの半
値幅は、1 .4°(実測値)であり配向性に優れることも
確認できた。また、上記と同様にして測定したBaTi
3 薄膜のRzは、測定した全箇所で0.45nm以下で
あった。
【0145】さらに、図7にこの薄膜のRHEEDパタ
ーンを示す。電子線の入射方向はSi基板の[110]
方向からのものを示した。この結果からわかるように、
この構造の薄膜表面の回折パターンは、完全にストリー
クであるパターンである。この完全にストリークである
パターンは、BaTiO3が結晶性、表面性に優れるものであ
ることを表わすものである。ZrO2 膜に代わり、YS
Z膜およびYの他の希土類金属元素(Scを含む)によ
り安定化されたZrO2 膜上にも全く同じようにBaT
iO3 膜が得られた。
【0146】図8に、この薄膜の断面TEM写真を示
す。図には下からSi基板、SiO2層、ZrO2 膜、
BaTiO3 膜の順で形成されており、各結晶格子が観
察できる。SiO2 層はアモルファス膜であり、ZrO
2 膜、BaTiO3 膜を形成中に酸素の拡散により形成
されたと思われる。この写真から、BaTiO3 がZr
2 上に介在物なく直接エピタキシャル成長しているこ
とがわかる。またZrO2 格子とBaTiO3 格子は
3:4で格子整合されていることがよくわかる。また、
Si基板、酸化物薄膜であるZrO2を主成分とする薄膜、お
よび配向薄膜であるBaTiO 3 薄膜の結晶面の関係(すな
わち面方位関係)は、TEM像、X線回折およびRHEED
からBaTiO3(001)//Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(100)、かつ
BaTiO3[100]//Zr 1-xRxO2-δ[100]//Si[010]で形成され
ていることが確認される。本発明で得られたBaTiO3薄膜
は、Si基板上でエピタキシャル成長した(001)BaTiO3
膜として、はじめて実現されたものである。さらにSr
TiO3 およびBaTiO3 とSrTiO3 の固溶体に
ついても、同様な方法を用いて作製し、X線回折および
RHEEDで評価したところ、全く同様なエピタキシャ
ル膜が得られた。
【0147】また、得られたBaTiO3 を用いた積層
薄膜について、比誘電率を測定したところ、1000
で、高い値を示した。また、積層膜表面にPt電極、S
i基板にAl電極を形成し、C−V特性を測定したとこ
ろ、図9に示したようなヒステリシスが得られ、ヒステ
リシス幅は0.2Vで、すなわち0.2Vのメモリーウ
インドが得られたことになる。
【0148】さらにこの特性を利用し、積層薄膜をFE
Tのゲート酸化膜に用いた素子を作製し、メモリー動作
を確認した。
【0149】実施例2 上記実施例1において、BaTiO3の膜厚を50nmとし、ま
たその上に膜厚が300nmで、組成がSr0.25Ba0.75Nb2O
6 のSBN 薄膜をスパッタリングにより基板温度800℃
で形成し、SBN(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)の
積層薄膜を得た。その薄膜について測定したX線の結果
を図10に示す。c面による反射のみが得られ単一配向
膜であることがわかる。また、RHEEDを図11に示
した。RHEEDパターンはストリークではないが、こ
れらから、得られたSBN 薄膜がc面単一配向膜で良好な
結晶性を有している薄膜であることが分かる。全く同様
にSBNに代わり、組成Pb0.38Ba0.62Nb2O3 のPBN 薄膜
を形成し、PBN (001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)
の積層薄膜を得た。PBNの場合、基板温度は650℃
に設定して成膜した。得られた薄膜について測定したX
線の結果を図12に示す。PBNもSBNと同様にc面
単一配向であることがわかる。なお、SBN薄膜を90
0℃の基板温度で形成したものについては、RHEED
測定とTEM評価とから、c面単一配向でかつSi基板
との結晶軸方位関係がSBN[100]//Si[010] であることが
わかった。
【0150】実施例3 実施例2と同様にしてPZT(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)
/Si(100)の積層薄膜を得た。BaTiO3の膜厚を50nmと
し、またPZT の膜厚を300nmとした。PZTは、スパ
ッタリングにより基板温度室温で形成後、空気中700
℃で10分アニールし結晶化膜を得た。
【0151】その薄膜について測定したX線の結果を図
13に示す。PZTのc面による反射のみが得られ単一
配向膜であることがわかる。また、図14にC−V特性
を示した。この図からヒステリシスがみられ、約0.5
Vのメモリーウインドが得られていることがわかる。こ
の特性を利用し、本積層薄膜をトランジスタ(FET)
のゲート酸化膜として素子(MFIS構造)を作製し、
メモリ動作を確認した。
【0152】実施例4 実施例2と同様にしてPt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/
Si(100) の積層薄膜を得た。BaTiO3の膜厚を100nmと
し、またPtの膜厚を100nmとした。Ptは、蒸着に
より基板温度700℃で形成した。
【0153】その積層薄膜についての断面TEM写真を
図15に、また、薄膜について測定したX線の結果を図
16に示す。また、RHEEDを図17に示した。これ
らから、良好な膜質を有するエピタキシャルのPt(001)
が得られていることが分かる。Ptに代わり、Ir、O
s、Re、Pd、Rh、Ruおよびそれらの合金(Pt
合金も含む)についても、同様に作製した結晶Ptと同
様に良質な膜質を有するエピタキシャル膜が得られた。
【0154】実施例5 実施例4のPtの上に更にBaTiO3を300nm形成して、組
成BaTiO3(001)/Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(10
0) の積層薄膜を得た。この薄膜のRHEED、X線回
折およびD−Eヒステリシス特性線をそれぞれ図18、
図19および図20に示した。X線回折からBaTiO
3 膜はc面単一配向膜であることが確認でき、またRH
EEDからSi基板との軸方位関係は、BaTiO3[100]//S
i[010]であることがわかる。また、上記と同様にして測
定したRzは、測定した全箇所で0.50nm以下であっ
た。D−Eヒステリシスは、BaTiO3 膜上にPt電
極を蒸着し、この電極とBaTiO3 膜の下地のPt
(001)膜を電極にして、ソーヤタワー回路を用いて
測定した。比誘電率は、D−Eヒステリシス測定と同様
な電極を用い、インピーダンスアナライザにより100
kHz で測定したところ、1000であった。さらにこの
D−Eヒステリシスを利用し、FETとともにSi基板
上にメモリーセルを作製し、メモリー動作を確認した。
【0155】実施例6 実施例4のPtの上に更にSBN ,PBN (実施例2と同じ)
を300nmの厚さに形成して、組成SBN(001)/Pt(001)/B
aTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)の積層薄膜およびPBN (0
01)/Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) の積層薄
膜を得た。ただし、SBN、PBN形成時の基板温度は
それぞれ800℃、650℃とし、形成後、空気中にお
いて750℃で10分間アニール処理を施した。SBN
薄膜のRHEED、X線回折およびD−Eヒステリシス
特性線をそれぞれ図21、図22および図23に示し
た。PBN薄膜のX線回折を図24に示した。X線回折
よりSBNおよびPBN薄膜はc面単一配向膜であるこ
とがわかる。RHEEDからSi基板との軸方位関係
は、SBN[100]//Si[010] 、PBN[100]//Si[010] であるこ
とがわかった。比誘電率は、SBNが200、PBNが
310であった。さらにこのD−Eヒステリシスを利用
しFETとともにSi基板上にメモリーセルを作製し、
メモリー動作を確認した。
【0156】実施例7 実施例1においてBaTiO3の膜厚を50nmとしたBaTiO3(00
1)/ZrO2(001)/Si(100)積層膜、実施例4のPt(001)/BaTi
O3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 積層膜を作製し、これら基
板とした。ただし、実施例1、4では、ZrO2 膜の成
膜速度を0.06nm/sとしたが、本実施例では0.03
nm/sとした。この結果、ZrO2 膜の上記Rzは、測定
した全箇所で0.80nm以下であり、測定箇所の80%
で0.40nm以下であった。
【0157】真空槽中で基板を700 ℃に加熱し、20rp
m で回転させた。そして、ECR酸素源からラジカル酸
素ガスを10cc/分の割合で導入し、基板上にBi2O3
TiOx (x=1.67)をそれぞれの蒸発源から蒸発
させることにより、膜厚300nmのBi4Ti3O12 酸化物膜
を形成した。蒸発源からの供給は、Bi2O3 :TiOxの
モル比が2:3となるように制御しながら行った。これ
により、Bi4Ti3O12 /BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100),
Bi4Ti3O12 /Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)の
積層薄膜を得た。
【0158】図25に、Bi4Ti3O12 /Pt(001)/BaTiO3(00
1)/ZrO2(001)/Si(100)のRHEED パターンを、図26にX
線回折の結果を示す。得られたBi4Ti3O12 は、X線回折
からc面単一配向膜であり、RHEEDからエピタキシ
ャル膜であることが確認でき、さらにSi基板との方位関
係はBi4Ti3O12 [100]//Si[010]であることがわかる。な
お、BaTiO3(001) 膜上に形成したBi4Ti3O12 膜について
も、X線回折およびRHEEDの結果は同様であった。
【0159】また、Bi4Ti3O12(001)/BaTiO3(001)/ZrO
2(001)/Si(100)構造の試料表面にPt電極、Si基板にAl電
極を形成し、C-V 特性を測定したところ、図27に示し
たようなヒステリシスが得られ、ヒステリシス幅は0.
3Vで、すなわち0.3 Vのメモリーウインドが得られた
ことになる。さらにこの特性を利用し、積層薄膜をFE
Tのゲート酸化膜に用いた素子を作製し、メモリー動作
を確認した。
【0160】実施例 8 実施例1においてBaTiO3の膜厚を50nmとしたBaTiO3(00
1)/ZrO2(001)/Si(100)積層膜、実施例4のIr(001)/BaTi
O3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 積層膜を作製し、これらを
基板とした。ただし、これらの基板のZrO2 膜の形成
条件は、実施例7と同様とした。
【0161】真空槽中で基板を700 ℃に加熱し、20rp
m で回転させた。そして、ECR酸素源からラジカル酸
素ガスを10cc/分の割合で導入し、基板上にBi2O3
Sr金属、Nb2O5 をそれぞれの蒸発源から蒸発させること
により、膜厚300nmのBi2SrNb2O9酸化物膜を形成し
た。蒸発源からの供給は、Bi2O3 :Sr:Nb2O5のモル比が
1:1:1となるように制御しながら行った。これによ
り、Bi2SrNb2O9/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100),Bi2Sr
Nb2O9/Ir(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)の積層
薄膜を得た。
【0162】図28に、Bi2SrNb2O9/Ir(001)/BaTiO3(00
1)/ZrO2(001)/Si(100)のRHEED パターンを、図29にX
線回折の結果を示す。得られたBi2SrNb2O9は、X線回折
からc面単一配向膜であり、RHEEDからエピタキシ
ャル膜であることが確認でき、さらにSi基板との方位関
係はBi2SrNb2O9[100]//Si[010]であることがわかる。Ba
TiO3(001) 膜上に形成したBi2SrNb2O9膜についても、X
線回折およびRHEEDの結果は同様であった。
【0163】また、Bi2SrNb2O9(001)/BaTiO3(001)/ZrO2
(001)/Si(100) 構造の試料を空気中650℃、10分間ア
ニール後、表面にPt電極、Si基板にAl電極を形成し、C-
V 特性を測定したところ、図30に示したようなヒステ
リシスが得られ、ヒステリシス幅は0.35Vで、すな
わち0.35Vのメモリーウインドが得られたことにな
る。さらにこの特性を利用し、積層薄膜をFETのゲー
ト酸化膜に用いた素子を作製し、メモリー動作を確認し
た。
【0164】なお、以上の効果は、上記以外の他のペロ
ブスカイト膜ないしタングステンブロンズ膜、あるいは
上記以外の他の材質の導電性エピタキシャル層や酸化物
薄膜でも同様に実現した。
【0165】
【発明の効果】本発明による製造方法は、エピタキシャ
ル成長した(001)BaTiO3 薄膜等のc面配向単純ペロブス
カイト薄膜などをZrO2 を主成分とする酸化物薄膜を
介してSi基板上で得ることを可能としたものであり、不
純物の介在の余地のない、しかも制御しやすい操作条件
で、再現性よく高品質にさらに直径2インチ以上の基板
全面の大面積に形成することができるもので、工業的に
利用価値の高いものである。具体的には、そのままの積
層薄膜構造で半導体プロセスにより加工し、従来のSi
2 を代替することによりDRAM用のコンデンサおよ
びゲートとして構成が可能である。さらに本基板上に機
能膜としてSiを形成することによりSOIデバイスと
して応用でき、また強誘電体、超電導体の特性を利用す
ることにより、不揮発性メモリ、赤外線センサ、光変調
器、光スイッチ、OEIC,SQUID、ジョセフソン
素子、超電導トランジスタ、電磁波センサおよび超電導
配線LSIが作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子デバイス用基板の製造方法に用い
られる蒸着装置の1例を示す図である。
【図2】(a)は1×1の表面構造のRHEEDパター
ンを示す模式図であり、(b)は2×1、1×2あるい
はこれらが混合している場合のRHEEDパターンを示
す模式図である。
【図3】Zr金属と酸素により形成された1×1の表面
構造を有するSi基板の表面構造を示す図面代用写真で
あって、RHEEDパターンを示すものであり、Si単
結晶[110]方向から電子線を入射した回折パターン
である。
【図4】Si(100)基板上に得られたZrO2 の膜
構造のX線回折図である。
【図5】Si(100)基板上に得られたZrO2 の結
晶構造を示す図面代用写真であって、Si単結晶基板の
[110]方向から電子線を入射した場合のRHEED
回折パターンを示す図である。
【図6】ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得られたBaTiO3
のX線回折図である。
【図7】ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得られたBaTiO3
の結晶構造を示す図面代用写真であって、Si単結晶基
板の[110]方向から電子線を入射した場合のRHE
ED回折パターンを示す図である。
【図8】ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得られたBaTiO3
の断面TEM写真である。
【図9】BaTiO3/ZrO2/Si積層構造(MOS構造)のC−
V特性である。
【図10】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたSBN膜のX線回折図である。
【図11】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたSBN膜の結晶構造を示す図面代用写真であっ
て、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線を入射した
場合のRHEED回折パターンを示す図である。
【図12】BaTiO3/ZrO2/Si(100) 基板上に得られたPB
N膜のX線回折図である。
【図13】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたPZT膜のX線回折図である。
【図14】PZT(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100)積
層構造(MOS構造)のC−V特性である。
【図15】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたPt膜の断面TEM写真である。
【図16】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたPt膜のX線回折図である。
【図17】BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基板上に得
られたPt膜の結晶構造を示す図面代用写真であって、
Si単結晶基板の[110] 方向から電子線を入射した場合
のRHEED回折パターンを示す図である。
【図18】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBaTiO3膜の結晶構造を示す図面代用写真
であって、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線を入
射した場合のRHEED回折パターンを示す図である。
【図19】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBaTiO3膜のX線回折図である。
【図20】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBaTiO3膜のD−Eヒステリシス特性であ
る。
【図21】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたSBN膜の結晶構造を示す図面代用写真
であって、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線を入
射した場合のRHEED回折パターンを示す図である。
【図22】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたSBN膜のX線回折図である。
【図23】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたSBN膜のD−Eヒステリシス特性であ
る。
【図24】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたPBN膜のX線回折図である。
【図25】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBi4Ti3O12 膜の結晶構造を示す図面代用
写真であって、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線
を入射した場合のRHEED回折パターンを示す図であ
る。
【図26】Pt(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBi4Ti3O12 膜のX線回折図である。
【図27】Bi4Ti3O12(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si
(100)積層構造(MOS構造)のC−V特性である。
【図28】Ir(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBi2SrNb2O9膜の結晶構造を示す図面代用
写真であって、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線
を入射した場合のRHEED回折パターンを示す図であ
る。
【図29】Ir(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si(100) 基
板上に得られたBi2SrNb2O9膜のX線回折図である。
【図30】Bi2SrNb2O9(001)/BaTiO3(001)/ZrO2(001)/Si
(100) 積層構造(MOS構造)のC−V特性である。
【符号の説明】
1 蒸着装置 1a 真空槽 2 単結晶基板 3 ホルダ 4 回転軸 5 モータ 6 ヒータ 7 酸化性ガス供給装置 8 酸化性ガス供給口 9 Ba蒸発部 10 Ti蒸発部 11 Zr蒸発部 12 希土類金属元素蒸発部 P 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/8242 H01L 39/24 ZAAW 39/02 ZAA 21/316 M 39/24 ZAA 27/10 651 // H01L 21/316

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体単結晶基板上に酸化物薄膜が形成
    されており、この酸化物薄膜は酸化ジルコニウムまたは
    希土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定化さ
    れた酸化ジルコニウムを主成分としたエピタキシャル薄
    膜を少なくとも1層含み、この酸化物薄膜上にペロブス
    カイト型またはタングステンブロンズ型の誘電体材料で
    形成され、基板表面と平行にc面単一配向した配向薄膜
    を備える積層薄膜。
  2. 【請求項2】 前記ペロブスカイト型またはタングステ
    ンブロンズ型の誘電体材料が、チタン酸バリウム、チタ
    ン酸ストロンチウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、
    ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオ
    ブ酸バリウム鉛(PBN)である請求項1の積層薄膜。
  3. 【請求項3】 前記配向薄膜がエピタキシャル膜である
    請求項1または2の積層薄膜。
  4. 【請求項4】 前記半導体単結晶基板がSi(100)
    面を表面に有するSi単結晶基板であって、前記配向薄
    膜とSi単結晶基板の結晶軸方位関係がペロブスカイト
    またはタングステンブロンズ[100]//Si[01
    0]である請求項3の積層薄膜。
  5. 【請求項5】 Si(100)面を表面に有するSi単
    結晶で形成されたSi単結晶基板上に、ペロブスカイト
    型またはタングステンブロンズ型の材料で形成され、エ
    ピタキシャル膜であり、結晶軸方位関係がペロブスカイ
    トまたはタングステンブロンズ[100]//Si[01
    0]である配向薄膜を備える積層薄膜。
  6. 【請求項6】 前記ペロブスカイト型またはタングステ
    ンブロンズ型の材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ス
    トロンチウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、ニオブ
    酸ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ酸バ
    リウム鉛(PBN)である請求項5の積層薄膜。
  7. 【請求項7】 前記Si単結晶基板と配向薄膜との間に
    酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(ScおよびY
    を含む)により安定化された酸化ジルコニウムを主成分
    とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む酸化物
    薄膜が介設されている請求項5または6の積層薄膜。
  8. 【請求項8】 半導体単結晶基板上に、タングステンブ
    ロンズ型材料で形成されたエピタキシャル膜である配向
    薄膜を備える積層薄膜。
  9. 【請求項9】 前記タングステンブロンズ型材料が、ニ
    オブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)またはニオブ
    酸バリウム鉛(PBN)である請求項8の積層薄膜。
  10. 【請求項10】 前記半導体単結晶基板が、Si(10
    0)面を表面に有するSi単結晶基板である請求項8ま
    たは9の積層薄膜。
  11. 【請求項11】 前記半導体単結晶基板と配向薄膜との
    間に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(Scお
    よびYを含む)により安定化された酸化ジルコニウムを
    主成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層含む
    酸化物薄膜が介設されている請求項8〜10のいずれか
    の積層薄膜。
  12. 【請求項12】 酸化ジルコニウムまたは希土類金属元
    素(ScおよびYを含む)により安定化された酸化ジル
    コニウムを主成分とし、半導体単結晶基板上に形成され
    た第1のエピタキシャル膜と、この第1のエピタキシャ
    ル膜上に直接形成されたペロブスカイト型材料による第
    2のエピタキシャル膜である配向薄膜とを含む酸化物薄
    膜を有する積層薄膜。
  13. 【請求項13】 前記第2のエピタキシャル膜のペロブ
    スカイト型材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロ
    ンチウムまたはこれらの固溶体を主成分とする請求項1
    2の積層薄膜。
  14. 【請求項14】 前記半導体単結晶基板がSi(10
    0)面を表面に有するSi単結晶基板であって、このS
    i単結晶基板と配向薄膜の結晶軸方位関係がペロブスカ
    イト[100]//Si[010]である請求項12また
    は13の積層薄膜。
  15. 【請求項15】 Si(100)面を表面に有するSi
    単結晶基板上に、金属または導電性酸化物で形成され、
    基板表面と平行にc面またはa面単一配向したエピタキ
    シャル膜である導電性配向薄膜を備える積層薄膜。
  16. 【請求項16】 前記金属がPt、Ir、Os、Re、
    Pd、RhおよびRuのうちの少なくとも1種を含む金
    属であり、前記導電性酸化物がInを含む酸化物または
    ペロブスカイト酸化物である請求項15の積層薄膜。
  17. 【請求項17】 前記Si単結晶基板と導電性配向薄膜
    との間に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(S
    cおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコニウ
    ムを主成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層
    含む酸化物薄膜が介設されている請求項15または16
    の積層薄膜。
  18. 【請求項18】 Si(100)面を表面に有するSi
    単結晶基板上に、金属または導電性酸化物で形成され、
    基板表面と平行にc面またはa面単一配向したエピタキ
    シャル膜である導電性配向薄膜、およびこの導電性配向
    薄膜上に、ペロブスカイト型またはタングステンブロン
    ズ型材料により形成された配向薄膜を備える積層薄膜。
  19. 【請求項19】 前記金属がPt、Ir、Os、Re、
    Pd、RhおよびRuのうちの少なくとも1種を含む金
    属であり、前記導電性酸化物がInを含む酸化物または
    ペロブスカイト酸化物である請求項18の積層薄膜。
  20. 【請求項20】 前記配向薄膜のペロブスカイト型また
    はタングステンブロンズ型材料が、チタン酸バリウム、
    チタン酸ストロンチウム、ジルコンチタン酸鉛(PZ
    T)、ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)また
    はニオブ酸バリウム鉛(PBN)である請求項18また
    は19の積層薄膜。
  21. 【請求項21】 前記配向薄膜がエピタキシャル膜であ
    る請求項18〜20のいずれかの積層薄膜。
  22. 【請求項22】 前記Si基板と配向薄膜の結晶軸方位
    関係がペロブスカイトまたはタングステンブロンズ[1
    00]//Si[010]である請求項21の積層薄膜。
  23. 【請求項23】 前記Si単結晶基板、導電性配向薄膜
    および配向薄膜の間の面方位関係が、ペロブスカイトま
    たはタングステンブロンズ(001)//導電性薄膜(0
    01)//Si(100)である請求項18〜22のいず
    れかの積層薄膜。
  24. 【請求項24】 前記Si単結晶基板と導電性配向薄膜
    との間に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(S
    cおよびYを含む)により安定化された酸化ジルコニウ
    ムを主成分とするエピタキシャル薄膜を少なくとも1層
    含む酸化物薄膜を介設した請求項18〜23のいずれか
    の積層薄膜。
  25. 【請求項25】 前記酸化物薄膜の酸化ジルコニウムま
    たは希土類金属元素(ScおよびYを含む)により安定
    化された酸化ジルコニウムの組成がZr1-xx2-δ
    (ここで、RはScおよびYを含む希土類金属元素であ
    り、x=0〜0.75、δ=0〜0.5である)である
    請求項1〜5、7、11、12〜14、17、24のい
    ずれかの積層薄膜。
  26. 【請求項26】 前記酸化物薄膜の酸化ジルコニウム
    が、酸素をのぞく構成元素のみに換算してZrを93mo
    l%以上含有する請求項1〜5、7、11、12〜14、
    17、24〜25のいずれかの積層薄膜。
  27. 【請求項27】 前記酸化物薄膜の(002)反射のロ
    ッキングカーブの半値幅が1.5°以下である請求項1
    〜5、7、11、12〜14、17、24〜26のいず
    れかの積層薄膜。
  28. 【請求項28】 前記酸化物薄膜の表面のすくなくとも
    80%が、基準長さ500nmでの十点平均粗さRzが2
    nm以下である請求項1〜5、7、11、12〜14、1
    7、24〜27のいずれかの積層薄膜。
  29. 【請求項29】 前記酸化物薄膜が、酸化ジルコニウム
    または希土類金属元素(ScおよびYを含む)で安定化
    された酸化ジルコニウムを主成分とする第1のエピタキ
    シャル膜と、その上に形成されたペロブスカイト型材料
    による第2のエピタキシャル膜を少なくとも含む請求項
    1〜5、7、11、17、24〜28のいずれかの積層
    薄膜。
  30. 【請求項30】 前記第2のエピタキシャル膜のペロブ
    スカイト型材料が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロ
    ンチウムまたはこれらの固溶体を主成分とする請求項2
    9の積層薄膜。
  31. 【請求項31】 前記Si単結晶基板と、前記ペロブス
    カイト型材料による第2のエピタキシャル膜の結晶軸方
    位関係がペロブスカイト[100]//Si[010]で
    ある請求項29または30の積層薄膜。
  32. 【請求項32】 請求項1〜31のいずれかの積層薄膜
    を備える電子デバイス用基板。
  33. 【請求項33】 請求項1〜31のいずれかの積層薄膜
    を備える電子デバイス。
  34. 【請求項34】 Si単結晶基板、このSi単結晶基板
    上に、酸化ジルコニウムまたは希土類金属元素(Scお
    よびYを含む)により安定化された酸化ジルコニウムで
    形成された酸化物薄膜と、この酸化物薄膜上に、ペロブ
    スカイト型またはタングステンブロンズ型材料で形成さ
    れた配向薄膜とを備える積層薄膜の製造方法であって、 真空槽内で、Si単結晶基板の加熱、真空槽内への酸化
    性ガスの導入、およびZrまたはZrと少なくとも1種
    の希土類金属元素(ScおよびYを含む)の単結晶基板
    表面への蒸発による供給を行い、前記単結晶基板の表面
    に、前記酸化物薄膜をエピタキシャル成長させての単一
    配向エピタキシャル膜を形成し、これを前記酸化物薄膜
    とする積層薄膜の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記酸化ジルコニウムまたは希土類金
    属元素(ScおよびYを含む)により安定化された酸化
    ジルコニウムが、Zr1-x x 2-δ(ここで、RはS
    cおよびYを含む希土類金属元素であり、x=0〜0.
    75である。また、δは0〜0.5である。)の組成の
    ものである請求項34の積層薄膜の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記Si単結晶基板として、基板表面
    に、ZrまたはZrおよび少なくとも1種の希土類金属
    元素(ScおよびYを含む)と、酸素とにより形成され
    た1×1の表面構造を有するSi表面処理基板を用いる
    請求項34または35の積層薄膜の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記Si表面処理基板が、Si単結晶
    基板表面に厚さ0.2〜10nmのSi酸化物層を形成
    し、この後、基板温度を600〜1200℃に設定する
    とともに、真空槽内に酸化性ガスを導入して、少なくと
    も基板近傍の雰囲気の酸素分圧を1×10-4〜1×10
    -1Torrとし、この状態で、前記Si酸化物層が形成され
    た基板表面に、ZrまたはZrと少なくとも1種の希土
    類金属元素(ScおよびYを含む)とを蒸発させて供給
    することにより得られたものである請求項36の積層薄
    膜の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記Si酸化物層を形成する際、酸化
    性ガスを導入した真空槽内で、Si単結晶基板を300
    〜700℃に加熱し、真空槽内の少なくとも基板近傍の
    雰囲気の酸素分圧を1×10-4Torr以上として、Si酸
    化物層を形成する請求項37の積層薄膜の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記Si単結晶基板の表面に、その近
    傍から酸化性ガスを噴射し、このSi単結晶基板近傍だ
    け他の部分より酸化性ガス分圧の高い雰囲気を作る請求
    項34〜38のいずれかの積層薄膜の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記Si単結晶基板を、基板表面面積
    が10cm2 以上のものとするとともに、基板を回転させ
    ることにより、前記酸化性ガス高分圧雰囲気をSi単結
    晶基板の全体にわたって供し、このSi単結晶基板の表
    面全面にわたって実質的に均一な酸化物薄膜を形成する
    請求項34〜39のいずれかの積層薄膜の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記エピタキシャル膜を形成する際、
    前記Si単結晶基板を750℃以上に加熱する請求項3
    4〜40のいずれかの積層薄膜の製造方法。
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