JPH0896825A - 燃料電池発電装置 - Google Patents

燃料電池発電装置

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JPH0896825A
JPH0896825A JP6233190A JP23319094A JPH0896825A JP H0896825 A JPH0896825 A JP H0896825A JP 6233190 A JP6233190 A JP 6233190A JP 23319094 A JP23319094 A JP 23319094A JP H0896825 A JPH0896825 A JP H0896825A
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JP
Japan
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fuel cell
reaction gas
fuel
voltage
time
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JP6233190A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Aoki
努 青木
Takeshi Kuwabara
武 桑原
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、反応ガスの拡散不良による電池特性
劣化の加速度化を防止し、電池の特性劣化を極力抑える
ことができるように最適な反応ガス利用率で運転する。 【構成】燃料電池10の負荷電流及び電圧を測定機器1
6により測定し、これら測定された負荷電流及び電圧を
運転時間に対応させて経時変化として記録し、この経時
変化と燃料電池10の触媒自身の劣化による経時変化と
を比較して燃料電池10の状態を記録評価装置17によ
り評価し、この評価結果に応じて流量制御装置18によ
り燃料又は空気の流量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池本体を安定に
かつ信頼性高く運転するための燃料電池発電装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料の有している化学的エ
ネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。
この燃料電池の構造は、通常電解質を挟んで一対の多孔
質電極を配置している。その電気出力の取り出し方法
は、一対の電極のうち一方の電極に水素等の気体燃料を
接触させ、他方の電極に酸素等の酸化剤を接触させるこ
とによって起こる電気化学的反応により、一対の電極間
から電気エネルギーを取り出すようにしている。
【0003】なお、燃料電池から電気エネルギーを得る
のに必要な燃料及び酸化剤のことを総称して反応ガスと
称することにする。一対の電極により挟まれた電解質と
しては、溶融炭酸塩、アルカリ溶液、酸性溶液、高分子
膜等があるが、燃料電池として代表的なリン酸を電解質
とする燃料電池の原理を説明する。
【0004】図6は燃料電池を構成する単位電池の構成
図である。電解質層は、マトリックス層1と称し、繊維
質シート又はシリコンカーバイド等の鉱物質粉末をポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)に代表される結着
剤を使って成形されたものである。
【0005】このマトリックス層1は、1ミクロン以下
から凡そ10ミクロンに及ぶ孔から成る多孔質体で、電
解質であるリン酸を保持する機能を果たす。アノード極
2及びカソード極3は、炭素質の多孔性電極である。こ
れらアノード極2及びカソード極3は、反応に必要な反
応ガスを電極内に効率よく拡散させるために多孔質構造
を有している。
【0006】又、これらこれらアノード極2及びカソー
ド極3は、反応を促進するための触媒を有しており、マ
トリックス層1に接する面に、通常カーボン粉末を白金
を担持した触媒を塗布して触媒層4、5が形成されてい
る。
【0007】燃料電池の反応には、反応ガス、電解質、
触媒の3つが必要である。各触媒層4、5内では、反応
ガスとリン酸と触媒の気、液、固からなる通称三相界面
が形成され、燃料電池に必要な電気化学的な反応はここ
で進行する。
【0008】燃料流路6は水素を含む反応ガスの経路と
なる溝であり、空気流路7は酸化剤の経路となる溝であ
る。燃料又は酸化剤は、それぞれの流路6、7を流れ、
多孔質構造の各電極2、3内を拡散し、各触媒層4、5
内に形成された三相界面に到達して反応が進行する。
【0009】燃料中の水素は、アノード極2の空孔内を
拡散して、アノード側の触媒層4内に形成された三相界
面に達する。ここで、水素ガスは、水素イオンと電子に
触媒の作用で解離する。
【0010】反応式は、 H2 →2H+ +2e …(1) である。
【0011】水素イオンは、リン酸を保持したマトリッ
クス層1中を移動し、カソード極3側の触媒層5内に形
成された三相界面に達する。一方、水素ガスの解離によ
り分離した電子は、アノード極2から外部回路を流れ、
電力負荷を通って仕事をし、カソード極3内の三相界面
に到達する。
【0012】カソード極3側の触媒層5内に形成された
三相界面では、アノード極2からマトリックス層1中を
通って移動してきた水素イオンと、酸化剤として空気流
路7からカソード極3内を拡散してきた酸素と、外部回
路で仕事をしてきた電子の三者が、カソード極3側の触
媒層5内に形成された三相界面で、 4H+4e+O2 →2H2 O …(2) の反応が進む。
【0013】かくして、水素が酸化されて水になる反応
と、このときの化学的エネルギーが電気エネルギーに変
換され、電池として、外部の電気負荷中で電気エネルギ
ーを与える全反応が完成する。
【0014】通常、燃料電池は、上記の単位電池を複数
積層して構成されている。通常この電池積層体をスタッ
クと称している。積層するに際して、単位電池は、各単
位電池間の電気的接続経路を確保すると共に、燃料流路
6と空気流路7とを分離するためのセパレータが必要と
なる。
【0015】このセパレータは、一般に炭素材からなる
薄いガス不透過性の平板であるが、電池構造によって
は、セパレータに溝を有するもの、セパレータにリン酸
を蓄える機能を有するもの、及びその両方を兼ね備えて
いるものである。
【0016】これらは、燃料電池の長寿命化を考慮した
構造の違いによるものである。スタックには、燃料流路
6及び空気流路7のそれぞれに反応ガスを流すためのガ
スマニホールドが取り付けられ、各々の反応ガスを各単
位電池全てに均等に供給できる構造となっている。
【0017】又、燃料、空気がその流路6、7を有する
各電極2、3のエッジ部から漏れて、お互いに混合する
のを防止するために、各電極2、3のエッジ部には、エ
ッジシールと称する各ガスシール8、9が備えられてい
る。
【0018】燃料電池発電装置では、通常スタックに供
給される反応ガスは、発電に必要な理論反応ガス量より
も多く流す。発電に必要な理論反応ガス量を、実際にス
タックに供給するガス量で除算した値を反応ガス利用率
という。
【0019】燃料電池発電装置では、この余計に流す反
応ガスの量が少ない程、すなわち反応ガス利用率の高い
程、効率の高い装置となる。電池性能面からは、アノー
ド極2又はカソード極3の燃料又は空気の拡散性を高め
ることによって反応ガス利用率の向上が高められる。
【0020】一方、運転面からは、常圧よりも加圧した
方が、反応ガスの分圧が上がり、高い反応ガス利用率で
の運転が可能となる。このように一般には、発電装置の
性能からスタックの反応ガス利用率が定められて運転さ
れている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】燃料電池の電気的出力
効率は、電池の出力電圧の性能にもよるが、反応ガスの
利用率にもよる。この反応ガス利用率の高い程、電池の
効率も高くなる。ところで、燃料電池の反応は、触媒の
細孔を拡散してきた反応ガスが、触媒層4、5内の三相
界面で進む。
【0022】すなわち、反応点まで反応ガスが到達する
ためには、細孔内の拡散、リン酸への溶解、リン酸中の
拡散が必要であり、実際の三相界面は、触媒層4、5の
表面を覆った電解質膜と触媒の界面にある。
【0023】これは、反応ガスがリン酸に溶解する性質
を持っているためで、これによって本来の気体、液体、
固体からなる三相界面より大きな反応界面を持つことが
でき、優れた反応性を発揮することができる。
【0024】ところで、電解質であるリン酸は液体で、
アノード極2及びカソード極3は小さな孔からなる多孔
質体である。一般に、液体は小さな孔に浸透していく性
質を持っている。この浸透に働く力を毛管力という。こ
の毛管力は、小さな孔ほど強く、引き付ける力も大きい
が、その反面、小さな孔ほど浸透に時間を要する性質も
ある。
【0025】各触媒層4、5は、その際孔内に電解質が
余計に入らないように、液体をはじく撥水処理が施され
ている。各触媒層4、5は、この撥水性によって良好な
ガス拡散性を維持している。
【0026】一方、各触媒層4、5内では、三相界面を
大きくとることが反応促進のために要求されている。す
なわち、適量のリン酸浸透により、より大きな三相界面
を形成することが求められている。よって、リン酸を受
付けないほどの撥水性を各触媒層4、5に備えさせるわ
けにはいかない。
【0027】現在は、適度なリン酸による濡れ性をもっ
た触媒層4、5が開発され、触媒の能力を十分に引き出
せるようになっている。しかし、適度な濡れ性を維持
し、触媒のもつ能力を引き出し続けることのできね触媒
層4、5の開発まで至っていない。すなわち、触媒層
4、5は、適度な濡れ性を要求されているために、燃料
電池の運転とともに毛管力によるリン酸の浸透を許し、
触媒層4、5内の細孔がリン酸で埋まっていく。
【0028】図7は典型的な燃料電池の経時的な特性低
下曲線を示す。電池電圧の低下には、大きく分けて2つ
の要因がある。その1つは触媒自身の活性低下であり、
他の1つは触媒の濡れ進行による反応ガスの拡散不良に
伴う特性低下である。
【0029】触媒層4、5において細孔は、前述したよ
うに反応ガスの拡散のために欠かせない孔である。反応
ガスの拡散性は、ガス状で反応点に進むのに比べ、溶解
して、液相内を拡散する方が、遥かに劣る。
【0030】これは、液相に溶解できるガス量は、ヘン
リーの法則に示されるように気相における溶解ガスの分
圧によって制限されている。言い換えると、前述した反
応ガスが反応点へ到達するまでの過程で、反応ガスのリ
ン酸への溶解及び拡散が全拡散速度を決めることにな
る。
【0031】従って、触媒相4、5の細孔がリン酸で埋
まることによって拡散不良となる。反応ガスは、リン酸
に溶解して拡散するため、拡散速度が抑えられる。とこ
ろで、この反応ガスの拡散不良は、燃料電池発電装置の
運転初期から発生するものでない。図7に示すように運
転を開始してから暫くは、触媒自身の劣化に伴う特性低
下が電池電圧の低下となる時間領域が続く。
【0032】しかし、燃料電池発電装置の運転が進むに
つれて、反応ガス拡散不良が進行し、電池特性に影響を
及ぼすようになる。よって、暫く運転すると、触媒自身
の劣化と反応ガス拡散不良進行に伴う特性低下が合さっ
た電池電圧の低下が進む電圧低下領域に入る。
【0033】この反応ガス拡散不良による電圧低下に影
響が現れ出すまでの運転時間は、電池の仕様、運転方法
によって異なり、この間の発生時間を精度高く予測する
ことは困難である。
【0034】燃料電池から電気エネルギーを取り出すた
めに負荷をとると、熱力学的に計算できる論理電圧から
電池の電気抵抗による損失の抵抗分極、触媒活性による
反応速度や反応量の大きさに起因する損失の活性分極、
反応ガスが反応点にまで至る拡散速度に起因する損失の
拡散分極により、電池の電圧は低下する。
【0035】抵抗分極の大きさは、電解質の厚さ等の電
池構造によって決まる。又、拡散分極の大きさは、反応
ガスが触媒層4、5内の細孔等の拡散経路を拡散して、
反応点までの速さ、反応ガス量によって決まる。
【0036】今、前述した如く、初期的に十分な拡散経
路を有する触媒層4、5も、運転に伴い毛管力によるリ
ン酸浸透を許し、触媒層4、5内細孔がリン酸で埋ま
り、反応ガスの経路が閉塞されることによって、反応点
まで到達する単位時間当りの反応ガス量が減少して、拡
散分極が増大する。
【0037】これにより、電池の理論電圧からの電圧損
が増え、同一の負荷でも出力電圧が下がることになる。
今、燃料電池発電装置では、目標の電池出力を得るよう
な出力制御が採用されている。この出力制御とは、電池
の出力、すなわち発電装置から取り出されている電流と
電圧との積が一定となるように運転制御することであ
る。
【0038】この制御方式では、ある電流で得ていた出
力が、電池内の損失が大きくなって、その電流で当初の
出力が得られなくなった場合、電流を増加して、電流と
電圧との積を当初の値になるようにして出力を維持して
いる。
【0039】従って、電池は、運転に伴い劣化が進ん
で、電圧が低下していく場合、同じ電池出力を得るにも
徐々に電流を多く取るような制御がなされる。電池の電
流を増加すると、この増加した電流に伴い反応ガスの反
応点への拡散量も増加することが要求される。
【0040】従って、より多くの反応ガスが触媒層4、
5の細孔を通過し、反応点、すなわち三相界面に到達さ
れなければならない。しかし、触媒層4、5は、電池の
運転と共に、前述したように細孔がリン酸で埋まり、反
応ガスの拡散疎外が進行する。
【0041】負荷の増加と、それに伴う必要反応ガスの
増加及び触媒層4、5内のガス拡散性の低下により、ア
ノード極2及びカソード極3の一部で、反応ガスの不足
が発生する。
【0042】この反応ガスの不足は、電池の電圧を著し
く低下させるばかりか、反応ガスの濃度の高い、特に酸
素濃度の高い空気入り口部に電流が集中して温度が上昇
したり、燃料不足による電解質内のプロトン不足を発生
させる。
【0043】特にプロトン不足は、電池の構成材料であ
るカーボンを C+2H2 O→CO2 +4H+4e …(3) の反応で電食させることもある。
【0044】このような現象は、電池の運転に伴い、電
池特性の低下を加速するばかりでなく、反応ガスリーク
を誘発するなどの安全性が疎外される要因となる。従っ
て、反応ガスの拡散性不良を放置して、反応ガス利用率
を一定にした条件で電池の運転を続けると、電池の特性
低下を加速するばかりか、電池を破損する危険性を持っ
ている。
【0045】そこで本発明は、反応ガスの拡散不良によ
る電池特性劣化の加速度化を防止し、電池の特性劣化を
極力抑えることができるように最適な反応ガス利用率で
運転ができる燃料電池発電装置を提供することを目的と
する。
【0046】
【課題を解決するための手段】請求項1によれば、水素
を含む燃料と酸化剤とを燃料電池に供給して電気出力に
変換する燃料電池発電装置において、燃料電池の負荷電
流及び電圧を測定する測定手段と、この測定手段により
測定された負荷電流及び電圧を運転時間に対応させて経
時変化として記録し、この経時変化と燃料電池の健全な
電池出力経時変化とを比較して燃料電池の状態を評価す
る記録評価手段と、この記録評価手段の評価結果に応じ
て燃料又は酸化剤のうち少なくとも一方の流量を制御す
る流量制御手段と、を備えて上記目的を達成しようとす
る燃料電池発電装置である。
【0047】請求項2によれば、記録評価手段は、燃料
電池の停止前と再起動後とにおける経時変化を記録し、
この経時変化と燃料電池の健全な電池出力経時変化とを
比較して燃料電池の状態を評価する機能を有する。
【0048】請求項3によれば、水素を含む燃料と酸化
剤とを燃料電池に供給して電気出力に変換する燃料電池
発電装置において、燃料電池の負荷電流、電圧、電池冷
却水温度、反応ガス利用率を測定又は算出して燃料電池
の情報を得る測定演算手段と、この測定演算手段により
得られた燃料電池の情報を規格化するデータ規格化手段
と、このデータ規格化手段により規格化されたデータを
燃料電池の経時変化として記録するデータ記録手段と、
このデータ記録手段に記録された燃料電池の経時変化と
燃料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して燃料電
池の状態を評価する記録評価手段と、この記録評価手段
の診断結果に応じて燃料又は酸化剤のうち少なくとも一
方の流量を制御する流量制御手段と、を備えて上記目的
を達成しようとする燃料電池発電装置である。
【0049】請求項4によれば、水素を含む燃料と酸化
剤とを燃料電池に供給して電気出力に変換する燃料電池
発電装置において、燃料電池の負荷電流の異なる所望の
2点の電圧を測定する測定手段と、この測定手段により
測定された燃料電池の負荷電流の異なる所望の2点の電
圧を受け、これら負荷電流に対する電圧の傾きの経時変
化により燃料電池の劣化を判定する記録評価手段と、こ
の記録評価手段の評価結果に応じて燃料又は空気の各流
量を制御する流量制御手段とを備えて上記目的を達成し
ようとする燃料電池発電装置である。
【0050】請求項5によれば、水素を含む燃料と酸化
剤とを燃料電池に供給して電気出力に変換する燃料電池
発電装置において、燃料電池の負荷電流及び電圧を測定
する測定手段と、この測定手段により測定された負荷電
流に応じて、予め測定された各電流の三相界面へ燃料又
は酸化剤を供給できなくなる限界反応ガス利用率よりも
若干小さい反応ガス利用率に燃料又は酸化剤のうち少な
くとも一方の流量を制御する適性反応ガス利用率制御手
段と、を備えて上記目的を達成しようとする燃料電池発
電装置である。
【0051】
【作用】請求項1によれば、燃料電池の負荷電流及び電
圧を測定し、この測定された負荷電流及び電圧を運転時
間に対応させて経時変化として記録し、この経時変化と
燃料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して燃料電
池の状態を評価し、この評価結果に応じて燃料又は酸化
剤のうち少なくとも一方の流量を制御する。すなわち、
燃料電池の負荷電流及び電圧の測定により燃料電池の劣
化状態、運転状態を検知し、燃料電池に供給する燃料又
は酸化剤の反応ガス量を燃料電池の状況に適した量に調
整することによって、燃料電池の特性の安定化をはか
る。
【0052】請求項2によれば、燃料電池の停止前と再
起動後とにおける経時変化を記録し、この経時変化と燃
料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して燃料電池
の状態を評価することにより、燃料電池の起動停止によ
って電池電圧が低下したか否かを、燃料電池の停止前と
再起動後との電池特性の比較により判断でき、前運転か
らの特性上の連続評価ができるように補正できる。
【0053】請求項3によれば、燃料電池の負荷電流、
電圧、電池冷却水温度、反応ガス利用率を測定又は算出
し、これら燃料電池の情報を規格化し、燃料電池の経時
変化として記録し、この経時変化と燃料電池の健全な電
池出力経時変化とを比較して燃料電池の状態を評価し、
この評価結果に応じて燃料又は酸化剤のうち少なくとも
一方の流量を制御する。これにより、常に一定の条件で
発電を行えない場合に、ことなる電流、運転条件の間
で、燃料電池の特性劣化状況を評価することができる。
【0054】請求項4によれば、燃料電池の負荷電流の
異なる所望の2点の電圧を捉え、各負荷電流に対する電
圧の傾きの経時変化により燃料電池の劣化を捕らえて燃
料電池の評価を行うことにより、燃料電池の状況を評価
するに、電流の規格化が不要で、燃料電池の漏れによる
劣化を判定できる。
【0055】請求項5によれば、燃料電池の負荷電流及
び電圧を測定し、これら測定された負荷電流に応じて、
予め測定された各電流の三相界面へ燃料又は酸化剤を供
給できなくなる限界反応ガス利用率よりも若干小さい反
応ガス利用率に燃料又は酸化剤のうち少なくとも一方の
流量を制御する。これにより、負荷電流によって採用さ
れている反応ガス利用率に幅を持たせることができ、各
負荷電流における反応ガス利用率の影響の感度が異なる
ことに対応できる。
【0056】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例について図面を
参照して説明する。図1は燃料電池発電装置の構成図で
ある。燃料電池10は、電解質を挟んで一対の多孔質電
極を配置し、これら一対の電極のうち一方の電極に水素
等の気体燃料を接触させ、他方の電極に酸素等の酸化
剤、例えば空気を接触させることによって起こる電気化
学的反応により、一対の電極間から電気エネルギーを取
り出すものである。
【0057】なお、燃料電池10から電気エネルギーを
得るのに必要な燃料及び酸化剤のことを総称して上記の
如く反応ガスと称している。又、この燃料電池10に
は、インバータ11が接続されている。
【0058】この燃料電池10に対して燃料の供給ライ
ン12、空気の供給ライン13には、それぞれ流量調節
弁14、15が設けられている。一方、測定機器16
は、燃料電池10の負荷電流及びそのときの電圧を測定
する機能を有している。
【0059】記録評価装置17は、測定機器16により
測定された燃料電池10の負荷電流及びそのときの電圧
の電圧を受け、これら負荷電流及び電圧を燃料電池10
の運転時間に対応させて経時変化として記録し、この経
時変化と予め記憶されている燃料電池10の健全な電池
出力経時変化、すなわち燃料電池10の触媒自身の劣化
による経時変化とを比較して燃料電池10の状態を評価
する機能を有している。
【0060】流量制御装置18は、記録評価装置17の
評価結果に応じて燃料又は空気の各流量調節弁14、1
5のうち少なくとも一方の流量調節弁14又は15を制
御する機能を有している。
【0061】なお、この燃料電池発電装置は、発電運転
するために、反応ガスを送り出すためのコンプレッサ
ー、ブロワー、燃料改質器といった補機が備えられてい
る。これら補機は、通常高発電効率を維持する面からも
必要以上の容量を持っていない。それでも、所定の運転
時間までの目標発電効率の確保に加え、燃料田地10の
劣化を予測して電池寿命末期における定格出力の維持が
できる設計が要求される。
【0062】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。流量制御装置18は、各流量調節弁1
4、15の開度を制御することにより燃料電池10に供
給する燃料及び空気の反応ガス量を所定流量に設定す
る。すなわち、燃料電池10に供給する反応ガス量は、
燃料電池10の出力に応じ、所定の反応ガス利用率に設
定されている。
【0063】このように燃料電池10に燃料及び空気の
反応ガスが供給されると、燃料電池10は、一方の電極
に水素等の気体燃料を接触させ、他方の電極に酸素等の
空気を接触させることによって起こる電気化学的反応に
より、一対の電極間から電気エネルギーを得る。
【0064】この状態に、測定機器16は、燃料電池1
0の負荷電流値及びそのときの電圧値を測定して記録評
価装置17に伝達する。この記録評価装置17は、測定
機器16から伝達してきた燃料電池10の負荷電流値及
びそのときの電圧値を受け、これら負荷電流値及び電圧
値を燃料電池10の運転時間に対応させて経時変化とし
て記録する。
【0065】この記録評価装置17は、記録した経時変
化と予め記憶されている燃料電池10の触媒自身の劣化
による経時変化とを比較し、燃料電池10の特性が触媒
自身の劣化からずれていないかを監視する。
【0066】ところで、図2は反応ガス利用率と燃料電
池電圧との関係を示す図である。拡散不良が燃料電池1
0の電圧に与える影響を詳細に説明すると、反応ガス利
用率を上げると、反応ガスの拡散性の低下によって燃料
電池電圧が低下する。
【0067】かくして、燃料電池10の劣化が進み、反
応ガスの拡散不良が発生して特性の低下が起こると、初
期の電池電圧の反応ガス応答性に比べ、より低い反応ガ
ス利用率で大きな電圧低下を示す特性低下後カーブとな
る。
【0068】例えば、反応ガス利用率80%で運転して
いる燃料電池発電装置の燃料電池10の電圧が、反応ガ
ス拡散不良による特性低下に伴って電池電圧が下がった
燃料電池10で初期電圧を維持するためには、燃料電池
10への供給ガス量を増加し、反応ガスの利用率を下げ
た70%強で運転すればよい。
【0069】すなわち、反応ガスの拡散不良による特性
低下は、反応ガス利用率を調整することによって、燃料
電池10の電圧が維持できることになる。従って、流量
制御装置18は、記録評価装置17の評価結果に応じて
燃料又は空気の各流量調節弁14、15のうち少なくと
も一方の流量調節弁14又は15の開度を制御してこれ
ら燃料又は空気の流量を調節する。
【0070】具体的に説明すると、記録評価装置17に
よる評価の結果、燃料電池10の電圧低下が、触媒自身
の劣化による電圧低下曲線にのっている場合は、予め初
期の設計で定められた反応ガス利用率となるように、各
流量調節弁14、15を動作させて運転を行う。
【0071】燃料電池10の実際の電圧低下を監視し、
触媒自身の電圧低下からずれて、低下量が大きくなりだ
したときに、流量制御装置18は、燃料電池10の電池
電圧が予め定められた触媒自身の電圧劣化曲線上にのる
ように、各流量調節弁14、15を動作させて燃料電池
10への反応ガス供給量を増加する。
【0072】すなわち、反応ガス利用率を燃料電池10
の劣化状況に合わせて低下させる。このように上記第1
の実施例においては、燃料電池10の負荷電流及び電圧
を測定し、これら測定された負荷電流及び電圧を運転時
間に対応させて経時変化として記録し、この経時変化と
燃料電池10の触媒自身の劣化による経時変化とを比較
して燃料電池10の状態を評価し、この評価結果に応じ
て燃料又は空気の流量を制御するようにしたので、燃料
電池10の電池電圧低下の状況を燃料電池発電装置を運
転しながら監視でき、反応ガスの拡散不良が発生したこ
とをいち速く検知することができる。
【0073】そして、反応ガスを増加させることによっ
て、反応ガスの拡散不良による燃料電池10の負荷の局
部集中を防止でき、電極面全体を活用した発電反応を維
持させることができる。
【0074】一方、反応ガス量を増加させることにより
燃料電池10の出力電圧を上げることができ、燃料電池
10の負荷電流を上げることなく、燃料電池10の出力
を維持することができる。
【0075】従って、燃料電池10は経時的に劣化が進
み、上記の如く触媒層内の反応ガスの拡散不良による特
性劣化が始まる。これを放置すると、燃料電池負荷の局
部集中が発生し、劣化進行が加速化され、燃料電池10
の腐食による破損の危機も出てくる。
【0076】燃料電池10の劣化が進み、反応ガスの拡
散不良が発生している状態に運転し、所定の発電出力を
燃料電池10への供給反応ガス量の増加によって維持す
ることによって、負荷の上昇を不要とし、燃料電池10
の局所的な劣化を防止できる。
【0077】このように燃料電池10の経時変化を捕ら
え、燃料電池10の状態を検知して触媒層内の反応ガス
拡散性に応じて電池反応に携わる三相海面に、反応に必
要な反応ガスを速やかに到達させることのできるような
適性な反応ガス利用率で運転できて、燃料電池10の特
性の安定化が図れる。
【0078】次に本発明の第2の実施例について説明す
る。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳
しい説明は省略する。記録評価装置17は、燃料電池1
0の停止前と再起動後とにおける経時変化を記録し、こ
の経時変化と燃料電池10の触媒自身の劣化による経時
変化とを比較して燃料電池10の状態を評価する機能を
有するものとする。
【0079】すなわち、時として、燃料電池10は、そ
の起動停止によって特性の低下が見られる場合がある。
この特性の低下は、連続した所定の運転時間における燃
料電池10の電圧低下によって診断、評価するのがよい
場合がある。
【0080】又、燃料電池10の起動停止によって電池
電圧が低下したか否かを、停止前と再起動後の電池特性
の比較で判断させて、前運転からの特性上の連続評価が
できるように補正する必要のある場合もでてくる。
【0081】従って、記録評価装置17において、燃料
電池10の停止前と再起動後とにおける経時変化を記録
し、この経時変化と燃料電池10の健全な電池出力経時
変化とを比較して燃料電池10の状態を評価することに
より、燃料電池10の起動停止によって電池電圧が低下
したか否かを、燃料電池10の停止前と再起動後との電
池特性の比較により判断でき、前運転からの特性上の連
続評価ができるように補正できる。
【0082】次に本発明の第3の実施例について説明す
る。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳
しい説明は省略する。図3は燃料電池発電装置の記録評
価系の構成図である。
【0083】測定機器20は、燃料電池10の負荷電流
I、電圧V、電池冷却水温度T、さらには燃料流量及び
空気流量を測定し、かつこれら燃料流量及び空気流量に
基づいて反応ガス利用率を算出して燃料電池10の情報
を得る機能を有している。
【0084】データ規格化装置21は、この測定機器2
0により得られた燃料電池10の負荷電流I電圧V、電
池冷却水温度T、反応ガス利用率の情報を所定の温度電
流、反応ガス利用率に換算してデータの規格化を行う機
能を有している。
【0085】データ記録装置22は、データ規格化装置
21により規格化されたデータを、燃料電池10の経時
変化として記録する機能を有している。そして、このデ
ータ記録装置22に記録された燃料電池の経時変化と燃
料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して燃料電池
の状態を評価する評価装置、及びこの評価装置の評価結
果に応じて各流量調節弁14、15を制御する流量制御
装置が備えられている。
【0086】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。燃料電池10に所定流量の燃料及び空気
が供給されて燃料電池10の一対の電極間から電気エネ
ルギーが得られている状態に、測定機器20は、燃料電
池10の負荷電流I、電圧V、電池冷却水温度T、さら
には燃料流量及び空気流量を測定し、かつこれら燃料流
量及び空気流量に基づいて反応ガス利用率を算出して燃
料電池10の情報を得る。
【0087】このように燃料電池10の負荷電流I、電
圧V、電池冷却水温度Tを測定し、かつ反応ガス利用率
を得るのは、燃料電池の運転状況はその必要性に応じて
異なる場合が多く、燃料電池10の監視精度を高めるた
めに行う。
【0088】この測定機器20により測定された燃料電
池10の負荷電流I、電圧V、電池冷却水温度T、さら
に算出された反応ガス利用率は、データ規格化装置21
に伝達される。
【0089】このデータ規格化装置21は、測定機器2
0により得られた燃料電池10の負荷電流I電圧V、電
池冷却水温度T、反応ガス利用率の情報を所定の温度電
流、反応ガス利用率に換算してデータの規格化を行う。
【0090】データ記録装置22は、データ規格化装置
21により規格化されたデータを、燃料電池10の経時
変化として記録する。そして、このデータ記録装置22
に記録された燃料電池10の経時変化と燃料電池の健全
な電池出力経時変化との比較により燃料電池10の状態
が評価され、この評価結果に応じて各流量調節弁14、
15の開度が制御される。
【0091】すなわち、燃料電池10の電圧低下が、触
媒自身の劣化による電圧低下曲線にのっている場合は、
予め初期の設計で定められた反応ガス利用率となるよう
に、各流量調節弁14、15を動作させて運転を行う。
【0092】燃料電池10の実際の電圧低下を監視し、
触媒自身の電圧低下からずれて、低下量が大きくなりだ
したときに、流量制御装置は、燃料電池10の電池電圧
が予め定められた触媒自身の電圧劣化曲線上にのるよう
に、各流量調節弁14、15を動作させて燃料電池10
への反応ガス供給量を増加する。
【0093】このように上記第3の実施例においては、
燃料電池10の負荷電流、電圧、電池冷却水温度、反応
ガス利用率を測定又は算出し、これら燃料電池10の情
報を規格化し、燃料電池10の経時変化として記録し、
この経時変化と燃料電池10の健全な電池出力経時変化
とを比較して燃料電池10の状態を評価し、この評価結
果に応じて燃料及び空気の流量を制御するようにしたの
で、常に一定の条件で発電を行えない場合に、異なる電
流、運転条件の間で、燃料電池10の特性の劣化の状況
を診断することができる。
【0094】燃料電池10の経時的特性変化を測定の規
格化ではなく、データを規格化することによって、反応
ガス量を増加させて燃料電池10の特性加速化の防止に
入るタイミングを捕らえるのが容易にできる。
【0095】従って、燃料電池10の経時変化を燃料電
池10の運転に影響を与えることなく燃料電池10の状
態を捕らえることができ、これによって、検知された燃
料電池10の状態、すなわち触媒層内の反応ガス拡散性
に応じて電池反応に携わる三相界面に、反応に必要な反
応ガスを速やかに到達させることのできる適性な反応ガ
ス利用率で運転できる。
【0096】次に本発明の第4の実施例について説明す
る。図4は燃料電池発電装置の構成図である。測定機器
30は、燃料電池10の負荷電流の異なる所望の2点の
電圧を測定する機能を有している。
【0097】評価装置31は、測定機器30により測定
された燃料電池10の負荷電流の異なる所望の2点の電
圧を受け、これら負荷電流に対する電圧の傾きの経時変
化により燃料電池10の劣化を判定する機能を有するも
のとする。
【0098】流量制御装置32は、評価装置31の評価
結果に応じて燃料又は空気の各流量調節弁14、15の
うち少なくとも一方の流量調節弁14又は15を制御す
る機能を有している。
【0099】このような構成であれば、測定機器30
は、燃料電池10の負荷電流の異なる所望の2点の電圧
を測定して評価装置31に伝達する。この評価装置31
は、測定機器30により測定された燃料電池10の負荷
電流の異なる所望の2点の電圧を受け、これら負荷電流
に対する電圧の傾きの経時変化により燃料電池10の劣
化を判定する。
【0100】そして、流量制御装置32は、評価装置3
1の評価結果に応じて燃料又は空気の各流量調節弁1
4、15を制御する。すなわち、触媒自身の劣化による
電圧低下曲線にのっている場合は、予め初期の設計で定
められた反応ガス利用率となるように、各流量調節弁1
4、15を動作させて運転を行う。
【0101】燃料電池10の実際の電圧低下を監視し、
触媒自身の電圧低下からずれて、低下量が大きくなりだ
したときに、流量制御装置18は、燃料電池10の電池
電圧が予め定められた触媒自身の電圧劣化曲線上にのる
ように、各流量調節弁14、15を動作させて燃料電池
10への反応ガス供給量を増加する。
【0102】ところで、上記第3の実施例の測定機器1
6により測定された燃料電池10の負荷電流及びそのと
きの電圧を精度高く規格化することが理想的であるが、
他の電流への電池電圧の換算は、燃料電池の状態によっ
て電流/電圧カーブが異なるため、どのような電流/電
圧カーブを使うかの電池状態判断予測が入るため、診断
誤差を大きくすることがある。
【0103】より精度を高くするためには、電流を変え
ずに電流の異なる電池電圧を測定し、その電流に対する
傾きの経時変化で燃料電池10の劣化を捕らえる方法と
する。
【0104】このような方法では、燃料電池10の状況
を診断するのに電流の規格化が不要で、燃料電池10の
濡れによる劣化を捕らえることができる。異なる電流に
よる電池電圧の傾きは、触媒自身の劣化によるときと
は、常に同じ値を示す。ところが、濡れの信号による反
応ガスの拡散不良が進むと、その傾きが大きくなる。
【0105】よって、負荷電流に対する電圧の傾きの経
時変化が発生しないように適性反応ガスの流量制御を行
って反応ガス量を調整する。このように上記第4の実施
例においては、燃料電池10の負荷電流の異なる所望の
2点の電圧を捉え、各負荷電流に対する電圧の傾きの経
時変化により燃料電池10の劣化を判定するようにした
ので、常に一定の条件で発電を行えない場合に、異なる
電流値の電池電圧から燃料電池10の特性劣化を診断す
ることができる。
【0106】燃料電池10の経時的特性変化を電圧測定
の規格化でなく、データを規格化することによっての
み、反応ガス量を増加させて燃料電池10の特性劣化の
加速化の防止に入るタイミングを捕らえることが容易に
できる。
【0107】従って、燃料電池10の経時変化を燃料電
池10の運転に影響を与えることなく燃料電池10の状
態を捕らえることができ、これによって検知された燃料
電池10の状態、すなわち触媒層内の反応ガス拡散性に
応じて電池反応に携わる三相界面に、反応に必要な反応
ガスを速やかに到達させることができる適性反応ガス利
用率で運転できる。
【0108】次に本発明の第5の実施例について説明す
る。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳
しい説明は省略する。図5は燃料電池発電装置の構成図
である。
【0109】測定機器40は、燃料電池10の負荷電流
及び電圧を測定する機能を有している。適性反応ガス利
用率制御装置41は、測定機器40により測定された負
荷電流に応じて、予め測定された各電流の三相界面へ燃
料又は空気を供給できなくなる限界反応ガス利用率より
も若干小さい反応ガス利用率に燃料又は空気のうち少な
くとも一方の流量を制御する機能を有している。
【0110】このような構成であれば、燃料電池10に
所定流量の燃料及び空気が供給されて燃料電池10の一
対の電極間から電気エネルギーが得られている状態に、
測定機器20は、燃料電池10の負荷電流及び電圧を測
定して適性反応ガス利用率制御装置41に伝達する。
【0111】この適性反応ガス利用率制御装置41は、
測定機器40により測定された負荷電流に応じて、予め
測定された各電流の三相界面へ燃料又は空気を供給でき
なくなる限界反応ガス利用率よりも若干小さい反応ガス
利用率になるように燃料又は空気の各流量調節弁14、
15の一方又は両方を制御する。
【0112】すなわち、触媒自身の劣化による電圧低下
曲線にのっている場合は、予め初期の設計で定められた
反応ガス利用率となるように、各流量調節弁14、15
を動作させて運転を行う。
【0113】燃料電池10の実際の電圧低下を監視し、
触媒自身の電圧低下からずれて、低下量が大きくなりだ
したときに、流量制御装置41は、燃料電池10の電池
電圧が予め定められた触媒自身の電圧劣化曲線上にのる
ように、各流量調節弁14、15を動作させて燃料電池
10への反応ガス供給量を増加する。
【0114】ところで、燃料電池10の三相界面に送り
込む反応ガス量は、燃料電池10の負荷が大きい程多く
なる。このため、反応ガスの利用率を一定として運転す
ると、電池負荷の大きい場合程、触媒層の濡れ進行によ
る反応ガスの拡散不良の影響を受け、特性低下が大きく
なる。
【0115】一方、燃料電池10の負荷の小さいとき
は、負荷の大きいときに比べて高い反応ガス利用率での
運転が可能となる。そこで、上記構成とすることによ
り、燃料電池10の電流に応じた適性反応ガス利用率で
燃料電池10を運転することができる。負荷の小さい場
合は反応ガス利用率を上げることが可能となり、逆に負
荷の大きい場合は反応ガス利用率を下げて運転する。
【0116】すなわち、適性反応ガス利用率制御装置4
1は、燃料電池10へ供給する反応ガスを、燃料電池1
0の負荷電流に応じて、予め測定された各電流の三相界
面へ反応ガスを供給できなくなる限界反応ガス利用率よ
り若干小さな反応ガス利用率に反応ガス量が設定される
ように、各流量調節弁14、15の開度を制御する。
【0117】これにより、電流によって採用されている
反応ガス利用率に幅を持たせることが出来るようにな
り、各電流における反応ガス利用率の影響の感度が異な
ることに対応できる。
【0118】又、適性反応ガス利用率制御装置41に電
流による電池劣化の影響の差を事前に比較データとして
入力することによって、燃料電池10の劣化に対応させ
て反応ガスを増量させ、劣化加速防止をする場合も、電
流による劣化の相違を加味させて行うことができる。
【0119】このように上記第5の実施例においては、
燃料電池10の負荷電流及び電圧を測定し、これら測定
された負荷電流に応じて、予め測定された各電流の三相
界面へ燃料又は空気を供給できなくなる限界反応ガス利
用率よりも若干小さい反応ガス利用率に燃料又は空気の
うち少なくとも一方の流量を制御するようにしたので、
燃料電池10の表面を流れる反応ガス量を抑え、反応ガ
スで持ち出されるリン酸のロス量を低減できる。
【0120】又、燃料電池10の発電に必要なコンプレ
ッサー、ブロワー、改質器といった補機の効率を向上で
き、低負荷における発電効率を上げることができる。従
って、燃料電池10の運転条件によって反応ガス利用率
を調整することによって、触媒層内の電池反応に携わる
三相界面に、反応に必要な反応ガスを速やかに到達させ
ることのできる量を不必要に過剰にすることのないよう
な適性反応ガス利用率で運転できる。
【0121】なお、本発明は、上記第1〜第5の実施例
に限定されるものでなく次の通り変形してもよい。例え
ば、上記の如く燃料電池10に供給する反応ガス量を電
気出力に応じて調整する燃料電池発電装置において、そ
の電気出力を上げる場合には反応ガス流量の調整を電気
的負荷の上昇より先行して実施し、又、電気出力を下げ
る場合には電気的負荷の低下を反応ガス流量の調整より
先行して実施するようにしてもよい。
【0122】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、反
応ガスの拡散不良による電池特性劣化の加速度化を防止
し、電池の特性劣化を極力抑えることができるように最
適な反応ガス利用率で運転ができる燃料電池発電装置を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる燃料電池発電装置の第1の実施
例を示す構成図。
【図2】典型的な燃料電池の経時変化を示す図。
【図3】本発明に係わる燃料電池発電装置の第3の実施
例を示す記録評価系の構成図。
【図4】本発明に係わる燃料電池発電装置の第4の実施
例を示す構成図。
【図5】本発明に係わる燃料電池発電装置の第5の実施
例を示す構成図。
【図6】燃料電池を構成する単位電池の構成図。
【図7】燃料電池の典型的な特性低下を示す図。
【符号の説明】
10…燃料電池、14,15…流量調節弁、16,2
0,30,40…測定機器、17…記録評価装置、18
…流量制御装置、21…データ規格化装置、22…デー
タ記録装置、31…評価装置、32…流量制御装置、4
1…適性反応ガス利用率制御装置。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含む燃料と酸化剤とを燃料電池に
    供給して電気出力に変換する燃料電池発電装置におい
    て、 前記燃料電池の負荷電流及び電圧を測定する測定手段
    と、 この測定手段により測定された負荷電流及び電圧を運転
    時間に対応させて経時変化として記録し、この経時変化
    と前記燃料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して
    前記燃料電池の状態を評価する記録評価手段と、 この記録評価手段の評価結果に応じて前記燃料又は前記
    酸化剤のうち少なくとも一方の流量を制御する流量制御
    手段と、を具備したことを特徴とする燃料電池発電装
    置。
  2. 【請求項2】 記録評価手段は、燃料電池の停止前と再
    起動後とにおける経時変化を記録し、この経時変化と前
    記燃料電池の健全な電池出力経時変化とを比較して前記
    燃料電池の状態を評価する機能を有することを特徴とす
    る請求項1記載の燃料電池発電装置。
  3. 【請求項3】 水素を含む燃料と酸化剤とを燃料電池に
    供給して電気出力に変換する燃料電池発電装置におい
    て、 前記燃料電池の負荷電流、電圧、電池冷却水温度、反応
    ガス利用率を測定又は算出して前記燃料電池の情報を得
    る測定演算手段と、 この測定演算手段により得られた前記燃料電池の情報を
    規格化するデータ規格化手段と、 このデータ規格化手段により規格化されたデータを前記
    燃料電池の経時変化として記録するデータ記録手段と、 このデータ記録手段に記録された前記燃料電池の経時変
    化と前記燃料電池の健全な電池出力経時変化とを比較し
    て前記燃料電池の状態を評価する記録評価手段と、 この記録評価手段の診断結果に応じて前記燃料又は前記
    酸化剤のうち少なくとも一方の流量を制御する流量制御
    手段と、を具備したことを特徴とする燃料電池発電装
    置。
  4. 【請求項4】 水素を含む燃料と酸化剤とを燃料電池に
    供給して電気出力に変換する燃料電池発電装置におい
    て、 前記燃料電池の負荷電流の異なる所望の2点の電圧を測
    定する測定手段と、 この測定手段により測定された前記燃料電池の負荷電流
    の異なる所望の2点の電圧を受け、これら負荷電流に対
    する電圧の傾きの経時変化により前記燃料電池の劣化を
    判定する記録評価手段と、 この記録評価手段の評価結果に応じて前記燃料又は前記
    空気の各流量を制御する流量制御手段と、を具備したこ
    とを特徴とする燃料電池発電装置。
  5. 【請求項5】 水素を含む燃料と酸化剤とを燃料電池に
    供給して電気出力に変換する燃料電池発電装置におい
    て、 前記燃料電池の負荷電流及び電圧を測定する測定手段
    と、 この測定手段により測定された負荷電流に応じて、予め
    測定された各電流の三相界面へ前記燃料又は前記酸化剤
    を供給できなくなる限界反応ガス利用率よりも若干小さ
    い反応ガス利用率に前記燃料又は前記酸化剤のうち少な
    くとも一方の流量を制御する適性反応ガス利用率制御手
    段と、を具備したことを特徴とする燃料電池発電装置。
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