JPH089661Y2 - 時計用偏平針回し歯車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、時計用針回し歯車に関し、特に薄型の時
計のムーブメントに適した時計用偏平針回し歯車に関す
る。

［従来の技術］ 従来から、薄型時計の針回し装置は、機械体背面に挿
着された針回しつまみを、指で押圧しながら回転させる
ものが知られている（例えば、実開昭57-4774号公
報）。この針回しつまみは、機械体の上ケースに穿設し
てある透孔を貫通して機械体内部に配設されている輪列
の１つと噛合しているカナ部を一体に有する針回し軸に
連結されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしこの構造によると、時計機械体の薄形化を図る
ことが難しい問題があった。

そこで本考案の目的は、時計機械体の薄形化を図るの
に好適な時計用偏平針回し歯車を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の時計用偏平針回
し歯車の特徴は、一方の面には、上ケースの開口部に嵌
合するとともにその上面がこの上ケースの上面と実質的
に同一平面をなすように形成されている偏平状の操作部
が突設してあり、時計輪列の一つと噛合する歯部上に
は、上ケースの開口部の周縁部内面に対向する複数の突
起が形成してあり、操作部と反対側の面には、下ケース
によって支承される軸部が形成してあり、操作部には、
コイン状の操作部材を差し込み可能な針回し用の溝が設
けてあるところにある。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

まず、本考案の時計用偏平針回し歯車１が配置された
時計のムーブメントＡの構成から説明する。第３図に示
すように、ムーブメントＡは、下ケース２と上ケース３
との間に時計輪列を組み込むことにより構成されてい
る。すなわち、モータのロータ４の回転は、中間車5,6
を介して分針歯車７に伝わり、さらに日の裏車８を介し
て時針車９に伝えられる。日の裏車８には、この考案に
かかる時計用偏平針回し歯車１が噛合している。分針歯
車７は、周知のスリップ機構（図示せず。）を介して分
針軸7aに摩擦結合されている。時針車９と一体的に形成
された時針パイプ9aと分針軸7aとは、同心的に嵌合して
下ケース２を貫通して突出している。

そこで、時計用偏平針回し歯車１の構成について説明
すると、第1,3図示のように、この針回し歯車は、全体
的に偏平状のもので、その外周部には歯部1aが形成して
あり、この歯部が下ケース２と上ケース３との間の間隔
に入り込んで日の裏車８と噛合している。歯部1aの上面
には、第２図示のように、等間隔の５個所に半球状の突
起1b…が一体的に突設してあり、この突起が上ケース３
の開口部3aの周縁部内面に当接可能である。

針回し歯車１の上面には、偏平状の操作部1cが一体に
突設してあり、この操作部が上ケース３に開設してある
開口部3aに嵌合している。操作部1cの高さは、この嵌合
状態において操作部1cの上面が上ケース３の上面と実質
的に同一平面をなすように形成してある。操作部1cの上
面には、径方向に所定の幅を有しかつ底面が円弧状の針
回し用の溝1dが形成されている。溝1dの長さは操作部1c
の径いっぱいに形成するのが望ましく、溝1dの底面の曲
率半径は、コイン状の操作部材11の外周の曲率に対応
し、第４図示にように、溝1dに操作部材11が安定状態で
差し込み係合可能なように、その長さ及び深さが設定さ
れている。

針回し歯車１の下面の中央部には、凹部1eが形成して
あり、この凹部の中央に同心的に軸部1fが下方に向かっ
て突設してある。下ケース２には、軸部1fが回転自在に
嵌合する軸支部2aが設けてあり、凹部1eの面に軸支部2a
の上端面が当接している。

このようにして針回し歯車１が組み込まれた時計のム
ーブメントＡは、時計の支持板12の背面に取り付けられ
る。分針軸7a及び時針パイプ9aは支持板12を貫通して前
面に突設し、分針軸7a及び時針パイプ9aの突出端には、
それぞれ分針13及び時針14が連結され、前面カバー15で
覆われる。

次に、針回し歯車１による針回し動作について説明す
る。

通常は前述のように、駆動モータのロータ４が回転
し、時計輪列を介して分針13及び時針14を回転させてい
る。針回し歯車１にも日の裏車８を介して常時回転が伝
えられている。このように針回し歯車１は常時回転して
いるが、突起1bで上ケース３の開口部3aの下面（内面）
に摺接するため、時計輪列駆動のための負荷はそれ程増
加することはない。時刻修正時など指針を回したいとき
は、第４図示のようにコイン状の操作部材11を針回し歯
車１の溝1dに差し込んで回す。この回転が、日の裏車８
を介して分針軸7a及び時針車９に伝えられるので、分針
13及び時針14を所望の位置まで回転して、時刻合わせが
行われる。

本実施例では、操作部1cの径を歯部1aの歯底円よりや
や内側にとったが、歯底円に一致するまで径を大にする
ことも可能である。

［効果］ 本考案の時計用偏平針回し歯車は、上ケースと下ケー
スとの間隔に対応する程度の極めて薄型の偏平状のもの
であるので、時計のムーブメント等の薄形化に寄与し、
歯部に突設した突起を上ケースの内面に当接させたた
め、回転時における摩擦抵抗を減らすことができ、駆動
源へ及ぼす負荷を最小におさえることができる。また操
作部の径を大きくとることができ、針回し歯車の操作性
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は要部の断面図、第２図は時計用偏平針回し歯車
の縮小平面図、第３図は本考案の時計用偏平針回し歯車
を時計のムーブメントに組み込んだ状態の輪列の縮小展
開断面図、第４図はコイン状の操作部材で時計用偏平針
回し歯車を操作する状態を示す縮小斜視図である。 １……時計用偏平針回し歯車、1a……歯部、1b……突
起、1c……操作部、1d……針回し用溝、1f……軸部、２
……下ケース、2a……軸支部、３……上ケース、3a……
開口部、11……操作部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一方の面には、上ケースの開口部に嵌合す
   るとともにその上面がこの上ケースの上面と実質的に同
   一平面をなすように形成されている偏平状の操作部が突
   設してあり、 時計輪列の一つと噛合する歯部上には、上記上ケースの
   上記開口部の周縁部内面に対向する複数の突起が形成し
   てあり、 上記操作部と反対側の面には、下ケースによって支承さ
   れる軸部が形成してあり、 上記操作部には、コイン状の操作部材を差し込み可能な
   針回し用の溝が設けてある ことを特徴とする時計用偏平針回し歯車。