JP6943544B2 - インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板およびその製造方法に関する。
電磁鋼板は、主にモータやトランス等の鉄芯として用いられる。鉄芯を構成する電磁鉄板間に導通があると、鉄芯は厚いブロックと同じことになり、電磁鋼板の板厚を冷間圧延により0.2〜0.35mm程度に薄くすることによる渦電流損低減効果が消失する。このため、電磁鋼板は、その表面を絶縁皮膜で被覆されて使用される。
鉄芯は、一般的に、絶縁皮膜が形成された電磁鋼板を所定の形状に連続的に打ち抜いた後、得られた多数の打ち抜き材を積層し、それらを溶接、またはかしめとよばれる凹凸部を嵌合させる方法等によって一体化することにより、形成される。
一体化により形成された鉄芯は、そのまま電気機器に組み込まれるものと、700℃から800℃前後の温度で焼鈍されてから電気機器に組み込まれるものとがある。後者の焼鈍は歪取り焼鈍といわれる。歪取り焼鈍は、打ち抜き/せん断時に鋼板に導入されたせん断歪、端面部の溶接により発生する熱歪、さらにはかしめ部の塑性変形歪などを焼鈍により除去ないし低減して、鉄心としての磁気特性を高めることを目的として、行われる。
近年、産業用モータ,エアコンのコンプレッサー用モータ等のVVVF(可変電圧可変周波数)、蛍光灯,IH炊飯器,電磁調理器等のCVVF(一定電圧可変周波数)、コンピュータの電源装置等のCVCF(一定電圧一定周波数)といった、半導体素子を用いた電源(インバータ電源)の普及により、電気機器の力率を改善し、無効なエネルギー消費を削減するリアクトル鉄芯に対する需要が高まっている。インバータ電源用リアクトル鉄芯では、電磁鋼板の主に圧延方向の磁化特性のみを活用して巻鉄芯あるいは積鉄芯を構成する。
インバータ電源は、通常の商用周波数よりも高周波で駆動されることが多く、鉄芯材料の磁歪変形(金属材料に外部から磁界をかけると寸法が変化する現象)により人間の聴感の高い周波数の騒音を発生するおそれが高まっている。
低磁歪の材料としては6.5質量%Si鋼板がよく知られる。6.5質量%Si鋼板は、Si含有量が高いために電気抵抗が高い上、飽和磁歪定数λsがほぼ零であるために磁気特性も良好である。
しかし、6.5質量%Si鋼板は、Si含有量が高いために脆性が高く、鉄芯への加工の際の剪断加工性や曲げ加工性が著しく低い。このため、6.5質量%Si鋼板は、3質量%鋼に圧延を行って所定の板厚にした後に高温に加熱し、表面からSiを拡散させることにより製造する必要があり、製造コストが嵩む。このため、6.5質量%Si鋼板では、高生産性で安価に鉄芯を製造することができない。
特許文献1には、Si:2.0〜4.0質量%およびMn:0.005〜3.0質量%を含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有し、実質的に{100}<001>方位粒を二次再結晶によって発達させることにより、50Hzの交流で1.5Tに励磁したときの圧延方向と板幅方向の磁歪の和が8×10−6以下である、騒音特性に優れた電磁鋼板が開示されている。
特許文献2には、Siを4.9〜7.1質量%含有し、表面粗度がRmaxで3.5μm以上の絶縁コーティングを有する軟磁性電磁鋼板を用いる低騒音の鉄芯が開示されている。
特開2001−181803号公報 特開平4−361508号公報
特許文献1により開示された電磁鋼板は、確かに騒音特性に優れるものの、インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板として用いるためには、騒音特性をさらに改善する必要がある。
特許文献2により開示される積層鉄芯に用いられる軟磁性電磁鋼板は、いわゆる6.5質量%Si鋼板に属するものであり、低加工性に起因した製造コストの上昇は否めないとともに、二次再結晶組織(粗大結晶粒)を前提とするものであるために焼鈍工程が多く、このような面からも製造コストが嵩む。
このように、特許文献1,2により開示された発明に基づいても、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性を、加工性に優れた電磁鋼板により実現することは、できない。
本発明の目的は、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性を、加工性に優れた電磁鋼板で実現することである。
本発明者らは、無方向性電磁鋼板(製品板)の磁歪特性を測定した際に、意外にも、鉄芯の一体化後により行われる歪取り焼鈍によって、圧延方向の磁歪値が増大する現象が発現することを知見した。すなわち、2.0〜4.0質量%のSiを含有する無方向性電磁鋼板の圧延方向の磁歪特性が、歪取り焼鈍を施すことにより却って高磁歪となる。
この現象は、仕上げ焼鈍の冷却中に導入される残留歪が消磁状態での電磁鋼板の磁化分布に影響を与え、消磁状態で圧延直角方向の磁化成分が増加する磁化分布になり、これにより、圧延方向の磁歪特性を改善する、すなわち、無方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍時に鋼板に適切な残留歪を与えておき、圧延方向の磁歪特性を改善できる。
本発明者らは、この現象を利用して、仕上げ焼鈍により適度な残留歪を導入することによって低磁歪の電磁鋼板を製造できることに想到し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。本発明は、以下に列記の通りである。
(1)化学組成が、質量%で、Si:2.0〜4.0%、Al:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0〜0.2%、Sn:0〜0.3%、残部Feおよび不純物であり、圧延方向の磁歪値λ0−p(1.5T)の750℃での歪取り焼鈍による増加率が20%以上である、インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
(2)前記化学組成がP:0.2%以下である、1項に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
(3)前記化学組成がSn:0.3%以下である、1項または2項に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
(4)前記磁歪値λ0−p(1.5T)の前記歪取り焼鈍前の絶対値が3×10−6以下である1項から3項までのいずれかに記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
(5)スラブに熱間圧延を行い、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終板厚とし、仕上げ焼鈍を行うことにより、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板を製造する方法であって、
前記仕上げ焼鈍における通板時の700℃から500℃までの冷却時の通板張力UTを1.0MPa≦UT≦8.0MPaにするとともに、
前記冷却時の冷却速度CRを3K/sec≦CR≦30K/secにする、
インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
(6)前記通板時の700℃〜600℃の領域における通板張力UTHと、前記通板時の600℃〜500℃の領域における通板張力UTLとの比(UTH/UTL)が1.0超である、5項に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
本発明により、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性を、加工性に優れた2〜4質量%Si鋼板により実現することができ、これにより、インバータ駆動のリアクトル鉄芯から発生する騒音を低減することができる。
本発明を説明する。以降の説明では、化学組成に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板
(1)化学組成
はじめに必須元素を説明する。
(1−1)Si:2.0〜4.0%
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を改善する必須元素である。Si含有量が2.0%未満ではこの効果を得られず、またオーステナイト変態を生じ、熱延組織が大きく変化する他、仕上げ焼鈍において変態し、良好な磁気特性を得ることができない。このため、Si含有量は、2.0%以上であり、2.5%以上が好ましく、3.0%以上がさらに好ましい。
一方、Si含有量が4.0%を超えると鋼板の加工性が悪化し、さらに飽和磁束密度Bsも低下する。このため、Si含有量は、4.0%以下であり、3.8%以下が好ましく、3.5%以下がさらに好ましい。
(1−2)Al:0.1〜2.0%
Alは、Siと同様に電気抵抗を高めて鉄損を改善するのに有効な元素であるために、Al含有量は、0.1%以上であり、0.3%以上が好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。
しかし、Alは飽和磁束密度Bsを大きく低下させ、また飽和磁歪定数λsを高くする元素であるために、Al含有量は、2.0%以下であり、1.5%以下が好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。
(1−3)Mn:0.1〜3.0%
Mnは、熱間加工性を良好にするために有効な元素である。Mn含有量が0.1%未満ではこの効果を得られない。このため、Mn含有量は、0.1%以上であり、0.3%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがさらに好ましい。
一方、Mn含有量が3.0%を超えると、オーステナイト変態が生じるようになる。このため、Mn含有量は、3.0%以下であり、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
次に、任意元素を説明する。
(1−4)P:0.2%以下
Pは、不純物であるが、0.2%までの含有は許容される。P含有量は低いほど好ましいが、P含有量を0.01%未満に低減するには、製鋼コストが嵩む。このため、P含有量は実質的には0.01%以上0.2%以下である。
(1−5)Sn:0.3%以下
Snは、鉄損の改善に有効な元素であるが、Sn含有量が0.3%を超えると、脆性が著しく劣化する。このため、Sn含有量は、0.3%以下であり、0.2%以下が好ましく、0.15%以下がさらに好ましい。鉄損改善効果を確実に得るためには、Sn含有量は、0.01%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがさらに好ましい。
上記以外の残部はFeおよび不純物である。
(2)圧延方向の磁歪値λ0−p(1.5T)の750℃での歪取り焼鈍による増加率:20%以上
本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板では、適正な圧延方向歪の残留量の指標として、750℃での歪取り焼鈍を施す前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率は、20%以上であり、好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
すなわち、後述する仕上げ焼鈍の冷却中に導入される残留歪が消磁状態での電磁鋼板の磁化分布に影響を与え、消磁状態で圧延直角方向の磁化成分が増加する磁化分布になるために、圧延方向の磁歪特性を改善する。これにより、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性を改善することができる。
(3)磁歪値λ0−p(1.5T)の歪取り焼鈍前の絶対値:3×10−6以下
磁歪値λ0−p(1.5T)の歪取り焼鈍前の絶対値は、3×10−6以下であることが好ましい。これにより、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性をいっそう改善することができる。
(4)加工性
リアクトルコアの一形態である積層コアでは、矩形あるいは台形の短冊状に打抜き型に剪断加工された後に、積層されて使用される。その際、剪断加工性の悪い材料では、矩形短冊の四隅を、半径Rを付けた円弧上に加工しないと、脆性のために割れが生じてしまう。本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、剪断加工性が良好であり、この半径Rを2mm以下に、より好ましくは1mm以下に、最も好ましくは0.5mm以下にすることができる。
また、リアクトルコアのもう一つの形態である巻コアでは、フープ状の電磁鋼板をコイル状に巻き取った後、コアの占有スペースを小さくするために、四隅に小さな曲率を有する矩形コアに成形する。本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、曲げ加工性が良好であり、この時の最小半径Rを5mm以下に、より好ましくは3mm以下に、最も好ましくは2mm以下に成形できる。
2.本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の製造方法
本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、以下に列記の工程により製造される。
(2−1)熱間圧延工程
まず、熱間圧延に供されるスラブの化学組成を説明する。
C:0.005%以下
Cは、長時間の鉄的効果によって炭化物として析出すると、鉄損が劣化し、透磁率が低下する。このため、スラブのC含有量は、0.005%以下であり、好ましくは0.003%以下である。
Si:2.0〜4.0%
スラブのSi含有量の理由は、電磁鋼板のSi含有量の理由と同じである。
Al:0.1〜2.0%
スラブのAl含有量の理由は、電磁鋼板のAl含有量の理由と同じである。
Mn:0.1〜3.0%
スラブのMn含有量の理由は、電磁鋼板のMn含有量の理由と同じである。
スラブは、必要に応じて、P:0.2%以下、Sn:0.3%以下をさらに含有してもよい。P,Snの含有量の理由は、電磁鋼板のP,Sn含有量の理由と同じである。
上記の化学組成に調整した溶鋼を通常の造塊法や連続鋳造法を用いてスラブとする。また、直接鋳造法を用いて100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造するようにしてもよい。
スラブは、通常の方法により加熱して熱間圧延して熱延板とするが、スラブに鋳造した後に加熱せずに直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を行ってもよいし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
スラブ加熱温度は、熱間圧延が可能な最低温度(例えば1100℃程度)で十分である。
(2−2)熱延板焼鈍および冷間圧延工程
必要に応じて熱延板焼鈍を施した後に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、板厚を0.2〜0.35mm程度とする。
熱延板焼鈍は、磁気特性の向上に有用である。同様に、中間焼鈍を冷間圧延の間に挟むことは、磁気特性の安定化に有用である。しかしながら、いずれも電磁鋼板の製造コストを上昇させるため、経済的観点から、熱延板焼鈍や中間焼鈍の取捨選と、焼鈍温度および焼鈍時間とを適宜決定すればよい。
(2−3)仕上げ焼鈍工程
仕上げ焼鈍を施すことによって再結晶と結晶粒成長を発達させる。仕上げ焼鈍工程の均熱温度は、十分に再結晶が発現し、また低鉄損を得るために必要な結晶粒径を得るために十分な温度が必要である。
仕上げ焼鈍では、通板時の700℃から500℃までの冷却時の通板張力UTを1MPa≦UT≦8MPaにするとともに、通板時の700℃から500℃までの冷却時の冷却速度CRを3K/sec≦CR≦30K/secにする。
これにより、仕上げ焼鈍の冷却中に導入される残留歪が消磁状態での電磁鋼板の磁化分布に影響を与え、消磁状態で圧延直角方向の磁化成分が増加する磁化分布とする。これにより、750℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率を20%以上に高めることができ、歪取り焼鈍を行わない場合の圧延方向の磁歪特性が改善される。
さらに、この冷却過程での700℃〜600℃の領域における通板張力UTHと、該冷却過程での600℃〜500℃の領域における通板張力UTLとの比(UTH/UTL)が1.0超であることが好ましい。これにより、750℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率をさらに高めることができ、歪取り焼鈍を行わない場合の圧延方向の磁歪特性をいっそう改善できる。
ここで、UTとUTH、UTLとの関係は、UT=(UTH+UTL)/2とする。
さらに、必要に応じて絶縁コーティングを施す。この絶縁コーティングは、2種類以上の被膜からなる多層膜であってもよいし、また用途に応じて樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。
(2−4)完成および出荷
このようにして、本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板が製造される。製造された本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、製品としてモータや変圧器等の製造メーカへ向けて出荷される。
3.出荷先での歪取り焼鈍
この製造メーカでは、本発明に係る電磁鋼板を所定の形状に連続的に打ち抜いた後、得られた多数の打ち抜き材を積層し、それらを溶接、またはかしめとよばれる凹凸部を嵌合させる方法等によって一体化することにより、インバータ電源リアクトル鉄芯を形成する。インバータ電源用リアクトル鉄芯では、電磁鋼板の主に圧延方向の磁化特性のみを活用して巻鉄芯あるいは積鉄芯が構成される。
一体化により形成された鉄芯は、必要に応じて700℃から800℃前後の温度で歪取り焼鈍されてから電気機器に組み込まれる。
本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、750℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率が20%以上であり、歪取り焼鈍を行わない場合の圧延方向の磁歪特性が改善される。
したがって、本発明に係るインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板によれば、主に圧延方向の磁化特性のみを活用して巻鉄芯あるいは積鉄芯を構成するインバータ電源用リアクトル鉄芯において、リアクトル鉄芯の低騒音性を、著しく加工性が悪い6.5%Si―Fe近傍の鋼成分の電磁鋼板を用いることなく、加工性の良好な2〜4%Si−Fe成分の無方向性電磁鋼板に適正な圧延方向歪を残留させることにより、高めることができる。
このため、本発明によれば、インバータ駆動電源の高調波の抑制に用いられるリアクトル鉄芯の低騒音特性を、加工性に優れた2〜4%Si鋼板により実現することができ、これにより、インバータ駆動のリアクトル鉄芯から発生する騒音を低減することができる。
表1に示す化学組成を有する溶鋼からスラブを作製し、このスラブを1150℃に加熱してから熱間圧延を行い2.0mm厚とし、900℃の熱延板焼鈍を行ってから、1回の冷間圧延を行って最終板厚を0.2mmとし、仕上げ焼鈍における通板時の700℃から500℃までの冷却時の通板張力UT、および冷却時の冷却速度CRをいずれも表2に示す値とするとともに、冷却時の700℃〜600℃の領域における通板張力UTHと、冷却時の600℃〜500℃の領域における通板張力UTLとの比(UTH/UTL)を表2に示す値として、仕上げ焼鈍を行うことにより、試料No.1〜8のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板を製造した。
化学組成No.1〜3を有するインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の加工性(剪断加工性;前記半径R、曲げ加工性;前記最小半径R)を測定した。測定結果を表1にあわせて示す。
また、試料No.1〜8について、圧延方向の磁歪値λ0−p(1.5T)の750℃の歪取り焼鈍による増加率を測定した。
結果を表1,2にまとめて示す。表1,2における下線は、本発明の範囲外であること、もしくは結果が不芳であることを示す。
Figure 0006943544
Figure 0006943544
表1に示すように、本発明の化学組成を満足する化学組成No.1を有するインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の加工性は、剪断加工性R:3mm,曲げ加工性R:1.1mmと良好であった。
これに対し、Si含有量が本発明の化学組成の上限を超える化学組成No.2,3を有するインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の加工性は、それぞれ、剪断加工性R:2.7,3.0mm,曲げ加工性R:5.3,8.6mmと不芳であった。
また、表2に示すように、本発明の条件を全て満足する試料No.2,3,5のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、750℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率がそれぞれ25.7,52.3,34.6%と、いずれも20%以上であり、歪取り焼鈍を行わない場合の圧延方向の磁歪特性が改善されたことが分かる。
したがって、試料No.2,3,5のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板によれば、主に圧延方向の磁化特性のみを活用して巻鉄芯あるいは積鉄芯を構成するインバータ電源用リアクトル鉄芯において、リアクトル鉄芯の低騒音性を、著しく加工性が悪い6.5%Si―Fe近傍の鋼成分の電磁鋼板を用いることなく、加工性の良好な2〜4%Si−Fe成分の無方向性電磁鋼板に適正な圧延方向歪を残留させることにより、高めることができる。
特に、試料No.3のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は、比(UTH/UTL)の値が1.3であるため、750℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率が52.3%と極めて高い。
これに対し、試料No.1のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は通板張力が本発明の範囲の下限を下回り、試料No.4のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は冷却速度が本発明の範囲の上限を上回り、試料No.4のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板は通板張力が本発明の範囲の上限を上回るため、50℃の歪取り焼鈍の前後における磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率が20%に満たなかった。
さらに、試料No.7,8のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板はSi含有量が本発明の範囲を上回るため、加工性が悪かった。

Claims (6)

  1. 化学組成が、質量%で、
    Si:2.0〜4.0%、
    Al:0.1〜2.0%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    P:0〜0.2%、
    Sn:0〜0.3%、
    残部Feおよび不純物
    である鋼板であって、
    50℃の歪取り焼鈍を実施して歪を除去したとき圧延方向の磁歪値λ0−p(1.5T)の増加率が20%以上となることを特徴とする、インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
  2. 前記化学組成がP:0.01〜0.2%である、請求項1に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
  3. 前記化学組成がSn:0.01〜0.3%である、請求項1または請求項2に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
  4. 前記磁歪値λ0−p(1.5T)の前記歪取り焼鈍前の絶対値が3×10−6以下である請求項1から請求項3までのいずれかに記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板。
  5. スラブに熱間圧延を行い、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終板厚とし、仕上げ焼鈍を行うことにより、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板を製造する方法であって、
    前記仕上げ焼鈍における通板時の700℃から500℃までの冷却時の通板張力UTを1.0MPa≦UT≦8.0MPaにするとともに、
    前記冷却時の冷却速度CRを3K/sec≦CR≦30K/secにする、
    インバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記通板時の700℃〜600℃の領域における通板張力UTHと、前記通板時の600℃〜500℃の領域における通板張力UTLとの比(UTH/UTL)が1.0超である、請求項5に記載のインバータ電源リアクトル鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
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