JPH0892272A - 癌悪液質治療物質fr177391 - Google Patents

癌悪液質治療物質fr177391

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JPH0892272A
JPH0892272A JP6246828A JP24682894A JPH0892272A JP H0892272 A JPH0892272 A JP H0892272A JP 6246828 A JP6246828 A JP 6246828A JP 24682894 A JP24682894 A JP 24682894A JP H0892272 A JPH0892272 A JP H0892272A
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methanol
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culture
cells
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Application number
JP6246828A
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English (en)
Inventor
Bunji Sato
文治 佐藤
Katsuhiko Ito
勝彦 伊藤
Takashi Fujita
隆 藤田
Shigehiro Takase
茂弘 高瀬
Hiroshi Terano
紘 寺野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 セラチア(Serratia)属に属する微
生物(例えばSerratia liquefacie
ns No.1821)を培養して、酸性淡黄色粉末、
FR177391物質を製造する。 【効果】 この物質は、癌悪液質治療剤、抗腫瘍剤等と
して利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、FR177391物
質、その製法及び用途に関するものである。FR177
391物質は、微生物、特に細菌の培養物から分離採取
された従来未知の新規物質であり、すぐれたリポプロテ
インリパーゼ(以下、LPLということもある)活性回
復作用を示し、癌悪液質治療剤及び制癌剤等該作用に基
ずく各種の医薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】悪液質は、カヘキシー(cachexy)とも
いわれ、現在、結核、血友病、癌腫、梅毒等の際に全身
状態の衰弱を招来する悪態症の同義語として用いられて
いる。そして、特に、癌悪液質は、QOLの考えから臨
床上注目されている。悪液質にあっては、担癌患者は体
重減少、貧血、皮膚乾燥、浮腫あるいは食欲不振に陥
り、化学療法や放射線療法の副作用が出やすく、また栄
養不良による免疫力低下のために二次感染を招きやすく
なる。
【0003】このような悪液質を予防、治療する医薬と
しては、その有効なスクリーニング法が確立されていな
いこともあって、特効薬は未だ開発されておらず、当業
界においては、すぐれた悪液質治療の開発が強く望まれ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
当業界における要望に応えるためになされたものであっ
て、新規にして卓越した悪液質治療薬を開発する目的で
なされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、各方面から検討の結果、先ずはじめに、悪液質にか
かった患者では、血漿中のリポプロテインリパーゼ(L
PL)活性が体重減少の程度とよく相関して減少してい
ることに着目した。
【0006】一方、細胞レベルにおいてLPL活性をみ
てみると、3T3L1細胞はデキサメサゾン(1μ
M)、イソ−ブチル−メチル−キサンチン(0.5m
M)およびインシュリン(10μg/ml)を加えて培
養すると脂肪細胞に分化し、LPL活性が誘導される。
その過程において、BCG次いでLPSを投与したウサ
ギ血清を添加(最終濃度2%)すると、LPL活性発現
が抑制される。
【0007】本発明者らは、これらの点に着目し、この
系を利用する悪液質治療剤のスクリーニング法を開発す
るに至った。すなわち、LPL活性誘導細胞にBCG
(結核菌のメンブランフラクション)次いでLPS
(E.coli由来のトキソイド)投与ウサギ血清を添
加してLPL活性発現を抑制せしめた後、試験サンプル
を加えてLPL活性を回復せしめ、ウサギ正常血清を添
加したレベルにまで回復したものを、有効なものとして
スクリーニングする方法を開発することに成功したので
ある。
【0008】更にまた、LPL活性の測定も、検鏡によ
り脂肪細胞への分化程度を観察したり、必要に応じて比
色法にてLPL活性の定量を行ったりすることにより、
簡便且つ正確に行うことができることも併せ確認して、
スクリーニング系を全体的に完成させた。
【0009】他方、本発明者らは、微生物の発酵生産物
について探索を続けており、ニュージーランドから得ら
れた土壌より新たに分離したNo.1821株の培養物
から分離抽出した物質を、上記スクリーニング法によっ
て検討したところ、すぐれたLPL活性の抑制を回復
(ないし拮抗)する作用を有するという新知見を得、そ
して更にこの物質についてその理化学的性質を詳細に研
究したところ、従来未知の新規物質であることを確認
し、この物質を新たにFR177391物質と命名し、
そして更に研究の結果、その工業的製法を確立し、本発
明を完成するに至った。
【0010】本発明に係るFR177391物質は、下
記表2、表3、表4に示される理化学的性質を有する新
規物質である。
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
【表4】
【0014】本発明に係るFR177391物質は、例
えばニュージーランドで採取した土壌サンプルから新た
に分離したNo.1821株によって生産される。以下
にNo.1821株の菌学的性質を示すが、分類学的研
究は、主に下記の文献1)、2)に記載された方法にし
たがった。 1)Krieg, N.R. and Holt, J.G. ed.: Bergey's Manua
l of SystematicBacteriology, Vol.1 Williams and Wi
lkins company, Baltimore, 1984 2)Cowan, S.T. ed.: Manual for the Identification
of Medical Bacteria,Cambridge University Press, 1
974
【0015】(1)形態的特徴 本菌株をニュートリエント寒天培地上において30℃、
24時間生育せしめた後、光学顕微鏡及び電子顕微鏡で
形態の観察を行った。その結果を下記の表5に示した。
その結果から明らかなように、本菌株は、グラム陰性、
運動性の細菌である。本菌株のニュートリエント寒天培
地でのコロニーは、smooth, pale yellow, circular, e
ntire-edgedであった。胞子の形成は認められなかっ
た。細胞は、0.5〜0.8×1.0〜2.0μmの大
きさである。
【0016】
【表5】
【0017】(2)生理的特徴 本菌株の生理的特徴を下記の表6〜8に示した。
【0018】
【表6】
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】上記結果から明らかなように、本菌株の生
育温度範囲は、3℃から34℃であった。本菌株は、カ
タラーゼ、クエン酸の資化性、硝酸塩の還元、エスカリ
ンの加水分解、ONPG試験、DNase,VP試験、ゼ
ラチン液化、Tween80加水分解、カゼイン加水分
解及びリジンデカルボキシラーゼの試験はいずれも陽性
であった。本菌株のO−F試験は、醗酵的であった。オ
キシダーゼ活性、インドール生成、澱粉の分解、いずれ
も陰性であった。D−グルコース、D−キシロース、D
−フラクトース、D−マンニトール、D−ソルビトー
ル、D−マンノース、D−トレハロース、グリセリン、
イノシトール、シュークロース、サリシンより、酸の生
成がみられた。また、D−グルコース、D−キシロー
ス、D−フルクトース、D−マンニトール、D−ソルビ
トール、D−マンノース、D−トレハロース、グリセリ
ン、イノシトール、シュークロース、及びマルトースを
資化した。
【0022】(3)同 定 以上の特徴をBergey's Manual of Systematic Bacterio
logy(Vol.1)より検索した結果、No.1821株
は、セラチア(Serratia)に属するものと考え
られ、本菌株を、セラチア リクファシエンス(Ser
ratia liquefaciens)No.182
1と同定し、これを通産省工業技術院生命工学工業技術
研究所に、FERM P−14475として寄託した
(寄託日:平成6年8月18日)。
【0023】FR177391物質の生産は、単に説明
を目的として挙げただけの本明細書記載の特定の微生物
の使用に限定されるものではないことを理解するべきで
ある。この発明は、記載の微生物からX線照射、紫外線
照射、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニ
ジン、2−アミノプリン等の変異処理により取得できる
人工変異株並びに自然変異株を含めてFR177391
物質を生産しうる全ての変異株の使用をも包含するもの
である。
【0024】本発明に係るFR177391物質は、細
菌に属する該物質生産菌(例えばNo.1821株)を
資化しうる炭素及び窒素源を含む栄養培地中に接種し、
好気条件下で培養することにより(例えば、振とう培
養、通気撹拌培養等)、生産せしめることができる。
【0025】炭素源としては、グルコース、シュークロ
ース、澱粉、変性澱粉、フラクトース、グリセリンその
他の炭水化物を使用するのが好ましい。
【0026】窒素源としては、オートミール、酵母エキ
ス、ペプトン、グリテンミール、綿実粉、綿実油粕、大
豆粉、コーンスティープリカー、乾燥酵母、小麦胚芽、
落花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)尿素、アミノ酸
等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用することが
できる。
【0027】これらの炭素源及び窒素源は、併用するの
が有利であるが、純粋なものを必らずしも使用する必要
はない。不純なものには生長因子や微量要素が含まれて
いる場合などもあり、有利な場合があるからである。
【0028】必要ある場合には、例えば次のような無機
塩類を培地に添加してもよい;炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリ
ウム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等。
【0029】特に、培地が強く発泡するのであれば、必
要に応じて、液体パラフィン、動物油、植物油、鉱物
油、シリコン等を添加してもよい。
【0030】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気撹拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。また、培養を大きなタンクで行う場合、
FR177391物質の生産工程において菌の生育遅延
を防止するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を
接種培養した後、次に培養物を大きなタンクに移してそ
こで生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に使
用する培地及び生産培養に使用する培地の組成は、両者
ともに同一であってもよいし必要あれば両者を変えても
よい。
【0031】培養は通気撹拌条件で行うのが好ましく、
例えばプロペラやその他機械による撹拌、ファーメンタ
ーの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹込み等既
知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌したも
のを用いる。
【0032】培養温度は、FR177391物質生産菌
が本物質を生産する範囲内で適宜変更しうるが、通常は
1〜40℃、好ましくは23〜30℃で培養するのがよ
い。培養時間は、培養条件や培養量によっても異なるが
通常は約1日〜1週間である。
【0033】発酵終了後、培養物から目的とするFR1
77391物質を回収する。すなわち、菌体は、直接水
及び/又は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機械
的に又は超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水及
び/又は有機溶媒で抽出した後、常法にしたがって回
収、精製する。培養液の場合は、直接、常法にしたがっ
て回収、精製すればよい。
【0034】回収、精製方法としては、例えば、水、有
機溶媒、これらの混合溶媒による溶媒抽出;クロマトグ
ラフィー;単一溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が
適宜単独であるいは組合わせて使用できる。
【0035】FR177391物質の回収、精製は上記
のような既知の方法を適宜利用して行うが、例えば次の
ようにしてもよい。培養物をアセトンで抽出し、さらに
酢酸エチルで抽出した後、クロマトグラフィーで精製す
る。FR177391物質は酸性物質であり、塩基と反
応して塩を形成することができる。FR177391物
質は遊離の状態(FR177391物質自体)でも回
収、精製することができるし、またそれらの塩としても
回収、精製できる。また、これらは常法により相互に交
換することもできる。FR177391物質の塩基との
塩としてはナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金
属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類
金属塩などが挙げられる。
【0036】本発明に係るFR177391物質は、後
記するところからも明らかなように、すぐれたLPL活
性抑制に対する拮抗(回復)作用を有することが確認さ
れ、且つ低毒性で安全性も高いことが確認され、LPL
活性抑制に対する拮抗(回復)剤として有用であり、悪
液質治療剤、抗腫瘍剤として非常に有効である。
【0037】したがって本発明に係る物質は、医薬の有
効成分として使用することができ、このような医薬も本
発明に包含されるものである。本発明に係る薬剤組成物
は、FR177391物質及び/又はその塩を有効成分
としてこれに常用される無機又は有機の担体を加えて、
固体、半固体又は液体の形で、経口投与剤のほか、外用
剤等の非経口投与剤に製剤化する。
【0038】経口投与のための製剤としては、錠剤、丸
剤、顆粒剤、軟・硬カプセル剤、散剤、細粒剤、粉剤、
乳濁剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、エリキシル
剤等が挙げられる。非経口投与のための製剤としては、
注射剤、点滴剤、輸液、軟膏、ローション、トニック、
スプレー、懸濁剤、油剤、乳剤、坐剤等が挙げられる。
本発明の有効成分を製剤化するには、常法にしたがえば
よく、界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、
安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張剤その他常用される佐薬
を適宜使用する。
【0039】本発明に係る薬剤組成物の投与量は、その
種類、治療ないし予防対象疾病の種類、投与方法、患者
の年令、患者の症状、処理時間等によって相違するが、
静脈投与の場合は成人ひとり当り1日に有効成分(FR
177391または/およびその塩)を0.01〜10
00mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/kg
投与し、筋肉投与の場合は同じく0.01〜1000m
g/kg、好ましくは0.1〜100mg/kg投与
し、経口投与の場合は0.5〜2000mg/kg、好
ましくは1〜1000mg/kgの範囲内で投与する。
【0040】以下、本発明を実施例について更に詳しく
説明する。
【0041】
【実施例1:FR177391の発酵生産】
【0042】(1)培養 酵母エキス(0.5%)、ポリペプトン(1%)、塩化
ナトリウム(0.5%)の組成の種培地を500ml容
エルレンマイヤーフラスコ15本にそれぞれ120ml
ずつ加え、120℃で30分間滅菌する。それらにSe
rratialiquefaciens No.182
1株(FERM P−14475)の斜面培養物をそれ
ぞれ1白金耳ずつ接種し、ロータリーシェーカーで毎分
250回転、30℃で1日振とう培養する。あらかじめ
グリセリン(2%)、グルコース(1%)、コーンステ
ィープリカー(1%)、脱脂大豆粉(1%)、肉エキス
(0.2%)、硫酸アンモニウム(0.2%)、硫酸マ
グネシウムの7水和物(0.01%)、炭酸カルシウム
(0.2%)の組成物の培地(pH7.0)100Lを
30L容ジャーファーメンター5基中に20Lずつ注入
し、120℃で30分間滅菌したあと、上記培養物を3
60mlずつ接種して、通気量1VVM、撹拌速度毎分
200回転、培養温度25℃にて、3日間培養する。
【0043】(2)精製 培養終了後、培養物(100L)に等量のアセトンを加
え、1時間室温にて抽出する。けい藻土4kgを添加
し、ろ過する。得られたろ液(160L)を100Lま
で減圧濃縮する。この濃縮物のpHを7に修正したあ
と、等量の酢酸エチルを加え、抽出する。抽出残査に再
び等量の酢酸エチルを加え、抽出を繰り返す。得られた
抽出液を減圧濃縮し、得られた油状物質(30g)をシ
リカゲルクロマトグラフィー(1L)に付す。このカラ
ムをn−ヘキサン(3L)、n−ヘキサンおよび酢酸エ
チル(1:1;v/v)の混液(3L)、酢酸エチル
(3L)、酢酸エチルおよびアセトン(1:1;v/
v)の混液(3L)、アセトン(3L)で洗った後、ア
セトンおよびメタノール(1:1;v/v)の混液(3
L)で溶出する。
【0044】活性溶出液を減圧濃縮し、得られた油状物
質(2.6g)を再びシリカゲルクロマトグラフィー
(100ml)に付す。カラムをジクロロメタン(30
0ml)、ジクロロメタンおよびメタノール(50:
1;v/v)の混液(300ml)、ジクロロメタンお
よびメタノール(20:1;v/v)の混液(300m
l)、ジクロロメタンおよびメタノール(10:1;v
/v)の混液(300ml)で洗った後、ジクロロメタ
ンおよびメタノール(5:1;v/v)の混液(300
ml)、次いでジクロロメタンおよびメタノール(2:
1;v/v)の混液(300ml)で溶出する。活性溶
出液を減圧濃縮し、得られた油状物質(180mg)を
10mlのメタノールに溶かす。このメタノール溶液を
逆相樹脂「YMC ODS−AM」(商標、YMC社
製)(ODS−AM 120−S−50タイプ)を充填
したカラム(350ml)に付す。カラムを35%水性
アセトニトリル−50mMリン酸バッファー(pH7.
0)にて展開し、活性画分を減圧濃縮し、溶媒を除去し
た後に酢酸エチルで抽出する。得られた抽出液を減圧濃
縮し、粗粉末102mgを得る。
【0045】粗粉末をシリカゲルクロマトグラフィー
(10ml)に付す。このカラムをn−ヘキサン(30
ml)、n−ヘキサンおよびアセトン(1:1;v/
v)の混液(30ml)、アセトン(30ml)、アセ
トンおよびメタノール(3:1;v/v)の混液(30
ml)で洗った後、アセトンおよびメタノール(1:
1;v/v)の混液(30ml)、次いでメタノール
(30ml)で溶出する。活性画分を減圧濃縮し、得ら
れた粗粉末36mgを1mlのメタノールに溶かす。こ
のメタノール溶液を逆相樹脂「YMC ODS−AM」
(商標、YMC社製)(ODS−AM 120−S−5
タイプ)を充填したHPLCカラムAM−303(i.
d.250×4.6mm)に付す。カラムを35%水性
アセトニトリル−50mMリン酸バッファー(pH7.
0)にて展開し、活性画分を減圧濃縮し、溶媒を除去し
た後に酢酸エチルで3回抽出する。得られた抽出液を合
わせて減圧濃縮し、乾燥してFR177391物質の粉
末(25mg)を得る。
【0046】
【実施例2:FR17731の生物化学的性質】
【0047】(1)BCG及びLPS投与ウサギ血清
(2%)による3T3L1細胞のLPL活性抑制に対す
る拮抗(回復)作用」 次のようにして、LPL活性抑制に対するFR1773
91物質の拮抗作用ないし回復作用を測定した。
【0048】i)方法 BCG及びLPS投与ウサギ血清:白色家兎New Z
ealand White(12週令、雌)の耳静脈か
ら経皮用乾燥BCG(日本BCG製造(株))を40m
g(/ml/head)を投与し、2週間飼育したあ
と、さらに耳静脈からLPS(E.coli B8,D
ifco)100μg(/ml/head)を投与す
る。投与1時間30分後、ウサギ耳静脈より全血採血
し、血液を37℃で2時間、静置した後、遠心分離(3
000rpm、10min)により、血清画分を得る。
血清は、56℃、30分間加熱処理により非働化し、さ
らにミリポアフィルターでろ過滅菌したものを実験に供
した。
【0049】MEM培地(10%ウシ胎児血清FBS添
加)を用いてF75フラスコ(コーニング社)で継代培
養してきた3T3L1細胞を、トリプシン処理して得た
細胞懸濁液を、2×104cells/wellになる
ように96穴マイクロタイタープレートに撒いた。37
℃、5%CO2インキュベーター中で2日間培養した。
培養2日後、培養培地(MEM+10%FBS)を抜き
取り、分化誘導培地(デキサメサゾン1μM、イソ−ブ
チル−メチル−キサンチン0.5mMおよびインシュリ
ン10μg/ml含有のMEM培地)を100μlずつ
新たに加え、さらに培養を続けた。培養2日後(培養開
始4日目)に、培養培地を抜き取り、ウサギ血清(1.
5〜2%)を含むMEM培地で、希釈したサンプル液1
00μlを加え、さらに5日間培養した後、3T3L1
細胞の脂肪細胞への分化程度を、LPL活性定量あるい
は細胞の分化程度を検鏡することによって測定した。
【0050】この測定により、BCG次いでLPSを投
与したウサギ血清による3T3L1細胞の脂肪細胞への
分化に伴うLPL活性発現の抑制に対する、サンプルの
回復作用を検討することが可能となった。
【0051】LPL活性の測定:LPL活性はLPLを
96穴の各穴細胞を凍結融解した後ヘパリンで細胞から
溶出させた培養液を酵素液(10μl)として、これに
ウシ血清アルブミン(2%)、硫安(0.05%)、基
質としてトリグリセライド・エマルジョン(1%)を加
え、反応液総量50μlを用いてNEFACテストワコ
ー・キットによりFFAを定量して、LPL活性の測定
を行った。
【0052】ii)結果 BCG次いでLPSを投与したウサギ血清による3T3
1細胞の脂肪細胞への分化に伴うLPL活性発現の抑
制に対するFR177391物質の拮抗(回復)作用濃
度ED50:ng/ml)は、次のとおりであった。 FR177391物質:0.01〜0.02
【0053】(2)TNF−αによる3T3L1細胞の
LPL活性抑制に対する拮抗作用 i)3T3L1細胞を前述(1)の方法に従って培養
し、分化誘導培地添加した培養後、ヒトTNF−α(2
5ng/ml)を含むMEM培地で希釈したサンプルを
加え分化を抑制させ、さらに5日間培養して、TNF−
αによる3T3L1細胞の脂肪細胞への分化抑制に対す
る回復程度を測定した。
【0054】ii)結果 FR177391物質のLPL活性抑制に対する拮抗
(回復)作用濃度(ED50:ng/ml)は、次のとお
りであった。 FR177391物質:0.5〜1.0
【0055】(3)抗腫瘍活性(in vitro)
(細胞毒性) FR177391のヒト乳腺癌(MCF−7)、ヒト肺
腺癌(A549)、ヒトT細胞白血病(Jurka
t)、ヒト組織球性リンパ腫(U937)、SV40形
質転換ヒト線維芽細胞(293SV40)、マウス白血
病細胞(P388)および対照としてマウス骨髄細胞に
対する細胞増殖抑制活性を調べた。活性検定は常法によ
ったが、細胞濃度5×103/wellで培養を開始
し、4日目に生細胞数をMTT法にて定量した。ただ
し、マウス骨髄細胞については1.5×104/wel
lの細胞濃度を用いた。結果を表9にまとめた。
【0056】
【表9】
【0057】上記結果から明らかなように、癌細胞であ
るMCF−7、Jurkat、U937、293SV4
0及びP388に対して、FR177391物質はすぐ
れた抗腫瘍活性を示すものである。
【0058】(4)毒性試験 生後5週令のICR系雌マウス5匹にFR177391
物質を5mg/kgの投与量で毎日1回、3日間連続腹
腔内注射したが死亡例はなく、体重増加も無投与マウス
群と全く同じであり、FR177391物質の安全性の
高さが確認された。
【0059】
【実施例3:注射剤の製造】 (1)実施例1で製造したFR177391物質 5g (2)食塩 9g (3)炭酸水素ナトリウム 1g
【0060】(1)〜(3)の全成分を蒸留水100m
lに溶解した後、アンプルに1mlずつ分注して、注射
剤100本を製造した。
【0061】
【発明の効果】本発明は、FR177391物質を提供
するものであるが、この物質は従来未知の新規物質であ
って、すぐれたLPL活性抑制に対する拮抗作用ないし
回復作用を示し、癌悪液質治療剤、抗腫瘍剤等LPL活
性回復医薬製剤として各種の医薬品に利用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FR177391物質の1H核磁気共鳴スペク
トルを示すチャートである。
【図2】FR177391物質の13C核磁気共鳴スペク
トルを示すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:425) (72)発明者 寺野 紘 茨城県土浦市真鍋2600−3

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記表1に示される物性を有することを
    特徴とするFR177391物質。 【表1】
  2. 【請求項2】 FR177391物質生産菌を培養して
    FR177391物質を生産せしめ、これを採取するこ
    とを特徴とするFR177391物質の製造方法。
  3. 【請求項3】 FR177391物質生産菌がセラチア
    (Serratia)属に属する微生物であることを特
    徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 FR177391物質を有効成分とする
    リポプロテインリパーゼ(LPL)活性回復医薬製剤。
  5. 【請求項5】 LPL活性回復医薬製剤が癌悪液質治療
    剤である請求項4に記載の医薬製剤。
  6. 【請求項6】 LPL活性回復医薬製剤が抗腫瘍剤であ
    る請求項4に記載の医薬製剤。
JP6246828A 1994-09-16 1994-09-16 癌悪液質治療物質fr177391 Pending JPH0892272A (ja)

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