JPH088161Y2 - 木製通直部材より構成された山形ラーメン構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は木製通直材による軒部及
び棟部のような屈曲部を有する山形ラーメン構造に係る
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の木製山形ラーメンは、隅角部に彎
曲集成材ａを用いて構成される。（図８参照）或いはま
た通直部材ｂを隅角部で鉄板ｃ、ボルトｄ等を用いて接
合して構成される。（図９参照）

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前者の場合、彎曲部の
製作、加工に多くの工数が必要となり、高価となる。後
者の場合、鉄板、ボルトが露出して意匠上の欠点を生
じ、またボルト挿通孔にがたがあって変形量が大きく、
力学的にはラーメン架構とするには不適当である。

【０００４】本考案は前記従来技術の有する問題点に鑑
みて提案されたもので、その目的とする処は、工費が節
減され、力学的に信頼性の高い、木製通直材より構成さ
れた山形ラーメンを提供する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本考案に係る木製通直部材より構成された山形ラー
メン構造は、山形ラーメンの軒部においては、木製合掌
材端部と木製柱材とに亘って、同柱材の材軸に平行に穿
設された鉄筋挿入孔に垂直の鉄筋を挿入するとともに、
同鉄筋挿入孔に接着剤を注入充填し、棟部においては相
隣る前記木製合掌材に亘って穿設された水平の鉄筋挿入
孔に鉄筋を挿入するとともに、同鉄筋挿入孔に接着剤を
注入充填して構成されている。

【０００６】

【作用】本考案によれば前記したように、山形ラーメン
の軒部において、互いに角度をなして交叉する木製合掌
材端部と木製柱材とを接合するのに当り、両者間に亘っ
て柱材の材軸に平行に穿設された鉄筋挿入孔に垂直の鉄
筋を挿入するとともに、同鉄筋挿入孔に接着剤を注入充
填したことによって、前記鉄筋は木製の柱材と木製合掌
材に一体に接合され、接合部にがた、変形を生じること
がない。

【０００７】また山形ラーメンの棟部においては、相隣
る前記合掌材に亘って水平の鉄筋挿入孔を穿設し、同鉄
筋挿入孔に鉄筋を挿入するとともに、同鉄筋挿入孔に接
着剤を注入充填することによって、前記水平の鉄筋が前
記相隣る合掌材に一体に接合され、接合部にがた、変形
を生じることがない。かくして本考案によれば、木製通
直材を使用して山形ラーメンが構成される。

【０００８】

【実施例】以下本考案を図示の実施例について説明す
る。図１は木製部材より構成された山形ラーメンで、図
２乃至図４は図１の軒部の詳細を示し、合掌材１及び柱
材２に同柱材２の材軸に平行な垂直の鉄筋挿入孔３，４
が穿設され、同各鉄筋挿入孔３，４に亘って上端にねじ
部を具えた鉄筋５が挿入されるとともに、同上端ねじ部
にナット６が緊締され、且つ前記挿入孔３，４にセメン
トモルタル、エポキシ樹脂等の接着剤が充填されること
によって、前記鉄筋５が前記合掌材１及び柱材２に一体
に固着され、かくして両部材１，２が一体に接合され、
接合部にがた、変形を生じることがない。

【０００９】図５は前記軒部の他の実施例を示し、合掌
材と柱材２とに亘って垂直の鉄筋挿入孔３′，４が穿設
され、同各挿入孔３′，４に亘って鉄筋５が挿入され、
接着剤が注入充填され、鉄筋５が前記合掌材１と柱材２
と一体に接合されることによって両部材１，２が一体に
接合されている。図中７は接着剤注入孔、８はエヤー抜
きである。

【００１０】図６及び図７は棟部の詳細を示し、相隣る
合掌材１，１に亘って水平の鉄筋挿入孔９，９が穿設さ
れ、同各挿入孔９に亘って鉄筋５が挿入されるととも
に、接着剤が注入充填され、鉄筋５が相隣る合掌材１，
１に一体に接合され、同両部材１，１が一体に接合さ
れ、接合部にがた、変形を生じることがない。

【００１１】

【考案の効果】本考案によれば前記したように、山形ラ
ーメンの軒部及び棟部において木製部材が任意の角度で
交叉する木製の山形ラーメンにおいて、軒部においては
木製合掌材端部と木製柱材とに亘って同柱材の材軸に平
行に穿設された鉄筋挿入孔に亘って鉄筋を挿入するとと
もに、接着剤を注入充填したことによって、前記木製合
掌材及び柱材は簡単にしかも確実に接合され、接合部の
がた、変形を生起する惧れがなく、また棟部においては
相隣る前記木製合掌材に亘って穿設された水平の鉄筋挿
入孔に接着剤を注入充填したことによって相隣る木製合
掌材が簡単にしかも確実に指令され、接合部のがた変形
を生起する惧れがなく本考案によれば屈曲部を有する山
形ラーメンを、木製通直部材を接合することによって製
作することができる。また屈曲部に生じる曲げモーメン
トに抵抗するのに最も効率のよい方向に接合用鉄筋を配
置することができる。

【００１２】更にまた従来技術の集成材曲げた加工によ
る骨組よりも容易に山形ラーメン軒部、及び棟部を構成
することができる。更にまた従来技術の鉄板添え板ボル
ト締め接合部ではがたがあって変形を生じ、且つ曲げ耐
力が少ないのを、本考案によって改善することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る山形ラーメンの正面図である。

【図２】山形ラーメンの軒部の詳細を示す正面図であ
る。

【図３】図２の平面図である。

【図４】図２の横断平面図である。

【図５】前記軒部の他の実施例を示す正面図である。

【図６】前記山形ラーメンの棟部の詳細を示す正面図で
ある。

【図７】図６の矢視イ−イ図である。

【図８】山形ラーメンの従来例を示す部分正面図であ
る。

【図９】山形ラーメンの他の従来例を示す部分正面図で
ある。

【符号の説明】

１ 合掌材 ２ 柱材 ３ 鉄筋挿入孔 ３′ 鉄筋挿入孔 ４ 鉄筋挿入孔 ５ 鉄筋 ６ ナット ７ 接着剤注入孔 ８ エヤー抜き ９ 鉄筋挿入孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 山形ラーメンの軒部においては、木製合
   掌材端部と木製柱材とに亘って、同柱材の材軸に平行に
   穿設された鉄筋挿入孔に垂直の鉄筋を挿入するととも
   に、同鉄筋挿入孔に接着剤を注入充填し、棟部において
   は相隣る前記木製合掌材に亘って穿設された水平の鉄筋
   挿入孔に鉄筋を挿入するとともに、同鉄筋挿入孔に接着
   剤を注入充填してなることを特徴とする木製通直部材よ
   り構成された山形ラーメン構造。