JPH09104973A - スパッタリングタ−ゲット及びその製造方法 - Google Patents

スパッタリングタ−ゲット及びその製造方法

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JPH09104973A
JPH09104973A JP8153342A JP15334296A JPH09104973A JP H09104973 A JPH09104973 A JP H09104973A JP 8153342 A JP8153342 A JP 8153342A JP 15334296 A JP15334296 A JP 15334296A JP H09104973 A JPH09104973 A JP H09104973A
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JP
Japan
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sputtering target
value
target
ito
ceramics
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Application number
JP8153342A
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English (en)
Inventor
Toru Saito
亨 斎藤
Yoshikazu Kumahara
吉一 熊原
Yuji Suzuki
裕治 鈴木
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパッタ時におけるノジュ−ルの発生が少な
く、異常放電やパ−ティクルが極力生じにくいセラミッ
クススパッタリングタ−ゲットを提供する。 【構成】 粉末冶金法により製造されたセラミックス
(ITO等)スパッタリングタ−ゲットを、スパッタ表
面の中心線平均粗さRaが 0.1〜 3.0μmで、表面粗さ曲
線の平均山間隔(Sm値)が150μm以上である構成と
するか、ITOタ−ゲットにあっては更に密度D(g/c
m3) とバルク抵抗値ρ(mΩcm) が「 6.20 ≦D≦ 7.23
」及び「−0.0676D+0.887 ≧ρ≧−0.0761D+0.666
」を満足する如くに構成する。なお、前記表面性状へ
の調整は、直径500μm以下のガラスビ−ズ,アルミ
ナビ−ズ又はジルコニアビ−ズをブラスト材とするブラ
スト処理を施すことにより行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ITOと呼ばれる
“酸化インジウム−酸化錫”等のセラミックスから成る
ところの、粉末冶金法を経て製造されたスパッタリング
タ−ゲット、並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器類の分野を中心に、“ス
パッタリング法”によって基材表面にセラミックス薄膜
を形成させる技術が大いに適用されるようになってき
た。例えば、ITO膜" と呼ばれる“酸化インジウム−
酸化錫薄膜”は高導電性と可視光透過性(透明性)を有
していることから最近では液晶表示装置,薄膜エレクト
ロルミネッセンス表示装置,放射線検出素子,端末機器
の透明タブレット,窓ガラスの結露防止用発熱膜,帯電
防止膜あるいは太陽光集熱器用選択透過膜等といった多
岐にわたる用途に供されているが、このITO膜の形成
手段として大面積で品質の良い膜を再現性良く成膜でき
る“スパッタリング法”の採用が広まってきている。
【0003】ところで、スパッタリング法によってセラ
ミックス薄膜を形成する場合には、一般には同様組成の
セラミックスで構成されたスパッタリングタ−ゲットが
使用されており、また、このセラミックススパッタリン
グタ−ゲットとしては通常は酸化物粉末原料を粉末冶金
法にて一体化し緻密化したものが用いられている(例え
ばITO膜を形成する場合には酸化インジウムと酸化錫
から成るタ−ゲットが使用されるが、 このITOタ−ゲ
ットには、酸化インジウムと酸化錫の粉末混合体あるい
はこれにド−パントを添加した粉末混合体を常温でプレ
ス成形し、 これを大気中にて1250〜1650℃で焼
結してから更に平面研削等の機械加工を施したものが一
般に用いられる)。
【0004】しかしながら、上述のようなセラミックス
タ−ゲットを使用したスパッタリング成膜法の需要増に
伴い“スパッタリング時にタ−ゲット表面にノジュ−ル
(針状の突起物)が発生する現象”に注目がなされ、こ
れが異常放電やパ−ティクルの発生につながって作業性
低下や形成される薄膜の品質劣化を引き起こす原因にな
っているとして問題視されるようになった。
【0005】このようなことから、本発明が目的とした
のは、スパッタリング時におけるノジュ−ルの発生が少
なく、異常放電やパ−ティクルが極力生じにくいセラミ
ックススパッタリングタ−ゲットを提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、以下に示す知見
を得ることができた。即ち、粉末冶金法を経て得られる
従来のセラミックススパッタリングタ−ゲット、例えば
ITOスパッタリングタ−ゲットにおいては、次のこと
が判明している。 a) ノジュ−ルはタ−ゲットの割れた部分に沿って発生
する, b) タ−ゲットの密度が高くなると(タ−ゲット内部の
ポアサイズが小さくなり、 数も少なくなると)ノジュ−
ルは少なくなる。 従って、これらのことから、ノジュ−ルはマクロ的及び
ミクロ的なエッジ部を起点にして発生している可能性が
大きいと判断された。そのため、実際には、タ−ゲット
のスパッタ面は平面研削による最終仕上げの後に更に超
音波洗浄等を行って表面を清浄としてから使用に供する
ことがなされており、これによりノジュ−ル発生の起点
は殆ど無くなっているものと考えられたが、それでもな
おノジュ−ルの防止効果は十分に満足できるほどのもの
ではなかった。
【0007】そこで、ノジュ−ル発生の原因について更
に仔細な検討を行った結果、タ−ゲットのスパッタ面に
対し平面研削による最終仕上げの後に更に超音波洗浄等
を施して表面の清浄化を図ったとしても、微視的にはな
お“表面の凹凸の間に平面研削屑が残っている可能性”
や“表面にエッジを有する凹凸が残っている可能性”が
拭えず、この残存研磨屑等がスパッタリング時のノジュ
−ル発生の起点になっていることが指摘された。そし
て、上述のような“表面凹凸の間の平面研削屑の残存”
や“エッジを有する凹凸の残存”を無くするにはサンド
ブラスト等のブラスト処理が有効であり、表面研削後の
タ−ゲット表面をブラスト処理して中心線平均粗さRaが
特定の範囲内に入るように表面調整を行うことがノジュ
−ル及びパ−ティクルの低減に極めて効果的であること
も分かった。
【0008】また、表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値:
基準測定長Lにおける表面粗さ曲線の凹凸の平均間隔)
もノジュ−ル発生に大きく影響しており、Sm値が大きい
ほど(即ち表面粗さ曲線の山と谷の起伏数が少ないほ
ど)ノジュ−ルの防止に有効であることも明らかとなっ
た。
【0009】更に、ノジュ−ルの抑制に好ましい上記表
面性状を有するスパッタリングタ−ゲットは、粉末冶金
法により一体化し緻密化したセラミックスタ−ゲット素
材の表面を平面研削した後、この表面に対し、特に直径
500μm以下のガラスビ−ズ,アルミナビ−ズ又はジ
ルコニアビ−ズをブラスト材としたブラスト処理を施す
ことによって安定に得られることも判明したのである。
【0010】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、各々下記の事項をもって構成されるこ
とを特徴とするものである。 (1) 粉末冶金法により製造されたセラミックススパッタ
リングタ−ゲットであって、スパッタ表面の中心線平均
粗さRaが 0.1〜 3.0μmで、表面粗さ曲線の平均山間隔
(Sm値)が150μm以上であることを特徴とするスパ
ッタリングタ−ゲット。 (2) 粉末冶金法により製造されたセラミックススパッタ
リングタ−ゲットであって、前記セラミックスがITO
であり、かつスパッタ表面の中心線平均粗さRaが 0.1〜
3.0μmで、表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)が15
0μm以上であることを特徴とするスパッタリングタ−
ゲット。 (3) 粉末冶金法により製造されたセラミックススパッタ
リングタ−ゲットであって、該セラミックスがITOで
あり、かつスパッタ表面の中心線平均粗さRaが0.1 〜3.
0 μm、表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)が150μ
m以上で、しかも密度D(g/cm3) とバルク抵抗値ρ(mΩ
cm) が下記2つの式を同時に満たして成ることを特徴と
するスパッタリングタ−ゲット。 a) 6.20 ≦D≦ 7.23 b) −0.0676D+0.887 ≧ρ≧−0.0761D+0.666 。 (4) 粉末冶金法により製造されたセラミックスタ−ゲッ
ト素材のスパッタ表面に直径500μm以下のガラスビ
−ズ,アルミナビ−ズ又はジルコニアビ−ズをブラスト
材とするブラスト処理を施し、該スパッタ表面の中心線
平均表面粗さRaを 0.1〜 3.0μmに、また表面粗さ曲線
の平均山間隔(Sm値)を150μm以上の範囲に調整す
ることを特徴とする、セラミックススパッタリングタ−
ゲットの製造方法。 (5) 粉末冶金法により製造されたITOタ−ゲット素材
のスパッタ表面に直径500μm以下のガラスビ−ズ,
アルミナビ−ズ又はジルコニアビ−ズをブラスト材とす
るブラスト処理を施し、該スパッタ表面の中心線平均表
面粗さRaを 0.1〜 3.0μmに、また表面粗さ曲線の平均
山間隔(Sm値)を150μm以上の範囲に調整すること
を特徴とする、セラミックススパッタリングタ−ゲット
の製造方法。 (6) 粉末冶金法により製造された密度D(g/cm3) とバル
ク抵抗値ρ(mΩcm) が下記2つの式を同時に満たして成
るITOタ−ゲット素材のスパッタ表面に直径500μ
m以下のガラスビ−ズ,アルミナビ−ズ又はジルコニア
ビ−ズをブラスト材とするブラスト処理を施し、該スパ
ッタ表面の中心線平均表面粗さRaを 0.1〜 3.0μmに、
また表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)を150μm以
上の範囲に調整することを特徴とする、セラミックスス
パッタリングタ−ゲットの製造方法。 a) 6.20 ≦D≦ 7.23 b) −0.0676D+0.887 ≧ρ≧−0.0761D+0.666 。
【0011】以下、本発明において、セラミックススパ
ッタリングタ−ゲットのスパッタ表面の“中心線平均表
面粗さRa”及び“表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)”
や、その“密度D”並びに“バルク抵抗値ρ”、更には
セラミックススパッタリングタ−ゲットの製造条件(表
面性状の調整条件)をそれぞれ前記の如くに限定した理
由を、その作用と共に説明する。
【0012】
【作用】 A) 表面の中心線平均粗さRa 「中心線平均粗さRa」とはJISのB0601で定義さ
れる表面粗さを指すことは言うまでもないが、本発明に
係るセラミックススパッタリングタ−ゲットではスパッ
タ表面の中心線平均粗さRaは 0.1〜 3.0μmの範囲に調
整される。これは、スパッタ表面の中心線平均粗さRaを
特に 0.1〜 3.0μmの範囲に調整した場合にスパッタ時
のノジュ−ル発生量が極小となり、異常放電やパ−ティ
クルの発生を抑え得るようになるためである。なお、上
記Raが 0.1μm未満という平滑面の場合にも好結果が得
られない理由は、Raが 0.1μm未満の場合には特にタ−
ゲットの非エロ−ジョン部等に付着した膜の剥離が生じ
やすくなり、これがパ−ティクルの発生につながるため
である。
【0013】B) 表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値) 「表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)」とは、周知の如
く“表面粗さ曲線の平均線”を横切って表面粗さ曲線が
山から谷へ向かう点から次の山から谷へ向かう横断点ま
での間隔の平均値をある測定長Lの範囲で求めた値であ
り、このSm値が大きいほど山と谷の起伏数が少ないこと
になるが、該Sm値もノジュ−ルの発生量に大きく影響す
る。そして、上記Sm値が特に150μm以上の領域とな
るように調整された場合に、中心線平均粗さRaの調整と
相まってノジュ−ル発生量が著しく減少することから、
表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)を150μm以上に
調整することと定めた。なお、上記Sm値が大きいほどノ
ジュ−ルの発生量が減少する理由は、これによりノジュ
−ルの起点の数が減少することにあるものと推測され
る。
【0014】ところで、特開平4−301074号公報
にも表面を粗面化したTaスパッタリングタ−ゲットに関
する技術が開示されているが、ここで形成される粗面は
“スパッタ時にタ−ゲットから叩き出されて飛散する粒
子を補足すると共にこれが剥離するのを防止する粗さ”
のものであって、特にノジュ−ルの発生が抑えられるRa
値やSm値を示すものでないことは言うまでもない。
【0015】C) 密度及びバルク抵抗値 セラミックススパッタリングタ−ゲットがITOスパッ
タリングタ−ゲットの場合には、その製造に当って“圧
縮成形した酸化物粉末混合体の焼結”を1気圧以上の高
い酸素分圧雰囲気中で実施すると得られるタ−ゲットの
密度を7g/cm3を超える程度(理論密度の97〜99%
程度)にまで高めることができ、ノジュ−ル発生をより
一層抑える効果がもたらされる。更に、タ−ゲットのバ
ルク抵抗値もスパッタリング作業性と密接に関係してお
り、密度とバルク抵抗値が特定の領域に調整されると成
膜操作の安定性が一段と改善され、高性能ITO膜の形
成性はより一層向上する。従って、ITOスパッタリン
グタ−ゲットにおいては、その密度D及びバルク抵抗値
ρを調整することも推奨されることである。
【0016】ただ、ITOスパッタリングタ−ゲットの
密度Dが6.20g/cm3 を下回ると前記効果が十分に得られ
ず、一方、7.23g/cm3 を上回る領域にまで密度を上昇さ
せるのは「高酸素分圧雰囲気中焼結法」によっても非常
に困難で、コスト的な不利を招く。
【0017】また、ITOスパッタリングタ−ゲットの
バルク抵抗値ρはその密度Dに大きく依存する傾向があ
り、密度が高くなると急激に低下する傾向を示す。そし
て、このバルク抵抗値が低い程スパッタ時におけるア−
キングの発生が少ないので好ましいが、密度6.20〜7.23
g/cm3 の領域で ρ < −0.0761D+0.666 を達成することは「高酸素分圧雰囲気中焼結法」によっ
ても非常に困難である。一方、ITOスパッタリングタ
−ゲットのバルク抵抗値ρが ρ > −0.0676D+0.887 の領域になるとスパッタ時における異常放電の発生が多
くなって成膜操作の安定性が損なわれるばかりか、成膜
速度も不安定となってスパッタの進行に伴い成膜速度が
低下する現象が著しくなる。従って、ITOスパッタリ
ングタ−ゲットのバルク抵抗値ρは −0.0676D+0.887 ≧ ρ ≧−0.0761D+0.666 の範囲に調整するのが望ましい。
【0018】また、ITOスパッタリングタ−ゲットの
密度並びにバルク抵抗値の調整は、原料粉をプレス成形
する際のプレス圧,焼結時の雰囲気(酸素分圧),焼結
温度等を調節することによって可能である。
【0019】D) タ−ゲットの製造条件(表面性状の調
整条件) セラミックススパッタリングタ−ゲットの表面性状(Ra
値,Sm値)を前記の如くに調整するためには、粉末冶金
法(焼結)によって製造されたセラミックススパッタリ
ングタ−ゲット素材の表面を平面研削した後、そのスパ
ッタ表面を“ある程度の硬度を有すると共に表面とのコ
ンタミネ−ションを起こすことのない特定粒径のブラス
ト材”でブラスト処理する必要がある。そして、このよ
うなブラスト材としては直径500μm以下のガラスビ
−ズ,アルミナビ−ズ又はジルコニアビ−ズが好適であ
るが、ガラスビ−ズやアルミナビ−ズの場合には使用が
進むと破壊してタ−ゲットに突き刺さることが懸念され
るようになるので、耐久性の点からすればジルコニアビ
−ズを用いてブラスト処理することが好ましい。
【0020】なお、使用するブラスト材の粒径が500
μmを超えると前記所望の表面性状を実現することは難
しい。従って、ブラスト材としては粒径が500μm以
下のものを用いるが、通常は粒径が100μm以下であ
って、平均粒径50μm程度のものを用いれば良い。ま
た、ブラスト回数については、通常は1〜20回程度で
良好な結果が得られる。
【0021】このようなブラスト処理を施すことによ
り、セラミックススパッタリングタ−ゲットの表面性状
(Ra値,Sm値)を前述の如くに調整することができ、優
れたノジュ−ル抑制効果、ひいては異常放電やパ−ティ
クルの発生を抑える効果を確保できるようになる。更
に、前記ブラスト処理はタ−ゲット表面の微細な凹凸の
間に残っていた平面研削の屑をクリ−ニングするように
も作用するので、上記効果はより際立つことになる。
【0022】次に、実施例により本発明を比較例と対比
しながら説明する。
【実施例】
〔実施例1〕まず、平均粒径が2μmの酸化インジウム
粉と同じ粒度の酸化錫粉を重量比で90:10となるよ
うに均一に混合し、これに成形用バインダ−を加えてか
ら金型(165W ×520L )へ均一に充填した。続い
て、金型に充填した前記原料混合粉を油圧プレスにて8
00kg/cm2の圧力で加圧した後、更に80℃に加熱して
バインダ−中の水分を蒸発させ乾燥した。そして、引続
き、加圧焼結炉により1気圧(絶対圧)の純酸素ガス雰
囲気中にて1660℃で10時間焼結した。
【0023】次いで、得られた焼結体のスパッタ表面を
平面研削盤で研削し、更に側辺をダイヤモンドカッタ−
で切断してITOタ−ゲット素材とした。このようにし
て得られたITOタ−ゲット素材の密度は6.80g/cm3
で、バルク抵抗値は0.15 mΩcmであった。
【0024】次に、このITOタ−ゲット素材のスパッ
タ表面に直径が10〜100μmの範囲内で平均粒径が
50μmのジルコニアビ−ズをブラスト材としたブラス
ト処理を4回施して表面の調整を行い、本発明に係るI
TOスパッタリングタ−ゲット(本発明品1)を得た。
なお、得られた“本発明品1”のスパッタ表面は、中心
線平均表面粗さRaが1.8 μmで、表面粗さ曲線の平均山
間隔(Sm値)は207μmであった。
【0025】また、これとは別に、同様条件で製造した
表面研削済のITOタ−ゲット素材(密度:6.80g/cm
3 ,バルク抵抗値:0.15 mΩcm)を準備して、超音波洗
浄を行い、これを比較ITOスパッタリングタ−ゲット
(比較品1)とした。この“比較品1”のスパッタ表面
は、中心線平均表面粗さRaが 1.2μmで、表面粗さ曲線
の平均山間隔(Sm値)は124μmであった。
【0026】さて、上述のように製造された各ITOス
パッタリングタ−ゲットにつき、スパッタ時の特性経時
変化試験を実施した。この特性経時変化試験としては、
前記“本発明品1”と“比較品1”をタ−ゲットとして
用いると共に スパッタガス圧力 :0.5Pa , スパッタガス流量 :300SCCM, 酸素濃度 :1%, 漏洩磁束密度 :400Gauss , 成膜速度 :63.4〜75.3Å/min, 基板温度 :200℃ なる条件で積算電力量にて連続20WHr/cm2のスパッタ
を実施し、これを1バッチとして、バッチ毎に成膜状況
を調査すると共にタ−ゲット表面の観察を行うことを6
バッチまで繰り返す方法を実施した。ここで、途中での
タ−ゲットのクリ−ニングは行わなかった。なお、タ−
ゲットを使い込むにつれて成膜速度が低下するが、この
成膜速度が低下する分だけスパッタの投入パワ−を徐々
に上昇させて行った。
【0027】図1及び図2は成膜状況の調査結果を整理
して示すもので、図1は積算電力量と投入パワ−の関係
を、また図2は積算電力量と放電電圧の関係をそれぞれ
示している。この図1及び図2に示される結果からも、
本発明品は比較品に比べて投入パワ−が小さくて済み、
また放電電圧が低いことを確認することができる。即
ち、本発明品は低電圧スパッタを行うことが可能である
ことが分かる。
【0028】一方、積算電力量で20,40,60,8
0,100及び120WHr/cm2におけるタ−ゲットの外
観観察では、何れの時点でもノジュ−ルの発生量は“本
発明品”の方が“比較品”に比べて大幅に少なく、その
差は積算電力量が多くなるにつれてより顕著化すること
が確認されたが、次に示す“表1”並びに図3,図4は
これの裏付けとなるデ−タを整理したものである。
【0029】
【表1】
【0030】なお、上記表1は「積算電力量とノジュ−
ル被覆率,異常放電発生回数との関係」を示したもので
あるが、ここで言う“ノジュ−ル被覆率”とはスパッタ
リングタ−ゲット表面における「黒化物面積/エロ−ジ
ョン部面積」の比率を%表示したものであり、また“異
常放電発生回数”は1バッチ20時間の間に発生した異
常放電の回数を意味していて、何れも数値が大なほどノ
ジュ−ルの発生量が多かったことになる。そして、図3
は表1に示される「積算電力量とノジュ−ル被覆率との
関係」をグラフ化したものであり、図4は表1に示され
る「積算電力量と異常放電発生回数との関係」をグラフ
化したものである。
【0031】〔実施例2〕実施例1の場合と同様条件で
製造した表面研削済のITOタ−ゲット素材(密度:6.8
0g/cm3,バルク抵抗値:0.15mΩcm)を複数準備し、これ
に単なる超音波洗浄を施したり、あるいは種々条件の
“ジルコニアビ−ズをブラスト材としたブラスト処理”
を施して表面調整を行うことで、それぞれ“中心線平均
表面粗さRa”及び“表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm
値)”が異なる「本発明に係るITOスパッタリングタ
−ゲット(本発明品2〜4)」並びに「比較ITOスパ
ッタリングタ−ゲット(比較品2及び3)を得た。
【0032】次に、これら各スパッタリングタ−ゲット
を用いると共に スパッタガス圧力 :0.5Pa , スパッタガス流量 :300SCCM, 酸素濃度 :1%, 漏洩磁束密度 :400Gauss , 成膜速度 :63.4〜75.3Å/min, 基板温度 :200℃ なる条件で積算電力量にて連続100WHr/cm2のスパッ
タを実施した後、各タ−ゲットにつき外観観察を行って
ノジュ−ルの発生量(ノジュ−ル被覆率)を調査した。
この結果を整理し、実施例1における本発明品1及び比
較品1の調査結果と共に表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示される結果からも、 「表面の中心
線平均粗さRa及び表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値) が
本発明の規定条件を満たす本発明品」 は 「RaあるいはSm
値が本発明の規定条件から外れている比較品」 に比べて
ノジュ−ルの発生量が大幅に少ないことが分かる。
【0035】ところで、これら実施例ではITOスパッ
タリングタ−ゲットに関する結果のみを示したが、本発
明に従えばITOスパッタリングタ−ゲットに限らずセ
ラミックススパッタリングタ−ゲット一般(例えばZnO
・ Al23 等)にも同様の効果が得られることは確認済
である。
【0036】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、スパッタ時のノジュ−ル発生量が少なくて異常放電
やパ−ティクル発生も極力抑えられたスパッタ性能の優
れたセラミックススパッタリングタ−ゲットを提供する
ことが可能となり、該タ−ゲットを用いれば基板上に品
質の優れたセラミックス薄膜を作業性良く安定形成する
ことができるなど、産業上極めて有用な効果がもたらさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積算電力量と投入パワ−の関係を“本発明IT
Oスパッタリングタ−ゲット”と“比較ITOスパッタ
リングタ−ゲット”とで対比したグラフである。
【図2】積算電力量と放電電圧の関係を“本発明ITO
スパッタリングタ−ゲット”と“比較ITOスパッタリ
ングタ−ゲット”とで対比したグラフである。
【図3】積算電力量とノジュ−ル被覆率との関係を示す
グラフである。
【図4】積算電力量と異常放電発生回数との関係を示す
グラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末冶金法により製造されたセラミック
    ススパッタリングタ−ゲットであって、スパッタ表面の
    中心線平均粗さRaが 0.1〜 3.0μmで、表面粗さ曲線の
    平均山間隔(Sm値)が150μm以上であることを特徴
    とするスパッタリングタ−ゲット。
  2. 【請求項2】 粉末冶金法により製造されたセラミック
    ススパッタリングタ−ゲットであって、前記セラミック
    スがITOであり、かつスパッタ表面の中心線平均粗さ
    Raが 0.1〜 3.0μmで、表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm
    値)が150μm以上であることを特徴とするスパッタ
    リングタ−ゲット。
  3. 【請求項3】 粉末冶金法により製造されたセラミック
    ススパッタリングタ−ゲットであって、該セラミックス
    がITOであり、かつスパッタ表面の中心線平均粗さRa
    が 0.1〜 3.0μm、表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)
    が150μm以上で、しかも密度D(g/cm3) とバルク抵
    抗値ρ(mΩcm) が下記2つの式を同時に満たして成るこ
    とを特徴とするスパッタリングタ−ゲット。 a) 6.20 ≦D≦ 7.23 b) −0.0676D+0.887 ≧ρ≧−0.0761D+0.666
  4. 【請求項4】 粉末冶金法により製造されたセラミック
    スタ−ゲット素材のスパッタ表面に直径500μm以下
    のガラスビ−ズ,アルミナビ−ズ又はジルコニアビ−ズ
    をブラスト材とするブラスト処理を施し、該スパッタ表
    面の中心線平均表面粗さRaを 0.1〜 3.0μmに、また表
    面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)を150μm以上の範
    囲に調整することを特徴とする、セラミックススパッタ
    リングタ−ゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】 粉末冶金法により製造されたITOタ−
    ゲット素材のスパッタ表面に直径500μm以下のガラ
    スビ−ズ,アルミナビ−ズ又はジルコニアビ−ズをブラ
    スト材とするブラスト処理を施し、該スパッタ表面の中
    心線平均表面粗さRaを 0.1〜 3.0μmに、また表面粗さ
    曲線の平均山間隔(Sm値)を150μm以上の範囲に調
    整することを特徴とする、セラミックススパッタリング
    タ−ゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】 粉末冶金法により製造された密度D(g/c
    m3) とバルク抵抗値ρ(mΩcm) が下記2つの式を同時に
    満たして成るITOタ−ゲット素材のスパッタ表面に直
    径500μm以下のガラスビ−ズ,アルミナビ−ズ又は
    ジルコニアビ−ズをブラスト材とするブラスト処理を施
    し、該スパッタ表面の中心線平均表面粗さRaを 0.1〜
    3.0μmに、また表面粗さ曲線の平均山間隔(Sm値)を
    150μm以上の範囲に調整することを特徴とする、セ
    ラミックススパッタリングタ−ゲットの製造方法。 a) 6.20 ≦D≦ 7.23 b) −0.0676D+0.887 ≧ρ≧−0.0761D+0.666
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