JPH089638Y2 - 電解質測定装置のフローセル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、血液、血清、血しょう、尿等の電解質濃度
を測定する電解質測定装置のフローセルに関する。

（従来の技術） 例えば、自動化学分析装置の電解質測定において、検
液中の電解質の濃度を次々に連続的に測定する場合、機
械的構造の簡単さ、検液の扱い易さ等の理由のため検液
を次々に流しながら測定する「流れ方式」が採用されて
いる。

特開昭60-222760号「イオン選択感知電極を有する測
定装置」には、検液の入口部分と出口部分を具備する測
定通路を規定する通路規定部材（フローセル）と、当該
測定通路に沿って間隙を置いて配置されたイオン選択感
知電極とを有する測定装置において、上記測定通路は複
数の湾曲部を有し、湾曲部の各々は、複数の感知電極の
一つと隣接していることが記載されている。

（考案が解決しようとする課題） 従来の測定装置においては、測定通路と参照電極に比
較液を流す比較液流路とは、各々１つ設けられていた。
このために、電解質測定を高速化しようとした場合に、
複数個のフローセル、複数個の参照電極および複数のフ
ローセルを恒温化する手段が必要となり、さらに参照電
極やフローセルの恒温化手段が別個になるために、フロ
ーセルごとに電解質の測定値がバラツキやすいという欠
点を有していた。

本考案は、上記欠点に鑑みてなされたものであり、電
解質測定の高速化とバラツキのない測定値を得ることが
できる電解質測定装置のフローセルを提供することを目
的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、湾曲部に選択性電極を有する複数の検液流
路と、比較電極を有する１つの比較液流路とを１つのフ
ローセル中に設け、これら検液流路および比較液流路の
各流路を共通のジャンクション部から排出用の１つのコ
ネクターに連通させたものである。

（作用） 複数列の検液流路に同一の又は異なる検液を同時に又
は順次に注入し、比較液流路に同時に比較液を注入する
ことによってイオン選択性電極による電解質測定を高速
で行なうことができる。

（実施例） 本考案の参考例を図面を参照して説明する。

本考案の基本構成を第１図〜第４図に基いて説明す
る。

第１図において、1aはエポキシ樹脂でできた透明硬質
のフローセルであり、第２図に示すように、直方体形状
を成している。フローセル1aの内部には、直線状の比較
液流路２と、湾曲状の検液流路３が穿設されており、こ
の検液流路３は湾曲状の流路3aから直線状の流路3bを経
て、後述するイオン選択性電極の感応膜11aで断絶する
ように形成されている。上記比較液流路２と検液流路３
とは、ジャンクション部Ａにおいて連通している。ジャ
ンクション部Ａに連通する検液流路３の直線状流路3c
は、比較液流路２中に注入された比較液が浸透圧によっ
て検液流路３に逆流しないように、勾配を有している。
流路3cはジャンクション部Ａを介して流出流路４および
フローセル1aに螺着されたコネクター５に連通してい
る。

上記流路３の他端は、フローセル1aに螺着されたコネ
クター６に連通している。

上記比較液流路２の一端は、ジャンクション部Ａに連
通し、他端は、フローセル１に螺着されたコネクター７
に連通している。８はめねじが設けられた比較電極取付
開口であり、公知の比較電極の先端の感応膜面が比較液
流路２に接するように、比較電極を螺着するためのもの
である。

開口９は、フローセル1aに穿設されためねじを有する
開口であり、上記検液流路3b、3bに連通するように設け
られている。

イオン選択性電極10は例えば、Na、Ｋ、C1等の電解質
を測定するためのものであり、測定すべき電解質の種類
によって、電極の感応膜の物質が異なるのみで、他の構
造は同一である。

上記電極10において、電極本体11は、中空状のホルダ
ー12、13の内部に配設されており、ホルダー12と13は螺
着されている。

上記ホルダー12の先端部分には、おねじが設けられて
おり、フローセル１に設けられた開口９に螺合する。

パッキン14は第４図に示すように、突片14aを有して
おり、開口９に設けた溝9aに挿入されて、パッキン14が
回転しないように構成されている。

ワッシャー15は、上記パッキン14とホルダー12の先端
部との間に配置されており、ホルダー12を開口９に螺合
して挿入する場合に、パッキン14を挿入方向に押圧し
て、電極本体11の先端を固定する。

第３図に示すように電極本体11の感応膜面11aは、開
口９とパッキン14で形成される空間に対向して配置され
ており、上記空間は検液流路3bに連通している。

ホルダー13は、電極本体11がホルダー12から抜けるの
を防ぐためのものであり、ホルダー12に螺合している。

11aは、電極本体11に設けられた電気的接続端子であ
り、図示しない公知の電圧計に接続するためのリード線
が取付けられる。

次に、上記構成を有する電解質測定装置のフローセル
の作用を説明する。

コネクター６から検液を注入すると、検液は検液流路
3bを通って、一番下に配置された電極10の感応膜面11a
に接し、順に検液流路3b,3aおよび3bを通って、真中に
配置した電極10の感応膜面11aに接し、最後の一番上の
電極10の感応膜面11aに接して、流路3b、3cを通って、
ジャンクション部Ａで比較液と接してコネクター５より
排出される。

上記電極10の感応膜面11aと流路3bとの配置関係は第
３図に示すように、流路3bから検液が感応膜面11aに吹
きつけられるように位置づけられている。

このために、検液に対するイオン電極10の応答性が早
くなる。

さらに、コネクター７からは、比較液が注入され、流
路２を流れ、比較電極の感応膜面に接して、ジャンクシ
ョンＡで検液と接して、コネクター５から排出される。

上記の通り、検液は、順次イオン選択性電極10に接触
することにより検液中の電解質は比較液を基準として、
イオン選択性電極10の発生電位を測定することによって
定量的に求めることができる。なお、上記フローセルは
図示しない恒温手段によって、恒温状態になっている。

第１図〜第４図と同じ部分については、同一の符号を
付けて説明を省略する。

検液流路15は湾曲部15aおよび直線部15b、15cから構
成されており、上記流路15の構成は第１図の検液流路
３、湾曲部3aおよび直線部3b、3cに該当する。

コネクター16、17は第１図のコネクター６および５に
該当し、ジャンクション部Ｂは第１図のジャンクション
部Ａに該当する。

フローセル1bは第１図および第２図のフローセル1aに
該当する。

フローセル1bに比較液流路２を１つ設け、検液流路
３、15を２系列設け、比較電極を開口８に螺着する。

上記イオン選択性電極10と比較電極はをジャンクショ
ン部Ｂで電気的に接続する。

上記２系列の検液流路３、15には、コネクター６、16
から、同一の検液又は異なる検液が交互に、又は同時に
注入され、両液はジャンクション部Ｂで接して、電解質
測定が行なわれる。

このように、１つのフローセルの中に検液流路を２系
列設けることによって、電解質測定の高速化を実現でき
る。恒温手段も１つで済むので測定値のバラツキもな
い。

第６図を参照して、本考案の他の実施例を説明する。

第６図は１つのフローセルの中に、検液流路を３系列
と比較液流路を１系列設けたことを示す線図であり、第
１図と同じ部分については同一の符号を付して説明を省
略する。

フローセル1cの中に、第１図および第５図に示した検
液流路３、15と同様の検液流路18、19、20と比較液流路
２を設けたものである。Ｃはジャンクション部である。

本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、フ
ローセルの材質も金属、合成樹脂又はガラスを使用して
も良い。さらに、１つのフローセルの中に、検液流路を
４つ以上設けることもできる。

（考案の効果） 本考案によれば、検液の電解質測定を高速化すること
ができる。

複数のフローセルを使用した場合に発生する測定値の
バラツキも軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の基本構成を示すための一部断面図、第
２図は第１図の部分斜視図、第３図は第１図の部分拡大
図、第４図は第１図の部分斜視図、第５図は本考案の実
施例を示す一部断面図、第６図は本考案の他の実施例を
説明するための線図である。 1a、1b、1c……フローセル ２……比較液流路 ３、15、18、19、20……検液流路 ８……比較電極取付開口 10……イオン選択性電極

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】湾曲部に選択性電極を有する複数の検液流
   路と、比較電極を有する１つの比較液流路とを１つのフ
   ローセル中に設け、これら検液流路および比較液流路の
   各流路を共通のジャンクション部から排出用の１つのコ
   ネクターに連通させたことを特徴とする電解質測定装置
   のフローセル。