JPH0880618A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】インクカートリッジの検出とラッチ部材の係合
のズレを無くし、カートリッジ接続用の中空針の長さを
最小限に抑えて曲がり発生を防ぎ、ゴム栓の引き裂きや
インク貯留部の傷付きを防止し、インク漏れを防止す
る。 【構成】カートリッジ装着時のクリック感を得るラッチ
手段とインクカートリッジ７の有無を検知するカートリ
ッジ検出手段を、ラッチ部材と電極を兼ねる共通の板バ
ネ弾性部材２６で作用させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録手段から被記録材へ
インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】プリンター、複写機、ファクシミリ等の
機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワー
ドプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出
力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づい
て用紙やプラスチック薄板（ＯＨＰ用シートなど）等の
被記録材（記録媒体）に画像（文字や記号なども含む）
を記録していくように構成されている。前記記録装置
は、使用する記録手段の記録方式により、インクジェッ
ト式、ワイヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザービ
ーム式等に分けることができる。

【０００３】被記録材の搬送方向（副走査方向）と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動（主走査）するキャリ
ッジ上に搭載した記録手段（記録ヘッド）によって画像
（文字や記号等を含む）を記録し、１行分の記録を終了
した後に所定量の紙送り（副走査）を行ない、その後に
次の行の画像を記録（主走査）するという動作を繰り返
すことにより、被記録材の所望範囲に画像が記録され
る。一方、被記録材を搬送方向に送る副走査のみで記録
するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所
定の記録位置にセットし、一括して１行分の記録を連続
的に行ないながら所定量の紙送り（ピッチ送り）を行な
い、被記録材の全体に画像が記録される。

【０００４】そのうち、インクジェット式（インクジェ
ット記録装置）は、インクジェット記録手段（記録ヘッ
ド）から被記録材にインクを吐出して記録を行なうもの
であり、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細
な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処
理を必要とせずに記録することができ、ランニングコス
トが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少な
く、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録
するのが容易であるなどの利点を有している。中でも、
紙幅方向に多数の吐出口を配列したラインタイプの記録
手段を使用するライン型の記録装置は、記録の一層の高
速化が可能である。

【０００５】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、ＩＣ技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により、記録手段の長尺化や面状化（２次元化）が容易
であり、記録手段のフルマルチ化および高密度実装化も
容易である。一方、被記録材の材質に対する要求も様々
なものがあり、近年では、通常の被記録材である紙や樹
脂薄板などの他に、薄紙や加工紙（ファイリング用のパ
ンチ孔付き紙やミシン目付き紙、任意な形状の紙など）
などを使用することが要求されるようになってきた。

【０００６】上記インクジェット記録装置では、記録ヘ
ッドへ供給するインクを貯留するインクタンクとして、
交換可能な着脱式のインクカートリッジが使用されるこ
とがある。その場合、インクカートリッジが確実に装着
されたことを認識しやすくするために、該インクカート
リッジの装着時にクリック感を与えるラッチ手段を用い
ることが一般に行われている。また、前記インクカート
リッジが装着されているか否かを電気的に検出するため
のカートリッジ検出手段も使用されている。

【０００７】さらに、インクカートリッジからのインク
供給機構としては、例えば、インクカートリッジを装着
した時に、記録ヘッドへ接続された本体側の中空針が該
インクカートリッジのインク取出し部のゴム栓に突き刺
さり、内部のインクが該中空針を通して供給される構成
のものが使用されている。前記カートリッジ検出手段と
しては、例えば、インクカートリッジの上側に貼り付け
られたカートリッジ検出用の抵抗ラベルと本体側に取り
付けられた電極とから成り、これらの接触離反によりイ
ンクカートリッジの有無を検出するものが使用されてい
る。

【０００８】その場合、前記抵抗ラベルが前記電極に接
触する位置では、本体側の中空針がインクカートリッジ
のインク取出し部のゴム栓に突き刺さり、内部のインク
中に充分に露出するようになっている。また、インクカ
ートリッジが装着される部分には前記ラッチ手段が設け
られ、インクカートリッジ装着時にクリック感が得られ
る位置では前記カートリッジ検出用のラベルが前記電極
と接触する“有り”検出位置に在るという連動関係が成
立している。

【０００９】図７は従来のインクジェット記録装置のカ
ートリッジ検出手段およびラッチ手段の構成例を示す模
式的斜視図であり、図８は図７でインクカートリッジが
装着された時のカートリッジ検出手段およびラッチ手段
の位置関係を示す模式的縦断面図である。図７および図
８において、インクカートリッジ１０１内にはインク袋
１０２が内蔵されており、該インク袋１０２内には記録
ヘッドへ供給されるインク１０３が貯留されている。本
体側には、記録ヘッドへ接続された中空針１０４が取り
付けられている。一方、インクカートリッジ１０１の前
面には、インク取出し部１０５が設けられている。

【００１０】前記インク取出し部１０５は、前記インク
袋１０２に密封固着されたインク取出し部材１０６と、
該インク取出し部材１０６の取出し口１０７の外端部を
密封するゴム栓１０８と、中心開口を有し前記ゴム栓１
０８の外端部に嵌着されたキャップ１０９と、インクカ
ートリッジ１０１の前面に形成されたインク取出し用の
開口１１０とで構成されている。インクカートリッジ１
０１を装着すると、前記中空針１０４が前記ゴム栓１０
８に突き刺さって貫通することにより、インクカートリ
ッジ１０１が本体に接続され、インク袋１０２内のイン
クが中空針１０４を通して記録ヘッドへ供給可能な状態
となる。

【００１１】また、インクカートリッジ１０１が装着さ
れているか否かを検出するためのカートリッジ検出手段
が設けられている。このカートリッジ検出手段は、イン
クカートリッジ１０１の上面に貼り付けられた一対の抵
抗ラベル１１１と、該抵抗ラベル１１１間の抵抗を検知
するために本体側に取り付けられた一対の電極１１２と
で構成されている。なお、各電極１１２は本体の検知機
能部（制御回路等）に接続されている。さらに、インク
カートリッジ１０１が装着されたことをクリック感とし
てユーザーに認識させるためのラッチ手段が設けられて
いる。このラッチ手段は、本体に取り付けられた係合突
起付きの弾性材から成るラッチ部材１１３と、インクカ
ートリッジ１０１の底面に形成された開口または段差凹
部１１４とで構成されている。

【００１２】インクカートリッジ１０１が装着された時
の位置関係を示す図８において、インクカートリッジ１
０１が装着されたこと（有り状態）を検知する距離はＬ
であり、インクカートリッジ１０１を本体に突き当てて
から距離Ｌ以上引き戻すとカートリッジ無しと検知され
る。インクカートリッジ１０１を本体に突き当てた時の
ラッチ手段のガタはＭであり、距離の関係はＭ≧Ｌとな
っている。また、中空針１０４の先端部開口（横孔開
口）１１５がゴム栓１０８を貫通してインク１０３中に
露出している長さはＮである。そして、三者の関係はＬ
≦Ｍ＜Ｎとなっており、そのため、インク供給系のイン
ク流路の全体が連通するのは、常に、インクカートリッ
ジ１０１にラッチ部材１１３が掛り、しかもインクカー
トリッジ有りを検出している時である。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来のインクジェット記録装置では、前記カートリッジ
検出手段と前記ラッチ手段とが別々に設けられているた
め、抵抗ラベル１１１の貼り付け位置のバラツキなどに
より、インクカートリッジ１０１が装着位置に達してい
ない所でカートリッジ有りを検知したり、ラッチしてい
るのにカートリッジ未検知であったりすることが発生し
た。さらに、中空針１０４は両者の寸法を充分に満たす
位置まで突き刺さっているため、該中空針に多少の曲が
りがある場合でも、インク取出し部材（ゴム栓）１０８
を傷付けたり、インク漏れの原因になったりしている。

【００１４】また、中空針１０４が長い分、ゴム栓１０
８に斜め刺さりが起きた時に大きな曲げモーメントが作
用し、一層曲げる方向に力が作用してしまうという不都
合もある。ゴム栓１０８に対しても、曲がり針の先端の
刺さった位置からインクカートリッジ１０１を充分に押
し込んだ位置における、中空針１０４の刺さり位置の移
動量が大きくなり、ゴム栓１０８を引き裂いてしまう結
果となり、インク漏れを招いてしまうという不都合があ
る。

【００１５】本発明はこのような従来技術に鑑みてなさ
れたものであり、本発明の目的は、インクカートリッジ
を用いるインクジェット記録装置において、カートリッ
ジ検出手段とラッチ手段の動作上のズレを無くすことに
より、中空針等のインクカートリッジ接続部の長さを必
要最小限に抑えるとともに曲がり発生を防止することが
でき、ゴム栓等のインク取出し部を引き裂いたり、イン
ク袋等のインク貯留部を傷付けたりすることを防止し、
インク漏れを防止することができるインクジェット記録
装置を提供することである。

【００１６】

【課題解決のための手段】請求項１の発明は、記録手段
から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェ
ット記録装置において、インクタンクとして着脱式のイ
ンクカートリッジが使用され、該インクカートリッジと
本体に、該インクカートリッジを装着する時にクリック
感を与えるラッチ手段と該インクカートリッジの有無を
検出する電極および抵抗ラベルから成るカートリッジ検
出手段が設けられ、前記ラッチ手段と前記カートリッジ
検出手段が同じ作用部材により作用する構成とすること
により、上記目的を達成するものである。

【００１７】請求項２および請求項３の発明は、請求項
１の構成に加えて、前記作用部材は導電性の板バネから
成る電極であり、前記抵抗ラベルは段差凹部に貼り付け
られる構成、あるいは、前記作用部材は本体側に設けら
れる構成とすることにより、一層効率よく上記目的を達
成するものである。

【００１８】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は本発明を適用したインクジェット記録装置
の一実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。図１
において、１は内蔵するエネルギー発生手段（圧電素
子、抵抗発熱体など）により記録情報に応じてインク滴
を吐出する複数の吐出口を備えた（記録手段）記録ヘッ
ド、２は記録ヘッド１を搭載して主走査方向へキャリッ
ジモータ（不図示）を駆動源として往復移動するキャリ
ッジ、３はキャリッジ２を摺動自在に案内支持するガイ
ドシャフト、４は用紙やプラスチック薄板等のシート状
の被記録材、５は被記録材４を記録状況に応じて搬送
（紙送り）する搬送ローラ、６は搬送ローラ５および自
動給紙装置の駆動源となる搬送用モータである。

【００１９】前記記録手段（記録ヘッド）１は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱
変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド１
は、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーに
よってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気
泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりイ
ンクを吐出させ、記録を行うものである。

【００２０】図２は、前記記録ヘッド１のインク吐出部
の構造を模式的に示す部分斜視図である。図２におい
て、前記被記録材４と所定の隙間（例えば、約０．５〜
２．０ミリ程度) をおいて対面する吐出口面８１には、
所定のピッチで複数の吐出口８２が形成され、共通液室
８３と各吐出口８２とを連通する各液路８４の壁面に沿
ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱
変換体（発熱抵抗体など）８５が配設されている。記録
ヘッド１は、前記吐出口８２が主走査方向（該記録ヘッ
ド１の往復移動方向）と交叉する方向に並ぶような位置
関係で、キャリッジ２に搭載されている。こうして、画
像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体
８５を駆動（通電）して、液路８４内のインクを膜沸騰
させ、その時に発生する圧力によって吐出口８２からイ
ンクを吐出させる記録ヘッド１が構成されている。

【００２１】図１において、７は記録ヘッド１へインク
を供給するためのインクカートリッジ、８は前記インク
カートリッジを着脱自在に取り付けるように記録装置の
本体に設けられたカートリッジ装着部である。前記イン
クカートリッジ７は交換可能なディスポーザブルタイプ
のものである。なお、図１では、インクカートリッジ７
をカートリッジ装着部８に装着する前の状態が示されて
いる。

【００２２】記録時には、キャリッジ２の移動（主走
査）に同期させながら記録情報に基づいて記録ヘッド１
からインクを吐出させることにより、被記録材４に１ラ
イン分の記録を行い、１ライン分の記録が終了すると搬
送用モータ６により搬送ローラ５を所定ピッチだけ紙送
り（副走査）を行い、次いで、再びキャリッジ２を移動
させながら記録ヘッド１を駆動して次のラインの記録を
行う。以上の動作を繰り返すことにより、被記録材４の
全体の記録が行われる。

【００２３】図１において、記録領域を外れた所定位置
（通常、キャリッジ２のホームポジションまたはその近
傍位置）には、記録ヘッド１の吐出口８２の目詰まり
（吐出不良）を解消または予防するための回復装置１０
が配設されている。この回復装置１０は、記録ヘッド１
の吐出口面８１を覆うためのキャップ１１、該キャップ
１１の内部に接続されて吐出口８２からインクを強制的
に吸い出す（吸引する）ための吸引ポンプ１２、キャリ
ッジ２の移動を利用して記録ヘッド１の吐出口面上のイ
ンクや埃等を拭き取るためのワイピングブレード１３、
これらの回復装置の各部の動作を駆動するための回復系
モータ１４などで構成されている。

【００２４】図１において、前記インクカートリッジ７
および前記カートリッジ装着部８には、該インクカート
リッジ７を装着する時にクリック感を与えるラッチ手段
と該インクカートリッジ７の有無を検出するカートリッ
ジ検出手段が設けられている。本発明によれば、前記ラ
ッチ手段と前記カートリッジ検出手段は同じ作用部材に
より作用（動作）するように構成されている。そして、
前記カートリッジ検出手段は、インクカートリッジ７の
有無を検出する一対の電極および一対の抵抗ラベルで構
成されている。また、前記共通の作用部材は突部を有す
る導電性の板バネで形成され、前記抵抗ラベルは係合用
段差を有する凹部内の面に貼り付けられる。

【００２５】図３は本発明を適用したインクジェット記
録装置のカートリッジ検出手段およびラッチ手段の第１
実施例を示す模式的斜視図であり、図４は図３のインク
カートリッジ装着時の模式的縦断面図である。図３およ
び図４において、インクカートリッジ７内にはインク袋
１５が内蔵されており、該インク袋１５内には記録ヘッ
ドへ供給されるインク１６が貯留されている。本体側に
は、記録ヘッドへ接続された中空針１７が取り付けられ
ている。この中空針１７の先端部には、インクカートリ
ッジ７内のインク１６に露出することにより、該インク
を記録ヘッド１へ供給可能にする先端部開口２９が設け
られている。一方、インクカートリッジ７の前面には、
インク取出し部１８が設けられている。

【００２６】前記インク取出し部１８は、前記インク袋
１５に密封固着されたインク取出し部材１９と、該イン
ク取出し部材１９の取出し口２０の外端部を密封するゴ
ム栓２１と、中心開口を有し前記ゴム栓２１の外端部に
嵌着されたキャップ２２と、インクカートリッジ７の前
面に形成されたインク取出し用の開口２３とで構成され
ている。インクカートリッジ７をカートリッジ装着部８
に装着すると、前記中空針１７が前記ゴム栓２１に突き
刺さって貫通することにより、インクカートリッジ７が
本体に接続され、インク袋１５内のインクが中空針１７
およびインク供給チューブ（不図示）を通して記録ヘッ
ド１へ供給可能な状態となる。

【００２７】図３および図４において、インクカートリ
ッジ７と本体（カートリッジ装着部８）には、該インク
カートリッジ７がカートリッジ装着部８に装着されたか
否かを検知するためのカートリッジ検出手段と、該イン
クカートリッジ７が装着されたことをクリック感として
ユーザーに認識させるためのラッチ手段とが設けられて
おり、これらのカートリッジ検出手段とラッチ手段は同
じ作用部材により作用するように構成されている。

【００２８】インクカートリッジ７の裏面（底面）には
掘り込まれた段差凹部２４が形成されており、該段差凹
部内の面に一対の抵抗ラベル２５が貼り付けられてい
る。前記段差凹部２４はカートリッジ装着の時にクリッ
ク感を与える前記ラッチ手段を構成するものであり、前
記抵抗ラベル２５はインクカートリッジ７の有無を検知
する前記カートリッジ検出手段を構成するものである。
本体（カートリッジ装着部８）には、導電性の板バネか
ら成る一対の電極２６が取り付けられている。

【００２９】この一対の電極２６は、前記カートリッジ
検出手段を構成する電極であると同時に、前記ラック手
段のラッチ部材をも兼ねるものである。各電極２６には
突部２７が形成され、その先端部はカートリッジ挿入時
に衝突しないように曲げ逃げ形状になっている。前記各
突部２７は、前記段差凹部２４とクリック感をもって係
合するとともに、該段差凹部２４内に貼り付けられた前
記抵抗ラベル２５に充分なバネ力で押圧されるように曲
げ成形されている。こうして、板バネで形成された前記
一対の電極２６は、前記ラッチ手段および前記カートリ
ッジ検出手段を作用させるための共通の作用部材として
使用されている。

【００３０】なお、前記中空針１７はインク供給チュー
ブ等を介して記録ヘッド１に接続されている。また、前
記各電極２６は本体の検知機能部（制御回路等）に電気
的に接続されている。前記一対の抵抗ラベル２５は導電
体２８で接続されており、前記一対の電極２６はこれら
の抵抗ラベルのそれぞれに接触するように配置されてい
る。そして、図４から明らかなごとく、インクカートリ
ッジ７を装着した時、ラッチ部材を兼ねる板バネ製の一
対の電極２６の突部２７が段差凹部２４に嵌入すること
によりクリック感が得られるとともに、該段差凹部２４
内の面に貼り付けられた一対の抵抗ラベル２５にバネ力
で圧接されることにより電気的導通によるカートリッジ
有りの検出が行われる。すなわち、インクカートリッジ
装着時のクリック感とカートリッジ検知が同時に行わ
れ、その時、インク供給用の前記中空針１７の先端部開
口２９は充分にインク１６中に露出している。

【００３１】以上説明した実施例は、インクタンクとし
て着脱式のインクカートリッジ７を使用し、該インクカ
ートリッジ７と本体（カートリッジ装着部８）に、該イ
ンクカートリッジ７を装着する時にクリック感を与える
ラッチ手段２６、２４と該インクカートリッジ７の有無
を検出する電極２６および抵抗ラベル２５から成るカー
トリッジ検出手段が設けられ、前記ラッチ手段と前記カ
ートリッジ検出手段を弾性部材（板バネ）から成る共通
の作用部材２６で作用させるように構成されている。

【００３２】したがって、この実施例によれば、着脱自
在のインクカートリッジ７を用いるインクジェット記録
装置において、カートリッジ検出手段とラッチ手段の動
作上のズレを無くすことにより、中空針１７から成るイ
ンクカートリッジ接続部の長さを必要最小限に抑えると
ともに曲がり発生を防止することができ、ゴム栓２１か
ら成るインク取出し部１８を引き裂いたり、インク袋１
５から成るインク貯留部を傷付けたりすることを防止
し、インク漏れを防止することができるインクジェット
記録装置が提供される。

【００３３】図５は本発明を適用したインクジェット記
録装置のカートリッジ検出手段およびラッチ手段の第２
実施例を示す模式的斜視図であり、図６は図５のインク
カートリッジ装着時の模式的縦断面図である。本実施例
は、前述の第１実施例にストップレバー３０を追加した
ものである。図５および図６において、本体（カートリ
ッジ装着部８）の電極２６の近傍に設けられた水平方向
の支軸３１を中心に回動可能なストップレバー３０が設
けられている。このストップレバー３０は、不図示のバ
ネ手段により矢印Ａ方向へ付勢されている。

【００３４】前記ストップレバー３０は一対の電極２６
の先端部上側へ延びる腕部３２を有し、該腕部３２の上
面にはくさび３３が形成されている。一方、インクカー
トリッジ７の裏面（底面）の前記段差凹部２４の近傍位
置（隣接位置）には、前記ストップレバー３０の前記く
さび３３が侵入して係合することが可能なくさび係合凹
部３４が形成されている。インクカートリッジ７を装着
した状態では、図６に示すように、ストップレバー３０
が上方へ（矢印Ａ方向へ）バネ付勢されることから、前
記くさび３３が前記くさび係合凹部３４に侵入して係合
することにより、該インクカートリッジ７の抜去動作が
阻止されている。なお、この状態では、一対の板バネ製
の電極２６の突部２７は、該電極部材のバネ力により段
差凹部２４内の一対の抵抗ラベル２５に押圧接触してい
る。

【００３５】図６において、このインクカートリッジ７
を取り外す操作は、ユーザーがストップレバー３０の先
端操作部３５を下方へ押すことにより行われる。すなわ
ち、先端操作部３５を下方へ押してストップレバー３０
を同方向へ回動させると、その腕部３２のくさび３３が
インクカートリッジ７のくさび係合凹部３４から離脱す
る。そのため、該インクカートリッジ７は、カートリッ
ジ装着部８から抜去可能となり、電極２６を押し下げな
がら後退させて取り外すことができる。

【００３６】一方、インクカートリッジ７の装着時に
は、該インクカートリッジ７がストップレバー３０のく
さび３３の斜面を乗り上げることにより、該ストップレ
バー３０を押し下げ、さらに該ストップレバー３０（そ
の腕部３２）を介して電極２６を押し下げながらインク
カートリッジ７が挿入され、該電極２６が段差凹部２４
内に入ることでインクカートリッジ７のカートリッジ装
着部８への装着が完了する。電極２６が段差凹部２４内
に押圧係合することはインクカートリッジ７の装着（カ
ートリッジ有り）を検出することであり、この状態では
前記中空針１７がゴム栓２１を完全に貫通し、その先端
部開口２９は充分にインク１６中に露出している。

【００３７】図５および図６の第２実施例は、以上説明
した点で第３図および第４図の第１実施例と相違してい
るが、その他の点では実質上同じ構成をしており、それ
ぞれ対応する部分を同一符号で示し、それらの詳細説明
は省略する。したがって、本実施例によっても、着脱自
在のインクカートリッジ７を用いるインクジェット記録
装置において、カートリッジ検出手段とラッチ手段の動
作上のズレを無くすことにより、中空針１７から成るイ
ンクカートリッジ接続部の長さを必要最小限に抑えると
ともに曲がり発生を防止することができ、ゴム栓２１か
ら成るインク取出し部１８を引き裂いたり、インク袋１
５から成るインク貯留部を傷付けたりすることを防止
し、インク漏れを防止することができるインクジェット
記録装置が提供される。

【００３８】以上説明した実施例によれば、インクカー
トリッジ７の有無を検知するための電極２６と該インク
カートリッジ７をクリック感をもって装着位置に係合さ
せるためのバネ性のラッチ部材とを同一部品で構成した
ので、双方の位置関係についてラフに考えることがで
き、管理内容が減少し、部品点数削減によるコストダウ
ンを図ることができる。

【００３９】さらに、抵抗ラベル２５をインクカートリ
ッジ７の裏面（下面）に貼り付けるので、汚れやゴミ堆
積による電極不導通の可能性を無くすことができる。ま
た、電極２６がインクカートリッジ７を摺動するので、
抵抗ラベル２５に電極２６が接触する前に該電極２６の
接触面を常に清浄化された新しい面にすることができ、
確実な電気接触を得ることができる。さらに、ラッチ手
段のための段差凹部２４を設け、その内部に抵抗ラベル
２５を貼り付けるので、該抵抗ラベル２５への傷付けを
防止することができる。

【００４０】また、ラッチ部材の接触位置と電極の接触
位置が同一であるので、インク中に露出する中空針１７
の先端部開口２９に対する寸法公差を一層短く取ること
ができ、該中空針１７の寸法に対して無駄な長さを必要
としなくなる。そのため、インク中に露出する中空針１
７の針長さを低減することにより、該中空針１７の曲が
りなどに起因する接続部からのインク漏れやインク取出
し部の傷つきを防止することができる。

【００４１】なお、前述の実施例では、記録手段（記録
ヘッド）を主走査方向に移動させるシリアル記録方式の
場合を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全
幅または一部をカバーする長さのライン記録手段を用い
て副走査のみで記録するライン記録方式の場合にも、同
様に適用することができ、同様の効果を達成し得るもの
である。また、本発明は、単色記録を行うインクジェッ
ト記録装置の他、１個または複数個の記録ヘッドを有し
異なる色のインクで記録するカラーインクジェット記録
装置、同一色彩で異なる濃度のインクを用いる階調イン
クジェット記録装置、さらには、これらを組み合わせた
インクジェット記録装置などの場合にも、同様に適用す
ることができ、同様の効果を達成し得るものである。

【００４２】さらに、本発明は、記録手段が記録ヘッド
部とインク貯留部を一体化した交換可能なインクジェッ
トカートリッジである場合、あるいは記録手段がパーマ
ネント式である場合など、記録手段が種々の形態を採る
場合にも同様に適用することができ、同様の作用効果を
達成し得るものである。

【００４３】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段（記録ヘッド）を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置
において優れた効果をもたらすものである。かかる方式
によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるから
である。

【００４４】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
１の発明によれば、記録手段から被記録材へインクを吐
出して記録を行うインクジェット記録装置において、イ
ンクタンクとして着脱式のインクカートリッジが使用さ
れ、該インクカートリッジと本体に、該インクカートリ
ッジを装着する時にクリック感を与えるラッチ手段と該
インクカートリッジの有無を検出する電極および抵抗ラ
ベルから成るカートリッジ検出手段が設けられ、前記ラ
ッチ手段と前記カートリッジ検出手段が同じ作用部材に
より作用する構成としたので、部品点数を削減してコス
トダウンを図ることができ、インクカートリッジを着脱
可能に装着する際のカートリッジ検出手段とラッチ手段
の動作上のズレを無くすことができ、中空針等のインク
カートリッジ接続部の長さを必要最小限に抑えるととも
に曲がり発生を防止することができ、ゴム栓等のインク
取出し部を引き裂いたり、インク袋等のインク貯留部を
傷付けたりすることを防止し、インク漏れを防止するこ
とができるインクジェット記録装置が提供される。

【００４５】請求項２および請求項３の発明によれば、
請求項１の構成に加えて、前記作用部材は導電性の板バ
ネから成る電極であり、前記抵抗ラベルは段差凹部に貼
り付けられる構成、あるいは、前記作用部材は本体側に
設けられる構成としたので、一層効率の良い態様で、部
品点数を削減してコストダウンを図ることができ、イン
クカートリッジを着脱可能に装着する際のカートリッジ
検出手段とラッチ手段の動作上のズレを無くすことがで
き、中空針等のインクカートリッジ接続部の長さを必要
最小限に抑えるとともに曲がり発生を防止することがで
き、ゴム栓等のインク取出し部を引き裂いたり、インク
袋等のインク貯留部を傷付けたりすることを防止し、イ
ンク漏れを防止することができるインクジェット記録装
置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例の概略構成を示す模式的斜視図である。

【図２】図１中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。

【図３】本発明を適用したインクジェット記録装置のイ
ンクカートリッジ装着部のカートリッジ検出手段および
ラッチ手段の第１実施例を示す模式的斜視図である。

【図４】図３のインクカートリッジ装着時の状態を示す
模式的縦断面図である。

【図５】本発明を適用したインクジェット記録装置のイ
ンクカートリッジ装着部のカートリッジ検出手段および
ラッチ手段の第２実施例を示す模式的斜視図である。

【図６】図５のインクカートリッジ装着時の状態を示す
模式的縦断面図である。

【図７】従来のインクジェット記録装置のインクカート
リッジ装着部のカートリッジ検出手段およびラッチ手段
の構造例を示す模式的斜視図である。

【図８】図７のインクカートリッジ装着時の状態を示す
模式的縦断面図である。

【符号の説明】

１ 記録手段（記録ヘッド） ２ キャリッジ ３ ガイドシャフト ４ 被記録材 ５ 搬送ローラ ６ 搬送用モータ ７ インクカートリッジ ８ カートリッジ装着部 １０ 回復装置 １１ キャップ １２ 吸引ポンプ １３ ワイピングブレード １４ 回復系モータ １５ インク袋 １６ インク １７ 中空針 １８ インク取出し部 ２１ ゴム栓 ２３ 開口 ２４ 段差凹部 ２５ 抵抗ラベル ２６ 電極 ２７ 突部 ２９ 先端部開口 ３０ ストップレバー ３３ くさび ３４ くさび係合凹部 ８１ 吐出口面 ８２ 吐出口 ８３ 共通液室 ８４ 液路 ８５ 電気熱変換体

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録手段から被記録材へインクを吐出
   して記録を行うインクジェット記録装置において、イン
   クタンクとして着脱式のインクカートリッジが使用さ
   れ、該インクカートリッジと本体に、該インクカートリ
   ッジを装着する時にクリック感を与えるラッチ手段と該
   インクカートリッジの有無を検出する電極および抵抗ラ
   ベルから成るカートリッジ検出手段が設けられ、前記ラ
   ッチ手段と前記カートリッジ検出手段が同じ作用部材に
   より作用することを特徴とするインクジェット記録装
   置。
2. 【請求項２】 前記作用部材は導電性の板バネから成
   る電極であり、前記抵抗ラベルは段差凹部に貼り付けら
   れることを特徴とする請求項１のインクジェット記録装
   置。
3. 【請求項３】 前記作用部材は本体側に設けられるこ
   とを特徴とする請求項１のインクジェット記録装置。
4. 【請求項４】 前記記録手段がインクを吐出するため
   に利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を備
   えているインクジェット記録手段であることを特徴とす
   る請求項１のインクジェット記録装置。
5. 【請求項５】 前記記録手段が前記電気熱変換体が発
   生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利用
   して吐出口よりインクを吐出させることを特徴とする請
   求項４のインクジェット記録装置。