JPH0886792A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JPH0886792A
JPH0886792A JP22445994A JP22445994A JPH0886792A JP H0886792 A JPH0886792 A JP H0886792A JP 22445994 A JP22445994 A JP 22445994A JP 22445994 A JP22445994 A JP 22445994A JP H0886792 A JPH0886792 A JP H0886792A
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moving
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JP22445994A
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Inventor
Yoshihiro Hoshino
吉弘 星野
Ryuji Takada
龍二 高田
Hiroshi Kuroda
浩史 黒田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カンチレバーの変位検出機構とカンチレバーと
の相対位置が変わっても高精度の測定を行うことができ
る走査型プローブ顕微鏡を提供する。 【構成】カンチレバー2をZ方向に移動させ試料7に接
近させたときのカンチレバー2の変位量が受光素子6上
の受光位置の変位として検出される。このとき補正信号
生成回路13は、走査回路12からの制御信号VPに比
例した電圧の補正信号VHを生成して出力し、位置検出
回路10は受光素子6からの変位量信号VOをVHで補正
し、対応する補正変位量信号VSを制御回路11へ出力
し、制御回路11が、カンチレバー2の変位量が一定と
なるようにZ駆動部3bの第2の移動量を調整しつつ、
走査回路12が、XY駆動部3a,3aの第1の移動量
を調整して探針1を所定領域に移動・走査させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料の物理量を測定す
る顕微鏡装置に係わり、特に、試料表面に探針を接近さ
せたとき両者間に働く原子間力や磁気力等を利用して試
料の形状情報・磁気情報等を得る走査型プローブ顕微鏡
に関する。
【0002】
【従来の技術】試料表面における物理量を計測する走査
型プローブ顕微鏡の種類としては、従来、例えば、原子
間力顕微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)等があ
る。
【0003】原子間力顕微鏡(AFM)は、探針と試料
との間に働く原子間力を測定することにより試料の形状
情報を得るものである。すなわち、カンチレバーに備え
られた探針と試料とを接近させてこれらの間に働く原子
間力によるカンチレバーのたわみ(変位)を測定し、そ
の変位が一定に保たれるように、試料の観察面方向と垂
直な方向(以下適宜、「Z方向」という)への探針と試
料との相対位置を制御しながら、両者を相対的に観察面
方向(以下適宜、「X方向またはY方向」、若しくは
「XY方向」という)に移動させて走査を行うものであ
る。
【0004】磁気力顕微鏡(MFM)は、探針と試料と
の間に働く磁気力を測定することにより試料の磁気分布
を得るものである。すなわち、上述した原子間力顕微鏡
の構成において探針を磁性体で構成し、この探針と試料
とを接近させこれらの間に働く磁気力によるカンチレバ
ーのたわみ(変位)を測定し、その変位が一定に保たれ
るようにZ方向への探針と試料との相対位置を制御しな
がら、両者を相対的にXY方向に移動させて走査を行う
ものである。
【0005】以上のような走査型プローブ顕微鏡に関す
る公知技術として、例えば以下のものがある。 特開平5−187863号公報 この公知技術は、原子間力顕微鏡の構成において、カン
チレバーを移動機構に保持し、探針を試料に接近させて
カンチレバーを変位させる。そして、この変位が一定に
保たれるようにZ方向へのカンチレバーの位置を制御し
ながらこのカンチレバーをXY方向に走査させることに
より、試料の表面情報を得るものである。
【0006】特開昭62−130302号公報 この公知技術は、原子間力顕微鏡の構成において、試料
をXY方向及びZ方向に微小移動可能な機構(以下適
宜、「移動機構」という)に保持し、試料を探針に接近
させてカンチレバーを変位させる。そして、この変位が
一定に保たれるようにZ方向への試料の位置を制御しな
がらこの試料をXY方向に走査させることにより、試料
の表面情報を得るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知技術には以下の課題が存在する。すなわち、公知技術
においては、試料表面を観察する際にカンチレバーを
X、Y、Z方向に移動するが、このときカンチレバーの
変位を検出する機構(以下適宜、「変位検出機構」とい
う)は移動しないことから、カンチレバーと変位検出機
構との相対位置が変化し、測定結果に誤差を生じうると
いう課題があった。すなわち、一例として、カンチレバ
ーに照射したレーザ光の反射光を受光素子で受光し、カ
ンチレバーの変位を受光素子上のレーザ光の位置変化と
して検出するいわゆる光てこ方式の原子間力顕微鏡の場
合を考える。この場合、カンチレバーを移動機構によっ
て移動すると、レーザ光源と、反射鏡であるカンチレバ
ーと、受光素子とで構成される光学系のうち、レーザ光
源と受光素子は固定されて動かないのに、カンチレバー
の位置のみが移動する。よってこれらの相対的な位置関
係が変化することとなり、仮に試料のZ方向への凹凸が
なかったとしても、受光素子上のレーザ光の受光位置が
変化するので、受光素子は試料にZ方向への凹凸がある
かのような検出結果を出力する場合があり、変位測定に
おいて測定誤差を生じ測定精度が低下しうるという不都
合があった。また、この誤差は測定後には補正が困難で
ある。またこの測定誤差は、カンチレバーX方向又はY
方向への移動量が大きくなるほど増加する。
【0008】一方、公知技術のように、探針に対して
試料をX、Y、Z方向に移動する構成にすると、カンチ
レバーの変位検出機構とカンチレバーとの位置関係は変
わらず公知技術の問題はないが、大型の試料を観察し
ようとする際、その重量ゆえに走査速度や制御速度が遅
くなり、これを回避するためには、大型試料を観察する
場合には観察したい部分のみを切り出さなければならな
いという別の問題がある。
【0009】本発明の目的は、カンチレバーの変位検出
機構とカンチレバーとの相対位置が変わっても高精度の
測定を行うことができる走査型プローブ顕微鏡を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、試料の有する物理量を検知する探
針が取り付けられ、この探針が検知する物理量に反応し
て変位可能なカンチレバーと、このカンチレバーの変位
量を検出しこれに対応する変位量信号を出力する変位量
検出手段と、前記カンチレバーを前記試料の観察面方向
及びこの観察面に垂直な方向にそれぞれ移動可能な第1
及び第2の移動手段と、前記探針が前記観察面内の所定
領域を走査するように前記第1の移動手段の第1の移動
量を制御する第1の移動量制御手段と、前記変位量信号
に応じて前記カンチレバーの変位量が一定となるように
前記第2の移動手段の第2の移動量を制御する第2の移
動量制御手段と、前記第2の移動量をもとに前記試料の
物理量に関する情報を算出する演算手段と、この算出し
た情報を出力表示する出力手段とを備えた走査型プロー
ブ顕微鏡装置において、前記カンチレバーが前記第1の
移動手段によって移動されたときに前記変位量検出手段
からの変位量信号に含まれる前記試料の物理量と無関係
な検出誤差に応じた補正信号として出力する補正量決定
手段と、前記変位量信号及び前記補正信号を入力し、こ
の補正信号によって前記変位量信号を補正し、この補正
した変位量に対応する補正変位量信号を前記第2の移動
量制御手段へ出力する補正演算手段とをさらに備えたこ
とを特徴とする走査型プローブ顕微鏡装置が提供され
る。
【0011】好ましくは、前記走査型プローブ顕微鏡装
置において、前記補正量決定手段は、前記第1の移動手
段の第1の移動量に応じて前記補正信号の補正量を決定
する手段であることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡
装置が提供される。
【0012】また好ましくは、前記走査型プローブ顕微
鏡装置において、前記第1の移動手段は、前記第1の移
動量制御手段から入力される制御信号に応じて前記カン
チレバーを前記観察面方向に移動させる手段であり、前
記補正量決定手段は、前記補正信号の補正量を前記制御
信号にほぼ比例した電圧とする手段であることを特徴と
する走査型プローブ顕微鏡装置が提供される。
【0013】さらに好ましくは、前記走査型プローブ顕
微鏡装置において、前記第1の移動手段は、前記第1の
移動量制御手段から入力される制御信号に応じて前記カ
ンチレバーを前記観察面方向に移動させる手段であり、
前記補正量決定手段は、前記変位量検出手段の検出誤差
を前記制御信号と前記変位量検出手段で検出したカンチ
レバーの変位量との相関データの形であらかじめ記憶し
ておくデータ記憶手段と、前記カンチレバーが前記観察
面方向に移動されるときの前記制御信号に対応する前記
検出誤差を、前記データ記憶手段に記憶された相関デー
タから読み出してこれを補正信号として前記補正演算手
段に出力するデータ出力手段とを有することを特徴とす
る走査型プローブ顕微鏡装置が提供される。
【0014】また好ましくは、前記走査型プローブ顕微
鏡装置において、前記第1の移動手段は、前記第1の移
動量制御手段から入力される制御信号に応じて前記カン
チレバーを前記観察面方向に移動させる手段であり、前
記補正量決定手段は、前記変位量検出手段の検出誤差を
前記第1の移動量と前記変位量検出手段で検出したカン
チレバーの変位量との相関データの形であらかじめ記憶
しておくデータ記憶手段と、前記カンチレバーが前記観
察面方向に移動されるときの前記制御信号に対応する前
記検出誤差を、前記データ記憶手段に記憶された相関デ
ータから読み出してこれを補正信号として前記補正演算
手段に出力するデータ出力手段とを有することを特徴と
する走査型プローブ顕微鏡装置が提供される。
【0015】さらに好ましくは、前記走査型プローブ顕
微鏡装置において、前記第1及び第2の移動手段は、前
記第1及び第2の移動量制御手段から入力される制御信
号に応じて前記カンチレバーをそれぞれ前記観察面方向
及びこの観察面に垂直な方向に移動させる圧電素子であ
ることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡装置が提供さ
れる。
【0016】また好ましくは、前記走査型プローブ顕微
鏡装置において、前記試料を観察面にほぼ平行な面内で
2次元的に移動可能であるとともに、前記第1の移動手
段による第1の移動量より大きな移動量を可能とする試
料移動手段をさらに有することを特徴とする走査型プロ
ーブ顕微鏡装置が提供される。
【0017】さらに好ましくは、前記走査型プローブ顕
微鏡装置において、前記変位量検出手段は、前記カンチ
レバーにレーザ光を照射するレーザ光源及び集光レンズ
と、前記レーザ光の前記カンチレバーによる反射光を受
光しこの受光位置に対応する受光位置信号を変位量信号
として出力する受光素子とを有し、前記補正演算手段は
前記受光位置信号及び前記補正信号が入力され前記補正
変位量信号を出力する受光位置検出回路からなることを
特徴とする走査型プローブ顕微鏡装置が提供される。
【0018】また好ましくは、前記走査型プローブ顕微
鏡装置において、前記変位量検出手段は、金属探針を備
えこの金属探針と前記カンチレバーとの間に流れるトン
ネル電流を測定して前記カンチレバーの変位量を検出す
るトンネル顕微鏡であることを特徴とする走査型プロー
ブ顕微鏡装置が提供される。
【0019】
【作用】本発明の走査型プローブ顕微鏡装置において、
試料の測定を行う際には、試料の有する物理量を検知す
る探針が取り付けられたカンチレバーを、第2の移動手
段によって観察面に垂直なZ方向に移動させて探針を試
料に接近させる。これにより探針が検知する物理量に反
応してカンチレバーが変位し、このカンチレバーの変位
量が変位量検出手段で検出され対応する変位量信号が出
力される。この変位量信号に応じて第2の移動量制御手
段が、カンチレバーの変位量が一定となるように第2の
移動手段の第2の移動量を制御しつつ、同時に、第1の
移動量制御手段が、カンチレバーを試料の観察面方向に
移動させる第1の移動手段の第1の移動量を制御して探
針を観察面内の所定領域に移動・走査させる。この走査
時において、第1の移動手段によるカンチレバーの移動
で試料の物理量と無関係な検出誤差が発生しており、こ
の検出誤差は変位量検出手段から出力される変位量信号
に含まれる。そこで、補正量決定手段でこの検出誤差に
応じた補正信号を出力し、補正演算手段に変位量検出手
段からの変位量信号及び補正信号が入力され、実際のカ
ンチレバーの変位量に対応する補正変位量信号を第2の
移動量制御手段へ出力する。すなわち、検出誤差の影響
を測定中にリアルタイムで除去することができる。そし
て、この検出誤差が除去された補正変位量信号に基づい
て行われる所定領域の走査における第2の移動量をもと
に、演算手段によって試料の物理量に関する情報が算出
され、この算出した情報が出力手段で出力表示される。
したがって、最終的に誤差のない精度の高い情報を得る
ことができる。
【0020】また、一般に、上記した検出誤差、すなわ
ち走査時において第1の移動手段によるカンチレバーの
移動で試料の物理量と無関係に発生する検出誤差は、第
1の移動手段の第1の移動量となんらかの相関関係にあ
ると考えられる。例えば、前述した光てこ方式の原子間
力顕微鏡の場合を考えると、カンチレバーに照射したレ
ーザ光の反射光を受光素子で受光し、カンチレバーの変
位を受光素子上のレーザ光の位置変化として検出する構
成である。すなわちこの場合は、固定されたレーザ光源
及び受光素子に対し、カンチレバーのみが第1の移動手
段で移動されることにより受光素子上のレーザ光の受光
位置が変化するので、第1の移動手段の移動量に応じて
検出誤差が発生することとなる。したがって、補正量決
定手段を、第1の移動手段の第1の移動量に応じて検出
誤差に対応する補正信号を出力するように構成すること
により、検出誤差を適切に除去することができる。
【0021】さらに、第1の移動手段が第1の移動量制
御手段から入力される制御信号に応じてカンチレバーを
観察面方向に移動させる手段である場合には、上述した
検出誤差と第1の移動量との相関関係は、すなわち検出
誤差と制御信号との相関関係となる。したがって、補正
量決定手段を、補正信号を制御信号にほぼ比例した電圧
にするように構成することにより、除去すべき検出誤差
の大きさに相当するように調整できるので、補正演算手
段において検出誤差を適切に除去することができる。
【0022】また上記のように検出誤差と制御信号とが
相関している場合、補正量決定手段の他の構成として、
変位量検出手段の検出誤差を、制御信号と変位量検出手
段で検出した検出誤差との相関データの形であらかじめ
記憶しておくデータ記憶手段と、カンチレバーが観察面
方向に移動されるときの制御信号に対応する検出誤差
を、その相関データから読み出して補正演算手段に出力
するデータ出力手段とを設ける構成もある。この場合、
試料の測定を始める前に、まず試料を配置せずに第1の
移動手段でカンチレバーを移動させる。このとき試料の
表面情報は測定されていないので、変位量検出手段で見
かけ上検出されるカンチレバーの変位量は、そのまま検
出誤差の大きさであり、このときの検出誤差を制御信号
と対応づけた相関データとしてデータ記憶手段に記憶し
ておく。そして試料の測定を開始し、走査時の制御信号
の値に応じデータ出力手段によって、対応する検出誤差
をデータ記憶手段から読み出して補正演算手段に出力す
る。補正演算手段では、誤差を含んでいる見かけ上のカ
ンチレバーの変位量信号から、データ出力手段から入力
された検出誤差を差し引いて真のカンチレバー変位量を
算出し、これに対応する補正変位量信号を第2の移動量
制御手段へ出力する。すなわち、これによって変位量検
出手段で検出された誤差を完全に除去することができ
る。
【0023】さらに同様に、検出誤差と第1の移動手段
の第1の移動量とが相関している場合、補正量決定手段
の他の構成として、変位量検出手段の検出誤差を、第1
の移動量と変位量検出手段で検出した検出誤差との相関
データの形であらかじめ記憶しておくデータ記憶手段
と、カンチレバーが観察面方向に移動されるときの第1
の移動量に対応する検出誤差を、その相関データから読
み出して補正演算手段に出力するデータ出力手段とを設
ける構成もある。この場合、試料の測定を始める前に、
まず試料を配置せずに第1の移動手段でカンチレバーを
移動させる。このとき試料の表面情報は測定されていな
いので、変位量検出手段で見かけ上検出されるカンチレ
バーの変位量は、そのまま検出誤差の大きさであり、こ
のときの検出誤差を第1の移動量と対応づけた相関デー
タとしてデータ記憶手段に記憶しておく。そして試料の
測定を開始し、走査時の第1の移動量の値に応じデータ
出力手段によって、対応する検出誤差をデータ記憶手段
から読み出して補正演算手段に出力する。補正演算手段
では、誤差を含んでいる見かけ上のカンチレバーの変位
量信号から、データ出力手段から入力された検出誤差を
差し引いて真のカンチレバー変位量を算出し、これに対
応する補正変位量信号を第2の移動量制御手段へ出力す
る。すなわち、これによって変位量検出手段で検出され
た誤差を完全に除去することができる。
【0024】また、第1及び第2の移動手段は、第1及
び第2の移動量制御手段から入力される制御信号に応じ
てカンチレバーをそれぞれ観察面方向及びこの観察面に
垂直な方向に移動させる圧電素子であることにより、観
察面方向及び観察面に垂直な方向へのカンチレバーの微
小な動きを可能とすることができるとともに、その微小
動作の制御が容易である。
【0025】さらに、試料を観察面にほぼ平行な面内で
2次元的に移動可能であるとともに、第1の移動手段に
よる第1の移動量より大きな移動量を可能とする試料移
動手段をさらに有することにより、測定終了後にこの試
料移動手段で試料を移動させ、次回の測定では、今回の
測定における走査領域から遠く離れた位置に走査領域を
設定することができるので、試料の広い範囲で容易に測
定を行うことができる。
【0026】また、変位量検出手段は、カンチレバーに
レーザ光を照射するレーザ光源及び集光レンズと、レー
ザ光のカンチレバーによる反射光を受光しこの受光位置
に対応する受光位置信号を変位量信号として出力する受
光素子とからなり、補正演算手段は前記受光位置信号及
び補正信号が入力され補正変位量信号を出力する受光位
置検出回路から構成することにより、カンチレバーの変
位量を検出しこれに対応する補正変位量信号を出力する
手段を実現できる。
【0027】さらに、変位量検出手段は、金属探針を備
えこの金属探針と前記カンチレバーとの間に流れるトン
ネル電流を測定して前記カンチレバーの変位量を検出す
るトンネル顕微鏡であることにより、カンチレバーの変
位量を検出しこれに対応する変位量信号を出力する手段
を実現できる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図7により説
明する。本発明の第1の実施例を図1〜図3により説明
する。本実施例は、原子間力顕微鏡装置の実施例であ
る。本実施例による原子間力顕微鏡装置の全体構成を図
1に示す。図1において、本実施例の顕微鏡装置100
は、観察対象である試料7が上部に配置された試料台8
と、試料7の有する物理量(表面形状)を検知する探針
1が取り付けられその検知する形状に反応して変位可能
なカンチレバー2と、このカンチレバー2の変位量を検
出し対応する変位量信号VOを出力する変位量検出手
段、例えば変位量検出部50と、3次元的なX、Y、Z
方向(後述)のいずれの方向にもカンチレバー2を微小
移動できる第1及び第2の移動手段、例えば移動機構3
と、移動機構3による移動の制御を行う第2の移動量制
御手段、例えば制御回路11及び第1の移動量制御手
段、例えば走査回路12と、変位量検出部50、制御回
路11、及び走査回路12を一括して制御するとともに
測定結果を記憶し、試料7の原子間力を算出する演算手
段、例えば制御機構14と、測定結果である試料7に関
する情報を出力表示する出力手段としての表示部15
と、変位量検出部50での検出誤差(後述)を補正算出
し、補正信号VHを出力する補正量決定手段、例えば補
正信号生成回路13と、変位量信号VO及び補正信号VH
を入力し、補正変位量信号VSを出力する補正演算手
段、例えば位置検出回路10とを有する。
【0029】移動機構3は円筒型圧電素子であり、試料
7の上面である観察面方向(例えば水平方向、以下適宜
XY方向という)へのカンチレバー2の移動を可能とす
るように微小変形可能なXY駆動部3a,3aと、試料
7へ向かって進退する方向(例えば上下方向、以下適宜
Z方向という)へのカンチレバー2の移動を可能とする
ように微小伸縮可能なZ駆動部3bとを備えている。
【0030】試料台8は、試料7が探針1に対向する形
で設置されており、図示しない試料台移動機構によっ
て、試料7の観察面にほぼ平行な面内で2次元的に移動
可能である。またこのときの移動可能な移動量は、XY
駆動部3a,3aによるXY方向への移動量よりも大き
い。これによって、測定終了後に試料7を移動させ、次
回の測定では今回の測定における走査領域から遠く離れ
た位置に走査領域を設定できるので、試料7の広い範囲
において容易に測定を行うことができる。
【0031】走査回路12は、探針1が試料7の観察面
内の所定領域を走査するように、移動機構3のXY駆動
部3a,3aに制御信号を出力する。XY駆動部3a,3
aはこの制御信号に応じて微小変形し、これによって、
カンチレバー2はこの制御信号に応じた移動量(以下適
宜、第1の移動量という)だけXY方向へ移動する。
【0032】制御回路11は、移動機構3のZ駆動部3
bに制御信号を出力し、Z駆動部3bはこの制御信号に
応じてZ方向に微小伸縮し、これによって、カンチレバ
ー2はこの制御信号に応じた移動量(以下適宜、第2の
移動量という)だけZ方向へ移動する。また制御回路1
1はこのときの第2の移動量を検出する。
【0033】変位量検出部50は、レーザ光源4と、レ
ーザ光源4からのレーザ光を集光しカンチレバー2の背
面に照射する集光レンズ5と、フォトダイオードから構
成されカンチレバー2の背面からの反射光を受光し対応
する電気信号に変換してカンチレバー2の変位量信号V
Oとして出力する受光素子6とを有する。
【0034】制御機構14は、特に図示はしないが、制
御回路11において検出された移動機構3の第2の移動
量が入力されこの第2の移動量を記憶する移動量記憶部
と、この移動量記憶部に記憶された第2の移動量をもと
に試料4の表面形状情報を算出して表示部15へ出力す
る演算部とを備えている。なお、この制御機構14には
走査回路12からの走査信号が入力されており、上述し
た第2の移動量は走査信号、すなわち移動機構3のXY
方向の移動に対応づけられて記憶される。
【0035】補正信号生成回路13は、走査回路12か
ら出力されるXY駆動部3a,3aへの制御信号VPを分
圧し、すなわちこの制御信号VPにほぼ比例した電圧の
補正信号VHを生成し、位置検出回路10に出力する。
そしてこのとき位置検出回路10は、受光素子6からの
変位量信号VOをこの補正信号VHによって補正し、この
補正した信号に対応する補正変位量信号VSを制御回路
11へ出力する。
【0036】次に、上記構成における動作を説明する。
本実施例の顕微鏡装置100において、試料7の測定を
行う際には、探針1が取り付けられたカンチレバー2
を、移動機構3のZ駆動部3bの作用によってZ方向に
移動させ探針1を試料7に接近させる。探針1と試料7
とが1nm程度まで接近すると両者の間に微小な原子間
力がはたらいてカンチレバー2にたわみが生じ、このカ
ンチレバー2の変位量が受光素子6上の受光位置の変位
として検出され変位量信号VOとして出力される。そし
てこの変位量信号VOは位置検出回路10を介し制御回
路11に入力され、制御回路11が、カンチレバー2の
変位量が一定となるように移動機構3のZ駆動部3bの
第2の移動量を調整しつつ、走査回路12が、カンチレ
バー2をXY方向に移動させる移動機構3のXY駆動部
3a,3aの第1の移動量を調整して探針1を観察面内
の所定領域に移動・走査させる。
【0037】この走査時において、XY駆動部3a,3
aによるカンチレバー2のXY方向の移動で試料7の物
理量(表面形状)と無関係な検出誤差が発生しており、
変位量検出部50でカンチレバー2の変位量信号VO
含まれる形で検出されている。このことを図2(a)
(b)を用いて説明する。
【0038】図2(a)において、始めに探針1及びカ
ンチレバー2は、それぞれ破線で示される右側位置にあ
り、レーザ光源4から集光レンズ5を介して照射された
レーザ光は、カンチレバー2の背面の点aで反射し、受
光素子6の位置Aで受光される。
【0039】その後、XY駆動部3a,3aによって探
針1及びカンチレバー2が図示左側に距離xだけ移動さ
れて、実線で示される位置になったとすると、レーザ光
源4から集光レンズ5を介して照射されたレーザ光は、
カンチレバー2の背面の点bで反射し、受光素子6の位
置Bで受光されることになる。すなわちこのとき、試料
7の表面形状に関係なく、受光素子6上のレーザ光の受
光位置が、以下の(※)式のΔxだけ変化することにな
る。 Δx=x・tanθ・sinφ …(※) ここで、θは探針1及びカンチレバー2の移動方向(水
平方向)とカンチレバー2とのなす角度であり、φはカ
ンチレバー2の背面への入射レーザ光と反射光とのなす
角度である。
【0040】したがって、このように検出誤差が発生し
ている状態に何の補正も施さないと、仮に試料7のZ方
向への表面凹凸がなかったとしても、受光素子6は、見
かけ上図2(b)の実線で示したようにカンチレバー2
がたわんだ状態と同一の状態を検出することとなるの
で、試料7に高さΔzの凸部があるかのような信号を位
置検出回路10に出力することになる。そして仮に、位
置検出回路10がなければそのままの変位量信号VO
制御回路11に出力され、制御回路11がこの変位量信
号VOに基づいて移動機構3を制御し、カンチレバー2
をΔxだけ試料7方向(図中下方向)へ接近させようと
する。
【0041】これを防ぐために、本実施例の顕微鏡装置
100においては、補正信号生成回路13を設け、この
補正信号生成回路13で、この検出誤差を補正する補正
信号VHを生成して位置検出回路10に出力し、変位量
検出部50で検出したカンチレバー2の変位量信号VO
をこの補正信号VHを用いて補正し、この補正した補正
変位量信号VSを制御回路11へ出力する。この検出誤
差補正における補正量の決定を図3(a)〜(c)によ
り具体的に説明する。上述したように、変位量検出部5
0における検出誤差、すなわち走査時におけるカンチレ
バー2のXY方向への移動で発生する検出誤差は、固定
されたレーザ光源4及び受光素子6に対し、カンチレバ
ー2のみが移動され受光素子6上の受光位置が変化する
ことで発生するので、XY駆動部3a,3aによるカン
チレバー2の第1の移動量と検出誤差はなんらかの相関
関係にあると考えられる。このとき第1の移動量は制御
回路11からの制御信号に対応しているので、結果とし
て、制御信号と検出誤差とが相関関係にあることにな
る。
【0042】検出誤差は、具体的には、図3(a)で示
されるように、フォトダイオードである受光素子6から
出力される出力信号VOで表される。すなわち、受光素
子6は詳しくは2分割されたフォトダイオードで構成さ
れており、受光素子6の受光面のほぼ中心にカンチレバ
ー2背面からの反射光が入射され、2分割ダイオードに
均等に受光されている場合には、これら2つのダイオー
ドからの出力が等しくなり、最終的に受光素子6からの
出力信号VOの値は破線で示すようにゼロとなる。この
場合には検出誤差を生じない。前述した制御回路11に
よるカンチレバー2の変位量が一定となるような制御
は、受光素子6上のレーザ光の受光位置が常に受光面の
中心となるように、つまり2分割ダイオードに均等に受
光されるように制御するものである。
【0043】しかしながら、上記のようにカンチレバー
2のみがXY方向に移動されて受光位置が変わり、反射
光の入射量が2分割ダイオードの一方に多く他方に少な
くなると、受光素子6からの出力信号VOの値はゼロと
ならず、図3(a)実線で示すようなある値をとる。そ
してこのとき、この出力信号VOの値と制御信号VP
は、例えば図3(a)で示すような関係にあり、VP
増大とともにVOも増加する。
【0044】ここで、本実施例の顕微鏡装置100の補
正信号生成回路13においては、この制御信号VPを分
圧し、VPにほぼ比例した電圧の補正信号VHを生成す
る。これを図3(b)に示す。図3(b)において、V
H=k×VPの関係(k:比例定数)にある。このときの
kの値は、補正信号VHの大きさが、除去すべき検出誤
差に相当する出力信号VOの大きさに相当するように
(すなわち図3(a)の実線と図3(b)の直線とがな
るべく一致するように)設定され、これによって走査回
路12から出力される制御信号からの分圧量が決定され
る。そして、このように補正量の大きさが決定された補
正信号VHが位置検出回路10に出力され、位置検出回
路10では、図3(a)のような特性の出力信号VO
ら、図3(b)のような特性の補正信号VHを減じる演
算を行う。この結果、この演算後すなわち補正後の検出
信号VSは、図3(c)で表されるようになる。すなわ
ち、検出誤差の影響を適切にほぼ除去し、図3(a)に
破線で示す検出誤差の生じない場合の特性に近づけるこ
とができる。
【0045】このように、位置検出回路10は、補正信
号生成回路13からの補正信号VHに基づき変位量信号
Oに含まれる検出誤差を除去し、補正後の検出信号す
なわち、補正変位量信号VSを制御回路11へ出力し、
制御回路11が移動機構3を制御し試料7の測定が行わ
れ、このときの第2の移動量が制御機構14の移動量記
憶部される。
【0046】そしてさらに、上記のようにして行われた
試料7の所定領域の走査で制御機構14の移動量記憶部
に記憶された第2の移動量の集合をもとに、制御機構1
4内の演算部で試料7の表面凹凸形状に関する情報が算
出され、この算出した情報が表示部15で出力表示され
る。したがって、最終的に誤差のない精度の高い情報を
得ることができる。
【0047】以上説明したように、本実施例の顕微鏡装
置100によれば、補正信号生成回路13で検出誤差を
補正する補正信号VHが制御信号VPにほぼ比例した電圧
となるように生成され、この補正信号VHが位置検出回
路10に入力され、この位置検出回路10において受光
素子6からの変位量信号VOから補正信号VHを減じる補
正を行い、この補正後の補正変位量信号VSが制御回路
11に出力されるので、検出誤差の影響を測定中にリア
ルタイムで除去することができる。よって、変位量検出
部50とカンチレバー2との相対的な位置関係がずれて
も最終的に誤差のない精度の高い表面形状情報を得るこ
とができる。またこのとき、試料を移動させる従来技術
のように、大型試料を切断して小さくする必要がない。
【0048】なお、上記実施例における検出誤差とし
て、カンチレバー2のXY方向の移動による誤差のみを
考えたが、Z方向の移動による誤差に関しては、測定中
の移動量が極めて小さいことから、問題となるような誤
差は発生しないとみなすことができる。
【0049】本発明の第2の実施例を図4及び図5によ
り説明する。本実施例は、補正量決定手段の構成が異な
る実施例である。本実施例による原子間力顕微鏡装置2
00の全体構成を図4に示す。図4において、本実施例
の顕微鏡装置200の構成が第1の実施例の顕微鏡装置
100と異なる点は、変位量検出部50における検出誤
差を補正する信号を生成する補正信号手段として、検出
誤差を、走査回路12から出力される制御信号VP1と受
光素子6からの変位量信号VO1との相関データの形であ
らかじめ記憶しておくデータ記憶部213bと、測定開
始後カンチレバー2がXY方向に移動されるときの制御
信号VP2に対応する、検出誤差を示す信号VO1を、デー
タ記憶部213bに記憶された相関データから読み出し
位置検出回路10に出力するデータ出力部213aとを
備えた補正信号生成回路213を備えていることであ
る。その他の構成は、第1の実施例とほぼ同様である。
【0050】上記構成においては、まず、試料7の測定
を始める前に、まず試料台8に試料7を配置せずに移動
機構3でカンチレバー2をXY方向に移動させる。この
とき試料7の表面情報は測定されていないので、位置検
出回路10で見かけ上検出される受光素子6からの出力
信号VO1は、そのまま検出誤差の大きさであり、このと
きのVO1の値を制御信号VP1と対応づけた相関データと
してデータ記憶部213bに記憶しておく。この相関デ
ータの一例を図5(a)に示す。
【0051】その後試料7を試料台8に配置して測定を
開始し、走査時の制御信号VP2の値に応じ、データ出力
部213aによって対応するVO1を刻々データ記憶部2
13bから読み出して位置検出回路10に出力する。位
置検出回路10では、このとき検出されている検出誤差
を含んだ受光素子6からの出力信号VO2から、データ出
力部213aから入力された誤差に相当する分の出力信
号VO1を差し引いた真の出力信号VOを算出する。前述
したように、あらかじめ検出した出力信号VO1=検出誤
差となるから、図5(b)に示すように制御信号VP2
いかんにかかわらずVOに含まれる検出誤差=0となる
ので、これに対応する変位量信号を制御回路11へ出力
する。
【0052】本実施例によれば、位置検出回路10で検
出誤差の影響を完全に除去することができる。
【0053】なお、上記実施例においては、データ記憶
部213bは、検出誤差を走査回路12から出力される
制御信号VPと受光素子6からの出力信号VOとの相関デ
ータの形で記憶したが、他の相関データの形も可能であ
る。この変形例を図6により説明する。図6において、
本実施例の顕微鏡装置300の構成が第2の実施例の顕
微鏡装置200と異なる点は、検出誤差を補正する信号
を生成する補正信号手段として、変位量検出部50にお
ける検出誤差を、走査回路12で検出される移動機構3
によるXY方向への第1の移動量d1と変位量検出部5
0で検出した検出誤差を示す受光素子6からの出力信号
O1との相関データの形であらかじめ記憶しておくデー
タ記憶部313bと、測定開始後カンチレバー2がXY
方向に移動されるときの第1の移動量d2に対応する検
出誤差を示す信号VO1を、データ記憶部313bに記憶
された相関データから読み出し位置検出回路10に出力
するデータ出力部313aとを備えた補正信号生成回路
313を備えていることである。その他の構成は、第2
の実施例とほぼ同様である。
【0054】本変形例における補正に関する動作及び作
用は、上記第2の実施例における走査回路12からの制
御電圧VP1,VP2を、走査回路12で検出される移動機
構3の第1の移動量dに置き換えるのみであるので詳細
な説明を省略する。本変形例によっても、第2の実施例
と同様の効果を得る。
【0055】なお、上記第1及び第2の実施例において
は、変位量検出部50の構成の一例として、いわゆる光
てこ方式の構成を示しているが、カンチレバー2の変位
を検出する変位量検出部として、トンネル顕微鏡が用い
られる場合であっても適用できる。この変形例を図7を
用いて説明する。図7において、探針1と、トンネル顕
微鏡の金属探針16との間に、図示しない電圧印加手段
によって電圧が印加されている。そして探針1と金属探
針16との間がある程度接近すると、両者の間にトンネ
ル電流が流れ、このトンネル電流の値が図示しない計測
手段によって計測される。この計測された電流値の大小
によって、探針1と金属探針16との間の距離、すなわ
ち探針1の変位量が検出される。
【0056】この場合も、探針1及びカンチレバー2が
左方にxだけ移動して破線位置から実線位置になったと
き、上記第1の実施例で図2(a)(b)を用いて説明
したのと同様の問題が発生する。すなわち、試料7のZ
方向への表面凹凸がなかったとしても、金属探針16
は、見かけ上試料7にΔxの凸部があるかのような検出
結果を出力することになり、結果としてカンチレバー2
がΔxだけ試料7方向(図中下方向)へ接近させる制御
が行われる。
【0057】したがって、上記第1及び第2の実施例に
おける補正方法を適用することによって、本変形例にお
いても同様の効果を得ることができる。
【0058】また、上記の第1及び第2の実施例におい
ては、カンチレバー2を移動させる移動機構3として円
筒型圧電素子を使用しているが、例えばトライポッドに
代表されるような他のどのような構成の移動機構を用い
ても実現可能であり、この場合も同様の効果を得る。
【0059】さらに、上記第1及び第2の実施例におい
ては、走査型プローブ顕微鏡装置の例として原子間力顕
微鏡装置を取りあげたが、例えば、磁気力顕微鏡装置等
は原子間力顕微鏡装置とほぼ同様の構成となっており、
上述した問題点がそのままあてはまるので、上記第1及
び第2の構成はこれらの走査型プローブ顕微鏡装置に適
用可能であり、この場合も同様の効果を得る。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、補正量決定手段で検出
誤差を補正する補正信号が決定され、この補正信号が補
正演算手段に入力されて、変位量検出手段によって検出
されたカンチレバーの変位量信号が補正され、この補正
された変位量に対応する補正変位量信号が補正演算手段
から第2の移動量制御手段へ出力されるので、検出誤差
の影響を測定中にリアルタイムで除去することができ
る。よって、変位量検出手段とカンチレバーとの相対位
置関係がずれても最終的に誤差のない精度の高い情報を
得ることができる。またこのとき、試料を移動させる従
来技術のように、大型試料を切断して小さくする必要が
ない。
【0061】また、補正量決定手段を、第1の移動手段
の第1の移動量に応じて補正信号の補正量を決定するよ
うに構成するので、検出誤差を適切に除去する信号を生
成することができる。さらに、補正量決定手段を、補正
信号を制御信号にほぼ比例した電圧とするように構成す
るので、この補正信号の電圧を除去すべき検出誤差の大
きさに相当するように調整でき、補正信号が入力された
補正演算手段において検出誤差を適切に除去することが
できる。また、補正量決定手段は、変位量検出手段の検
出誤差を、制御信号若しくは第1の移動量と変位量検出
手段で検出した検出誤差との相関データの形であらかじ
め記憶しておくデータ記憶手段と、カンチレバーが観察
面方向に移動されるときの制御信号若しくは第1の移動
量に対応する検出誤差を、その相関データから読み出し
て補正演算手段に出力するデータ出力手段とを有するの
で、変位量検出手段で、自ら検出した誤差を含んでいる
見かけ上のカンチレバーの変位量からデータ出力手段か
ら入力された誤差に相当する分のカンチレバーの変位量
を差し引いて真のカンチレバー変位量を算出し、検出誤
差を完全に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による原子間力顕微鏡装
置の全体構成を示す概念図である。
【図2】図1に示した変位量検出部で発生する検出誤差
を説明するための図である。
【図3】図1に示した顕微鏡装置で行われる検出誤差の
補正における補正量の決定を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施例による原子間力顕微鏡装
置の全体構成を示す概念図である。
【図5】図4に示した顕微鏡装置で行われる検出誤差補
正作用を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施例の変形例による原子間力
顕微鏡装置の全体構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第1及び第2の実施例の変形例による
原子間力顕微鏡装置の変位量検出部を示す図である。
【符号の説明】
1 探針 2 カンチレバー 3 移動機構 3a XY駆動部(第1の移動手段) 3b Z駆動部(第2の移動手段) 6 受光素子 7 試料 8 試料台 10 位置検出回路(補正演算手段) 11 制御回路(第2の移動量制御手段) 12 走査回路(第1の移動量制御手段) 13 補正信号生成回路(補正量決定手段) 14 制御機構(演算手段) 15 表示部(出力手段) 50 変位量検出部 100 顕微鏡装置 200 顕微鏡装置 213 補正信号生成回路 213a データ出力部 213b データ記憶部 300 顕微鏡装置 313 補正信号生成回路(補正量決定手段) 313a データ出力部 313b データ記憶部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の有する物理量を検知する探針が取
    り付けられ、この探針が検知する物理量に反応して変位
    可能なカンチレバーと、このカンチレバーの変位量を検
    出しこれに対応する変位量信号を出力する変位量検出手
    段と、前記カンチレバーを前記試料の観察面方向及びこ
    の観察面に垂直な方向にそれぞれ移動可能な第1及び第
    2の移動手段と、前記探針が前記観察面内の所定領域を
    走査するように前記第1の移動手段の第1の移動量を制
    御する第1の移動量制御手段と、前記変位量信号に応じ
    て前記カンチレバーの変位量が一定となるように前記第
    2の移動手段の第2の移動量を制御する第2の移動量制
    御手段と、前記第2の移動量をもとに前記試料の物理量
    に関する情報を算出する演算手段と、この算出した情報
    を出力表示する出力手段とを備えた走査型プローブ顕微
    鏡装置において、 前記カンチレバーが前記第1の移動手段によって移動さ
    れたときに前記変位量検出手段からの変位量信号に含ま
    れる前記試料の物理量と無関係な検出誤差に応じて、補
    正信号を出力する補正量決定手段と、 前記変位量信号及び前記補正信号を入力し、この補正信
    号によって前記変位量信号を補正し、この補正した変位
    量に対応する補正変位量信号を前記第2の移動量制御手
    段へ出力する補正演算手段とをさらに備えたことを特徴
    とする走査型プローブ顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記補正量決定手段は、前記第1の移動手
    段の第1の移動量に応じて前記補正信号の補正量を決定
    する手段であることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記第1の移動手段は、前記第1の移動量
    制御手段から入力される制御信号に応じて前記カンチレ
    バーを前記観察面方向に移動させる手段であり、前記補
    正量決定手段は、前記補正信号の補正量を前記制御信号
    にほぼ比例した電圧とする手段であることを特徴とする
    走査型プローブ顕微鏡装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記第1の移動手段は、前記第1の移動量
    制御手段から入力される制御信号に応じて前記カンチレ
    バーを前記観察面方向に移動させる手段であり、前記補
    正量決定手段は、前記変位量検出手段の検出誤差を前記
    制御信号との相関データの形であらかじめ記憶しておく
    データ記憶手段と、前記カンチレバーが前記観察面方向
    に移動されるときの前記制御信号に対応する前記検出誤
    差を、前記データ記憶手段に記憶された相関データから
    読み出してこれを補正信号として前記補正演算手段に出
    力するデータ出力手段とを有することを特徴とする走査
    型プローブ顕微鏡装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記第1の移動手段は、前記第1の移動量
    制御手段から入力される制御信号に応じて前記カンチレ
    バーを前記観察面方向に移動させる手段であり、前記補
    正量決定手段は、前記変位量検出手段の検出誤差を前記
    第1の移動量との相関データの形であらかじめ記憶して
    おくデータ記憶手段と、前記カンチレバーが前記観察面
    方向に移動されるときの前記制御信号に対応する前記検
    出誤差を、前記データ記憶手段に記憶された相関データ
    から読み出してこれを補正信号として前記補正演算手段
    に出力するデータ出力手段とを有することを特徴とする
    走査型プローブ顕微鏡装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記第1及び第2の移動手段は、前記第1
    及び第2の移動量制御手段から入力される制御信号に応
    じて前記カンチレバーをそれぞれ前記観察面方向及びこ
    の観察面に垂直な方向に移動させる圧電素子であること
    を特徴とする走査型プローブ顕微鏡装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記試料を観察面にほぼ平行な面内で2次
    元的に移動可能であるとともに、前記第1の移動手段に
    よる第1の移動量より大きな移動量を可能とする試料移
    動手段をさらに有することを特徴とする走査型プローブ
    顕微鏡装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記変位量検出手段は、前記カンチレバー
    にレーザ光を照射するレーザ光源及び集光レンズと、前
    記レーザ光の前記カンチレバーによる反射光を受光しこ
    の受光位置に対応する受光位置信号を変位量信号として
    出力する受光素子とを有し、前記補正演算手段は前記受
    光位置信号及び前記補正信号が入力され前記補正変位量
    信号を出力する受光位置検出回路からなることを特徴と
    する走査型プローブ顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡装
    置において、前記変位量検出手段は、金属探針を備えこ
    の金属探針と前記カンチレバーとの間に流れるトンネル
    電流を測定して前記カンチレバーの変位量を検出するト
    ンネル顕微鏡であることを特徴とする走査型プローブ顕
    微鏡装置。
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