JPH0892649A - 高強度熱間ベンド鋼管の製造方法 - Google Patents
高強度熱間ベンド鋼管の製造方法Info
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- JPH0892649A JPH0892649A JP19044395A JP19044395A JPH0892649A JP H0892649 A JPH0892649 A JP H0892649A JP 19044395 A JP19044395 A JP 19044395A JP 19044395 A JP19044395 A JP 19044395A JP H0892649 A JPH0892649 A JP H0892649A
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Abstract
でも使用できる高強度かつ高靱性の溶接金属を有する溶
接ベンド鋼管の製造方法を提供する。 【解決手段】 母材鋼管の化学成分を特定し、低酸素系
フラックス、低炭素Ti-B系溶接ワイヤを用いてベンド鋼
管を製造し、かつ、そのベンド鋼管の溶接金属の化学成
分を特定した範囲に抑え、所定の加熱、加工、焼入れ、
焼戻し、冷却を行って高強度熱間ベンド鋼管を製造す
る。
Description
接法により溶接し、誘導加熱により曲げられる大径溶接
鋼管などの製造方法に関し、特に、溶接部の低温靱性お
よび強度に優れた溶接ベンド鋼管の製造方法に関する。
然ガス、或いはそれらを精製して得られた液体もしくは
気体、或いはその他の液体、気体、スラリーなどを大量
輸送する手段としてラインパイプが用いられていること
は良く知られている。このラインパイプは産業用原燃料
の大量輸送の方法として極めて効果的な手段であり、よ
り厳しい環境に耐え得るラインパイプが要求されてい
る。特に寒冷地にラインパイプを配備する場合の対策と
して、ラインパイプ用の鋼材および溶接金属には、高張
力化と同時に優れた低温衝撃靱性を確保することが要求
されており、また、このようなラインパイプに使用され
る溶接ベンド鋼管においても、直管と同等以上の特性が
要求されている。
示すように、サブマージアーク溶接法などにより溶接し
て得られる溶接鋼管を高周波誘導加熱により曲げ加工し
たのち溶接鋼管を水冷してさらに鋼管全体を600 ℃付近
でテンパーすることにより製造する方法が知られてい
る。このとき、大径溶接ベンド鋼管を製造する方法とし
ては、特開昭61-117223 号公報や特公平1-38851 号公報
にベンド管溶接金属の化学組成や熱処理条件が示されて
いる。
61-117223 号公報や特公平1-38851 号公報に開示されて
いるベンド鋼管溶接金属においては、テンパー処理後の
溶接金属には、溶接金属内に極めて微細な析出物などが
形成されて靱性には好ましくない現象が起こり、靱性が
著しく劣化することになる。しかも、溶接金属内にNiな
どの合金元素が多量に添加されているが、これらの合金
元素は溶接金属の靱性の面からは良好な元素であるが、
溶接時に高温割れを起こしやすく、また高温割れを起こ
さないまでも高温割れの感受性を著しく高める元素であ
る。これらのベンド鋼管は一般にサワーと呼ばれる硫化
物が存在するような苛酷な環境でも利用されているが、
Niは硫化物応力腐食割れを非常に起こしやすい元素であ
るために、このようにNiが多量に添加されている溶接金
属を有するようなベンド鋼管においてはサワーの環境で
使用する場合の材料としては全く役に立たない。
造方法の場合は、一本のベンド鋼管内に曲げ部には焼入
れ・焼戻し(QT)処理が、直管部にはテンパー(また
は焼戻し・T)処理がかかるため、鋼管の溶接金属にお
いても曲げ部はQT処理がかかり直管部にはテンパー処
理がかかることになるが、この場合においても、QT処
理後の溶接金属とテンパー処理後の溶接金属ともに高張
力化と同時に優れた低温衝撃靱性を満足されていること
が必要である。ところが、上述のサワーの環境でも使用
できるようなベンド鋼管で、QT処理後およびテンパー
処理後のいずれの状態でも強度と靱性を確保できるよう
なベンド鋼管は得られておらず、現在のところこれを満
足させる技術もなく、このような方法でベンド鋼管を製
造するうえでベンド鋼管の溶接金属の特性を満足させる
ことが困難であるという問題点がある。
れたものであり、直管製造の際にサブマージアーク溶接
による内外面一層溶接を行ったのち熱間で曲げ加工を行
う大径溶接ベンド鋼管の製造において、前記のような熱
処理がかかっても、なお溶接部における低温靱性が優れ
た高強度のベンド鋼管が得られるベンド鋼管の製造方法
を提供することを目的とした。
ベンド鋼管の強度はX−65級以上であり、靱性は切欠
靱性値(vE-30 ℃)で100J以上である。
部分曲げ加工を前提として、母材鋼板と溶接ワイヤおよ
び溶接条件を規定したのちに、溶接金属の化学組成のみ
ならず曲げ加工条件および加工後の熱処理条件までを総
合的に規定して、耐サワー性にも優れたベンド鋼管の強
度確保と靱性確保を行ったものであり、その要旨はつぎ
のとおりである。
%、Si:0.5 %以下、Mn:0.5 〜2.0 %、P:0.02%以
下、S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.1 %以
下、Ni:0.4 %以下、N:0.010 %以下、O:0.0035%
以下を含み、さらにTi:0.05%以下、Mo:0.5 %以下の
1種または2種を含有し、残部が不可避的不純物および
Feからなる母材に低酸素系フラックスおよび低炭素Ti-B
系溶接ワイヤを用いて内外面に1パス潜孤溶接を行い、
その後曲げ加工し、さらに熱処理する熱間ベンド鋼管の
製造方法であって、該熱間ベンド鋼管の溶接金属が、
C:0.02〜0.10%、Si:0.6 %以下、Mn:1.60%以下、
P:0.02%以下、S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、A
l:0.02%以下、Ni:0.4 %以下、N:0.010 %以下、
O:0.035 %以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなり、かつ溶接金属のPcmが0.07%以上、0.21
%以下となるように溶接し、その後Ac3 〜1100℃の温度
に加熱してから曲げ加工し、さらにその後、300 ℃以下
の温度まで50℃/sec以下の速度で強制冷却したのち、鋼
管全体を400 ℃から550 ℃の温度で10分以上加熱して0.
03℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする高
強度熱間ベンド鋼管の製造方法である。
%、Si:0.5 %以下、Mn:0.5 〜2.0 %、P:0.02%以
下、S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.1 %以
下、Ni:0.4 %以下、N:0.010 %以下、O:0.0035%
以下を含み、さらにTi:0.05%以下、Mo:0.5 %以下の
1種または2種を含有し、残部が不可避的不純物および
Feからなる母材に低酸素系フラックスおよび低炭素Ti-B
系溶接ワイヤを用いて内外面に1パス潜孤溶接を行い、
その後曲げ加工し、さらに熱処理する熱間ベンド鋼管の
製造方法であって、該熱間ベンド鋼管の溶接金属が、
C:0.02〜0.10%、Si:0.6 %以下、Mn:1.60%以下、
P:0.02%以下、S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、A
l:0.02%以下、Ni:0.4 %以下、N:0.010 %以下、
O:0.035 %以下を含有すると共に、さらにMo:0.5 %
以下、Ti:0.05%以下、B :0.0030%以下、Cu:0.5 %
以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなり、かつ溶接金属のPcmが
0.07%以上、0.21%以下となるように溶接し、その後Ac
3〜1100℃の温度に加熱してから曲げ加工し、さらにそ
の後、300 ℃以下の温度まで50℃/sec以下の速度で強制
冷却したのち、鋼管全体を400 ℃から550 ℃の温度で10
分以上加熱して0.03℃/sec以上の冷却速度で冷却するこ
とを特徴とする高強度熱間ベンド鋼管の製造方法であ
る。
る化学成分限定理由について以下に説明する。 C:Cは、0.02mass%( 以下%と略す)未満では必要強
度が得られず、0.10%を超えると溶接部の炭素量が増加
して溶接部の靱性を損なうので0.02〜0.10%の範囲とし
た。
5 %を超すと母材の靱性を劣化させるばかりか溶接金属
の靱性も劣化させるために0.5 %を上限とした。 Mn:Mnは、鋼の強度を確保するために、0.5 %以上は必
要である。しかし、2.0 %を超すと母材の靱性を劣化さ
せるために、0.5 〜2.0 %の範囲とした。 P:Pは、中心偏析を助長させる元素であり、低いこと
が好ましく、0.02%を上限とした。
劣化するとともに、水素誘起割れを起こしやすくなるた
めに、0.02%を上限とした。 Nb:Nbは、母材の強度を確保するために必要な元素であ
るが、本来、溶接金属の靱性確保の点からは少ないほう
がよく、0.05%を上限とすべきである。 Al:Alは、脱酸上必然的に含有される元素であるが、0.
1 %を超えるとHAZ靱性を劣化させるとともに、硫化
物応力腐食割れ感受性を上げるために上限を0.1 %とし
た。
よび溶接金属の靱性の面からは良好な元素であるが、鋼
板からの希釈により入り込むNiは溶接時に高温割れを起
こしやすく、また高温割れを起こさないまでも高温割れ
感受性を著しく高める元素であるばかりか、硫化物応力
腐食割れを非常に起こしやすいために、0.4 %を上限と
した。
%以下にする必要がある。0.01%を超えるN量では、母
材の希釈から、溶接金属中に溶け込むNにより溶接金属
中の固溶N量が増えることになり、溶接金属の靱性を低
減させるために0.01%を上限とすべきである。 O:Oは、鋼板においては、靱性を劣化させる有害元素
であるために低いほうが好ましく、0.0035%を超えて含
有する場合、靱性を劣化させるばかりか、酸化物系の介
在物として存在して硫化物応力腐食割れを非常に起こし
やすいために、0.0035%を上限とした。
分に、特にTiとBを含有するTi-B系の溶接ワイヤであれ
ば、通常ベンド鋼管の溶接に用いるものでよい。Tiは、
溶接金属中で酸素と結び付き、酸化物を形成する。この
酸化物が溶接金属のミクロ組織を微細化するので、溶接
金属は高強度と高靱性を確保することができる。また、
Bは溶接金属の焼入性を高める元素であるとともに、溶
接金属内にTiと同時に添加されることにより、溶接金属
内の粗大な粒界フェライトの生成を抑制して、溶接金属
のミクロ組織を微細化し、高強度と高靱性を確保するこ
とができる。
鋼管の溶接に用いるものであって、特に低酸素系のフラ
ックスを使用する。一般に、Ti、Bを含有する溶接ワイ
ヤを使用して溶接した場合、溶接金属中の酸素量をコン
トロールすることが非常に重要になる。すなわち、酸素
量が多すぎる場合、溶接金属中の介在物を増加させ、靱
性に悪影響を及ぼすとともに、上述のTi、Bの効果がな
くなり、溶接金属内に粗大な粒界フェライトが生成され
やすくなり、強度と靱性が劣化することになるからであ
る。溶接金属の付加成分としてTi、Bの金属粉ないし合
金粉を含んでもよい。
おける化学成分限定理由について説明すると以下のとお
りである。 C:テンパー後およびQT後の強度と靱性に非常に大き
な影響を及ぼす元素であり、0.02%未満では必要強度が
得られず、また0.10%超では強度的には満足できても高
靱性が得られず、しかも溶接金属の凝固割れ感受性が大
きくなるため、0.02〜0.10%の範囲とした。
ら溶接金属中に入るが、Siが0.6 %を超えると、QT部
およびテンパー部のいずれにおいても溶接金属の靱性が
低下するために0.6 %を上限とした。 Mn:Mnは溶接金属の脱酸の上では不可欠の元素であると
同時に強度、靱性の上からも重要な元素であるが、Mnが
1.6 %を超えると強度は高くなるが、焼入れ性が大きく
なりすぎてラス状組織となり、テンパー部の靱性が劣化
するために1.6%を上限とした。
であるため少ないほうが好ましく、溶接金属の靱性低下
を防止するためには0.02%以下とすべきである。 S:SもPと同様に溶接金属の靱性を劣化させる元素で
あるため少ないほうが好ましく、溶接金属の靱性低下を
防止するためには0.02%以下とすべきである。 Nb:溶接金属に含まれているNbは、溶接材料から添加さ
れているのではなく、母材から希釈されることによって
添加されている。本来、溶接金属の靱性確保の点からは
少ないほうがよく、0.05%を上限とすべきである。
されているが、0.02%を超えると溶接金属の靱性を劣化
させるので0.02%以下とすべきである。 Ni:Niは、前記のように、溶接金属の靱性の面からは良
好な元素であるが、溶接時に高温割れを起こしやすく、
また高温割れを起こさないまでも高温割れの感受性を著
しく高める元素であるばかりか、Niは硫化物応力腐食割
れを非常に起こしやすい元素であるために、Niが0.4 %
以上も多量に添加されている溶接金属を有するようなベ
ンド鋼管ではサワーの環境で使用する場合の材料として
は全く役に立たないために、その上限を0.4 %とした。
るために低いほうが好ましく、0.01%を上限とすべきで
ある。 O:Oは溶接のまま、QTおよびテンパー時のいずれの
状態においても溶接金属の靱性に大きく影響し、0.035
%を超えるような場合は溶接金属の靱性を劣化させるた
めに、0.035 %を上限とした。
し、任意成分として添加される各成分については以下の
とおりである。 Mo:Moは溶接ままの溶接金属靱性を向上させるのに有効
な元素であるが、QT時には著しい硬化元素であるため
に靱性低下を招くのでこれらのバランスから0.5 %を上
限とすべきである。
成長を抑制するとともに、冷却途中に生成するフェライ
ト粒を細かくする作用が顕著であるが、0.05%を超える
と組織が劣化して靱性が大幅に劣化するために上限を0.
05%とした。 B:Bは溶接ままおよびテンパー時の溶接金属の靱性向
上には効果的な元素であるが、B量が0.003 %を超える
とQT時の組織が劣化して靱性が劣化するため上限を0.
003 %とした。
金属内に添加されるが、0.5 %を超えると溶接金属に凝
固割れが生ずるようになるので、0.5 %を上限とした。 Pcmの限定理由は以下のとおりである。鋼管の溶接性を
表す指標として従来からPcmが用いられていることは良
く知られており、耐サワー鋼管用の溶接金属としては本
来Pcmが低いほうが好ましい。しかしながら、Pcmが0.
07%未満の溶接金属においては、QT時には充分な靱性
が得られるものの、溶接金属の焼入れ性が低いために、
テンパー部ではその組織が初析フェライト主体の組織に
なり、充分な靱性が得られないばかりか強度を満足させ
ることも困難である。すなわち、図1はPcmと溶接金属
の靱性の関係を表したグラフであるが、図1から、Pcm
=0.07%ではテンパー部、QT部ともに充分な靱性が得
られているが、Pcm=0.05%ではテンパー部の靱性が劣
化していることが明らかであるために、Pcmの下限を0.
07%とした。
%超となるような溶接金属の場合は、テンパー部の特性
は良好であるが、QT時に焼入れ性が高すぎるために上
部ベイナイト組織となり、靱性が著しく劣化することが
わかる。したがって、Pcmの上限を0.21%とした。次に
熱処理条件の限定理由について説明する。この発明にお
いては、ベンド鋼管曲げ部の焼入れ温度をAc3 〜1100℃
の温度範囲にする。これは、焼入れ温度がAc3 点未満の
場合は溶接金属の組織はオーステナイト組織にフェライ
ト組織が混入した組織となるために強度が低下し、1100
℃を超えると溶接金属の強度は充分であるがオーステナ
イト組織が粗粒化するために靱性が劣化するからであ
る。
速度が50℃/secを超えるような場合には、溶接金属に焼
きが入りすぎて、その組織が上部ベイナイト主体の組織
となり、QT部の靱性を著しく劣化させるために、300
℃以下までの冷却速度を50℃/sec以下とした。ただし、
この冷却速度は曲げ加工装置と溶接金属の化学組成およ
び板厚に大きく影響を受けるものであり、たとえば板厚
が非常に薄い場合は冷却速度はこの範囲外になることも
あり得るが、上記のように、冷却速度を限定する主旨は
溶接金属の組織を上部ベイナイト組織にしないことにあ
るため、溶接金属の組織が上部ベイナイト主体の組織に
ならないような冷却速度であればこの範囲外であっても
問題ないことはいうまでもない。
0 〜550 ℃に10分以上加熱したのち0.03℃/sec以上の冷
却速度で冷却する方法であり、この限定理由は以下の如
くである。すなわち、図2は溶接金属の靱性に及ぼすテ
ンパー温度の影響を示したものであるが、テンパーはAc
1 点以下の温度である600 ℃付近で行われるのが一般的
である。しかしながら図2から理解できるように、600
℃でテンパーした場合の溶接金属の靱性劣化は大きく-3
0 ℃での吸収エネルギー値は100J以下である。これに対
して400 ℃から550 ℃でテンパーした場合には靱性劣化
が抑制されており、-30 ℃での吸収エネルギー値が平均
100J以上になるような溶接金属が得られている。また、
400 ℃以下でテンパーした場合には靱性が劣化する傾向
が認められ、テンパー処理温度を400 〜550 ℃に限定し
た。
と冷却速度の関係を示したのであるが、溶接金属を加熱
したのち、100 ℃までを0.01℃/secで冷却した場合に
は、溶接金属の靱性が著しく劣化することが伺えるが、
100 ℃までを0.03℃/sec以上で冷却すれば溶接金属は高
靱性を保つ傾向が認められるためテンパー後の100 ℃ま
での冷却速度を0.03℃/sec以上に限定した。さらに、テ
ンパーの時間があまりにも短いと、テンパーにより応力
を除去する効果がなくなるが、テンパーの時間が10分以
上あればその効果が現れると考えられるために、テンパ
ー時間は最低10分以上とした。
説明すると以下のとおりである。本発明者らの用いた供
試鋼板はいずれも板厚18.9mmであり、表1に示すよう
に、0.05C−0.3Si −1.2Mn −0.05Nb−0.2Ni 系鋼板A
と、 0.1C−0.3Si −1.4Mn −0.02Nb−0.2Ni 系鋼板B
とをそれぞれ4電極サブマージアーク溶接法により両面
一層溶接し、試験片とした。その溶接条件は、前記鋼板
の内面側に4.9mm 、外面側に7.8mm で各45°と40°の開
先を形成し、内面は前極から溶接電流−電圧をそれぞれ
1050A−35V、 820A−38V、 630A−38V、 500A−
38V、溶接速度1750mm/min、外面は1130A−35V、 940
A−38V、 790A−38V、 600A−38V、溶接速度1800
mm/minで溶接した。
ては、表2に示すような化学組成を有する溶接ワイヤを
使用し、フラックスとしては表3に示すような高塩基性
フラックスを使用した。また、該フラックスにMn、Niあ
るいはCu粉を添加したものを使用した。
成は次の表4のとおりであった。ア〜カが本発明の範囲
内のものであり、キ〜サがその範囲から外れるものであ
る。
5のとおりである。表5中、実施例A〜Eは本発明にて
規定した熱処理範囲内のもの、比較例F〜Jはその範囲
から外れるものである。表中、Q処理とあるのは曲げ加
工時に付与される焼入れ条件、T処理とあるのはテンパ
ー条件を表す。
る試験片を用いて、表5に示す熱処理条件で曲げ加工お
よびテンパー処理に相当する熱履歴を付与した後、該溶
接金属の機械的性質を調べた結果を、つぎの表6〜表7
に示した。
にて規定した範囲内のもの、比較例No. 6〜10は熱処理
範囲が本発明にて規定した範囲から外れるものである。
実施例No. 1〜5はいずれも溶接金属のQT部とテンパ
ー部との双方とも-30℃においてシャルピー吸収エネル
ギーが100J以上である。また、各実施例では充分な引張
強度を有している。すなわち、本発明にて規定した範囲
内のものであれば溶接のままおよびQT後およびテンパ
ー後のいずれの状態においても高強度、高靱性を得てい
ることは明らかである。
の冷却速度が0.02℃/secであり、比較例No. 8はテンパ
ー時の冷却速度が0.02℃/secであり、かつテンパー温度
が550 ℃を超えており、比較例No. 9はテンパー温度が
550 ℃を超えており、比較例No. 10はテンパー温度が40
0 ℃未満であり、比較例No. 7は曲げ加工時の加熱温度
が1100℃を超えており、いずれもこの発明に規定した組
成の範囲外であるため、-30 ℃において、シャルピー衝
撃試験における衝撃エネルギーが、QT部あるいはテン
パー部で100J以下になっている。
本発明の範囲内であるが、溶接金属の化学組成が本発明
の範囲から外れる場合の比較例である。比較例No. 11、
12は溶接金属内のCが0.10%を超える場合、比較例No.
13、14は溶接金属内のMnが1.6 %を超える場合であり、
いずれも本発明で規定した化学組成の範囲外であるた
め、QT部あるいはテンパー部における-30 ℃のシャル
ピー吸収エネルギーが100J未満となり、靱性が劣化して
いることが明らかである。また、比較例No. 15、16は溶
接金属内のNiが0.4 %を超える場合であり、前記のよう
に耐SSC 性が著しく劣化していることが伺える。さらに
比較例No. 17はPcmが0.21%を超えるためにQT部に於
ける-30 ℃のシャルピー吸収エネルギーが100J未満であ
り、比較例No. 18はPcmが0.07%未満であるためにテン
パー部における-30 ℃のシャルピー吸収エネルギーが10
0J未満となっており、いずれも不適であることがわか
る。
すように、溶接金属にTi、B、Mo、Cuのいずれか1種あ
るいは2種以上を含む場合、これら元素を含まない表6
の実施例No. 1に比べて、溶接金属の低温靱性がさらに
向上している。
QT処理後の溶接金属とテンパー処理後の溶接金属とも
に高張力化と同時に優れた低温衝撃靱性を満足させ得る
ものであり、サワーの環境でも使用できる上に、また好
ましい低コスト化を図って溶接ベンド鋼管を製造し得る
ものであって、工業的にその効果は極めて大きい発明で
ある。
関係を示す特性図。
図。
Claims (2)
- 【請求項1】 mass%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.5
%以下、Mn:0.5 〜2.0 %、P:0.02%以下、S:0.02
%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.1 %以下、Ni:0.4 %
以下、N:0.010 %以下、O:0.0035%以下を含み、さ
らにTi:0.05%以下、Mo:0.5 %以下の1種または2種
を含有し、残部が不可避的不純物およびFeからなる母材
に低酸素系フラックスおよび低炭素Ti-B系溶接ワイヤを
用いて内外面に1パス潜孤溶接を行い、その後曲げ加工
し、さらに熱処理する熱間ベンド鋼管の製造方法であっ
て、 該熱間ベンド鋼管の溶接金属が、C:0.02〜0.10%、S
i:0.6 %以下、Mn:1.60%以下、P:0.02%以下、
S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.02%以下、N
i:0.4 %以下、N:0.010 %以下、O:0.035 %以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、か
つ溶接金属のPcmが0.07%以上、0.21%以下となるよう
に溶接し、その後Ac3 〜1100℃の温度に加熱してから曲
げ加工し、さらにその後、300 ℃以下の温度まで50℃/s
ec以下の速度で強制冷却したのち、鋼管全体を400 ℃か
ら550 ℃の温度で10分以上加熱して0.03℃/sec以上の冷
却速度で冷却することを特徴とする高強度熱間ベンド鋼
管の製造方法。 - 【請求項2】 mass%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.5
%以下、Mn:0.5 〜2.0 %、P:0.02%以下、S:0.02
%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.1 %以下、Ni:0.4 %
以下、N:0.010 %以下、O:0.0035%以下を含み、さ
らにTi:0.05%以下、Mo:0.5 %以下の1種または2種
を含有し、残部が不可避的不純物およびFeからなる母材
に低酸素系フラックスおよび低炭素Ti-B系溶接ワイヤを
用いて内外面に1パス潜孤溶接を行い、その後曲げ加工
し、さらに熱処理する熱間ベンド鋼管の製造方法であっ
て、 該熱間ベンド鋼管の溶接金属が、C:0.02〜0.10%、S
i:0.6 %以下、Mn:1.60%以下、P:0.02%以下、
S:0.02%以下、Nb:0.05%以下、Al:0.02%以下、N
i:0.4 %以下、N:0.010 %以下、O:0.035 %以下
を含有すると共に、さらにMo:0.5 %以下、Ti:0.05%
以下、B :0.0030%以下、Cu:0.5 %以下のいずれか1
種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなり、かつ溶接金属のPcmが0.07%以上、0.21
%以下となるように溶接し、その後Ac3〜1100℃の温度
に加熱してから曲げ加工し、さらにその後、300 ℃以下
の温度まで50℃/sec以下の速度で強制冷却したのち、鋼
管全体を400 ℃から550 ℃の温度で10分以上加熱して0.
03℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする高
強度熱間ベンド鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19044395A JP3887832B2 (ja) | 1994-07-27 | 1995-07-26 | 高強度熱間ベンド鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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