JPH0892729A - 窒化ホウ素含有膜被覆基体 - Google Patents

窒化ホウ素含有膜被覆基体

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JPH0892729A
JPH0892729A JP22912494A JP22912494A JPH0892729A JP H0892729 A JPH0892729 A JP H0892729A JP 22912494 A JP22912494 A JP 22912494A JP 22912494 A JP22912494 A JP 22912494A JP H0892729 A JPH0892729 A JP H0892729A
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layer
film
substrate
boron nitride
thickness
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JP22912494A
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Yasushi Iwamoto
泰志 岩本
Akinori Ebe
明憲 江部
Satoru Nishiyama
哲 西山
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/50Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
    • C04B41/5053Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials non-oxide ceramics
    • C04B41/5062Borides, Nitrides or Silicides
    • C04B41/5064Boron nitride
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00241Physical properties of the materials not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00405Materials with a gradually increasing or decreasing concentration of ingredients or property from one layer to another

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高硬度で、優れた化学的安定性を有し、各種
基体への密着性良好な窒化ホウ素含有膜で被覆されてい
ることにより、耐摩耗性、摺動性及び離型性等に優れた
基体を提供する。 【構成】 窒化ホウ素含有膜で被覆された基体であっ
て、この窒化ホウ素含有膜はホウ素(B)原子数と窒素
(N)原子数の比(B/N組成比)が互いに異なる2以
上の窒化ホウ素含有層からなり、これらの窒化ホウ素含
有層は、立方晶系閃亜鉛鉱型、六方晶系ウルツ鉱型のう
ち少なくとも一方の結晶構造を有する窒化ホウ素を含有
し、最も内側に形成された層のB/N組成比は15以上
60以下で、最も外側に形成された層のB/N組成比は
1以上2以下であり、最も外側に形成された層の厚さが
最も内側に形成された層の厚さの1/100以上1/2
以下である窒化ホウ素含有膜被覆基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具、金型、光学
素子成形用型、磁気ヘッド或いは各種の摺動部品といっ
た耐摩耗性、潤滑性、適度の摺動性、離型性及び耐熱性
等の1又は2以上が要求される物品の基体であって、こ
れらの性能を向上させることができるとともに該基体へ
の密着性良好な窒化ホウ素含有膜が被覆された基体に関
する。
【0002】
【従来の技術】窒化ホウ素(BN)は、結晶構造によっ
て立方晶系閃亜鉛鉱型のもの(c−BN)、六方晶系の
グラファイトと類似した構造のもの(h−BN)、或い
は六方晶系のウルツ鉱型のもの(w−BN)等に大別さ
れる。h−BNは、その特性もグラファイトに類似し、
C軸方向に劈開性を有することから軟質ながらも摺動性
に優れ、現在では人工的に合成された粉末状のものが固
体潤滑剤として、各種摺動部材の摩擦係数を下げるため
に広く用いられている。
【0003】また、c−BNはダイヤモンドに次ぐ高硬
度を有しており、熱的・化学的安定性はダイヤモンドよ
り優れていることから、切削工具といった耐摩耗性を必
要とする分野への利用が試みられており、また、絶縁性
や高熱伝導率を有する特徴を活かしてヒートシンク用材
料として利用が試みられている。w−BNも高硬度、優
れた熱的・化学的安定性を有し、c−BNと同様、工具
を中心にした耐摩耗性が要求される分野に応用が試みら
れている。
【0004】h−BNは低温下で容易に粉状に合成さ
れ、また各種物理的蒸着(PVD)法や化学的蒸着(C
VD)法により容易に膜状に合成される。しかし、c−
BN及びw−BNは、これまで高温度、高圧力下で人工
的に合成されるものであることから、その製造コストは
非常に高くなり、しかも合成される形態がバルク状にな
るため、その応用範囲が限られていた。そこで、c−B
N及びw−BNを薄膜合成させようとする試みが、各種
PVD法やCVD法によって行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、c−B
N及びw−BNは高硬度であるため、膜形成時に過大な
内部応力を発生させ、しかも化学的に安定であるため、
これらを含有する膜は基体への密着性が劣る。そのた
め、高硬度で化学的安定性に優れ、しかも基体との密着
性良好なBN含有膜は得られておらず、未だ産業上の実
用化には至っていない。
【0006】そこで本発明は、高硬度で、化学的安定性
に優れ、基体への密着性良好な窒化ホウ素含有膜で被覆
されていることにより、耐摩耗性、摺動性及び離型性等
に優れた基体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決すべく研究を重ね、以下の事実を見出した。各種の結
晶構造のBNのうちc−BN及びw−BNは高硬度であ
るため、これらを含有する膜で被覆することにより基体
の硬度は向上する。しかし前述したように、c−BN及
びw−BNを含有する膜は基体への密着性が劣る。そこ
でc−BN及び(又は)w−BN含有膜中に窒素(N)
原子と結合していないホウ素(B)原子を混入させれ
ば、前記内部応力が緩和され、しかも該膜の基体への濡
れ性が向上するため、該膜の基体への密着性は向上す
る。
【0008】一方、B原子の混入により該膜の耐食性、
離型性等の化学的安定性は低下する。そこで前記BN含
有膜で被覆された基体は、その外側を、B原子数とN原
子数の比(B/N組成比)が化学量論組成比(=1)に
近いBN含有膜で被覆することにより表面の化学的安定
性を向上させることができる。もっとも前記のB原子を
多く含む内層と前記の化学量論的組成比に近い外層との
B/N組成比が大きく異なるときには、該両層間の組成
の不連続性により該両層からなる前記BN含有膜中に内
部応力が生じて基体への密着性が低下する恐れがある。
【0009】そこでこのような密着性低下の恐れのある
ときは、前記両層間に、該両層の中間のB/N組成比を
有する中間層を形成することにより、BN含有膜内での
B/N組成比の変化を連続的なものとし、該膜の基体へ
の密着性を確保することが好ましい。また、前記内層は
N原子と結合していないB原子を比較的多く含むため、
c−BN及び(又は)w−BNのみからなる膜に比べて
硬度が低い。そのため層厚をある程度厚くすることでc
−BN及び(又は)w−BNの量を増やし、高硬度にす
ることが必要となる。一方、前記外層及び中間層はBN
を比較的多く含むため、層厚をあまり厚くすると、内部
応力が大きくなり密着性を低下させる。そのためBN含
有膜全体での組成の傾斜が急激にならないような範囲内
で前記外層及び中間層の厚さを薄くすることが必要であ
る。
【0010】以上の知見に基づき本発明は、窒化ホウ素
含有膜で被覆された基体であって、該窒化ホウ素含有膜
はホウ素(B)原子数と窒素(N)原子数の比(B/N
組成比)が互いに異なる2以上の窒化ホウ素含有層から
なり、これらの窒化ホウ素含有層は、立方晶系閃亜鉛鉱
型、六方晶系ウルツ鉱型のうち少なくとも一方の結晶構
造を有する窒化ホウ素を含有し、最も内側に形成された
層のB/N組成比は15以上60以下で、最も外側に形
成された層のB/N組成比は1以上2以下であり、前記
最も外側に形成された層の厚さが前記最も内側に形成さ
れた層の厚さの1/100以上1/2以下であることを
特徴とする窒化ホウ素含有膜被覆基体を提供する。
【0011】また、前記窒化ホウ素含有膜被覆基体は、
前記最も内側に形成された層と前記最も外側に形成され
た層との間に、該両層の中間のB/N組成比を有する1
以上の窒化ホウ素含有中間層を有し、該中間層の厚さの
総和が前記の最も内側に形成された層の厚さの1/10
以上1以下であることが考えられる。前記内層及び中間
層においては、また前記外層ではB/N組成比が1より
大きいときは、該層にはN原子と結合していないB原子
等のBが含まれる。
【0012】前記外層の厚みが前記内層の厚みの1/1
00より小さいときはBN含有膜の化学的安定性が低下
し、1/2より大きいときは該外層ひいてはBN含有膜
の基体への密着性が低下する。また同様に、前記中間層
の厚みが前記内層の厚みの1/10より小さいときには
BN含有膜の化学的安定性が低下し、1より大きいとき
には該中間層ひいてはBN含有膜の基体への密着性が低
下する。
【0013】前記BN含有膜が前記中間層を2以上有す
るときには、各層のB/N組成比は内側の層から外側の
層にかけて順に減少していることが望ましい。これによ
りBN含有膜中における各層間のB/N組成比の差を小
さくすることができ、各BN含有層間の密着性ひいては
前記BN含有膜と基体との密着性を一層向上させること
ができる。
【0014】なお、前記基体の製法としては、例えば次
のものが考えられる。。すなわち、基体を成膜用真空容
器内のホルダに支持させ、該基体に対し、B元素含有物
質を真空蒸着法又はスパッタ蒸着法にて付与し、該付与
と同時、交互又は該付与の後にイオン源よりイオンを照
射してBN含有膜を前記基体上に形成するようにする。
【0015】前記方法において用いるB元素含有物質と
しては、B単体の他、B化合物、例えば酸化ホウ素、窒
化ホウ素、炭化ホウ素、硫化ホウ素、ホウ化リン、ホウ
化水素及び各種金属ホウ化物等を挙げることができ、こ
れらの中から一又は二以上が用いられる。前記方法にお
いて用いるイオン種は、蒸発ホウ素に作用してBN含有
膜を形成するものであればよく、例えば、N原子イオ
ン、N分子イオン、アンモニアイオン(NH3 + )のよ
うな窒素化合物イオン、窒化ホウ素イオン(BN+ )の
ようなB化合物イオン等を挙げることができ、これらの
中から1又は2以上が用いられる。また、これらのN元
素を含むイオン種等に加え、アルゴンイオン(Ar+
等の不活性ガスイオンや水素原子イオン(H+ )を混合
したもの等を用いることが考えられ、このときB原子を
一層高励起化することができ、c−BN、w−BNの合
成に有利になる。
【0016】各層中に形成されるBNの結晶構造、及び
B/N組成比の制御は、基体上に到達するB原子数とN
原子数の比(B/N輸送比)、成膜時間、イオン種、照
射イオンの加速エネルギ及び電流密度等の条件を調整
し、これらを適宜組み合わせることにより行う。また、
各層の厚さは、ホウ素及び窒素の輸送量及び成膜時間の
条件を調整し、これらを適宜組み合わせることにより行
う。
【0017】B/N輸送比は0.5以上60以下とする
のが望ましく、0.5より小さい場合、照射イオンの蒸
発物質への衝突が過大になり膜中欠陥が多くなり、BN
含有膜の硬度や化学的安定性が低下する。また、60よ
り大きい場合、膜内に含有される、N原子と結合しない
B原子の割合が多くなり、その分膜内に含有されるBN
の割合が少なくなるため、BNの有する諸特性が十分に
発揮されなくなる。
【0018】B/N輸送比の制御は、例えば水晶振動子
式膜厚モニタ等の膜厚モニタを用いて基体へのホウ素蒸
着量をモニタするとともに、例えばファラデーカップ等
のイオン電流測定器を用いて基体へのイオン照射量をモ
ニタすることで行える。照射イオンの加速エネルギは5
0eV以上、50keV以下であることが望ましい。5
0eVより小さい場合、イオン照射により基体と層及び
層と層の界面に形成される混合層の厚みが小さくなり、
該混合層を挟む層と基体及び2つの層を十分に密着させ
ることができない。また、50keVより大きい場合、
膜中欠陥が多くなり、該膜の硬度が低下したり化学的安
定性が低下したりする。
【0019】なお、基体へのイオン入射角度は特に限定
されず、基体を回転させながら成膜を行ってもよい。イ
オン源の方式も特に限定は無く、例えばカウフマン型、
バケット型等のものが考えられる。さらに、熱的なダメ
ージを充分に避けなければならない基体については基体
を冷却させながら成膜を行うのが好ましい。
【0020】前記基体の材質は特に限定されず、例えば
各種セラミック、金属、又は高分子から成る材質等が考
えられる。なお、ここでは本発明基体の製造方法とし
て、B元素含有物質の蒸着とイオン照射とを併用するイ
オン蒸着薄膜形成(IVD)法について説明したが、本
発明基体は、これに限らずイオンプレーティング法、プ
ラズマCVD法等により製造することが考えられる。
【0021】
【作用】本発明のBN含有膜被覆基体は、B/N組成比
が互いに異なる2以上のBN含有層からなる。これらの
BN含有層のうち基体に隣接する最も内側の内層及び最
も外側の外層はc−BN、w−BNのうち少なくとも一
方の結晶構造を有するBNを含有する。さらに、内層の
B/N組成比は15以上60以下、外層のB/N組成比
は1以上2以下であり、外層の厚さが内層の厚さの1/
100以上1/2以下である。B/N組成比が化学量論
的組成比(=1)より大きい場合は、該層はN原子と結
合していないB原子等のホウ素が含まれる。
【0022】前記外層は、N原子と結合していないB原
子を多く含まないため、前記BN含有膜の表面は高硬度
で化学的安定性に優れる。また前記内層はN原子と結合
していないB原子を多く含むため、該層中の内部応力が
緩和されると共に基体に対する濡れ性が良く、該内層は
基体への密着性が良好である。また、前記内層はN原子
と結合していないB原子の含有率は大きいが、その厚さ
が比較的大きいため該層中に含まれるBNの絶対量は多
く、該層の硬度は低くない。また前記外層はN原子と結
合していないB原子の含有率は小さいが、その厚さが比
較的小さいため層形成時に生じる内部応力が小さく、内
側の層への密着性は良好である。
【0023】また、前記BN含有膜被覆基体が前記外層
と内層の間に、該両層の中間のB/N組成比を有する1
以上のBN含有中間層を有し、該中間層の厚さの総和が
前記内層の厚さの1/10以上1以下であるときには、
BN含有膜内でのB/N組成比の変化が連続的になり、
該膜中に生じる内部応力が抑制されて、該膜の基体への
密着性が向上する。また、該中間層も前記外層と同様
に、N原子と結合していないB原子の含有率は比較的小
さいが、その厚さが比較的小さいため層形成時に生じる
内部応力が小さく、内側の層への密着性は良好である。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の1実施例のBN含有膜で被覆され
たレンズ成形用金型の一部の拡大断面図であり、図2は
図1に示す金型の製造に用いる成膜装置の概略構成を示
したものである。
【0025】図2に示す装置は、真空容器1を有し、容
器1内には被成膜金型基体Sを支持するホルダ2が設置
されると共に、ホルダ2に対向する位置には蒸発源3及
びイオン源4が設置されている。また、ホルダ2近傍に
は膜厚モニタ5及びイオン電流測定器6が配置されてい
る。さらに容器1には排気装置8が付設されて、容器1
内を所定の真空度にすることができる。
【0026】本発明によるレンズ成形用金型を作成する
に当たっては、まず金型基体Sをホルダ2に支持させた
後、真空容器1内を所定の真空度にする。その後、金型
基体Sに蒸発源3を用いて、B元素含有物質3aを電子
ビーム、抵抗、レーザ、高周波等の手段で真空蒸着させ
る。なお、真空蒸着に代えて、B元素含有物質3aをイ
オンビーム等の手段でスパッタ蒸着することで金型基体
S上に膜形成してもよい。
【0027】このB元素含有物質3aの真空蒸着(或い
はスパッタ蒸着)と同時、交互、又は該蒸着後に、イオ
ン源4よりイオン4aを当該蒸着面に照射する。以上に
述べた成膜操作により、図1に示すように、金型基体S
表面にBNを含有する内層S1、中間層S2、外層S3
がこの順に積層されたBN含有膜S10が形成される。
このうち内層S1及び外層S3はc−BN、w−BNの
うち少なくとも一方を含有する膜である。各層のB/N
組成比は内層S1は15以上60以下、外層S3は1以
上2以下、中間層S2はその中間の値である。各層にお
いて、B/N組成比が1より大きいときは、該層にはN
原子と結合していないB原子等のホウ素が含まれる。ま
た、各層の厚さの比は内層S1の厚さを1とすると、外
層S3は1/100以上1/2以下、中間層S2は1/
10以上1以下である。
【0028】各層S1、S2、S3中に形成されるBN
の結晶構造、及びB/N組成比の制御は、B/N輸送
比、成膜時間、イオン種、照射イオンの加速エネルギ及
び電流密度の条件を調整し、これらを適宜組み合わせる
ことにより行う。また、各層S1、S2、S3の厚さ
は、B及びNの輸送量及び成膜時間の条件を調整し、こ
れらを適宜組み合わせることにより行う。
【0029】各層形成時のB/N輸送比は0.5以上6
0以下とする。また照射イオンの加速エネルギは50e
V以上、50keV以下とする。内層S1はN原子と結
合していないB原子を多く含むため、層形成時に生じる
内部応力が小さいと共に、基体Sに対する濡れ性が良く
該層S1は基体Sへの密着性が良好である。また内層S
1は、その厚さがある程度厚いため含まれるc−BN及
び(又は)w−BNの絶対量は多く、その硬度は低くな
い。
【0030】また、外層S3は、N原子と結合していな
いB原子の含有量が少ないため、膜S10の表面は高硬
度で化学的安定性に優れる。また、外層S3は、その厚
さが比較的小さいため、層形成時に生じる内部応力が小
さく中間層S2への密着性は良好である。また中間層S
2は内層S1と外層S3の中間のB/N組成比を有する
ため、BN含有膜S10内でのB/N組成比の傾斜が連
続的になり、該膜S10中の内部応力が抑制されて該膜
S10の基体Sへの密着性が向上する。また、中間層S
2も外層S3と同様にN原子と結合していないB原子の
含有量が比較的少ないが、その厚さが比較的小さいため
層形成時に生じる内部応力が小さく、内層S1への密着
性は良好である。
【0031】以上のように、BN含有膜S10は、全体
として高硬度で化学的安定性に優れ、基体Sへの密着性
が良好なものとなる。次に図2に示す成膜装置により得
られる本発明のBN含有膜で被覆されたレンズ成形用金
型とその製造方法の具体例について説明する。 実験例 図2に示す装置を用いて、超硬基材(WC−Co)より
なり、中央部にレンズ成形用キャビティ面を形成したレ
ンズ成形用金型基体Sを基体ホルダ2に設置し、真空容
器1内を1×10-6Torrの真空度とした。その後、
ホウ素ペレット3aを電子ビーム蒸発源3を用いて蒸気
化し、基体S上に成膜した。それと同時にイオン源4に
窒素ガスを真空容器1内が5×10-5Torrになるま
で導入し、イオン化させ、該イオン4aを10keVの
加速エネルギで、基体Sに立てた法線に対して0°の角
度で基体Sに照射した。なお、イオン源4にはバケット
型イオン源を用いた。
【0032】また、前記成膜操作においては、B/N組
成比が40になるよう、窒素イオンによるホウ素原子の
スパッタ効率等を考慮してB/N輸送比を調整し、基体
S上に層厚約6000Åの内層S1を形成した。次い
で、B/N組成比が30になるようB/N輸送比を調整
し、その他は前記内層S1形成時と同じ条件で前記内層
S1の上に層厚約3000Åの中間層S2を形成した。
【0033】さらに、B/N組成比が1になるようB/
N輸送比を調整し、その他は前記内層S1の形成時と同
じ条件で、前記中間層S2の上に層厚約3000Åの外
層S3を形成した。 比較例1 前記実験例において、外層S3の厚さを6000Åと
し、その他の条件は前記実験例と同様にして、レンズ成
形用金型基体S上に内層、中間層、外層をこの順に有す
るBN含有膜を形成した。 比較例2 前記実験例において、外層S3を形成せず、その他の条
件は前記実験例と同様にして、レンズ成形用金型基体S
上に内層、中間層をこの順に有するBN含有膜を形成し
た。 比較例3 前記実験例において、内層S1の厚さを3000Åと
し、その他の条件は前記実験例と同様にして、レンズ成
形用金型基体S上に内層、中間層、外層をこの順に有す
るBN含有膜を形成した。
【0034】また、実験例及び比較例1、2、3により
得られたレンズ成形用金型について、硬度及び膜密着性
を評価した。硬度はヌープ硬度計によりヌープ硬度を測
定することで評価し、膜密着性は引張り強度試験機を用
いて膜の引張り強度を測定することで評価した。さら
に、各例により得られたレンズ成形用金型を用いて実際
にレンズ成形を繰り返し行い、原料ガラスが金型表面に
付着することなく成形を行うことができる回数を調べ
た。
【0035】結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】比較例1による金型は高硬度な外層の厚さ
が大きいために、実験例による金型に比べて引張り強度
が小さく、その結果、成形可能な回数も少なかった。比
較例2による金型は外層を有していないために、実験例
による金型に比べて成形可能な回数が著しく少なかった
が、これは金型表面が化学的に不安定なことによるもの
と考えられる。比較例3による金型はBN含有率の小さ
い内層が薄いために、実験例による金型に比べてヌープ
硬度が小さく、また、引張り強度が小さく、その結果、
成形可能な回数も少なかった。
【0038】以上の結果より、硬度、膜密着性及び化学
的安定性の全てについて実験例によるレンズ成形用金型
が優れていることが分かる。なお、ここではレンズ成形
用金型について説明したが、本発明はこの他各種の切削
工具、成形用型、機械部品等にも適用可能である。
【0039】
【発明の効果】本発明によると、高硬度で、優れた化学
的安定性を有し、基体への密着性良好な窒化ホウ素含有
膜で被覆されていることにより、耐摩耗性、摺動性及び
離型性等に優れた基体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるレンズ成形用金型の一
部の拡大断面図である。
【図2】図1に示す金型の製造に用いる成膜装置の概略
構成を示す図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 基体ホルダ 3 蒸発源 3a 蒸着物質 4 イオン源 4a イオン 5 膜厚モニタ 6 イオン電流測定器 7 排気装置 S レンズ成形用金型基体 S10 窒化ホウ素含有膜 S1 内層 S2 中間層 S3 外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒方 潔 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ホウ素含有膜で被覆された基体であ
    って、該窒化ホウ素含有膜はホウ素(B)原子数と窒素
    (N)原子数の比(B/N組成比)が互いに異なる2以
    上の窒化ホウ素含有層からなり、これらの窒化ホウ素含
    有層は、立方晶系閃亜鉛鉱型、六方晶系ウルツ鉱型のう
    ち少なくとも一方の結晶構造を有する窒化ホウ素を含有
    し、最も内側に形成された層のB/N組成比は15以上
    60以下で、最も外側に形成された層のB/N組成比は
    1以上2以下であり、前記最も外側に形成された層の厚
    さが前記最も内側に形成された層の厚さの1/100以
    上1/2以下であることを特徴とする窒化ホウ素含有膜
    被覆基体。
  2. 【請求項2】 前記最も内側に形成された層と前記最も
    外側に形成された層との間に、該両層の中間のB/N組
    成比を有する1以上の窒化ホウ素含有中間層を有し、該
    中間層の厚さの総和が前記の最も内側に形成された層の
    厚さの1/10以上1以下である請求項1記載の窒化ホ
    ウ素含有膜被覆基体。
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