JPH0880853A - ショッピングカート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別な操作ないしは知識を要する必要なく、
容易にエスカレータ上に乗せることができ、かつ一般の
ショッピングカートと同様に複数のものを前後に重合し
て収容するネスティングが可能で、不使用時にはスペー
スをとらずに保管できるようにする。 【構成】 エスカレータに乗せると、バスケット２がカ
ートフレーム本体１に対して、常に重心が枢軸３のほぼ
直下にくるように自動的に回動し、エスカレータから降
りると自動的に復元する。また、後続のショッピングカ
ートのバスケット２が、その前方のショッピングカート
の後面板１３を前上方に跳ね上げてバスケット２内に侵
入することにより、ショッピングカート同士のネスティ
ングができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、平坦な床面上での走行
はもちろんのこと、エスカレータによる別階への移動も
可能としたショッピングカートに関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、スーパーマーケット等において
は、ショッピングカートは、平坦な床面上で使用される
ようになっており、これを、別の階に移動させるには、
エレベータを使わざるを得ない。しかし、ショッピング
カートはかさばるので、いくつものショッピングカート
をエレベータに乗せるわけにはゆかない。このため、混
雑時には長時間待たなければならなくなる。別の移動手
段であるエスカレータは連続輸送しているので、これを
利用できれば便利であるが、従来のショッピングカート
をそのままエスカレータに乗せると、このショッピング
カートが傾き、買い物品が入ったバスケットも傾くこと
になるので、バランスが崩れて倒れるおそれがある。

【０００３】このバランスの崩れを回避するために、バ
スケット部をカート本体に対して回動自在に支持した手
押し運搬車が、特開昭60-252064号公報、実開昭62-3097
1号公報、実公平 3-12610号公報に開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
構造のものは、エスカレータに乗せる際には、その要領
や操作等に、それなりの技術と知識を要するので、不特
定多数の人が利用するショッピングカートとしては不向
きである。また、そのほとんどのものが、回動可能な荷
台またはバスケットにハンドルを固定しているので、カ
ートの運転操作が不確実であり、利用者にとって不安で
ある。さらに、エスカレータに乗せた状態(カートが傾
いた状態)において、利用者からのハンドルの位置が、
カートの水平状態に比べて上下方向に離れることにな
り、利用者は、無理な姿勢を強いられることになる。

【０００４】特開昭60-252064号公報の第６図には、ハ
ンドルを、カート本体の後端の直上の位置に設けた実施
例も記載されているが、この構成では、たとえば、下り
のエスカレータに乗せた状態において、ハンドル位置が
極端に前方に移動し、利用者は、窮屈な前傾姿勢でカー
トを保持しなければならない。

【０００５】また、これらの従来の構造のものは、カー
トの不使用時に、複数のカートを前後に重合して、小ス
ペース内に収容する、いわゆるネスティングについては
全く考慮されておらず、カート不使用時には、各カート
が、その面積分だけスペースを占有してしまうので、ス
ーパーマーケット等のように限られたスペース内で使用
されるショッピングカートとしては、致命的な欠陥を有
することとなる。

【０００６】本発明は、従来の技術が有する上記のよう
な問題点に鑑み、特別な操作または技術を要することな
く、容易にエスカレータ上に乗せることができ、かつ一
般のショッピングカートと同様に、ネスティングが可能
で、不使用時にはスペースをとらずに保管できるように
したショッピングカートを提供することを目的としてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 後部が拡開する平面視ほぼＵ字形をなし、前後左
右の端部に車輪を備えたベースフレームと、このベース
フレームの両側部から立ち上がり、中間に所要の空間を
形成する支持フレームと、両支持フレームの上端部より
後上方に延び、先端部にハンドルが設けられたアーム部
とを有するカートフレーム本体と、両支持フレーム間に
左右方向を向く枢軸をもって枢着され、かつ平面視およ
び側面視において全体として先端部が先細りとなるよう
に形成されるとともに、後面板が前上方に跳ね上げ可能
に枢支されたバスケットとを設ける。

【０００８】(２) 上記(１)項において、バスケットの
両側面後部に、枢軸と等高をなして前方に向かって凹入
する空隙部を設ける。

【０００９】(３) 上記(２)項において、バスケットの
跳ね上げ式の後面板の両側部に、バスケットの両側面の
空隙部を閉塞しうる塞ぎ材を連設する。

【００１０】(４) 上記(１)〜(３)項のいずれかにおい
て、バスケットの側面とこの側面に隣接するカートフレ
ーム本体の支持フレームとの間に、カートフレーム本体
に対して、バスケットを予め定めた中立位置に向けて付
勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項１〜３
のいずれかに記載のショッピングカート。

【００１１】(５) 上記(４)項において、付勢手段を、
一方の端部がカートフレーム本体の適所に係止され、か
つ他方の端部が、バスケットの側面に固着されたブラケ
ットにおける枢軸より若干離れた部分に穿設された枢軸
と直交する方向を向く孔に遊嵌された弾性撓曲可能なベ
ンディングバーを備える。

【００１２】

【作用】本発明によれば、エスカレータに乗せると、バ
スケットがカートフレーム本体に対して、常に重心が枢
軸のほぼ直下にくるように自動的に回動し、エスカレー
タから降りると自動的に復元する。また、後続のショッ
ピングカートのバスケットが、その前方のショッピング
カートの後面板を前上方に跳ね上げてバスケット内に侵
入することにより、ショッピングカート同士のネスティ
ングができる。

【００１３】

【実施例】図１ないし図３に示すように、本発明のショ
ッピングカートは、カートフレーム本体(１)の上に、バ
スケット(２)を、枢軸(３)により回動可能に装着してな
るものである。カートフレーム本体(１)は、ベースフレ
ーム(５)と、その上部の支持フレーム(７)と、この支持
フレーム(７)の上端部より後方向斜め上方に延びるアー
ム部(９)とから構成されている。

【００１４】ベースフレーム(５)は、前部のキャスター
すなわち前部車輪(4a)が左右の下部に装着され、前方が
閉じた平面視(図２)ほぼＵ字形の前部ベースフレーム(5
a)と、この前部ベースフレーム(5a)の後部に前部を溶接
され後端部の下部に後部のキャスターすなわち後部車輪
(4b)が装着された後部ベースフレーム(5b)とにより構成
されている。ベースフレーム(５)は、全体として後部が
拡開し、かつ左右の後部車輪(4b)間の間隔は、左右の前
部車輪(4a)間の間隔よりもかなり広く設定されている。
後部ベースフレーム(5b)の前端部は左右連結されている
が、後端部は左右連結されておらず、後述するように、
ネスティングする後続のショッピングカートの前部車輪
が後部車輪間に進入するのを可能にしている。前部ベー
スフレーム(5a)と後部ベースフレーム(5b)とは、側面視
(図１)において下部空間(６)を形成するように山形に組
み合わされている。この下部空間は、エスカレータの段
との接触を回避する役割を果たすものである。

【００１５】支持フレーム(７)は、ベースフレーム(５)
の両側部から立ち上がる前部支持フレーム(7a)と後部支
持フレーム(7b)とを上部連結部材(8a)と下部連結部材(8
b)とで連結してなるものである。この左右１対の支持フ
レーム(７)の間には、バスケット(２)を収容する広い空
間が確保されている。このバスケット(２)は、支持フレ
ーム(７)の上部連結部材(8a)に枢軸(３)により枢支され
ているが、その詳細については後述する。

【００１６】支持フレーム(７)の上端部から後方斜め上
方に、アーム部(９)が延びている。アーム部(９)は、図
示の実施例の場合、前部支持フレーム(7a)と一体の上部
アーム(9a)と、後部支持フレーム(7b)に溶接した下部ア
ーム(9b)とにより構成されており、その先端部にハンド
ル(11)がピン(10)により枢支されている。ハンドル(11)
は、図２に示すようにコ字状のもので、枢支用のピン(1
0)の回りに巻回したばね(12)により、図１において逆時
計方向に付勢されているが、利用者が手をかけて、図１
の矢印に示すように回動させることができる。

【００１７】バスケット(２)は、鋼線を溶接して形成し
た金網状のもので、図１ないし図４に示すように、平面
視および側面視において全体として先細りとなってい
る。後部には、図４にもっともよく示されているよう
に、鋼線を溶接して形成した金網状の後面板(13)が、そ
の両上端部(14)で水平軸線の回りに回動自在に枢支され
ている。後面板(13)は、後述するように、後続するショ
ッピングカートをネスティングする場合、前上方に突き
上げられるものである。

【００１８】バスケット(２)の両側面における重心の近
傍又はその上方部分に、枢軸取付部材(15)が取り付けら
れている。バスケット(２)の枢軸取付部材(15)により、
カートフレーム本体(１)の上部連結部材(8a)に取り付け
た枢軸(３)が枢支されている。

【００１９】枢軸取付部材(15)の外側には、図５に示す
ブラケット(16)が取り付けられている。ブラケット(16)
には、ほぼ水平方向に延びる２枚のリブ(17a)(17b)が設
けられており、その枢軸(３)から若干離れた部分には、
枢軸(３)と直交する方向を向く孔(18a)(18b)が穿設され
ており、この孔(18a)(18b)には、常時は直線状の鋼線で
ある弾性撓曲可能なベンディングバー(19)の上部が遊嵌
されている。ベンディングバー(19)の下端部は、下部連
結部材(8b)にボルト(20)により挟まれて係止されてい
る。このベンディングバー(19)は、付勢手段を構成し、
カートフレーム本体(１)に対して、バスケット(２)が予
め定めた図１に示すような中立位置から離れるように回
動すると、中立位置に復帰するように、バスケット(２)
を付勢する作用をする。

【００２０】バスケット(２)の両側面後部には、枢軸
(３)と等高をなして前方に向かって押入する空隙部(21)
が形成されている。前述の後面板(13)の両側縁部には、
金網を構成する鋼線が直角に前方に折り曲げられて、上
述の空隙部(21)に延び、空隙部(21)からの品物の抜け落
ちを防止する塞ぎ材(22)が連設されている。空隙部(21)
は、ネスティング時において、重ね合わされる次の後部
の同形のショッピングカートのバスケット(２)の枢軸及
び枢軸取り付け部材(15)の進入を可能にしている。

【００２１】バスケット(２)の底面から下方に延びるス
トッパ(23)は、図６および図７に示すように、ショッピ
ングカートの傾動時にその下端部がカートフレーム本体
(１)の一部と当接して、バスケット(２)のそれ以上の回
動を阻止するものである。

【００２２】このショッピングカートは、図６および図
７に示すように、エスカレータに載せた時には、バスケ
ット(２)が重力により枢軸(３)を中心として回動し、カ
ートフレーム本体(１)に対して傾動して、自然に水平の
姿勢を占める。この際、回動はベンディングバー(19)の
撓みにより適度に抑制され、バスケット(２)がむやみに
動揺することはない。利用者は、図示のようにハンドル
(11)を握ると、上りエスカレータ上でも、下りエスカレ
ータ上でも、無理なくショッピングカートを支えること
ができる。

【００２３】また、ショッピングカートを不使用時にネ
スティングさせて収納させるには、図８に示すように、
先細のバスケット(２)の前部が先行するショッピングカ
ートのバスケット(２)の後面板(13)と塞ぎ材(22)とを前
上方に跳ね上げて侵入し、さらに、その枢軸(３)及び枢
軸取付部材(15)が、先行するショッピングカートのバス
ケット(２)側面の空隙部(21)に侵入する。図８において
は、先行するショッピングカートの後面板(13)と塞ぎ材
(22)とが跳ね上げられている状態がよく示されている。

【００２４】なお、空隙部(21)は、後続のショッピング
カートの枢軸(３)のみが侵入するものとし上下寸法を小
さくしてもよい。この場合には、塞ぎ材(22)を省略して
もよい。

【００２５】

【発明の効果】

(ａ) 本発明ショッピングカートは、利用者が何等の特
別の知識を要せずに、また何等の操作をなす必要なく、
ふつうにエスカレータに乗せれば、エスカレータの進行
に伴ってカートフレーム本体が傾いていっても、バケッ
トが自然に水平状態に維持される。従って、バスケット
内部の買物品が崩れたり、脱落したりすることが防止さ
れる。

【００２５】(ｂ) また、このショッピングカートは、
傾動機能を有するにもかかわらず、ネスティングが可能
である。従って、不使用時には、多数のショッピングカ
ートを効率的に収納保管できる(請求項１)。

【００２６】(ｃ) 請求項２記載のようにすると、後続
のショッピングカートの枢軸を、バスケットに設けた空
隙部に侵入させることにより、ネスティング時の前後の
ショッピングカート間の間隔を、枢軸に妨げられること
なく、著しく小さくすることができる。

【００２７】(ｄ) 請求項３記載のようにすると、ショ
ッピングカートの使用時に、空隙部を塞ぎ材により塞ぐ
ことができるので、買物品が空隙部から落下するのを防
止することができ、しかもネスティング時には、塞ぎ材
が後面板とともに跳ね上げられて、空隙部に後続のショ
ッピングカートの枢軸が侵入できるようにすることがで
きる。

【００２８】(ｅ) 請求項４記載のようにすると、バス
ケットが付勢手段により中立位置に安定して保持される
ので、ネスティング時に、後続のショッピングカートが
押し込まれてきたとき、前後のバスケットがともに適正
な姿勢に保持され、ネスティング時に、一方のバスケッ
トがみだりに揺動して、後続のバスケットの先端の位置
と前方のバスケットの後面板の位置とが狂い、ネスティ
ングができなくなるというおそれを防止できる。また、
エスカレータ使用時に、前上り又は前下りとなるカート
フレーム本体に対して、バスケットが回動する際、付勢
手段がその回動に対して適度の抵抗力を与え、バスケッ
トがみだりに揺動するのを防止する効果もある。

【００２９】(ｆ) 請求項５記載のようにすると、バス
ケットが中立位置に近い範囲に位置しているときは、ベ
ンティングバーは直線状をなし、付勢力はほとんど発生
せず、バスケットが中立位置から離れれば離れるほど、
ベンティングバーの弾性撓曲の度合いが大となって、バ
スケットを中立位置に復元させようとする大きな付勢力
が発生するので、理想的な付勢力が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のショッピングカートの一実施例の側面
図である。

【図２】同じく平面図である。

【図３】同じく正面図である。

【図４】同じく要部の拡大斜視図である。

【図５】カートフレーム本体に対するバスケットの付勢
手段の取付構造を示す一部分解斜視図である。

【図６】下りエスカレータに乗せたときの状態を示す側
面図である。

【図７】上りエスカレータに乗せたときの状態を示す側
面図である。

【図８】ネスティング格納状態を示す側面図である。

【符号の説明】

(１) カートフレーム本体 (２) バスケット (３) 枢軸 (4a) 前部車輪 (4b) 後部車輪 (５) ベースフレーム (5a) 前部ベースフレーム (5b) 後部ベースフレーム (６) 下部空間 (７) 支持フレーム (7a) 前部支持フレーム (7b) 後部支持フレーム (8a) 上部連結部材 (8b) 下部連結部材 (９) アーム部 (9a) 上部アーム (9b) 下部アーム (10) ピン (11) ハンドル (12) ばね (13) 後面板 (14) 上端部 (15) 枢軸取付部材 (16) ブラケット (17a)(17b) リブ (18a)(18b) 孔 (19) ベンディングバー (付勢手段) (20) ボルト (21) 空隙部 (22) 塞ぎ材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 後部が拡開する平面視ほぼＵ字形をな
   し、前後左右の端部に車輪を備えたベースフレームと、
   このベースフレームの両側部から立ち上がり、中間に所
   要の空間を形成する支持フレームと、両支持フレームの
   上端部より後上方に延び、先端部にハンドルが設けられ
   たアーム部とを有するカートフレーム本体と、両支持フ
   レーム間に左右方向を向く枢軸をもって枢着され、かつ
   平面視および側面視において全体として先端部が先細り
   となるように形成されるとともに、後面板が前上方に跳
   ね上げ可能に枢支されたバスケットとを備えることを特
   徴とするショッピングカート。
2. 【請求項２】 バスケットの両側面後部に、枢軸と等高
   をなして前方に向かって凹入する空隙部を設けたことを
   特徴とする請求項１記載のショッピングカート。
3. 【請求項３】 バスケットの跳ね上げ式の後面板の両側
   部に、バスケットの両側面の空隙部を閉塞しうる塞ぎ材
   を連設したことを特徴とする請求項２記載のショッピン
   グカート。
4. 【請求項４】 バスケットの側面とこの側面に隣接する
   カートフレーム本体の支持フレームとの間に、カートフ
   レーム本体に対して、バスケットを予め定めた中立位置
   に向けて付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請
   求項１〜３のいずれかに記載のショッピングカート。
5. 【請求項５】 付勢手段を、一方の端部がカートフレー
   ム本体の適所に係止され、かつ他方の端部が、バスケッ
   トの側面に固着されたブラケットにおける枢軸より若干
   離れた部分に穿設された枢軸と直交する方向を向く孔に
   遊嵌された弾性撓曲可能なベンディングバーを備えてい
   ることを特徴とする請求項４記載のショッピングカー
   ト。