JPH087577Y2 - 磁気テープカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は磁気テープカセットに関し、更に詳しくは、
磁気テープを巻装したハブとカセットケース内面との間
に介在するフリクションシートを備えた磁気テープカセ
ットに関するものである。

［従来の技術］ 磁気テープレコーダの如きオーディオ機器では、記録
・再生用の媒体として磁気テープカセットが広く用いら
れている。そして、オーディオ系の磁気テープカセット
にあっては、上下ハーフカセットで形成されたケースボ
ディ内に磁気テープを巻回した一対のフランジレスタイ
プのハブを回動自在に内蔵保持した構造が採用されてい
る。

前記磁気テープカセットの使用時においては、テープ
レコーダのモード選択によって、磁気テープは記録・再
生モードから停止モード、更に高速走行から停止モード
等、頻繁に走行・停止を繰り返す。このため、フランジ
レスタイプのカセットにおいては、良好なテープ走行を
維持するべく表面性がよく且つ走行時に適度のテープテ
ンションを付与することもでき、停止モード時にテープ
たわみ等が発生しないように、カセット内面上下両側に
フリクションシートが設けられている。

前記フリクションシートは、薄いシート状の軟性合成
樹脂を上下ハーフカセットの内壁面に配置されるもので
あり、例えば帯電防止等の加工が施されたあたり、さら
に表面にエンボス状の加工が施されたり、適度にカール
するように加工されたり、或は適当な高さのシボリ加工
が施されいる。特に、前記シボリ加工は、極めて薄いフ
リクションシートにあっては実質的厚みの増大、並びに
ハブ及び磁気テープのカセット厚さ方向の保持機能を高
めるのに効果的であった。

さらに非常薄い部材である。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、シボリ加工を施したフリクションシートにつ
いて、下記のような問題点があった。

従来、シボリ加工を施した前記フリクションシート
は、第６図及び第７図に示すような２タイプのものに大
別することができる。

第６図に示すフリクションシート30は、横断面が略矩
形（コ字形状）のシボリ部37、38がシート長手方向に２
つ（２本）平行にハブ孔４を挟むように直線的に形成さ
れ、かつ該シボリ部37、38がシート左右端縁3a,3bまで
達するように形成されている。

第７図に示すフリクションシート40は、第６図と同様
に横断面が略矩形（コ字形状）のシボリ部47、48がシー
ト長手方向に２つ（２本）平行にハブ孔４を挟むように
直線的に延びているが、前記シボリ部47、48はシート左
右端縁3a,3bの所まで達するように形成されておらず、
すなわち、前記シート左右端縁２、３は平坦に形成され
ている点が第６図に示したタイプの場合と異なる。

前者（第６図）の場合は、前記フリクションシート30
の長さ一杯に前記シボリ部37、38が形成されているの
で、前記シボリ部37、38は磁気テープの大きい巻径に対
しても充分に対応できる利点を有している。しかし、前
記シボリ部37、38が前記シート左右両端縁２、３にまで
延びていることが欠点でもあった。すなわち、前記シボ
リ部37、38がシート左右両側に開放されていることによ
り、前記シボリ部37、38は特に前記シート左右端縁3a,3
bの近傍においてその横断面方向（矢印Ｂ方向）に伸び
易いくなり、このために、シボリ部の突出高さがその初
期設定高さに保つことができず、シボリ部本来の保持機
能が低下してしまう問題があった。

一方、後者（第７図）の場合は、前記フリクションシ
ート40は前記シボリ部47、48がそのシボリ端部（シボリ
部の長手方向の端部）に於いて閉じた構成であるので、
その横断面方向（矢印Ｂ方向）に伸びるような問題は解
消されるが、前記シボリ端部47、48の近傍において絞り
皺50が発生する。特に、前記シボリ端部が前記シート左
右端縁3a,3bに近づく程、前記絞り皺50は発生し易くな
ると同時に、該絞り皺50が発生する成形歪みによって前
記シート左右端縁3a,3bの部分が反り返るような不測の
変形が生じてしまい、フリクションシートの平坦性が悪
くなるだけでなく、この変形部分が磁気テープに接触す
るなど前記フリクションシート40の本来の機能を損なう
問題があった。

本考案は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、
その目的は前記シボリ部によるテープの保持範囲を大き
く出来、かつ絞り皺が発生せずにシボリ部がその全域に
おいてシボリ高さを一定に保ことができるように構成さ
れたフリクションシートを備えた磁気テープカセットを
提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案に係る前記目的は、一対の上下ハーフカセット
により形成された中空内部に回動自在に磁気テープを巻
装した一対のハブと、該ハブの上下端面とカセット上下
内面との間にフリクションシートとを具備した磁気テー
プカセットにおいて、前記フリクションシートはその長
手方向にほぼ沿ったシボリ部が少なくとも２つのハブ孔
を挟む位置に形成されており、前記各シボリ部はその横
断面形状がほぼ矩形を成してシート左右端縁まで延ばさ
れ、かつ前記シボリ部の凸側の上端面の幅方向の少なく
とも一方の屈曲端縁が波状に湾曲した形状に形成されて
おり、さらに前記シボリ部の左右両端部の幅が狭幅領域
で画成されており、前記上端面により前記ハブ並びに前
記磁気テープを保持することを特徴とする磁気テープカ
セットにより達成することができる。

［実施態様］ 以下、図面を参照して本考案の磁気テープカセットの
一実施態様を説明する。なお、第１図にはオーディオ用
の磁気テープカセットに適用したフリクションシートの
平面図を示し、第２図は第１図に示すフリクションシー
トのA-A線に沿った部分に対応したカセット断面の概略
図である。

本考案の磁気テープカセット１は、第２図に示すよう
に一対の上下ハーフカセット12、13により形成された中
空内部に回動自在に磁気テープＴを巻装した一対のハブ
９が装着されており、前記ハブ９の上下端面とカセット
上下内面との間には一対のフリクションシート２、2aが
配設されている。

前記フリクションシート２と2aは同様に構成されてお
り、このうちのカセット下方側に配置したフリクション
シート２を第１図に示す。前記フリクションシート２は
その長手方向に沿ったシボリ部７、８が２つ形成され、
且つその位置はハブ孔４よりもカセット前方側５寄り及
びカセット後方側６寄りに該ハブ孔４を挟む位置に形成
されている。前記シボリ部７、８はその横断面形状がほ
ぼ矩形（コ字形状）を成しており、シート左右端縁3a、
3bまで達するように延びていて、該シート左右端縁3a、
3bにて屈曲部分のシボリの輪郭が現れた、所謂シボリ部
分開放型に構成されている。そして、前記矩形の凸側の
上端面70、80により前記ハブ９並びに前記磁気テープＴ
を保持するようになされている。

前記フリクションシート２は前記上端面70、80の一方
の屈曲端縁7bと屈曲端縁8bは直線状であるが、他方の屈
曲端縁7aと屈曲端縁8aとは上方からみて波状に湾曲して
いる。また、前記フリクションシート２の左右両端縁3
a、3bにおけるシボリ幅が小さい幅狭領域で画成されて
いる。

前記屈曲端縁7aと前記屈曲端縁8aはそれぞれ該屈曲端
縁7a、8aを上縁（凸部を上方から見た場合）としてシー
ト厚み方向に立ち上がった湾曲壁面14が形成されてい
る。前記湾曲壁面14の高さＨ（シボリ部の高さ）は、例
えば0.1〜0.3mm程度に構成することができる。また、前
記シボリ部７、８のシボリ幅Ｗは例えば最大シボリ幅W₁
から最小シボリ幅W₂の間を波打つように変化している。
そして、前記シボリ部７、８は、前記ハブ孔４に接近し
た部分が幅が狭い構成であって、最小シボリ幅W₂の部分
が前記ハブ９を保持するように対応し、かつ最大シボリ
幅W₁寄りの部分が前記磁気テープＴを保持するように対
応している。

このように、前記シボリ部７、８は該シボリ部の屈曲
によりシート厚み方向に立ち上がった部分が湾曲した前
記湾曲壁面14を構成しているので、前記湾曲壁面14によ
り前記シボリ部７、８の実質的な剛性が高められ、シー
ト厚み方向の力が加わっても、従来のように一方方向に
簡単に伸びるようなことは無く、また、前記シート左右
両端縁3a,3bの付近においても剛性が保たれそのシボリ
高さを安定して保ことができる。しかも、前記シボリ部
７、８は前記シート左右両端縁3a,3bまで達するように
延ばされているので、前記シボリ部７、８の作用範囲を
大きくでき、前記フリクションシート２の大きさを最大
限に利用することができる。更に、前記シート左右両端
縁3a、3bにおける前記シボリ部７、８の幅が幅狭領域で
画成されていることで、シボリ端部が閉じた状態（第７
図の状態）に近づく形態にできるので、前記両端縁3a、
3b近傍のシボリ部７、８は該シボリ部をつぶすような外
力に対して実質的剛性を高く維持できる。

又、前記シボリ部７、８の波型の屈曲端縁7a、8aは、
前記ハブ孔４を挟んでカセット前後位置の波形が略180
°の位相差を有するように構成され、かつ各ハブ孔４に
対しても略左右対称形となるような形状に構成されてい
る。この構成により、前記両ハブ９に対する前記シボリ
部７、８の接触面積は左右で均等であり、前記磁気テー
プＴに対せても左右均等に対応することが可能になる。
なお、上述の位相差における「略180°」の「略」とは
夫々の波形がその基本波形に対して形成の誤差範囲が、
±10°程度の範囲を云うものとする。

したがって、このような前記フリクションシート２を
備えた本実施態様の磁気テープカセット１は、磁気テー
プＴの巻径が大きくなり重くなった方の前記ハブ９で
も、前記シボリ部７、８の上端面70、80により確実に支
持できるので、前記ハブ９のガタ付きを小さく抑えるこ
とができ、しかも、前記シボリ部７、８の高さＨが全域
にわたって初期設定に近い状態に保たれるので、前記磁
気テープＴに所望のテープテンションを常時安定して付
与することもできテープ走行性を良好に維持でき、更
に、テープ巻姿を良好に保つことができる。

以上に本考案の一実施態様を説明した。しかし、前記
実施態様においては前記フリクションシート２の前記シ
ボリ部７、８は前記上端面70、80の上方から見た形状が
片波型ともいえる形状にしたが、本考案は前記に限定さ
れるものではなく、例えば第３図、第４図及び第５図の
如く種々の変形がすることができる。

第３図に示すフリクションシート60は、シボリ部７、
８の屈曲縁部が直線と波型とで構成されている。しか
し、第１図に示した場合と異なる点は、内側の屈曲端縁
7bと8bとが波型で外側の屈曲端縁7aと8aとが直線で構成
されており、その直線と波型とが逆になっている。その
他の構成は第１図に示した場合と同じである。

第４図に示すフリクションシート10は、そのシボリ部
17、18の各屈曲端縁17a,17b,18a,18bが平行であり、横
断面が矩形状に形成されて、その幅Ｗが全体にわたって
一定になるような波型状に構成されている。なお、本実
施態様においても、前記シボリ部17と18の形状は、前記
両ハブ孔４を挟んで図の上下方向において対称形に構成
されている。また、当然、前記シボリ部17、18の横断面
は矩形状に形成されている。

第５図に示すフリクションシート20は、そのシボリ部
27、28の各屈曲端縁27aと27bとの間および28aと28bとの
間においては波形の振幅が異なり、シボリ幅Ｗが周期的
に変化するように構成されている。なお、本実施態様に
おいても、前記シボリ部27と28の形状は、前記両ハブ孔
４を挟んで図の上下方向において対称形に構成されてい
る。また、当然、前記シボリ部27、28の横断面は矩形状
に形成されている。

また、第５図に示した前記シボリ部27、28は前記各屈
曲端縁27a（28a）と27b（28b）との間の波形の振幅のみ
が相違する形状としたが、この構成以外にも例えば、波
長が適宜違う構成とすることもできる。

前記各実施態様においてはシボリ部を２つ形成するよ
うにしたが、このシボリ部は当然３つ以上形成した構成
であってもよい。

又、前記実施態様においてはフィリップスタイプの磁
気テープカセットについて述べたが、本考案はこれに限
ものではなく、DAT用の磁気テープカセットについても
適用できることは云うまでもない。

［考案の効果］ 以上に説明したように、本考案は前記フリクションシ
ートのシボリ部は横断面形状がほぼ矩形を成してシート
左右端縁まで達するように延ばされ、該シボリ部の上端
面により前記ハブ並びに前記磁気テープを保持するよう
に構成され、前記上端面の幅方向の少なくとも一方の端
縁が波状に湾曲してた構成である。すなわち、前記シボ
リ部はその屈曲した端縁の少なくとも一つが波型状の曲
線にて構成されていることは、該シボリ部の屈曲により
立ち上がった部分が湾曲した湾曲壁面を構成しているの
で、前記湾曲壁面により前記シボリ部の実質的な剛性が
高められ、シート厚み方向の力が加わっても従来のよう
に一方方向に簡単に伸びるようなことは無く、そのシボ
リ高さを安定して保つことができる。しかも、前記シボ
リ部は前記シート左右両端縁まで延ばされているので、
前記シボリ部の作用範囲を大きくできシートの大きさを
最大限に利用することができる。

従って、本考案によれば、ハブのがた付きを小さく抑
えることができ、しかも磁気テープに所望のテープテン
ションを常時安定して付与することもできテープ走行性
を良好に維持できるだけでなく、テープ巻姿が常に良好
な磁気テープカセットを提供することができる。又、本
考案によればフリクションシートの実質的剛性を高める
ことができるので、フリクションシートを従来よりも薄
くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したフリクションシートの平面
図、第２図は第１図に示すフリクションシートのA-A線
に沿った部分に対応するカセット断面の概略図、第３
図、第４図及び第５図は本考案の変形例を示すフリクシ
ョンシートの平面図、第６図及び第７図はそれぞれ従来
のフリクションシートを示す平面図である。 （図中の符号） １……磁気テープカセット、2,2a,10,20,30,40,60……
フリクションシート、3a,3b……シート左右端縁、４…
…ハブ孔、５……カセット前方側、６……カセット後方
側、7,8,17,18,27,28,37,38,47,48……シボリ部、7a,7
b,8a,8b,17a,17b,18a,18b,27a,27b,28a,28b……屈曲端
縁、９……ハブ、12……上ハーフカセット、13……下ハ
ーフカセット、14……湾曲壁面、50……絞り皺、70,80
……シボリ部の上端面、Ｔ……磁気テープ。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の上下ハーフカセットにより形成され
   た中空内部に回動自在に磁気テープを巻装した一対のハ
   ブと、該ハブの上下端面とカセット上下内面との間にフ
   リクションシートとを具備した磁気テープカセットにお
   いて、前記フリクションシートはその長手方向にほぼ沿
   ったシボリ部が少なくとも２つのハブ孔を挟む位置に形
   成されており、前記各シボリ部はその横断面形状がほぼ
   矩形を成してシート左右端縁まで延ばされ、かつ前記シ
   ボリ部の凸側の上端面の幅方向の少なくとも一方の屈曲
   端縁が波状に湾曲した形状に形成されており、さらに前
   記シボリ部の左右両端部の幅が狭幅領域で画成されてお
   り、前記上端面により前記ハブ並びに前記磁気テープを
   保持することを特徴とする磁気テープカセット。
2. 【請求項２】前記シボリ部の一方の屈曲端縁が直線で、
   また前記シボリ部の少なくともハブ孔に接近した部分が
   最も幅狭になされ、かつ前記ハブ孔を挟んだカセット前
   後位置の波形が略180°の位相差を有するように構成さ
   れたことを特徴とする請求項１に記載の磁気テープカセ
   ット。
3. 【請求項３】前記シボリ部は全体が波形で、かつ該シボ
   リ部の幅が不均一な幅となるように該シボリ部の両端縁
   が位相差を有する波形に構成された請求項１又は２に記
   載の磁気テープカセット。
4. 【請求項４】前記フリクションシートはその長手方向に
   ほぼ沿ったシボリ部が少なくとも２つのハブ孔を挟む位
   置に形成されており、前記各シボリ部はその横断面形状
   がほぼ矩形でシート左右端縁まで延ばされ、さらに前記
   シボリ部はその全体形状が波形で、かつ均一なシボリ幅
   に構成されたことを特徴とする磁気テープカセット。